中国船、ロシア運営のガスブロックに侵入 南シナ海の新たな火種

中国の調査船と沿岸警備隊の船 2 隻、漁船 11 隻が 10 日、ベトナム沖でロシアとベトナムの国営企業が運営するガスブロックに侵入したと、2 つの監視団体が明らかにした。 南シナ海で新たな火種になる可能性がある。 中国は南シナ海で領有権を主張しており、近隣国の排他的経済水域 (WWZ) で最近、活動を活発化させている。 ロシアのショイグ国防相は 3 月、ロシアと中国の強い関係は世界の安定を支える主要な要因だと述べているが、南シナ海においては利害が対立することもある。

ロイターが入手した監視データによると、中国の船舶はロシアのザルベジネフチとペトロベトナムの合弁会社ベトソフペトロの「04-03」ブロックに入り、日没の時点でまだその場所にとどまっていた。 また中国船は、出光興産傘下の出光オイルアンドガスが運営するブロック「05-1B」、「05-1C」にも接近していた。 中国外務省はこれらの活動は「正常」と強調。 「中国船は、中国の管轄下にある海域で通常の生産活動や作業活動を行っている」とした。 (Reuters = 5-11-23)


米消費者物価指数 4.9% 増、10 カ月連続伸び鈍化 市場予想下回る

米労働省が 10 日発表した 4 月の消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比で 4.9% 上昇した。 伸びは昨年 6 月(9.1% 上昇)をピークに 10 カ月連続で鈍化した。 事前の市場予想 (5.0%) も下回った。 今回の結果も踏まえ、物価高(インフレ)の抑制をめざす米連邦準備制度理事会 (FRB) が 6 月の次回会合で利上げを休止するかどうかが注目される。

CPI への寄与が大きい住宅費は前年同月比で 8.1% 増、食費は同 7.7% 増だった。 価格動向に米国民が敏感なガソリン代は 12.2% 減だった。 変動の大きいエネルギー価格などを除いた CPI のコア指数は 5.5% 増で、3 月(5.6% 増)を下回った。 コア指数は FRB がインフレ動向をみるうえで重視している。 FRB のパウエル議長は今月 2 - 3 日の米連邦公開市場委員会 (FOMC) で、利上げの休止の議論があったことを認めた。 市場では次回 6 月会合で、FRB が利上げの休止に踏み切るとの見方が出ている。

米国では中堅 3 銀行が相次いで経営破綻し、利上げが銀行経営に与えた打撃が意識されている。 米政府の債務上限の引き上げ問題が難航していることも、金融市場のリスクになっている。 FRB が利上げをいったん止め、1 年以上にわたる利上げの経済への影響を見極める可能性がある。 一方でインフレが再燃すれば、FRB が再び利上げに動く可能性も強い。 市場の期待感が大きい年内の利下げについては、パウエル氏は否定的な見解を繰り返している。 (ワシントン = 榊原謙、asahi = 5-10-23)

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米雇用者数は予想上回る伸び、賃金も加速 - 労働市場の強さ示唆

→ 4 月の非農業部門雇用者数 25 万 3,000 人増 - 予想 18 万 5,000 人増
→ 失業率は 3.4% に低下、再び数十年ぶりの低水準 - 予想 3.6%

米国では 4 月、雇用者数と賃金の伸びがいずれも加速した。 景気が向かい風に直面する中、労働市場の強靱さと新たなインフレ圧力が示唆された。

キーポイント

  • 非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比 25 万 3,000 人増
    • エコノミスト予想の中央値は 18 万 5,000 人増
    • 前月は 16 万 5,000 人増(速報値 23 万 6,000 人増)に下方修正
  • 家計調査に基づく失業率は 3.4% に低下 - 再び数十年ぶり低水準
    • 市場予想は 3.6%
    • 前月 3.5%
  • 平均時給は前月比 0.5% 増 - 前月 0.3% 増
    • 市場予想は0.3%贈

雇用は幅広い分野で増加。 ヘルスケアや専門職・ビジネスサービス、娯楽・ホスピタリティーでの伸びが特に目立った。 ただし、2 - 3 月の雇用者数は合わせて 14 万 9,000 人下方修正された。 高金利やインフレ、与信環境の引き締まりが景気に及ぼす影響を巡り懸念が強まりつつあるにもかかわらず、今回の統計は労働需要の底堅さを浮き彫りにしている。 一部企業は採用を停止あるいは従業員を削減しているが、人材確保を目指し賃金をなお引き上げている企業もある。 平均時給は前年同月比では 4.4% 増加した。 市場予想は 4.2% 増だった。

米金融当局は今週、インフレ抑制に向けて現在の利上げサイクルで 10 回目となる引き上げを決定。 今回で利上げ打ち止めとなる可能性もあるが、そうなるにはトレンドを下回る成長や労働市場環境の軟化が一定期間続く必要があるだろうと、パウエル連邦準備制度理事会 (FRB) 議長はこれまでに述べている。 KPMG のチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「労働市場はかなり逼迫した状態が続いている」と指摘。 「米金融当局が追加利上げへ可能性を残したのには理由がある。 今回の統計は利上げ休止に関してわれわれが望むほどの安心感をもたらすものではない。」と話した。

25 - 54 歳の労働参加率は 83.3% に上昇し、2008 年以来の高水準となった。 ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏とスチュアート・ポール氏、イライザ・ウィンガー氏は「予想外に堅調な 4 月の雇用統計は、シリコンバレー銀行 (SVB) 破綻以降の銀行セクターの緊張が労働市場にまだ影響していないことを示している」と指摘。 「とはいえ、与信環境タイト化の影響が実体経済に広がるには時間がかかる。 米金融当局はそれを考慮に入れるだろう。」と述べた。 週平均労働時間は 34.4 時間で前月から変わらず。 20 年 4 月以来の低水準に並んだ。 (Bloomberg = 5-5-23)


欧州中銀、0.25% 幅利上げ 上げ幅縮小 政策金利は 3.75% に

欧州中央銀行 (ECB) は 4 日の理事会で政策金利を 0.25% 幅引き上げ、3.75% にすると決めた。 3 月まで 3 会合連続で通常の 2 倍となる 0.50% 幅の利上げをしてきたが、ペースを落とした。

消費者物価の上昇率は利上げ効果で下落傾向にあり、小幅な利上げにとどめたとみられる。 政策金利が 3.75% になるのは 2008 年以来。 ユーロ圏では昨年 2 月のウクライナ侵攻後、エネルギー価格の高騰などを受けて物価が急激に上がった。 ECB は景気を冷やして激しいインフレを抑えようと昨年 7 月以降、利上げを続けてきた。利上げ幅は昨年 9 月と 10 月が 0.75%、その後は前回まで 3 会合続けて0.50% だった。

今回、利上げ幅を縮めた背景には、インフレ率が下落傾向にあることに加え、景気が冷え過ぎることへの警戒があるとみられる。 4 月のユーロ圏の消費者物価上昇率は 7.0% と、3 月よりわずかに上がったが、昨年 10 月の 10.6% をピークに低下傾向にあった。 ユーロ圏の経済成長も弱く、1 - 3 月のユーロ圏の実質域内総生産 (GDP) は前期比 0.1% 増にとどまり、域内最大経済国のドイツもゼロ成長だった。

金融市場では 3 月、金融大手クレディ・スイス・グループの経営不安が波及し、一部の欧州の銀行株が大きく下がる局面があった。 現時点では欧州主要行に経営不安は広がっていないが、大幅な利上げを続ければ、経営に影響がでるリスクもある。 ただ、企業の値上げ圧力は強く、インフレが収まるかは不透明な面もある。 ECB はインフレと景気の動向を見つつ、当面、難しいかじ取りを迫られそうだ。 (ベルリン = 寺西和男、asahi = 5-4-23)


米ファースト銀、30 日にも破綻 = リーマン後最大、数社が買収に関心 - 報道

【ニューヨーク】 欧米メディアは 29 日、経営不安が高まっている米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行が 30 日にも経営破綻し、米連邦預金保険公社 (FDIC) の管理下に置かれると報じた。 FDIC は資産や預金などを引き継ぐ金融機関を決める競売手続きに着手しており、数社が名乗りを上げるとみられる。 信用不安の再燃が懸念されており、預金保護など米当局の対応も焦点になりそうだ。

破綻すれば、米銀では 3 月のシリコンバレー銀行 (SVB)、シグネチャー銀行に続き 3 行目。 リーマン・ショック後で最大規模となる。 米メディアによると、米金融大手 JP モルガン・チェースや PNC ファイナンシャル・サービシズ・グループなど数社が、ファースト銀の買収に関心を示しており、30 日にも正式提案する見通し。 FDIC は、買収する金融機関への資金支援もするとみられている。 (jiji = 5-1-23)


スーダン退避邦人が羽田到着 ジブチからチャーター機で

戦闘が続くアフリカ北東部スーダンから周辺国のジブチに退避した日本人とその家族が 29 日朝、ジブチ発のチャーター機で羽田空港に到着した。 外務省によると、自衛隊や国際機関などの協力でスーダンから逃れ、ジブチ入りした計 48 人がチャーター機に搭乗。 日本時間 28 日夕、ジブチを出発した。スーダンから国外退避した日本人と家族は 28 日時点で計 65 人となった。 スーダンでは、正規軍と準軍事組織「即応支援部隊 (RSF)」の衝突が激化。 同国保健当局によると、戦闘の死者は 500 人を超えた。 各国が相次いでスーダンに滞在する自国民を退避させている。 (sankei = 4-29-23)

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スーダン滞在の日本人、早ければ日本時間の今夜にもジブチへ

関係者によりますと、スーダンに滞在している日本人はおよそ60人で、首都ハルツームから複数のグループに分かれて別の都市へ陸路で移動しているということです。 到着次第、自衛隊の輸送機に乗り込み、早ければ日本時間の今夜にもジブチに向かうものとみられます。

17:55 頃 (JST)、自衛隊の C130 輸送機がジブチの空港を離陸

スーダンからの在留邦人の退避に向けて、周辺国ジブチの空港では航空自衛隊の C2 輸送機に続き、C130 輸送機が日本時間の 24 日午後 5 時 55 分ごろ、離陸するのが確認されました。 離陸した 2 機はスーダンで在留邦人の輸送にあたるものとみられます。 (NHK = 4-24-23)

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自衛隊機、ジブチへ 戦闘激化のスーダンからの日本人退避を支援

戦闘が激化しているアフリカ北東部スーダンの在留邦人を退避させるため、自衛隊機 1 機が 21 日、周辺国のジブチに向けて航空自衛隊小牧基地(愛知県)を出発した。 ジブチに到着後、スーダンの情勢を見極めて現地入りのタイミングなどを判断する。

21 日午後 2 時 45 分ごろ、資機材や隊員を乗せた空自の C130 輸送機 1 機が小牧基地を離陸した。 C2 輸送機 1 機、KC767 空中給油・輸送機 1 機もそれぞれ準備が整い次第、出発する。 ジブチには、自衛隊の海賊対処活動の拠点がある。 スーダンに滞在している日本人は、NGO や国際協力機構 (JICA)、日本大使館の関係者ら約 60 人。 (内橋寿明、熊谷佐和子、mainichi = 4-21-23)


女性を人口目標の道具にしない 国連人口基金、出生率の考え方を提言

国連人口基金 (UNFPA) は 19 日、「世界人口白書」を公表し、各国・地域の政府が実施している出生率の上昇や低下を目的とした政策は効果が出ないことが多く、女性の権利を損なう可能性があると指摘した。 報告があった 68 カ国のデータから算出したところ、「パートナーを持つ女性の 24% が性行為を断れず、11% は避妊を判断させてもらえない。」 世界のおよそ 2 億 5,700 万人の女性が、安全で信頼できる避妊方法を必要としているという。

出生率を上げるための少子化対策として奨励金の給付などを実施している多くの国が、「女性 1 人あたり(が一生の間に産む)子どもが 2 人という数字を下回っている」と指摘し、効果が薄いと主張した。 対照的に強制不妊手術などによる人口抑制は人権侵害で、「女性の体を人口目標の道具にすべきではない」と訴えている。 解決策として、労働力となる女性の人口比率を高めることを勧めており、ナタリア・カネム事務局長は「人口や出生率についての考え方を変えなくてはならない。 男女不平等が基本的な問題だ。 出産時期や子どもの数は女性が自由に選ぶべきだ。」と述べた。

UNFPA から見た日本はどのような状況なのか。 担当者に問い合わせたところ、他国・地域に比べると多くの女性が適切な教育を受けており、結婚や避妊、子どもの人数などでも自由度が高く「女性の健康と権利を確保するための努力をよくやっている」と一定の評価をくだした。 一方で、「真の男女平等を達成するために、日本ができることはまだたくさんある」と注文もつけた。 「日本では子どもや高齢者の世話、家事が女性に偏っている。 このような状況では、女性は望むキャリアを持ちながら、介護や家事をこなすことがますます難しくなる。 結果、子どもを持つことや結婚を断念する女性も増えてくる。」とした。

政府や行政が取り組むべきこととして、▽ 良質で安価な子どもや介護のケアサービスへのアクセスをしやすくする、▽ 教育や住宅費用を一般の人々が手が届きやすい水準にする、▽ 適切で安定した所得を目指す、を挙げた。 「こうした変化や男女平等への向上がなければ、各国・地域が支援し、人々が望んでいる出生率の達成は失敗する」と忠告した。

「世界人口白書」は 1978 年以降、毎年公表されている。 今回の報告の中には、世界の 3 分の 2 の人々は低出生率の環境にいて、2050 年までの人口増加分の半数以上が、コンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、インド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、タンザニアの 8 カ国に集中すると書かれている。 また、世界の約 80 億人のうち、55 億人ほどが温室効果ガス排出には大きく影響していないとし、気候変動の責任を人口増におしつけても解消されないとした。 (ニューヨーク = 遠田寛生、asahi = 4-19-23)

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インドが人口世界一、中国抜くと国連 - 全世界の 2 割近くに

→ インドの人口、14 億 2,860 万人超 - 中国は 14 億 2,570 万人
→ 人口の約半分が 30 歳未満、インド経済の原動力に

インドが中国を抜いて人口世界一になった。 国連が 19 日公表したデータで分かった。 国連の世界人口ダッシュボードによる 2023 年中盤の推計によれば、インドの人口は 14 億 2,860 万人を超え、中国の 14 億 2,570 万人を若干上回った。 中国の人口には香港やマカオなどは含まれていない。 人口の約半分が 30 歳未満のインドの経済は、今後数年で主要国として世界で最も急成長すると見込まれている。 同国は現在、アジア 3 位の経済大国。

インドの人口は全世界の 2 割近くを占める。 同国の人口増加傾向は今後も続き、50 年までに 16 億 6.800 万人に達する一方、中国の人口は同年までに約 13 億 1,700 万人に減少すると予測されている。 中国外務省の汪文斌報道官は北京で 19 日開いた定例記者会見で、「人口ボーナスは数だけでなく質にもよる」と説明。 「中国の人口は 14 億人を超えている。 李強首相も指摘しているように、中国の人口ボーナスは消えていない。 人材ボーナスはまさに形成されつつあり、発展に向けた動力はなお強い」と述べた。 (Eltaf Najafizada、Bibhudatta Pradhan、Bloomberg = 4-19-23)


米フロリダで大洪水「1,000 年に一度の降水量」

アメリカ南部フロリダ州で大規模な洪水が発生していて、国立気象局は「1,000 年に一度の降水量だ」として警戒を呼び掛けています。 12 日、フロリダ半島南部は発達中の低気圧が通過した影響で激しい雷雨に見舞われ、町全体が浸水しました。 なかでも、ブロワード郡フォートローダーデール市では史上最多の降水量を記録し、ピーク時には 24 時間降水量がおよそ 700 ミリにも及びました。 緊急の支援を求める通報は 12 日だけで 900 件入ったということです。

フォートローダーデール市にある空港も浸水し、翌朝になっても閉鎖されたままです。 アメリカの国立気象局は「1,000 年に一度、またはそれ以上の降雨量」だとして警戒を呼び掛けています。 また、翌日も雨が降り続く見通しとなっていて、今後、ひょうや竜巻が発生する恐れもあると指摘しています。 (テレ朝 = 4-14-23)


銃規制強化求めて議場で抗議 → 除名 → 暫定復帰 米州議会の亀裂深まる

銃規制に後ろ向きな共和党が多数派を占める米テネシー州下院が、議場で銃規制強化を求めて抗議した民主党議員 2 人を除名した。 これに対し、2 人の地元の議会が彼らの復帰を議決。 銃規制をめぐる米社会の亀裂は深まっている。 発端は 3 月 27 日。 同州ナッシュビルの小学校で児童 3 人を含む 6 人が殺害される銃撃事件が発生。 容疑者はこの学校に通った経歴がある 28 歳で、殺傷能力の高いアサルトウェポン(突撃銃) 2 丁など、7 丁の銃をいずれも合法的に購入していた。

全米で繰り返されている銃による悲劇に、ナッシュビルで 30 日に抗議活動が起きた。 ジャスティン・ピアーソン議員とジャスティン・ジョーンズ議員、グロリア・ジョンソン議員の 3 人は同日、州議会の議場で拡声機を使って「もうたくさんだ」、「行動が必要だ」などと発言し、銃規制の強化を訴えた。 ジョーンズ氏は「銃より子どもを守ろう」と書かれた紙を掲げた。 これに対し、同州の共和党が反発した。 3 人の言動は議会の進行を妨げ「複数のルールに違反した」として、除名処分を求める決議案を提出。 今月 6 日の採決で、ともに黒人男性のピアーソン、ジョーンズ両議員の除名が可決された。

一方、白人女性のジョンソン氏は必要な賛成数に 1 票届かず否決された。 票数の違いに、人種差別を指摘する声も上がっている。 これに対し、除名された両議員の地元選挙区の議会が 10 日と 12 日にそれぞれ投票を行い、2 人の復帰を可決した。 2 人は州議会への暫定的な復帰が認められるという。

ピアーソン氏は「私たちを追放しようとした人々へのメッセージだ。 希望を追い出すことはできない。 正義を追い出すことはできない。」と話した。 議場を出ると大勢の支持者が出迎え、歓迎した。 AP 通信によると、2 人は数カ月後に予定される特別選挙に立候補する。 そこで再び選ばれれば、州議会への本格的な復帰が認められるという。 (ニューヨーク = 遠田寛生、asahi = 4-13-23)


トランプ前大統領が無罪主張 口止め料疑惑など訴因 34 件を全て否認

米国の大統領経験者として初めて起訴されたトランプ前大統領が 4 日、米ニューヨークの裁判所に出頭し、起訴内容を全面的に否認した。 複数の米メディアが速報した。 2016 年大統領選中に支払った不倫の口止め料などを隠すため、業務記録を改ざんしたとして、34 件の重罪で起訴されたことも判明した。 トランプ氏は 4 日、滞在先のトランプタワーを出発し、午後 1 時半(日本時間 5 日午前 2 時半)ごろに裁判所の建物に到着。 一時的に身柄を拘束され、指紋採取などの手続きを経て、午後 2 時半ごろに罪状認否に臨むために法廷に入った。

法廷への通路を歩くトランプ氏の姿が数秒間、カメラに捉えられた。 紺色のスーツに赤色のネクタイを着用し、手錠はされていなかった。 法廷では、これまで非公表だった起訴内容が明らかにされた。 トランプ氏は、起訴された 34 件の訴因について、すべて無罪を主張した。 罪状認否の手続き後、トランプ氏はすぐに釈放され、自宅のあるフロリダ州に戻った。 同日夜には支持者を集めて演説し、検察批判を繰り広げた。

起訴状や検察の説明によると、トランプ氏は 16 年大統領選の期間中、自らに不利になる情報をもみ消すために 3 件の「口止め料」を支払い、当選の可能性を高めようとしたとされる。 うち 1 件では、かつて不倫関係にあったとされる元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏に 13 万ドル(約 1,700 万円)を支払った。 トランプ氏は「口止め料」の支払いを隠すため、多数の業務記録に虚偽記載をしたとして、34 件の重罪で起訴された。 ニューヨーク州法では、業務記録の改ざんは軽犯罪だが、ほかの犯罪を隠蔽する意図がある場合には重罪となる。

捜査を指揮したマンハッタン地区検察官のアルビン・ブラッグ氏は会見で「彼が 16 年大統領選に関する犯罪を隠すために(虚偽記載を)したということを証拠は示している」と述べ、トランプ氏が州選挙法違反などを隠蔽するために虚偽記載をしたとの見方を示した。 またブラッグ氏は、正確な業務記録は経済の中心地であるニューヨークでは特に重要だと指摘。 「私たちは今日、誰もが法の前に平等であることを確実にするために、厳粛な責任を果たす」と述べた。 次回の出廷期日は 12 月 4 日に指定された。 裁判は長期化が予想されており、司法の決着がつかないまま、24 年大統領選に向けた選挙戦が本格化していくとみられる。 (ワシントン = 高野遼、asahi = 4-5-23)


「町がなくなった」米国で "巨大竜巻" 26 人死亡 … 破壊された校舎 潰れた車両も散乱

防犯カメラに記録された、竜巻が高校を襲う瞬間です。 天井のパネルが外れ、暴風で天板が落ち、校舎内は破壊されていきます。 24 日、アメリカ南部ミシシッピ州などで竜巻が発生し、少なくとも26人が死亡しました。人口およそ1800人の町、ローリングフォークでは辺りががれきの山となり、住宅街は見る影もありません。

「私の町はなくなった…。 (地元警察)」

一夜明け、明らかになった惨状。 至る所に潰れた車両が散乱し、ガソリンスタンドを支える鉄骨はぐにゃぐにゃに折れ曲がっています。 今の時期は竜巻が発生しやすく、さらにメキシコ湾の記録的な海面水温の高さによって、威力を増したということです。 アメリカの気象当局は、この後もさらに竜巻が起こる可能性があるとして、市民に注意を呼び掛けています。 (テレ朝 = 3-27-23)


サンマの漁獲枠 25% 削減で合意 年 25 万トン、資源回復へ規制強化

北太平洋の漁業資源の管理について話し合う北太平洋漁業委員会 (NPFC) は 24 日、サンマの漁獲枠を今より約 25% 減らすことで合意した。 今より規制が厳しくなるが、日本などが求めていた半減までは実現せず、実際に資源が回復するかは見通せない。 NPFC は日本のほかロシア、中国、韓国、台湾、バヌアツ、欧州連合 (EU)、米国、カナダの 9 カ国・地域で構成。 22 日から札幌市で開かれた年次会合で、2023 年以降の資源管理について協議していた。

サンマの漁獲枠は 20 年に初めて導入され、現在は海域全体で 33 万 3,750 トン。 23、24 年に適用される新たな漁獲枠は 25 万トンとなる。 このうち、公海での漁獲枠は 19 万 8 千トンから 15 万トンに減らす。 一方、資源状況が一定水準を下回ったときに自動的に漁獲枠を減らす仕組みづくりも議論されたが、合意には至らなかった。 海域全体のサンマ漁獲量は 14 年に 60 万トンを超えていたが、近年は急減しており、21 年は過去最低の 9 万 2,206 トンだった。 現行の漁獲枠はこれを大きく上回っており、資源管理の実効性が乏しい状態だ。

特に日本の漁獲減は深刻で、19 年に前年の 3 分の 1 ほどに減って以降、4 年連続で過去最低を更新している。 これまで、日本などが厳しい漁獲枠設定を訴える一方、中国などは規制強化に慎重な立場をとってきた。 野村哲郎農林水産相は 22 日の定例会見で「資源が歴史的低水準に低迷している。 資源管理の強化が図られるよう関係国地域に積極的に働きかけを行っていく。」と話していた。 水産庁は今後、日本としての漁獲可能量 (TAC) を設定するが、単独での資源管理には限界がある。 21 年に海域全体で漁獲したサンマのうち、日本漁船が取ったのは約 2 割。 8 割近くを占める中国や台湾が漁獲を増やしたことが資源減少の一因だとの指摘もある。 (初見翔、asahi = 3-25-23)


フランスで年金改革めぐる抗議続く ボルドーでは市庁舎に放火

年金受給年齢の引き上げに反対する抗議デモが続くフランスで 23 日、南西部ボルドーの市庁舎玄関に火が放たれた。 フランス政府は今月初め、年金受給年齢を 62 歳から 64 歳に引き上げる法案を強行採択したが、これに抗議するデモが連日続いている。 エマニュエル・マクロン大統領は、年金改革は必要だと法案を擁護。 エリザベット・ボルヌ首相も、将来的な年金システムの大赤字を防ぐための改革だと説明している。 ボルドーでは、デモ隊が警察と衝突した後、夕方になって市庁舎の玄関が炎に包まれた。 出火原因などは明らかになっていないが、火は消防隊によって速やかに消し止められた。

パリの建物の上でストを行う消防隊員

この日はフランス全土で 100 万人以上がデモに参加。 内務省によると、パリでは 11 万 9,000 人が抗議に集まった。 パリでの抗議はおおむね平和的だったが、マスクを着けた暴徒と警察が散発的に衝突した。 ロイター通信によると、暴徒らは店舗の窓を割ったり、街灯や標識などを破壊したり、ファーストフードのマクドナルドの店舗を襲撃したりしたという。 また警官 1 人が意識不明に陥ったが、同僚によって安全に搬送されたという。 AP 通信は、警察が催涙ガスを使用した一方、花火などを投げつけられていたと報じた。 パリでは 33 人、全国では合わせて 80 人が逮捕されたとうい。

抗議参加者はロイター通信の取材で、「この改革にも反対しているし、民主主義がもう何の意味も持たないという事実にも本当に反対している」、「私たちの声が政治に反映されていない。 うんざりしている。」と語った。 AFP 通信が取材した別の参加者は「抗議することで、自分たちの声を届けられる。(中略) 他の方法では改革案を取り下げられない。」と話した。 抗議ではほかにも、鉄道の運行や石油精製施設に影響を及ぼした。 また、教師やシャルルドゴール空港の職員が、ストライキを行っている。

このほか、北部ルーアンや西部ナント、レンヌ、ロリアンといった都市で警察との衝突が起きた。 ナントで抗議に参加した市民は、「フランスでは、通りで抗議する市民こそが正当だ。 マクロン氏がこの歴史的現実を覚えていないなら、彼がここで何をしているのか分からない」と話した。 フランスでは 1 月以降、年金受給年齢引き上げをめぐる抗議集会が 9 回開催されており、労働組合は 28 日にも 10 回目の実施を呼びかけている。 3 月 6 日にストを開始したパリのごみ収集業者は、27 日までストを続けると発表した。 (BBC = 3-24-23)


UBS、クレディ・スイス買収で合意 金融市場の混乱拡大を防ぐため

スイスの金融最大手 UBS は 19 日、2 位のクレディ・スイス・グループを 30 億スイスフラン(約 4,270 億円)で買収することで合意したと発表した。 米シリコンバレーバンク (SVB) などの破綻に端を発する金融への不信は、スイスの世界的銀行 2 行の統合に発展した。 UBS とクレディの発表によると、クレディ 22.48 株に対して UBS 1 株が割り当てられる。 クレディ株は 1 株 0.76 スイスフランと価値づけられたことになる。 17 日の市場での終値は 1.86 スイスフランだった。

UBSはクレディの投資銀行部門を縮小し、富裕層の資産運用部門を主に生かす方針。 19 日会見した UBS のコルム・ケレハー会長は「スイスの金融と世界の金融に必要な統合で、必ず成功させる」と話した。 両行の買収交渉を強力に進めたのはスイス政府や金融当局だ。 19 日には、スイス国立銀行(中央銀行)が最大 1 千億スイスフラン(約 14.2 兆円)の資金を流動性確保のために用意すると発表した。 同日の会見に同席したスイスのケラーズッター財務相は「金融危機を呼びかねない状況だった」と危機感をあらわにした。

クレディはここ数年、米英の金融会社との取引で巨額損失を出したり、麻薬組織の資金洗浄(マネーロンダリング)に加担した罪で有罪判決を受けたりする不祥事が次々と発覚。 顧客や投資家の信頼を失い、経営が悪化したところに、米国の銀行破綻が起きて金融に不信の目が向けられるようになり、クレディは株の売却や預金の引き出しが加速していた。 (ロンドン = 和気真也、asahi = 3-20-23)

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クレディ・スイス、UBS が買収交渉 英紙報道

経営不安が高まっているクレディ・スイス・グループに対して、同じスイスの金融大手 UBS が買収交渉に乗り出したと、英紙フィナンシャル・タイムズが 17 日夜(日本時間 18 日朝)に報じた。 中央銀行のスイス国立銀行 (SNB) と金融監督当局が後押ししているという。 UBS はクレディと並ぶスイスの 2 大銀行。 企業や機関投資家向けの金融サービスや、富裕層の資産運用などに強みを持つ点が似通っている。

報道によると、UBS はクレディの全部、または一部の買収を検討している。 2 行は週末にそれぞれ取締役会を開き、統合について話し合う。 SNB は 17 日夜、米英の金融当局に対し、2 行の統合がクレディの崩壊を阻止する「最善策」であると説明した、という。 クレディは、巨額損失や不祥事が重なり、顧客離れが進んで経営基盤が揺らいでいた。 再建途中に米シリコンバレーバンク (SVB) の破綻などが起き、金融不安が欧州にも広がるなかで、クレディ株の売りが加速した。 SNB が支援に入ることで混乱を収めようとしたが、17 日も株価は一時 10% 超下落し、市場の不信を拭えないでいた。 (ロンドン = 和気真也、asahi = 3-18-23)

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シリコンバレーバンク (SVB)、巨額預金流出の末に破綻 SNS が増幅する「取り付け騒ぎ」

米中堅銀行 SVB が経営破綻して 17 日で 1 週間がたつ。 SNS を介して信用不安が増幅し、オンライン上で「取り付け騒ぎ」が起きた。 同銀の破綻により、預金保険制度で保護されない預金を多くもつ米ファーストリパブリック・バンクの資金繰り不安も高まり、16 日には大手銀など 11 行が「預金」による支援を発表した。

銀行破綻相次ぎ、米株 5 営業日連続下落 バイデン氏「経営陣はクビ」

「ソーシャルメディアによって預金の流出に拍車がかかれば、銀行は破綻の危機にさらされる。」 16 日、米議会上院の公聴会でイエレン財務長官が強調したのは、SVB 破綻と SNS の関係だった。 発端は、SVB が 8 日に発表した損失計上や増資案の内容。 SVB の経営を不安視する投資家らの投稿がツイッター上などで相次ぎ、お金を預けるテック企業経営者らの間で拡散した。 法人が主な顧客の SVB の場合、預金の 9 割以上が「1 口座あたり 25 万ドル(約 3,300 万円)まで」という預金保護制度の上限を上回る。 顧客は預けたお金が戻らないという不安から、9 日だけで計 420 億ドル(5.6 兆円)の預金を主にオンライン経由で引き出し、SVB は資金不足に陥った。

米政府は 12 日、SVB など破綻 2 行の預金を全額保護する特例措置を発表した。 それでも、預金を他行に移す動きは相次いだ。 ブルームバーグ通信によると、米大手バンク・オブ・アメリカに、15 日までに 150 億ドル(約 2 兆円)の預金が流れ込んだ。 米国野村証券の雨宮愛知氏は「預金の引き出しは心理的なもので、当局が止めるのは難しい。 特に企業は 1 日でも引き出せなければ問題になる。」と語る。 米銀への「最後の貸し手」として支える米連邦準備制度理事会 (FRB) の貸出残高は 15 日時点で 1,529 億ドル(約 20 兆円)に達した。 SVB が破綻する直前の 8 日時点の 33 倍で、2008 年のリーマン・ショック後の残高を上回った。 預金流出による資金不足に備えた米国の中小銀行が借りたとみられる。

「奇策」からにじむ官民の危機感

危機感を抱いたイエレン氏が動いた。 ロイター通信によると、SVB 破綻から 4 日後の 14 日、米金融最大手 JP モルガン・チェースのダイモン最高経営責任者 (CEO) と電話協議し、ある「奇策」を相談した。 16 日、JP モルガンなど 11 行は、SVB の破綻後から預金流出が続くファーストリパブリック銀に、協調して計 300 億ドル(約 4 兆円)を預けると発表。 預金の融通を通じた異例の信用補完策に、資産規模で SVB を上回るファースト銀の破綻は許されないという官民の危機感がにじんだ。

同日のニューヨーク株式市場はこの支援策を好感し、大幅続落が続いていたファースト銀株が反発。 主要企業でつくるダウ工業株平均は前日より約 370 ドル値上がりした。 ただ、預金流出の不安を抱える全ての銀行に同様の措置をとるのは難しい。 米政府は、預金保護の上限の引き上げを検討しているとみられるが、雨宮氏は「限度額を引き上げても、『より高い金利を求めて預金が逃げる』『企業の預金は倒産しにくい大手行に移る』という動きを止めることはできない可能性がある」と指摘する。 (ワシントン = 榊原謙、ニューヨーク = 真海喬生)

クレディ・スイスにも経営不安

米銀破綻に続く金融大手クレディ・スイス・グループの経営不安で市場が動揺するなか、欧州中央銀行 (ECB) は 16 日、政策金利を 0.5% 幅上げ、3.5% にすることを決めた。 市場には利上げ幅を縮めるとの見方もあったが、ユーロ圏のインフレ率は 2 月も 8.5% と高く、物価高対応を優先した。 一方で、利上げを続ければ銀行の体力はそがれる。 16 日の記者会見で「金融危機の引き金とならないか」と問われたラガルド総裁は、「(ECB が担う)『物価の安定』と『金融の安定』の間に、相反関係はない」と強調。 「それぞれに必要な政策手段で臨む」と述べた。 ロイター通信は、スイス中央銀行がクレディに約 7 兆円の資金供給を約束したことが、0.5% 幅の利上げ決定を後押ししたと報じた。 (ハンブルク = 和気真也、asahi = 3-17-23)


岸田首相、インド太平洋地域に 9 兆円超のインフラ支援表明 … ニューデリーで演説

【ニューデリー = 谷川広二郎】 岸田首相は 20 日午後(日本時間同)、インドのニューデリーで演説し、「自由で開かれたインド太平洋 (FOIP)」を推進する新たな計画を発表した。 インフラ(社会基盤)面で、2030 年までに民間投資や円借款など官民合わせて 750 億ドル(約 9 兆 8,900 億円)以上の資金をインド太平洋地域に投じる方針を表明した。 (yomiuri = 3-20-23)


日韓首脳がシャトル外交再開で一致、適切な時期に訪韓 - 岸田首相

岸田文雄首相は 16 日夕、官邸で韓国の尹錫悦大統領と会談し、互いの国を頻繁に訪問する「シャトル外交」の再開で一致した。 安全保障対話の早期再開や経済安保に関する新たな協議も開始することでも合意した。 岸田首相が会談や共同記者会見で明らかにした。 岸田首相は共同記者会見で、尹大統領の訪日は「日韓関係の正常化にとって大きな一歩」と述べ、信頼関係の構築に意欲を示した。 今後、適切な時期の訪韓を検討するとしたが、具体的な時期は決まっていないという。

尹大統領も首脳会談で、自由、人権など普遍的価値を共有する日本は安全保障や経済で協力すべきパートナーだと語った。 首脳会談では同日の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル (ICBM) 級ミサイル発射についても協議した。 岸田首相は「明白な挑発行為であり、看過はできない」と述べ、日韓、日米韓の連携を進めることについても議論したいと発言。 尹大統領も北朝鮮の核・ミサイル開発は国際社会の平和と安定の大きな脅威となっているとして、日韓は緊密に連携し、賢く対処していかなければならないと述べた。

日本での首脳会談は 18 年 5 月に当時の文在寅大統領が来日して以来およそ 5 年ぶり。 会談後、両首脳は 11 年 10 月以来 12 年ぶりとなる共同会見に臨んだ。 首脳会談に先立ち、韓国の産業通商資源省は 16 日、日本が一部のテクノロジー関連品目を対象に 19 年に導入した韓国に対する輸出規制の厳格化措置について、日本が撤回に同意したと発表した。 韓国はこの問題を巡る世界貿易機関 (WTO) への提訴を取り下げる。

文政権下では元徴用工訴訟への対応などを巡り「戦後最悪」と言われる状態にまで冷え込んでいた。 尹政権は 3 月 6 日、元徴用工に対して韓国政府傘下の財団を通じて弁済する解決策を発表し、日本側が評価するとコメントするなど両国は関係改善に動き出している。 (Bloomberg = 3-16-23)


イラン・サウジ合意に舞台提供 「対話の勝利」誇った中国

イランとサウジアラビアが、7 年に及ぶ断交を解消し、外交関係を正常化させることで合意した。 米国の「中東離れ」が指摘されるなか、合意を橋渡しした中国の目的は、どこにあるのか。 仲介役として舞台を提供した中国では、国内の重要政治イベントの全国人民代表大会(全人代)が北京の人民大会堂で開会中だ。 10 日も朝から全体会議が開かれ、今回の合意を仲介した王毅(ワンイー)・共産党政治局員も出席していた。 中国外交筋によると、王氏はここ数日間、交渉の場となった釣魚台国賓館と人民大会堂の 6 キロの道のりを頻繁に行き来していたという。

今回、3 カ国が連名で発表した共同声明には「サウジとイランの友好を支持する習近平(シーチンピン)国家主席の積極的な提案に両国が応じた」とわざわざ記され、中国の役割が強調された。 合意後、王氏は中国メディアに「重要な成果が得られた。 対話の勝利、平和の勝利だ」と勝ち誇った。 中国は以前からイランと良好な関係にある一方、最大の原油調達先であるサウジとの関係も重視してきた。 「両国の協調が中国にも利益をもたらす、との分析は数年前から習氏のもとへ届いていた(中国外交筋)」という。

具体的に動いたのは昨年だ。 習氏が年末にサウジを訪問し「包括的戦略パートナーシップ協定」を締結。 共同声明で、イランの核計画を平和利用にとどめるための協力に合意し、サウジの懸念に配慮した。 さらに今年 2 月にはイランのライシ大統領を国賓として中国に招き、安全保障や経済で協力を強化する方針を確認した。 もちろん、中国のねらいは地域平和にとどまらない。 中東でのプレゼンス(存在感)を誇ってきた米国の影響力を弱め、世界を米国の覇権から多極化へ導く外交戦略でもある。 (asahi = 3-12-23)


ロシア外相、ジョージアの大規模デモ「他国の仕業」

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は 10 日、ジョージアの大規模デモについて、ロシアとの国境で緊張を高めるために他国が扇動していると非難した。 ラブロフ氏は、ジョージアのデモが 2014 年にウクライナの親ロシア派政権の崩壊を招いた「マイダン革命」に類似しているとし、「ロシア国境で問題を起こす」ために「国外から仕組まれたものなのは間違いない」と主張した。

ジョージアでは今週、外国とつながりのあるメディアなどに登録義務を課す「外国のエージェント(代理人)」法案をめぐり、同様の法律がロシアで反体制派の取り締まりに利用されているとして、首都トビリシの議会の外で大規模な抗議活動が行われた。 与党は 9 日、法案を取り下げた。 ジョージアは欧州連合と北大西洋条約機構加盟を目指しているが、今回のデモにより、加盟をめぐる懸念が浮き彫りとなった。 また、2008 年に同国との軍事衝突後、南オセチアとアブハジアの親ロシア派 2 地域の独立を承認したロシアも、ジョージアの EU、NATO 入りに神経をとがらせている。 (AFP/時事 = 3-11-23)