ホンダ、「N-BOX」など 3 車種値上げへ 原材料高、物流費を転嫁

ホンダは 31 日、主力の軽自動車「N-BOX」など 3 車種を 4 月 21 日から値上げすると発表した。 原材料費や物流費が上がった分を上乗せする。 ホンダが国内で仕様変更を伴わない値上げに踏み切るのは、少なくともこの数年で初めて。

ほかに値上げするのは、ミニバン「フリード」と同「ステップワゴン」。 3 車種の値上げ幅は 2% 程度で、「N-BOX」は 1 万 8 千円 - 3 万 5,200 円の値上げ。 標準タイプのグレード「EX」では、消費税込みの希望小売価格が、167 万 8,600円から 169 万 8,400 円に上がる。 「N-BOX」は 2022 年に約 20 万 2,200 台を販売し、国内で最も売れた新車だった。 ホンダは 3 車種を選んだ理由について「販売台数が多く、事業に与える影響が大きいため(広報)」と説明する。

価格据え置きのメーカーも

自動車メーカーでは、円安などで車をつくるのに必要な鋼材やアルミニウムなどの価格が上昇し、業績を圧迫している。 他社では日産自動車が電気自動車 (EV) 「リーフ」、軽 EV「サクラ」で価格転嫁したほか、小型車「ノート」も 5 月に値上げする予定。 三菱自動車やマツダ、スバルもすでに値上げしている。 一方で、トヨタ自動車のほか、軽自動車メーカーのスズキ、ダイハツ工業は値上げしていない。 「経営環境は厳しいが、庶民の足なので値上げを避ける努力を続けたい(ダイハツ広報)」とする。 (神山純一、asahi = 3-31-23)

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KDDI、携帯の手数料を値上げ 新規契約 3,300 円 → 3,850 円に

KDDI は 31 日、携帯電話の新規契約や機種変更などの事務手数料を 4 月 20 日から値上げすると発表した。 新規契約の手数料を値上げするのは 11 年ぶりで、値上げ幅は約 17%。 物流やシステム開発などのコスト増や人件費の上昇などを踏まえた対応としている。

au の場合、新規契約の手数料は税込み 3,300 円から 3,850 円となる。 通信方式が 4G から 5G に変わる機種変更も同様だ。 通信方式を変えない機種変更は 2,200 円から 3,850 円にする。 そのほか、2,200 円の電話番号の変更や 2,970 円の譲渡なども一律 3,850 円とする。 携帯の新規契約の手数料は、NTT ドコモやソフトバンクが 3,300 円で横並びだった。 楽天モバイルは 0 円としている。 (鈴木康朗、asahi = 3-31-23)


新年度こう変わる 止まらない値上げラッシュ、年金額は増えるけれど

物価高が止まらない。 新年度が始まる 4 月も食料品や宅配運賃など生活に欠かせないモノやサービスの値上げが相次ぐ。 一方、年金額は物価高に追いつかず、家計の厳しさは増しそうだ。 働き方や賃金にかかわる制度なども変更される。 食品値上げの波はとどまるどころか、勢いを増している。 帝国データバンクによると、4 月に予定されているのは 4,892 品目で、今年の月ごとには 2 番目の多さだ。 年初からの累計では 1 万 4 千品目を超え、前年より 3 カ月早く 1 万品目の大台を突破する。

目立つのが、生乳や卵など特定の原料価格の上昇を受けた値上げだ。 明治と森永乳業、雪印メグミルクはバターやヨーグルト、チーズなどの価格をそろって引き上げる。 希望小売価格では、明治は「北海道バター」を 54 円高い 497 円、森永乳業は「森永アロエヨーグルト(118 グラム)」を 11 円高い 159 円、雪印メグミルクは「6P チーズ」を 56 円高い 472 円にする。

マヨネーズ、サバ缶 ・・・ 宅配運賃も

鳥インフルエンザの流行で鶏卵も高騰している。 キユーピーと味の素は、原料に卵を含むマヨネーズを値上げする。 卵黄 3.6 個分を使うキユーピーの「マヨネーズ(450 グラム)」の参考価格は 45 円上げて 520 円に。植物油などの価格上昇で 2021 - 22 年にすでに 3 回、価格を引き上げ、今回で 2 年前の 1.4 倍近い水準になり、過去最高値を更新する。 昨年来のサバの不漁も食卓に影を落とす。 マルハニチロは、サバの缶詰 26 品目の参考価格を約 11 - 23% 引き上げる。

短期間に複数回の値上げに踏み切る食品も多い。 キッコーマンは、昨年 2 月に続いてしょうゆを値上げし、「こいくちしょうゆ(1 リットル)」の希望小売価格を 31 円高い 451 円にする。 プリマハムも、ソーセージの「香薫」などで昨年から数えて 3 回目の値上げを実施する。 さらに 4 月には、輸入小麦を政府から製粉会社などへ売り渡す価格も 5.8% 引き上げられる。 食品以外でも値上げが相次ぐ。 燃料価格や人件費の上昇で、宅配運賃も上昇。 ヤマト運輸は 4 月 3 日から平均約 10%、佐川急便は平均 8% の値上げをする。

新たな取り組みや制度も

物価高を受け、4 月から公的年金の支給額は 3 年ぶりに増える。 ただ、将来の年金水準を確保するための抑制措置もとられるため、増額は約 2% にとどまる。 このため物価上昇に追いつかず、実質的な価値は目減りする。 国民年金を満額受給する人の場合、67 歳以下では 22 年度より月 1,434 円多い 6 万 6,250 円に、68 歳以上では月 1,234 円多い 6 万 6,050 円になる。 厚生年金のモデル世帯(会社員の夫と専業主婦)は、月 4.889 円増の 22 万 4,482 円。 少子化が深刻となる子育て分野では対策の一部が始まる。 妊産婦の経済的な負担を軽減するため、出産育児一時金は原則 42 万円から 50 万円に増額する。

働き方についても、男性の育児を推進するため、従業員が 1 千人を超す大企業で、男性の育児休業の取得状況を公表するように義務づける。 企業が賃金の一部をキャッシュレス決済口座などに振り込む「デジタル給与払い」も 4 月に解禁される。 1 口座あたりの残高の上限は 100 万円。 デジタル給与払いは、労働者にとっては、受け取った賃金を、よく使うキャッシュレス決済の口座に改めてチャージする手間が省ける。 ただ、銀行口座のお金は、銀行が万一つぶれても一定額まで返ってくる公的な仕組みがあるが、デジタル口座はサービスを運営する会社によってばらつきがある。 不正アクセス対策が弱い場合もある。 労働者が損失を被るリスクも懸念される。

5 月 8 日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが切り替わるのを前に「脱マスク」も進む。 4 月からは小中高校などでは子どもや教職員にマスクの着用を求めないことが基本となる。 改正道路交通法が実施されるのに伴い、4 月 1 日から自転車に乗る人全員にヘルメットの着用の努力義務が課される。 ただ、罰則はなく、着用する人が少ない中でどう普及を図っていくかが課題だ。 (山下裕志、松本真弥、石山英明、村井隼人、asahi = 3-30-23)


物価高対策に政府が 2.2 兆円支出へ
低所得世帯への 3 万円給付や LP ガス負担減 統一地方選控え配慮にじむ

政府は、低所得世帯への 3 万円の給付を盛り込んだ物価高対策などに 2 兆 2,000 億円支出することを決定しました。 統一地方選を前に、自治体への支援を増やしました。 政府がきょう閣議決定した「新たな物価高対策」。 地方自治体が使い道を決められる「地方創生臨時交付金」に 1 兆 2,000 億円を追加します。

「負担感の大きい低所得者の方々の生活をしっかりと下支えするための対策を講じていく。 (後藤茂之経済再生担当大臣)」

▼ うち 5,000 億円は低所得世帯を対象に一律 3 万円を目安に支給し、▼ 残りの 7,000 億円は地方で利用世帯が多い LP ガスの料金負担の軽減や、▼ 家畜への飼料が高騰する酪農家への支援などにあてられることを想定しています。 これとは別に、低所得の子育て世帯に子ども 1 人あたり 5 万円を給付するため 1,551 億円を支出します。

新型コロナ対応の病床確保のため、医療機関への交付金も 7,365 億円と大幅に増加。 統一地方選挙を控え、農業や医療といった団体への配慮をにじませた内容となっています。 (TBS = 3-28-23)


輸入小麦価格、4 月から 5.8% 引き上げ 価格抑制に「矛盾」指摘も

農林水産省は 14 日、輸入小麦の「政府売り渡し価格」を 4 月から 5.8% 引き上げると発表した。 本来なら 13.1% の値上げになるところを、物価高対策として抑制する。 国内で消費する小麦全体の 8 割以上を占める海外産は、政府がまとめて輸入している。 政府から製粉会社などへ売り渡す価格は、実際の買い付け価格をもとに半年ごとに改定される。 昨年 10 月は 2 割ほど上昇するはずだったが、岸田文雄首相の指示を受けて改定せずに据え置いていた。

このとき、今年 4 月の改定は、算定期間を半年間から 1 年間に延ばすことを決めていた。 それに従えば 13.1% の上昇になるところだったが、岸田首相は 2 月 24 日の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、農水相に対し 4 月の改定でも「激変緩和措置」をとるよう求めた。 算定期間からロシアのウクライナ侵攻の影響で高騰した上半期(2022 年 3 月中旬 - 9 月上旬)を除くことで上昇幅を抑えた。 農水省は抑制による予算不足額は 100 億円程度と見積もる。 担当者は「すぐに予算措置が必要になることはない」とする一方、輸入小麦の売却益を財源とする国産小麦振興などに「支障が生じないよう注視していく」とした。

製粉会社は 2 - 3 月分の在庫があるため、商品価格への影響は 6 月以降になる見通しだ。 ただ、売り渡し価格の抑制がどの程度消費者の負担を和らげるかは不透明だ。 農水省によると食パンの小売価格に占める小麦の割合は 8%、小麦粉でも 29%。 小麦以外の食品や包装・輸送などにかかる経費も上がるなか、「小麦だけ抑制されても値上げはせざるをえない(製パン大手)」などの声も出ている。 さらに、海外産に比べて割高な国産小麦を振興する政策との整合性も問われる。 10 日に開かれた自民党の会合では農林族議員から「国内農業を守る姿勢と矛盾する。 (価格抑制は)今回限りにしていただきたい。」との指摘も出た。

野村哲郎農水相は 14 日の会見で「国際価格の変動による影響を緩和する観点から、輸入小麦から国産小麦へあるいは米粉への切り替えを一層進めることが重要だ」と述べた。 (初見翔、asahi = 3-14-23)


ヌートバー効果! 実物の「ペッパーミル」売り上げ増 1 万円のミルも

ワールド・ベースボール・クラシック (WBC) の日本代表ラーズ・ヌートバー選手の「ペッパーミル(コショウひき)・パフォーマンス」が代表チーム内で流行し、ファンの間でも人気を集めている。 実物のペッパーミルの売り上げが伸びるなど話題だ。 初戦の 9 日、ヌートバー選手は中国を相手に、ファーストゴロかと思われた当たりで全力疾走し、相手のエラーを誘って出塁したり、飛球に飛びついてスライディングキャッチしたりするなど、全力プレーでファンを沸かせた。 そして塁上であのパフォーマンスを見せた。

調理器具を多く取りそろえる東京都台東区の「かっぱ橋道具街」では、「応援グッズに」と実際のペッパーミルを買い求める人も相次いでいるという。 かっぱ橋道具街の食器店「キッチンワールド TDI」では開幕直前、店頭にペッパーミルの専門コーナーを設け、「WBC 頑張れ日本」と書いたポップを添えた。 同店で取り扱うペッパーミルはテーブルサイズから大型のものまで。店長の藤崎義人さんによると、若い店員らの発案が当たり、売り上げも 15% ほど増えているという。 初戦の 9 日には高さ 75 センチで約 1 万円のミルも売れた。

「球場に持って行きます」というファンや、スポーツバーの店員らが買い求めているという。 そもそも、あのパフォーマンスは何なのか。 もともと「ペッパーミル・パフォーマンス」は、ヌートバー選手が所属するカージナルスで行っているもの。 安打や本塁打を放った際に両こぶしを上下に重ねてグリグリとねじるしぐさで、現地では「ペッパー・グラインダー」と呼ばれる。 グラインド (grind) には、「ひく」、「細かく砕く」などのほか、「身を粉にして働く」という意味がある。 粘り強く進塁し、チームに貢献する姿勢を表しているという。

パフォーマンスは日本代表チーム内でも流行。 中国戦では選手たちが塁上やベンチで披露する場面が何度もあった。 ファンの間でも浸透し、10 日からはコショウひきなどをあしらった「ペッパーミルフェースタオル」をオフィシャルユニホームパートナーのミズノが売り出している。 (滝沢貴大、asahi = 3-10-23)

〈編者注〉 さすがに TV などでは語られることはありませんが、ペッパーグラインドの本来の意味は、やはり「敵を一ひねり」なんだろうと理解しています。


ヤマト運輸、宅急便の運賃を 10% 値上げへ 4 月から、佐川急便も

ヤマト運輸は 6 日、宅急便の運賃を 4 月 3 日から平均約 10% 値上げすると発表した。 燃料価格や人件費などコスト上昇への対応や、輸送を委託する企業のトラックドライバーの待遇改善につなげるためという。 値上げは 2017 年 10 月以来、5 年半ぶり。

通常の宅急便のほか、小さな荷物を運ぶ宅急便コンパクトや国際宅急便の運賃も引き上げる。 関東から関西に運んだ場合の運賃は、60 サイズ(荷物の 3 辺の長さの合計が 60 センチ以内)が 1,040 円から 1,060 円に、80 サイズ(同 80 センチ以内)が 1,260 円から 1,350 円になる。 佐川急便も 1 月、宅配便の運賃を平均 8% 引き上げると発表した。 クール便や大型荷物を運ぶラージサイズ宅配便も対象になる。 (松本真弥、asahi = 2-6-23)


北海道電力、電気料金平均 34% 超の値上げ申請 全国で最も高い水準

北海道電力が一般家庭の多くが契約する規制料金について、6 月からの平均 34.87% の値上げを国に申請した。 認められれば、2014 年以来の値上げとなる。 東日本震災後の 2 度の値上げを経て北電の電気料金はすでに全国で最も高い水準となっており、家計にさらに負担がのしかかる。

「電力の供給コストが収入を上回り、財務状況が急速に悪化した。 顧客に一層の負担をお願いすることになり、深くおわびする。」

26 日に札幌市の本店で記者会見した藤井裕社長は、電気料金の値上げについて陳謝した。 大手電力の電気料金には、国の認可が必要な「規制料金」と、各社が裁量で決める「自由料金」がある。 今回北電が値上げを申請したのは規制料金だ。 対象は家庭向けの契約の 75% にあたる約 240 万件にのぼる。 北電の申請では、平均的な家庭(30 アンペア、230 キロワット時使用)の料金は現在の月 8,862 円から 2,838 円上がり、6 月は 1 万 1,700 円になる。 政府が 2 月検針分から電力会社に出す 1 キロワット時 7 円の補助を考慮すると、2 月の月 7,252 円から 6 月は 1 万 90 円に上がる。 ただ、今後の国の審査で値上げ幅は縮まる可能性がある。

約 80 万件が契約する自由料金も、規制料金に合わせて平均 13% 程度引き上げる。 一般家庭の多くが契約する「エネとくポイントプランB」の場合、国の補助も考慮すると、平均的な家庭で 2 月の 8,660 円から 1,320 円上がり、6 月は 9,980 円になる。 値上げの決断に至ったのは、電気を売れば売るほど赤字が出る「逆ざや」の状態にあるからだ。 ウクライナ危機や円安で原油や石炭などの燃料が高騰。 燃料費の変動を料金に反映する制度はあるが、8 月分で反映できる上限に達した。 外部から買い入れる電気のコストも膨らんでいる。 26 日発表した 23 年 3 月期の業績予想は純損失が 530 億円(前年は 68 億円の黒字)と 9 年ぶりの最終赤字だ。

原発稼働は見通せず

申請にあたり、燃料費や人件費などの経費に一定の利益を上乗せした「原価」を算定し直した。 現在の燃料価格や為替水準が続いた場合、コスト削減に最大限取り組んでも、23 - 25 年度の 3 年間に年平均 456 億円の収入が不足するという。 送配電線の使用料が 4 月から値上げされる分も含めて、値上げ幅を決めた。 北電は法人向け料金も 4 月から 18 - 19% 値上げする方針を発表している。

北電は東日本大震災後に泊原発(北海道泊村)の運転停止で業績が悪化し、13 年と 14 年に規制料金を計 20% 超値上げした。今回の値上げが認められれば、大手電力で震災後に 3 度の値上げをした唯一の会社となる。 泊原発への原子力規制委の審査は北電の不手際もあって長引いている。 今回の原価算定でも泊原発の再稼働は織り込まなかった。 藤井社長は「いつ再稼働できると言える状況にない。 再稼働できたら直ちに値下げをしたい。」と述べた。 (新田哲史、asahi = 1-26-23)

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東電、29% 値上げ申請 電気代、標準家庭で月 2,611 円アップ

東京電力ホールディングスは 23 日、電気料金の改定に国の認可が必要な一般家庭向け規制料金について、平均 29.31% の値上げを経済産業省に申請した。 6 月の適用を目指す。 申請した月間料金は、電力使用量が 260kw/時の標準家庭の場合、現在の 9,126 円より 2,611 円高い 1 万 1,737 円。

ロシアのウクライナ侵攻を背景とする燃料価格の高騰で収益が悪化しているため。 値上げが実施されれば、東日本大震災後の 2012 年以来、11 年ぶりとなる。 小早川智明社長は同日、東京都内で記者会見し「このままでは(電力の)安定供給に支障を来す恐れがある。 お客さまに負担をかけるのは本意ではないが、苦渋の決断に至った。」と説明した。 (jiji = 1-23-23)

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四国電 28%、沖縄電 40% アップ 来年 4 月以降の電気料金を申請

四国電力と沖縄電力は 28 日、来年 4 月以降の家庭向け規制料金の値上げを経済産業省に申請した。 四国電は平均 28.08%、沖縄電は平均 40.93% の値上げをめざしている。 四国電の値上げ対象は街路灯などを含む 159 万件で、平均的な家庭(毎月の使用量 260 キロワット時)の電気代は月 7,915 円から 2,205 円上がり、1 万 120 円になる。 沖縄電では平均的な家庭(同)の電気代は月 8,847 円から 3,473 円上がり、1 万 2,320 円になる。 対象は本島の 63 万件で、離島でも同様の値上げを予定している。

燃料価格の高騰で電力各社は業績が悪化しており、すでに東北電が平均 32.94%、中国電が平均 31.33% の値上げを申請した。 東京、北陸の両電力も値上げを検討している。 経産省は申請を受け、人件費の削減など経営効率化の取り組みが十分かどうか審査する。 政府は来春以降の電力各社の値上げを見越し、電力会社に支援金を出して電気料金を約 2 割引き下げる負担軽減策を実施する方針で、今年度の第 2 次補正予算案に 2 兆 4,870 億円を計上している。 (宮川純一、asahi = 11-28-22)

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東北電力、家庭向け電気料金の 3 割超値上げを申請 来年 4 月から

東北電力は 24 日、家庭向け規制料金を来年 4 月から、平均 32.94% 値上げすることを経済産業省に申請した。 家庭向けの自由料金もメニューによって 3 - 21% 程度の値上げをすると発表した。 東京、北陸、中国、四国、沖縄の 5 電力会社も規制料金を値上げする方針で、近く経産省に申請する。 東北電力の値上げ対象は契約件数の 77% にあたる 528 万件。 標準的な家庭(毎月の使用量 260 キロワット時)では、電気代が 8,565 円から 2,717 円値上がりして 1 万 1,282 円になるとしている。 経産省が認可 すれば、来年 4 月にも値上げされる。

ウクライナ危機に円安が重なり、液化天然ガス (LNG) や石炭など火力発電の燃料価格が高騰している。 大手電力の家庭向け料金には、国の認可が必要な「規制料金」と、各社が裁量で決められる「自由料金」がある。 各社は燃料費の上昇分を転嫁する形で値上げを続けてきたが、10 月分の料金で全 10 社で転嫁できる上限に達した。 政府は来春以降の電力各社の値上げを見越し、電力会社に支援金を出して電気料金を約2割引き下げる負担軽減策を実施する方針で、今年度の第 2 次補正予算案に 2 兆 4,870 億円を計上している。 (宮川純一、asahi = 11-24-22)


25 日と 26 日 全国約 7 割でマイナス 4℃ 以下の予想 水道凍結に要注意

十年に一度レベルの強烈な寒気の影響で、朝の冷え込みも強烈に。 25 日(水)と26 日(木)が強い冷え込みのピークで、全国の約 7 割の地点で最低気温がマイナス 4℃ 以下となる予想です。 マイナス 4℃ 以下になると水道が凍結する恐れがあります。 あすからは日本列島に非常に強い寒気が流れ込みます。 寒気のレベルは「今シーズン一番」であることはもちろん、「十年に一度レベル」と強烈です。 場合によっては、これまで観測したことのないような記録的な強さとなる可能性もあります。

例えば、関東(館野)上空 1,500m 付近に流れ込む寒気はマイナス 15℃ 台の予想ですが、同地点で過去にマイナス 15℃ 以下を観測したことは 1 度もありません(これまで最も低くてマイナス 14.0℃)。 このような強烈な寒気の影響で、日本海側だけでなく、太平洋側でも大雪が予想されているほか、夜間から早朝にかけての強い冷え込みにも注意が必要です。 25 日(水)と 26 日(木)は特に冷え込みが強く、全国の約 7 割の地点で最低気温がマイナス 4℃ 以下となるでしょう。 気温がマイナス 4℃ 以下になると水道が凍結する恐れがあります。

東京都心や名古屋、福岡などは予想最低気温が低くてもマイナス 3℃ 予想ですが、油断はできません。 水道管が屋外にある場合は、建物の北側で日が当たらない場所だったり、強い風が吹きやすい場所だったり、むき出しになっていたりすると、気温が氷点下 4℃ 以下まで下がらなくても、水道が凍結しやすくなります。 tenki.jp の水道凍結指数も参考になさってください。

強い冷え込みによって発生する「水道の凍結」を防止するためには、次のことが効果的です。 事前に、水道管の中から、水を抜いておきましょう。 水抜栓はいろいろな種類がありますので、あらかじめ使用方法を確認しておき、水抜栓の場所もチェックしておくと、水を抜く作業がスムーズです。 屋外で、むき出しになっている水道管やメーターを、発泡スチロールなどの保温材を使って、専用テープでしっかりと巻き、保温しておきましょう。

それでも、もし、水道が凍結してしまった場合、凍結させたままにしておくと、水道管の破裂につながることもありますし、解氷のために、蛇口などに、直接、お湯をかけたりするのも危険で、禁物です。 必ず、お住まいの自治体に相談するか、水道業者へ修繕作業を依頼してください。 (中川裕美子、tenki.jp = 1-23-23)


今年の食品値上げ「すでに 1 万品目超が予定」 2 月に半数以上が集中

今年値上げされる食品の数が 1 万品目を超えることが、東京商工リサーチのまとめでわかった。 その半数以上が 2 月に集中している。 値上げの波はまだしばらく続きそうだ。 東京商工リサーチが主要な食品メーカー 121 社を対象に、今月 17 日までに公表された値上げ予定を調べた。 1 - 6 月の半年間に値上げを計画しているのは 1 万 36 品目。 1 月は 242 品目にとどまるが、2 月は 5,142 品目に広がり、3 月と 4 月もそれぞれ 2 千品目を超える。 5 月以降の引き上げがすでに発表された食品も 298 品目あった。

分野ごとでは、練り物やハム・ソーセージといった加工食品(2,906 品目)が最も多かった。 冷凍食品(2,289 品目)、しょうゆやケチャップなど調味料(1,755 品目)、飲料・酒(1,431 品目)と続いた。 対象とする企業数は異なるが、帝国データバンクは主な 105 社の価格動向を調べており、昨年は 2 万 822 品目が値上げされていた。 (山下裕志、asahi = 1-19-23)

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年明け後に値上げ、7 千品目超 ソース、から揚げ粉、定番のお菓子も

「値上げラッシュ」の今年に続き、来年も身近な食品が高くなりそうだ。 帝国データバンクによると、2023 年に値上げを予定する食品の数はすでに 7 千品目を超えた。 短期間での再値上げが相次ぎ、価格を据え置いて内容量を減らす「実質値上げ」も目立ち始めた。 来年 1 - 3 月の値上げ予定をまとめた。

定番が値上げされる。 亀田製菓は来年 1 - 2 月に「ソフトサラダ」や「つまみ種」、不二家は 3 月に「カントリーマアム(バニラ & ココア)」や「ホームパイ」の出荷価格を引き上げる。 森永製菓の「チョコボール」や「エンゼルパイ」、ネスレ日本の「キットカット ミニ 3 枚」も対象だ。 実質値上げも目につく。 亀田製菓は 1 月、「亀田の柿の種 6 袋詰」を 10 グラム減らして 180 グラムにし、「ハッピーターン」は 12 グラム減の 96 グラムに変更する。 不二家の「ミルキー」は 1 粒少ない 6 粒入りに、森永製菓の「パックンチョ」などは容量が 8.5 - 11.1% 少なくなる。

乳製品や砂糖、パーム油など原材料の高騰が続くことを受け、ロッテは来年 3 月、「クーリッシュ バニラ」、「雪見だいふく バニラ」など 16 品目の希望小売価格(税抜き)を 10 円引き上げる。 「爽 バニラ」は 7 月に 150 円にしたばかりで、1 年たたずに 20 円高くなる。 4 月には「北海道とうきびモナカ」などエリア限定の 3 品目も 10 - 20 円上げる。 江崎グリコも今年 9 月に続く値上げだ。 来年 3 月から「パピコ」や「ジャイアントコーン」、「アイスの実」など71 品目の出荷価格を 4 - 15% 引き上げる。

UCC 上島珈琲は来年 1 月、大型ペットボトル入りの飲料 9 品目を値上げする。店頭価格は 10 - 15% 上がるとの想定だ。 今年 10 月にも一部の飲料を値上げした。 コーヒー豆の相場は上がり、円安で輸入コストも膨らんでいる。 ネスレ日本も今年 9 月に続き、お湯に溶かして飲む「スティックミックス」を来年 3 月に値上げする。 アサヒ飲料のエナジードリンク「モンスター」と、ポッカサッポロフード & ビバレッジの炭酸飲料「キレートレモン(155 ミリリットル瓶)」は発売以来、初めての値上げだ。

調味料関連は再値上げが続く。 味の素は来年 1 月、うま味調味料「味の素」の価格を引き上げ、2 月にはカゴメがトマトケチャップ、ブルドックソースがウスターソースや中濃ソースを値上げする。 キユーピーの「あえるパスタソース たらこ」も 3 月から高くなる。 いずれの商品も今年すでに値上げしており、再び価格の見直しをすることになった。

輸入小麦を政府が製粉会社に売り渡す価格は、今年 10 月の改定時期も物価高対策で据え置かれた。 一方、加工でんぷんや油脂など原料の価格が上がり、包材費や工場の燃料費なども上昇している。 日清製粉ウェルナは来年 1 月、お好み焼き粉やから揚げ粉といったミックス粉などを 2- 6% 値上げする。 ニップンや昭和産業も同時期にミックス粉の価格を引き上げる。

サントリーは来年 3 月、輸入ウイスキーの「ジムビーム」や「メーカーズマーク」、「ラフロイグ」など 170 品目の希望小売価格を 3 - 28% 引き上げる。 スピリッツ「ビーフィーター」や焼酎「鏡月 Green」も対象だ。 ワインも高くなり、メルシャンは2月に約480品目を値上げする。永昌源が手がける紹興酒「古越龍山金龍」なども希望小売価格を3~8%上げる。 コロナ禍で外出自粛が続いたこともあり、買い置き需要から人気の高まる冷凍食品。 マルハニチロやテーブルマーク、ニッスイやニップンの各社は、2 - 3 月に価格を見直す。 各社とも家庭向けを今年に入ってすでに 2 回値上げしており、値上げの波がおさまらない。

山崎製パンは来年 1 月、2001 年の発売当時から 5 個入りだった「薄皮つぶあんぱん」を 4 個入りにして実質値上げする。 1、7 月には価格を上げたが、「コストアップは企業努力による吸収の範囲を超えた大変厳しいもの」という。 「ランチパック」シリーズの「ピーナッツ」と「たまご」、「ツナマヨネーズ」については出荷価格を平均 4.7% 上げる。 永谷園は「麻婆春雨 中辛」や「おとなのふりかけ 本かつお」、ハウスウェルネスフーズは「PERFECT VITAMIN 1 日分のビタミンゼリー グレープフルーツ味」、伊藤ハムはチーズなどが値上げ対象だ。 (山下裕志、asahi = 12-25-22)