日本企業賠償支払い 韓国が肩代わり "徴用工" 韓国政府が解決策

日本と韓国の懸案となっている、いわゆる元徴用工をめぐる問題で、韓国政府は、日本企業の賠償支払いを韓国側が肩代わりする解決策を正式に発表した。

「硬直した(日韓)関係を放置せず、悪循環の輪を断ち切るべきだと思う。 これが最後のチャンスだ。(韓国・朴振外相)」

韓国の朴振外相が発表した解決策は、日本企業に代わって韓国政府傘下の財団が、賠償の支払いを肩代わりする内容が柱。 財源は、当面韓国企業の寄付金で賄うが、韓国側は、日本企業への自発的な寄付の呼び掛けを続けるとしている。 ただ、原告の一部は政府の解決案に強く反発し、「日本企業の財政的負担がなく屈辱的だ」などと批判した。

「(政府が)多数の人が早い解決策を望んでいるとだけ伝えているのは、正確な事実ではない。(原告側代理人)」

一方、日韓両政府は、もう 1 つの懸案である日本による輸出管理の強化措置について、正常化に向けた政策対話を近く開催することで合意したと発表した。 日本政府は、2019 年 7 月、韓国に対し半導体を製造する際に必要な「フッ化水素」など 3 品目の輸出管理を強化し、関係が悪化していた。 解決策について大統領府は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「未来志向の日韓関係に進むための決断だ」と強調したと発表した。 今後、韓国側が今回示した解決策を、実際に履行できるかが焦点となる。 (FNN = 3-6-23)


共同声明反対国は「ロシアと中国」異例の名指し G20 財務相会議閉幕

インド南部ベンガルールで25日まで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、ロシアのウクライナ侵略を巡る意見対立から共同声明の採択は見送られた。見送りは4回連続で、議長国のインドが代わりに発表した議長総括では、反対した国がロシアと中国だったことを名指しで指摘する異例の措置を取った。 ウクライナ侵略から 1 年の節目に開かれた G20 は、国際社会の「協調」よりも「分断」がより鮮明となる結果となった。

「ほとんどの G20 メンバーは、ウクライナにおける戦争を強く非難する。」 25 日に発表された議長総括に盛り込まれ、中露が難色を示した文言は、昨年 11 月の G20 首脳会議(サミット)で採択された首脳宣言にも含まれていた。 首脳宣言というたたき台があるため、今回の会合でも共同声明は出せるとの観測が一部であった。 しかし、中国とロシアは「地政学上の問題を扱うべきではない」という理由で反対した。 真意は不明で政府同行筋も「われわれも教えてほしいくらいだ」と話す。

通常 G20 では各国がどういった主張をしたかは明らかにされない。 しかし、今回の議長総括で反対した国を名指ししたことについて、鈴木俊一財務相は「ロシア、中国に対してより強い立場の表現をしたと理解している」と説明した。 G20 にはロシアだけでなく、中国など対露姿勢で先進 7 カ国 (G7) とは距離を置く国も含まれる。 そのため、昨年のサミットまで共同声明が出せない会議が続き、先進国と新興国が協調する枠組みとしての G20 は、機能不全を指摘する声は少なくない。

ただ、ウクライナ侵略を背景とする物価高や新興国の債務問題などで世界経済の下方リスクが高まる中、G20 が果たすべき役割は少なくない。 今回の会議でも、低・中所得国の債務問題の緊急性を訴え、債務データの共有など、透明性向上に向けた取り組みの重要性について一致するなど、進展もみられた。 一連の取り組みは、中露陣営が関係を強めるグローバルサウス(南半球を中心とする途上国)を西側陣営に取り込むことにも寄与するとみられ、共同声明という名を捨ててでも実を取りに行くことは重要だ。 伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストも「世界が分裂に向かう今だからこそ、G20 という対話の場の重要性は増している」と話した。 (蕎麦谷里、sankei = 2-26-23)


ニュージーランドが史上 3 度目の非常事態宣言 … サイクロン被害拡大、停電も

【ハノイ = 安田信介】 ニュージーランド (NZ) 政府は 14 日、サイクロン「ガブリエル」による洪水や土砂崩れなどの被害が拡大している現状を踏まえ、国家非常事態宣言を発令した。 地元ラジオなどによると、最大都市オークランドのある北島で被害が大きく、停電も起きて多くの住民が避難している。 クリス・ヒプキンス首相は「被災地域に最大限の支援を行う」と強調した。 NZ での国家非常事態宣言は、2011 年のクライストチャーチ地震、20 年の新型コロナウイルス感染拡大に続き史上 3 度目だ。 (yomiuri = 2-15-23)


トルコ・シリア地震、死者 23,700人突破 東日本大震災の犠牲者上回る

[イスタンブール] トルコ南部のシリア国境近くで 6 日発生した大地震で、10 日時点で確認された両国の死者が 2 万 3,700 人を超えた。 2011 年に起きた東日本大震災・津波での死者・行方不明者の約 2 万 2,000 人を上回った。 トルコ保健相によると、トルコの死者数は 2 万 0,213 人に達した。 シリアで確認された死者も 3,500 人を超えた。 トルコのエルドアン大統領は10日、地震への捜索・救助隊の対応について、「政府が望んでいたほど迅速でないというのが現実だ」と語った。エルドアン氏はすでに震災直後の初動の遅れも認めている。

さらに、これまでに世界 94 カ国から支援の申し出があり、世界から集まったチームによる捜索や救助が続いているとし、トルコ政府は被災者の移転支援や家賃補助を行う計画と表明した。 また、シリアの国営メディアによると、アサド大統領は地震発生後初めて被災地入りし、アレッポの病院を訪問した。 アサド政権はさらに、震災の影響を受けた内戦の最前線にある地域への人道的支援受け入れを承認した。 (Reuters = 2-11-23)

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トルコ地震、死者 1 万 7,000 人に シリアで人口の半数が被災

【カフラマンマラシュ(トルコ)】 トルコ南部で 6 日未明に発生した大地震による死者は 9 日、隣国シリアと合わせて 1 万 7,000 人を超えた。 行方不明者の生存率が下がるとされる「発生から 72 時間」を過ぎ、犠牲者が大幅に増えることへの懸念が高まっている。 いてつく寒さの中、両国の被災者は厳しい環境に置かれている。 トルコ・メディアなどによると、同国内ではこれまでに 1 万 4,014 人の死亡が確認された。 負傷者は 6 万人以上。 AFP 通信によれば、シリア側では 3,162 人の死亡が判明した。 国連は 8 日、シリアで人口の約半数に当たる約 1,090 万人が被災したと発表した。

トルコの被災地では行方不明者の捜索や、倒壊した建物の下敷きになった人の救出活動が続いている。 アナトリア通信によれば、8 日には 8 歳の女児や 59 歳の女性が助け出された。 一方、救援の遅れなどトルコ政府の対応を批判する声も出ている。 エルドアン大統領は 8 日に被災地を視察した際、初動の不備を認めた上で、被災世帯に見舞金 1 万リラ(約 7 万円)を支給すると発表した。 (jiji = 2-9-23)

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トルコ南東部で大きな地震、トルコとシリアで計 4,300 人以上死亡

トルコ南東部のシリア国境に近いガジアンテプ市付近で 6 日未明、マグニチュード (M) 7.8 の大きな地震があった。 トルコやシリアの当局によると、両国で確認された死者は 7 日現在で計 4,300 人以上に上っており、さらに増える見通し。 同日午後にも、近くで M7.5 の揺れが起きた。 トルコの災害緊急事態対策庁 (AFAD) のユヌス・セゼル長官は、同国で確認された死者が 2,921 人、けが人は 1 万 5,834 人に上っていると述べた。 トルコのフアット・オクタイ副大統領は、建物 4,748 棟が倒壊し、がれきの中から 7,840 人が救出されたと説明した。

一方、シリアでは少なくとも 1,444 人の死亡が確認されたと報じられている。 両国の死者は計 4,300 人を超えたことになる。 救助活動が続く中、死者は今後さらに増すことが確実視されている。 世界保健機関 (WHO) は、死者数は 8 倍に上る可能性があるとしている。 震源地から西のトルコ南部ハタイ近郊などでは、ガスのパイプラインが破裂し、火災が発生している。

米地質調査所によると、現地時間午前 4 時 17 分(日本時間同 10 時 17 分)に、ガジアンテプ市付近で M7.8 の揺れが発生した。 震源の深さは 17.9 キロ。 揺れは首都アンカラなどトルコの各都市や、広い地域でも感じられた。 国外ではシリア、レバノン、キプロスでも揺れが感じられた。 現地時間 6 日午後 1 時 24 分(日本時間同 7 時 24 分)ごろには、再び大きな地震が発生。 震源はカフラマンマラシュ県のエルビスタン地区だった。 米地質調査所によると、地震の規模は M7.5 だった。 トルコの AFAD によると、2 度目のこれは余震ではなく、別の地震だったという。 (BBC = 2-7-23)

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トルコ南東部地震 東京消防庁隊員が国際消防救助隊として派遣

トルコ南東部のシリア国境近くで発生した地震で大きな被害を受けた現地の救助活動を支援するため、東京消防庁の隊員 6 人が国際消防救助隊として派遣されることになりました。 トルコ南東部のシリア国境近くで発生したマグニチュード 7.4 の地震では、広い範囲で建物が倒壊していて、現地では救助活動が続いています。 これを受けて総務省消防庁は現地の救助活動を支援するため、専門的な知識をもつ国際消防救助隊を派遣することを決め、東京消防庁から 6 人の隊員が現地に向かうことになりました。

隊員たちは 6 日午後 6 時半から東京消防庁で行われた出発式に出席し、激励を受けながら車に乗り込みました。 東京消防庁の山田寿警防部参事は「日本の救助隊は海外からも高い評価を受けているので、消防の代表として現地の要望に応えながらしっかり活動してもらいたい」と話していました。 隊員たちは 6 日夜、現地に向けて羽田空港を出発する予定です。 (NHK = 2-6-23)

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トルコとシリアで強い地震 建物倒壊、両国で死者 1,800 人超か

トルコ南部からシリア北部にかけての一帯で 6 日未明、強い地震があった。 米地質調査所 (USGS) によると、地震の規模を示すマグニチュード (M) は 7.8。 トルコの災害緊急事態対策庁は、トルコだけで 1,121 人が死亡したと発表した。 シリアと合わせた死者は 1,800 人を超えたとみられる。 USGS によると、地震は現地時間の午前 4 時 17 分に起きた。 震源はトルコ南部ガジアンテップの西約 34 キロ、深さは約 18 キロ。 トルコ側の被災地からの映像では、コンクリート造りの建物があちこちで倒壊し、人々が手作業でがれきの中に閉じ込められた人の救出を続けている。

トルコ当局によると、同国側では 2,824 棟の建物が倒壊し、7,634 人が負傷した。 余震が続くなか、USGS によると、午後 1 時 24 分に約 100 キロ北を震源とする M7.5 の強い地震が再び起きた。 シリア保健省は、北部のラタキアやアレッポ、中部ハマなどで被害が相次ぎ、430 人が死亡、1,315 人が負傷したと伝えた。 これらはアサド政権側の支配地域の情報とみられる。 同国北西部の反体制側支配地域について、ロイター通信は国連当局者の話として、少なくとも 255 人が死亡、811 人が負傷したと伝えた。

トルコは日本と同様に地震が多く、2020 年 10 月には、西部イズミル県の地震で 100 人以上が死亡。 1999 年には北西部コジャエリ県などで起きた地震で 1 万 7 千人以上が犠牲になり、2011 年に東部ワン近郊で起きた地震では約 650 人が亡くなった。 松野博一官房長官は 6 日夕の会見で、地震の犠牲者に哀悼の意を表すとともに、現時点で在留邦人の被害情報はないことを明らかにした。 (カイロ = 武石英史郎、asahi = 2-6-23)

過去にトルコで起きた主な地震被害 (M はマグニチュード)
発生日場所地震の規模死者数
1999年8月17日北西部コジャエリ県M7.41万7千人以上
2003年5月1日東部ビンギョル県M6.4160人以上
11年10月23日東部ワン県M7.2600人以上
20年1月24日東部マラティヤ県M6.730人以上
20年10月30日西部イズミル県沖M7.0110人以上

日本、東南アジアからは最も「信頼できる」 識者への調査で 5 年連続

東南アジアの研究者や官僚らに国際情勢について聞いたシンガポールの研究機関の調査で、地域にかかわる主要国の中では日本が最も「信頼できる」との結果が出た。 日本は防衛力の強化に向けて安全保障戦略を見直しているが、東南アジアでは、信頼度への影響は限定的なようだ。 調査を実施したのは、シンガポールの政府系研究機関 ISEAS ユソフ・イシャク研究所。2019 年から同様の調査をしており、今回は 22 年 11 月 - 23 年 1 月に東南アジア諸国連合 (ASEAN) 地域の研究者や企業人、NG NGOやメディア関係者、政府や国際機関の職員ら約 1,300 人にアンケートした。

調査項目のひとつが、米国、中国、欧州連合 (EU) など、ASEAN の主要な外交パートナーの信頼度だ。 それぞれが「世界の平和や安全保障、繁栄や統治に貢献する正しい行いをする」と思うかを聞いた問いでは、日本については 12.3% が「強くそう思う」、42.3% が「そう思う」と答えた。 あわせて 54.5% が前向きな答えだった。 これに米国が 54.2%、EU が 51% で続き、中国は 29.5%、インドは 25.7% だった。 日本がこの信頼度の調査で最上位に来るのは、調査を始めた 19 年以来、5 年連続。 信頼度を示す数値は 22 年に、21 年までの 60% 台から 54.2% となり、23 年もほぼ同水準だった。

日本を信頼すると答えた人たちの理由で目立ったのは、安全保障に関する考え方の変化だ。 「日本の軍事力は、世界の平和と安全保障に役立つものだ」を選んだ回答者が、22 年の 2.6% から、今回の 7.2% へと増えた。 国ごとにみると、フィリピンやシンガポールなどでこの理由を選んだ人が増え、インドネシアやベトナムでは減っていた。 9 日、調査結果のオンライン発表会に出席したシンガポール国立大 (NUS) のトミー・コー名誉教授は「東南アジアの日本への見方は、中国と韓国・北朝鮮のそれとは違っている。 中韓には日本が再び軍事大国になるとの根深い恐怖があるが、東南アジアでは第 2 次大戦の記憶は忘れられていると思う。」と語った。

外交問題に詳しく、シンガポールの米国大使なども務めたコー氏は、そのうえで「日本を普通の国にしようという岸田(文雄)首相の取り組みは、中韓とは違って、この地域ではネガティブには見られてはいないようだ」と述べた。 調査では、ASEAN 地域への中国の影響力の大きさも改めて浮き彫りになった。 経済的に最も影響力がある勢力を聞く問いでは59.9% が中国と答え、米国は 10.5%。 政治・戦略的に最も影響力がある勢力を聞く問いでは 41.5% が中国を挙げ、米国は 31.9% だった。

必ずしも歓迎されない中国

中国の影響力の高まりは、必ずしも歓迎されていない。 中国を経済的に最も影響力があるとした回答者の 64.5%、政治・戦略的に最も影響力があるとした回答者の 68.5% は、その影響力の高まりを懸念していると答えている。 もし選ぶとしたら、ASEAN は米国と中国のどちらにつくべきかを聞いた問いでも、61.1% は米国と回答。 中国は 38.9% だった。 昨年は 57% 対 43% で、差が開く結果になった。 昨年は中国支持の方が多かったカンボジアとラオスでは支持が逆転し、米国支持が多数派になった。 逆にインドネシア、マレーシアというイスラム教が中心の国では、昨年は米国支持の方が多かったが、今年は中国支持が多数派になった。

今回の調査に携わった ISEAS のシニアフェロー、シャロン・シャー氏は 9 日の発表会で「米国の外交が影響したのではないか」との見方を示した。 バイデン米大統領は昨年 11 月、ASEAN 関連会議出席のためにカンボジアを訪れてフンセン首相と会談した。 ラオスにも昨年、シャーマン米国務副長官が訪問している。 こうした外交攻勢が、米国の印象を好転させた側面がありそうだ。 一方、インドネシアとマレーシアでの米国支持の落ち込みについて、NUS のコー名誉教授は「イスラエルとパレスチナの紛争をめぐる、バランスを欠いた米国の政策が理由だろう」と指摘した。 (シンガポール = 西村宏治、asahi = 2-11-23)


米で氷点下 78 度記録 史上最低を更新

米国立気象局は 4 日、ニューハンプシャー州ワシントン山の頂上で、同国史上最低気温となる氷点下 78 度を記録したと発表した。 これまでの記録はアラスカ州で観測された氷点下 76 度だった。 標高 1,920 メートルのワシントン山は、米北東部の最高峰。 過酷な天候で知られ、これまでにも氷点下 74 度を記録したことがあった。 一方、NWSのメーン州カリブー事務所によると、カナダとの国境に近い同州の町フレンチビルでも氷点下 51 度を記録。 凍結した土壌や地下水に亀裂が走り、地震のような振動や音が発生する現象が報告されたという。 (AFP/時事 = 2-5-23)


米就業者数 51.7 万人増 1 月、失業率は半世紀ぶり低水準

【ワシントン = 高見浩輔】 米労働省が 3 日発表した 1 月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から 51 万 7,000 人増えた。 市場では 20 万人を下回るとの予想が多かったが、大きく上回った。 失業率も予想に反して低下し、53 年ぶりの低水準となった。 1 月の失業率は 3.4% で前月の 3.5% から低下し、1969 年 5 月以来の低水準となった。 市場の予想は 3.6% だった。 2022 年 12 月の就業者数の伸びは修正されて 26 万人増となった。

今回の雇用統計は年初に伴う改定や大規模ストライキなど特殊要因が多いため「実態をみるうえで参考にしにくい(調査会社パンテオン・マクロエコノミクス)」との指摘もある。 1 月の平均時給は前月比 0.3% 上昇するとの予想と同じだった。 米債券市場では金融政策の動向を反映しやすい 2 年債利回りが 4.1% から 4.2% に上昇した。 外国為替市場では 1 ドル = 128 円台半ばで推移していた円が対ドルで下落し、一時 131 円台を付けた。

ピークを越えつつある高インフレの先行きは賃金上昇の鈍化ペースに左右される。 米連邦準備理事会 (FRB) は動向を注視している。 賃金は足元でインフレ圧力の中心になっているサービス価格を左右するため、市場も注目している。 変動率を追うアトランタ連銀の賃金トラッカーは 22 年 8 月の前年比 6.7% をピークに、12 月は 6.1% まで下がった。 今後カギを握るのは非農業部門の求人件数だ。 12 月は 1,101 万 2,000 件(季節調整済み)と 7 月以来の高水準になり、減少傾向が止まった。 コロナ前の 700 万件を大幅に上回る水準のままで、人手不足が続いている。

1 月にテック企業や金融機関が相次ぎ公表した大型の人員削減が今後進めば、人手不足を和らげる可能性もある。 「統計に反映されるのはこれから(米ゴールドマン・サックス)」とみられる。 1 月 22 - 28 日の新規失業保険申請件数は 18 万 3,000 件と 22 年 4 月以来の低水準だった。 0.25% の標準速度に戻った利上げをどこで止めるのか。 FRB のパウエル議長は 1 日の記者会見で、今後の金融政策はデータ次第で決めると強調した。

次回の米連邦公開市場委員会 (FOMC) は 3 月 21 - 22 日。 それまでに重要指標の雇用統計と消費者物価指数 (CPI) は 1、2 月の 2 回分ずつ公表される。 労働市場の過熱が想定より強く残れば引き締めが長引く可能性もある。 (nikkei = 2-4-22)

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米 FRB、利上げ幅を連続縮小 現行の 0.5% 幅から 0.25% 幅に

米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会 (FRB) は 1 日、利上げ幅を現行の 0.5% 幅から 0.25% 幅に引き下げると決めた。 利上げ幅の縮小は前回 12 月会合に続いて 2回連続だ。 鈍化傾向にあるものの米国の物価高(インフレ)はなお高水準で、FRB は利上げ自体は当面続ける構えだ。 1 月 31 日と 2 月 1 日に開かれた米連邦公開市場委員会 (FOMC) で決めた。 政策金利の誘導目標は 2007 年以来の高水準となる 4.5 - 4.75% に高まる。 FRB は 23 年末の政策金利の水準を 5.1% 程度とみこんでおり、市場では、3 月の FOMC でもう一度 0.25% 幅の利上げを決めたうえで、5 月の FOMC で利上げを停止するとの見方が出ている。

FRB は約 40 年ぶりの激しいインフレを抑え込むために、昨年 3 月から利上げを開始。 通常の 2 - 3 倍にあたる利上げ幅を続けてきたが、昨年 12 月の前回会合で、利上げ幅を 0.75% 幅から 0.5% 幅に初めて縮小。 今回、これをさらに引き下げ、利上げ幅を「通常化」させた形だ。 背景には、米消費者物価指数 (CPI) の伸び率が昨年 12 月まで 6 カ月連続で減速するなど、インフレに鈍化の兆しがみえ始めていることがある。 一方で堅調だった米景気は今後減速が見込まれ、年内の景気後退入りを予想する声も強まっている。 FRB としては、利上げは維持しつつも、利上げ幅は絞ることで、経済への影響を慎重に見極めたい考えがある。 (ワシントン = 榊原謙、asahi = 2-2-23)


ODA 受注企業からミャンマー国軍系企業に 2.6 億円 人権団体指摘

国軍がクーデターで実権を握ったミャンマーへの途上国援助 (ODA) で、事業を受注する日系企業から、下請けの国軍系企業に、今月までに約 2 億 6 千万円が支払われたことが、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ (HRW) の調べで分かった。 HRW は「弾圧を続ける国軍側に資金が流れ、日本政府は人権侵害に事実上加担した」と批判。 一方、外務省は「企業の契約を指導する立場にはない」との見解を示している。

問題視されたのは、最大都市ヤンゴンと郊外の経済特区を結ぶ「バゴー橋建設計画」。 日本政府は 2016 年 12 月、円借款(供与限度額約 310 億円)についてミャンマー政府と合意。 その後、事業の一部を、鋼橋メーカー「横河ブリッジ(本社・千葉県船橋市)」が受注した。 横河ブリッジは国軍系企業「ミャンマー・エコノミック・コーポレーション (MEC)」と、資材調達などに関する契約を締結。 工事は 19 年末に始まり、クーデター直後に停止したが、昨年 4 月に再開した。

HRW は今月 24 日、横河ブリッジから MEC に、昨年 7 月から 11 月にかけ、約 130 万ドル(約 1 億 7 千万円)が支払われたことが、取引履歴から分かったと発表。 その後、朝日新聞の取材に対し、新たに昨年 12 月から 1 月にかけ、同様の支払いが約 70 万ドル(約 9 千万円)あったことが分かったと明かした。

米国と EU、MEC を制裁対象に

国軍と MEC の関係については 19 年、国連人権理事会の独立調査団が、「国防省が MEC を管理し、軍の直接的な収入源になっている」と指摘。 米国や欧州連合 (EU) はクーデター後、MEC を経済制裁の対象にしていた。 「国軍と深い関係にある MEC と契約を結び、支払いをしたのか」との朝日新聞の質問に対し、横河ブリッジの広報担当者は「個別案件については、回答を控える」と述べた。

外務省は、クーデター後に横河ブリッジから相談があり、MEC と下請け契約を結んでいることを把握したという。 同省幹部は、「政府として今の状況は好ましくない」とする一方、「既存事業では、契約を結んだ企業側に履行義務があり、事業を中断すれば賠償を求められるリスクがある。 政府が企業を救済する制度はなく、個別の契約について指示する権限もない。」と話す。

ミャンマーにとって最大の援助国である日本はクーデター以降、経済制裁を強めた欧米と一線を画し、新規の ODA を見合わせる一方、既存案件を継続する方針をとっている。 外務省によると、円借款で現在継続中の案件は、34 件、計 7,396 億円(供与限度額)にのぼる。 HRW の笠井哲平さんは「日本政府は人道支援以外の既存事業を停止すべきだ。 また、企業が国軍系企業と関係を断つように促すべきだ。」と話す。

ミャンマーの政治と経済に詳しい政策研究大学院大学の工藤年博教授は、「新規を見合わせ、既存事業を続ける方針は現実的な判断だが、ODA の課題を考えるきっかけにすべきだ」と話す。 一方的に事業を中断すれば契約違反になる可能性がある一方、クーデター下では資金が国軍に流れるリスクはつきまとう。 国際機関の中には、相手国が甚だしい人権侵害を起こした場合、債務を放棄できる条項を、契約に盛り込む場合もあるという。 工藤教授は{ODA は相手国の要請に基づく要請主義が基本だが、こうした条項を契約に盛り込むなど、援助の価値基準を明確に示すべきではないか」と話す。 (加藤あず佐、asahi = 1-28-23)


南米の共通通貨導入へブラジルとアルゼンチン連携、名称「スル」の提案も

【リオデジャネイロ = 大月美佳】 ブラジルのルラ・ダシルバ大統領とアルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は、アルゼンチン紙「ペルフィル」への連名の寄稿で、南米の共通通貨導入に向けて協議を進める考えを明らかにした。 23 日の首脳会談で正式表明する見通しだ。 両氏は「取引の障壁を克服し、規則を簡素化、近代化し、現地通貨の利用を促す」と強調した。 ウルグアイ、パラグアイとともに構成する関税同盟「南米南部共同市場(メルコスル)」の強化も提唱した。

英紙フィナンシャル・タイムズによると、ブラジル側は共通通貨の名称としてスペイン語で「南」を意味する「スル」を提案している。 他の南米諸国の参加も促す考えで、24 日にアルゼンチンで開かれるラテンアメリカ・カリブ諸国共同体 (CELAC) 首脳会議で議論されるという。 域内の共通通貨導入は数十年にわたって議論されてきたが、進展がなかった。 アルゼンチンのセルヒオ・マサ経済相は同紙の取材に「歩むべき長い道のりの第一歩だ」と語った。 (yomiuri = 1-23-23)


ブラジル前大統領の支持者 5 千人、大統領府に突入 400 人を拘束

ブラジルの首都ブラジリアで 8 日、昨年に落選したボルソナーロ前大統領の選挙をめぐる「不正」を訴え、軍の介入などを求めたデモ参加者ら約 4 千人が暴徒化して、大統領府や国会議事堂、最高裁判所に侵入した。 ブラジリア当局によると数時間で鎮圧され、約 400 人が拘束された。

ボルソナーロ氏は在任時から、選挙の電子投票の「不正」を根拠を示さずに主張してきた。 その訴えに共鳴した支持者らが 8 日午後 3 時ごろ、ブラジル国旗などを身にまとい、大統領府や議事堂の窓ガラスを割って内部に押し入った。 地元メディアによると、支持者らは大統領府にある歴代大統領の肖像画を壊し、議事堂でも、屋根の上で旗を振ったり議員席でポーズを取ったりした。 警察は放水砲を使って押し戻したり、上空からヘリコプターで催涙ガスをまいたりしたという。 警察はゴム弾も使用したとみられている。

8 日夜時点で、具体的な人的被害は明らかにされていない。 ただ、AFP 通信によると、馬に乗っていた警察官が引きずり下ろされて殴打される場面が SNS で拡散した。 AFP 通信の写真記者を含め、少なくとも報道記者 5 人が襲われたとの情報もある。

ルラ大統領「暴動の責任はボルソナーロ氏にあることは明らか」

ブラジルのルラ大統領は出張先のサンパウロ州で記者会見し「狂信者たちが行ったことは前代未聞で、実行者や資金提供者は厳しく罰する。 暴動の責任は、支持者をあおり続けたボルソナーロ氏にあることは明らかだ。」と述べた。 8 日夜にはブラジリアに戻り、大統領府などの被害状況を確認した。 事態の沈静化や責任者の追及を急ぐ方針だ。

一方、ボルソナーロ氏は暴動が起きてからしばらくは声明などを出していなかったが、事件から約 6 時間後に自らのツイッターを更新した。 「平和的な抗議活動は民主主義の枠内にあるが、公共施設への侵入や破壊行為はこの原則に対する例外的な事態だ」と主張し、暴徒化した支持者らを非難した。 ボルソナーロ氏は 2022 年 10 月の大統領選で敗れた後、公の場にほとんど姿を見せていない。 翌 11 月には一部の電子投票機での投票が「無効」だとして異議を申し立てる訴えを起こしたが、退けられた。 今月 1 日のルラ氏の大統領就任式直前に米フロリダ州に渡り、現在も州内にいるとみられている。

大統領選後、ボルソナーロ氏自身は「選挙不正」の主張を前面に出してはいないものの、周辺にいる関係者らが、SNS などで抗議活動を促してきた。 共鳴した支持者らは各地の軍事基地などで抗議を続け、軍の介入などを要求していた。 過激な発言で「ブラジルのトランプ」とも呼ばれたボルソナーロ氏の支持者による今回の事件について、トランプ前米大統領の支持者が引き起こした 21 年 1 月の米連邦議会議事堂襲撃事件との類似性も注目されている。 (ブラジリア = 軽部理人、ニューヨーク = 遠田寛生、asahi = 1-9-23)

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沈黙破ったボルソナーロ氏、自身の敗北には触れず 政権移行は指示

ブラジルのボルソナーロ大統領は 1 日、2 日前の大統領選以降初めて公の場に姿を現し、声明を発表した。 ボルソナーロ氏は自身の敗北に触れなかったが、政権幹部はその後、ボルソナーロ氏が政権移行の準備に取りかかることを指示したと述べた。 ボルソナーロ氏は以前から電子投票を使った選挙が「不正」だと主張しており、選挙結果を認めない可能性が指摘されていた。

声明の冒頭でボルソナーロ氏は、自身に投票した国民に感謝の意を表明し、「私は引き続き憲法を順守する」と述べた。 当選を決めたルラ元大統領に対する祝意はなかった。 ブラジル各地では現在、一部の支持者がトラックを並べたりタイヤを燃やしたりして、高速道路を封鎖。 地元メディアによると、300 カ所以上に上り、物流や交通に影響が出ている。 ボルソナーロ氏は声明の中で「選挙プロセスへの憤りと不当な感情の結果だ」と主張した一方で、「平和的なデモは歓迎されるが、破壊行為は左翼の方法だ」と述べて、これらの行為を非難した。 (サンパウロ = 軽部理人、asahi = 11-2-22)


「世界一治安悪い地区」に KOBAN 敵対視していた住民も変わった

日本でおなじみの「交番」が、実はブラジルにもある。 25 年前に「世界一治安が悪い」と認定された地区では、地元警察が日本の制度をモデルにした拠点を整備し、劇的な改善がみられた。 「KOBAN」は中南米でも浸透しつつある。 サンパウロ中心部から南西に車で 45 分。 目的地が近づくと、斜面に所狭しと家が並ぶスラム街「ファベーラ」が目に入る。 「ジャルジン・アンジェラ」地区だ。 中心部を走る大通りの両側には商店や飲食店が並び、多くの人が行き交う。

「今は普通に街を歩けるが、25 年前は決してそうではなかった。 私が赴任した時は地獄だった。」 警視庁のマスコット「ピーポくん」が飾られた地区の「交番」で、サンパウロ州警察のネルソン・フェルナンデスさん (46) はそう語る。

「世界一治安が悪い地区」、1 日で 12 件の殺人

貧富の格差が激しいブラジルでは、特に貧困地域での犯罪が日常茶飯事だ。 世界銀行によると、人口 10 万人あたりの殺人件数は 2020 年に 22 件を数えた。 1990 年以降は 17 - 31 件の間で推移し、日本(0 - 1 件)や米国(4 - 10 件)と比べても非常に多い。 ジャルジン・アンジェラは特に治安が悪く、96 年には 10 万人あたりの殺人件数が 116 件以上を記録した。 国連が「世界一治安が悪い」と認定したこの地区で 98 年に働き始めたフェルナンデスさんは、1 日 8 時間の勤務中、12 件の殺人事件の処理に追われたことを覚えている。 「あの時はさすがに参りました。」

警察が手をこまぬいていたわけではない。 地区には当時から警察官が常駐し、犯罪の抑止に努めてはいた。 だが、住民は警察を信用せず、日本の 110 番にあたる通報や犯罪捜査に、住人の協力が得られなくなっていた。 97 年 3 月には、サンパウロ郊外で警察による住民への暴力や虐待行為も発生し、警察に対する大きな批判が巻き起こった。 「当時の警察は、住民との信頼を築くことに利点を見いだしていなかった。 住民を信用していなかったし、住民からも信用されていなかった。」 フェルナンデスさんはそう振り返る。

サンパウロ州警察が知見を求めたのが、国際協力機構 (JICA) と警察庁だった。 両機関は、日本から 80 年代に「交番制度」をシンガポールに伝えた実績があった。 シンガポールでは通報制度と組み合わせて導入を進めたところ、犯罪件数が徐々に減少した。 サンパウロ州警察は 2000 - 03 年ごろ、日本に視察団を派遣。 計 30 人以上の警察官が交番のノウハウを学び、州内各地に BCS (地域治安基地)を建てた。 ブラジルでの「SISTEMA KOBAN (交番システム)」づくりだった。

住民の困りごとの相談に乗ったり、地元の商店街から寄付された食料を交番で配布したり。 気軽に出入りできるような環境を整え、信頼関係の構築に努めた。 警察官による徒歩でのパトロールを重視し、住民と気軽に話す日本のやり方も参考にしたという。 交番に図書室を設けたり、野菜を植えて住民に無料で配ったりするところもある。

中米の国にも広がる「KOBAN」

効果は徐々に現れた。 サンパウロ州警察によると、州の人口 10 万人あたりの殺人件数は 00 年の 34.18 件から徐々に減り、18 年には 6.7 件になった。 ジャルジン・アンジェラでも、長期間、殺人事件が起きないことが日常になった。

ジャルジン・アンジェラで 25 年ほど商店を営む日系 2 世の上原スエミさん (55) と娘のエリカさん (31) は、「昔は危なすぎて家の外で遊ぶこともできなかった」と話す。 だが「交番」が本格的に稼働すると、目に見えて治安が改善し、店舗の出店も相次いで街が活性化したという。 「警察の『顔』が見えること、何でも気軽に相談できるようになったことが一番大きいと思う」と語る。

フェルナンデスさんは別の勤務を経て、19 年に初任地のジャルジン・アンジェラに戻った。 「かつては警察を敵対視していた地元住民が、今では何でも警察に話すようになってくれた。 信頼を築くことが重要だと、我々は肌身で知った。」 「交番」は南東部ミナスジェライス州などにも広まっている。 JICA はブラジルでの成功を生かし、さらに、中米グアテマラやホンジュラスでも普及させることを目指している。

JICA ブラジル事務所の木村信幸さんは、05 年から日本の交番制度を導入する事業に携わる予算や警察官の不足といった課題は常にあるものの、治安改善に確実に役立つという手応えがあるという。 「警官と住民とが信頼関係を築ければ、犯罪は抑止できる。 そのアイデアがさらに広まればうれしい。」と話す。 (サンパウロ = 軽部理人、asahi = 1-4-23)


記録的寒波の米国、空港はカオス状態 必死にスーツケースを探す旅行者

米国を襲った猛吹雪などの記録的寒波の影響で、同国の空の便は大混乱となった。 空港では、運休や遅延で疲れた旅行者らがスーツケースやバッグの列をかき分け、なくなった荷物を探していた。

「3 つ見つかったから、あと 1 つ …。 航空会社 2 つ使って 4 つの空港に行き、航空券 4 枚、そして 3 日遅れた。 長い旅路だった。 クリスマスの日にテキサス州アマリロの家を出た。 飛行機は予約で一杯。 25 日の 12 時に空港に着いたが、真夜中に直前、キャンセルされた。 空港で立ち往生したくなかったので、空港が 2 つあるダラスに飛んだ。 ホテルに泊まり、別の空港に行き、アメリカン航空に乗ったんだが、スーツケースを探さないといけない。 あと 1 つなんだが。(テキサス州アマリロ出身のビル・ジェムさん)」

米国はクリスマス前後、猛吹雪など記録的寒波に見舞われ、23 日以降、サウスウエスト航空の欠航便数は 1 万 2,000 便を超えた。 サウスウエストは他の大手と異なりハブ空港以外に重点を置いているため運航計画が乱れると、機材や乗員のやりくりに苦慮することが多い。

「やったー! 神よありがとう。 いいかい、私は 30 年以上サウスウエスト航空を使っているが荷物をなくされたことは 1 度もない。 これがその証拠だ。 ハグさせてくれ。 見つけてくれてありがとう。 サンキュー、サンキュー、メリークリスマス! (ビル・ジェムさん)」

「兄弟を驚かせようと思って会いに来たのだが、ダラスで足止めされ、クリスマスをひとりで過ごし、今ここに来た。 自分の荷物が見つかるとは思っていなかった。 文字通り何も持っていなかったので。 サウスウエスト航空は何も払おうとしないし、払い戻しに応じず、ホテルに泊まらせてもくれなかった。 仕方なく、わざわざお金を払ってアメリカン航空に乗った。 そして、ようやくここにたどり着いた。(空港でクリスマスを過ごしたダイアン・オーハシさん)」 (Reuters = 12-28-22)

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米の歴史的寒波、少なくとも 17 人死亡 停電・欠航も続く

【ニューヨーク=斉藤雄太】米国で24日、歴史的な寒波による被害が広がった。 米メディアによると、交通事故などで少なくとも 17 人が死亡し、一時は 180 万件の停電が発生した。 航空便の欠航や遅延も続き、クリスマス休暇の市民生活や旅行に大きな影響を及ぼしている。 米 NBC テレビによると、中西部オハイオ州や南部ケンタッキー州などで悪天候による死者が出た。路面の凍結や吹雪による自動車事故が各地で頻発している。

ロイター通信は全米の停電情報の追跡サイト「パワーアウテージ ドット US」のデータを引用し、24 日早朝時点で家庭と企業の約 180 万件で停電が発生していたと報じた。 同日夕までに停電は 80 万件まで減った。 空路の乱れも続く。 米航空情報サイト「フライトアウェア」によると、24 日夕時点で米空港で発着する航空便のうち約 6,500 便が遅延し、2,800 便以上が欠航した。 前日にも米発着の 5.900 便が欠航になっている。

米東部ニューヨーク州は 24 日、カナダとの国境近くの都市バファローの空港を 26 日午前 11 時まで閉鎖すると発表した。 同州のホークル知事は 24 日、予算面の支援を得るため、連邦政府による非常事態宣言を要請する考えを示した。 米国立気象局は 23 日、米人口の 6 割が「歴史的な冬の嵐」により警報や注意報の対象となったと説明していた。 同局は国土の 3 分の 2 に影響している寒波が 26 日にかけて徐々に和らぐとの見通しを示すが、当面は「生命の危険を脅かしかねない寒さ」への警戒を呼びかけている。 (nikkei = 12-25-22)