成田空港反対派の耕作地で強制執行 支援者ら抵抗、100 人が集まる

成田空港B滑走路の誘導路脇にあり、空港反対派の農家が耕作してきた土地(千葉県成田市天神峰)の明け渡しをめぐり、この土地(約 4,600 平方メートル)の農機具小屋やビニールハウス、空港反対の看板・やぐらなどの強制撤去の動きがあるとして、空港反対派や支援者が 15 日未明、抵抗のため集まった。 午後には学生を含め約 100 人にのぼった。 同日夜、強制執行が始まった。

最高裁で、農家らに、この土地の明け渡しを命じる判決が確定するなどしていて、千葉地裁は既に執行官による強制執行を求める成田国際空港会社(NAA)の申し立てを認めている。 農家は、三里塚芝山連合空港反対同盟北原派の市東孝雄さん (72)。 祖父の代から、3 代にわたり、この土地を賃借するなどして営農を続けてきた。 15 日午前 3 時過ぎ、市東さんは「ここは俺が生まれた場所。 農地と一緒で自分の一部だよね。 空港会社は、傲慢なやり方をずっとやってきた。 一番ひどいのは、おやじにだまって底地を買って、明け渡せ、と。 そのやり方が認められない。」と思いを語った。 (上沢博之、上保晃平、asahi = 2-15-23)


大売れびっクリ 西日本一の生産地が九州のソウルフードと再びコラボ

西日本一の生産量を誇る熊本県山鹿市の和栗が、九州のソウルフード「ブラックモンブラン」と今年もコラボした。 山鹿のクリは「知っている人は知っているが知らない人は知らない(市担当者)」と、知名度が課題だ。 そこで、市物産館連絡協議会がブラックモンブランの製造元である竹下製菓(佐賀県)と手を組み、和栗入りブラックモンブランを企画した。 山鹿産和栗を入れたバニラアイスをクランチ入りチョコレートでくるんだ。 和栗を 4.3% 使い、濃厚な風味に仕立てている。

アルプス山脈のモンブランがプリントされたおなじみのパッケージには、代わりに市内のパワースポット「不動岩」がそびえる。 一昨年秋に 2 万本限定で売り出したところ、3 日で完売した。 そこで今年は倍の 4 万本を用意して、道の駅や物産館など市内の 7 カ所で 11 日に売り出した。 道の駅「鹿北小栗郷」の高森達也副館長によると、同店では 11 日だけで 1,200 本が売れたという。 「問い合わせも多かった。 これで山鹿に足を運んでもらい、次につながったら。」

和水町から訪れた女性 (64) は「普通のはよく食べるけれど、クリは珍しいなと思って」と 2 本を購入。 「車で食べます」と話していた。 1 本 220 円。 4 月ごろには市のふるさと納税(1 万円程度)でも限定 100 セット(10 本入り)を扱う予定だ。 (杉浦奈実、asahi = 2-12-23)


トリュフ栽培、国内で初成功 … ヨーロッパ産に匹敵する芳醇な風味

キノコの仲間で洋食の高級食材でもあるトリュフの人工栽培に、国内で初めて成功したと、森林総合研究所(茨城県つくば市)のチームが発表した。 最も流通している欧州産に匹敵する芳醇な風味があり、約 10 年後の安定生産を目標に栽培技術の確立を進めるという。 人工栽培に成功したのは、国内でも自生する白トリュフの一種「ホンセイヨウショウロ」。 自生種は、コナラなどの木の根に菌糸を侵入させて「菌根」を作り、栄養をやりとりする。 チームは、この特徴に着目して、トリュフの胞子が入った液体をコナラの苗木の根にかけて菌根発生を人工的に促した。

その後、国内の試験地 4 か所に苗木ごと植えたところ、4 年後の昨年 11 月、2 か所で計 22 個のトリュフの発生を確認。 最大のものは長さ 9 センチ、重さ 60 グラムで市販品と遜色ないサイズだったという。 国内では自生量が少なく、流通するのは全て輸入品。 人工栽培で国産の大量生産が可能になれば、海外輸出も含め新たな産業につながる可能性もある。 チームの山中高史・森林総研東北支所長は「安定生産を目指して研究を進めたい」と話す。

「日本の土壌に適した苗木と菌を使うことでなし得た大きな成果だ。(江口文陽・東京農業大学長 = きのこ学)」 (yomiuri = 2-9-23)


ラーメン日本一、山形市が奪還 冷やしラーメン、鳥中華 … 観光資源に

山形市が新潟市を抑えて、2 年ぶりに日本一を奪還 - -。 総務省が 7 日発表した家計調査によると、2022 年の 1 世帯(2 人以上)あたりのラーメン外食費は、山形市が 1 万 3,196 円で、都道府県庁所在地・政令指定都市の中で最も多かった。 20 年まで 8 年連続首位だったが、21 年に新潟市に抜かれており、22 年は日本一を取り戻すべく、地元のラーメン店主らが行政と取り組んでいた。

7 日午前 8 時半過ぎ、山形市役所。 開店前に集まった地元のラーメン店主や市職員は結果が判明すると喜んだ。 2 位の新潟市は 1 万 2,573 円で、山形市との差は 623 円だった。 3 位は仙台市。 山形県によると、県民にとってラーメンは、焼き肉やすしを食べるのと同じ感覚で出前や外食で食べ、親族や友人らをもてなす「ごちそう」とされる。 かつて 70 年以上も日本の最高気温の記録を持っていた山形市では、麺もスープも冷たい夏場の「冷やしラーメン」が郷土料理の一つ。 そばの和風だしをスープに使った「鳥中華」も親しまれ、ラーメンを出すそば屋が多いとされる。

山形市のほかにも、県北部の「とりもつラーメン」をはじめ、辛みそがのった県南部の「赤湯ラーメン」、細い手もみ縮れ麺が特徴の米沢市周辺の「米沢ラーメン」、魚介系スープが自慢の日本海沿岸部の「酒田ラーメン」などがあり、多種多様だ。 1 年前、2 位転落が分かると、山形市内外で大きな話題になった。 印刷会社「大風印刷(同市)」は 22 年 4 月、「ガチャガチャ」で当たる「ラーメン手形キーホルダー」を制作。 キーホルダーを協力店でみせると一定期間、大盛り無料などの特典を何度でも受けられる仕掛けにし、消費拡大を図った。

また、市内にある「ケンチャンラーメン山形」の店主、阿部勝重さん (55) は、同業者とともに、日本一奪還とラーメンを観光資源とするよう市に働きかけた。 市側も応じ、約 2,300 万円の予算をつけて、PR に力を入れ始めている。 (高橋昌宏、asahi = 2-7-23)


「国産アサリでなければ売れず …」 熊本産と偽装し 28 億円売り上げか

福岡県警は 6 日、韓国産アサリを「熊本産」と偽って販売したとして、熊本県荒尾市の水産会社「熊水(くますい)」社長・植野樹(たてき)容疑者 (56) = 福岡市西区石丸 3 丁目 = を食品表示法違反容疑で逮捕し、発表した。 熊本県産アサリは外国産が大量に偽装されていたことが農林水産省の調査で判明しており、県警は、同社が産地偽装したアサリで 28 億円以上を売り上げたとみている。 生活経済課によると、植野容疑者は福岡市内の水産会社社長の男 2 人と共謀し、2020 年 5 月 - 21 年 11 月、計 12 回にわたり、韓国産アサリを熊本産と偽って納品書に記載し、山口県宇部市の水産会社に約 100 トン(計約 4,100 万円)を販売した疑いがある。

植野容疑者は「国産アサリでなければ売れず、産地偽装してでも売っていた」と容疑を認めているという。 植野容疑者は、自身が社長を務める別の水産会社を使って韓国産などのアサリを輸入。 男 2 人の会社 2 社にいったん納品し、「熊本産」と書き換えた納品書を作成させ、月数十万円の報酬を支払っていたという。 県警は男らについても食品表示法違反で 7 日に福岡地検に書類送検する方針。

県警によると、熊水が 20 年 4 月 - 22 年 1 月に偽装して販売したアサリは 8,260 トン超で、主に首都圏や熊本県内で販売。 売り上げは 28 億円以上あったとみられる。 アサリの産地偽装をめぐっては、農水省が 22 年 2 月、アサリの小売り販売の実態を調査した結果、熊本県の年間漁獲量を大幅に超える量が熊本県産として販売されていたと発表。 また同 11 月以降、山口県警や熊本、佐賀両県警の合同捜査本部が、韓国などの外国産アサリを「熊本産」と偽って販売したとして山口県内や宮崎市在住の業者らを摘発している。 (古畑航希、asahi = 2-6-23)


「見張るかのように中国海警船が接近してきた」…尖閣周辺で緊張の海洋調査

沖縄県石垣市は 30 日、尖閣諸島周辺で海洋調査を実施した。 環境保全を目的とするもので、昨年 1 月に続いて 2 回目。 今回は、読売新聞など一部メディアの記者も同行した。 海上保安庁と同市によると、2012 年 9 月の国有化以降、同海域を航行する行政機関の船に報道陣が同乗するのは初めて。 市は収集したデータを基に、希少な野生生物の保護対策を検討する。 (今村知寛)

同市の中山義隆市長や、市が調査を委託した東海大調査員らが乗船した作業船「新世丸(997 トン、乗員 34 人)」は 30 日午前 7 時 50 分頃、同諸島・魚釣島の南沖約 3 キロの海域に到着した。調査員がドローン(小型無人機)を島の 300 メートル手前まで数回飛ばし、陸上を撮影するなどした。 調査では、魚釣島などへのごみの漂着や繁殖したヤギの食害による植生への影響を確認する。 周辺海域での魚の数や水温、塩分などの水中環境も調べる。 同日夜に石垣市の石垣港に帰港する予定。 中山市長は 29 日、報道陣に「周辺海域や陸上も含めて有効に利活用していこうと考えており、基礎的なデータを集めていきたい。」と語った。

こうした動きを見張るかのように、中国海警局の船が 30 日午前 4 時頃、同諸島の接続水域(領海の外側約 22 キロ)を航行していた新世丸に接近してきた。 新世丸からは、海警船の赤い灯火も目視で確認できた。 第 11 管区海上保安本部(那覇市)によると、同日午前 6 時 7 分頃、尖閣諸島・南小島沖の領海に海警船 1 隻が侵入。 新世丸に接近する動きを見せたため、海保の巡視船が間に入って新世丸の安全を確保し、領海から退去するよう呼びかけを続けた。

海警船はその後離れたが、調査中の午前 10 時 20 分頃から、1 隻が目視できる距離に近づいてきた。 海保の巡視船 2 隻が間に入って近づかせないようにした。 日本政府は同日、中国海警船の領海侵入を受け、中国側に外交ルートで抗議した。 中国海警船の活動は年々エスカレートしており、接続水域内で確認された日数は昨年、336 日と過去最多を更新。 同年 12 月には海警船の連続領海滞在時間が国有化以降で最長の 72 時間 45 分に及んだ。 (yomiuri = 1-30-23)


長野の雪崩事故、心肺停止の 2 人を発見 山岳救助隊、朝から捜索

スキーなどでゲレンデ外を滑走するために長野県小谷(おたり)村を訪れていた外国人らが雪崩に巻き込まれた事故で、捜索に当たっていた長野県警の山岳遭難救助隊が 30 日午前、現場付近で心肺停止になった男性 2 人を発見した。 雪崩には 5 人が巻き込まれ、そのうち 2 人の男性が意識不明のまま現場に残されていた。 県警は 2 人の身元や、雪崩が発生した原因を調べている。

県警などによると、雪崩が起きたのは小谷村の白馬乗鞍岳にある天狗原の東側斜面(標高約 2,100 メートル)で、栂池高原スキー場のゲレンデから白馬乗鞍岳の山頂をめざす方向にある。 3 グループの外国人計 13 人が、ゲレンデ外の未整備の斜面である「バックカントリー」をスキーなどで滑走するために訪れていた。 29 日午後 2 時半ごろ、2 グループの計 5 人が雪崩に巻き込まれるのを別のグループ 8 人が目撃し、観光関係者を通じて警察や消防に通報したという。 県警によると、5 人は現場を何回か往復するように滑っていた。 斜面を登ったり滑ったりしている中で雪崩が起きた可能性があるという。

雪崩に巻き込まれた 5 人は別のグループによって助け出されたが、米国とオーストリア出身と見られる 2 人の男性が意識不明の状態で現場に残されていた。 ほかの 3 人はゲレンデまで自力で下山したが、このうちオーストリアの 20 代の男性が肩の痛みを訴え、近くの病院に運ばれた。 事故から一夜明けた 30 日午前 7 時 15 分ごろ、県警の機動隊員や山岳遭難救助隊員らからなる計 12 人が雪崩の現場へ捜索に向かった。 ゴンドラリフトを使ってスキー場の標高約 1,500 メートル付近まで登り、そこから徒歩で現地に向かい、同 10 時半過ぎに立て続けに 2 人を発見したという。

ゴンドラから降りたゲレンデではこの日、粉雪が舞う中、早朝から訪れたスキー客らが次々と斜面を滑り降りていた。 ゲレンデとは反対側の山側には、周辺の峰を示した上で「登山・滑走は雪崩を誘発し、スキー場内に多大な影響を及ぼしますので禁止です」などと書かれた看板が立っていた。 大阪府から来た 40 代女性は 20 年前から栂池高原スキー場を利用してきた。 バックカントリーの経験はないというが、「冬の山を安全に楽しむための方法はたぶん関わる人全員が考えなきゃいけないと改めて感じた」と話した。

捜索への出発前、県警の岸本俊朗・山岳遭難救助隊長は取材に「(雪崩が発生した)昨日は、前日の降雪により雪崩の危険性が高かったと思う」と指摘。 「現場は雪の斜面で、積雪状態の見極めや雪崩のリスクの判断が難しいところ。 我々も雪崩に十分に気をつけて捜索にあたる。」と話した。 (asahi = 1-30-23)


石川で 8,700 世帯断水続く 寒波で水道管破裂「バケツで用足し」も

冬型の気圧配置の影響で、29 日は日本海側を中心に雪が降った。 石川県では、寒波による水道管の凍結や破裂の影響で、同日夕時点で、かほく市や輪島市など 2 市 2 町の約 8,700 世帯で断水が続いた。 輪島市では支援にあたる人員や資材が足りず、28 日から自衛隊が給水トレーラーを派遣。 29 日には飲料水を積んだ金沢海上保安部の巡視船が市内の港に着いた。 気象庁によると、30 日も日本海側で雪が降り続けるという。 同日正午までに予想される 24 時間降雪量は多い所で石川県の山地で 50 センチ、新潟県の平地と山沿いで 30 センチ。 30 日にかけて全国的に強風や高波に注意する必要があるという。

「配水池」が空っぽに近い状態に 断水に住民は

記録的な寒波による水道管の凍結、破裂の影響で、石川県内では 29 日も、最大で 5 市町の約 9,700 世帯が断水した。 多くは不自由な生活が 4 日目となり、住民を救援する動きが続いた。 約 5,400 世帯が断水したかほく市はこの日も、3 カ所で住民に飲料水を配布。 24 時間利用できる仮設トイレも設置している。 30 日も同センターで午前 6 時 - 翌日午前 0 時、木津公民館と白尾公民館で午前 6 時 - 午後 10 時に配布するという。

市上下水道課によると、空き家に近い家や空き家で水道管の凍結、破裂による漏水が多発し、水を一時的に蓄える「配水池」が空っぽに近い状態になった。 市職員らは約 1,300 軒ある空き家のうち断水地域の約 500 軒を回り、元栓を閉める作業をしたという。 市は 29 日夜以降、通水を始める。 徐々に範囲を広げるが、断水で水道管がさび始めており、飲み水として利用するには時間がかかるという。 担当者は「冬に長い間家を空ける時は元栓を閉めてほしい。」

県によると、29 日午後 1 時現在、輪島市、七尾市、宝達志水町、志賀町でも計約 4,300 世帯が断水。 七尾市の 988 世帯は午後 4 時半に全面復旧した。 2,767 世帯が断水した輪島市の港には 29 日昼、飲料水を積んだ金沢海上保安部の巡視船が着いたという。 (小島弘之、asahi = 1-29-23)


カレールー購入額 1 位は鳥取、上位の特徴は 1 月 22 日はカレーの日

1 月 22 日は「カレーの日」。 1982 年、栄養教諭らで作る全国学校栄養士協議会がこの日に合わせ、カレーを給食メニューとして提供するよう全国の学校に呼びかけたことに由来する。 当時から子どもたちに人気だったカレーは「国民食」として定着していった。 そんなカレーを最も食べているのはどこの街か。 カレールー購入額の過去 10 年の年平均を都道府県庁所在地別に調べた。

総務省の家計調査で、2 人以上世帯のカレールーの購入額を調べた(小数点以下は四捨五入)。 カレー粉、ドライカレーの素、レトルトパックは含まれない。 2012 - 21 年の 10 年間の全国平均は 1,436 円。 ここ 10 年はおおむね横ばいで、食の多様化が進む中で、カレーの根強い人気がうかがえる。

トップ3は日本海側

県庁所在地別の 1 位は鳥取市(1,800 円)だった。 小売物価統計調査によると、カレールー1箱(12 皿分)は鳥取市で平均二百数十円。 これを元にすると年 8 箱ほど買う計算だ。 2 位は新潟市(1,747 円)、3 位は金沢市(1,645 円)と、トップ 3 には日本海に面する都市が並んだ。

NTT タウンページによると、金沢市のある石川県は、20 年から 3 年連続で人口 10 万人あたりのカレー店の登録件数が全国トップ。 「ゴーゴーカレー」や「チャンピオンカレー」は、濃厚なルーが特徴の「金沢カレー」の店として県外でも有名だ。 購入額が最も少なかったのは神戸市で 1,280 円だった。 名古屋市、那覇市と続いた。 東京都区部は全国平均よりも 80 円少ない 1,356 円で 40 位だった。

カレー人気、「三つの要因」とは

鳥取市でカレーがよく食べられているのはなぜか。 「カレー総合研究所」の代表で、全国 8 千店以上のカレーを食べてきたという井上岳久(たかひさ)さんは、「三つの要因が関連しているのでは」と話す。

一つ目はカレーに欠かせない米だ。 中国山地から日本海に豊富な水が注ぐ鳥取県は、古くから米どころとして知られる。 購入額 2 位の新潟市は全国有数の米産地であることから、カレーの消費量とつながりがあるとみる。 鳥取県ではカレーに合う米「プリンセスかおり」を 17 年に開発。 長粒でモチモチした食感が特徴で、ポップコーンのような香りがするという。

二つ目はカレーの付け合わせとして食べられる、らっきょう。 鳥取県は、収穫量が全国 1 位だ。 三つ目が、女性の就業率の高さだ。 鳥取県は、女性の生産年齢人口(15 - 64 歳)の労働力率が 77% で全国で 5 番目に高い。 全国最多 79% の島根県にある松江市のカレールー購入額は、4 位だ。 「忙しい共働きの家庭でも手軽に作ることができ、作り置きもできる」と井上さんは語る。

井上さんは鳥取が保守的な地域であることも関連しているとみる。 鳥取は選挙において保守勢力が強い。 民主党が 300 議席超を獲得して政権交代を実現した 09 年の衆議院選挙でも、鳥取の小選挙区の 2 議席は自民党が勝利した。 「一度好きになったものを長く大切にする傾向があるのではないか」と井上さん。 県選出の自民党の石破茂・元幹事長は「カレー通」として知られる。

スーパーではルーの特売も

給食ではカレーライスだけでなく、カレー味のから揚げやカレー風味のミネストローネなど、カレー関連のメニューが多く出されてきた。 井上さんは「カレー好きのサラブレッドを育成しているような地域だ」と話す。 鳥取市在住で、鳥取の食文化に詳しい「鳥取情報文化研究所」の植田英樹さんは「地元のスーパーではカレールーの特売日をよく見かける」と話す。 植田さんが人気の理由として挙げるのは、食の好みだ。

鳥取市では、ケチャップの購入額が全国で比較的上位に位置することに注目。 カレールーと同じく「それ一つで味が決まるものを好む傾向がある」とみる。 上位 10 市のうち、鳥取、新潟、金沢、松江、富山の 5 市が日本海に面している点にも目を付けた。 「魚料理に飽きた人たちが、それとは全く異なる料理としてカレーを食べたくなるのではないか」と推測した。 植田さん自身もひと月に 3 回ほどはカレーを食べるという。 (篠健一郎、asahi = 1-22-23)


月 5 千円の手当、高校生まで独自に支給へ 三重県桑名市が新年度から

三重県桑名市は 20 日、新年度から「子ども応援手当」を創設すると発表した。 国が中学生以下の子どもがいる世帯に支給している児童手当の対象外となっている高額所得世帯と高校生相当の年齢の子どもを持つ世帯に対し、所得制限なしに独自に 1 人あたり月 5 千円を配る。 高校生の年齢までを対象とした支給制度の創設は全国的にも珍しいといい、併せて子ども医療費の無料化も拡充する。

児童手当は、たとえば、子ども 2 人の専業主婦家庭で夫の年収が 960 万円未満の場合、子どもの年齢に応じて 1 人あたり月 1 万 - 1 万 5 千円が支給される。 年収 960 万円以上でも月 5 千円の「特例給付」があった。 しかし児童手当法の改正で、特例給付の対象が狭められ、昨年 10 月、夫の年収が 1,200 万円以上の世帯は対象から外れた。

桑名市が創設する制度は、特例給付から外れた世帯を救済するとともに、さらに対象を高校生相当の年齢の子どもがいる世帯まで広げるもの。 対象となる子どもは市内に約 5 千人おり、年間 3 億円程度の費用が見込まれる。 全国では、東京都の小池百合子知事が今月、同様の制度を検討すると表明している。 一方、桑名市の子ども医療費は現在、所得制限を設けたうえで中学校卒業までを無料としているが、中学生の場合、いったん窓口で支払い、後から償還を受ける仕組みだった。

新年度はまず、4 月に所得制限を撤廃。 9 月からは対象を高校生相当の年齢にまで広げるとともに、すべての対象者の窓口負担をゼロにする。 新制度は、20 日に開かれた市議会臨時会で伊藤徳宇市長が表明した。 取材に対し、伊藤市長は「子育てしやすい桑名市をアピールし、人口増につなげたい」と話した。 (黄K、asahi = 1-20-23)


ウクライナから避難の学生 20 歳のつどいに振り袖姿で出席

ロシアによる侵攻から逃れ、福岡県太宰府市の日本経済大で学ぶウクライナ避難民学生 19 人が 8 日、市中央公民館であった市の「二十歳のつどい」にあでやかな振り袖姿で出席した。 日経大の学生受け入れに賛同して支援している市が事業者の協力を得て学生らの思いに応えた。

学生らは市内の呉服店「きもの利久」で振り袖の着付けをしてもらった。 その後、市中央公民館で、費用の一部を負担したイーエルイープランニング(福岡市)からの企業版ふるさと納税寄付金贈呈式、続いて二十歳のつどいに臨んだ。ウクライナには同様の習慣はないといい、学生らは若者に向けた中学校の恩師からのお祝いメッセージ動画などを興味深そうに見ていた。

カテリナ・エクザルホヴァさん (20) は「素晴らしい振り袖で成人式(つどい)に参加でき、感謝している。 皆、一生忘れられない特別な日になった。」、ソフィア・ユルチェンコさん (20) は「着物姿の写真を両親に送って喜ばせたい。 一生に一度の成人式に日本で参加できることは不思議な巡り合わせだと思う。」と話した。 (桑原省爾、mainichi = 1-8-23)


2 年 9 カ月ぶり、広島 - 台北便が再開 地元はインバウンド復活に期待

コロナ禍で運休していた広島空港(広島県三原市)と台北を結ぶ国際線が 4 日夜、約 2 年 9 カ月ぶりに再開した。 インバウンド(訪日客)による経済効果に期待する地元は、台北からの第 1 便到着に合わせて歓迎式を開き、乗客を出迎えた。 広島 - 台北便は、台湾大手のチャイナエアラインが週 4 往復運航する。 同社はこれまで成田、羽田、中部、関西、福岡、那覇、新千歳間で運航してきたが、今回の広島便で地方路線復活が本格化する。 今月下旬の春節(旧正月)を前に 19 日には高松便も再開する。

到着ロビーであった歓迎式では、エアバス機(180 人乗り)から降りた台湾からの旅行客ら 28 人に、広島県観光連盟などから名物「もみじまんじゅう」が贈られた。 3 年ぶりの日本旅行となる簡益裕さん (40) は記念品を受け取り、「広島市に行き、お好み焼きを食べたい」と語った。  5 日朝には、広島から台北に向かう再開第 1 便が出発。 チャイナエアラインによると、春節の時期はほぼ満席の見通しという。 (西本秀、asahi = 1-5-23)


日本刀打ち初め式で火花散る 刃物の産地で盛業と無事祈り

全国有数の刃物の産地、岐阜県関市の関鍛冶(かじ)伝承館で 2 日、新春恒例の日本刀鍛錬打ち初め式があった。 刀匠らが 1 年の盛業と無事を祈った後、日本刀の素材となる玉鋼(たまはがね)を真っ赤に熱し、折り曲げて大つちで打ち付ける「折り返し鍛錬」を披露。 「カーン」という音とともに火花が散る様子を、新型コロナウイルス対策で人数制限した約 60 人の観客らが見守った。 関伝日本刀鍛錬技術保存会刀匠部会の丹波兼信部会長は「清らかで、1 年が始まったんだなと思います。 皆さんの健康とご活躍を祈って臨みました。 コロナも収まってくれると誠にありがたいのですが。」と話した。 (溝脇正、asahi = 1-2-22)


世界に挑む東北発のモノ ドバイや香港、米仏でウケているものは …

東北発のモノが海外に飛び出している。 暮らしの定番も意外なものも。 見慣れない海外で引き合いになり、価値の再発見につながることもある。

青森 : 薬膳やジュース多岐に

北海道に次ぐ全国 2 位の生産量を誇る青森県の長いもは、米国をはじめ、台湾、シンガポールに輸出されている。 多い年の輸出量は 1 千トンを超える。

食品の輸出に詳しい日本大学の下渡敏治名誉教授によると、青森産長いもの輸出が始まったのは 2001 年。 他の産地のものに比べて、肉質がきめ細かいのが特徴で、首都圏の中央卸売市場を通じて輸出業者の間で取り扱いが増えていったという。 米国ではアジア系住民が多いロサンゼルスの食材店で販売され、台湾では薬膳料理やジュースの材料として人気だという。 県も県産輸出品の「重要品目」に指定する。 県国際経済課の担当者は「食文化が近い東南アジアで販路拡大を目指したい」と話す。(古庄暢)

秋田 : のどごし・時短調理が売り

秋田県から昨年度輸出された加工食品は金額ベースで 77.4% を日本酒が占める。 9.6% で続くのが「稲庭うどん・麺類」だ。 のどごしの良さが特徴の稲庭うどん。 「稲庭うどん 小川 (同県湯沢市、社員 65 人)」は 2016 年にシンガポールとベトナムの展示会に出品したのを皮切りに海外販路を広げている。 現在は 40 カ国と商談し、フランスなど 29 カ国・地域に輸出の実績がある。 「麺の文化は世界中にあり、受け入れられやすい」と小川選子(えりこ)専務 (50) は話す。

アメリカなどでは先行する讃岐うどんと競合することもあるが、「ゆで時間は稲庭が圧倒的に短い」と PR する。 国内需要は近年、コンビニの調理麺や冷凍うどんに押されて減少している。 近年は売上高の約 1 割が海外だといい、国内減少分を補っている。 小川専務は「25 年には 50 カ国に広げたい」と話す。(北上田剛)

岩手 : 独自技術で医療現場へ

岩手県八幡平市の「ジェ・スク」が製造する人工炭酸泉生成装置は、インドネシアや中国の医療現場などに輸出されている。 独自の技術で長い時間をかけなくても、人工的に高い濃度の炭酸泉を生成できる装置を開発した。 炭酸ガスには血管を広げ、血液の循環がよくなる作用があり、糖尿病を抱える人や透析患者の治療で使われている。 瀬川純市郎社長 (39) は「壊死(えし)による足の切断を逃れたケースもある。」

同社は日本、技術者、支える、コミュニケーションの四つの英単語の頭文字を社名に使い、炭酸泉で人々を健康にすることを経営理念に掲げる。 瀬川社長は「各国の実情に合わせ、さらに地域に根ざした展開を考えたい」と語った。(小幡淳一)

山形 : デザイン・機能こだわり

山形県産のスリッパは、イスラエルなどで引き合いがある。 同県河北町は戦後の高度成長期にスリッパの生産量で日本一を誇った。 同町で 1919 (大正 8)年に創業した阿部産業は 2018 年、デザインを重視し、かかとの部分を倒したり上げたりできる「帆布バブーシュ」を発売。 職人が 1 足ずつ手作りしており、20 年以降は海外からも注文が入るように。 これまでに、同国を含め 6 カ国・地域に計 6 千足を輸出した。

阿部弘俊社長 (67) は「コロナ禍で、家の中で靴を脱ぎ、スリッパに履き替える日本の生活様式が同国で注目されているようだ」と語る。 夏が長い同国では同社がつくる室内用の草履も人気だという。(高橋昌宏)

宮城 : 職人技継承へ 海外へ道

江戸末期に仙台藩城下町で誕生したとされ、あめ色の漆や竜を模した鉄金具が特徴の仙台?笥(たんす)は、香港で人気を博している。 1872 (明治 5)年創業の門間?笥店(仙台市若林区)は 2014 年の米国を皮切りに海外に進出。 翌 15 年に香港に出て、現在は直営 2 店を展開する。 いまや売上高の 8 割が香港だという。 輸出は年 4 回程度にまとめて行う。 木目がはっきりと見える明るい色のものが人気だ。 値段はやや高めに設定し、「気持ちよく値切ってもらう」という。 7 代目の門間一泰社長 (46) は「国内は厳しいが、日本の職人芸を次世代に継承したい」と意気込む。 今年3月にはシンガポールにも出て行く予定だ。(三井新)

福島 : セミドライ食感ウケる

2022 年に出荷開始から 100 年を迎えた福島県北地域の名産・あんぽ柿は、中東のアラブ首長国連邦 (UAE) のドバイでじわりと人気を集めている。 日常的にデーツやイチジクなどのドライフルーツを食べる習慣があり、あんぽ柿特有のゼリーのようなセミドライ食感が「新しい」、「ユニークだ」と現地の人たちにウケているという。 福島県によると、同国に本格輸出を始めたのは 21 年度からで、184 キロを冷凍で空輸した。 現地のレストランでは、肉・魚料理のソース、アイスクリームなどの材料として使われているという。

JA ふくしま未来伊達地区あんぽ柿生産部会の佐藤孝一会長 (68) は「こんなに遠い国であんぽ柿が喜ばれるなんて想像もしなかった。 海外でも多くの方に知って、ぜひ食べてもらいたい」と話す。 (力丸祥子、asahi = 1-1-22)


山形県鶴岡市で土砂崩れ、約 10 棟が被害か 高齢の夫婦と連絡とれず

31 日午前 0 時 55 分ごろ、山形県鶴岡市西目で、住宅が崩れていると通行人から 110 番通報があった。 県警や鶴岡市消防本部によると、集落の北東側にある斜面が幅 100 メートル以上、高さ20〜30メートルの範囲で崩れ、住宅や空き家、プレハブなど約 10 棟が土砂に巻き込まれたとみられる。 住家 3 戸が倒壊したとの情報がある。 現場の住宅に住む 70 代女性と 80 代男性の夫婦と連絡がついていないという。

連絡が取れない 2 人とは別に、崩れた建物から 70 代の男性と 60 代の女性が救出された。 2 人とも意識はあり、軽傷という。 警察と消防はほかに救助が必要な人はいないか、確認を続けている。 鶴岡市などによると、西目字斎藤の 8 世帯 22 人に避難指示が出て、近くの公民館には 5 世帯 14 人が避難したという。 山形県は同県東根市の陸上自衛隊第 6 師団長に災害派遣を要請し、受理された。 自衛隊は現場に到着し、捜索活動を始めている。 また、同県の吉村美栄子知事は鶴岡市に災害救助法の適用を決定した。

現場は、JR 羽前水沢駅から西へ約 1 キロ。 民家が県道沿いに連なる住宅地で、鶴岡市の災害ハザードマップで、崖崩れの危険性がある「土砂災害警戒区域」に指定されていた。 ハザードマップは、崖から水がわき出たり、小石がぱらぱらと落ちてきたりしたら崖崩れの前兆の可能性があるとしている。 近隣集落の男性 (54) によると、現場集落の前町内会長から「最近、山から水が出ている」と聞いたという。 近くの集落に住む無職男性 (79) は「夜中にサイレンが鳴り、何事かと思った。 この辺は赤土で崩れやすい。」と話した。

東北電力ネットワーク(仙台市)によると、現場付近の約 900世帯が同日午前 3 時ごろから約 1 時間 40 分にわたって停電した。 崖崩れが原因とみられる。 土砂崩れの現場から県道を挟み、北西に約 100 メートル離れた集落に住む女性 (74) は 31 日、ふだん通り午前 4 時ごろに目覚めた。 「起きた後にトイレに行ったけど、停電で明かりがつかなかった。 暖房器具のスイッチを入れてもダメで、とても寒かった。」 (鵜沼照都、辻岡大助、福地慶太郎、asahi = 12-31-22)


シカがいない唯一の県のはずが … 2 頭捕獲、林業関係者は定着を警戒

全国で唯一、野生のシカが生息していない都道府県とされていた茨城の県北地域で今年 10 月、ニホンジカ 2 頭が捕獲された。 ニホンジカが増えると、樹皮を食べるなどして農林業に影響が出る恐れがある。 そのため、関係者は警戒を強めている。 茨城、栃木、福島県境にまたがる八溝(やみぞ)山周辺。 10 月 27 日、3 県の委託を受けた猟師が 2 人 1 組で山中を見回った。 獲物に気づかれないように歩き、見つけたら銃で仕留める「忍び猟」だ。 この日、大子町内で 2 頭のオスのニホンジカを見つけ、捕らえた。

県内では、大正時代にニホンジカは絶滅したとされていた。 2014 年に環境省がまとめた調査でも、ニホンジカが分布していない唯一の都道府県だった。 しかし、15 年ごろから、県内各地でシカの目撃情報が寄せられ始めた。 県環境政策課によると、写真などで確認できたものだけでも、15 年 11 月以降 54 件。 同課の担当者は「拡大の理由ははっきりしないが、福島や栃木から迷い込んでくるケースが多いのでは」と話す。

県北地域は木材やうるしを生産する林業が盛んだ。 シカが樹皮を食べると、木材の見た目が悪くなって価格が下がったり、傷ついた果物の木が枯れたりする。 19 年 7 月に茨城、栃木、福島の 3 県は連携してシカ対策に動き、協議会を立ち上げた。 20、21 年の秋から冬にかけて、八溝山周辺で猟をしたが、捕獲には至らなかった。 3 年目の今年は初めて、9 月 5 日 - 12 月 2 日の計 25 日間で 4 頭を捕まえた。 県内の 2 頭のほか、大子町と接する福島県棚倉町でも 2 頭を捕獲。 捕獲したシカや設置した監視カメラに写るシカは、いずれもオスばかりで、繁殖行動を伴う生息とまでは言えないという。

今のところ、シカが原因とみられる大きな被害は報告されていない。 だが県北地域で木の伐採や植林をする団体の関係者は、すでに被害が出ている他県の業者から、苗木がシカに食べられたという話をよく聞く。 「本格的に入ってきたら、ものすごい打撃だ。 木を育てられないなら、林業は成り立たない。」と危機感を募らせる。 県環境政策課の担当者は「監視を強め、定着しないよう先んじて手を打っていきたい」と話している。 (藤田大道、asahi = 12-26-22)


愛媛で大規模停電、災害派遣を要請 続く大雪、山形で 173 センチ

強い冬型の気圧配置の影響で 24 日も各地で大雪が降り、山形県では積雪が 170 センチに達した。 東京都心でも今季初の零下を観測。一方、北海道オホーツク地方の紋別市で 23 日に起きた大規模停電はほぼ復旧した。 25 日にかけても東北や北陸地方で大雪となる見込みで、気象庁は交通障害やなだれなどに注意を呼びかけている。

気象庁によると、東京都心では 24 日未明に、今季初めて 0 度を下回り、零下 0.1 度を観測した。 午後 10 時現在の積雪量は、▽ 山形県大蔵村で 170 センチ、▽ 北海道音威子府村で 161 センチ、▽ 青森市酸ケ湯で 140 センチなどとなっている。 愛媛県は、久万高原町で起きた大規模停電の復旧の見通しが立たないことから自衛隊に災害派遣を要請した。 県によると、雪が原因で要請したのは同県では初めてという。

紋別市では送電線の鉄塔が倒壊し、市内全域で約 1 万 3,350 戸が一時停電したが、24 日午後 11 時時点で約 90 戸を残し、復旧した。 市は 23 日夕から 10 カ所の避難所を設置し、毛布やストーブ、発電機、非常食などを用意。約30人が一夜を過ごした。 2 人暮らしの母親と、自宅で布団にくるまって朝を待ったという女性 (55) は「この時期には珍しく、夜も零度前後だった。 流氷の時期だったらと思うとぞっとします。」と話した。

また、北海道遠軽町では、民家の玄関先で女性 (87) が雪に埋もれて死亡しているのが見つかった。 落雪に巻き込まれた可能性があるとみられる。 九州では、24 日早朝には福岡県などに出されていた大雪警報が解除され、同日午前までに大雪のおそれがなくなった。 ただ、九州道や大分道、長崎道などの一部区間で積雪による通行止めが日中も続き、福岡と東京や九州各地とを結ぶ高速バスが終日運休するなど交通への影響が続いた。

空の便では日本航空が 38 便、全日空が 28 便を欠航した。 東海道新幹線は、名古屋市などでの降雪の影響で上下線 159 本に最大 49 分の遅れが出た。 25 日も冬型の気圧配置は続き、同日午後 6 時までの 24 時間に予想される降雪量は、いずれも多い所で、▽ 東北、北陸 60 センチ、▽ 北海道、関東甲信 40 センチ、▽ 東海、中国 30 センチ、▽ 近畿 20 センチ、▽九州北部 15 センチとなっている。 (asahi = 12-24-22)

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国道の通行止め全て解除も混乱続く 大雪で車立往生の新潟

記録的な大雪に見舞われた新潟県では、国道の通行止めが全て解除されましたが、交通機関の混乱や市民生活への影響は続いています。 新潟県では、柏崎市と長岡市などを通る国道 8 号と 17 号は車の立往生などが発生し、およそ 55 キロで通行止めが続いていましたが、午前 8 時までに全て解除されました。 ただ、所々に動けなくなった車が残されていて、通行の妨げとなっています。

JR の在来線は、運休や遅れも相次いでいて、通勤・通学に影響が出ています。 (専門学校生に)この列見てどうですか?

「ちょっと帰ろうかと思った。」
「学校行きたくない。」
「始発で来たんですけど、それも 60 分くらい遅れています。」

また、新潟県内では午前 11 時現在、およそ 8,900 戸で停電が続いています。 こうした中、きのう夕方、柏崎市の住宅前で雪に埋まった軽乗用車の中から 27 歳の女性が心肺停止の状態で見つかり、死亡が確認されました。 一酸化炭素中毒が原因でした。 おとといから停電していたため、車の中で暖をとっていてマフラーが雪に埋まってしまったとみられています。 (新潟放送 = 12-21-22)


鹿児島・出水平野のツル、飛来ピーク 鳥インフル猛威の中

国内最大のツルの越冬地として知られる鹿児島県・出水平野で、ナベヅルやマナヅルの飛来がピークを迎えている。 早朝と夕方にはねぐら周辺で編隊を組んで飛ぶ様子が見られる。 そんな冬の情景の陰で、今季、ツルたちを鳥インフルエンザの猛威が襲っている。 濃密な接触がない限りヒトへの感染はないとされ、例年通りに観光は可能だが、県は死骸には絶対触れないよう呼びかけている。

出水平野には近年、毎季 1 万 5 千羽前後が飛来。 環境省によると、なかでも絶滅危惧種のナベヅルは、全世界の個体の 9 割に当たる 8 千〜 1 万羽が集まる。 昨年、国際的に重要な湿地を保全するためのラムサール条約に登録された。 今季も 10 月中旬から飛来が確認されているが、県は 11 月 1 日以降、計約 1,250 羽(12 月 12 日現在)のツルの死骸や衰弱個体を、鳥インフル感染の疑いがあるとして回収。 過去最多だった 2020 年度の 125 羽を既に大幅に超えた。 回収したツルの遺伝子検査(抽出)で約 150 羽から高病原性のウイルスが検出され、同じく過去最多になっている。

ツル同士の飛沫感染が広まっているとみられるといい、「密」を避けるエサのまき方を工夫するなどの対策をとっている。 鳥インフルは今季、出水市内の養鶏場でも多発し、9 件(殺処分数約 120 万 1 千羽)に達した。 県全体の数として最も多かった昨季の 3 件(同約 15 万 6 千羽)もすでに上回っている。 いずれも採卵用の鶏で、県全体の飼養数の約 1 割が殺処分された。 県は、地域で環境中のウイルスの濃度が高まっているとみて警戒を強めている。 (加治隼人、asahi = 12-15-22)