中国、景気回復を支援 「回復の重要な岐路」と発改委

[北京] 中国国家発展改革委員会(発改委)は 19 日、プロジェクト推進へ資金を注入し、国内消費の拡大を図る考えを明らかにした。 中国経済は第 2・四半期に急 減速したが、先週発表された 8 月の統計は不動産部門が引き続き低迷したものの、鉱工業生産や小売売上高は伸びが加速した。 発改委の孟イ報道官は記者会見で「主要な経済指標には前向きな変化が見られるが、国内経済の回復の基盤はまだ弱く、景気は回復の重要な岐路にある」と述べた。

6 月に 2 カ月にわたるロックダウン(都市封鎖)を解除した上海市は、主要地区で使える約 1 億元(1,430 万ドル)相当の買い物券を 20 日から配布すると表明した。 南部のリゾート島、海南省も同様の措置を発表した。 国務院(内閣)は新型コロナウイルス関連規制で打撃を受けた経済の活性化策を数々発表している。 ゴールドマン・サックスはリポートで「オミクロン株の流行を受けた厳格な規制で各地でロックダウンが頻発し、今年の経済活動を圧迫した。 現在の水準の規制は国内総生産 (GDP) を 4 - 5% 押し下げていると試算する」と述べた。 (Reuters = 9-19-20)

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中国、景気悪化に危機感 = 7 カ月ぶり利下げ - 効果に限界も

【北京】 中国の習近平指導部が景気の急速な悪化に危機感を強める中、中国人民銀行(中央銀行)が 22 日、7 カ月ぶりの利下げに踏み切った。 5 年に 1 度の共産党大会を今秋に控え、当局は景気下支えを急ぐ構えだが、経済の先行き不安から国内の資金需要は伸び悩んでおり、金融緩和の効果は限定的とみられている。 人民銀は事実上の政策金利に当たる最優遇貸出金利 (LPR) 1 年物を 0.05% 下げ、過去最低の 3.65% に設定。 住宅ローン金利の目安となる 5 年物も 3 カ月ぶりに 0.15% 引き下げ、4.30% とした。

国務院(内閣)は 18 日に開いた会議で「実体経済への金融支援を強化する」方針を決定。 市場では当局が今後、金融緩和を一段と強化するとの見方も出ている。 ただ、資金需要の動向を示す社会全体の新規資金調達額は 7 月、前年同月比で約 3 割減と低迷。 新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑える「ゼロコロナ」政策が企業の投資意欲などに響いているためで、「景気回復には利下げのみでは不十分(エコノミスト)」との声も上がる。

利下げに伴う物価高も懸念材料だ。 ロシアのウクライナ侵攻を受けたガソリンや食料品の値上がりで、中国でもインフレが徐々に高進。 失業率が高止まりする中、さらなる物価高は社会の混乱を招く可能性もある。 一方、欧米はインフレ対策で金融引き締めを進めており、金利差拡大による資金流出も気掛かりだ。 中国当局は難しい政策判断を迫られている。 (jiji = 8-23-22)


中国、7 月統計も伸び悩み 習主席は「ゼロコロナ」政策堅持

中国国家統計局が 15 日に発表した 7 月の各種統計は、消費や生産など景気の停滞が依然として続いていることを示した。 習近平(シーチンピン)指導部はゼロコロナ政策を堅持すると強調。 移動制限が各地で断続的に続いており、今後も中国経済の足かせとなりそうだ。 統計によると、消費の状況を示す小売総額は前年同月比で 2.7% 増にとどまり、6 月の 3.1% 増から減速した。 飲食店がマイナスに落ち込み、化粧品や日用品の販売も伸び悩んだ。 企業の生産状況を示す 7 月の鉱工業生産は前年同月比 3.8% 増で、6 月の 3.9% 増から減速した。

冷え込みが続く不動産市場では 1 - 7 月の住宅販売額が前年同期比で 31.4% 減り、回復の兆しが見られない。 若年層の就職難も深刻で、16 - 24 歳の 7 月の失業率は 19.9% となり、過去最高水準が続く。 中国の今年 1 - 6 月期の国内総生産 (GDP) の実質成長率は前年同期比 2.5% にとどまった。 だが、習指導部はゼロコロナ政策を最優先する姿勢を崩していない。 今月 6 日には観光客でにぎわう海南省三亜で事実上のロックダウン(都市封鎖)が始まり、約 8 万人が足止めされるなど影響が広がった。

7 月 28 日にあった中国共産党の政治局会議では、下半期の経済運営について「最も良い結果を実現するように努力する」と表現。 「5.5% 前後」とした今年の経済成長目標の達成について言及せず、数字を絶対視しない姿勢を示した。 (西安 = 西山明宏、asahi = 8-15-22)

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中国統計、消費 3 カ月連続マイナス ゼロコロナの影響 上海ではデモ

中国国家統計局が 15 日に発表した 5 月の各種統計は、厳格なゼロコロナ政策が経済に打撃を与えている現状を浮き彫りにした。 消費を示す小売総額は 3 カ月連続でマイナスを記録。 企業の生産も低い水準にとどまった。 ロックダウン(都市封鎖)の影響は各所で続いている。

統計によると、小売総額が前年同月比 6.7% 減。 厳しい移動制限などで衣服や飲食店のほか、自動車などの高額消費も大きく落ち込んだ。 企業の生産を示す鉱工業生産は同 0.7% 増と 4 月からプラスに転じたが、低水準にとどまった。 今回の統計は、上海市全土の都市封鎖と北京市の移動制限の期間と重なり、習近平(シーチンピン)政権のゼロコロナ政策が人々の消費意欲や企業の生産に悪影響を及ぼしている実態が裏付けられた。

上海市の中心部にある服飾問屋街では 13 日、異様な雰囲気に包まれた。

「賃料を返せ、賃料を返せ。」

100 人以上の店舗関係者による抗議デモが発生。 駆けつけた警察官に排除されたが、14 日も警察による巡回が続いた。 彼らの要求は、前払いしていた家賃の返金。 3 月上旬に新型コロナウイルス感染者が見つかり、全市が封鎖される前に問屋街は封鎖され、店主らは 3 カ月間も営業できずに収入源をたたれた。 20 年以上商売を続ける 50 代の男性店主は「なぜテナントだけが損をしなければいけないのか納得できない」と憤る。 上海市は国有企業の物件に入居する事業者に最大 6 カ月の家賃免除の支援策を決めたが、個人事業主は対象外という。

別の 40 代の男性店主は、13 日にようやく営業を再開したが、感染を警戒してか客入りは少ないと嘆く。 「また感染者や濃厚接触者が出れば店を閉じなければいけない。 いつまで商売を続けられるかわからない。」 男性用のシャツやズボンなどを扱う女性店主は、10 日に営業を再開したが、まだ閉じたままの倉庫にも商品があるという。 「3 - 5 月は春夏モノのかき入れ時なのに収入を失っただけでなく、季節違いで売れなくなった商品の在庫がたまってしまった」と話す。 この間の損失は約 400 万円にも上るという。

中国メディア財新によると、低価格品を扱う問屋街としては上海市を中心とする華東地区で最大規模で、最盛期には 1 日 10 万人の人出があったという。 だが、いまはその面影はない。 他の統計でも経済の停滞ぶりがうかがえる。 中国人民銀行が発表した 5 月の金融統計によると、設備投資や住宅ローンなど期間が 1 年以上の中長期の融資額は前年同期から 4 割減少。 特に個人向けは同 76% と大きく減少した。 住宅購入を先送りしている構図が浮かぶ。 企業では短期融資額が大きく伸びていたが、中長期は 15% 減少となった。

7 月中旬には 4 - 6 月期国内総生産 (GDP) の速報値が発表される。 北京では今週から感染拡大の恐れがあるとして一部地区で PCR 検査の強化や飲食店の営業停止を求める動きがある。 専門家からは「このままでは GDP がプラスになることは難しい(日本人アナリスト)」との見方が強まっている。

習指導部は共産党大会を秋に控え、今年の経済成長率目標を 5.5% 前後とすえた。 李克強(リーコーチアン)首相は 5 月 25 日、政府職員ら 10 万人を集めたオンライン会議を開き、党大会に向けて良好な経済成長を実現することは「重大な政治問題だ」と強調した。 だが、ゼロコロナ政策の影響で経済は急減速。 中国政府関係者は「これまでの回復を無駄にしたのは自分たちだ」と述べるなど、政府内にも動揺や不満の声が出始めている。

国際通貨基金 (IMF) によると、中国の経済規模が世界に占める割合は 21 年に 18% 超まで上昇。 世界全体の経済成長率への寄与度も「25% 前後(国家統計局)」とされる。 中国経済の減速は世界や日本の景気停滞にもつながりかねない。 (北京 = 西山明宏、上海 = 井上亮、asahi = 6-15-22)

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中国の 4 月小売り売上高、前年比 11.1% 減 … ロックダウンが影響

【北京 = 小川直樹】 中国国家統計局が 16 日発表した 4 月の主要経済統計によると、小売り売上高は前年同月比 11.1% 減、鉱工業生産は 2.9% 減だった。 1 - 4 月の固定資産投資は前年同期比 6.8% 増だった。 新型コロナウイルス感染対策で上海市など主要都市を都市封鎖(ロックダウン)している影響の大きさが浮き彫りになった。 (yomiuri = 5-16-22)


中国外食業界の危機鮮明、「味千ラーメン」も 18 億円の損失

中国の日本式ラーメンチェーン大手「味千拉麺」を運営する味千中国は、中国政府のゼロコロナ政策によって今年上半期に収益を悪化させた企業の群れに加わった。 味千中国は 8 月 5 日の提出書類で、2022 年上半期の純損失が 9,000 万元(約 18 億円)に達する見通しだと発表した。 同社は前年同期に 4,970 万元の純利益を計上していた。 同社の収益は前年同期から 33% 急減し 6 億 7,750 万元に落ち込んだ。 「収益の減少は主に中国本土と香港における新型コロナウイルスの感染再拡大によるものだ」と味千中国は述べている。

「パンデミックの影響で、中国本土と香港のレストランの一部が営業停止または制限を受けることとなり、収益が減少した」と同社は述べている。 味千中国は、2021 年末時点で中国本土を中心に 737 店舗を運営している。 上海や北京などの主要都市では、第 2 四半期に数千万人がロックダウンの影響を受けた。 中国政府は、この措置により、100 万人以上が新型コロナウイルスによる死亡を回避できたと述べている。

中国では他の外食業界の企業も苦境に直面している。 スターバックスの 4 月から 6 月の中国の既存店売上高は、前年同期比 44% 減だった。 ヤムチャイナは、6 月末までの 3 カ月間の純利益が 54% 減の 8,300 万ドルになったと発表した。 昨年 9 月に香港で上場した中国最大のバー・チェーンの運営元の Helens International Holdings も、今月初め、パンデミックの影響で 2022 年の上半期の損失が前年同期の 12 倍にも膨れ上がったと発表した。 (Russell Flannery、Forebes = 8-8-22)


中国 CPI、6 月は前月比横ばい

【北京】 中国国家統計局は 9 日、今年 6 月の消費者物価指数 (CPI) を発表した。 同局公式サイトが掲載した董莉娟(とう・りけん)都市司上級統計師による解説は次の通り。

6 月の CPI は国内の感染予防・抑制状況が全体的に安定に向かって好転し、重要な生活必需品の供給が十分だったことにより、前月比が 5 月の 0.2% 低下から横ばいに転じた。 前年同月比は昨年の価格変動の影響で 2.5% 上昇し、上昇幅が前月から 0.4 ポイント拡大した。 食品とエネルギー価格を除いたコア CPI は前年同月比 1.0% 上昇となり、上昇幅は前月から 0.1 ポイント拡大した。

前月比では、食品価格が 1.6% 低下で、下げ幅は前月から 0.3 ポイント拡大し、CPI を約 0.3 ポイント押し下げた。 供給拡大や物流改善、買い貯め需要の減少などにより、生鮮野菜が 9.2%、卵が 5.0%、生鮮果物が 4.5%、水産物が 1.6% それぞれ低下した。 一部養豚業者による供給削減・売り惜しみや感染状況安定後の消費需要がやや増加したことなどを受け、豚肉価格は引き続き上昇。 上昇幅は 2.9% で、前月から 2.3 ポイント縮小した。 非食品価格は 0.4% 上昇し、上昇幅が前月から 0.3 ポイント拡大し、CPI を約 0.32 ポイント押し上げた。

中でも、国際原油価格の上昇の影響を受け、ガソリンが 6.7%、軽油が 7.2% それぞれ上昇した。 上昇幅はガソリンが前月から 6.1 ポイント、軽油が 6.6 ポイントそれぞれ拡大した。サービス消費はいくらか回復し、航空券価格が19.2%、旅行価格が1.2%上昇した。上昇幅は航空券価格が前月から15.0ポイント、旅行価格が0.8ポイントそれぞれ拡大した。 ホテル宿泊料金は前月の 0.7% 低下から 0.3% 上昇に転じた。

前年同月比では、食品価格が 2.9% 上昇となった。 上昇幅が前月から 0.6 ポイント拡大し、CPI を約 0.51 ポイント押し上げた。 中でも、食糧、食用油、卵、生鮮野菜の上昇幅が 3.2% - 6.6% となり、生鮮果物が 19.0% 上昇し、豚肉が 6.0% 低下した。 非食品価格は 2.5% 上昇し、上昇幅は前月から 0.4 ポイント拡大し、CPI を約 2.01 ポイント押し上げた。 この中でガソリンが 33.4%、軽油が 36.3%、航空券価格が 28.1% それぞれ上昇し、上昇幅はいずれも拡大した。 教育サービス価格は 2.5%、医療サービス価格は 0.9% それぞれ上昇したが、上昇幅はいずれも前月と同じだった。

6 月の前年同月比上昇幅 2.5% のうち、前年の価格変動によるキャリオーバー効果の影響は約 1.2 ポイントで、新たな価格上昇による影響は約 1.3 ポイントと推計された。 (中国・新華社 = 7-10-22)

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6 月の中国物価、2.5% 上昇 = ガソリンや食品の値上がりで

【北京】 中国国家統計局が 9 日発表した 6 月の消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比 2.5% 上昇した。 伸び率は前月から 0.4 ポイント拡大。 ロシアのウクライナ侵攻を背景にガソリンや食品の値上がりが目立った。 食品価格は 2.9% 上昇。 中国の物価動向を左右する豚肉の下げ幅が急速に縮小した。 ガソリンは 33.4% も上昇した。 (jiji = 7-9-22)


中国経済、4 - 6 月マイナス成長を高頻度データ示唆 - GDP 発表控え

中国経済が今年 4 - 6 月(第 2 四半期)に 2020 年以来のマイナス成長に陥る兆候が増している。 そのような景気下降を認めることを政府は避けるとアナリストはみており、公式統計にあらためて厳しい目が向けられている。 ブルームバーグが調査したエコノミストの予想によると、来週発表される中国の 4 - 6 月の国内総生産 (GDP) は、前年同期比約 1.5% 増となる見込み。 しかし 6 月の高頻度データは、一部都市のロックダウン(都市封鎖)が長引く影響で 4 - 6 月の景気縮小を示唆している。

過去一度しか起きたことのない四半期ベースのマイナス成長に実際に陥れば、新型コロナウイルス関連の制限の下から景気が回復するペースが 20 年より鈍く、低迷する世界経済にもそれほど大きく貢献しない様子が際立つ。 中国の習近平国家主席がゼロコロナ政策を継続しつつ、5.5% 前後という年間成長率目標を何としても達成するよう指示する中で、公式統計の正確さを巡る議論が今年いっぱい続く可能性が高い。

調査会社ローディアム・グループの中国市場調査責任者、ローガン・ライト氏は「4 - 6 月の GDP がプラスの伸びになりそうだと思わせる話は存在しない。 世帯消費の減少は小売売上高の公式統計と他の代理指標でいずれも極めて顕著だ。 不動産セクターも引き続き大きな妨げになっている。」と指摘した。 TS ロンバードの輸送データ分析によると、中国国内の乗用車のトラフィックは 7 月にかけ昨年の水準をほぼ下回っていた。 またバリフライトによれば、4 - 6 月の国内航空便の運航本数は前年同期比で 62% 減少した。

GDP との密接な関連を専門家が指摘する都市を結ぶトラック輸送も伸び悩んでいる。 デジタル物流会社 G7 コネクトのデータによると、6 月最終週のトラックのトラフィックは前年同期を約 20% 下回った。 (Bloomberg = 7-7-22)

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中国 GDP、第 1 四半期は前年比 +4.8% で予想上回る 今後減速も

[北京] 中国国家統計局が 18 日発表した第 1・四半期の国内総生産 (GDP) は前年比 4.8% 増加し、市場予想を上回った。 1 - 2 月の中国経済が予想外に好調だった一方、3 月以降は新型コロナウイルス感染対策の広範な規制やウクライナ戦争が打撃となり、消費や不動産市場、輸出が落ち込みつつあり、今後数カ月で景気が大幅に減速するリスクを示唆している。 ロイターがまとめた GDP 統計のアナリスト予想は 4.4% 増だった。 2021 年第 4・四半期は 4.0% 増加していた。

前期比の伸び率は 1.3% で、こちらもアナリスト予想の 0.6% を上回った。 第 4・四半期は 1.5% に改定された。 同日発表の 3 月の小売売上高は前年比 3.5% 減少と、1 - 2 月の 6.7% 増から減少に転じ、市場予想の 1.6% 減よりも大幅な落ち込みとなった。 国内のコロナ感染拡大と一部都市のロックダウン(封鎖措置)が響いた。 国家統計局によると、最終消費の第 1・四半期 GDP 伸び率への寄与率は 69.4% で、前四半期の 85.3% から低下した。

中原銀行のチーフエコノミスト、Wang Jun 氏は、第 1・四半期 GDP は前四半期から伸びが加速したが、政府が掲げる今年の成長目標の 5.5% には程遠いと指摘。 3 月はサービス消費の低迷が示すように、コロナ規制の景気への打撃が大きかったとの見方を示した。 第 2・四半期については、より大きな圧力にさらされると予想。 景気減速の度合いは、政府がコロナ対策を柔軟に調整するかどうかとマクロ政策を通じて景気支援を拡大するかどうかに左右されると指摘した。

統計局が発表した 3 月の鉱工業生産は前年比 5.0% 増と、伸び率は 1 - 2 月の 7.5% から鈍化したが、ロイターがまとめた市場予想の 4.5% は上回った。 第 1・四半期の固定資産投資は前年同期比 9.3% 増。 伸びは 1 - 2 月の 12.2% から鈍化したが、市場予想の 8.5% を上回った。 ロイターが算出した 3 月の住宅販売(金額ベース)は前年比 26.17% 減と、2020 年 1 - 2 月以来の大幅減を記録。 不動産市場がさらに減速する兆しを示した。

上海など中国各地でコロナ対策の規制が長引く中、専門家は 4 月の経済指標はさらに悪化するする可能性が高いとみる。 労働市場ではその兆しが見られており、この日発表された 3 月の中国全国の調査ベース失業率は 5.8% と、2020 年 5 月以来の高水準となり、2 月の 5.5% から悪化した。 国家統計局の報道官は、今年の中国経済は回復トレンドを維持する公算が大きいと発言。 見通しを安定させるため、マクロ政策の履行を強化すると述べた。 新型コロナを封じ込め、消費者物価の上昇を管理することが可能だとの認識も示した。 (Reuters = 4-18-22)


中国 3 隻目の空母進水 習氏ゆかり「福建」と命名 - 党大会へ実績誇示

【北京】 中国の上海で 17 日、同国にとって 3 隻目の空母「福建」が進水した。 国営中央テレビが進水式の様子を伝えた。 国産空母としては 2 隻目で、就役は早ければ 2024 年ごろとの見方がある。 軍事力の象徴と位置付けられる空母の整備を通じて、秋の共産党大会で 3 期目を目指す習近平総書記(国家主席)が大きな実績を誇示した形となった。

国営メディアによると、進水式には中国軍制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席が出席した。 空母は満載排水量 8 万トン超で、平らな甲板を採用し、リニアモーターを使って効率的に艦載機を射出する「電磁カタパルト」が装備された。 名前の由来となった福建省は習主席が長く勤務した地で、台湾にも近い。 テレビの映像では、3 基のカタパルトとみられる構造物の上に「世界一流の軍隊を建設する」などのスローガンが掲げられた。

現有の空母は、旧ソ連製の船体を改修した「遼寧」と、国産の「山東」の 2 隻。 3 隻目は当初、4 月の海軍創設記念日に進水するとみられていたが、上海市の新型コロナウイルス感染拡大による作業の遅れが指摘されていた。 同市のロックダウン(都市封鎖)解除を経て、7 月 1 日の共産党創立記念日の前に進水が実現した。 (jiji = 6-17-22)


中国と太平洋島しょ国、安保協定で合意に至らず

中国の王毅外相と太平洋島しょ国 10 か国は 30 日、広範な安全保障協定について協議を行ったものの、合意には至らなかった。 王外相は 10 日間の日程で太平洋諸国を歴訪。 同日、訪問先のフィジー首都スバから、同国との共同主催でオンライン会合を開き、関係各国の首脳や外相が出席した。 会合では、南太平洋地域の安保や経済、政治面で中国の関与を劇的に強める内容の協定案をめぐる協議が予定されていたが、一部の首脳が深い懸念を示し、合意に至らなかった。

フィジーのボレンゲ・バイニマラマ首相は会合後、「いつもそうであるように、われわれは合意形成を最も大切にしている」と述べ、「新たな地域協定」を締結する前に大筋での合意が必要との考えを示唆した。 王外相による歴訪を前に中国が提案した「共通発展ビジョン」には、同国が太平洋島しょ国の警察を訓練する、サイバーセキュリティーに関与する、政治面での連携を強化する、陸海の天然資源へのアクセスを拡大するなどの内容が含まれていた。 中国側は協定の締結を促すため、巨額の資金援助や自由貿易協定の策定などを提示していた。

非公開で行われた会合の後、王外相は協定案には言及せず、代わりに太平洋島しょ国 10 か国が中国の「一帯一路」構想に関する覚書を交わしたと発表した。 また、中国の計画について懸念している関係者に対しては「心配し過ぎたり、神経質になり過ぎたりしない」よう呼び掛けた。 太平洋諸国の多くは、気候変動対策や短期的な経済問題に取り組む中で、米中両国との関係のバランスを取りながら中国との友好関係を維持する姿勢を示している。 (AFP/時事 = 5-30-22)


「中国の ZARA」が 4 年連続赤字で上場廃止の背景
拉夏貝爾(ラ・シャペル)、野放図な拡大路線が命取りに

中国のアパレル大手の拉夏貝爾(ラ・シャペル)は 4 月 14 日、上海証券取引所から同社の A 株(人民元建て株式)の上場廃止を決定する通知書を受け取ったと発表した。 拉夏貝爾は 2021 年まで 4 年連続で最終赤字を計上し、A 株の上場廃止基準に抵触したためだ。 これに先立つ 3 月 30 日、同社は上海証券取引所が同社株の上場廃止手続きに入り、3 月 31 日から市場での取引を停止する旨の通知書を受け取ったことを明らかにしていた。

上海証券取引所の規定に基づき、拉夏貝爾の A 株は 4 月 22 日から上場廃止の整理期間に入り、その満了から 5 営業日後に正式に上場が廃止される。 なお、拉夏貝爾の 2021 年の決算報告書によれば、同年の売上高は 4 億 3,000 万元(約 85 億円)と前年から 76.5% も激減、純損益は 8 億 2,100 億元(約 162 億円)の赤字だった。 2021 年 12 月末時点の純資産は 14 億 3,100 万元(約 282 億円)のマイナスとなり、債務超過に陥っていた。

9,000 店超の直営店が 300 店に激減

拉夏貝爾は 1998 年の創業後、ファストファッション、マルチブランド、全店舗直営などの戦略を掲げて業容を急拡大させた。 傘下の代表的ブランドには「ラ・シャペル」、「ピュエラ」、「キャンディーズ」などがある。 同社が経営のベンチマークにしていたのは、ファストファッションの世界的ブランドの「ZARA (ザラ)」だった。 同社は 2014 年 10 月に香港証券取引所に上場した後、2017 年 9 月には上海証券取引所にも上場を果たした。 そして、資本市場から調達した資金の多くを店舗網の拡張に投入。 その結果、2012 年に 3,340 店だった店舗数はピークの 2018 年には 9,269 店に急増した。

だが、野放図な拡大路線が経営コストの膨張を招き、拉夏貝爾の純損益は 2018 年に赤字に転落した。 それを機に、同社は一転して不採算店舗の大量閉鎖に乗り出したが、出血を止めることができなかった。 2021 年末時点で、同社の店舗はわずか 300 店しか残っていない。 (孫嫣然・財新/東洋経済 =5-2-22)

〈編者注〉 文中には、コロナ禍の影響について一言も述べられていませんし、コロナ禍が主要因とも思えません。 しかしながら、「コロナ禍が止めを刺した」と言えるのではないでしょうか!


テスラも日立も工場稼働を停止 … 中国経済の停滞、世界に広がる余波

中国の今年 1 - 3 月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価の変動を除いた実質で前年同期比 4・8% 増えた。 前期(2021 年 10 - 12 月期)の 4.0% から拡大したものの、上海などでロックダウン(都市封鎖)が始まった 3 月は各種統計の数値で伸び悩み、減速が顕著になった。 中国国家統計局が 18 日に発表した。 GDP を前期と比べた伸び率は 1.3% となり、前期の同 1.5% から減速した。

GDP と同時に公表した他の統計をみると、中国経済の停滞ぶりがうかがえる。 企業の生産状況を示す鉱工業生産は前年同期から 6.5% 増えたが、3 月だけでみると前年比 5.0% 増と縮小。 鉄鋼やセメント、自動車、半導体などを含む集積回路など幅広い分野でも生産量が減少した。 個人消費の状況を示す小売総額も 1 - 3 月期で前年同期比 3.3% 増えたが、3 月だけでみると前年同月から 3.5% 減に。 飲食は同 16.4% のマイナスだった。 厳しい移動制限や外出制限で飲食や旅行などの消費が伸び悩んでいる。 小売総額は衣服や宝石類などぜいたく品も減少した。

中国恒大集団の巨額債務問題などから冷え込みが続く不動産も低迷している。 不動産投資は前年同期から 0.7% 増にとどまったほか、住宅の販売額は同 25.6% 落ち込んだ。 地方都市を中心に減税や 2 軒目の住宅購入の解禁など促進策を導入したが、値上がりへの期待が薄いため購入者が減っていることが影響した。 (北京 = 西山明宏)

テスラもアップルも … 相次ぐ工場停止

中国経済停滞の影響は世界経済に波及しつつある。 米ブルームバーグ通信によると、EV 大手の米テスラは、欧州などにも輸出する上海の工場が 3 月 28 日から停止したままで、約 4 万台が生産できなかった計算になるという。 米アップルの iPhone の生産を請け負う台湾の和碩聯合科技(ペガトロン)は 12 日、上海と江蘇省昆山にある 2 工場を停止した。

国際通貨基金 (IMF) は今年 1 月、新型コロナなどの影響から今年の中国の経済成長率を 0.8 ポイント減の 4.8% に下方修正した。 「中国が広範囲で減速すれば、主に物資輸出国や新興国に飛び火し、世界の見通しにも悪影響を与えるだろう」とする。 日本にも影響が出始めている。 上海日本商工クラブが 14 日発表したアンケートでは、53 社中 36 社が「市外との物流が停止」と回答。 18 社が「工場を停止している」とした。 日立製作所や三菱電機などの日系企業が相次いで現地の工場を稼働停止にした。 三菱自動車は上海から部品が届かないことなどから、岡崎製作所(愛知県)での車両組み立てを一時休止した。

在上海日本総領事館は 15 日、同市に拠点を置く日系企業に「深刻な影響が生じている」と訴える異例の書簡を宗明副市長宛てに送った。 領事館によると、上海には約 1 万 1 千社が拠点を構える。 書簡では「先行きの不透明感が企業活動にとって大きな制約となっている」として、経済回復の筋道を示すことを求めた。

財務省の貿易統計によると、21 年の中国向け輸出額は全体の 2 割を占め、中国の購買力が落ちれば輸出産業全体に打撃となる。 三井住友 DS アセットマネジメントの吉川雅幸氏は、製造業などの生産動向を示す鉱工業生産指数が中国で 1% 下落すれば、日本の同指数も 0.2% 下がると試算。 「経済の減速が各国に波及すれば、日本にとっては中国以外への輸出も減る可能性があり、痛手になる」と話す。 (西山明宏 = 北京、井上亮 = 上海、筒井竜平)

「最大要因はロックダウン 経済成長率 5.5% は困難」 大和総研・斎藤尚登主席研究員

中国経済が減速している最大の要因は、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込むため実施しているロックダウン(都市封鎖)だ。 特に 3 月は移動制限の影響が大きい小売りや外食が急激に落ち込んだ。 影響は製造業にも出ている。 都市封鎖が続く上海市や吉林省は自動車生産量が中国全体の約 2 割を占めており、自動車の生産が大幅に落ちている。

ただ、大半の都市ではコロナ感染拡大は 1 週間ほどで収束するとみられている。 その後は政府がインフラ投資などの景気刺激策を進めていくというのがメインシナリオだろう。 政府が目標として掲げる経済成長率「5.5% 前後」の達成は難しいと思うが、今年後半に持ち直し、5.1% 程度になることが見込まれる。 懸念材料は、やはりコロナだ。 中国政府は今後もゼロコロナ政策を維持するとみられる。 感染が爆発した上海はすでに、正常化に数カ月かかる可能性が指摘されている。 都市封鎖が長引けば、年間の成長率は 3% 台半ばまで落ち込む恐れがある。 そうなれば、3 期目を目指す習近平(シーチンピン)総書記の政権基盤を揺るがしかねない。(聞き手・江口英佑)

「世界経済の停滞懸念 日本には特に痛手」 農林中金総合研究所・南武志理事研究員

中国経済の減速が明確になったことで、世界経済が停滞する懸念が強まっている。 欧州や日本の自動車の製造拠点にもなっている上海市がロックダウンされ、経済がほとんど止まった状態が 1 カ月も続いている。 サプライチェーン(供給網)が寸断され、影響は世界経済に波及しつつある。 自動車産業への依存度が高い日本にとっては、特に痛手だ。

中国は景気対策として、金融緩和と財政出動を続けるだろう。 新型コロナウイルスを完全に抑え込もうとする「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」に規制を緩和するかどうかが今後の鍵となるだろう。 ただ、いまや中国だけが世界経済を牽引するという状況ではない。 ロシア軍がウクライナから撤退しなければ、世界経済は今後半年くらいは停滞感が強まるだろう。 ウクライナ危機は国際経済での中国の立場も揺るがしかねない。 中国はロシアとの親密な関係から国際社会の厳しい視線にさらされているからだ。 中国からの生産拠点の移転や資本の引き揚げなどの動きが出てくる形で景気押し下げとして跳ね返ってくる可能性もある。(聞き手・細見るい、asahi = 4-18-22)

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上海封鎖、中国経済にブレーキも 部品入らず日本の車生産まで止まる

中国最大の経済都市である上海のロックダウン(都市封鎖)が長引き、経済への打撃が深まっている。 「ゼロコロナ」を目指した外出禁止や移動制限により、生産・物流が滞っている。 サプライチェーン(供給網)でつながる日本にも、影響は広がり始めた。

物流と生産がマヒ 工場生産も止まる

中国の日系企業の物流関係者は「先が読めないのがつらく、どうしたらよいものか」と嘆く。 上海の浦東国際空港は従業員も出入りが制限され、空港職員や航空会社の社員らが泊まり込みで業務に当たる。ただ、職員の減少もあって、3 月末から便数が 2 割減った。 日本航空は 1 日 2 便ある上海と日本を結ぶ航空貨物便について、8 日は欠航とした。 9 日以降も状況に応じて欠航の判断をするという。 全日本空輸は、当面 1 日 2 便とする方針だが、通常時からはほぼ半減している。

海運も同様だ。上海港のコンテナ取扱量は 12 年連続で世界一を誇るなど、日本や世界にとって物流の一大拠点となっている。 だがシンガポールメディアは、取扱量は平時の 6 割にまで下がっていると報じた。 上海の港湾では今も 24 時間態勢で稼働している模様だ。 ただ、新型コロナの陰性証明がなければトラックの運転手や作業員が港湾内に入れないことが影響している。

企業活動も停滞している。 ロイター通信によると、米電気自動車大手テスラは上海工場での生産を 3 月 28 日から一時止めた。 テスラは詳しく発表していないが、当初 1 日のみの予定だったが、生産停止を延長しているとみられる。 中国メディアはドイツ自動車大手のフォルクスワーゲンの関係者の話として、地元の上海汽車との合弁の上海工場で生産を止めていると報じた。

日系企業も相次ぎ上海にある拠点の操業停止に追い込まれた。 日立製作所は、現地の自動車工場向けのエンジン部品やサスペンションをつくる工場を持つが、市政府の要請を受けて 1 日から稼働を止めている。 三つのエレベーター工場のうち 2 工場でも 1 日から稼働を停止し、1 工場では稼働率を下げた。 停止した工場の稼働再開の時期は未定で、市政府の方針を踏まえて判断するという。

三菱電機は業務用・家庭用エアコンの工場を 3 月末から今月 10 日まで稼働停止にしている。 再開の時期は当局の指示を踏まえて判断するという。 エレベーター工場では稼働率を下げて操業している。 従業員がいったん工場を出ると再び入るときに PCR 検査が必要となるため、従業員は泊まり勤務にしているという。 東芝もエレベーター工場を外出が禁止されている期間は生産停止にした。 ソニーグループも、テレビなどを生産する合弁会社の工場が 3 月 28 日から稼働できないままだ。

販売にも影響が及んでいる。 ホンダと日産自動車は、中国での 3 月の新車販売台数が前年同月から 3 割超減った。 新型コロナウイルスの感染拡大と部品の供給が滞っているためだ。 マツダはさらに大きく同 54% 減。 トヨタ自動車も同 0.4% 増と伸び悩んだ。 新規上場が中止になるケースも相次ぐ。 中国メディアによると、3 月末までに上海株式市場への新規上場 15 件が中止や延期となった。 中国全土でみると 84 件の上場が中止となり、上場した場合の調達予定額は約 600 億元(約 1 兆 2 千億円)にも上るという。 (井上亮 = 上海、伊沢健司、村上晃一)

滞りはじめた中国製部品 日本の自動車生産にも影響

中国での感染拡大や都市封鎖は、サプライチェーン(供給網)を通じて日本国内の生産も不安定にしている。 三菱自動車は、独自動車部品メーカーのコンチネンタルとBHTC が上海でつくる部品を入手できなくなり、岡崎製作所(愛知県)での車両組み立てを 11 日から 5 日間休止する。 「封鎖しながらの生産は順調だ。」 国営中国中央テレビは 5 日、ロックダウンされた上海市内で生産を続ける企業として、コンチネンタルの上海工場を紹介した。 だが、実際に工場で働いている従業員は全体の約 35% しかおらず、生産量を維持できていない可能性が高い。 それが部品供給先の三菱自の岡崎工場の稼働停止に影響したとみられる。

コンチネンタルの工場のある嘉定区は全域が今月 1 日から 5 日まで外出禁止の対象となっていた。 だが、5 日を過ぎても事実上解除されておらず、ロックダウンはなお続いている。 やはり三菱自の操業に影響した自動車のエアコン関連の部品を手がける BHTC の工場は上海東部の閔行区にあり、こちらも 3 月末に外出禁止になっていた。 上海市政府と中国共産党による会議が 3 月 21 日に開かれ、「コロナ対策は最小限のコストで最大限の効果を出す」、「サプライチェーンの安定確保に全力を尽くす」と発表した。 ただ、上海市全域で 7 日に確認された市中感染者は 2 万 1,222 人で 7 日連続で過去最高を更新中で、先行きが見通せない。

ホンダも 4 月、上海のロックダウンなどの影響で、人気車種「N-BOX」などを生産する鈴鹿製作所(三重県)は 3 割、埼玉製作所は 1 割の減産とする。 ダイハツ工業は 1 日と 4 日に大分(中津)第 1 工場を、マツダは 4、5 日に広島本社工場と防府工場(山口県)を止めた。 トヨタ自動車は 3 月 14 日から都市封鎖のため、吉林省長春市の工場を停止したままだ。 各社は主要な部品調達国の感染拡大に警戒を強めている。 仮にトヨタとホンダ、日産自動車の工場が集中し、「中国のデトロイト」の異名を持つ広東省広州市が封鎖されれば、甚大な影響が出そうだ。

東アジアの供給網に詳しい日本総研の野木森稔・主任研究員は「上海では部品供給の停止と物流の目詰まりが深刻だ。 特に部品の代替調達を柔軟には行えない自動車産業は大きな打撃を受けそうだ。 半導体不足も続いており、日本国内でも操業停止に追い込まれる完成車工場が今後も増える可能性がある」とみる。 物流の目詰まりは電子製品など幅広い商品で供給不足につながり、「世界的なインフレに拍車をかけかねない」と話す。 また、各地で相次ぐロックダウンは中国経済の失速の原因にもなり、野木森氏は「22 年の経済成長率の政府目標は 5.5% 前後だったが、この達成は難しい状況だ」という。 (西山明宏 = 北京、福田直之、asahi = 4-8-22)

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中国沖、コロナ禍でタンカーの待機増える - ロシア産などの原油積載

中国沖で待機中のロシアとイラン、ベネズエラから航行してきたタンカーが搭載している原油は計 2,200 万バレルだとデータ・分析企業ケプラーは指摘している。 中国の新型コロナウイルス対策で需要が低下し、流通にも問題が生じており、年初時点の約 1,000 万バレルから大きく増えている。 中国は米国の制裁対象となっているイランとベネズエラから原油を購入し続けている国の一つ。 ロシアがウクライナに侵攻した後、多くの買い手はロシア産原油を避けているが、世界最大の原油輸入国である中国はロシアからも引き続き原油供給を受けている。

ただ、中国では新型コロナの感染拡大が悪化。 こうした安い原油の取引が滞り、タンカーが荷降ろしを待つ時間が長くなりつつある。 ケプラーの石油担当シニアアナリスト、ジェーン・シエ氏はガソリン・ジェット燃料の消費減少などで 4 月に石油需要が少なくとも日量 45 万バレル減少すると予想。 コロナ対策としての「ロックダウン(都市封鎖)が確実に中国の交通とそれに伴う石油需要に大きな影響を与えつつある。 それに流通の目詰まりもある。」と語った。

ブルームバーグが公式データを基に算出したところによれば、中国の石油顕在需要は、コロナ禍が悪化する前の 1、2 両月、平均で日量 1,370 万バレル前後だった。 ケプラーによると、中国の港湾における船舶の平均待機時間は現在 5.85 日。3 月 28 日からの 1 週間は 4.46 日だった。 最大 100 万バレルの原油を積載できるスエズマックス型タンカーは 15 日と、先週の 4.46 日から急激に待ち時間が増えている。 (Bloomberg = 4-7-22)


中国のアルミ生産、3 月は前年比 +1.8% 昨年 5 月以降で最高

[北京] 中国国家統計局が 18 日発表した 3 月のアルミニウム生産は前年同月比 1.8% 増加し、昨年 5 月以降で最高となった。 利益が高水準で、生産が回復した。 一次アルミニウム生産は 330 万トンで、前年同月の 327 万 6,000 トンから増加。 ロイターが国家統計局のデータを基に算出したところによると、1 日当たりの生産量は 10 万 6,452 トンで、1 - 2 月の平均(10 万 7,288 トン)をやや下回った。

雲南省など一部の地域では昨年の電力制限から生産が回復したが、新型コロナウイルス流行とそれに伴うロックダウン(都市封鎖)で国内需要が低迷した。 第 1・四半期のアルミ生産は 963 万トンで、前年同期の 976 万トンを下回った。 国家統計局によると、非鉄金属 10 種(アルミ、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、水銀、マグネシウム、チタン)の 3 月生産量は 564 万トンと、前年同月の 548 万トンを上回った。 (Reuters = 4-18-22)