4 - 6 月 GDP 年率 2.2% 増、3 期連続プラス コロナ前回復

内閣府が 15 日発表した 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) 速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比 0.5% 増、年率換算で 2.2% 増だった。 新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置の解除で、個人消費が回復して全体を押し上げた。 設備投資も伸びた。 実質 GDP の実額は 542.1 兆円と、コロナ前の 2019 年 10 - 12 月期(540.8 兆円)を超えた。 (nikkei = 8-15-22)

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22 年度成長率は 2.0% 予想を大幅引き下げ、コロナ前回復ならず

政府は 25 日の経済財政諮問会議で、2022 年度の国内総生産 (GDP) の実質成長率が 2.0% になるとの見通しを示した。 世界経済の減速を受け、1 月時点で見込んでいた 3.2% から大幅に引き下げた。 この結果、最高値を更新すると見ていた 22 年度の GDP の規模は縮小し、コロナ前の 19 年度の値にも届かない見通しとなった。 政府は毎年 1、7 月ごろに成長率の見通しを示しており、今回の夏の年央試算は来年度予算案を議論する前提となる。 引き下げ幅は、政府が年央試算の公表を始めた 10 年以降、新型コロナウイルスの影響が最初に出た 20 年度に次いで過去 2 番目の大きさとなった。

22 年度の実質 GDP の規模の見通しは、548.4 兆円となった。 1 月時点の見通しでは 22 年度は 556.8 兆円となり過去最高だった 18 年度(554.3 兆円)を上回る見通しだったが、下方修正によりコロナ前の 19 年度(550.5 兆円)にも届かない。 下方修正の最大の要因は、ロシアのウクライナ侵攻などで打撃を受けた世界経済の成長鈍化だ。 資源価格の高騰は各地で歴史的な物価上昇を引き起こし、欧米の中央銀行は政策金利の引き上げを急いでいる。 経済協力開発機構 (OECD) などの予測に基づく日本の主な輸出相手国の成長率も、1 月の 4.0% から 2.4% に下がった。

さらに半導体などの部品不足に伴う自動車などの生産停滞や、中国の都市封鎖(ロックダウン)の影響もあり、輸出は 5.5% 増から 2.5% 増と伸びが半減する見込み。 企業の設備投資の予測も 5.1% 増から 2.2% 増に引き下げた。 また、23 年度の成長率は参考値として公表した。 1.1% とプラス成長は維持するものの、さらに鈍化すると見込む。 山際大志郎経済再生相は会見で「試算をベースにさらに一段経済成長が高い段階になるように努力したい」と話した。 (北川慧一、asahi = 7-25-22)


日経平均、終値 727 円高の 2 万 8,546 円 7 カ月ぶり高値

12 日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前営業日にあたる 10 日比 727 円高の 2 万 8,546 円で取引を終えた。 1 月 12 日以来 7 カ月ぶりの高値をつけた。 米国の景気懸念が後退し、リスク選好の動きが進んだ。 電気機器や機械といった景気敏感株や通信、金融など幅広い銘柄に買いが入った。

10 日発表の 7 月の米消費者物価指数 (CPI) が市場予想を下回ったことでインフレ減速が意識され、米連邦準備理事会 (FRB) による大幅利上げの観測が後退した。 上げ幅は今年 4 番目の大きさで、東証プライム上場銘柄の約 9 割が上昇した。 中国のアリババ株を一部放出すると発表したソフトバンクグループが一時 8% 高、前日まで下げのきつかった東京エレクトロンも同 5% 高など値がさ株の上昇がけん引した。

もっとも 11 日の米国株式市場では、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が反落するなど不安もくすぶっている。 岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「日本株は堅調な企業決算などを背景に水準を切り上げてきているものの、半導体市況の不安や中国で再び広がりつつあるロックダウン(都市封鎖)などの懸念材料が上値を抑える可能性もある」と指摘している。 (nikkei = 8-12-22)


企業物価、7 月 8.6% 上昇 17 カ月連続で前年超え

日銀が 10 日発表した 7 月の企業物価指数(速報値、2020 年平均 = 100)は114.5と、前年同月比 8.6% 上昇した。 前年の水準を上回るのは 17 カ月連続。 6 月の上昇率 (9.4%) からは鈍化したが、1980 年 12 月以来の高い伸びが続く。 ロシアによるウクライナ侵攻に伴う供給制約への懸念で原材料価格が高止まりし、円安が拍車をかける構図だ。 7 月の指数は調査を開始した 1960 年以降で最も高かった。 上昇率は民間予測の中央値である 8.4% を 0.2 ポイント上回った。 6 月の上昇率は先月発表時点の 9.2% から 9.4% に、4 月も 9.9% から 10.0% に上方修正された。

公表した 515 品目のうち、上昇したのは 8 割にあたる 418 品目だった。 品目別では鉄鋼 (27.2%) や石油・石炭製品 (14.7%)、金属製品 (11.1%)、化学製品 (10.9%)、非鉄金属 (9.8%) の上昇率が目立つ。 飲食料品 (5.5%)、繊維製品 (5.3%) など消費者に近い商品にも値上げが広がっている。 7 月の外国為替市場では円が一時、1 ドル = 139 円台まで下落して 140 円台に迫った。 円ベースの輸入物価の上昇率は 48.0% とドルなど契約通貨ベース (25.4%) を大きく上回り、円安が物価の押し上げ材料となっている。 円ベースの輸出物価の上昇率は 19.1%、契約通貨ベースは 4.7% だった。

円相場は足元で 1 ドル = 135 円前後で推移している。 ウクライナ情勢の先行きも見えない中で国内企業の価格転嫁の動きは当面続くとみられる。 ただ、メーカーが値上げの理由としていた原材料高は下落に転じつつある。 品目別では石油・石炭製品の指数が前月比で 2.3% 下落した。 化学製品、非鉄金属も前月より下落しており、物価上昇の伸びは鈍りつつある。 (nikkei = 8-10-22)

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円安加速、企業物価高騰収まらず 6 月の輸入物価、過去最大の伸び

物価高が収まる気配がない。 日本銀行が 12 日に発表した 6 月の国内企業物価指数(2020 年 = 100、速報値)は前年同月より 9.2% 上昇した。 過去 3 番目に大きな伸びだった 5 月の 9.3% に次ぐ水準だった。 ウクライナ情勢の悪化による資源高に加え、円安の加速が高騰に拍車をかけている。 今後、値上げの動きが広がり、消費者が手に取るモノの価格もさらに上がるとみられている。

指数は、企業間で取引されるモノの価格水準を示す。 6 月は 113.8 と、比較可能な 1980 年以降で最高となった。 特に上昇したのは、企業が輸入するモノの価格水準を示す輸入物価指数だ。 ドルなど契約通貨換算の上昇率は前年同月比 25.8% だが、円換算では 46.3% も上昇し、過去最大の伸びとなった。

背景にあるのは円安だ。 ドルに対して 3 月以降進んだ円安は 6 月に入り、さらに加速。 1 ドル = 135 円を突破した。 輸入物価の上昇に占める円安の要因は、3 月まで 2 割台だったが、4 月に 3 割超、6 月に 4 割超と、円安の進行とともに大きくなっている。 日銀によると、輸入取引で使われる契約通貨は米ドルが約 7 割で、多くの企業が円安によるコスト増に直面しているとみられる。 国内企業物価の品目でみると、輸入に頼る石油・石炭製品が 22.2%、鉄鋼が 26.7% と大きく上昇した。

農林中金総合研究所の南武志氏は「7 月はさらに円安が進み、企業物価や輸入物価は年内は高止まりが続くだろう」と指摘。 そのうえで「価格転嫁が進み、(消費者に身近な)消費者物価も上がっていくが、賃金の上昇が不十分なため、家計の消費意欲が落ち、年末以降は、物価上昇が鈍くなりそうだ」とみている。 (徳島慎也、asahi = 7-12-22)

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大企業景況感 2 期連続マイナス 4 - 6 月期、法人企業調査

内閣府と財務省が 13 日発表した 4 - 6 月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数 (BSI) はマイナス 0.9 と 2 四半期連続でマイナスになった。 ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格や原材料価格が高騰し、調達コストの上昇懸念から企業の景況感が悪くなった。 BSI は自社の景況が前の四半期より「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を引いた数値。 今回の調査は 5 月 15 日が回答の基準日となる。

大企業のうち製造業はマイナス 9.9、非製造業がプラス 3.4 だった。 新型コロナウイルスの広がりに伴う行動制限が緩やかになったプラス効果がみられた一方、中国の都市封鎖による世界的な生産活動の停滞が響いた。 1 - 3 月期の調査では 4 - 6 月期の景況の見通しについて製造業と非製造業のいずれもプラスになると見込んでいた。 その時点の見通しに比べると、今回の調査では製造業で 15.8 ポイント、非製造業は 0.7 ポイント下振れた。 1 - 3 月期の大企業全産業の BSI はマイナス 7.5 だった。 (nikkei = 6-13-22)


"物価高倒産" が急増 7 月は前年同月比の 2 倍に

原油や資材などの物価高の影響を受けた倒産が、急激に増えていることが分かりました。 原油や燃料、原材料などの仕入れ価格上昇や、取引先からの圧力で値上げが困難になったことなどによる「物価高倒産」の件数は、今年 7 月までに 116 件に達しました。 4 年前の調査開始以降、最も多かった去年を大きく上回るペースで増えていて、7 月は前の年の同じ月の 2 倍近い 31 件でした。 業種別でみると燃料高の影響を受けた運輸業が最も多く、建設業が続きました。 帝国データバンクは物価高の影響が中小や零細企業の体力を奪っているとして、今後は卸売業や小売業でも「物価高倒産」が増える恐れがあるとみています。 (テレ朝 = 8-8-22)


円高ドル安、2 カ月ぶり 130 円台前半 ペロシ氏訪台で米中対立懸念

2 日の東京外国為替市場ではペロシ米下院議長の台湾訪問による米中対立への懸念などから、ドルを売って円を買う動きが広がり、円相場は約 2 カ月ぶりに 1 ドル = 130 円台前半をつけた。 米国の景気後退への警戒が強まっていることもあり、3 週間ほどで 9 円ほど円高ドル安が進んでいる。 2 日午前、ペロシ氏の訪台計画に中国が猛反発しているという報道などが伝わると、ドルが売られ、リスクが比較的低いとされる円が買われた。 一時は前日夕方より 2 円ほど円高ドル安が進んだ。

市場が懸念しているのは、経済規模で世界トップの米国と 2 位である中国の関係悪化が、世界経済に及ぼす影響だ。 外為どっとコム総研の中村勉氏は「市場はペロシ氏の訪台(の影響)を完全に織り込めていない。 米中対立が激しくなれば、投資家はリスク回避に動き、円高がさらに進む」とみる。 2 日の東京株式市場では日経平均株価が一時、前日終値より 400 円超下がった。 全 33 業種のうち海運業を除く 32 業種で株価が下がり、終値は前日比 398 円 62 銭安い 2 万 7,594 円 73 銭だった。

円相場は 3 月以降、急激なインフレへの対応から金融引き締めに動く米国と、金融緩和を続ける日本との金利差を背景に、円安ドル高が進行。 約 4 カ月半で円は対ドルで 25 円ほど下落し、7月半ばには約24年ぶりの円安ドル高水準となる1ドル=139円台をつけていた。だが、その後、米国の中央銀行による急激な金融引き締めが米景気の後退につながり、利上げペースが鈍化するとの見方が強まり、円高ドル安に戻していた。 (細見るい、asahi = 8-2-22)

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止まらぬ円安、1 ドル 139 円台に 世界経済の後退懸念でドル買い

円安が止まらない。 14 日の東京外国為替市場で円相場は一時 1 ドル = 139 円台に急落し、約 24 年ぶりの円安ドル高水準となった。 米国の物価高が加速し、米国が大幅な利上げを進めるとの見方から円を売ってドルを買う動きが強まった。 世界経済の減速懸念が高まっていることで、基軸通貨のドルを買う動きにつながっている側面もあり、円安はさらに進む可能性がある。 139 円台をつけたのは日本時間の 14 日夕方だ。13 日夕方は 137 円ちょうど近辺の値動きで、1 日で 2 円以上も急落した。

引き金は 13 日夜に米労働省が発表した 6 月の消費者物価指数 (CPI) だ。 前年同月より 9.1% も上昇し、約 40 年半ぶりとなる高水準となり、市場予想の 8.8% を上回った。 米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会 (FRB) は物価高を抑えるために利上げを進めているが、物価高に歯止めがかかっておらず、さらに大幅な利上げを急ぐとの見方が強まった。 日本銀行は大規模な金融緩和を続ける姿勢を示しており、金利を低く抑える日本と米国の金利差が広がるとの見方から、円を売って金利の高いドルを買う動きが加速した。

円安が進む背景には、世界経済の先行き不安から、基軸通貨であるドルへの需要が高まっていることもある。 野村証券の春井真也氏は「世界的な金利上昇や新型コロナの感染拡大で、景気後退の懸念が高まっており、投資家のリスク回避姿勢の強まりによるドル買いも増えている」と指摘する。 3 月初め以降、25 円近く円安が進んでいる。 円安は輸出企業の業績を押し上げるプラス面がある一方、食料品や原材料など輸入品の価格高騰に拍車をかけ、家計や企業の負担を重くする。 値上げの動きが幅広い商品に及んでいて、マイナス面も大きくなっている。

松野博一官房長官は 14 日の記者会見で「為替市場で急速な円安の進行がみられ、憂慮している」と警戒感を示した。 財務省などは円安に歯止めをかけるため、市場を牽制する「口先介入」を続けている。 春井氏は 1 ドル = 140 円を超えた場合、「口先介入の表現を強めるなど、姿勢の変化があるかもしれない」と述べ、財務当局の動きに注目する。(江口英佑)

米国は利上げ幅「1%」の見方も

米国の物価上昇がさらに加速したことで、市場では FRB が 26、27 日に開く会合で、前回の 0.75% 幅を上回る 1.00% 幅の利上げに踏み切るとの見方が急速に高まっている。 6 月の CPI で市場がとくに注目したのは、直近の変化を反映しやすい前月比の上昇率だ。 6 月は 1.3% と、5 月の 1.0% から加速した。 変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数でも、6 月は前月より 0.7% と 5 月の 0.6% から加速した。 物価高が収まる気配が見えないことが鮮明になり、大幅利上げの予想につながっている。

金利先物取引の値動きから金融政策を予想する FED ウォッチによると、13 日の CPI 発表前には、FRB が今月の会合で 0.75% 幅の利上げをするとの予想が 90% を超えていた。 しかし、CPI の発表後に急落。 代わりに 1.00% 幅の予想が急上昇し、80% を超えて「本命」となっている。 だが、国際通貨基金 (IMF) が今年の米国の経済成長率を大幅に下方修正するなど、金融引き締めの副作用も無視できなくなってきている。

国内総生産 (GDP) の約 7 割を占める個人消費には変調の兆しが出ている。 6 月末に米商務省が発表した実質個人消費支出は、5 カ月ぶりの前月割れだった。 インフレで価格が上がりすぎたことで、米国民が消費を控え始めた可能性がある。 好調だった消費に陰りが出れば、景気への悪影響は必至だ。FRB も難しいかじ取りを迫られている。 (ニューヨーク = 真海喬生、ワシントン = 榊原謙、asahi = 7-14-22)

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円 24 年ぶり安値、1 ドル 135 円前半 - 黒田総裁円安けん制で買い戻しも

東京外国為替市場では、円が対ドルで一時 1 ドル = 135 円 19 銭を付け、約 24 年ぶりの安値を更新。 インフレ高止まりを受けた米利上げ加速が意識され、ドル買い・円売りが強まった。 ただ、日本銀行の黒田東彦総裁が、急激な円安について経済にマイナスで望ましくないとの認識を示したことから円買い戻しが入っている。 (酒井大輔、Bloomberg = 6-13-22)

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円安進み一時 1 ドル = 133 円台に 約 20 年ぶり、日米金利差拡大で

7 日の東京外国為替市場で円相場が一時 1 ドル = 133 円台まで値下がりし、2002 年 4 月以来、約 20 年 2 カ月ぶりの円安水準となった。 米国の長期金利の上昇によって日米の金利差が拡大し、円を売ってより利回りの高いドルを買う動きが広がった。 米国の雇用統計の改善や国際的な原油価格の上昇などを受け、物価を抑えるために米連邦準備制度理事会 (FRB) が利上げなどの金融引き締めを急ぐとの見方が強まり、長期金利が上昇した。 米国の長期金利は 6 日、約 3 週間ぶりに 3% を超えた。 日本銀行の金融緩和で 0.2% 台に抑えられている日本との金利差が広がった。

野村証券の神谷和男氏は「米国ではインフレ高進が沈静化する明確な兆しが見えない一方で、日本銀行に金融政策を変えるそぶりはない。 そのため、いま一度日米の金利差を手がかりにした円安が進んでいる。」と話す。 市場関係者の間には「6 月中旬の米連邦公開市場委員会 (FOMC) までに、1 ドル = 135 円まで円安が進行する」との見方もある。 対ドルの円相場は 4 月以降、急速に円安が進み、4 月下旬には一時 1 ドル = 131 円台まで下落。 その後、FRB が景気の腰折れを防ぐために利上げのペースを緩めるとの見方が広がり、5 月下旬には一時 1 ドル = 126 円台まで円高に戻していた。 (細見るい、asahi = 6-7-22)

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円が 131 円台に下落、20 年ぶりの安値を更新 日銀の緩和維持で

28 日の外国為替市場で円相場が 1 ドル = 131 円台まで下落し、2002 年 4 月以来、20 年ぶりの安値を更新した。 日本銀行がこの日の金融政策決定会合で金利を低く抑え込む姿勢を明確にしたことで、利上げを進める米国との違いが意識され、円を売ってドルを買う動きが加速したとみられる。

日銀が金融政策決定会合の結果を公表した直後、円はドルに対して 1 円ほど下落。 午後 2 時半すぎに心理的な節目とされた 1 ドル = 130 円を突破し、夕方にさらに下落した。 1 日で 3 円ほど円安が進んだ格好だ。 市場の一部では日銀が急速に進む円安に対し、何らかの対策を打ち出すとの見方があった。 しかし、逆に円安につながる金利抑制策の明確化を打ち出したことで、円安に振れたもようだ。 (asahi = 4-28-22)


次世代半導体の量産へ開発協力 日米「経済版 2 + 2」で合意

日米両国は 29 日に米ワシントンで開いた外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会(経済版 2 プラス 2)」の初会合で、経済安全保障での協力を盛り込んだ共同声明をまとめた。 軍事・経済両面で存在感を増す中国に対抗するため、次世代半導体の量産に向けた研究開発を加速させる。 終了後の共同記者会見で、萩生田光一経済産業相は「外交・安全保障政策と経済政策はもはや一体不可分。 将来の産業競争力を左右する次世代半導体技術の開発は、日米協力の最重要分野だ」と述べた。

経済版 2 プラス 2 は、外務・防衛閣僚による「2 プラス 2」を経済分野に広げる枠組みで、日米の同盟関係の新たな一歩となる。 半導体はあらゆるハイテク機器に不可欠な「産業のコメ」と呼ばれ、最先端技術を握ることは経済安保上の「武器」にもなる。 日米が協力し、2020 年代の実用化をめざす。 日本は米国との共同研究を進めるため、中核となる新組織を立ち上げる。 産業技術総合研究所や理化学研究所、東京大など 9 機関でつくる予定で、国内外の企業や研究所にも参加を呼びかける。

共同声明では、インド太平洋地域で経済的な圧力を強める中国を念頭に「経済的な影響力の有害な使用について、深刻な懸念と反対を表明した」と明記。 今後の取り組みとして、@ ルールに基づく経済秩序を通じた平和と繁栄の実現、A 経済的威圧と不公正で不透明な貸し付け慣行への対抗、B 重要・新興技術と重要インフラの促進と保護、C 半導体などのサプライチェーン(供給網)の強化 - - の 4 分野の行動計画を打ち出した。 初会合では、経済版 2 プラス 2 を定期的に開くことでも合意した。 具体的な対応を議論する「次官級協議」を年内に開くという。 (米ワシントン = 若井琢水、榊原謙、asahi = 7-30-22)


マレリ負債 1 兆 1,856 億円、製造業では過去最大 … 簡易再生手続き開始決定

経営再建中の自動車部品大手マレリホールディングス (HD) は 7 日、東京地裁から民事再生手続きの一種である簡易再生手続きの開始決定を受けたと発表した。負債額は 1 兆 2,000 億円近くに上り、製造業では過去最大となる。 19 日開催の債権者会議で、債権放棄(借金の棒引き)などを正式に決める。

債権放棄など 19 日に決定

私的整理の「事業再生 ADR (裁判外紛争解決手続き)」が不調に終わり、簡易再生手続きに移行する初めての事例となる。 マレリに融資する金融機関の大半はADR手続きの中で策定した再建計画に基づく債権放棄に合意している。 民事再生の場合は商取引の債権(一般債権)もカットされるが、今回は、取引関係に影響がでないよう全額保護するという。

帝国データバンクによると、マレリの負債総額は 20 年末時点で 1 兆 1,856 億円。 製造業の民事再生の規模としてエアバッグ大手のタカタを上回り、過去最大規模となる。 再建計画では、親会社の米投資ファンド KKR が改めて支援企業となり、金融機関が債権放棄を含む約 4,500 億円の金融支援に応じる。 「計画が承認されれば、8 月には再建を実行に移せる(マレリの広報担当者)」という。

マレリを巡っては当初、事業再生 ADR で事業に影響がでないよう再建を進める方向だった。 しかし、債権放棄を巡って中国系の複数銀行が再建案に反対し、手続きの前提となるすべての金融機関の合意が取り付けられなかった。 簡易再生は、一般的な民事再生に比べて債権者間の調整が進んでいることから、裁判所の下での手続きが簡略になり、再建が早まることが期待されている。

マレリは日産自動車系列の旧カルソニックカンセイが前身で、17 年に KKR 傘下に入った後、19 年にイタリアの部品メーカーと経営統合し、総合的な自動車部品大手として事業拡大に注力してきた。 しかし、日産の販売不振に加え、コロナ禍に伴う供給制約で自動車業界で減産が相次ぎ、業績が悪化。主要行を中心に資金繰りをつないできたが、自力での再建が困難になっていた。 (yomiuri = 7-8-22)

簡易再生手続き = 民事再生法で定めた企業再生手続きの一つ。 総債権額の 60% 以上の同意で申請でき、手続きに要する期間も通常の民事再生(約 5 か月)より短いとされる。 コロナ禍で打撃を受けた企業の再生を後押しするため、2021 年施行の改正産業競争力強化法で、事業再生 ADR の下で作成した再建計画を活用して移行することが可能になった。


セブン & アイ、売上高初の 10 兆円超え 今期上方修正

セブン & アイ・ホールディングスは 7 日、2023 年 2 月期の連結純利益予想が前期比 17% 増の 2,470 億円になる見通しだと発表した。 従来予想は 14% 増の 2,400 億円だったが 70 億円引き上げ過去最高を見込む。 売上高も 19% 増の 10 兆 4,130 億円と同社として初めて 10 兆円を超える見通しだ。 米国コンビニ事業が経済活動の再開や 21 年の米コンビニ「スピードウェイ」買収効果で好調で、為替の円安・ドル高も収益を押し上げる。

同日発表した 22 年 3 - 5 月期の売上高にあたる営業収益は 2 兆 4,473 億円だった。 今期から新たな収益認識基準を適用しており、単純比較すると前年同期比で 57% 増だった。 営業利益は 32% 増の 1,023 億円。 純利益はコロナ禍前の 19 年の水準(520 億円)を上回った。

北米を中心とする海外コンビニ事業の部門営業収益が 2.5 倍の 1 兆 7,238 億円、営業利益は 3.6 倍の 439 億円とけん引した。 経済活動の再開が早かった米国ではサンドイッチや総菜など食料品の販売が好調だ。 外出需要の高まりでガソリンの販売量も前年同期に比べ 2 割伸びた。 ガソリン小売価格が高騰しており、仕入れ価格との差額である粗利益は 2.9 倍に膨らんだ。

コロナ禍での行動制限が緩和されたものの、国内コンビニ事業の回復は低調だ。 部門営業収益は 1% 減の 2,152 億円、営業利益は 2% 減の 592 億円。新収益認識基準の適用前でも営業収益は 2% 増にとどまる。 人流の回復で弁当などの日配品が回復し、冷凍食品も堅調で、セブン-イレブン・ジャパンでは 3 - 4 月の既存店の月次売上高がコロナ禍前の 19 年を上回った。 名店監修品を多く取りそろえたカレーや沖縄の特産品など特定ジャンルの商材を手厚くするフェアなどで需要を取り込んだ。 客数の戻りは鈍いが、客単価の上昇で補った。 (nikkei = 7-7-22)


年金運用は 10 兆円の黒字、海外株式が全体を押し上げ GPIF 公表

公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) は 1 日、2021 年度の運用益が 10 兆 925 億円だったと発表した。 黒字は 2 年連続。 収益率は 5.42% だった。 ロシアによるウクライナ侵攻や米国などの利上げで今年(1 - 3 月)の運用は赤字となったが、昨年の世界的な株高に支えられ、年間では黒字を確保した。

21 年度の資産別の運用実績は、外国株式が 8 兆 4,290 億円、国内株式は 1 兆 871 億円、外国債券は 1 兆 724 億円の黒字。 国内債券だけが 4,960 億円の赤字だった。 コロナ禍からの経済再開が株価を押し上げたことなどが影響した。 円安も収益増に働き、機械的な試算では外国株で 9%、外国債券で 7% 分をそれぞれ引き上げる効果があったという。 GPIF が市場運用を始めた 01 年度以降の累積運用益は 105 兆 4,288 億円、運用資産額は 196 兆 5,926 億円となった。 これまでの実質的な運用利回りは年平均 3,78% で、政府が達成を求めている 1.7% を上回っている。

一方、GPIF はウクライナ侵攻で保有していたロシア関連の資産が取引できなくなっているとして、帳簿上の評価額を実質的にゼロとしたと明らかにした。 21 年 3 月末時点でロシア関連資産は約 2,200 億円。 今後は新規の投資をせず、正常な取引ができるようになった段階で売却していくという。 また経営危機にある中国恒大集団の株式 5 億円分、債券 14 億円分の保有についても公表した。

この日会見した宮園雅敬理事長は「非常に市場の変動が激しい年度だったが、船体を安定させながら航海できた」と説明。 ロシア資産については「幅広い分散投資として、このような状況が生じている。 影響は大きくないと捉えることができる。」と話した。 GPIF の運用に詳しいニッセイ基礎研究所の井出真吾上席研究員は先行きについて、ウクライナ危機などの影響で「足元ではマイナスになるかもしれない」と指摘。 ただ、米国での金融引き締めの見通しが立ちつつあることなどから、「インフレなどの懸案は残るものの、世界の景気はゆるやかに拡大し、当面の運用は安定するだろう」とみる。

GPIF は、年金保険料のうち、年金の支給に充てられていない積立金の大半を国内外の株式や債券などで運用している。 運用益を含めた積立金は、将来の年金給付に充てられる。 (村井隼人、asahi = 7-2-22)


ロシアによる「究極のいじわる」 岸田首相の行動が「刺激」の見方も

ロシアのプーチン大統領が、日本の商社も出資するロシア極東の液化天然ガス (LNG)・石油開発事業「サハリン 2」の運営を、ロシア企業に譲渡するよう命令する大統領令に署名した。 西側諸国と同調して制裁を強める日本に対し、ロシアは「LNG」という日本の急所を突いて、揺さぶりを仕掛けてきた。 ロシアがこうした行動に出る予兆はあったが、とれる対抗手段も限られている。 電力やガスの安定供給にも大きな影響が懸念される。

「ただちに LNG 輸入ができなくなるわけではないと思うが、今後、不測の事態に備えた万全の対策をとる必要がある。」 1 日夕、経済産業省内で報道陣の取材に応じた萩生田光一経産相はこう語った。 政府関係者によると、ロシア側から事前説明はなく発表で知ったという。 このため政府は発表内容の精査や情報収集に追われた。 日本はこれまで、主要 7 カ国 (G7) が主導するロシア制裁に足並みをそろえ、ロシア産の石炭や石油の段階的な禁輸を決めた。 一方、日本の商社が出資するサハリン 2 の LNG については「エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクト(萩生田氏)」とし、撤退しない方針を維持してきた。

外務省幹部「やるなよ、やるなよ」

石炭や石油と違って、LNG は増産の余地が少なく、サハリン 2 に代わる調達先をすぐに見つけるのが難しい。 「長期かつ安価なエネルギーの安定供給源(萩生田氏)」として、今後もロシアからの輸入を続ける考えを示していた。 日本の足元を見透かすかのように、ロシアが「反撃」に出る予兆はあった。 外務省によると、ロシア議会では 6 月、地下資源法が改正され、資源開発に携わる外国企業の株式譲渡が盛り込まれた。 この動きがサハリン 2 などに波及する可能性もあるとし、外務省と経産省が対応などを検討していたという。

サハリン 2 をめぐっては、2006 年にロシア政府の意向で、国営ガス会社が運営会社の株式の 50% 超を握ることになった「先例」がある。 外務省幹部は「『やるなよ、やるなよ』と思っていたが、『やっぱり来たか』という感じだ」と本音を漏らした。 ロシアが発表した時期については、岸田文雄首相の北大西洋条約機構 (NATO) 首脳会議への出席がロシア側を刺激したとの見方がある。 首相は首脳会議で、ロシアや中国を非難し、日本と NATO の関係強化を強調した。 日本政府関係者は「NATO への出席が影響しているだろう。 日本が NATO であそこまで言うのはロシアだって嫌だ。」と指摘する。

政府は、ロシアの示した条件を慎重に見極めながら対応策を検討している。 外務省幹部は言う。 「これを守ったら、しっかり先に道があるのかを確認していく作業だ。 あちらの条件をのんだのに、結局損をしたら意味がない。」

サハリン 2 がストップすればどうなる

「サハリン 2」からの LNG がストップすれば、エネルギーの安定供給への影響は避けられない。 日本は輸入する LNG 全体の 8.8% (2021 年)をロシアに依存している。 その大半がサハリン 2 で、発電用の燃料や都市ガスの原料に使われている。 東京電力と中部電力が出資する火力発電会社 JERA や東北電力、九州電力のほか、東京ガス、東邦ガス(名古屋市)、大阪ガス、広島ガスなどがサハリン 2 の LNG を調達し、電気・ガスを売っている。

東邦ガスは、自動車を中心に製造業が集まる東海地区に都市ガスを供給する。 LNG の約 2 割はサハリン 2 という。 昨年末でカタールからの長期調達契約が終了し、サハリン 2 への依存度が高まった。 東邦ガスは「譲渡は報道で知った。 事実確認中のためコメントできない。(広報)」としている。 調達量の半分近くをサハリン 2 が占める広島ガスは「関係各所から情報収集中で、特に何かお答えすることはない(広報)」としている。 LNG を高騰が続く短期契約の「スポット市場」で買うことになれば、電気代やガス代のさらなる値上がりにつながりかねない。

この夏は「電力不足」も懸念されている。 政府は 1 日、7 年ぶりとなる全国的な節電要請を出し、休止中の発電所も再稼働させて乗り切ろうとしている。 LNG 火力発電所は、日本の発電量の 4 割弱を占める主力電源だ。 LNG が不足して発電所が運転できなくなれば、電力不足はさらに深刻になる。 あるエネルギー関連企業の幹部は「ロシア側は日本の状況が分かっているはず。 これはロシアによる究極のいじわるだ。」と話す。 (岩沢志気、里見稔、内藤尚志、松田史朗、asahi = 7-1-22)


昨年度の税収 67 兆円、2 年連続で過去最高 歳出も膨張

2021 年度の国の税収が前年度より 6 兆円ほど増えて約 67 兆円となり、2 年連続で過去最高を更新したことがわかった。 主要な三つの税の所得税、法人税、消費税がいずれも増えた。 ただ、コロナ対策などで歳出も膨らんでおり、財政状況はむしろ悪化している。 法人税と所得税はいずれも 2 兆円以上増え、それぞれ約 14 兆円、約 21 兆円となる見通し。

法人税は、コロナ禍からの経済回復や、円安による輸出企業の好業績を受けて増えた。 まだ業績が低迷する中小企業もあるが、もともとその多くは赤字で法人税を納めていないため、税収への影響は小さい。 大企業から株主への配当が増えたことなどで、所得税も伸びた。 消費税は個人消費の回復に加え、年度後半の物価上昇の影響もあり、1 兆円ほど増えて約 22 兆円になる見通しだ。 20 年度の税収は 60 兆 8,216 億円で、19 年 10 月に消費税を 10% に上げた効果で過去最高となっていた。 21 年度はもともと 63 兆 8,800 億円と見込んでいたが、約 3 兆円上ぶれした。

一方、21 年度の歳出は 142 兆円超(予算ベース)で、20 年度に続く過去 2 番目の規模だ。 税収はその半分にも届かず、巨額の国債発行による穴埋めが続く。 21 年度末の国債残高は前年度末より 44 兆円多い 991 兆円で、財政健全化への道筋は見えていない。 (筒井竜平、asahi = 7-1-22)


路線価 2 年ぶり上昇、22 年分 0.5% コロナ影響緩み回復

国税庁は 1 日、相続税や贈与税の算定基準となる 2022 年分の路線価(1 月 1 日時点)を発表した。 全国約 32 万地点の標準宅地は平均で前年に比べて 0.5% 上昇した。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が徐々に緩和され、人流の増加などの期待が集まった観光地や繁華街などでプラスに転じたり、下げ幅が縮小したりした地点も多く、2 年ぶりに前年を上回った。

都道府県庁所在地の最高路線価が上昇したのは横浜や名古屋、京都などの 15 都市で、前年より 7 都市増えた。 下落した都市は前年より 6 都市少ない 16 都市だった。 今回の路線価はオミクロン型が猛威を振るった「第 6 波」前の今年 1 月 1 日時点の価格だ。 インバウンド(訪日外国人)の減少といった新型コロナの影響は続いているものの、3 月に感染対策の行動制限が全面解除されて以降、足元では国内旅行者などの客足が回復傾向にあるとみられる。 21 年分の下落率がトップだった奈良市は前年に比べて 1.4% マイナスだったが、下落幅は 11.1 ポイント縮小した。

全国トップの路線価は 37 年連続で東京都中央区銀座 5 の文具店「鳩居堂」前だった。 価格は 1 平方メートルあたり 4,224 万円。 2 年連続で下落したものの、マイナス 1.1% にとどまった。 リモートワークの浸透などで、郊外の住宅地などで路線価が上昇する地点が目立ったが、都心のオフィス街は昨年に続いて下落した。 オフィスビルなどが建ち並ぶ東京都千代田区丸の内 2 はマイナス 1.3% と、前年(マイナス 1.1%)より下落幅が拡大、中央区八重洲 1 もマイナス 1.3% となった。 東京国税局の担当者は「在宅勤務の広がりなどコロナ禍での働き方の変化を受けて、東京都心のオフィス街は空室率が高くなり、賃料が低下する傾向にある」と指摘している。

都道府県別で上昇したのは 20 都道府県だった。 前年は 7 道県だった。 上昇率が最も高かったのは北海道でプラス 4.0% だった。 プロ野球・日本ハムの新球場が開業予定の北広島市や札幌市などを中心に地価が上昇傾向にあるという。 次いでオフィス需要などが高まっている福岡県がプラス 3.6% だった。 一方で下落したのは前年は 39 都府県だったが、今年は 27 県だった。 下落率が最も大きかったのは和歌山県でマイナス 1.3%、愛媛県がマイナス 1.1% で続いた。 (nikkei = 7-1-22)


設備投資回復 25% 増 22 年度、脱炭素などで積み残し挽回
供給制約が実現左右

日本経済新聞社がまとめた 2022 年度の設備投資動向調査で、全産業の計画額は前年度実績比 25% 増える見通しだ。 伸び率は 1973 年度以来の高水準で投資額は 07 年度に次ぎ過去 2 番目に多い。 サプライチェーン(供給網)の混乱などで 21 年度に積み残した投資を挽回する動きが底上げする。 脱炭素などへの投資が目立つが、部材の供給制約が長引けば、計画が下振れする可能性がある。

調査は国内の上場企業と資本金 1 億円以上の有力企業 876 社を対象に集計した。 22 年度の設備投資の総額は 28 兆 6,602 億円と 3 年ぶりに増加し、過去最高だった 07 年度(28 兆 9,779 億円)に迫る。 増加率も調査を始めた 73 年度 (26.2%) 以来の高水準となる。 製造業では電気自動車 (EV) 向けの需要拡大や半導体の世界的な逼迫などを受け、投資額は 17 兆 4,975 億円と 27.7% 増となる計画だ。 新型コロナウイルス禍で打撃を受けた小売りやサービスなどの非製造業でも、先送りしていた投資の再開を目指す動きが出ており、20.8% 増の 11 兆 1,626 億円となる。

21 年度調査では当初、設備投資額は 20 年度比 10.8% 増を見込んだが、実績は 0.2% 減にとどまった。 半導体などの部品不足で計画した投資を実行できなかった事例も相次いだ。 22 年度に 25% 増を見込む設備投資のうち、10% 程度は 21 年度の積み残しが押し上げた可能性もある。 日産自動車は 21 年度に当初 4,400 億円を計画したが、実績は 3,450 億円だった。 新型コロナの感染拡大で生産設備や営業関連の投資抑制を迫られた。 22 年度も 4,400 億円を計画して挽回し、EV 生産設備などにあてる。内田誠社長は「半導体不足などで厳しい環境だが、先の投資をしていく」と語る。

産業機械大手の村田機械も 21 年度に当初約 140 億円を計画したが実績は 85 億円。 22 年度は 2 倍超の 188 億円を投じ、半導体工場向けの搬送設備などを増産する。 だが村田大介社長は「原材料などが十分手に入るかが不透明で計画通り進むか分からない」と懸念する。 22 年度の当初計画達成も、今後の供給制約次第となる側面が強い。 部材不足などで投資をしたくてもできない状況が続けばロシアによるウクライナ侵攻の長期化などで景気が減退し、投資自体がやりにくい環境になる可能性がある。

業種別では自動車が 23.6% 増を計画する。 インドで EV や電池の新工場を計画するスズキは 53.1% 増の 2,900 億円を投じる。 26.7% 増となる電気機器でも EV シフトがけん引する。 パナソニックホールディングス (HD) は 45.5% 増の 3,450 億円を計画。 米テスラなどに供給する新型電池の量産に備える。 世界的に需給が逼迫する半導体関連の投資も伸び、ソニーグループはスマートフォンなどに搭載する画像センサーへの投資を積み増す。

日銀が 4 月に発表した 3 月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、22 年度の大企業製造業の設備投資計画(国内向けのみ)は 21 年度計画比 8.4% 増を見込む。 だが、みずほリサーチ & テクノロジーズの酒井才介上席主任エコノミストは「資源高と円安が同時進行し、企業の約 7 割が円安にデメリットを感じる状況にある」と指摘。 「ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、下振れリスクは大きい」とする。

今後も半導体などの部品や材料の供給制約が続けば、設備投資が滞って需給がさらに逼迫し、最終製品の価格上昇にも拍車がかかる可能性もある。 世界的なインフレが一段と進めば、企業の投資意欲が再び冷え込む悪循環に陥る懸念もある。 (nikkei = 6-20-22)


長期金利 0.255% に上昇 2016 年 1 月以来の高水準 "上限超え" で 14 日に国債買い入れオペ実施へ 日銀

国内の債券市場で、長期金利が 0.255% とおよそ 6 年 5 か月ぶりの高水準となりました。 長期金利は、指標となる新規発行の 10 年物国債の利回りは、前の週末と比べて 0.005% 高い 0.255% を超え、2016 年 1 月以来、およそ 6 年 5 か月ぶりの高水準になりました。 これは日銀が長短金利操作 = イールドカーブ・コントロールでの変動幅の上限として定めている 0.25% を超えています。

こうした中、日銀は 13 日午後、臨時の公開市場操作として国債買い入れオペを 14 日に実施すると発表しました。 追加するのは残存期間「5 年超 10 年以下」で、買い入れ予定額は 5,000 億円としています。 日銀は「今後も市場の動向などを踏まえつつ、必要に応じてオファー日程の追加およびオファー金額の増額を実施する」としています。 (TBS = 6-13-22)