日本は「もう終わった国」なのか … H & M、GAP などが "閉店続々 & 撤退ラッシュ"
外資系アパレルチェーンに「日本が見限られた!」

外資アパレルチェーンの中でもしっかり日本に定着したと思われていた「H & M」や「GAP」の閉店が相次ぎ、「ZARA」を主力とするインディテックスも若向けの「Bershka」やフェミニンな「Stradivarius」の全店を閉め、「ZARA HOME」や「ZARA」さえ次々と閉めている。 振り返ってみれば外資アパレルチェーンが続々と進出したのは 13 年までで、以降は進出が途絶え、15 年以降は撤退ばかりでコロナ禍以降は閉店が急増し、21 年の国内合計売上はピークの 15 年から半減してしまった。

外資アパレルチェーンはこのまま撤退が加速して日本から消えてしまうのだろうか。 あながち杞憂とは言えないと流通ストラテジストの小島健輔氏が解説する。

見限られる日本市場

米ギャップ社はテラスモール湘南の「GAP」大型店(1,300 平米)を 8 月 15 日で閉店する。 19 年 5 月には原宿の旗艦店も閉店しており、21 年以降だけでも「GAP」の閉店は 15 店に達する。 「H & M」も国内 2 号店で最大規模の旗艦店だった原宿店を 8 月 2 日で閉店した。 お隣の「フォーエバー 21」は 2017 年 10 月 15 日で閉店しており、19 年 10 月末には全 14 店を閉鎖して日本から撤退している。 インディテックスも 7 月 18 日に渋谷の旗艦店も閉めて「ベルシュカ (Bershka)」全店を撤退し、「ザラ ホーム (ZARA HOME)」も急速に店舗を絞っている。 表参道の「ザラ」旗艦店も業界では閉店のうわさが絶えない。

「将来性がない」、「粗利益率が低い」 …

08 年 9 月の「H & M」上陸、09 年 4 月の「フォーエバー 21」上陸で火が付いたファストファッションブームも 13 年頃にはすっかり冷め、14 年以降はトレンドファッション自体がサステナブルじゃないと疎まれて、外資チェーンの進出も途絶え、15 年以降は撤退するチェーンばかりになっていった。 20 年以降はそれにコロナ禍の営業規制が加わり、都心部や郊外大型モールに出店が偏っていた外資アパレルチェーンは直撃を受けた。 グローバル展開する外資アパレルチェーンはローカルマーケットの将来性を比較して投資判断しており、少子高齢化と経済の停滞で所得と消費が落ち込む日本には将来性が無いと見るチェーンが増えている。

とりわけトレンディなユーロストリートの「Bershka」、華やかなユーロモードの「ZARA」などは需要の落ち込みが避けられないと判断したのだろう。 そんな意味では「GAP」に日本市場を見限る理由はないが、こちらは長年にわたるマーチャンダイジングの試行錯誤で値引き販売が止まらなくなり、粗利益率が低下して店舗損益が成り立たなくなったという内部事情が大きい。

ピークから「半減」した国内売上

「H & M」が上陸する以前の 07 年までは、メジャーな外資アパレルチェーンはギャップ社とインディテックス社に限られ、国内合計売上も 957 億円と 1,000 億円に届かなかったが、08 年の「H & M」と翌 09 年の「フォーエバー 21」上陸でファストファッションブームに火が付き、09 年は 1,316 億円、11 年は 1,600 億円と急速に拡大し、ピークの 15 年には 2,670 億円まで拡大した。

拡大が急激だった分、衰退も急激で、17 年 1 月末に「OLDNAVY」が撤退したのを契機に減少に転じ 17 年は 2,370 億円、「フォーエバー 21」と「アメリカンイーグル」が撤退した 19 年は 2,147 億円、両者の売上が消えた 20 年は 1,730 億円まで急落し、コロナ禍で休業が広がった 21 年は各社の大量閉店も響き、1,340 億円とピークの半分まで落ち込んだと推計される。

ファストファッション人気で行列ができたりしたのは最初の 2 年ほどで、以降は店舗網が広がるとともに販売効率が急落し、近年は郊外の大型モールでもユニクロの販売効率に遠く及ばなくなっていた(「ZARA」でせいぜい 7 掛け、「H & M」は 4 掛けと言われる)。 販売効率が低下すると値引き販売が増えて粗利益率が低下し、『ユニクロ並み』と言われた好条件家賃でも採算が苦しくなっていったようだ。 そんな崖っぷちで背中を押したのがコロナ禍の営業規制で採算割れの店舗が急増し、本社の日本市場評価も急落して退店する店舗や撤退する業態が広がったと思われる。

日本は「終わった市場」なのか

外資アパレルチェーンが如何に日本市場を見限っているか、インディテックスの日本と中国の撤収ペースを比較すると如実に痛感される。 コロナ禍の 2 期間でインディテックスは日本国内店舗を 145 店から 86 店と 6 掛け弱に激減させたが、新疆綿問題から不買運動に発展した中国本土でも同期間に 570 店から 303 店と 53 掛けに激減させている。 不買運動に発展して半分は撤退も覚悟した中国本土と、まだしも好意的な日本市場で大差なく店舗網が整理されているのは、マーケットの将来性期待に格段の差があるからだ。

インディテックスは「国潮(中国の文化・製品を礼賛する愛国主義)」が高揚して外資ブランド離れする中国より、貧困化とモード離れが加速する日本市場の方が厳しいと判断したのではないか。

「落日の日本」というレッテル

ギャップにしても、日本市場は正価販売が難しい市場だと思い込んでいる節がある。 もっと高価なデニムブランドやワークブランドでも正価販売率が格段に高いブランドは少なからず、自社のマーチャンダイジングやマーケティングの稚拙さを顧みない愚かさを指摘したくなる。 今のところは家賃交渉や店舗資産の入れ替えで採算を改善して乗り切れると楽観している H & M にしても、コロナ禍からの回復がこれ以上遅れると採算を維持できなくなる店舗が増え、大量閉店や日本撤退に追い込まれる事態も想定される。

すっかり日本に定着したと思われた「GAP」や「H & M」、「ZARA」さえ大量閉店が避けられないとなれば、これから日本に進出しようという外資アパレルチェーンが途絶えてしまうのも必然だろう。 韓流に勢いづく韓国や国潮に勢いづく中国のアパレル事業者とて、コスト面で圧倒的に有利な越境 EC (SHEIN が代表)が急伸しているのに、コストが高く採算性が厳しい出店にわざわざ踏み切るとも思えない。 若者に消費余力がなく衣料消費が衰退する「落日の日本」というレッテルは革命でも起きない限り剥がれそうもない。 (小島健輔、現代ビジネス = 8-10-22)


かつて「ドルチェ & ガッバーナ」ブランドを手掛けていた三崎商事が民事再生

三崎商事(株)(箕面市船場東 2-1-13、1963 (昭和 38)年 5 月創業、資本金 9,600 万円、三崎勝弘社長)は 8 月 1 日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。 申請代理人は稲田正毅弁護士(共栄法律事務所、大阪市中央区南船場 4-3-2、電話 06-6222-5755)。 監督委員には印藤弘二弁護士(はばたき綜合法律事務所、大阪市北区西天満 4-8-17、電話 06-6363-7800)が選任された。 負債総額は 46 億 6,300 万円(2022 年 2 月期決算時点)。

三崎商事は、高級ブランド「ドルチェ & ガッバーナ」を日本市場に参入させたことで知られる(契約は 1996 年 - 2002 年)。 1990 年代は 200 億円を超える売上高を誇っていた時期もあったが、同業者との競合やブランドの取り扱い終了などから、2004 年 2 月期の売上高は 108 億 9,203 万円まで低下。 以降は、ファストファッションの台頭の影響や店舗のスクラップなどで、2019 年 2 月期の売上高は 50 億円を割り込んだ。 この間、赤字決算も散発して債務超過に陥るなか、「新型コロナウイルス」の影響や急激な円安など環境は悪化し、今回の措置となった。

三崎商事のホームページによると、マロ(malo : イタリア)、チヴィディーニ(CIVIDINI : イタリア)、ボリオリ(BOGLIOLI : イタリア)などのインポートブランド・ショップを展開。 バッグ & アクセサリーは、フォレルパージュ(FAURE LE PAGE : フランス)、ゲラルディーニ(GHERARDINI : イタリア)などのブランドを輸入販売している。 (東京商工リサーチ = 8-1-22)


アダストリア純利益 12 倍 3 - 5 月、カジュアル衣料好調で

アダストリアが 8 日発表した 2022 年 3 - 5 月期の連結決算は、純利益が前年同期比 12 倍の 33 億円だった。 行動制限の緩和で外出機会が増え、春夏向け衣料や雑貨の販売が伸びた。 値引き販売の抑制で原材料高や円安の影響を吸収した。

売上高は 25% 増の 580 億円だった。 主力ブランドの「グローバルワーク」を中心にカジュアル衣料の販売が好調で、既存店売上高は 19% 増、客数は 13% 増えた。 外食中堅のゼットンを連結子会社したことも売上高を 19 億円押し上げた。 円安や原材料の高騰が続いているが、値引き販売を減らしたことで粗利益率は前年同期比 0.5 ポイント改善し 57.4% になった。 23 年 2 月期通期の業績予想は据え置いた。 売上高は前期比 14% 増の 2,300 億円、純利益は 28% 増の 63 億円を見込む。 (nikkei = 7-8-22)


三陽商会、3 - 5 月期 (1Q) 経常は黒字浮上・上期計画を超過

三陽商会が 6 月 30 日午前に決算を発表。 23 年 2 月期第 1 四半期(3 - 5 月)の連結経常損益は 5.9 億円の黒字(前年同期は 5.2 億円の赤字)に浮上し、3 - 8 月期(上期)計画の 10.9 億円の赤字をすでに上回った。 直近 3 ヵ月の実績である 3 - 5 月期 (1Q) の売上営業損益率は前年同期の -6.5% → 3.5% に急改善した。 (Kabutan = 6-30-22)


H & M の中国本土第 1 号店が閉店 新疆ウイグル問題やコロナで客離れ

中国・上海市にあるスウェーデン衣料品大手 H & M の中国本土第 1 号店が閉店していたことが明らかになった。 同社が中国・新疆ウイグル自治区産の綿花を製品に使わないと宣言した後、中国政府が不買運動を展開。客離れが進んだのに加え、2 カ月間続いたロックダウン(都市封鎖)が追い打ちをかけたとみられる。 H & M の中国法人は取材に対し、「22 日に閉店した」としたが、理由は明らかにしなかった。

H & M は 2007 年、上海を皮切りに中国本土に進出。 ロイター通信によると、かつて 500 店舗以上営業していたが、現在は 400 店舗を下回るという。 欧米で中国当局によるウイグル族への人権抑圧批判が高まるなか、H & M は 20 年 9 月に新疆産の綿花を同社製の製品に使わないとする声明を発表。 21 年 3 月になって中国政府が「新疆の顔に泥を塗っている」などと猛反発し、国営メディアと共に不買運動を始めた。 主要なネット通販サイトで商品が買えず、地図アプリで店舗の所在地を検索できない状態が続いている。 (北京 = 西山明宏、asahi = 6-27-22)


スーパー 5 月の売り上げ 9 か月連続増 衣料品 園芸用品など好調

日本チェーンストア協会によりますと、全国の主なスーパーの先月の売り上げは 1 兆 949 億円で、既存店どうしの比較で去年の同じ月より 0.9% 増え、9 か月連続の増加となりました。 原材料高による相次ぐ値上げなどで主力の食料品は買い控えが見られましたが、新型コロナウイルスの感染状況が比較的落ち着き、外出の機会が増えたことで、春物の衣料品のほか、アウトドアや園芸用品などが好調でした。 (NHK = 6-22-22)


衣料品の対日輸出が新型コロナ感染拡大前の水準に ミャンマー

日本の財務省貿易統計によると、2022 年 1 月 - 4 月の衣類・衣類付属品(輸入統計品目表の 61 類・62 類)のミャンマーからの輸入は、数量が約 5,880 万点(2019 年同期比 18.9% 増)、金額が約 389 億 4,500 万円(同 6.1% 増)となり、ともに新型コロナウイルス感染拡大以前の実績を上回った。 衣類などの対日輸出は、新型コロナウイルス感染拡大や 2021 年 2 月の国軍による権力掌握の影響で、生産が不安定になったり、日本からの発注が中断したりしたことにより、低調が続いていた。

日本の衣類・衣類付属品のミャンマーからの輸入額は、2020 年が前年比 9% 減の約 1,027 億 9,400 万円、2021 年が 2019 年比で 34.3% 減の約 742 億 1,000 万円と、2 年続けて 2019 年の実績を下回ったが、このまま順調に推移すると、同製品の通年の対日輸出額は増加に転じるものとみられる。

ミャンマーの衣料品産業にとって、欧州と日本は輸出先の 1 位と 2 位の重要な国・地域だ。 ミャンマー縫製業者協会 (MGMA) によると、ミャンマー製衣料品は、全輸出の半分強が欧州向け、残りの約半分が日本に輸出されている。 日本からミャンマーへの発注は増加してはいるが、欧州からミャンマーへの発注は日本の増加率を上回っているという。 在ミャンマー日系衣料品製造企業関係者からは「ミャンマーの最近の衣料品製造の活況が日本の客先に必ずしも伝わっておらず、新型コロナウイルス感染拡大や政変が引き続き衣料品製造と輸出に悪影響を及ぼしているとして、ミャンマーへの発注再開をためらう姿勢がある」と指摘する声もある。

ミャンマーでは、外貨が不足し、その調達が困難なことから、製造業の原材料や中間財の輸入・調達に困難が生じている。 一方、衣料品製造企業の多くが委託加工形態の CMP (Cutting, Making and Packing、注) 企業で、原材料や中間財の輸入で外貨が不要で外貨不足の影響を受けにくいことから、今後、日本からの発注が本格的に拡大することが期待される。 (JETRO = 6-21-22)

(注) 顧客が原材料(生地やボタンなどの付属品)の選定・調達とコスト負担を行って衣料品製造企業に加工を委託し、委託加工手数料を払う。 ミャンマー国内の工場で裁断 (C)、縫製・仕上げ (M)、梱包 (P) して製品を全量再輸出(加工貿易)することから CMP と呼ばれる。


カジュアル衣料、回復鮮明
ユニクロ、国内売上高 17% 増 アダストリアは 3 割超

ファーストリテイリングが 2 日発表したカジュアル衣料品店「ユニクロ」の 5 月の国内既存店(直営店、電子商取引 = EC含む)売上高は、前年同月比 17.5% 増えた。 前年実績を上回るのは 2 カ月連続。 「グローバルワーク」などを手掛けるアダストリアも 3 割超伸びた。 行動制限が解除されるなか、気温が上昇し夏物衣料が伸びた。 カジュアル衣料の回復が鮮明になっている。

ユニクロの客数は前年同月比で 9.6%、客単価は 7.3% 増えた。 ゴールデンウイーク商戦やセール「感謝祭」が盛況で、「感動パンツ」や「感動ジャケット」など外出用の単価の高い商品が伸びた。 機能性肌着「エアリズム」や T シャツ、イタリア発のラグジュアリーブランド「MARNI (マルニ)」とコラボした商品も好調だった。 アダストリアも既存店売上高(速報値)が 31.9% 増えた。 夏向けに速乾機能をつけた定番のカラーパンツが売り上げをけん引した。 気温が上昇し外出機会が増え、サンダルやペットボトルホルダーなどの雑貨も伸びた。 値引き販売を抑制し、客単価が 7.0% 増えたことも売上高の増加につながった。 (nikkei = 6-3-22)


群馬のフクル、衣料の縫製料金を自動で見積もるサービス

衣料品スタートアップのフクル(群馬県桐生市、木島広代表)は、衣料品の縫製にかかる料金を専用サイトで自動で見積もるサービスを始めた。見積もりは無料で、サイトを通じて同社にそのまま縫製を依頼することもできる。 自分でデザインした衣服の製作を、縫製工場に発注したいと考える人などの利用を見込んでいる。

新サービス「FiTO (フィト)」は、専用サイト (https://fito.jp/) にメールアドレスとパスワードを登録すれば、誰でも無料で利用できる。 作りたい衣服のイラストをサイトにアップロードするか、衣服のカテゴリーや細かい仕様を選択肢から選んで入力すれば、縫製にかかる費用の見積書を自動作成してくれる。 フクルはコム・デ・ギャルソンのパタンナーなどを務めた木島氏が 2015 年に設立した。 小規模な縫製工場や縫製職人をネットワーク化し、アパレルメーカーなどから小ロットでの衣服生産を受注している。 (nikkei = 5-31-22)


タキヒヨー、希望退職者 150 人募集 衣料品市場停滞

タキヒヨーは 25 日、満 40 歳以上の総合職・一般事務職・嘱託職社員を対象に、30 日から希望退職を募ると発表した。 新型コロナウイルス感染拡大で衣料品市場が低迷している上、原料・物流費高騰や円安の影響で経営環境が厳しいため。 募集人員は 150 人程度で、従業員の約 2 割に当たる。 (jiji = 5-25-22)


H & M、廃棄衣料で陳列棚 アパレル各社が環境対応加速

アパレル各社が環境に配慮した素材の使用を拡大させている。 H & M ジャパンは不良品となった衣料を店舗の備品にリサイクルする。 ストライプインターナショナル(岡山市)は衣服につく洗濯表示などの副資材でもサステナブル(持続可能)な素材を使用する。 投資家や消費者の環境への意識が高まる中、各社は選ばれる企業になろうと環境対応を急いでいる。

アパレル企業に対するステークホルダーの目が厳しくなる中、衣料品の生地のほか販売店舗でもサステナブルな素材を取り入れる動きが進んでいる。 スウェーデンのアパレル大手へネス・アンド・マウリッツ (H & M) の日本法人、H & M ジャパンは市販されなかった衣料を店舗の備品に変える取り組みを進めている。 同社の工場から不良品となった廃棄衣料を回収し、繊維レベルまで細断したあと、結合材を加えて固める。 こうしてできた資材「PANECO (パネコ)」は木材を原料とする資材と同等の強度を持ち、加工もしやすい。

3 月にオープンした「H & M 池袋店」にはパネコを使用したディスプレー用の机や棚を店内に配置した。 H & M は 30 年までに商品に使用する全ての素材を環境負荷の低いものに切り替える方針を掲げており、22 年春夏シーズンには全ての商品でサステナブルな素材を使用した。 衣料品だけでなく、店舗づくりにも取り組みを広げることで環境への配慮が当たり前のブランドとなることを目指し、消費者の共感を集めたい考えだ。

ストライプインターナショナルは副資材にもサステナブルな素材を使う

ストライプインターナショナルは主力ブランドの「アースミュージックアンドエコロジー」で衣料につける洗濯表示や下げ札などの副資材を 22 年の春夏向け商品からサステナブルな素材に切り替えた。 洗濯表示やブランド名を記したタグにはペットボトルや古着などからできたリサイクルポリエステル糸を使い、下げ札は環境に配慮した木材由来の紙にした。 今冬には年間約 2,000 万枚に及ぶ、全ての商品の副資材をサステナブルな素材に切り替える計画だ。

アダストリアはサステナブルな素材の使用を進めている

アダストリアは現在、アパレル商品の約 20% でサステナブルな素材を使用している。 この割合を 30 年までに 50% に引き上げる方針だ。 オーガニックコットンや再生ポリエステルなどの使用を増やす。 自社でもペットボトル由来の再生ポリエステルをレーヨンと混ぜ合わせたウールの代替素材などを開発。 展開する商品のおよそ半分で自社開発素材を使っている。 今後は素材開発を加速させるとともに、再生素材の調達も増やす。 原材料の綿花の価格が高騰する中、再生ポリエステルなど代替素材の使用を拡大することはコスト削減にもつながるという。 (佐藤優衣、nikkei = 5-8-22)


ローソン、無印良品を本格展開 約 200 品目を全国で

ローソンは 28 日、「無印良品」の商品を全国で販売すると発表した。 扱うのは化粧水や文具、靴下や食料品など約 200 品目で、店舗の立地や客層に合わせて変更する。 無印良品を展開する会社「良品計画」と共同で、プライベートブランドの開発も手がける。 ローソンによると、2020 年 6 月から首都圏の店舗で実験的に扱っていた。 導入店の売り上げをみると 2 - 5% 増の効果があったとしている。 5 月から関東甲信越の約 5 千店舗で取り扱い 23 年中に全国に広げる予定だ。 無印良品は以前はファミリーマートが扱っていたが、19 年 1 月に取引を終えていた。 (佐藤英彬、asahi = 4-28-22)


衣服の内側に隠された美しさの秘密 触って着て体感できる展覧会

歴史的な西洋の衣服の内側に隠された美しさや着心地を体感できる「半・分解展」が、東京・渋谷で開かれている。 休日はオープン前から行列ができる人気ぶりだ。 主催するのは「衣服標本家」として活動する長谷川彰良(あきら)さん (33)。 フランス革命期から第 1 次世界大戦のころの衣服を分解し、構造を調べたり、型紙を起こして再現したりしている。 会場には 1740 - 1940 年の古い紳士服やドレスの実物や、再現した試着用のサンプル、当時の衣服の半分を解体し、部材を並べた「標本」など、約 60 点が展示されている。

豪華な刺繍が施されたコートが、実は簡素なつくりだったり、装飾のない地味なコートの内側に、体形補正の工夫が幾重にも施されていたり。 衣服を分解すると、当時の縫い方や特徴的なフォルムの構造、現代の技術との差や、美意識の変化などが垣間見える。 「当時の職人が何を考えて縫っていたのかもわかる」と話す。

東京の服飾専門学校で紳士服の仕立てを学び、アパレル企業で働いたのち、2016 年に独立した。 衣服の内側に興味を持ったのは、専門学校に通っていたころ。 高円寺の古着屋で約 100 年前のフランスの消防服を見つけたのがきっかけだった。 購入し、ほどいて中を調べると、オーダーメイドの服のように細部まで丁寧につくってあることがわかり、感動した。

展示品を触ったり、試着したりできるようにしたのは「視覚だけでは感知できない」という、服の構造美や着心地を体感してもらいたいからだという。 「その分、服は壊れやすくなりますが、それでいいと思っているんです。 僕が残したいのは服そのものより、美しさの根源。 構造的な部分は、型紙に起こせば残りますから。」 25 日まで。 渋谷区桜丘町の区文化総合センター大和田 2 階の「ギャラリー大和田」で。 Web 購入の当日券は 4 千円、現地で現金で購入する当日券は 5 千円。 中学生以下は無料。 期間中は何度でも再入場できる。 (長谷川陽子、asahi = 4-22-22)


広がる学生服のリユース シングルマザー始めた事業が全国 90 店超に

【香川】 学校生活に欠かせない制服を、つながりのなかった人からの「お下がり」で - -。 高松市出身の馬場加奈子さんは 11 年前、全国初の学生服リユース店「さくらや」を開業した。 いま、パートナー店舗は全国に広がっている。

- - 制服リユース事業を始めたきっかけは何ですか。

単純に自分が困っていたから、というのがきっかけです。 シングルマザーとして 3 人の子どもを育てるなかで、制服の出費が痛かった。 お下がりのつてを探してもなかなか見つからず、同じような悩みを抱える母親が多いことを知りました。 生命保険会社に勤めていましたが、育児と仕事の両立も大変。 自分で自由に働く時間を決められてお金を稼げるのは、起業しかないと考えました。

- - いまではパートナー店が全国 90 店舗以上に広がっています。

ここまでになるとは想像もしていませんでした。 初年度は 130 万円ほどしか売り上げが出ず、1 年限りでやめようかとも思いました。 テレビ番組に取り上げられたことがきっかけで問い合わせが一気に増え、需要があることを改めて感じました。 「私の地域でも」と出店を希望する人にも多く出会い、全国に仕入れと販売の拠点を広げることにしました。 希望者には研修の費用を出してもらって、本店からノウハウを提供します。 「学生向けに制服を販売する」という以外にルールはありません。 育児や仕事をしながらでも続けられるよう、営業日や開店時間はそれぞれの自由です。 副業として運営してくれている人もいます。

- - 事業の難しい点は何ですか。

11 年前と比べて、共働き世帯が増えたことで、「さくらや」の長くはない営業時間中に店を訪れられない親が多くなってきています。 今春からは大手商社と共同で、オンラインで注文できるシステムを導入予定です。 また、制服は各学校で指定のものがあり、仕入れが大変でした。 数年前から回収用の箱を作り、行政庁舎やスーパーマーケットに置いてもらっています。 いまは全国で 500 箱ほど設置できています。 様々な場所に箱を置くことで、いろんな人たちに制服を買えずに困っている家庭が多くあるのだと知ってもらう狙いもあります。

- - 個人として制服リユース以外の活動にも積極的です。

女性の起業のハードルがまだまだ高いと感じています。 2015 年からは高松信用金庫とともに、女性に起業を身近に感じてもらい、自分の思いを形にするための支援をする「キャリスタ塾」を始めました。 20 人以上の起業した卒業生がいます。 リユース事業で会社としての利益も出し続けることが、SDGs の考え方とも合っているため、個人や企業、行政を相手に SDGs の実践に向けたアドバイスもさせてもらっています。

- - 今後取り組みたいことは。

障害がある人やひきこもりの人など、社会との距離を感じている人たちのための学校を作りたいと思っています。 長女は障害があって特別支援学級に通っていましたが、学校内での時間が多く、社会と接点を持つ機会があまりありませんでした。 「さくらや」では制服の補修や洗濯を高齢者や障害のある人に委託しており、そのなかで誰にでも活躍できる場所があるという思いを強くしました。 職業体験や地域活動など、社会とのつながりを持てる教育の場所が必要だと思っています。

一貫する思いは「自分の困り事は地域の困り事。」 制服リユースは過去に誰も取り組んでいない分野です。 軌道に乗せるまでにたくさん苦労しましたが、最初に店に来てくれたお母さんの「こんな店が欲しかったんよ」という言葉を支えに頑張ってきました。 自分と同じ悩みや問題意識を持った人はきっといる、との思いで続けています。 (谷瞳児、asahi = 4-10-22)

馬場加奈子 (ばば・かなこ) : 高松市出身。 学生時代に陸上競技での国体優勝経験を持つ。 生命保険会社に勤めたあと、シングルマザーとして 3 児を育てながら、2011 年に学生服リユースショップ「さくらや」を開業した。 女性の起業支援活動にも取り組み、総務省の地域力創造アドバイザーに任命されている。 現在は 20 年に立ち上げた学生服リユース協会理事も務める。


コロナ禍で激売れした「高級ブランド」の仕掛け
コロナ前より売上高伸ばした LVMH の凄み

コロナ禍での暮らしも 3 年目に入りました。 足元では感染者数が再び増えていますが、フランスでは3月中旬からマスク着用義務が撤廃されるなど、コロナをめぐる規制緩和が進んでおり、「コロナ前の生活」を取り戻しつつあるようにみえます。が、多くのビジネスは「元に戻る」とは捉えておらず、より変化、進化する道を選んでいます。中でもその傾向が強く見られるのが、フランスが得意とするファッションビジネスかもしれません。

ファッションショーが全世界に開かれた

今年 1 月 1 日のコロナ陽性判明者数が数十万人という中で、パリではメンズとオートクチュールのコレクション(ファッションショー)が開かれました。 日程を把握していなくても、狭いパリの街中でマヌカンたちを頻繁に見かけるようになると「シーズンが始まったな」とわかります。 コロナの影響で、ショー(フランス語では「デフィレ」)は、前回まで多くが工夫を凝らした動画のオンライン配信などでしたが、今回はかなり多くのメゾンがリアルに戻したり、リアルとオンライン配信とのハイブリッド形式で行いました。

そもそも、写真や動画が一瞬で世界中に共有されるとは言え、コロナ前までは、ファッションショーは一部の関係者と招待客のみしか参加できない特殊な空間でした。 それが、コロナによってオンラインやビデオ配信となって一気にすべての人に開かれたわけです。 「フランス・キュルチュール (France Culture) の報道によると、デザイナーのイザベル・マランなどクリエイター側にとっては、新たな表現や、創造性の幅を広げるチャンスとなり、実際こうした取り組みは高く評価されています。 NFT と連動させたものや、メタバースを駆使したジュリアン・フルニエなど最先端のショーも話題となりました。

また、バイヤーがショーの期間にこぞって仕入れをするよりも年間を通して好きな時に購入するやり方が増え、ショーは商取引の場所から、SNS やニュースで拡散されやすいブランドアピールの機会に転換。 コロナ禍ですべての人にショーが「開かれた」ことによって、モードの世界の商取り引きも変化したわけです。

売上高はコロナ前より 2 割上昇

こうした中で、圧倒的な強さを見せつけたのが、高級ブランド世界最大手、フランスの LVMH (モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)です。 同社が 1 月末に発表した 2021 年 12 月期の決算では売上高が前年比 44% 増の 642 億 1,500 万ユーロ(約 8 兆 2,600 億円)と過去最高を記録しました。 これはコロナ前の 2019 年と比べても 20% 増の水準です。 主力ブランドのルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、フェンディ、セリーヌ、ロエベによるファッションと革製品が好調だったほか、1 年前から同グループとなっているティファニーの効果もあってジュエリー部門が大幅に拡大。 モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、シャトー・シュヴァル・ブラン、ルイナールなどのシャンパーニュ、ワイン、スピリッツ部門も業績を押し上げました。

唯一、トラベルリテール(免税店)だけが海外旅行の低迷により思うように伸びていないとのことですが、ベルナール・アルノー会長兼 CEO は、同グループが 2022 年もラグジュアリー市場で進化を遂げるいいポジションにいる、とコメントしています。 その秘訣について同氏は、コロナによる厳しい環境の変化にチームが柔軟に対応しながら特に顧客との関係を維持し、つねに夢を見せ続けることができたことだと語っています。

加えて、世界をよりよくするための活動にも尽力し、2021 年はグループも各ブランド・メゾンもビオダイバーシティ(生物多様性)や自然保護、サヴォワールフェール(職人技、匠の技)の保存のため多くのアクションを取ったというコメントもありました。 確かにパリ市内でも LVMH によるサヴォワールフェール関連ポスターを目にし、フランス語プラットフォームの SNSでサヴォワールフェールにフォーカスしたディオールのブランド広告が流れてきた記憶が複数回あります。

長年エルメスがサヴォワールフェールの継承に力を注いでいる中、LVMH も同様の取り組みをかなり強く前面に押し出してきたのだなと感じましたが、アクションを取るだけでなく、いかにわかりやすく、エンドユーザー、あるいは潜在的な消費者まで届く形で、日常的に継続的に発信するかという部分の効果も昨年度の業績に寄与しているのかもしれません。 「ファッションユナイテッド (Fashion United) の記事によると、LVMH ではまた、今年 1 月に世界で初めてフランスで始まった「衣服廃棄禁止令」による影響も少ないとしています。 その理由は市場でのニーズを正確に把握し、品薄になりこそすれ在庫が余る状態にならないよう以前からコントロールを強化しているからだとしています。

値下げをすることでブランド価値の下がるラグジュアリーブランドの場合、在庫処理がほかのブランドと比べて困難だということで 2017 年にバーバリーが 40 億円以上相当の在庫を処分していたことがスキャンダルになりました。 が、昨年 11 月に逝去したルイ・ヴィトンのディレクターを務めたデザイナー、ヴァージル・アブローは、デザインありきではなく、過去のコレクションの残りの生地や皮の切れ端からデザインを組み立てていたそうです。

在庫管理のために AI 技術に投資するブランド

厳密な在庫管理のため、グッチやサン・ローランを保有するケリングは AI 技術に投資するとしており、2020 年の時点でエルメスは「アップサイクリング(創造的な再利用)」の過程で生まれた 3 万 9,000 点もの商品を販売しているとのことですが、こういったサステナブルな側面での規制への対応も今後進化を遂げていくことでしょう。 コロナ禍におけるファッション業界の変化は、高級市場以外でも起こっています。 フランスに来たことがある方はご存知かもしれませんが、フランスでは年 2 回、「ソルド(セール)」が実施されます。 お店によってほかの時期にも値下げするところも増えてきましたが、期間は国によって指定されており、今年は 1 月 12 日から 2 月 8 日まででした。

旧シーズンの商品在庫がほぼ必ずソルドになるので、ソルド開始前にお店に通い目当ての商品を確認しておく、なんていう話もかつてはよく聞きました。 が、今回のソルドは難航したようです。 ジャン・カステックス首相がテレワークの義務化を発表した期間が 1 月 3 日から 2 月 2 日ということで、ソルド期間に見事に重なってしまったのです。 ユロップ 1 (Europe 1) の報道によると、やはり街中に出る人が激減したことで、2019 年に比べチェーン店では客足が 30% 近く減ったと回答しています。 総売上高は 8% 低下しました。 独立店はさらに厳しく、20 年冬のソルドに比べ総売上高が最低でも 20% 低下したところが半数に上りました。

フランス衣料連盟事務局長によると、ソルド後半の 2 度目の値下げも 89% の店舗にとって何の効果もなかったとのこと。 同報道は、テレワーク、インフレ、ウィルスへの恐怖のほかに、特に首都圏では観光客の不在が大きな要因だったと分析しています。 毎回ソルドの初日は開店前に客が列を作るという個人商店が、今期は隣接する薬局に感染テストのために人が並んでいるだけで自分の商店に並ぶ人は皆無だった、と嘆いているニュースもありました。 「ソルドで購入した服にはウィルスが付着しているか?」というサイトも見られ、やはり普段より人が集まる実店舗でのソルドに不安を覚える人も多かったことが窺えます。

コロナ前より来客が増えたモール

これに対して、テレワークが吉と出たのが、パリ西部のヴェルサイユ近郊にある約 2 万 4,000 平米のアウトレットモール「ワン・ネーション・パリ」です。 同モールでは 2021 年の少なくとも 2 カ月の営業日で前年比 28.4% の来客数の増加があったと発表しました。 アニエス・ベー、ケンゾー、ナイキなど国内外の 400 近くのブランドが入る同モールには、2021 年にも 16 店舗が新規にオープン。 来客数は 2019 年と比べても増加しており、ロックダウンによる営業停止日の予定がまだない 2022 年にはコンスタントに増えるとの見通しとしています。 ラ・ガゼット (La Gazette) によると、現に今期のソルドでも毎週 56% - 76% の売り上げ増加を記録、1,500 台分の駐車場が満車になっているのも目撃されたとのこと。

ファッションユナイテッドがその理由として挙げているのが、テレワークです。 モールのあるパリ西部の住民の購買力が国内平均の 2 倍と高いうえ、もともとこの地域は住宅が多くテレワークでほかの地域に出なくなった人たちがモールへ訪れており、これが客数の増加につながりました。 オフィスエリアにある店舗が軒並み打撃を受けているのと逆の現象が起こっているわけです。 コロナ禍を経て人の動きや嗜好が変わったことは、ファッション業界に大きな変化をもたらしています。 その中で企業やブランドが生き残っていくには、従来の発想にとらわれず、変化を前向きに捉えて行動していくことが求められているようです。 (前島美知子、東洋経済 = 4-2-22)


ファミリーマート、「日常使い」目指し品揃え強化 衣料品も

ファミリーマートは来年度上期の商品戦略について、日常使いできる店を目指して総菜や衣料品などの品揃えを強化すると発表しました。

「コロナで大きく変化した生活や、価値観など、新しい日常に対応することが必要です。 ワンストップで完結する品揃えを実現したい。(ファミリーマート商品本部長・塚本直吉取締役専務執行役員)」

コロナ禍でまとめ買い需要が高まり、自宅付近の 1 つの店舗で買い物を済ませる傾向があることから、ファミリーマートは今後、冷凍総菜や 200 円台の小容量の総菜の品ぞろえを拡大。 スーパーのように日常使いしやすい店づくりを進めるとしています。 また、食品だけでなく、衣料品も拡大予定です。

「鮮やかな色のソックスなど商品が増えて、今後売り場も 2 倍になるということです。(記者)」

去年 3 月から展開している靴下や T シャツなどの「コンビニエンスウェア」の商品数を増やし、売り場の棚を 1 つから 2 つに増やすとしています。 一方、原材料価格の高騰で値上げが相次いでいることについては、「価格変更するものも当然あるが、原材料や製造工程の見直しなどで適正価格を維持したい」としています。 (TBS = 3-24-22)


大手繊維メーカー東洋紡 秋田・大館に拠点 再来年操業

大阪に本社を置く大手繊維メーカーの東洋紡が、新たに大館市に事業所を構えることになりました。 県と大館市の誘致企業として再来年の操業開始を予定しています。 誘致企業としての大館市への進出に当たって、11 日、東洋紡と県、大館市が協定を取り交わしました。 東洋紡は、大館市に工場を持つニプロに人工透析に使うろ過装置 = ダイアライザーの主要部品「中空糸」といわれる化学繊維を長年供給してきました。

今回、東洋紡はニプロが大館市内で新たに建設している工場の中にラインを設け一貫生産する計画です。 新たに 23 人を地元で採用し、再来年 6 月の操業を予定しています。 東洋紡の竹内郁夫社長は「世界の患者さんの QOL = 健やかな生活に貢献できることを誇りに思いながら、秋田で事業を継続・拡大できるよう努めてまいります」と話しました。 東洋紡の進出について、佐竹知事は「賃金水準が高く地元企業との連携など地域経済への波及効果があり県内の産業構造の転換に関わってくる」と歓迎しています。 (ABS 秋田放送 = 3-14-22)

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コロナ禍で「衣料繊維事業」赤字
東洋紡が子会社再編で "強い繊維" 絞り込む

東洋紡はコロナ禍で赤字に陥った衣料繊維事業の改革を進める。 子会社の再編を決め、4 月に新会社「東洋紡せんい」を発足。 国内の衣料繊維工場は 2024 年 3 月末をめどに 3 工場を 1 工場に集約する。 アパレル製品の店頭販売が減少するなど、市場環境が厳しさを増す中、販売と製造の両面で競争力を強化する。 竹内郁夫社長は「繊維を強い分野に絞り込み、勝ち残りを目指す」と力を込める。 東洋紡は 21 年 3 月期、衣料繊維事業で営業赤字を計上した。 22 年 3 月期もコロナ禍の影響が続いており、厳しい着地となる見通しだ。 23 年 3 月期は反転を見込むものの、コロナ禍以前の事業環境には戻らないとみる。

そこで新会社の東洋紡せんいには衣料繊維事業のリソースを集約し、"選択と集中" を加速する。 東洋紡 100% 子会社の東洋紡 STC から繊維事業を分割し、そこに東洋紡 STC 100% 子会社の東洋紡ユニプロダクツを統合して、新会社を発足。 さらに東洋紡 100% 子会社のトーヨーニットを新会社の直接保有子会社とする。 繊維事業を切り離した後の東洋紡 STC は、高機能材取り扱い商社として存続させる。

新会社社長に就任する清水栄一東洋紡執行役員兼東洋紡 STC 社長は新会社設立の意義を、「スタッフ部門のような重複する作業をなくしてコストを下げ、強い販売チームを作る」と説明する。 新体制ではスポーツアパレルやユニホーム、中東の民族衣装用生地など、それぞれの分野で特化した強みを発揮する。 例えば中東の民族衣装用生地では、現地ニーズに合わせた開発を強化する。

生産面では、東洋紡で国内唯一の衣料繊維生産拠点である富山事業所(富山県射水市)で、紡績の井波工場(同南砺市)と入善工場(同入善町)を 24 年 3 月末に休止。 紡績工程は織布・加工を手がける庄川工場(同射水市)に移管・集約する。 庄川工場での織布生産も規模を縮小し、海外拠点を活用して生産量を維持する。 差別化商品は国内、汎用品は海外での生産を基本とし、衣料繊維事業を「再度強い事業にしていく。(清水執行役員)」 (NewSwitch = 3-8-22)