中国から「前例のない」資本流出、ウクライナ侵攻後 - IIF

国際金融協会 (IIF) によると、ロシアが 2 月下旬にウクライナに侵攻して以来、中国から投資マネーが「前例のない」規模で引き揚げられており、新興国の資本フローで「極めて異例の」変化を示した。 IIF は 24 日のリポートで、他の新興国市場への資本流入が続いているにもかかわらず、高頻度データで中国の株・債券から大規模な資本の流出を検知したことを明らかにした。

チーフエコノミストのロビン・ブルックス氏らはリポートで、「われわれが目にしている中国からの大規模かつ激しい資本流出は、前例がない。 特に他の新興市場からの同様の流出が見られない」と指摘。 「資本流出のタイミングはロシアによるウクライナ侵攻後に当たり、外国人投資家が新たな観点で中国を見ている可能性があるが、この点に関して明確な結論を出すのは時期尚早だ」としている。

公式データによると、2 月は外国人投資家の中国国債保有が過去最大の減少を記録。 ロシアによるウクライナ侵攻が世界の債券投資家の償還に拍車を掛けたことが一因だ。 制裁措置により、ロシア中央銀行がユーロとドルで保有する外貨準備が凍結され、同国政府が保有する中国資産を売却して資金を調達するとの臆測につながっている。 中国の株式市場も今月初めに大幅下落した。 米国と欧州連合 (EU) による対ロシア制裁が何らかの形で中国に波及する可能性などが懸念され海外投資家が引き揚げていた。 その後、政策当局が資本市場の下支えを表明したことから、中国株は先週以来持ち直している。 (Bloomberg = 3-25-22)


中国金融機関の 21 年末総資産 381 兆 9,500 億元 負債 346 兆 5,800 億元

【北京】 中国人民銀行(中央銀行)が 15 日発表した 2021 年末時点の国内金融機関の総資産(速報値)は、前年同期比 8.1% 増の 381 兆 9,500 億元(1 元 = 約 19 円)だった。 うち、銀行は 7.8% 増の 344 兆 7,600 億元、証券会社は 21.2% 増の 12 兆 3 千億元、保険会社は 6.8% 増の 24 兆 8,900 億元だった。 負債額は 7.9% 増の 346 兆 5,800 億元。 うち、銀行は 7.6% 増の 315 兆 2,800 億元、証券会社は 24.4% 増の 9 兆 3,500 億元、保険会社は 6.9% 増の 21 兆 9,600 億元だった。 (中国・新華社 = 3-16-22)


中国経済にのしかかる「ウクライナ危機」の重圧
5.5% 成長目標は「高すぎる」と専門家が指摘

ロシアによるウクライナへの侵攻は、中国経済にどのような影響を及ぼすのだろうか。 スイス金融大手 UBS の中国地区チーフエコノミストを務める汪濤氏は、この問いに対して「(ウクライナ危機は)中国経済の新たな下押し要因になっている」との見解を示した。 3 月 7 日、UBS は北京で開催中の「両会(訳注 : 全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)」をテーマにしたメディア向けオンライン・フォーラムを開いた。 その席で汪氏は、ウクライナ危機をきっかけにエネルギーや食糧などの国際相場が急騰していることを念頭に、次のように指摘した。

「中国の消費者物価指数 (CPI) は間違いなく上昇圧力を受けている。 最近まで(見かけの)CPI 上昇を相殺していた豚肉の値下がりが一巡したため、今後は原材料価格と生産者物価の上昇が徐々に消費者物価に波及するだろう。」 とはいえ汪氏は、国際商品価格の上昇が中国の物価にそのまま反映されるとは見ていない。 「例えばエネルギーの国際相場の値上がりは、中国政府の価格統制を通じて国内市場への全面波及が緩和される。 また、現在のエネルギー相場の急騰は長続きしない。 原因が需要増加や経済過熱ではなく、主に供給側の問題だからだ。 したがって(価格変動が大きい食品とエネルギーを除いた)コアインフレ率に与える影響は限られるだろう。(汪氏)」

輸出への影響は避けられず

汪氏によれば、中国経済はロシアの侵攻が始まる前から 2 つの下押し要因に直面していた。 1 つ目は、新型コロナウイルスの局地的流行が中国各地で反復するなか、地方政府の厳格な防疫措置が個人の消費マインドに与えている負の影響だ。 2 つ目は、(2021 年秋から)中国国内の不動産価格が下降局面に転じ、しかも値下がり圧力が大きいことである。 そこに加わった新たな下押し要因が、ウクライナ危機にほかならない。 地政学的リスクの高まりがエネルギーや食糧などの国際相場を押し上げ、特にヨーロッパが直接的かつ深刻な打撃を受けている。 このことは、ヨーロッパ向けを中心に中国の輸出への影響が避けられないことを意味する。

そんななか、中国政府は(李克強首相が 3 月 5 日に全国人民代表大会で行った)政府活動報告のなかで、2022 年の国内総生産 (GDP) 成長率の目標値を「5.5% 前後」に定めた。 この政府目標について汪氏は、「高すぎる数字だ。 達成するには、より多くのインフラ建設やその他の景気刺激策が必要になる。」と指摘。 UBS は中国の 2022 年の GDP 成長率を 5.4% と予想しているが、「今やさらなる下方修正圧力にさらされている」と述べた。 (東洋経済/中国・財新、范浅蝉 = 3-16-22)

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中国全人代が閉幕 李克強首相、ウクライナ停戦訴え
税還付拡大に含み

【北京 = 川手伊織】 中国・北京で開かれていた第 13 期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第 5 回会議が 11 日午前、閉幕した。 李克強(リー・クォーチャン)首相は閉幕後の記者会見で、緊迫化するウクライナ情勢を憂慮し「停戦協議を進められるよう最大の努力を尽くさなければならない」と語った。 李氏は「国際社会とともに和平回復のため積極的に役割を果たしたい」と、中国も関与していく姿勢を示した。 一方、日米欧などによる対ロシアの金融制裁は「世界経済の回復にショックをもたらし、各方面にとって不利益だ」と語り、反対した。

中国政府は 2022 年の実質経済成長率の目標を 5.5% 前後と定めた。 21 年の「6% 以上」から引き下げたが、李氏は「目標の実現は容易ではない」と引き締め、景気対策の効果などを丹念に見極めていく考えを示した。 秋の共産党大会をにらみ、安定成長の実現へ企業の税負担を 2 兆 5,000 億元(約 45 兆円)軽減する。 このうち 1 兆 5,000 億元を占める税の還付について「効果が良ければ、さらに規模を拡大する」と景気対策の強化に含みを残した。

新型コロナウイルスがまん延して以降、中国は厳しい移動制限などで感染の拡大を徹底して抑え込んできた。 今後の方針をめぐり、李氏は「発生しうる変化に速やかに対応しつつ、物流や人の行き来を少しずつ秩序だって正常化していく」と強調した。 (nikkei = 3-11-22)


2021 年の中国経済総量、世界経済に占める割合 18% 超

中国国家統計局は 2 月 28 日、「2021 年国民経済・社会発展統計公報」を発表し、公式サイトに盛来運副局長による解説を掲載した。 中国経済の国際影響力に関する解説の要旨は次の通り。

各地区や各部門は、複雑な国際環境や新型コロナウイルス感染症、極端な天気など多重的な課題に直面する中、コロナ対策と経済・社会の発展を統一的に推進した。 マクロ政策のクロスシクリカル調整が強化され、国民経済は持続的に回復し、発展レベルは新たな段階へと進んだ。 中国の国際影響力は引き続き高まり、年平均レートで計算した 21 年の中国経済総量は 17 兆 7 千億ドル(1 ドル = 約 116 円)となった。 世界経済に占める割合は 18% を超え、世界経済成長に対する寄与度も 25% 前後になるとみられる。

モノの貿易額と外貨準備高はいずれも世界一であり、サービス貿易と対外投資、消費市場規模も世界上位を維持した。 世界の経済・貿易の回復を推進し、グローバルな産業チェーンとサプライチェーン(供給網)の安定を守る上で、他には替えられない重要な役割を果たした。 (中国・新華社 = 3-1-22)

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中国の 21 年実質 GDP は 8.1% 増、足元では減速感 出生数は最少

中国国家統計局が 17 日に発表した 2021 年の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除く実質成長率は前年比で 8.1% だった。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が色濃かった 20 年の反動増の側面が大きい。 足元では減速感が強まっている。 また、21 年の出生数が 1949 年の建国以来過去最少の 1,062 万人に減少した。

21 年の成長率が高い数字となったのは、21 年 1 - 3 月期の成長率が前年のコロナ禍からの反動で 18.3% だったことが大きい。 その後の 4 - 6 月期は 7.9%、7 - 9 月期は 4.9%。 17 日に同時に発表した 21 年 10 - 12 月期の成長率は 4.0% とさらに減速した。 さらに、21 年を四半期ごとに見て直前の四半期と比較すると、伸び率は 0.3 - 1.6% しかなく、年間を通じてほぼ横ばいで推移。 コロナ禍からの回復の勢いは見られない。

それ以外の各種統計も通年の数字と足元の差が大きい。 消費の状況を示す 21 年の小売総額は 20 年比 12.5% 増だが、12 月は 1 年前に比べて 1.7% 増にとどまる。 企業の生産状況を示す 21 年の鉱工業生産は 9.6% 増だが、12 月は 4.3% 増だった。 また、経営危機の中国恒大集団の問題などで冷え込んだ不動産市場では、関連する投資額が 21 年は前年比で 4.4% 増となり、1 - 9 月期(8.8% 増)に比べて減速した。 (北京 = 西山明宏、asahi = 1-17-22)

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中国経済、来年の見通しに暗雲 - 不動産セクター低迷と外需減速が重し

中国経済は 12 月、企業センチメント改善や生産者物価の上昇圧力緩和、自動車販売増加に支えられ、緩やかなペースで拡大したが、低迷する不動産セクターと外需減速が今後の見通しを曇らせている。 中国本土の主要株価指数や住宅販売、銅価格など 8 つの先行指標を総合したブルームバーグの指数がそうした状況を示した。 同指数は 12 月も横ばいで、景気改善がなお安定したペースで進んでいることが示唆された。 ただ、データの一部が発するシグナルはまだら模様となっている。

輸出の力強さは 12 月も続いた様子で、世界貿易の指標の 1 つである韓国の輸出は 2 桁台の増加が見込まれるが、物流のボトルネックで前月からペースが鈍る可能性がある。 今年の記録的な伸びを 2022 年も維持するのは困難とみられ、見通しはこれまでより不透明になっている。 スタンダードチャータードが 500 社余りを対象に実施した調査では、中小の輸出企業の業績は 12 月、堅調な受注が追い風となり、一段と改善した。 しかし、向こう 3 カ月の販売・生産見通しは不確実だと大中華圏担当チーフエコノミストの丁爽氏が調査リポートで指摘した。

同リポートによれば、外需は正常化し、内需は改善。 新規受注が加速し、完成品の在庫が減少した。 中国当局が不動産セクターのハードランディングを防ごうとしているにもかかわらず、1 級 4 都市の住宅販売は 12 月も減少。 調査によると、当局の締め付けで大打撃を受けた不動産中小企業のサブ指数は 48.6 と、11 月の 57.6 から急低下した。 生産者物価は今月、若干の緩和の兆しを見せた。 ブルームバーグ・エコノミクスが調査する一連のデータでは、11 月まで 3 カ月連続で伸びが加速していたが、12 月はピークから減速に転じている。 (Bloomberg = 12-29-21)


中国、21 年の出生数 1,062 万人

中国国家統計局が 28 日発表した 2021 年国民経済・社会発展統計公報によると、21 年末時点の全国の人口は 14 億 1,260 万人で 20 年末より 48 万人増加した。 うち、都市部の常住人口は 9 億 1,425 万人だった。 21 年の出生者数は 1,062 万人で、人口千人当たりの出生率は 7.52 となった。 死亡者数は 1,014 万人で死亡率は 7.18。 出生率と死亡率の差を示す自然増加率は 0.34 だった。

男女別人口は、男性が 7 億 2,311 万人、女性が 6 億 8,949 万人で、男性が女性を 3,362 万人上回った。 居住地と戸籍地が異なり、戸籍地を半年以上離れた状態にある「人戸分離」人口は 5 億 4,000 万人で、うち流動人口は 3 億 8,500 万人だった。 (中国・新華社 = 2-28-22)

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中国の「出生率」、建国後の最低記録を更新の衝撃

2020 年は人口 1,000 人当たり 10 人を割り込む

中国の出生率が、1949 年の建国以来の最低記録を更新したことがわかった。 中国国家統計局が公表した最新版の「中国統計年鑑」のデータによれば、2020 年の人口 1,000 人当たりの出生数は 8.5 人と、(文化大革命終結後の)1978 年以降で初めて 10 人の大台を割り込んだ。 出生者数から死亡者数を差し引いた「自然増加率」も、2020 年は 1,000 人当たり 1.45 人と過去最低を記録した。

1年前の 2020 年 11 月から 12 月にかけて実施された国勢調査でも、2020 年の中国の出生数は 1,200 万人にとどまり、合計特殊出生率(1 人の女性が生涯で産む子どもの数)は 1.3 という深刻な結果が示されていた。 この水準は世界各国の出生率を大きく下回っている。 中国社会科学院で人口・労働問題を研究する王広州氏は、「中国はすでに超少子化の時代に突入した」と指摘する。 中国では出生数、労働人口の減少に続いて、総人口も減少に転じる日が近づきつつあり、多くの専門家が懸念を表明している。

中国政府は 8 年前から、「一人っ子政策」として知られる人口抑制政策を段階的に緩和することで、人口減少に歯止めをかけようとしてきた。 2013 年に打ち出された、夫婦のどちらかが一人っ子の場合に第 2 子の出産を認めるという、条件付き「二人っ子政策」がその第一歩だ。

「一人っ子政策」転換の効果見えず

2 年後の 2015 年には、夫婦どちらも一人っ子でなくても第 2 子の出産を認める、全面的な二人っ子政策に移行した。 さらに、2021 年には「三人っ子政策」の推進が発表され、認められた人数を超える出産に数十年にわたって科されてきた罰金が廃止された。 にもかかわらず、政府が期待する「出産ブーム」の兆しは一向に見えない。 それどころか、出生率の低下に呼応するかのように、婚姻の数も減り続けている。 統計年鑑によれば、2020 年の婚姻件数は 814 万 3,300 組と、前年より 113 万組減少。過去 17 年間の最低記録を更新した。

人口構成における男女比のアンバランスも著しい。 統計年鑑によれば、2020 年の総人口の性別比は女性 100 人に対して男性 104.8 人と、男性のほうが 5% 近くも多い状況だ。 中国国家統計局の広報官が 2021 年 5 月に明らかにしたデータによれば、20 歳から 40 歳までの結婚適齢期では、このアンバランスがさらに深刻だ。 適齢期の男性人口は女性より 1,752 万人も多く、性別比は女性 100 人に対して男性 108.9 人に達する。 この現実は、中国人の恋愛や結婚に無視できない影響を及ぼしている。 ((周信達、黄寶コ、中国・財新 = 12-7-21)

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中国経済、問題は不動産債務より「人口動態」

中国についてはいろいろ懸念されることがあるだろうが、ひとまずこれ以外はすべて忘れてほしい。 大問題は、中国がもっとも生産的な労働者を使い果たそうとしている、ということだ。 このままいけば中国の成長はやがて失速し、その伸びは横ばいに近いくらいまで鈍化することになるだろう。 フロスト・インベストメント・アドバイザーズは「中国経済の亀裂」と題した最近のリポートのなかで、「大半のアナリストは、中国は持ちなおすとみている。 それは正しいかもしれないが、われわれは(中国経済の)土台にいくつかの亀裂が走っていると考える」と書いている。

もちろん、中国恒大集団(エバーグランデ・グループ)の問題であらわになったように、中国の不動産債務が手に負えないほどのものになっていることは、すでに投資家の知るところである。 また、中国が規制強化によってビジネスに対する締めつけを相当厳しくしていることも、多くの投資家は知っているだろう。 ただ、中国は中央計画経済なのだから、それに驚く人はあまりいないはずだ。

いずれにせよ、フロストのリポートでも言及されているこの 2 つの問題は、中国政府が本気になれば比較的短期間で解決できるように思われる。 中国の指導部は過剰規制については是正を望んでいるように思えないが、債務の急増に関しては、好むと好まざるとにかかわらず対応を余儀なくされることになりそうだ。 だが、このリポートで強調されているのは、中国がかかえるもっと深刻な問題である。 何十年にもわたって少子化が続いた結果、中国の人口ピラミッドが若年層ほど広い「山型」から、比較的高い年齢層が膨らんだ「つぼ型」へと変わってきたことだ。

「中国の人口は高齢化が急速に進んでおり、もっとも生産性の高い労働力人口は 15 年もたてば退職する見通しになっている」とリポートは指摘する。 「中国の出生率は過去 20 年で大幅に低下しており、数十年後には横ばいになる兆しがある」とも記している。 添えられたグラフによると、中国ではすでに死亡率が出生率を大きく上回っている。 こうした人口動態が重要なのは、一国の経済が成長するのは人口が増えるか、1 人あたりの労働生産性が上がるか、どちらかの場合しかないからだ。 人口が減れば、経済成長はすべて労働者の生産性にかかってくる。

そして、そこが難しいところなのだ。 大企業が中国への投資に慎重になり、中国政府が不要な規制を増やして成長を妨げるなかで、どうやれば生産性が向上するというのか。おそらくそれは不可能だ。 人口も増えず、労働生産性も上がらないとなれば、世界第 2 の規模をもつ中国経済は遅かれ早かれ縮小に転じるということになる。 「多くの中国人は、快適な老後を送るのに必要な資産を築けないまま年老いることになりかねない」とリポートは警鐘を鳴らしている。 (Simon Constable、Forbes = 11-5-21)


中国・浙江省が「共同富裕」促進のため打ち出した "破格の起業融資政策"

中国では昨年、国家の目指す新たな大方針が示された。 それが日本のメディアでも盛んに取り上げられている「共同富裕」である。 "先に豊かになれる人から豊かになればよい。” トウ小平時代から続く、経済発展を優先させる戦略は、2020 年に国民全体がある程度余裕のある生活レベル(全面的な小康社会)に達したと共産党が総括したことで完了した。 そして、次に目指す大目標が、"みんながともに豊かになる社会(共同富裕)" の形成だ。

高成長の副作用は大きい。 まずはこれまで重視されてこなかった "平等、公平、公正" について、しっかりと見直すべきだということになった。 超法規的な形で金融業にまで踏み込んでいたアリババグループの経営を正し、資金力にものを言わせて違法な価格競争を仕掛けたり、有利な立場を利用して下請けの経営を圧迫するなど独占禁止法違反を続けてきたりしたネット系企業、子供の教育への悪影響を顧みず普及に邁進したゲーム企業、子供に十分な教育機会を与えたいと願う親の気持ちにつけこんで高収益をあげていた教育事業系企業などが一斉に粛清されることになった。

不動産バブルを厳しく抑制する政策も含めて考えれば、共同富裕といえば短期的には経済成長を抑える効果のある政策ばかりが目立っていた。 中国は社会主義化が進み、イノベーションにおける最大の牽引役であるアニマルスピリットが失われ、中国経済の成長は止まるのではないか、衰退に向かうのではないかといった意見さえ聞こえるようになっていた。

優秀な人材を集めるための政策

しかし一方で、こうした危惧を払拭するような政策も出ている。 その一つが浙江省による "共同富裕" 促進策である。 国家発展改革委員会は 2 月 17 日、記者会見において、質の高い "共同富裕" 発展建設の推進をサポートするためのモデル地区に指定されている浙江省の取り組みを紹介している。

その中で最も注目されたのは、就業、イノベーションに関する "破格の融資政策" である。 大卒以上の高等教育を受けた卒業生が浙江省で職を得た場合、2 万(36 万円、1 元 = 18 円で換算、以下同様) - 40 万元(720 万円)の範囲で生活補助金、住宅手当あるいは住宅購入補助金を受けることができる。 また、浙江省内で起業したければ 10 万(180 万円) - 50万元(900 万円)の範囲で資金を借りることができる。

しかも、起業に失敗したとしても、10 万元(180 万円)までは 100%、それを超える部分は 80% を浙江省政府が弁済してくれる。 さらに、大学生が家業についたり、両親の面倒をみたり、近代的な方法で農業に従事したりすれば、10 万元の創業補助金を受けることができ、毎年 1 万元の就業補助金を連続 3 年間受け取ることができる。 とにかく、経済発展には優秀な人材が欠かせない。 これは浙江省の例だが、そのほか、雲南省、四川省などでも、優秀な人材を引き寄せるための政策が打ち出されている。

80% の世帯の可処分所得を引き上げる

年間の予算枠はあるはずだから、だれでも手を挙げればすぐに起業支援が受けられるわけではないだろう。 融資と投資の違いはあるが、かつての日本の人気番組『マネーの虎』を中国政府が主催しているような感がある(10 万元までは返済不要である以上、投資と同様ともいえる)。 知的レベルが高くかつ、意欲のある人物を集めようということだが、うまくいくかどうかのポイントは、どちらかというと目利きの側にある。 政府の役人が審査をするのか、あるいは金融機関などと組んでやるのか、詳細は明らかにされていない。

浙江省は、このような方法で経済を活性化させることで、2025 年までに浙江省における 80% の世帯の可処分所得を 10 万元(180 万円)以上に引き上げるといった目標を設定している。 日本では、岸田文雄首相が "新しい資本主義" を提唱しているが、その内容が今一つ具体的でないとする意見も多い。 最低賃金を少し引き上げたところで、それは少しも新しい制作ではない。 浙江省の取り組みをそのまま取り入れるぐらいの大胆さがあってもよいと思うのだが、どうだろうか。 (田代尚機、MoneyPost = 2-23-22)

■田代尚機(たしろ・なおき) : 1958 年生まれ。 大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。 現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。 ブログ「中国株なら俺に聞け!! (https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)」も発信中。


中国鉄鋼大手、21 年 10 月から純利益激減の事情 宝山鋼鉄、不動産業界の資金繰り悪化など影響

中国の鉄鋼大手の宝山鋼鉄は 1 月 28 日、2021 年の通期の純利益が 236 億 - 240 億元(約 4,281 億 - 4,354 億円)に達し、前年比 86 - 89% 増加するという業績予想を発表した。 宝山鋼鉄は世界最大の鉄鋼企業グループ、中国宝武鋼鉄集団の中核上場子会社だ。 大幅増益の要因について宝山鋼鉄は、2021 年を通じて(新型コロナウイルスの流行で落ち込んでいた)経済活動の再開が世界的に進み、鉄鋼製品の需要が拡大したことや、それに伴い鋼材などの市場価格が大幅に上昇したことを挙げた。

だが見逃せないのは、2021 年第 4 四半期(10 - 12 月)の純利益が顕著に目減りする見込みであることだ。 10 - 12 月期の予想純利益は 20 億 - 24 億元(約 363 億 - 435 億円)と、通年の予想純利益の 1 割にとどまる。 第 3 四半期までの 9 カ月間(1 - 9 月)の純利益は前年同期の 2.75 倍に達していたが、そこから急ブレーキがかかった格好だ。

鋼材価格が右肩上がりから一転急落

中国では 2021 年秋から鋼材の市場価格が大幅に下落。 その一方、(鉄鋼製品の原料となる)コークスや合金の価格は高止まりした。 宝山鋼鉄では、それに加えて環境対策費の増加や、広東省湛江市で新規稼働した生産設備の減価償却費などが重なり、10 - 12 月期の利益を押し下げた。 なお、10 - 12 月期の需要の動きについて宝山鋼鉄は、「自動車業界や家電業界などの需要がいくぶん回復したが、全体的には例年の水準まで至らなかった」と説明した。 さらに、中国政府の融資規制の影響で不動産業界の資金繰りが悪化し、建築向けの鋼材需要が低迷したことが、市場価格を引き下げる重しになった。

宝山鋼鉄が直面した市場環境の急変は、2021 年の鋼材価格の乱高下からも見て取れる。 代表的な鉄鋼製品の価格は年初から 9 月にかけて右肩上がりに上昇し、棒鋼や熱間圧延コイルの市場価格が相次いで過去最高を更新した。 だが、そこから相場は急落に転じ、10 月下旬には年初からの値上がり分がほぼ帳消しになる水準まで低下した。(財新/東洋経済 = 2-15-22)


中国の地方別「経済成長目標」、2022 年は低めのわけ
最高の海南省は 9%、最低の北京市は 5% に設定

中国本土の 31 の省・自治区・直轄市のうち、新型コロナウイルスの局地的流行の影響を受けた天津市を除く 30 地方が、1 月 24 日までに 2022 年の経済成長率の目標値を公表した。 財新記者の調べによれば、それらの目標値は大部分の地方で前年よりも引き下げられた。 30 地方のうち、前年を上回る目標値を掲げたのは甘粛省のみ。 前年並みも内モンゴル自治区だけで、9 割を超える 28 地方の目標値が軒並み前年を下回った。 これらのなかで目標値が最も高いのは海南省の「9% 前後」、次がチベット自治区の「8% 前後」、最も低いのは北京市の「5% 以上」だ。

多数の地方が目標値を引き下げた裏には、新型コロナウイルスの影響がある。 中国では 2020 年前半に国内で新型コロナの感染が拡大し、ロックダウン(都市封鎖)などの厳しい防疫措置により経済活動が停滞した。 その反動で、翌 2021 年の各地方の経済成長率は例年より高い数値が出ていた。 2022 年の目標値が前年より低めに設定されたのは、その調整のためと見られている。 なお、2022 年の目標値を 2020 - 2021 年の 2 年間の平均成長率と比較すると、26 地方で前者が後者を上回っている。

景気減速で地方政府にプレッシャー

地方別の目標値を見ると、海南省が全国トップの目標値を掲げた背景には、活況を呈する「海南自由貿易区」がもたらす経済的利益の拡大への期待があると言えそうだ。 2020 年の新型コロナ流行で深刻な打撃を受けた湖北省は、2022 年の目標値を「7% 前後」に設定した。 湖北省長の王忠林氏のスピーチによれば、この目標値は同省の潜在成長率に見合ったものであり、実現を通じて雇用の安定、社会福祉の維持、地域経済の競争力強化などを図るとしている。

その一方、広東省、江蘇省、山東省、上海市、北京市など地域経済が発達した地方の多くは、2022 年の目標値を(全国平均より低い) 5.0 - 5.5% に設定した。例えば目標値を「5.5% 前後」とした広東省政府は、「過去 2 年間の平均成長率と、広東省の第 14 次五カ年計画(2021 - 2025 年)の目標を勘案して決定した」と理由を説明している。 だが、これらの目標値の達成は(2021 年後半からの景気減速や不動産不況を受けて)容易ではないとの見方もある。 その意味で、2022 年の前半にどこまで地域経済をテコ入れできるか、各地方の政府には大きなプレッシャーがかかっている。 (範浅蝉、財新/東洋経済 = 2-9-22)


中国、ペブルベッド型高温ガス原子炉が稼働 CNNC が開発

[上海] 中国の山東省で、中国核工業集団公司 (CNNC) が開発したペブルベッド型高温ガス炉 (PBR) の原子力発電所が稼働した。 CNNC が 20 日、明らかにしたところによると、Shidaowan 原子炉事業の 1 号基は、中国華能集団、清華大学との協力で山東省栄成市近郊に建設され、送配電網への接続作業が行われていた。 総発電能力は 200 メガワット。 2 号基は現在建設中。 CNNC は、Shidaowan 事業では、装備・機器の 93.4% を国内で調達し、完全な国産技術だとしている。

中国は、原発建設計画がある世界でも数少ない国の一つ。 しかし 2011 年の福島第一原発事故を受けて新規事業が一時停止された影響で、建設が遅れ、昨年末時点の総発電能力は 51 ギガワット (GW) と、目標の 58GW を下回った。 CNNC は、35 年までに発電能力を最大 180GW とするには、今後 10 年間、少なくとも年間 6 つの新規事業を承認するよう政府に求めている。 (Reuters = 12-20-21)


中国人民元 約 3 年 7 か月ぶり 元高ドル安水準に

8 日の中国 上海の外国為替市場では、中国からの輸出が増加する中、企業などの間でドルを売って人民元を買う動きが強まり、およそ 3 年 7 か月ぶりの元高ドル安水準をつけました。 8 日の上海の外国為替市場では、ドルを売って人民元を買う動きが進み、日本時間の午後 5 時半の時点で 1 ドル = 6.3535 人民元と、2018 年 5 月以来、およそ 3 年 7 か月ぶりの元高ドル安水準になりました。

これは、中国からの輸出が伸びる中で、企業が輸出で得たドルを元に替える動きが強まったほか、中国の中央銀行が 6 日、追加の金融緩和策を発表したことで減速している景気が下支えされることへの期待が出たためです。 市場関係者は「世界的な原材料価格の高騰が、中国の景気減速の要因の 1 つとなっているため、当局が輸入企業の負担軽減につながる元高を容認しているとの見方もあって、このところ人民元が買われてきた。 ただ、元高は逆に中小企業の輸出を減少させる可能性もあり、元高が急速に進むことへの警戒感もある。」と話しています。 (NHK = 12-8-21)

〈編者注〉 NHK は、気づいて、よく採りあげてくれました。 世界は今、ドル高基調です。 日本もしかり、どうして人民元だけ? と不思議に感じて当然です。 やはり意図的な為替操作ではないかと考えてしまいます。 何とか輸入コストを抑えられるのはいいのかもしれませんが、あえて、弱小の輸出業者を犠牲にしてまでやることでしょうか?


ラオスと中国を結ぶ鉄道開通 習近平氏「一帯一路の質の高い発展を」

ラオスと中国を結ぶ鉄道の開通式が 3 日、ラオスのビエンチャンであった。 中国メディアによると、習近平(シーチンピン)国家主席はオンラインで出席し、ラオスのトンルン国家主席との会談では、巨大経済圏構想「一帯一路」への批判も念頭に「(事業の)質の高い発展を進める」と述べた。 中国メディアによると、習氏は「今後も運行や路線の保全、安全確保をしっかり行い、持続可能な沿線経済ベルトを造る」と述べた。 現地ニーズに合わない過剰な投資などが指摘されるなか、一帯一路の質を高めるとの姿勢を強調した。

中国メディアはトンルン氏が「ラオス国民の鉄道の夢がついにかなった。 鉄道の経済効果を最大限に発揮したい。」と述べ、中国側の核心的な利益や北京冬季五輪の成功への「断固たる支持」を表明したと伝えた。 事前の報道は抑えめだった中国メディアも、3 日は現場からの中継を交えて伝え、祝福ムードを演出。 国営中央テレビは国境地帯に連なる沿線の景勝地や、山岳地帯を貫いた工事の難しさなどを詳報した。 ラオスでは初の長距離鉄道で、輸出や貨物収入、中国人観光客の増加といった経済効果に期待がかかる。

ただ、建設費も技術も中国に大部分を依存している。 一帯一路の東南アジア展開の実績を国内外に印象付けることになる。 将来的にはラオスからさらにタイ、マレーシア、シンガポールへとつながる構想だ。 中国雲南省昆明からビエンチャンまで約 1 千キロを結ぶ。 ラオスは国土の 8 割が山地と高原からなり、ラオス区間約 422 キロに 170 近い橋と 75 のトンネルがある。 トンネルの総延長は約 200 キロに及ぶ。 旅客車両の最高時速は 160 キロ。 ビエンチャンと中国国境のボーテンまでは車で 15 時間ほどかかっていたが、鉄道だと 3 時間余に短縮されるとみられる。 (林望 = 北京、翁長忠雄、asahi = 12-3-21)


中国 GDP、第 4 四半期に 3.9% まで低下 = 研究機関

中国人民大学系のシンクタンク、中国マクロ経済フォーラム (CMF) は 21 日、中国の 2021 年第 4 四半期(10 - 12 月)の実質国内総生産 (GDP) 成長率が前年同期比 3.9% になるとの予測を示した。 第 3 四半期(7 - 9 月)の 4.9% (速報値)からさらに下がるとの見方。 21 世紀経済報道が 22 日伝えた。 新型コロナウイルス後の経済の回復ペースが緩やかになっていることや、前年同期の数値が高いことを理由に挙げた。 中国経済は 20 年前半に新型コロナの影響を強く受け、後半はおおむね従来の成長ペースを取り戻していた。

中国人民大学の劉元春副学長は、自然災害や新型コロナの国内感染の散発が経済成長を下押ししているとの考え。 力強い成長を取り戻すには、電力供給の安定や車載半導体不足の緩和、サプライチェーン(調達・供給網)の問題改善、不動産に対する融資規制の緩和などが鍵を握るとみている。 一方、CMF は 21 年通年の成長率を前年比 8.1% と予測した。政府目標の 6% 以上は達成できるとみている。

22 年は 5.5% 前後予測

劉氏は、22 年の成長率を 5.5% 前後と予測。 新型コロナの影響を強く受けた 20 年 (2.3%) を除けば 1991 年以降の最低となる。 ただ劉氏は、経済の下押し圧力は 22 年に緩和すると指摘。 第 14 次 5 カ年計画(2021 - 25 年)期間の経済政策が本格化することを理由に挙げた。 22 年第 1 四半期(1 - 3 月)の成長率は前年同期比 5% 台を回復し、第 4 四半期は 5.6% になると予測した。 (NNA = 11-23-21)

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中国 GDP が 6 期連続プラス、でも伸び率は縮小 減速傾向が顕著に

中国国家統計局が 18 日に発表した今年 7 - 9 月期の国内総生産(GDP、速報値)は物価変動の影響を除く実質成長率が前年同期比 4.9% だった。 6 期連続のプラス成長だが、4 - 6 月期の同 7.9% より減速しており、中国経済の減速傾向が顕著になった。 1 - 9 月期で見ると、前年同期より 9.8% 増えたが、1 - 6 月期に比べると伸びは減少。 また 7 - 9 月期を前期(4 - 6 月期)と比べると伸びは 0.2% とほぼ横ばいにとどまった。 4 - 6 月期は同 1.2% 増だったため、成長の勢いは鈍化している。

全国に広がっている電力制限や原材料の高騰によって企業の生産に影響が出ており、9 月の鉱工業生産は前月比で 0.05% の伸びにとどまった。 また、7 月から 8 月にかけてコロナ感染再拡大防止のため移動制限を強め、消費が停滞。 小売総額は 7 月に前月比でマイナス 0.23% となった。 また、不動産大手の中国恒大集団の経営危機で揺れる不動産市場は、1 - 9 月期の不動産開発投資が前年同期比で 8.8% 増。 インフラなどの固定資産投資は同 7.3% 増だった。 (北京 = 西山明宏、asahi = 10-18-21)


中国パネル大手 BOE、7 - 9 月売上高 46.8% 増

【北京】 中国ディスプレイパネル大手、京東方科技集団 (BOE) がこのほど発表した 2021 年第 3 四半期(7 - 9 月)決算は、売上高が前年同期比 46.8% 増の 559 億 9,300 万元(1 元 = 約 18 円)、純利益が 5.4 倍の 72 億 5,300 万元だった。 1 - 9 月は売上高が前年同期比 72.1% 増の 1,632 億 7,800 万元、純利益が 8.1 倍の 200 億 1,500 万元、非経常項目を除いた純利益が 21 倍の 185 億 9,800 万元となった。

第 3 四半期は純利益の伸びが鈍化した。 第 1 四半期(1 - 3 月)が前年同期比 9.1 倍、前期比 2 倍、第 2 四半期(4 - 6 月)が前年同期比 13.3 倍、前期比 46.3% 増だったのに対し、第 3 四半期は前年同期比 5.4 倍、前期比 4.3% 減だった。 同社によると、上半期(1 - 6 月)は旺盛なニーズとドライバー IC などの原材料不足による供給ひっ迫が続き、IT 製品やテレビなど各種製品の価格が上昇した。 7 月以降は海運の停滞や物流コストの上昇で川下ユーザーの仕入れ意欲が弱まり、テレビは価格構造の調整局面に入った。 IT 製品は旺盛なニーズと供給の集中により価格安定を維持した。

市況の上昇は、世界半導体ディスプレー産業のリーディングカンパニーである同社に多くの恩恵をもたらし、液晶ディスプレー (LCD) 応用市場でのシェアもさらに拡大した。 市場調査会社、群智諮詢(シグマインテル)のデータによると、同社は上半期、スマートフォンとタブレット PC、ノートパソコン、ディスプレー、テレビの 5 大応用分野で出荷台数世界一を維持し、フレキシブルディスプレー市場のシェアでも国内首位、世界 2 位を保った。

今後については、製品構造を引き続き改善し、モノのインターネット (IoT) への転換プロセスを進め、ブランド戦略の高度化を加速させる方針を示した。 同社が 10 月末に出した公告によると、四川省成都市で総投資額 25 億元規模の車載ディスプレー生産基地の建設も予定している。 車載ディスプレーモジュールの年間生産量は 1,440 万個を見込み、22 年末の稼働開始を目指す。 (中国・新華社 = 11-15-21)


「世界の工場」中国、製造業景気は「悪化」 PMI は 6 か月連続下落 韓国報道

「世界の工場」である中国の物価上昇の動きが尋常でない。 石炭などの原材料価格が跳ね上がり、電力不足まで加わった状況である。 下半期の経済成長の鈍化に対する懸念が高まった状況で、物価が上昇し、中国政府の悩みは深まるものと思われる。 中国国家統計局は 30 日、9 月の製造業購買担当者指数 (PMI) が 49.6 と集計されたと明らかにした。 これはことし 8 月 (50.1) は数値はもちろん、今月の市場予想値である 50.1 を大きく下回る数値だ。

PMI は製造業の景気を把握する上で重要な先行指標であり、心理指標である。 基準ラインである 50 を越えれば景気拡大、越えなければ景気萎縮を意味する。 中国の PMI は今年 3 月の 51.9 でピークに達した後、6 か月連続で下落している。 特に、基準ラインを下回ったのは、新型コロナウイルスの衝撃が最も深刻だった昨年 2 月 (35.7) 以来、19 か月ぶりのことである。

特に原材料の上昇が製造業の景気の足を引っ張った。 主要原材料の購入価格指数は 63.5 で、前月の 61.3 より 2.2 ポイントも上昇した。 工場出荷価格も 56.4 と前月より 3.0 ポイント上昇した。 生産者物価指数 (PPI) もなかなか安定しない。 今月 9 日に発表された中国の 8 月の PPI の上昇率は 9.5% で、13 年ぶりに最高値を記録した。 ロイター通信が専門家アンケートを通じて集計した市場予想値9%を大きく上回った。

中国の経済回復を牽引してきた製造業の指標が下落した中、物価は上昇しており、中国政府は一途に浮揚策を持ち出すわけにもいかない。 中国の経済成長率は、ことし第 1 四半期 18.3% でピークに達した後、下落している。 中国は世界的な原材料価格の高騰、世界のサプライチェーンのボトルネック現象などが複合的に影響し、経済の回復力が急速に弱まっている。

さらに、最近になって発電用石炭の供給不足と中国当局の硬直した炭素排出削減政策などの影響で、電力大乱が発生し、中国内の新型コロナウイルスが散発的に拡散し、工場の操業に影響を及ぼした。 特に最近、中国経済の大きな不安要因として浮上した恒大(エバーグランデ)グループの債務不履行危機も懸念を強めている。 ゴールドマン・サックスは、ことしの中国の経済成長率の予測値を従来の 8.2% から 7.8% に下方修正し、日本の野村証券も 8.2% だった従来の予測値を 7.7% に修正した。 (WowKorea = 9-30-21)