1964 年以降で最大 大船渡山林火災、延焼面積 3,370 ヘクタール

岩手県大船渡市で発生した大規模山林火災で、市は 17 日、延焼面積が約 3,370 ヘクタールになったと発表した。 これまで焼失面積を約 2,900 ヘクタールとしていたが、総務省消防庁や大船渡消防署が現地調査した結果、新たに集落周辺などで被害が確認されたことや、焼け残った場所が混在することから、延焼面積と改めた。 消防庁によると、1964 年以降で最大規模の山林火災となった。

山林火災は 2 月 26 日に発生し、41 日目の 4 月 7 日に鎮火。 住民 1 人が死亡し、住宅 87 棟など計 222 棟の建物が被害を受けた。 農林水産関連の被害総額は現時点で 16 億円以上。 大船渡市は 17 日、これまでに集まった山林火災被災者への義援金約 6 億円のうち、約 2 億 8 千万円の配分を決めた。 30 日に支給される。 死亡見舞金が 250 万円、全壊した単身世帯に 400 万円(2 人以上の世帯は 1 人につき 30 万円増)、半壊世帯に 80 万円など。 東日本大震災で被災し今回も被災した世帯には、被災程度により 50 万円 - 100 万円が加算される。 (伊藤恵里奈、小泉浩樹、asahi = 4-17-25)


大阪・箕面市で山火事「1,500 - 1,600 平方メートルを焼きさらに延焼中」 午後 6 時半現在消火中

大阪府箕面市で山火事が発生し、消火活動が続けられています。 午後 5 時前、箕面市森町北で「煙があがっている」と 119 番通報がありました。 午後 6 時半過ぎ現在で、消防車両 12 台とヘリ 1 台が消火活動に当たっていますが、火は 1,500 - 1,600 平方メートルを焼いて、さらに延焼中です。 鎮火の見込みはまだ立っていません。 まだ避難の呼びかけは行われていませんが、近隣の学校に避難所が開設されています。 (関テレ = 4-7-25)


長崎・五島で山林火災 市が 924 世帯に避難指示、避難所も開設

長崎県五島市松山町の山林で、7 日午前 10 時 50 分ごろ火災が発生した。 県の防災ヘリも出動して市消防局とともに消火活動にあたっている。 県によると、午後 5 時現在で延焼範囲は約 6 万平方メートル。 鎮火にはまだ至っていないという。 市は一時、松山町の 924 世帯に避難指示を出し、午後 6 時に解除した。 県は午後 1 時 15 分、災害警戒本部を設置。 自衛隊機に空中からの消火活動に加わってもらえるよう、陸上自衛隊に災害派遣要請をした。

災害警戒本部によると、消防車両約 14 台と防災ヘリで消火活動にあたっている。 けが人や住宅被害は確認されていない。 消火活動のため自衛隊機も派遣された。 火災現場から約 1 キロの位置に住宅地があるため、市は松山住民センターと勤労福祉センターに避難所を開設した。 避難指示の対象は福江地区のうち松山町の 924 世帯 1,534 人。 大石賢吾知事は、連絡会議で「まずは住民の安全確保が最優先。 避難が長引く場合には、市と連携して避難者の支援をしていく必要がある。 情報収集をしてしっかり気を抜かず対応して頂きますようお願いします。」と指示を出した。 (寿柳聡、asahi = 4-7-25)


 

今治の山火事「鎮圧」宣言 焼失は愛媛で過去最大級 442 ヘクタール

愛媛県今治市と西条市にまたがる大規模な山林火災について、今治市の徳永繁樹市長は 31 日、延焼のおそれがなくなった状態とする「鎮圧」を宣言した。 上空と地上から火災現場の熱源などを調べた結果を踏まえた。

火災は 23 日午後 4 時ごろ、今治市長沢の山林で発生した。 焼失面積は約 442 ヘクタール(今治市 423 ヘクタール、西条市 19 ヘクタール)で、県の山林火災としては 100 ヘクタール以上の火災について統計をまとめ始めた 1989 年以降最大。 4 日後の 27 日夕から 28 日未明にかけて初めてまとまった雨が降り、徳永市長は 28 日夕、延焼を食い止めることができているとして「延焼阻止宣言」を出していた。 29、30 日に熱源監視と消火活動を続けていた。

県の 31 日午前 8 時時点のまとめでは、この火災による建物被害は 22 棟。 今治市で住宅 5 棟、空き家 6 棟、倉庫など 10 棟が全焼したほか、西条市で寺院 1 棟の一部が焼けた。 今治市の被害は、いずれも山林から離れた場所で、強風によって火の粉が飛び散る「飛び火」で炎上したとみられる。 人的被害は、消火活動にあたった消防団員 2 人がけが。 今治市は 31 日午前 11 時に、残る計 333 世帯 611 人を対象に出していた避難指示を解除した。

火災発生後、愛媛県の要請で、自衛隊のヘリコプターや 8 府県の緊急消防援助隊が活動。 消防隊員や消防団員延べ 6,110 人(30 日時点)が地上からの消火活動にあたった。 (宮沢崇志、堀江泰史、asahi = 3-31-25)

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四方八方飛ぶ火の粉 読めない延焼先に追われる消火活動 今治山火事

火の粉が風にあおられ、四方八方に飛んでいく。 愛媛県今治市で 23 日に発生した山林火災は 27 日も延焼が拡大した。 「飛び火」により延焼先は読みづらい。 厳しい状況のなか、鎮圧に向け夜通しの消火活動が続く。 瀬戸内海に面した今治市の海岸線近くを走る JR 予讃線。 伊予桜井駅前に住む長野誠さん (65) は 25 日昼すぎ、用事を済ませて帰宅すると、駅周辺の異変に気づいた。

駅舎の背後から灰色の煙が立ち上っている。 駆けつけると、枯れ草が燃え、火がホームに迫る。現場にいた消防団員に消防車の手配を頼むと、「方々で燃えてるけん、手が回ってない。」 30 分ほどしてポンプ車が到着し、駅舎への延焼は寸前で防げた。 だが同じ時間帯に駅近くのハウスメーカーの工場で発生した火災は消火活動が追いつかず、全焼した。

大規模火災につながる「飛び火」 なぜ起きた?<\b>

現場の指揮本部にいた消防団員の南條定信さん (61) は「出動要請があるが、回す車がない。 誰も帰ってこない状態が何時間も続いた。」と話す。 複数の消防署員は「日中はくるくると方向を変える風が周辺で吹いていた」などと風に翻弄された消火活動を振り返る。 「火が尾根から尾根へとジャンプしていくようだった。」 今治市西消防署員の一人は「飛び火」をそうたとえる。

愛媛県災害対策本部によると、火災は 23 日午後 4 時ごろ、今治市中心部から南東に約 7 キロ離れた付近で発生した。 今治、西条両市の焼失面積は 24 日午前 10 時現在で 128 ヘクタール。 27 日午後 2 時半現在では 442 ヘクタールに広がった。 建物被害は住宅 5 棟、空き家 6 棟、倉庫など 10 棟の計 21 棟。 いずれも 25 日の強風による「飛び火」が原因とみられる。

今治市内に電力を供給する四国電力送配電の主な送電線 2 本にも火が迫り、ほぼ市全域にあたる最大 7 万 6 千戸が停電する可能性も浮上した。 今治市防災安全局の越智貴紀局長は「乾燥と強風により飛び火が拡散し予測していない場所からの出火が相次いだ。 経験したことがないケース。」と話す。 同時多発的に追われる地上の消火活動にはこれまで、8 府県からの緊急消防援助隊を含む消防隊、消防団員延べ 4,460 人が関わった。

識者は「樹冠火が起きた可能性」指摘

「山林火災は 1 ヘクタール未満の焼失規模が大半のなか、延焼速度がとても速い。」 京都大防災研究所の峠嘉哉特定准教授は「樹冠火(じゅかんか)」の可能性を指摘する。 山林火災は落ち葉や枯れ葉などが燃える「地表火」が多い。 その中で樹冠火は木の枝葉など上部が焼けるため、風にあおられるなどして「飛び火」も増え、大規模火災につながりやすいという。 岩手県大船渡市の山林火災も樹冠火の可能性が指摘されている。 「今回も地表火から樹冠火に発展した可能性がある」と話す。 (堀江泰史、木野村隆宏、川村貴大、丹治翔、asahi = 3-27-25)

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強風で火の粉飛ぶ愛媛・今治の山火事 数棟に延焼 岡山も鎮圧せず

愛媛県と岡山県で 23 日午後に発生した山林火災は鎮圧に至らず、25 日昼過ぎには愛媛県今治市の山林火災で、火の粉が原因とみられる住宅火災が発生した。 数棟に延焼しており、建物に被害が出たのは初めて。 愛媛県災害対策本部によると、延焼が続く今治、西条の両市では 25 日早朝から自衛隊のヘリコプター 1 機と県の消防防災ヘリ 1 機が上空からの散水を再開した。陸上での消火活動も続いている。

今治市災害対策本部によると、出火場所は同市長沢地区の林野とみられ、25 日午前 7 時 24 分時点で焼損面積は約 214 ヘクタールに広がった。 県の山林火災の焼損面積としては 100 ヘクタール以上の火災について統計をまとめ始めた 1989 年以降最大という。 今治市は 24 日夜までに市内の 553 世帯 1,079 人に避難指示を出した。 25 日午前 6 時時点で市内 3 カ所の避難所に 53 世帯 102 人が避難している。 市は同日、市立朝倉小学校と朝倉中学校を臨時休校にした。 両校ともこの日は年度末の修了式が予定されていた。

西条市も 792 世帯 1,506 人に避難指示を出し、25 日午前 7 時時点で、避難指示区域にあるグループホームなど 3 施設の利用者と職員の計 141 人が避難している。 今治市長沢地区では 25 日午前 6 時半過ぎから、自衛隊の大型ヘリと県の消防防災ヘリがかわるがわる飛来し、空中から散水作業をした。 記者が取材にあたった近隣の集落からは 24 日夜に比べて炎が目視できる場所は減ったが、白煙が周囲を覆い、ヘリの機影がかすむほどだった。 80 代女性はマスク姿で外出し、「不安と煙の臭いで夜はほとんど眠れませんでした。 早く消えてもらわんと。」と話した。

同地区に近い道の駅今治湯ノ浦温泉では、消防の現場指揮本部がおかれた。 夜間も地上から放水作業をし、消火活動は徹夜で続けられた。 25 日午後 0 時 50 分ごろには、今治市桜井の木材会社付近から出火し、民家や倉庫など数棟に延焼した。 さらに午後 1 時 15 分ごろ、同市長沢の家屋から出火し、木造平屋建ての同建物が全焼した。 いずれの現場も山すそから数十メートルで、同市の中央消防署は、山火事の火の粉が飛び火したのではないかとみている。 この日は日中、市内で風速 10 メートルを超す風が吹いていた。

岡山市南区で発生した山林火災では、市が 25 日朝、「小康状態が続いている」とする午前 9 時時点の状況を発表した。 約 300 ヘクタールを焼失したが、けが人はないという。 一方で鎮圧には至っておらず、陸上自衛隊や岡山市消防、隣県などから派遣された計 8 機のヘリコプターによる上空からの消火活動が続けられている。

南区の飽浦地区と宮浦地区では空き家だった民家や倉庫計 6 棟が焼損した。 両地区で 403 世帯 893 人に出されていた避難指示は、「延焼の危険が低くなった」として 24 日午後 5 時半に解除されている。 地元の市立光南台中学校に市が設けた避難所は引き続き開設している。 地元の小学校と中学校計 3 校は 25 日に修了式を予定していたが、24日に続いて臨時休校に。 式を実施するかは検討中という。( (宮沢崇志、堀江泰史、小沢邦男、asahi = 3-25-25)

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愛媛・岡山で山火事、計 600 世帯に避難指示 収束せず自衛隊要請も

23 日午後 4 時ごろ、愛媛県今治市長沢で山林火災が発生した。 市消防本部によると夜になっても燃え広がり、鎮火の見通しは立っていない。 今治市は長沢地区の 219 世帯、381 人に避難指示を出した。 県は自衛隊に派遣を要請する方針。 今治署などによると、現場は今治小松自動車道の今治湯ノ浦インターチェンジ (IC) の南側の山林。 NEXCO 西日本は同 IC - 東予丹原 IC 間の上下線を午後 4 時 50 分過ぎから通行止めにした。 出動中の消防団員 1 人が転倒してけがをしたという。

岡山市南区飽浦(あくら)でも 23 日午後 3 時ごろ、山林火災が発生。 岡山市消防局などによると鎮火の見通しは立っておらず、市が飽浦、宮浦両地区の約 400 世帯に避難指示を出した。 けが人などの情報は入っていないという。 (asahi = 3-23-25)


韓国南部の山火事 発生から 9 日で鎮圧 = 南東部に続き

山火事により被害が出た区域は 1,858ha。 サッカー場 2,602 面分に相当する。 21 日午後に山清郡で発生した山火事は強風に煽られ拡大。 同道の河東郡や晋州市、智異山国立公園などへと広がった。 消防隊員などのほか、ヘリコプター数十台も動員され消火作業に当たった。 在韓米軍ヘリも消火で大きな役割を果たした。

消火作業中に山清郡の消火隊員や公務員ら 4 人が死亡したほか、10 人が重軽傷を負った。 住民 2,158 人が被災し、住宅 28 棟、工場 2 カ所、宗教施設 2 カ所など 84 カ所に被害が出た。 韓国では今月下旬に同時多発的に山火事が発生。 22 日に南東部の慶尚北道義城郡で発生した山火事では約 1 週間後の鎮火までに、韓国の山火事で過去最悪となる 4 万 5,157ha の山林が被害を受けた。 消火活動中に墜落して死亡したヘリコプターの操縦士 1 人を含め 26 人が死亡した。 (張智彦、聯合ニュース = 3-30-25)

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韓国の山火事、死者は 27 人に 古寺など文化財や天然記念物も被害

韓国で 21 日以降、相次いで発生した山火事の被害は 27 日も続き、行政安全省による午後 4 時までの暫定的な集計で死者は 27 人、負傷者は 32 人になった。 同日朝までに焼失面積は 3 万 6 千ヘクタールを超え、約 3 万 7 千人が避難した。 当局は 27 日も多数のヘリコプターなどを投入して消火活動を続けている。 住宅や倉庫など建物の被害は 300 を超えた。 慶尚北道にある 7 世紀に建立されたとされる寺が焼けるなど、文化遺産や天然記念物などにも被害が広がっている。 安東市にある世界文化遺産「河回(ハフェ)村」にも火の手が近づいているという。 (ソウル・貝瀬秋彦、asahi = 3-27-25)

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韓国各地で山火事、4 人死亡 11 人けが 5 千人超が避難、消火難航

韓国で 21 日以降、各地で山火事が発生し、強風などの影響で消火活動が難航している。 行政安全省によると、25 日朝までに消火にあたっていた人ら 4 人が死亡した。 11 人がけがをし、5 千人以上の住民が避難している。

山火事が起きているのは南東部の慶尚南道や慶尚北道などで、25 日午前 9 時現在で焼失面積は 1 万 4 千ヘクタールを超えている。 住宅や倉庫など 150 以上の建物も被害を受けた。 山林庁や消防庁などが 110 機のヘリコプターを投入するなどして消火にあたっているが、空気が乾燥しているうえ風も強く、鎮火にはまだ時間がかかりそうだ。 (asahi = 3-25-25)


岡山の山火事で鎮圧宣言 過去最大級の焼失面積 565 ヘクタール

岡山市南区の山林火災は 28 日、鎮圧状態となった。 岡山市が同日午後 1 時に災害対策本部会議を開き、延焼拡大の恐れがなくなったと判断した。 山林火災は 23 日、同市南区飽浦(あくら)地区で発生。 岡山市と、隣接する玉野市が一時、現場周辺の地区に避難指示を出す事態となっていた。 市消防などが陸上と上空から消火活動を続け、27 日夜からは雨が降り続いていた。 焼失面積は岡山県内で過去最大規模の約 565 ヘクタールに及んだ。 (上山崎雅泰、asahi = 3-28-25)


宮崎市の山火事、市が鎮圧宣言 50 ヘクタール焼け、修了式延期も

宮崎市鏡洲で 25 日昼前に起きた山林火災で、市は 26 日午後 6 時半、鎮圧宣言を出した。 市消防局によると、約 50 ヘクタールが焼けたが、人や建物への被害は確認されていない。 鏡洲地域の一部計 70 世帯に出された避難指示も解除された。 火災現場は宮崎市中心部から南に約 10 キロの山林。 1 キロほど離れた場所にある鏡洲小学校では、26 日に予定していた修了式を後日に延期した。 前日、山の方で上っていた煙は 26 日朝は見えず、同校の山元美保子教頭は「夜に消火が中断した間、どうなるかと心配していましたが、朝来ると青空が広がっていて、安心しました」と話した。

鏡洲に住む男性 (29) は 25 日夕、消防からの呼びかけを受けて家族で避難所に行った。 足腰の悪い 80 代の祖母は避難所で夜を過ごすのは困難で、いったん病院に入院することになったという。 「昨日は黒白混ざった煙とススが舞っているのが見えた。 恐怖はなかったが、急きょ避難するのが大変だった。」 (後藤たづ子、鳥尾祐太、asahi = 3-26-25)

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宮崎市で山林火災、70 世帯に避難指示 鎮火めど立たず、自衛隊出動

宮崎市鏡洲の山林で 25 日昼前、火災が起き、延焼が続いた。 市は同日午後4時15分、鏡洲地域の一部計 70 世帯に避難指示を出した。 市消防局によると、けが人などは確認されていないが、鎮火のめどは立っておらず、夕方から自衛隊のヘリ 3 機で消火にあたっている。 現場は宮崎市中心部から南に約 10 キロの山林。 (後藤たづ子、asahi = 3-25-25)


奈良の川上村で山林火災が発生 8 ヘクタール焼け、なお延焼

10 日午後 1 時 40 分ごろ、奈良県川上村白屋の山林付近から煙や炎があがっているとの 119 番通報があった。 消防車両 17 台と 3 機のヘリコプターが消火活動にあたっているが、午後 4 時現在で約 8 ヘクタールが焼け、鎮火の見通しは立っていない。 けが人は確認されていない。 川上村は奈良県南東部の三重県境に位置し、同県と和歌山県の防災ヘリも消火活動に参加している。 奈良県広域消防組合通信指令課によると、現場は村役場から吉野川を挟んで東方向に約 1 キロ付近。 山は急傾斜で、延焼は上方に広がっているという。 (佐藤道隆、asahi = 3-10-25)


大船渡市の山林火災は鎮圧 市が発表 2,424 人の避難指示は継続

岩手県大船渡市の山林火災は発生から 12 日目となった 9 日午後 5 時、15 都道県の消防や自衛隊などの協力を得た懸命な消火活動の末、鎮圧した。 大船渡市が発表した。 山林火災は 2 月 26 日午後 1 時ごろに大船渡市赤崎町で出火していると通報があり、大船渡市の広範囲で延焼した。 調査中だが、市の面積の約 9% にあたる約 2,900 ヘクタールが焼失。 住宅など 78 棟が焼けている。 27 日午前には、市内の三陸町綾里小路で、近くに住む柴田吉郎さん (90) の遺体が見つかった。 死因は焼死という。

避難指示は延焼の拡大とともに地域が広がり、最大で市の人口の約 15% にあたる 1,896 世帯 4,596 人が対象となった。 市が設置した避難所には最大で 1,249 人が避難し、約 3 千人が親族宅などに避難した。 三陸町綾里地区など計 2,424 人の避難指示は継続する。 今回の火災現場を含む岩手県沿岸南部には 2 月 18 日から 15 日連続で乾燥注意報が出ていて、山林火災が起きやすい状況が続いていた。 この火災の前にも 2 度の山林火災が発生。 3 月 5 日から 6 日にかけて雪や雨が降ったことから、発生から 1 週間以上が経ってようやく鎮圧に成功した。

「鎮圧」とは、火勢が消防隊の制御下に入り、拡大のおそれがなくなったと現場の最高指揮者が認定したことを示し、「鎮火」は、現場の最高指揮者が再燃のおそれがないと認定したときのことを言う。

大規模な山林火災の鎮圧の一報を聞き、9 日に避難指示が解除された大船渡市赤崎町に戻った金野(きんの)キヨ子さん (84) は「本当に? これで安心して家で過ごせる。 また延焼しないか、心配な気持ちがあった。」と安心した様子だった。 自宅の窓から、全国各地から応援に入った消防車が列をつくって通り過ぎていくのが見える。 相模原、川崎、魚沼、秩父 …。 「ほんとにありがたいことだよ。 おかげで家に帰れて涙が出ちゃうよ。」 14 年前の東日本大震災と重なったようだ。 金野さんの自宅も津波で浸水。 全国から同じように消防隊が駆けつけてくれた。

今回の山林火災でも、県内はもちろん、全国から消防隊が大船渡に集まった。 「消防隊を送り出す家族にも感謝したい。 火が回るかも知れない危険な作業に送り出すのは心配だろうからね。」 長女の慶子さんは「自衛隊はヘリで消火してくれた。 自衛隊のご家族にも、ありがとうと伝えたい。」 避難中に 84 歳になった金野さん。 慶子さんが小さなケーキでお祝いしたが、ため息をつくことが多かったという。 「いつもウォーキングとかお茶を飲む友達がどうしているかなって。 どうしても気になってね。」 裏山から切り出した木材で建てた自分の家にやっと帰れた。 (松尾葉奈、久永隆一、asahi = 3-9-24)

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大船渡の山林、なおくすぶる火種 15都道県から応援、消火へ大詰め

岩手県大船渡市で起きた大規模な山林火災の消火活動は大詰めを迎えている。 全国から応援に駆けつけた緊急消防援助隊員は、交代しながら 24 時間態勢で山奥に入り込み、完全に火を消し尽くすまで入念な消火活動を展開している。 消火活動に当たっているのは 15 都道県の消防隊員。 大船渡市消防本部に各部隊の代表や自衛隊が集まり、装備や人数、現場の状況などを踏まえ、活動内容を調整している。 部隊はそれぞれ県内各地や宮城県に宿泊拠点を設け、自前で仮眠する場所や食事を用意し、火災現場への往復を連日繰り返している。

26 日に発生した火災は地上とヘリコプターによる放水で、立ち上る火の手は沈静化した。 しかし、落ち葉や下草などでくすぶり続けており、そのまま放置すると再び燃え上がる危険がある。

歩きながらセンサーで確認、残り火を手作業で消し止め

そのため、地図上で 300 メートル四方の区画を決め、各部隊に割り振り、火種が残っていないか確認作業をしている。 燃えているのかどうかは目視ではわからないといい、温度変化を計測できるセンサーを使って少しずつ歩きながら木々や地面を調べて回っている。

気温が 5 度程度で 18 度と反応が出れば火が残っている可能性が高い。 スコップで掘り起こして完全に消し止める。 前橋市消防局の萩原精一消防司令長は「落ち葉やおがくずが積もっている場所では水をかけても流れて土中に届かない。 しっかり掘り起こして完全に消している。」と話す。 群馬県の部隊は拠点の岩手県住田町から往復 2 時間かけて隊員約 125 人が現場に通っている。

わずかな火種も見逃せば「取り返しがつかない」

宮城県気仙沼市を拠点とする神奈川県の部隊は約 340 人態勢。 今回の火災では、毎分最大 8 千リットルを放水できる特殊災害の対応に特化したシステムなど最新鋭の大型装備を持ち込んだ。 消火活動が終盤になり、地表温度は高性能のサーモグラフィーを使って地上のほか、ヘリコプターからも測定。 このデータに基づき、隊員たちは水を背負って広い山中の斜面をくまなく歩き、消し止めて回った。 夜間は山中の作業は安全が確保できないため、警戒にとどめているという。

横浜市消防局の野口康幸、舟橋康幸両消防司令長は「広大な現場で、わずかな火種を探すことが大変。 小さな残り火が取り返しのつかないことになる。 集中し続けなければならず、体力を消耗し、精神的にも厳しい任務。」と説明する。 7 日から避難区域の一部解除が始まり、部隊で分担して消防車両による巡回も始まった。 自宅に戻った住民たちが安心して生活できるように見守る役目も担っている。

激務の中、訪れた小さな訪問者に癒やされ

各部隊とも地域住民からの差し入れなどの支援や交流に癒やされている。 神奈川県の部隊には男の子が訪れ、「ありがとう」と書かれたメッセージとともに缶コーヒーを置いていった。 隊員たちは「1 日でも早く、避難されているみなさんがもとの暮らしに戻れるように力を尽くしたい。」と口をそろえた。 (小幡淳一、asahi = 3-9-25)

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大船渡の山林火災 新たに 333 人に避難指示を解除 鎮圧には至らず

大規模な山林火災が続く岩手県大船渡市は 8 日、新たに避難指示を一部解除したと発表した。 午後 1 時からで、対象は 333 人。 内訳は、三陸町越喜来の甫嶺東 104 人、甫嶺西 145 人、上甫嶺 84 人。 火災は発生から 11 日目となるが、午前 11 時現在、鎮圧に至っていない。 市によると、避難指示の一部解除は、延焼拡大や再燃のおそれがなく、ライフラインに支障がないことなどを考慮しての判断となった。 このほか早ければ 9 日に、赤崎町の蛸ノ浦、大立、永浜、清水の 4 地域の解除を検討中としている。

8 日は、新たに白煙が上る場所が確認されないことから上空からの消火活動は行わず、地上での警戒を強めている。 また市消防団 95 人も加わり、山間部での残り火の処理などを行っている。 避難指示の一部解除に伴い、避難者数の減った避難所 2 カ所を 9 日正午に閉鎖する予定という。 いずれの避難者も別の避難所に移る。 (松尾葉奈、asahi = 3-8-25)

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大船渡の山林火災 雨から一夜明けても火災続く 2,900ha 焼失

岩手県大船渡市の山林火災は 6 日、早朝から上空のヘリコプターからの散水などによる消火活動が行われている。 火災の発生以来初めての雨から一夜明けたが、県によると火災は依然確認されているという。 県によると 6 日は自衛隊の大型ヘリなど計 15 機による散水が予定されている。 火災は 2 月 26 日に起きた。 発生当日に 600 ヘクタール超だった焼失面積は日を追うに連れて広がり、6 日時点で約 2,900 ヘクタール。 平成以降の林野火災では国内最大となった。 これまでは 1992 年に起きた北海道釧路市での 1,030 ヘクタールが最大だった。 気象庁によると、大船渡市を含む岩手県の沿岸南部では 6 日、雨や雪が降る見通し。 (藤沢美由紀、mainichi = 3-6-25)

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岩手県大船渡市の山林火災、2,100ha が焼失 新たな集落にも延焼

岩手県大船渡市の山林火災は発生から 6 日目の 3 日も延焼が続き、焼失面積は前日から約 300 ヘクタール広がり、約 2,100 ヘクタールに拡大している。 早朝には、新たな集落への延焼も確認された。 県や国などは、散水にあたる自衛隊のヘリコプターを増やすなど態勢を強化している。 市によると、同市赤崎町の火が 3 日未明から南や西方向に延焼。 午前 4 時 20 分ごろには、同市赤崎町外口地区で建物が燃えているのを確認したという。 被害軒数は不明。 夜間に空からの消火ができないことによる影響が大きいという。 ほかにも三陸町綾里地区周辺の火が北や東方向に燃え広がっている。

市などによると、自衛隊は散水能力の高い大型ヘリを 2 機増やし、8 機に。 東日本各地の防災ヘリを合わせ、十数機が空から散水をしている。 避難指示の対象は 1 日朝から変わらず 1,896 世帯 4,596 人。 3 日午前 11 時時点で小学校の体育館などに開設された避難所 12 カ所に 1,202 人、避難所以外の親類や友人宅、車中泊などに少なくても 2,596 人が避難している。 火災現場を含む岩手県沿岸南部には 2 月 18 日から 14 日連続で乾燥注意報が出ている。 空気が乾き、風の強い時も多く、延焼しやすい状況が続いている。 (平川仁、東野真和、asahi = 3-3-25)

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岩手・大船渡山林火災避難者 1,200 人超 市長「さらに延焼を危惧」

岩手県大船渡市の山林火災は発生から 5 日目の 2 日も延焼が続き、焼失面積は前日から約 400 ヘクタール広がって約 1,800 ヘクタールに拡大している。 同日の時点で避難指示の対象は計 1,896 世帯(4,596 人)。 避難所への避難者は 1,206 人に増えた。 市によると、前日から 2 日朝にかけて北北西の風が吹き、三陸町綾里の小石浜や同町越喜来西甫嶺などの山林地帯に延焼した。 前日には消えていた煙が、2 日朝になって再び確認された箇所もあったという。

気象庁は 2 日午前 6 時すぎに強風注意報を発表した。 渕上清市長は記者会見で「現場の火は相当の勢い。 さらに延焼を危惧している。」との認識を示した。 県などによると、自衛隊や東北各県などのヘリコプターが空から放水を続けたほか、地上では消防隊が住宅地への延焼防止にあたっている。 長引く避難生活について、渕上市長は「不安なことや困っていることは、遠慮なさらずに、支援者や職員にお話をいただければ」と呼びかけた。 (平川仁、asahi = 3-2-25)

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岩手県大船渡市の山林火災、焼失面積は約 1,800 ヘクタールに拡大

岩手県大船渡市の山林火災は発生から 5 日目の 2 日も延焼は止まらず、東北をはじめとする各都道県から応援を得ながらの消火活動が続いている。 県によると、2 日午前 6 時時点で確認されている焼失面積は約 1,800 ヘクタールまで拡大した。 夜間はヘリコプターによる消火活動ができないため、延焼地域が広がっているという。 これまでの避難指示の対象は、全体で 1,896 世帯 4,596 人に上る。 避難者は 1 日午後 7 時時点で、1,172 人となっている。 (藤井怜、asahi = 3-2-25)

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大船渡の山林火災、市街地や避難所方面への延焼食い止めも予断許さず

岩手県大船渡市の山林火災は 1 日も延焼が続き、焼失面積は約 1,400 ヘクタールに拡大している。 集中的な消火活動で、市街地や避難所のある場所に迫っていた火はくい止められたが、再燃の恐れもあり予断を許さない状況が続く。 市は 2 月 28 日夕には赤崎町の 6 地区、3 月 1 日朝に三陸町越喜来の 3 地区に新たに避難指示を出した。 対象は計 1,896 世帯 4,596 人に上る。

消火活動には東北、関東の各県からも応援に入っている。 市や県によると、消防は前日に比べて約 600 人増強し、約 1,700 人態勢であたっている。 県によると、空中からは自衛隊や各県の防災ヘリの計 17 機が出動している。 避難指示区域の拡大もあり、市は避難所と福祉避難所を 2 カ所ずつ増やし、計 11 カ所を開設。 避難者は 1 日午後 6 時現在、1,172人 に増えている。 大船渡市の渕上清市長は午後の記者会見で「総力をあげて消火活動にあたっているが、鎮圧のめどは立っていない。 避難者は長期化を想定して、まず自分の命を守ることを第一に生活してほしい。」と話した。 (松尾葉奈、asahi = 3-1-25)

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大船渡の山林火災、焼損面積は 1,200ha に 消防応援は倍以上に

岩手県大船渡市の山林火災は 28 日も延焼が続いている。 焼損面積は約 1,200 ヘクタールに拡大した。 県は鎮圧を目指し、27 日午後 11 時、総務省消防庁にさらなる緊急消防援助隊の派遣を要請した。 初日の 26 日は宮城、山形、青森、秋田、福島の各県から約 700 人の応援が入った。 27 日には茨城、栃木、新潟の各県が派遣、28 日は群馬、埼玉、東京、千葉の各都県が派遣する予定で人数は約 1,600 人と倍以上に増える。

空中消火活動も新たに新潟県の防災ヘリが入ったほか、自衛隊が大型ヘリ 2 機を追加する。 10 機態勢から 15 機態勢に増やして消火にあたる。 県警は 27 日に死亡が確認された男性とみられる遺体について、身元の確認を急いでいる。 総務省消防庁はこの日、同県の綾里漁港近くで消防士が消火活動にあたる映像を公開。 27 日夕の映像で、白い煙がもうもうと上がる建物の焼け跡で消防士らが放水を続けており、火災の被害の大きさがうかがえる。 (小泉浩樹、力丸祥子、asahi = 2-28-25)

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相次ぐ山林火災、要因は「三つのトライアングル」 専門家に聞く対策

岩手県大船渡市の山林火災は、27 日夕時点でも被害が拡大しています。 世界各地でなぜ、山林火災が相次いでいるのか。 対策はあるのか。 メカニズムに詳しい千葉大・加藤顕准教授(森林リモートセンシング)に聞きました。

山林火災が起きやすい条件はありますか。

山林火災には起こる三つの要素がある。 気温など「気象条件」と、「燃焼物の蓄積」がどれぐらいあるか。 そして「地形」だ。 三つのトライアングルと言われていて、その条件がそろうと火災が起こるといわれている。 今の日本は手入れされていない森が多く、森林内に低木が混み、地面に燃えやすい枯れ葉などが積み重なっている。 岩手県で起きている山林火災も手入れが行き届いていない山林内で起きたのではないか。 また、フェーン現象で局地的に乾燥状態になることが、どこでも起こりうる。 そういう状態になると、燃えるものがあると火がついてしまう。

燃え広がりやすい「リアス海岸」の地形も一因か

もうひとつ重要なのが地形。 岩手県の沿岸のように、地形が急峻だったり、入り組んでいたりするリアス海岸だと、山火事が起きれば火が燃え広がりやすい。 そんな地形だったから手入れも容易にできなかったと想像できる。 地形が複雑だと、乾燥状態になる場所も出てくる。 火は風にあおられ、標高の上の方に燃え広がる。

なぜ山林火災が頻発しているのですか。

山林火災は、世界中どこでも起こりうる。 人の火の不始末で起きると勘違いしている人が多いが、人がいない自然界では、火災が生じる周期があり、森林が更新していく。 すごく乾燥している地域は短い周期で起きるし、日本のように湿潤な場所、乾燥状態になりにくい場所は 100 年とか、200 年とかの周期で火災が起きる。 周期が長いところは起きにくいだけであって、起きないわけではない。 だから、火災が起こること自体は自然現象だ。

火災は住居に近い森林では起きないと勘違いしている人も多いが、人が森を使いはじめ、火災を抑え込んできただけだ。 これまで、人が森に入り、安全のために火災を止めていた。 だが長年、火災を抑えると燃焼物がたまるので、大規模火災が起きやすくなる。

人間が火災を抑え込むとは、どういうことですか。

下草を刈るなど山を手入れし、燃えにくい状況につくってきた。  その手入れがなかなかできなくなり、森林、山林が自然に近い状態になって火災が起きやすい状況になっている。 人間が何もしなければ、火災は起きてしまう。 火災を抑えようとしたら手入れをしなければいけない。 それなら「木を切ってしまえばいい」という人が出てくるが、木を無くすことは、火災の発生原因を無くすという短絡的な発想でしかない。

今の安定した気象条件は森があるから保たれており、森林が急激な気象変化を緩和している。 緑がないところは気温差が激しくなるし、乾燥状態も起きやすくなる。 緑があることによって、気温が穏やかになっている。 火災を怖がって木を切ると、今よりも気象条件が激しくなってしまうだけだ。 負のサイクルというのか、悪い方向になってしまう可能性がある。

いつでも起きうる山林火災、「どう付き合うか」が鍵

どんな対策をとったらいいですか。

私が今、みなさんに伝えるとしたら、火災というのは自然現象であるから、どう山林火災と付き合っていくかを考える必要があるというのが、一つの答えだ。 起こりうる自然現象に対し、準備をしておく。 山の手入れをしていないところがあれば、手入れをする。 火災を想定して準備しておくことも必要だ。 山林火災がいつ起きてもおかしくないということを、みんなが認識していかないといけない。 それが一番重要だと思う。 自然が近くにあることは、リスクがあるということ。 いろいろなものを排除して自然と付き合うことはできない。 山林火災のリスクを意識しながら生活していくしかないと思う。

全国で荒れた山が多くなり、どこで山林火災が起きてもおかしくない状況というのを認識しておかなくてはいけないと思う。 行政も避難や消火施設の配置など、何ができるかを考える必要がある。 いま、人間と自然との境界が非常にあいまいになっている。 ロサンゼルス近郊の山林火災など、世界で大きな問題が起きている。 もともと自然があり、その自然の恵みを得て、暮らしてきた我々が考えなければならない。 自然に対する考え方を見直していく必要がある。 その恵みを得ているのは火災のある地域に住む人だけではない。 都会に住む人も含めて考える必要がある。 (聞き手・佐藤善一、asahi = 2-27-25)

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岩手でまた山林火災 住宅近く陸前高田、大船渡の 546 人に避難指示

25 日午後 3 時 20 分ごろ、岩手県陸前高田市小友町で山林火災が発生していると消防に通報があった。 消防によると、隣接する大船渡市末崎町にまたがって延焼している。 近くには住宅が立ち並び、大船渡市は梅神、小田両地区の 162 世帯 391 人に避難指示を出した。 陸前高田市も小友町上の坊、柳沢、財当地区の 71 世帯 155 人に避難指示を出した。 大船渡市は三陸町綾里で約 320 ヘクタールを焼く山林火災が発生し、この日、鎮圧したばかりだった。 (小泉浩樹、松尾葉奈、asahi = 2-25-25)

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岩手・大船渡の山林火災、20 日夜も燃え続ける 62 世帯に避難指示

岩手県大船渡市三陸町綾里の山林火災で、市は 20 日午後 9 時 15 分、住宅近くまで延焼する恐れがあるとして、現場北側の田浜地域の 62 世帯 157 人に避難指示を出した。 市は自主避難所として開いたコミュニティー施設を避難施設に指定した。 けが人や住宅への被害は出ていない。 市防災管理室によると、火災は発災翌日の 20 日も消火活動を続けたが、鎮圧のめどがたっていない。 火が標高の高いところに点在しており、消火活動は難航している。 焼失面積は 20 日午後 7 時現在で約 36 ヘクタールとなり、さらに延焼中だ。

20 日は地元の消防など約 280 人、消防車両など 45 台が出動し、地上から消火活動にあたった。 また自衛隊、岩手県、宮城県のヘリ計 7 機が空中から散水した。 気象庁によると、大船渡市には乾燥注意報が発令されている。 近くに住む女性 (83) は 19 日夜、すぐに避難できるよう枕元に貴重品などを置いて就寝した。 「風向き次第で火がこっちに来るかもしれない。 雨や雪も降らないし、今夜も燃え続けると思うと不安。 とにかく火が消えてほしい。」と話した。

20 日の記者会見で渕上清市長は「安全な消火活動で、鎮圧鎮火を目指す。 住民のみなさんも火災の予防活動は引き続き行ってほしい」と呼びかけた。 (松尾葉奈、asahi = 2-20-25)


山梨の山火事は発生 6 日目に鎮圧、現地に雨 150 ヘクタールが焼失

山梨県大月市猿橋町小沢で 2 月 26 日に発生した山林火災について、発生 6 日目の 3 月 3 日午後 2 時 30 分に鎮圧した、と県警大月署が発表した。 この日は雨で、午前中から消防隊員が現地に入り、状況を確認していた。 署によると、山林計 150 ヘクタールと空き家 1 軒、その近くの物置が焼けた。 けが人はいないという。 県警や消防によると、山火事は 2 月 26 日午後 1 時 40 分ごろに発生。 枯れ草などを燃やしていたところ、火が燃え広がった」と住民から午後 1 時 45 分ごろに 119 番通報があった。 連日、自衛隊機や防災ヘリが上空から散水し、消火活動に当たっていた。 (棟形祐水、asahi = 3-3-25)

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山梨の山火事、発生 10 日目で鎮圧 拡大の危険なく、残り火確認継続

山梨県笛吹市と甲府市境付近の山林で 18 日に発生した山火事について、笛吹市消防本部が発生から 10 日目にあたる 27 日午後 1 時 40 分、鎮圧状態であることを確認した。 県などが同日発表した。 今後は鎮火に向けて、残り火の確認など警戒活動を続けるという。 県などによると、27 日は甲府地区と笛吹市の両消防本部の約 20 人が入山し、背負い式消火水のうによる消火や警戒活動を行った。 その結果、白煙や火は確認されず、拡大の危険はなくなったと判断された。 これまで、両消防本部と消防団員など延べ約 1,500 人が消火・警戒活動に携わったという。

火勢が強まった 20 日未明から朝にかけて、甲府市横根町の 6 世帯 15 人が一時自主避難した。 県警によると、これまで負傷者や建物の被害はなく、全体の焼失面積や出火原因については調査中としている。 (米沢信義、asahi = 1-27-25)

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山火事収まらず 35 ヘクタール焼失か、自衛隊に災害派遣要請 山梨県

山梨県笛吹市と甲府市境付近の山林で山火事が 18 日に発生し、20 日正午時点でもなお燃え続けている。 尾根を挟んで両市側に火が燃え広がり、19 日時点で 35 ヘクタール程度が焼けたとみられる。 笛吹市は 19 日朝、県を通じて自衛隊に災害派遣要請し、上空からの散水など消火活動が続いている。

県警笛吹署や消防によると、18 日午後 1 時 10 分ごろ、笛吹市春日居町鎮目の大蔵経寺(だいぞうきょうじ)山の山頂の北約 1.2 キロの甲府市境の尾根付近で煙りが上がっているのを、ふもとの住民が見つけ消防に通報した。 自衛隊のほか、群馬、東京、静岡の各都県の防災ヘリも順次、上空からの消火活動に加わっている。 いまのところ、民家への影響はないという。 (豊平森、三宅範和、asahi = 1-20-25)


広島県江田島市で山林火災 自衛隊が訓練でダイナマイト、燃え移りか

17 日午前 9 時半ごろ、広島県江田島市江田島町津久茂の海上自衛隊の第 1 術科学校長浜射撃場で、隊員が近くの山林から火が出ているのを見つけ 119 番通報した。 市消防本部によると、射撃場付近から燃え広がり、午後 4 時現在約 6.9 ヘクタールが焼損し、延焼が続いている。 けが人はいない。

自衛隊謝罪「問題なかったか確認したい」

第 1 術科学校によると、当時、長浜射撃場では訓練でダイナマイトを爆破させていた。 第 43 掃海隊が機雷爆破に必要な爆薬の使い方を学んでいたといい、同校は火が山林に燃え移った可能性があるとみている。 小杉正博学校長は「火災発生について、ご迷惑をおかけした皆様に申し訳なく思っています。 再発防止に努めていきます」とのコメントを出した。 当時、市内には乾燥注意報が出ており、同校は訓練について「マニュアル上、問題がなかったか確認したい」としている。 同校は海上自衛隊の教育拠点の一つで、ホームページによると射撃や水雷など多岐にわたる教育をしている。

近くの施設入所者ら 160 人が避難

市危機管理課などによると、現場近くの福祉施設の入所者や住民など約 160 人が避難したという。 施設関係者は「避難者の中には認知症の方も多く、心のストレスが大きい。 早く戻りたい。」と心配そうに話した。 江田島市は広島湾に浮かぶ大小合わせて10 の島からなり、本土とは橋でつながっている。 現場は広島市中心部から車で約 1 時間半。 江田島市では昨年 1 月にも山火事があり、東京ドーム約 50 個分にあたる約 242 ヘクタールが 4 日間にわたって焼損した。 (asahi = 1-17-25)