アベノミクスでも低成長 30 年間の平均賃金、米は 5 割増、日本は …

日本経済をどう立て直すのかは、19 日公示の衆院選の大きな争点だ。 様々な指標を外国と比べると、長らく低成長にあえぐ日本の姿が見えてくる。 安倍政権が始めた経済政策アベノミクスも流れはほとんど変えられず、1990 年代初めのバブル崩壊以来の「失われた 30 年」とも呼ばれる低迷が続いている。

国際通貨基金 (IMF) の統計で、国の経済規模を示す名目国内総生産 (GDP) をみると、日本は米国、中国に次ぐ世界 3 位と大きい。 しかし、1990 年の値と比べると、この 30 年間で米国は 3.5 倍、中国は 37 倍になったのに、日本は 1.5 倍にとどまる。 世界 4 位のドイツも 2.3 倍で、日本の遅れが際立つ。 国民 1 人当たりの GDP も、日本はコロナ禍前の 19 年で主要 7 カ国 (G7) 中 6 番目という低水準だ。

賃金も上がっていない。 経済協力開発機構 (OECD) によると、2020 年の日本の平均賃金は、加盟 35 カ国中 22 位で 3 万 8,514 ドル(1 ドル = 110 円で 424 万円)。 この 30 年で日本は 4.4% 増とほぼ横ばいだが、米国 47.7% 増、英国 44.2% 増、ドイツ 33.7% 増、フランス 31.0% 増などと差は大きい。 賃金の額も、隣国の韓国に 15 年に抜かれた。 貧困率も主要国では高い方だ。 国民の中で所得がちょうど中間の人よりも半分未満の割合を示す「相対的貧困率」は 15.4% (18 年)。 12 年の 16.1% をピークにわずかに改善しているものの OECD 加盟国中 9 番目の高さで、7 人に 1 人が貧困に陥っている。

12 年末に発足した第 2 次安倍政権は大規模な金融緩和と財政出動、投資を促す成長戦略を「3 本の矢」とするアベノミクスで、この状況を打破しようとした。 当初 1 万円ほどだった日経平均株価は 3 万円前後まで回復し、失業率も下がり、企業業績も改善した。 だが、海外に比べると、名目 GDP も賃金も伸び悩みは明らかで、低成長からは抜け出せなかった。

なぜなのか。民間企業の稼ぐ力を高める成長戦略の失敗を指摘する声は多い。 日本生産性本部によると、00 年には世界 1 位だった日本の製造業の生産性はその後伸び悩み、18 年には 31 カ国中 16 位に後退した。 テレビや半導体などの電機産業は海外勢にシェアを奪われ、かつてのものづくり国家としての存在感は低下。 スイスの国際経営開発研究所 (IMD) が今年 6 月に発表した「世界競争力ランキング」でも 64 カ国・地域中 31 位だった。

低成長に加え、企業の賃上げも進まず、GDP の半分以上を占める個人消費も盛り上がらなかった。 衆院選では、与野党ともに中低所得層への分配を強化するという訴えが目立つが、同時に稼ぐ力を高めて低成長から抜け出す道筋をどう描くのかという戦略も求められる。 (木村聡史、asahi = 10-19-21)


NY 原油市場 7 年ぶり 80 ドル超え ガソリン価格上昇が生活に影響へ

11 日のニューヨーク原油市場で、国際的先物価格の終値がおよそ 7 年ぶりに 1 バレル = 80 ドルを超えました。 ニューヨーク原油市場では 11 日、国際的な指標となる WTI の先物価格の終値が前の週末に比べて 1 ドル 17 セント高い、1 バレル = 80 ドル 52 セントでした。 1 バレルの終値が 80 ドルを超えるのは、およそ 7 年ぶりです。 新型コロナウイルスのワクチン普及などで経済活動の再開を背景にエネルギー需要が高まる一方、主な産油国が生産量を据え置き、大幅な増産を見送ったことなどが原油価格を押し上げています。 今後、ガソリン価格の上昇などにより暮らしへの影響が増すことが懸念されています。 (TBS = 10-12-21)


円下落、一時 113 円台 日経平均は一時 500 円超値上がり

11 日の東京株式市場は、外国為替市場で円安が進んだことなどを材料に幅広い銘柄が買われ、日経平均株価は一時、先週末よりも 500 円以上値上がりした。 終値は 449 円 26 銭高い 2 万 8,498 円 20 銭で、3 日続伸となった。 為替相場は米国の長期金利上昇を背景に円を売ってドルを買う動きが強まり、円安による業績改善の期待から自動車や電気機器などに買いが集まった。 円は 11 日夜に一時 1 ドル = 113 円台まで下落。 2 年 10 カ月ぶりの円安水準となった。

岸田文雄首相が 10 日、テレビ番組で金融所得への課税強化について「当面は金融所得課税に触ることは考えていない」などと先送りの考えを示したことも投資家心理を改善させ、株を買う動きにつながったとみられる。 米政府の債務問題やインフレ懸念、中国恒大集団の経営危機問題を受け、日経平均は 9 月 27 日から 10 月 6 日にかけて 8 日続落し、約 2,700 円値を下げていたが、直近 3 日間で 1 千円ほど値を戻した形だ。 野村証券の沢田麻希氏は「日本の実体経済は、8 日続落する前と現在とは変わっておらず、日本の株式は売られすぎとの見方がある」と話している。 (江口英佑、asahi = 10-11-21)

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円、一時 2 年半ぶり円安水準 米金利上昇で

【ニューヨーク * 斉藤雄太】 8 日のニューヨーク外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1 ドル = 112 円 25 銭まで下落し、2019 年 4 月以来 2 年半ぶりの円安・ドル高水準になった。 同日発表の 9 月の米雇用統計は就業者数の増加が市場予想を下回ったが、市場では米連邦準備理事会 (FRB) の金融政策の正常化路線は変わらないとの見方が浮上。 米金利上昇に伴うドル買い・円売りが進んだ。

9 月の非農業部門の就業者数の増加幅は 19 万 4,000 人だった。 政府部門の教職員の雇用減などが響き、予想の 50 万人を下回った。 ただ、失業率は 4.8% と 8 月 (5.2%) から改善。 市場では FRB が計画する量的緩和の縮小(テーパリング)を妨げるほど雇用情勢は悪くないとの受け止めが徐々に優勢になった。 調査会社のオックスフォード・エコノミクスは「11 月のテーパリング表明の道筋がはっきりした」とみる。

米長期金利の指標になる 10 年物国債利回りは一時 1.6% 台と約 4 カ月ぶりの水準まで上昇した。 日米金利差が拡大し、ドル高・円安が進んだ。 米金利上昇やドル高の一巡後は一進一退の動きになり、市場では FRB の出方を見極めたいとのムードも強い。 (nikkei = 10-9-21)


日銀短観 9 月の大企業・製造業 DI は 18 6 月から 4 ポイント改善

日本銀行が 1 日発表した 9 月の全国企業短期経済観測調査(短観)の業況判断指数 (DI) は、大企業・製造業が前回 6 月調査から 4 ポイント上げてプラス 18、大企業・非製造業は 1 ポイント上げてプラス 2 となり、いずれも 5 四半期連続で改善した。 DI は調査対象の国内企業のうち、自社の景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」とした割合を引いた指数。

大企業・製造業は、IT 関連の需要の高まりを受け、裾野の機械産業などが好調で全体を引き上げた。 一方、悪化が目立ったのは自動車で DI は 6 月調査から 10 ポイント下落のマイナス 7。 東南アジアでの新型コロナウイルスの感染拡大で現地の工場の操業停止が相次ぎ、部品の調達に深刻な影響が出ており、各メーカーが減産に追い込まれたことが響いた。 大企業・非製造業は、通信や情報サービスが引き続き堅調だった。 ただ、夏場の感染拡大を受け、対個人サービス業が不調で、DI は前回 6 月から 14 ポイント下げてマイナス 45。 宿泊・飲食業も変化なしのマイナス 74 と引き続き厳しい状況が続いている。 (小出大貴、asahi = 10-1-21)


基準地価、2 年連続で下落 都市部の商業地でコロナ禍影響続く

国土交通省は 21 日、土地売買の目安になる 7 月 1 日時点の基準地価を発表した。 住宅地、商業地、工業地を合わせた全用途の平均は前年より 0.4% 下がり、2 年連続の下落となった。 マイナス幅は昨年の 0,6% から少し改善したが、観光や飲食が低迷する東京、大阪の商業地を中心にコロナ禍の影響が続く。

商業地は 2 年連続となる 0.5% の下落で、昨年 (0.3%) より下落幅が拡大した。 3 大都市圏(東京、大阪、名古屋)のうち特に落ち込みが大きかったのが大阪圏で、昨年の 1.2% 増からマイナス 0.6% と 9 年ぶりに下落に転じた。 地価が下落した地点も全体の 40.6% を占めた。 東京圏も昨年の 1.0% 増から 0.1% 増に上昇幅が縮まった。 緊急事態宣言の相次ぐ延長で飲食店の撤退が増え、訪日客の回復が見込めない状況が地価を押し下げた。

一方、名古屋圏は昨年の 1.1% の下落から 1.0% の上昇に転じた。 中心部の再開発が周辺のオフィスやホテル建設を促した。 札幌、仙台、広島、福岡の地方 4 市も飲食店やホテルが苦戦する一方でオフィスの入居は好調で、4 市全体では 4.6% 上昇した。 商業地の最高価格は東京・銀座 2 丁目の明治屋銀座ビルで、1 平方メートルあたり 3,950 万円。 昨年より 3.7% 下落し、4 年ぶりに 4 千万円を下回った。

住宅地は 0.5% の下落で昨年 (0.7%) よりも下落幅が縮小。 34 道府県で前年よりも上昇率や下落率が改善し、北海道や宮城、東京など 7 都道県では上昇した。 住宅ローン減税の延長の影響で中心部の高級マンションなどの売れ行きが好調なほか、テレワークの普及も住宅購入の後押しにつながった。 工業地は 0.8% 上昇した。 コロナ禍で市場が急拡大したネット通販への対応で、各地で物流倉庫の建設が加速し、高速道路のインターチェンジ付近などの配送に便利な土地の地価が上昇した。 (高木真也、asahi = 9-21-21)


日経平均株価、終値も 3 万円台回復 5 カ月ぶり

8 日の日経平均株価の終値は前日より 265 円 07 銭高い 3 万 0,181 円 21 銭で、4 月 5 日以来、約 5 カ月ぶりに終値で 3 万円台を回復した。 日経平均の上昇は 8 営業日連続。 新政権の発足期待に加え、新型コロナの感染拡大が一服していることが好感され、投資家心理が改善して幅広い銘柄が買われた。 (asahi = 9-8-21)

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日経平均が 5 カ月ぶり一時 3 万円台 新政権に期待感、7 日連続で続伸

7 日の日経平均株価の終値は前日より 256 円 25 銭高い 2 万 9,916 円 14 銭で、7 営業日続けて上昇した。 取引時間中の上げ幅は 400 円近くに達し、約 5 カ月ぶりに一時、3 万円台を回復。 新政権の発足で政策が安定するとの期待感に加え、感染拡大のピークが過ぎたとの見方も広がり、投資家心理が改善している。 直近 3 営業日で約 1,400 円上昇した。

取引開始から幅広い銘柄が買われ、午前 9 時過ぎに 4 月 9 日以来の 3 万円台をつけた。 高値への警戒感から売られる場面もあったがその後も堅調な値動きで、東京証券取引所第 1 部の 33 業種のうち 30 業種が上昇。 上昇率 1 位は空運(前日比 2.7% 増)で、コロナ禍の影響が残る銘柄も積極的に買われた。 7 営業日連続の上昇は、昨年 11 月に米国でワクチン開発への期待が高まって 8 日続伸して以来。

野村証券の神谷和男氏によると、株式市場ではこれまでワクチン接種の遅れや感染再拡大、内閣支持率低迷が悪材料となってきた。 ただ、8 月下旬から国内の新規感染者が減り始め、9 月 3 日に菅義偉首相が自民党総裁選に出ないと表明。 後手に回ったコロナ対策や経済政策の変化を期待した買いが集まっているという。 投資家心理の好転で、上昇基調がこのまま続くのか、いったん反落の局面を迎えるのか、市場関係者は注目する。 神谷氏は「株価を下支えする投資家がどの程度いるか。 上昇傾向に入るのであればそこまで下げずに再び上昇するはずで、相場の強さをみる分岐点になる。」と話す。 (稲垣千駿、asahi = 9-7-21)


工作機械受注、中国需要が鈍化 スマホ・PC 向け一巡

工作機械の中国需要の伸びに一服感が出てきた。 日本工作機械工業会(日工会)が 25 日発表した 7 月の工作機械受注額(確報値)によると、中国向けは 303 億円と直近ピークの 5 月から 2 割減った。 ノートパソコン関連の需要が一巡したためで、ツガミや THK など関連企業の受注動向にも陰りがでてきた。 「1 - 3 月期までの回復を主導したノートパソコンや 5G 対応スマートフォンの大口受注、建設機械などのインフラ需要に一服感がある。」 25 日のオンライン記者会見で、日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は足元の中国向けの状況をこう説明した。

中国受注額は 5 月に過去 2 番目の高水準となる 387 億円にまで伸びたが、6 月には 280 億円と 5 カ月ぶりに前月実績を下回った。 7 月はやや持ち直したものの回復は鈍い。 前年同月比の伸び率も 64.0% 増だが、徐々に鈍化しつつある。 個別企業の動きをみても同様だ。 旋盤大手で中国向けが強いツガミは、外需が 5 - 6 月に前月比減少に転じ、7 月は前月比横ばいの 85 億円だった。 同社の担当者は「電気自動車 (EV) 関連を中心に好調が続くが、春先ほどの過熱感はない」と話す。

「4 月末 - 5 月初旬をピークに落ち着いてきた。」 SMC の太田昌宏取締役は中国での受注について、半導体関連などでの発注が一服してきたという。 同社は工作機械に載せる空気圧機器の大手で 4 - 6 月期の業績や受注は好調だったが、中国での勢いは弱まりつつある。 背景にあるのが IT (情報技術)関連機器の生産動向だ。 スマホの新機種生産に向けた設備投資が春先で一服したのに加え、在宅勤務向けに急拡大したパソコンやタブレット需要も落ち着きつつある。

半導体など原材料不足や新型コロナウイルスの感染再拡大も企業の動きを鈍くしている。 中国汽車工業協会によると、7 月の新車販売台数は前年同月比 11.9% 減の 186 万 4,000 台となり、3 カ月連続で前年実績を下回った。 半導体不足による生産台数の減少やコロナ後の販売急増の反動が響いた。

工作機械の部品会社の動向にはさらに前から変調の兆しはあった。 工作機械の位置決め部品「リニアガイド」を手がける THK の 4 - 6 月期の中国受注は、14 億 4,100 万元(約 250 億円)と前四半期比 26.5% 減となった。 1 - 3 月は同 3 倍強にまで急増したが急ブレーキがかかった。 「1 - 3 月期は(顧客の)在庫積み増しや新規取引先の開拓で受注が急拡大し、(4 - 6 月期は)正常な受注に戻った(寺町彰博社長)」という。 リニアガイドは納期が長期化しており、部品を確保するための先行発注が起きやすいとされる。 業界内で需要の一服による反動減をいち早く反映した面もあるとの見方がある。

製造業の生産活動を示す工作機械の受注動向は、景気の先行指標としても関心は高い。 特に中国ではコロナ後の経済活動のいち早い再開をうけて急激に伸びていただけに、逆に株式市場では先行きへの警戒感が高まっている。 ファナックは 7 月 29 日の 4 - 6 月期決算発表時に 22 年 3 月期通期の業績予想を大幅に上方修正したが、株価は足元で年初来安値圏に沈んでいる。 スマホやパソコンの部品加工に使うロボドリルが中国で好調だった分、関連需要の一服が投資家の警戒感につながっている。

先行きの需要についても徐々に慎重な見方が広がりつつある。 UBS 証券の水野晃氏は「中国は建機などのほか、スマホや自動車など消費に近い末端製品も生産が減少しており設備投資のさらなる上振れは難しくなってきた」と指摘する。 (nikkei = 8-25-21)


りそな、京葉銀と業務提携 スマホ向けアプリなど活用

りそなホールディングス (HD) と京葉銀行(千葉市)は 24 日、デジタル分野を軸に幅広い領域で業務提携を結んだと発表した。 利益増とコスト削減で、計約 100 億円の提携効果を今後 5 年間で見込んでいる。 京葉銀が、りそな HD の開発したスマホ向けバンキングアプリを活用する。 ともに首都圏に顧客基盤があることを生かし、事業承継や M & A (企業合併や買収)などのビジネスでも協力していく。

人口減少やコロナ禍で社会や産業構造が大きく変化し、金融機関の収益環境は厳しさを増している。 東京都内で記者会見した京葉銀の熊谷俊行頭取は「課題に自前で対応するのではなく、外部連携を積極的に活用することが重要だ」と述べた。 資本提携には踏み込まない。 りそな HD の南昌宏社長は「これまでの地域金融機関の提携は資本やシステム統合ありきだったが、テクノロジーが進化して(データ連携ができるなど)第三のあり方を模索できるようになってきた」と話した。 (細見るい、asahi = 8-24-21)


実質 GDP、年率 1.3% 増 2 四半期ぶりのプラス成長

内閣府が 16 日発表した 2021 年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) の 1 次速報は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(21 年 1 - 3 月期)より、0.3% 増だった。 年率換算では 1.3% 増。 2 四半期ぶりにプラス成長に戻ったが、3 度目の緊急事態宣言で経済活動への制約が続いたこともあり、小幅な回復だった。

年率で 0.6% 台だった事前の民間予測の平均値は上回った。 その要因のひとつが、マイナス予測だった個人消費が前期比 0.8% 増と、小幅ながら 2 四半期ぶりにプラスに転じたことだ。 期中には、新型コロナウイルスの感染が収まらず、4 月 25 日に東京や大阪などで始まった 3 度目の宣言は一時、10 都道府県に拡大され、6 月 20 日まで約 2 カ月続いた(沖縄を除く)。 幅広い地域で外出自粛や飲食店への休業・時短営業が要請され、外食、旅行などサービス分野を中心に影響を受けた。

ただ、前期にあった 2 度目の宣言よりも対象地域が狭く、「自粛疲れ」で、飲食店での消費などが一定程度増えたとみられ、サービス消費は 1.5% 伸びた。 自動車の販売は半導体不足による生産台数の減少で伸び悩んだ。 内需のもう一つの柱である設備投資も前期比 1.7% 増で、2 四半期ぶりにプラスを回復した。 製造業を中心に在宅勤務ができる環境を整えるための IT 投資や通信事業者による基地局設置などが活発だった。 世界的な脱炭素化の流れを受け、電気自動車など関連分野の投資も加速したという。

政府支出も、新型コロナワクチンの高齢者への接種が 7 月末までに一定程度進んだため、ワクチンの購入が増え、0.5% 増と 2 四半期ぶりに増加に転じた。 輸出は 2.9% 増で、4 四半期連続のプラスとなった。 世界的な半導体不足により、アジア向けの半導体製造装置が好調で、伸び率は前期より拡大した。 ただ、ワクチンの輸入量が前期から大幅に増えたことなどで輸入も 5.1% 増と大幅に伸び、輸出から輸入を引いた外需は 0.3% 減で、GDP を押し下げるかたちとなった。 物価変動を反映した名目 GDP は 0.1% 増、年率換算で 0,2% 増だった。(古賀大己)

「リベンジ消費」への期待はあるが … 影を落とすデルタ株

4 - 6 月期の GDP は、2 四半期連続のマイナス成長を回避したものの、小幅な回復にとどまった。 新型コロナ対応の制約が続き、日本経済の回復が遅れていることが浮き彫りになった形だ。 深刻なのは、足元でもデルタ株による感染の再拡大が続き、7 - 9 月期での本格回復も見通せない状況になっていることだ。

回復の主役となるべき個人消費は、4 度目の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が 19 都道府県で少なくとも 8 月末まで続き、一定の制約が避けられないままだ。 ワクチン接種が進んで感染が収まれば、これまで我慢して貯蓄に回していたお金が一気に旅行などの消費に向かう。 そんな「リベンジ消費」への期待はあるが、感染力が強いデルタ株が猛威を振るっている現状では望みにくい。 一定の経済効果が期待された東京五輪は、感染対策のため、ほぼ無観客で開催された。 野村総合研究所の木内登英氏の試算では、その経済効果は約 1 兆 6,771 億円で、4 度目の宣言による経済的損失 2 兆 1,900 億円の方が大きかったという。

欧米や中国は日本より早く経済が回復し始めており、当面は、こうした地域への輸出に頼らざるを得ない。 しかし、そこにもデルタ株が影を落とす。 日本企業の製造拠点も多い東南アジアでは、デルタ株による感染拡大で工場の稼働率が下がり、日本の工場で使う部品の調達にも支障が出始めているからだ。 世界的な半導体不足も含め、輸出拡大の足かせになる可能性がある。 7 - 9 月期の実質成長率に関する民間エコノミストの予測平均も、7 月時点では 4.90% 増だったが、今月 12 日に公表された最新の予測平均では 2.55% 増へと下方修正された。

政府は先月、ワクチン接種の進展で 21 年下半期には感染が収束し始め、GDP は年内にはコロナ前(19 年 10 - 12 月期)の水準を回復するとの見通しを発表していた。 それまで「年度内」としていた予想を 3 カ月前倒ししたものだった。 西村康稔経済再生相は 16 日、4 - 6 月期の個人消費の伸びについて「感染は抑えなければならないが、強い消費意欲を感じる。 非常に複雑な思いだ。」と述べた。 コロナ前の水準の回復時期については「8 月末ごろには、欧米並みのワクチン接種状況になり、一定の経済活動の制限緩和ができる。 現時点で見通しは変えない。」と話した。

しかし、現状では全国の新規感染者数が過去最多を更新するなど、拡大傾向が続いており、8 月末での宣言解除も危ぶまれている。 本格回復の時期はいまだに見通せず、「年内回復」の実現は難しいとの見方も少なくない。 (古賀大己、asahi = 8-16-21)


上場企業の純利益、コロナ禍前上回る 製造業が好調

東証 1 部上場企業の 2021 年 4 - 6 月期決算の 5 日までの集計で、最終的な利益を示す純利益が 6.8 兆円となり、新型コロナ禍前の 19 年同期と比べて 26.8% 増えたことがわかった。 欧米などの外需を取り込んだ製造業が全体を引っ張った格好だが、旅行やレジャーを含むサービス業は低迷し、明暗が分かれた。 東証 1 部の 3 月期決算企業 1,334 社(金融を除く)のうち、5 日までに発表した 795 社(対象の 59.6%)を SMBC 日興証券が集計した。 19 年同期と比べ、売上高は 83.2 兆円で 2.8% 減、本業のもうけを示す営業利益は 7.0 兆円で 14.1% 増だった。

純利益を増やしたのは 527 社で、うち 6 割を製造業が占めた。 製造業の純利益は 19 年同期比 62.7% 増。 とくに世界販売の回復が著しい自動車業界が好業績で、鉄鋼や化学など素材関連にも波及した。 電気機器は巣ごもり消費や半導体の需要増の恩恵を受けた。 原材料費高騰も懸念されたが、コストダウンで補った企業が多かったという。 一方、非製造業は同 14.1% 減。 人の移動を伴う空運と陸運は赤字が続き、レジャーなどのサービス業も回復していない。 ただ、荷動きが急増した海運は業績を大きく伸ばした。 世界で経済活動が停滞した前年同期と比べると、売上高は 26.9% 増、営業利益は 4.6 倍、純利益は 6.7 倍に増えた。

22 年 3 月期の通期の業績予想は 112 社が売上高、128 社が純利益をそれぞれ上方修正した。 いずれも製造業が 8 割近くを占める。 売上高は前年同期比 7.0%、純利益は同 20.1% 増えると見込む。 ただ、足元では変異株の影響が広がり、国内も 8 日から新たに 8 県がまん延防止等重点措置の対象に加わる。 SMBC 日興証券の安田光氏は「各社は国内でも経済が正常化して利益が確保できる見通しを持っていたが現状は異なる。 非製造業で特に海外で売り上げがない企業は業績予想の下方修正に注意が必要だ。」と話す。 (稲垣千駿、asahi = 8-8-21)


「日本の取り組みは周回遅れ」飲食、出遅れたデジタル化

東京・武蔵小山の商店街。4 度目の緊急事態宣言が続く 14 日、正午前のランチ時間になると、フライドチキン専門店「ラッキーロッキーチキン」には次々と客が訪れ、お目当ての商品を注文した。 カリカリに揚げたチキンと、スパイスとハーブの利いたサラダを挟んだバーガーが看板商品だ。 店内で食事をするのは一部で、客の 9 割が持ち帰りか宅配を利用する。 手がけるのはロイヤルホールディングス (HD)。 ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」などを運営してきたが、この店は一転、持ち帰り主体の「戦略的な業態(黒須康宏社長)」として、省人化とデジタル化にこだわった。

スマホのアプリから事前注文できるモバイルオーダーやキャッシュレス決済を導入。 調理の工程も絞り、1 店舗あたり 1 - 3 人で運営できるようにした。 5 月の開業から 1 カ月の売り上げは、外出自粛などが続いていたにもかかわらず、計画の約 2 倍にのぼった。 ブランド責任者の石川敦さんは「十数坪程度の広さと小回りがきく出店が強み」といい、年内に 10 店舗まで増やす予定だ。

国内の人口が減り始め、市場の飽和と人手不足に対応するための効率化は、コロナ前から飲食業界共通の課題だった。 しかし、同社でも、そのためのデジタル化は以前から意識しながらも対応がなかなか進まず、そこにコロナが直撃。 大型店主体の経営はひとたまりもなく、昨年 12 月期の純損失は 275 億円と過去最大の赤字に陥った。

同社に限らず、今回のコロナ禍で最も打撃を受けた飲食、小売り、旅行などのサービス業は、コロナ前からデジタル投資などが遅れ、生産性の向上が課題とされてきた。 スイスの国際経営開発研究所 (IMD) が発表した昨年の「世界デジタル競争力ランキング」で、日本は対象 63 カ国・地域のうち 27 位。 前年より四つ順位を落とし、韓国や中国を下回る。 企業経営に詳しい日本経済大の西村尚純教授は「日本は海外に比べてデジタル化への取り組みが周回遅れの状況だ」と指摘する。

続く投資、異業種参入

対応が遅れた企業には、淘汰の波が襲うのが市場原理だが、足元では、政府の手厚い資金繰り支援で逆の状況が生まれている。 2020 年度の倒産件数は前年度比 13.8% 減の 7,314 件で 20 年ぶりに 8 千件を下回る低水準(帝国データバンク調べ)。 飲食店でも、政府の大規模な経済対策が本格的に実施される前の昨年 1 - 3 月は倒産が急増したが、その後は低水準で 20 年度の件数は 8.8% 減の 715 件だった。

しかし、企業の生産性の分析に詳しい学習院大学の滝沢美帆教授は「資金繰り支援策が一段落した後は、他社との差別化やコロナに対応した事業転換を図れなかった企業の倒産や廃業が増えるだろう」と指摘。 そのときに備え、IT を使った効率化だけでなく、アプリを使った新サービスなど、付加価値を高める取り組みが必要だと話す。 実際、コロナで浮き彫りになった課題に手を打つべく、積極投資に打って出る企業も増えてきた。

低価格路線で好調だったサイゼリヤは、非接触ニーズの高まりに現金主義をあきらめてカード決済を導入、今年 2 月には千葉市の店舗で従業員 1 人分の仕事量をこなす配膳ロボットを本格導入した。 少人数で対応できる都市型の小規模店舗の展開も始めている。 コンビニ大手 3 社もセルフレジの導入を加速。 ネット通販の盛況を背景に、セブン & アイ HD やイオンは人工知能 (AI) を活用した物流や配送のセンターを建てる予定で、効率的な配送を目指す。

調査会社のエヌピーディー・ジャパンによると、モバイルオーダーで決済した客の割合は 20 年 1 月時点で 7.5% だったが、21 年 5 月には 15,6% まで高まった。 東さやか・シニアアナリストは「日本は個人店が多く、電話が整っていたためデジタル化のメリットがなく遅れていたが、コロナ禍で取り組みが加速している」と話す。

政府も、こうした動きを後押しする。 経済産業省は、中小企業が事業の再編や業態転換をするための設備投資に最大 1 億円を補助する制度を創設。 補正予算で 1 兆円超を計上し、すでに計 8,016 件を採択した。 居酒屋が焼き肉店への業態転換やレトルト食品の開発をしたり、ホテルが持ち帰り飲食店やレンタルスペースを新設したりするケースなど、採択の約 7 割を非製造業が占める。

デジタル化を進めるため、異業種を取り込む M & A (企業合併・買収)の勢いも加速している。 M & A 仲介サイト「ビズリーチ・サクシード」を運営するビジョナル・インキュベーションによると、20 年度の M & A 成約数は前年度より 46% 増えた。

典型的なのが、化粧品メーカーやアパレル企業が EC (ネット通販)事業を強化するために EC サイト運営会社を買収するなど、デジタル化を手早く進めるために IT 関連企業を買収するケースだ。 こうした非 IT 企業が IT 企業を買収する例が 20 年度は全体の 44% に上り、前年度の 2.5 倍に増えたという。 前田洋平事業部長は「デジタル投資の必要性は以前から企業も認識していたが、コロナで事業構造の見直しや業態転換を迫られたことで時計の針が一気に進んだ」と話す。 (若井琢水、高木真也、asahi = 7-31-21)

視点> 効率化だけではじり貧

「想定外の状況」、「需要が蒸発」。 この 1 年半、コロナの直撃を受けた飲食・小売業界の経営者から多く聞かれた言葉だ。 そんな想定外の需要の急減が浮き彫りにしたのは、業界がコロナ前から抱えていた数々の課題だった。 人手不足の解消にもつながるデジタル化やロボットの導入、新たな市場を開拓する出店戦略の練り直し。 コロナ禍で一気に進んだ動きは、多くの企業で以前から必要性を感じながらも後回しにされてきたものだ。

ただ、コロナで生活様式は激変し、外食市場は「7 割回復」にとどまるとされる。 コロナを契機にした改革が、従来の延長線上で単なるコスト削減の効率化にとどまれば、じり貧になりかねない。 生き残りには、「今だけ乗り越えれば」という視点ではなく、新たな価値や市場を創りだしていくような変革が求められている。(田幸香純)


日経平均、続落スタート 変異株の感染拡大懸念

20 日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日から 300 円 94 銭安の 2 万 7,351 円 80 銭で始まった。 その後はやや値を戻し、午前 10 時半時点では 2 万 7,400 円前後で推移している。 前日の米ニューヨーク市場でダウ工業株平均が前週末比 725.81 ドル (2.09%) 安と、今年最大の下げ幅となった流れを引き継いだ。

米国をはじめ世界で、新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)の新規感染者数が増えており、投資家が慎重姿勢を強めている。 米国では比較的安全とされる米国債や円が買われ、長期金利の下落(債券価格は上昇)と円高ドル安が進んだ。 野村証券の神谷和男氏は「米国株の高値懸念が高まっていたなかで、コロナの再拡大に驚いたように見える。 世界経済が腰折れする可能性は限定的で、一過性の動きだとみている。」と話す。 (小出大貴、asahi = 7-20-21)

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東証終値 953 円安、ワクチン接種も株価も出遅れの日本

21 日の日経平均株価は一時 1 千円超下げ、終値は前週末比 953 円 15 銭安の 2 万 8,010 円 93 銭だった。 米国の利上げが早まるとの見方から、幅広い銘柄が売られた。 下げ幅は 2 月 26 日以来約 4 カ月ぶりの大きさで、4 営業日連続の下落。 ワクチン接種の遅れなどでさえなかった日本株に、さらにブレーキがかかった。

市場が注目するのは米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会 (FRB) の動きだ。 2024 年以降と見込んでいたゼロ金利解除を 23 年に前倒しすることを 16 日に示唆。 さらに、FRB を構成するセントルイス連銀の総裁で金融引き締めに慎重とみられていたブラード氏が 18 日、さらに 1 年前倒しの可能性に触れた。 利上げによる景気腰折れ不安などが広がって前週末の米株価は下落し、東京市場もその流れを受けた。

日本株はもともと海外の株式市場と比べ、「一人負け」と言える弱い動きだった。 日経平均は 4 月 5 日に 3 万円台を回復後、2 万 9 千円前後で推移。 ワクチン接種の遅れが重しだった。 英オックスフォード大の研究者らによる「Our World in Data」のまとめでは、欧米では人口の半数前後が少なくとも 1 回ワクチンを接種。 経済活動が回復する期待感から、主要な株式指数も最高値を更新してきた。 年初から 18 日までの上昇率は米ダウ工業株平均が約 10%、独 DAX は約 13%、仏 CAC40 は約 18% などと大きかった。 21 日の日経平均の約 3%、東証株価指数 (TOPIX) の約 6% とは対照的だ。

日本銀行による株価下支えが弱くなったことも響く。 日銀は 3 月、10 年から買い入れてきた上場投資信託 (ETF) について年 6 兆円の購入額目安を撤廃。 株価急落時にだけ買う運用とし、5 月は約 8 年半ぶりに購入がなかった。 21 日は 2 カ月ぶりに 701 億円買い入れた。 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「お金を(低金利で)流す政策から転換するのろしが上がり、リスク資産を積極的に買う流れが変わった」と指摘。 「国内のワクチン接種率が高まれば対面型ビジネスも回復し、業績上ぶれを期待できる」と話す。 (稲垣千駿、津阪直樹、asahi = 6-21-21)

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3 日間の下げ幅 2 千円超、米国物価上昇で日経平均に打撃

経済正常化が進む米国で物価上昇圧力が強まり、日米の金融市場を揺さぶっている。 米連邦準備制度理事会 (FRB) による金融引き締めが早まるとの観測から米長期金利が上昇し、ハイテク株などが急落。 もともと軟調だった日本株は、新型コロナの感染再拡大も相まって、とりわけ急激な下げに見舞われている。 米労働省が 12 日発表した 4 月の消費者物価指数は、前年同月より 4.2% 上昇。 2008 年 9 月以来、12 年 7 か月ぶりの大幅な伸びとなった。 前年急激にエネルギー価格が落ち込んだ反動もあるが、中古車は 21%、航空運賃も 9.6% 上がり、変動しやすい食品とエネルギーを除いても 3.0% の力強い伸びだった。

ワクチン接種が進んで経済活動が戻るなか、労働力不足や消費の回復が重なっている。 FRB のパウエル議長は物価上昇を「一時的」と強調。 クラリダ副議長も 12 日、「(米経済は)我々の目標には遠く、さらに前進するには時間がかかりそうだ」と述べ、今の金融緩和を当面続ける姿勢だ。 しかし、市場は金融引き締めが早まるのではと身構える。 米長期金利はこの日、年 1.7% に一時迫った。 金利が上がると、将来の利益を当て込んで株高になっていた IT 銘柄は売られやすい。 ハイテク株中心のナスダック総合指数は 2.62% の大幅下落。 ダウ工業株平均も 681 ドルの続落となり、3 日間での下げ幅は計 1,200 ドル近い。

資産運用会社ポルティア・キャピタルマネジメントのミシェル・コーネル氏は「賃金や素材価格は上がり続けており、どこかで企業は上昇分を転嫁しなければならない。 物価上昇は長期に及ぶと考えるのが自然だ。」と指摘する。 (ニューヨーク = 真海喬生)

日経平均株価、3 カ月半ぶりに 2 万 8 千円割れ

13 日の日経平均株価の終値は前日比 699 円 50 銭安い 2 万 7,448 円 01 銭。 3 日続けて下げ、3 カ月半ぶりに 2 万 8 千円を割った。 米株価につられる形でハイテク関連株が大きく売られる展開が続き、下げ幅は 3 日間で計 2 千円を超えた。 日米の株価は昨年春のコロナショックで急落後、金融緩和による投資マネーが株式市場に流れ込み、ともに急回復が続いた。 しかし、米国市場で主要株価指数が史上最高値を更新し続けたのとは対照的に、日本株は失速。 日経平均は 4 月 5 日の 3 万円台回復後、軟調な展開となっている。

日本ではワクチン接種が進まず、変異株の感染が拡大。 緊急事態宣言の延長に追い込まれるなど経済正常化の期待が遠のき、相場の大きな重しになっている。 今までの株安局面で買い支えてきた日本銀行が、上場投資信託 (ETF) の購入頻度を減らしたことも影を落とす。 そこに金利上昇を警戒した米株安の影響が重なり、最近の株価下落につながっている。 みずほ証券の三浦豊氏は「動きが不安定で、海外投資家は日本株を買おうとしない。 10 月ぐらいまで日経平均は 2 万 7 千 - 2 万 9 千円ほどで動くのではないか」とみる。 (稲垣千駿、asahi = 5-13-21)

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日経平均 1,200 円超の下落、金利急上昇を警戒 - 日銀総裁発言後に一段安

→ 米国債 10 年物利回りは一時 1.6% 台 - 国内長期金利も 5 年ぶり高水準
→ 東証 1 部銘柄の 9 割下落、スクリン H 株など半導体関連が安い

26 日の東京株式相場は大幅に反落。 日経平均株価は 4% 近く値下がりし、下落率は 2020 年 4 月 1 日以来約 11 カ月ぶりの大きさになった。 米国債利回りの急上昇を受けて国内の長期金利も約 5 年ぶりの高水準を付け、半導体関連など成長株中心に売りが広がった。 東証 33 業種の全てが下落した。 (牧綾香、Bloomberg = 2-26-21)

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日経平均、終値も 3 万円超える バブル期以来の高値に

15 日の日経平均株価の終値は前週末比 564 円 08 銭円高い 3 万 0,084 円 15 銭となり、1990 年 8 月のバブル経済期以来、約 30 年 6 カ月ぶりの高値になった。 この日発表された国内総生産(GDP、速報値)が市場予想を上回るなど、新型コロナウイルスの感染拡大で沈んだ経済の回復に期待が高まった。 午前中に 3 万円を一時つけた後、いったん利益確定で売り注文が出て、上げ幅を縮める場面があった。 しかし、午後の取引でも再び買い注文が広がり、取引時間中の上げ幅が 500 円を超える場面もあった。 (山下裕志、asahi = 2-15-21)


西村 "経済破壊大臣" の圧力発言が大波紋! ホリエモンら一斉批判で進退問題に発展か

西村康稔経済再生担当大臣が発した問題発言≠ヨの批判が収まらない。堀江貴文氏や古市憲寿氏、大阪府の吉村知事らが一斉に声を上げ、ネット上では「経済破壊担当大臣」のニックネームがトレンド入り。一気に責任問題へ発展しそうな雲行きとなってきた。 同大臣は 9 日、「酒の提供を続ける飲食店に対して金融機関への働きかけを要請する」として波紋を広げた 8 日の発言について釈明。 「金融機関は多くの事業者と接点があり、日頃からコミュニケーションをとる一環として、感染防止を働きかけてもらいたいという趣旨だった」、「融資を制限するということではなく、優越的地位の濫用には当たらない」などと説明した。

9 日午前には事の重大さを悟った菅首相が「西村再生相はそうした趣旨の発言は絶対しないと思っている」と語るなど政府はあわてて火消しに努めているが、事態は大きくなるばかりだ。 社会学者の古市憲寿氏は 9 日、ツイッターを更新。 「法的根拠もなく国の認可事業である金融機関に圧力をかけるなんて国の壊れはじめだよ」と危惧すると「酒類販売業や、金融機関への圧力は、強権的に言うことを聞かせるのが目的になっていて、もはや肝心の感染症対策が置き去りになっている。 一大臣のスタンドプレーだとしても、馬鹿すぎる。 いや、違うな。危険すぎる。」と厳しく指摘した。

実業家の堀江貴文氏も 8 日の西村大臣発言を報じた記事に「これ、補助とセットじゃないんだね、、マジ厳しすぎるでしょそれ」とつぶやくと、古市氏のツイートに「コントロールが効かなくなってるのだろうか」と反応した。 インターネット上でもこの問題への関心は高く、以前からくすぶっていた "西村経済破壊大臣" の異名がトレンド入り。 飲食店などに、酒類を販売する酒屋の業界団体である全国小売酒販組合中央会も 9 日、正式に西村大臣らに対して抗議した。 政界はここぞとばかりに一気に動いている。 大阪府の吉村知事は 9 日の会見で「不適切」と西村大臣を突き放し、立憲民主党などの野党も集中砲火を開始。 週明けから追及を強める構え。 政府中枢からいよいよ煙が上がり始めた。 (東スポ = 7-9-21)


国内景気、61 社が「足踏み」の回答 朝日 100 社調査

全国の主要企業 100 社を対象にした朝日新聞のアンケートで、今の国内景気について 61 社が「足踏みしている」と答えた。 昨年 11 月の前回調査で計 45 社あった「拡大」の回答は計 29 社に減少し、国内で停滞感が再び強まっている。 一方、世界景気については計 76 社が「拡大」と答えた。 内外の格差も広がっている。 調査は毎年 2 回実施しており、今回は 5 月 24 日 - 6 月 4 日に行った。 約 4 割の企業はオンラインなどで社長らトップに面談した。

国内の景況感は、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が解除された直後の昨年 6 月の前々回調査でリーマン・ショック後並みの低水準に落ち込んだ後、前回調査でいったん回復していた。 しかし、今回の調査では「拡大している」と答えた社がゼロ、「緩やかに拡大」も 29 社にとどまった。 ほかは「緩やかに後退」が 8 社、「後退」が 2 社となった。 景気判断の根拠(二つまで選択可)で、最も多かったのは「個人消費」で 72 社。 明治ホールディングス (HD) の川村和夫社長は「昨年の緊急事態宣言と比べて(今回は)期間が長期化し、消費の冷え込みが厳しくなっている」と話す。

景気の懸念材料(二つまで選択可)は、「コロナの影響の長期化」が 90 社と圧倒的だった。 ワクチン接種への期待が大きく、大阪ガスの松井毅副社長は「接種が順調に進まない場合、個人消費を中心に経済回復が遅れる可能性が懸念される」と指摘した。 一方、世界全体の景気については「拡大」が前回より 6 社増えて 8 社、「緩やかに拡大」が 28 社増えて 68 社にのぼった。 クボタの北尾裕一社長は「米中の経済が回復し、各国政府による経済対策、ワクチン接種の進展に伴う経済活動の再開など、明るい兆しが見られる」とした。 (伊藤弘毅、asahi = 6-15-21)