中国・貴州省で客船転覆、学生ら 10 人死亡 5 人が行方不明
中国貴州省で客船が転覆し、乗っていた学生など 10 人が死亡、5 人が行方不明となっています。 18 日午後 5 時ごろ、貴州省六盤水市の河川で学生など 46 人が乗った客船が転覆しました。 800 人以上が救助や捜索に当たりましたが、中国メディアによりますとこれまでに 10 人が死亡し、5 人が現在も行方不明となっています。 客船は主に学生が通学などで日常的に乗船していたということですが、事故当時は定員 40 人を超える 46 人が乗っていたということです。 地元当局は行方の分からない 5 人の捜索を続けるとともに、事故の原因を調べています。 (TBS = 9-19-21)
BTS ファンアカウント停止 「推し活」で 1 時間に 3 千万円超集める
5 億人以上が利用する中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の運営会社は 5 日、世界的に人気を集めている韓国のアイドルグループ「BTS (防弾少年団)」らアイドルを応援するために集金を呼びかけるなどした 22 件のアカウントを 30 - 60 日の発言禁止にしたことを明らかにした。 中国では、「推し」をめぐるアイドルファンの過激な行動に対してインターネット管理当局が規制を強めており、同社は「非理性的な応援行為は厳粛に処理する」としている。
同社の公式発表や中国メディアによると、BTS のメンバーを応援し、100 万人以上のフォロワーを持つアカウントが「規定に反する集金活動をした」として 60 日間の発言禁止となった。 このアカウントはメンバーの誕生日を祝うとして、韓国の航空会社の飛行機にそのメンバーの名前や写真のラッピングを施す資金を募り、1 時間で 230 万元(約 3,900 万円)が集まったことを「韓国芸能界で誕生日の集金の新記録」などと宣伝していた。
同社はまた、応援のために音楽アルバムの大量の購入を求めたり、アイドルへ贈るプレゼントの額を他のアイドルのファンよりも高額にするよう呼びかけたりしていたアカウント 21 件について「理性的ではない応援を広めた」として 30 日間の発言禁止にした。 「BLACKPINK」や「少女時代」のメンバーら韓国アイドルのファンのアカウントで、いずれも数万 - 数百万人のフォロワーがいた。
中国では、未成年者を含むアイドルファンが応援を過熱させ、多額の金銭を費やすことが社会問題化している。 インターネット管理当局は 8 月下旬、応援のために過度な集金活動をしているアカウントを放置し続けたアプリの管理者を処罰の対象にするとの通知を出していた。 習近平(シーチンピン)指導部は貧富の格差を縮めて全体を豊かにする「共同富裕」の実現に本腰を入れ始めている。 こうした中、芸能人への高額な報酬の支払いなどエンターテインメント業界の過度な商業化や行きすぎたファン活動を問題視する中国メディアの報道も相次いでいる。 (瀋陽 = 平井良和、asahi = 9-8-21)
中国で学校以外での学習が厳禁に、学習塾を敵視する習近平の本音とは
<中国全土で学習塾や補習校の摘発が開始された。 学習負担の軽減が表向きの理由だが、背景には塾が教える内容への不満が。>
赤い腕章を着けた監視員が足でドアを蹴り開け、怒鳴りながら 1 人の男性を引っ張り出す。 室内では数十人の生徒たちが唖然としている - -。 犯人逮捕の現場ではなく、安徽省で学校以外の学習塾を取り締まる映像だ。 引っ張り出された男性は容疑者でなく、講師である。
中国共産党と国務院は 7 月 24 日、義務教育段階の学習負担を軽減するため、学校以外の学習禁止を厳命。 中国全土で学習塾や補習校の摘発が始まった。 ある地方は黒社会(暴力団)追放と同じ「掃黒除悪」というスローガンで摘発を始めた。 その結果が冒頭のような乱暴な振る舞いだ。 「師を尊び、教えを重んずる」数千年の伝統を持つ中国で、講師が学習塾で補習しただけで暴力団と同じような取り扱いを受けるとは、誰も思わなかっただろう。
近年、中国では特に英語学習塾でカリスマ講師が活躍し、人気を集めていた。 海外留学や外資系企業の就職希望者向けに英語を特訓する「新東方」教育グループは、今回の取り締まり後に株価が暴落。 学習塾業界から 1,000 万人以上の失業者が出るかもしれない、と報じられている。 その背景にあるのは「学校以外の学習施設は法律に従って管理しなければならない」という習近平(シー・チンピン)国家主席の重要指示だ。 理由はいくつかある。 「学生たちの学習負担減少」、「学習塾や講師が私腹を肥やすことを防止する」もそうだが、習にとっておそらく最も耐え難いのは、「学校の地位がそれ以外の学習施設に取って代わられること」だろう。
毛沢東時代に誰もが毛沢東思想を学習しなければならなかったように、これからの中国の学校では『習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本』を誰もが学ばなければならない。 学習塾はこのような思想教育を行わない。 このため、首都北京ではあらゆる学習塾が共産党支部を置かねばならなくなった。 それでも英語塾は欧米的価値観の温床になる恐れがあり、つぼみのうちに摘み取らなければならない。 上海市は最近、小学校の英語の試験を 9 月の新学期から禁止すると発表した。 今の中国と同様、国民の英語学習を嫌う監視国家がかつてアジアにあった。 軍国主義時代の日本だ。 (ラージャオ/トウガラシ、NewsWeek = 8-26-21)
ポイント
新東方 : 1993 年に創業された中国を代表する留学対策の英語塾。 現在は TOEFLや GRE といった英語試験対策だけでなく、幼児教育や小中高校生向け補習授業も行っている。
習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本 : 教育省が編纂した思想教育の補助教材。 2021 年秋から小中高校で使われる。 中華民族の偉大な復興を目指す「習近平思想」を教える。
中国 "個人情報保護法" 成立 IT 企業を念頭 日系企業に影響も
中国でネット通販やキャッシュレス決済などのサービスを提供し大量の個人情報を集める IT 企業を念頭に、顧客の個人情報の保護を義務づける法律が成立しました。 外国企業も対象となり、日系企業に影響が出る可能性があります。 中国では、顧客から個人情報を収集して処理する際に同意を得ることや、必要最小限にとどめることなどを企業に義務づける「個人情報保護法」が、20 日、全人代 = 全国人民代表大会の常務委員会で可決、成立しました。
中国のインターネットの利用者は 10 億人近くに上るとされ、ネット通販やキャッシュレス決済などのサービスが広く普及する中で、大量の個人情報を集める IT 企業が影響力を増していることから政府が統制を強化していて、この法律も IT 企業を念頭に情報の取り扱いを厳しくするものです。 この法律では、外国企業も対象となり、一定数を超える個人情報を集める企業に対して、データを中国国内で保存したうえで国外に持ち出す際には当局の審査を受けることを義務づけています。
中国政府は、アメリカなどにデータが流出することに警戒を強めていて、企業が持つ重要データを国外に持ち出すことを規制する法律も 9 月 1 日に施行されます。 個人情報保護法は 11 月 1 日に施行され、データの取り扱いに関する規制が強化されることで、中国に進出する日系企業に影響が出る可能性もあります。 (NHK = 8-21-21)
中国山西省で 9 人に皮膚炭疽の症状 … 当局が発症者の隔離や消毒作業
【北京 = 比嘉清太】 中国中央テレビ(電子版)は 15 日、中国山西省の文水県で 9 人の皮膚に 炭疽(たんそ)菌に感染した特徴が見られると伝えた。 当局が発症者の隔離や付近の消毒に当たっている。 9 人は肉牛の飼育や食肉処理、販売に携わる。 炭疽菌は土壌に存在し、感染動物の血液や骨に触れて感染する。 皮膚の感染では 水疱すいほう やリンパ節の腫れなどの症状がでる。 治療しなければ死に至ることも多い。 中国政府の発表によると中国では昨年、224 人の炭疽患者が確認された。 死者はいないという。 (yomiuri = 8-16-21)
中国・湖北省、豪雨で 21 人死亡 2 階近くまで水没も
中国中部の湖北省で 11 - 12 日に豪雨が降って家屋が倒壊するなどの被害があり、13 日までに計 21 人が死亡、4 人が行方不明になった。 中国中央テレビが伝えた。 北隣の河南省で先月、浸水した地下鉄から逃げ遅れるなどして 300 人以上が犠牲になる豪雨被害があったばかりで、異常気象が続いている。 中央テレビによると、被害があったのは湖北省随州市で、11 日夜 - 12 日朝の 12 時間で 503 ミリの雨量を計測。 水位 5 メートルの洪水になった場所もあったという。
未明に水位が急速に上がったとみられ、中国メディアは市街地一帯が建物の 2 階近くの高さまで水没した動画を報道。 住民の「夜勤で 1 階建てのスーパーにいた妻から『死んでしまうかもしれない。 床下の靴袋の中をよく探して。 まだ少し貯金があるから。』と携帯のメールが来て、音信が途絶えた。」との証言を報じている。 この影響で計 221 軒の家屋が倒壊、63 基の橋が損壊し、計 8 千人が被災した。 (北京 = 高田正幸、asahi = 8-13-21)
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豪雨、中国・河南省で死者 302 人に、50 人が行方不明
中国・河南省は先月の記録的豪雨による死者が 302 人にのぼると明らかにしました。 河南省によりますと、記録的な豪雨により、先月中旬から 2 日までに省全体で 302 人が死亡、50 人が行方不明となり、1,400 万人以上が被災したということです。 特に地下鉄が一時冠水する被害が出た、省都の鄭州市では 292 人が亡くなりました。
河南省は先月 29 日の時点では省全体での死者数を 99 人としていて、死者数が急激に増えたのは、被害の把握が進んだためとみられます。 また、中国政府はあわせて、今回の豪雨への対応を検証する調査チームの設置を発表、「職務怠慢がある行為については法律に基づいて責任を追及する」としています。 (TBS = 8-3-21)
〈編者注〉 BBC の報道を「フェイクニュース」と言った人は処罰されるのでしょうか? 編者が知る限り、河川決壊が始まったのは、7 月 20 日未明、それから 2 週間。 全貌把握だけで、かくも長い時間がかかるのであれば、「緊急出動」、「緊急体制」などとれるわけもありません。
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経済損失は 1 兆 4,000 億円相当 中国・河南省の記録的豪雨
記録的豪雨に見舞われた中国・河南省では、農作物など 1 兆 4,000 億円相当の経済損失が出ている。 "1,000 年に一度" と言われている豪雨に見舞われた中国・河南省では、地下鉄が水没するなど 99 人が死亡した。 FNN 取材班が現地に入ると、道路は寸断されたままで、収穫を間近に控えていたとうもろこし畑が大きな被害を受けていた。 農作物の被害面積は、およそ 97 万ヘクタールにおよび、これらを含む河南省全体の経済損失は、1 兆 4,000 億円相当にのぼるという。 (FNN = 7-31-21)
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中国、英 BBC を「フェイクニュース」と非難 中部の洪水報道で
【北京】 中国政府は 29 日、中部で発生した洪水をめぐり、英 BBC が「フェイクニュース」を報道しており、中国人に不人気なのは当然だと非難した。 BBC は、洪水を取材した記者がネット上で激しい批判を受け、別のメディアも現地で嫌がらせを受けていると指摘し、「外国人記者を危険にさらす攻撃が続いている」と述べた。 これに対し、中国外務省の趙立堅報道官は 29 日、BBC を「フェイクニュース放送局」と呼び、「中国を攻撃して中傷し、ジャーナリズムの基準を大きく逸脱している」と非難した。 さらに、BBC が「中国国民に不人気」なのは当然で、「理由のない憎しみなど存在しない」と述べた。
発端は、中国共産党の青年組織である河南共産主義青年団が 27 日、ソーシャルメディアで、BBC の記者の動向を追跡するようフォロワー 160 万人に呼び掛けたことだった。 この投稿をきっかけに、愛国主義的なネットユーザーが BBC の記者に殺害予告をする事態となった。
中国外国人記者クラブは声明で、河南省鄭州市で取材中の記者が怒れる地元民に囲まれてつかみかかられ、中国人アシスタントには「脅迫メッセージ」が届いたと述べた。 さらに、「中国共産党に属する組織の発言が、中国で活動する外国人記者の身体的安全を直接危険にさらし、自由な報道を妨げている」と訴えた。 AFP の記者も浸水したトンネルの取材中、鄭州の住民に映像を削除するよう迫られ、男性数十人に囲まれた。 (AFP/時事 = 7-30-21)
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中国豪雨、14 人犠牲の地下鉄出口に壁 ネット上で非難
中国河南省の豪雨による浸水被害で乗客が亡くなった省都鄭州市の地下鉄の駅出口で、犠牲者を悼んで供えられたメッセージや花束が壁に囲われた様子が報じられ、ネット上で批判の声が出ている。 誰が壁を設置したか不明だが、怒りの矛先は市政府や地下鉄の運営会社に向かっている。 市は 27 日、死者数が 2 人増えて 14 人になったと発表した。 年齢は 20 - 51 歳で女性が 11 人だった。 名簿も公開したが、名前の一部を伏せた。
中国メディアによると、犠牲者の初七日にあたる 26 日、沙口駅の出口には多くの市民が追悼に訪れ、「天国に洪水はありません。 安らかに眠ってください。」などと書かれたメッセージカード付きの花束で埋め尽くされた。 だが夕方ごろまでに何者かが人の背丈より高い壁を設置し、中が見られなくなったという。 市当局関係者が、追悼の動きが当局への責任追及に転じることを恐れて設置した可能性がある。 ネット上では、「花を囲ってまで一体何を恐れているのか?」、「事故を繰り返さないために、風化させてはならない」などと非難するコメントが多く投稿され、一部が削除された。 その後献花は壁の外にも広がり、26 日夜には壁の一部が取り払われたとみられる。 (上海 = 井上亮、asahi = 7-27-21)
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被災中に抗日ドラマ 中国の水害、当局対応に批判相次ぐ
中国河南省の豪雨による水害で、省政府は 22 日、計 33 人が死亡、8 人が行方不明になっていると発表した。 被災者は約 300 万人にのぼるという。 中国のネット上では、地元当局やメディアの注意喚起や情報公開の遅れが被害を拡大させたとする批判が出始めている。 20 日夜に浸水した地下鉄で逃げ遅れた 12 人が死亡した鄭州市。 気象台が前日には最高レベルの警報を出していたのにもかかわらず、市政府が出勤停止など具体的な注意喚起をしなかったことに、SNS で疑問の声が出た。
市内の地下鉄に雨水が流れ込み始めたのは 20 日午後 6 時ごろで、被災した乗客には帰宅を急ぐ人びとも。 地下鉄の運転停止の判断の遅れを指摘する意見も書き込まれた。 さらに、市内のダムが 20 日午前には放水を始めていたのに、翌日未明になってようやく市が SNS で公表したことにも「情報隠しだ」という声が上がっている。 メディアも問われた。 被害が出ていた 20 日夜、省政府系の地元テレビ局は「抗日ドラマ」を放送を続けていた。 これに対し、「少しでも人間性があるなら、災害対策情報を放送すべきだ」などと投稿された。
共産党機関紙・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は 17 日、すでに 100 人超が犠牲になっていたドイツの洪水について「西側諸国の統治レベルに対する信頼感が揺らぐ」などと SNS に投稿。 一方、河南省の水害に対しては「極端な天気で水害は避けようがない」と当局をかばうような発信をした。 こうした発言に「憎まれ口をはやめろ」などと批判が殺到。 胡氏は 21 日、「犠牲が避けられるはずだったという疑問は理解できる」と SNS で弁解した。 (北京 = 高田正幸、asahi = 7-22-21)
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地下鉄浸水 12 人死亡 中国・河南「千年に 1 度の暴雨」
中国・河南省で 17 日以降、記録的な大雨が続き、省都の鄭州市で地下鉄が浸水するなどして 21 日までに 12 人が死亡、10 万人が避難した。 鄭州の気象局は「1 千年に 1 度の暴雨」だとして、警戒を呼びかけている。 習近平(シーチンピン)国家主席は同日、被災者の救済に取り組むよう関係部門に対して重要指示を出した。 中国メディアによると、鄭州市では、20 日午後 4 - 5 時の 1 時間で 201.9 ミリの雨が降り、中国全土での観測史上最大を記録した。 17 日以降の 3 日間では、鄭州市の年間雨量にほぼ匹敵する 617 ミリの雨量を計測したという。
地元メディアによると、鄭州市では 20 日午後 6 時ごろ、地下鉄構内への浸水を防ぐ遮水壁を越えて雨水が線路にまで流れ込んだ。 市内の地下鉄は全線が運行停止となり 500 人余りが避難したが、逃げ遅れた 12 人が死亡したという。 ほかに 5 人がけがを追った。 中国の SNS には、鄭州市内の地下鉄車内で乗客が胸のあたりまで水につかったまま取り残されている様子を映した動画も投稿されている。 (北京 = 高田正幸、asahi = 7-21-21)
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衝撃波も? 中国で大爆発 未明の空にごう音と火柱が
衝撃波発生か。 中国の工場で大爆発が起きた。 爆発は 20 日未明、中国の中部にある河南省の都市で起きた。 ごう音とともに、立ちのぼる巨大な炎の塊。 猛烈な光が、あたりの景色を一変させるほどの大爆発が起きた。 別の場所から撮影された映像では、爆発場所からドーム状に広がる白いものが見える。 爆発による衝撃波なのか。 さらに、大きな爆発の直後、何度も小さな爆発を繰り返しているように見える。
いったい何が爆発したのか。 地元政府の発表などによると、爆発したのはアルミ合金の工場。 この地域では、19 日から大雨が降っており、20 日午前 4 時ごろに、工場に隣接する川の堤防が決壊。 工場内にも水が入った。 このため関係者は、工場の電源を切って避難したが、合金タンクの中の高温溶液に浸水。 午前 6 時ごろに爆発したという。 これまでのところ、死傷者や行方不明者に関する報告は入っていないという。 (FNN = 7-20-21)
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中国・四川省で大雨 12 万人が浸水など被害
中国・四川省で 9 日から大雨が降り続き、これまでに 12 万人が被災しています。 中国の国営中央テレビは内陸部の四川省で 9 日から大雨が降り続き、11 日までに 12 万人が浸水などの被害を受けたと報じました。 各地で洪水が発生しているほか、土砂崩れに巻き込まれて一時、閉じ込められた市民もいたということです。 中国政府は今年の 6 月までに全国で相次いだ暴風や洪水などの災害で、農作物や住宅などに 7,000 億円近い被害が出たと発表しています。 (テレ朝 = 7-12-21)
中国でホテル倒壊、8 人死亡・9 人不明 … 原因は不明
【上海 = 南部さやか】 中国中央テレビ(電子版)などによると、江蘇省蘇州市で 12 日午後、ホテルが倒壊した。 500 人以上の消防隊員が捜索に当たり、13 日午前 7 時(日本時間午前 8 時)時点で 14 人が発見され、うち 8 人が死亡した。 9 人が行方不明となっている。 倒壊の原因はわかっていない。 在上海日本総領事館によると、日本人が巻き込まれたとの情報は入っていないという。 (yomiuri = 7-13-21)
あくせく働かず … 中国の若者に広がる「寝そべり主義」 当局は情報統制
【北京・坂本信博】 中国の若者の間で「●(= 「身」偏に「尚」)平(とうへい)主義(寝そべり主義)」が流行語になっている。 あくせく働かず、お金を使わず結婚もせず、精神的ゆとりを大事にする草食系の生き方で、貧富の格差や住宅・生活費の高騰、就職難を背景に、競争に疲れた 1990 年代以降生まれを中心に共感が広がる。 消費意欲の低い若者が増えれば経済は停滞し、習近平指導部が進める「強国」路線の障壁にもなりかねないため、当局は警戒を強めて情報統制に乗り出した。
流行のきっかけは 4 月、会員制交流サイト (SNS) に「寝そべりは正義」と題して投稿された文章。 「食事は 1 日 2 回でいいし、働くのは年に 1 - 2 カ月でいい。 寝そべりは賢者の行動だ。」との主張に共鳴する若者が続出。 大手通販サイトでは「●平」の文字入り T シャツなどが売れた。 北京の男性会社員 (27) も共感した一人。 2015 年まで続いた「一人っ子政策」時代に生まれ、親の期待を一身に受けて育った。 「一人っ子で長男として、受験や就職のプレッシャーに苦しんできた」という。
朝から晩まで働いて月給 8 千元(約 13 万 6 千円)。 5 千元(約 8 万 5 千円)の家賃や食費で、ほとんど手元に残らない。 「給料のために奴隷のように働くのはやめ、家も車も買わず、結婚や子づくりもしない。 消費を抑えることで最低限の生活を維持し、他人から金もうけの道具にされることも拒む。 それが寝そべり主義。 僕も自分を大事に生きたい。」と語る。
中国では経済成長に伴い受験や就職、出世の競争が激化。 昨年はいつの間にか不毛な競争に巻き込まれる状態を指す「内巻」が流行語になった。 習近平国家主席は、新中国建国 100 年の 49 年までに米国に肩を並べる「強国」を目指し「腕まくりして頑張ろう」とスローガンを掲げている。 それだけに、寝そべり主義は習氏の強国路線への静かな抵抗との見方もある。
若者に無気力な生き方が広がることや少子高齢化が加速することへの当局の危機感の表れか、中国メディアは「"寝そべり" は恥だ。 どこに正義感があるのか。(南方日報)」、「快適な環境に隠れていても、成功は決して天から降ってこない(中国青年報)」などと痛烈に批判。 通販サイトでは関連商品の販売が中止されたほか、検索に制限をかける動きも出ている。
国営通信新華社も、1 日 12 時間働く高齢の科学者を紹介する動画を公開。 「寝そべることを拒否する 86 歳の科学者」というハッシュタグ(検索目印)を付けて SNS で発信したが、ネット上では「努力させるだけで、豊かな生活を保障しないのは無責任だ」といった反発の声も上がり、ハッシュタグは削除された。 北京の外交筋は「消費意欲の低迷が経済に与える影響も含め、寝そべり主義は習指導部にとって深刻な脅威になり得る」と話す。 (西日本新聞 = 7-6-21)
「世界一高い場所にあるホテル」がオープン 中国・上海
中国で最も高いビル「上海タワー」の上層階に、「世界一高い場所にあるホテル」と名乗る「J ホテル」が先ごろオープンした。 上海タワーは 120 階建て、高さ 632 メートル。 その上層階に設けた 165 の客室のうち、34 室がスイートルームだ。 オーナーは国営企業の錦江国際グループで、専属の客室係による 24 時間のサービス、屋内プール、エルメスとディプティックの洗面用具、モクレンの花びらをかたどったバスタブ、レイキ療法のスパ、各室に備えた本格的な中国茶セットなどが特長とされる。
スイートルーム 4 クラスのうち、最高級の「上海スイート」は寝室のほかに居間、書斎、キッチン、マッサージ室、更衣室が完備されている。 料金は 1 泊 3,061 人民元(約 5 万 2,000 円)から。 上海スイートの料金は公表されていないが、これに続く「J スイート」は 1 泊 6 万 7,6287 人民元(約 115 万 8,000 円)だ。 館内では最上階の広東料理レストランをはじめ、日本料理、イタリア料理、アフタヌーンティーなど計 7 カ所の店で食事が楽しめる。
新型コロナウイルス感染拡大の中でも、世界各地でホテルの新しさや高さをめぐる競争は続いている。 香港のリッツ・カールトンは、ホテルの施設として世界一高い場所にあるプールとバーを誇る。 ビル全体を占有するホテルとしては、アラブ首長国連邦ドバイの「ゲボラ」が高さ 356 メートルで世界一とギネス認定された。 ドバイではさらに、これをしのぐホテル「シエル・タワー」の建設が進められている。 完成時の高さは 360.4 メートルとなる。 (CNN = 7-3-21)
中国の世界自然遺産に長さ約 200 メートルの「ごみベルト」が出現
世界遺産「青海フフシル」の大量のごみは、絶滅が危惧されているチベットカモシカといったこの地域の野生生物を脅かす恐れも。
中国の世界遺産「青海フフシル(可可西里)」の周辺には、何年も前から大量のごみが積み上げられていると、Economic Observer が報じた。 特にごみがひどいところでは、家畜の世話をして生活している人々が片付けを手伝わされている。 こうしたゴミは、この地域の 230 種の動物たちを危うくする恐れがある。 大量のごみが中国の北西部にある世界遺産「青海フフシル(可可西里)」の自然を破壊する恐れがあると、Economic Observer が 6 月 20 日に報じた。 青海フフシルは世界で最も標高の高い、世界最大の高原だ。
中でも、最も荒廃している場所の 1 つが長さ 656 フィート(約 200 メートル)、幅 65 フィート(約 20 メートル)の「ごみベルト」で、ここにはプラスチックや缶、ペンキの缶から羊やヤクの死体まで、ありとあらゆるものが捨てられていると Economic Observer は伝えている。 この「ごみベルト」は、観光客や長距離トラックの利用が多い国道沿いにのびている。 現地で家畜の世話をして生活している何百人もの人々が当局からごみの片付けを手伝わされているが、ごみの量があまりにも多いため、片付けがなかなか終わらないとサウスチャイナ・モーニング・ポスト (SCMP) は報じた。
ごみの片付けを手伝うよう求められた Tsering Kunbu さんは、「ごみベルト」に近いこの地域には約 200 人しか住んでおらず、近くにごみの埋め立て地がないため、何年も前からごみが山積みになっているのだと SCMP に語った。 青海フフシルにあるガソリンスタンドや飲食店、自動車修理店も大量のごみに悩まされていると、Tsering さんは付け加えた。 地質学者で探検家でもある Yang Yong 氏は、この地域のごみの状況は「長年、改善されていない」と SCMP に語った。 中国環境科学研究院生態環境研究センターの副所長である Li Junsheng 氏は、ごみがこの地域の動物や人間に害を与え、水を汚染する恐れがあると環球時報に語った。
Li 氏は、この地域における人間の活動を制限する法律をできるだけ早く改正するよう呼びかけている。 青海フフシルの年間平均気温は 0 度以下で、最も寒い時にはマイナス 45 度になることもある。 青海フフシルは 2017 年に世界遺産(自然遺産)として登録された。 (Matthew Loh、BusinessInsider =6-24-21)
中国原発「放射能漏れ」疑惑 識者 2 人はどうみる?
中国広東省の台山原子力発電所で希ガスが大気放出された問題をどうみているのか。 専門家 2 人に聞いた。 (asahi = 6-15-21)
「異常な漏洩の形跡ないが、適切な情報公開求む」 真田晃・日中経済協会北京事務所電力室長
台山原発から放出された「希ガス」はクリプトンやキセノンなどのことで、ウランの核分裂に伴って発生する元素だ。 報じられているように、原子炉圧力容器の希ガス濃度が上昇したのであれば、核燃料を覆う金属パイプが破損して圧力容器にガスが漏れ出した可能性が高い。
ただ、金属パイプの小規模な損傷や圧力容器内の希ガス濃度の上昇、これに伴う希ガスの大気排出は、基準内であれば日本や欧米でも日常的にあることで、損傷の程度によっては修理をせずに運行を続けることもある。 中国政府が公表している台山原発周辺の空間線量は、原発建設前と同様の水準を保っている。 中国やフランスの事業者の発表なども含めて判断すると、異常な放射性物質の漏洩があった形跡はみられない。
一方で燃料を覆うパイプが破損していた場合、放っておけば規模が大きくなり、大量の放射性物質を外部に放出する事態を招く可能性がある。 破損の確認のためには一度運転を止めて燃料を取り出す必要があるが、稼働を優先して対応が遅れることがあってはならない。 台山原発で今年 4 月、放射性物質を含む気体を一時的に誤って放出したケースが公表されており、最近の中国当局はトラブルがあれば比較的きちんと公開している。 今回の件についても、中国当局の適切な情報公開を期待し、注視したい。(聞き手・高田正幸)
真田晃(さなだ・あきら) : 1980 年、通商産業省(現経済産業省)に入省。 在上海総領事館の経済担当領事や国際原子力機関 (IAEA) の上席専門官などを歴任し、16 年 7 月から現職。
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「仏メーカーと中国当局の見解の相違、気がかり」 宮崎慶次・大阪大学名誉教授
詳しい情報が明らかになっていないが、希ガスのキセノンやクリプトンが出ているということであれば、考えられるのは燃料棒を覆う被覆管の破損だ。 通常、キセノンなどの希ガスは金属製の被覆管で閉じ込められているが、部分的に温度が上がって被覆管がひび割れるなどして、出てくることもある。 小さな穴から出てくる程度であれば、比較的軽微な事象といえる。 だが、周辺の放射線量が上がり続けたり、セシウム 137 が検出されたりするような状況であれば、燃料体自体が溶融しているような重大な事故に至っている可能性も考えられる。
事態を問題視しているフランスの原子炉メーカーのフラマトムと、「問題なし」とする中国の安全規制当局の見解の相違も気がかりである。 キセノン 133 自体は半減期が約 5 日と短い。 原発の敷地内や周辺でどんな核種が検出されるか、空間線量はどれぐらいか、モニタリングの結果を注視していく必要がある。(聞き手・川村剛志)
宮崎慶次(みやざき・けいじ) : 1937 年生まれ。 専門は原子炉工学。 2000 年まで大阪大学教授を務めた。 現在、一般財団法人・大阪科学技術センター顧問。
中国湖北省の市場でガス爆発 12 人死亡、138 人負傷
中国国営中央テレビ (CCTV) によると、13 日午前 6 時半(日本時間午前 7 時半)ごろ、湖北省十堰市の市場で大規模なガス爆発が起きた。 同日夕までに 12 人の死亡、138 人が負傷(重傷者 37 人)が確認された。 事故原因は調査中で、湖北省共産党委員会はナンバー 2 の王忠林省長を現場に派遣し、対応にあたっている。
CCTV などによると、現場は食堂などが併設された青果市場。 中国は 12 日から端午節の 3 連休で、事故発生当時はすでに市場の営業が始まり多くの買い物客が現場にいたという。 映像では周辺一帯の建物の看板や窓ガラスが吹き飛び、爆発の大きさがうかがえる。 救助に駆けつけた消防隊員も負傷しており、2 次爆発の被害を受けた可能性もある。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 6-13-21)
中国のウイグル族弾圧は「地獄のような光景」 = アムネスティ報告書
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは 10 日、ウイグル族などイスラム教徒の少数民族が多く暮らす中国北西部の新疆地区で、中国政府が人道に対する罪を犯しているとする報告書を公表した。 報告書でアムネスティは、中国政府がウイグル族やカザフ族などイスラム教徒の少数民族に対し、集団拘束や監視、拷問をしていたと主張。 国連に調査を要求した。 アムネスティ・インターナショナルのアニエス・カラマール事務局長は、中国当局が「地獄のような恐ろしい光景を圧倒的な規模で」作り出していると非難した。
「ものすごい人数が収容所で洗脳、拷問などの人格を破壊するような扱いを受け、何百万人もが強大な監視機関におびえながら暮らしており、人間の良心が問われている。」 カラマール氏はまた、BBC の取材に対し、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が「責任を果たしていない」と批判した。 「(グテーレス氏は新疆の)状況を非難せず、国際調査も指示していない。」 「国連がよって立つ価値を守り、人道に対する罪に対して声を上げる責務が彼にはある。」
報告書の中身
報告書は 160 ページからなり、かつて拘束されていた 55 人への聞き取り調査を基にしている。 中国政府について、「少なくとも以下の人道に対する罪」を犯していたとし、「国際法の基本ルールに違反する、収監など厳格な身体的自由の剥奪」、「拷問」、「迫害」を挙げている。 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチも、4 月に同様の報告書を発表。 中国政府は、人道に対する罪に対する責任があるとした。 欧米の一部の国や人権団体も、中国が新疆地区で、チュルク系民族に対するジェノサイド(集団殺害)を進めていると非難している。 ただ、中国の行為をジェノサイドとしていることについては、反論も出ている。
今回のアムネスティの報告書をまとめたジョナサン・ロウブ氏は 10 日の記者発表で、報告書について、「ジェノサイドの犯罪が行われたすべての証拠を明らかにはしたものではない」、「表面をなぞっただけだ」と説明した。 中国は新疆地区で人権侵害はないと、一貫して主張している。
拘束や拷問の疑い
専門家らは、中国が新疆地区で少数民族への弾圧を始めた 2017 年以降、約 100 万人のウイグル族などのイスラム教徒が拘束され、さらに数十万人が収監されているとの見方でほぼ一致している。 報道では、刑務所や収容所で身体的、心理的拷問が行われているとされている。 人口管理のため、中国当局は強制不妊手術や中絶、強制移住を実施しているとも言われている。 宗教や文化に基づく伝統の破壊を目的に、宗教指導者を迫害しているとの批判も出ている。 中国はそうした指摘を否定。 新疆地区の収容所は、住民らが自発的に職業訓練を受けたり、テロ対策として過激思想を解いたりするためのものだと主張している。
アムネスティは、テロ対策は集団拘束の理由にならないと報告書で反論。 中国政府の行動は、「新疆の人口の一部を宗教と民族に基づいてまとめて標的にし、イスラム教の信仰とチュルク系民族のイスラム教文化の風習を根絶するため厳しい暴力と脅しを使うという明らかな意図」を示しているとした。 アムネスティは、新疆地区で収容所に入れられた人が「止まることのない洗脳と、身体的かつ心理的拷問を受けている」とみられるとした。
拷問の方法としては、「殴打、電気ショック、負荷が強い姿勢を取らせる、違法な身体拘束(「タイガーチェア」と呼ばれる鉄製のいすに座らせ手足をロックして動けなくするなど)、睡眠妨害、身体を壁のフックにかける、極めて低温の環境に置く、独房に入れる」などがあるとした。 タイガーチェアを使った拷問は、数時間 - 数日にわたることもあり、その様子を強制的に見せられたと証言した人もいたという。 アムネスティはまた、新疆地区の収容制度について、「中国の司法制度や国内の法律の管轄外で運営されている」とみられると説明。 収容所で拘束されていた人々が刑務所に移されたことを示す証拠があるとした。
中国へのさらなる圧力
今回の報告書の内容の多くはこれまで報道されてきたものだが、新疆地区での行動をめぐって、中国に国際的な圧力をかけるものになるとみられる。 米国務省はこれまでに、ジェノサイドが行われていると表現。 イギリス、カナダ、オランダ、リトアニアの議会も、同様の表現を含んだ決議を採択している。 欧州連合 (EU)、アメリカ、イギリス、カナダは 3 月、中国当局者に制裁を課した。 これに対し中国は、それらの国の議員や研究者、研究施設などを対象に報復的な制裁を実施した。
中国は国際刑事裁判所 (ICC) の署名国になっておらず、同裁判所の権限が及ばないため、国際機関が中国を調査する可能性は高くない。 一方、国連の国際司法裁判所 (ICJ) が事件として取り上げても、中国は拒否権を発動できる。 ICC は昨年 12 月、事件として取り上げないと発表した。 ロンドンでは先週、一連の独立した聞き取り調査が実施された。 イギリスの著名法律家サー・ジェフリー・ナイスが中心となり、ジェノサイドの訴えについて調べるものだった。 (ジョール・ガンター、BBC = 6-11-21)
上海市当局、ウイグルで「監視リスト」日本人も 895 人
中国・上海市当局が、少なくとも 9 万人の個人情報データなどを「ウイグル・テロリスト」と名付けて保管していたとみられることが、豪サイバーセキュリティー会社「インターネット 2.0」の調査でわかった。 リストの一部には日本人 895 人も含まれていた。 同社は市当局がつくった監視対象リストの一部とみている。 同社は、米、豪、カナダ政府などのサイバーセキュリティーの顧問をしていたロバート・ポッター氏らによって設立された。 同社は上海の通信会社が運営するクラウドにあったデータを昨年末に入手。 IP アドレスから、上海市当局が管理しているデータだと判断したという。
このデータは複数のリストに分かれており、「科学技術局ブラックリスト」と名付けられたものには、中国籍とみられる 1 万人の氏名や中国の身分証番号などの個人情報が記載され、うち約 7,600 人がウイグル族だった。 1 万人のうち 7,088 人について、当局が行った事情聴取の内容とみられる記述があった。一部の人物には「特に注意する人物」など監視対象とする理由を記す項目があり、2,017 人について「上海で新たにインターネットを開設したウイグル族」とあった。
出入国管理局の作成とされるリストには、2018 年と 20 年に上海の虹橋、浦東の両空港を出入国した約 1 万人のパスポート情報や出入国日時が記載されていた。 うち 5 千人余りが外国籍で、日本人が 895 人で最も多く、米国籍が 697 人、韓国籍が 673 人と続いていた。 日本人の全データは、同社から日本政府側に提供されている。 政府関係者は朝日新聞社の取材に対し、データに記載された日本人は全て実在すると認めた上で、「大手の商社や電機・繊維メーカーなどの社員が比較的多く含まれていた」と指摘。 自国民がリストに載っていた各国と情報交換して分析を進めるという。
「知らないうちに監視されていたとすれば …」
上海市の当局者は朝日新聞の取材に、「コメントできない」と語った。 リストに名前がある日本の大手機械メーカー幹部は取材に、リストの生年月日とパスポート番号は正しく、上海・虹橋空港から出国した日時も合っていると確認。 当時、上海にある同社関連会社に勤務し、日本と頻繁に往復していたという。 この幹部は「出入国で調べられたり尾行されたりする気配を感じたことはない。 知らないうちに監視されていたとすれば恐ろしい。」と振り返る。
データには他に、中国内で前科がある人ら約 1 万人のリストや、爆発物や化学物質を扱う 976 社の従業員計約 6 万人の氏名や身分証番号の情報もあった。 さらに上海市の港湾地区、金山区周辺に設けられた監視カメラが撮影した歩行者や車のナンバープレートの画像データなども含まれていた。 人権問題に詳しい井形彬・多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授は「当局は身分証番号から身分証の顔写真を確認することなどができるので、市内に多数設置している顔認証機能付きの監視カメラを使えば対象者の行動を常に監視できるだろう」と指摘する。 (編集委員・峯村健司、asahi = 6-9-21)
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