スウェーデン王室のロイヤルファッションとは?

王子様とお姫様を題材にした童話やアニメがたくさんあることからも分かるように、憧れる人が多いのがロイヤル。 本日は世界一の美形王室と名高いスウェーデン王室のファッションをご紹介します! 日本ではあまりなじみのないスウェーデン王室。 どんな歴史をたどり、どんなロイヤルメンバーが揃っているのか。そちらも併せてご紹介します!

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現在の国王は 1973 年に即位したカール 16 世グスタフ。 こちらが奥さんのシルヴィア王妃。 ドイツとブラジルのハーフで、カール 16 世グスタフ国王とはなんとコンパニオンがきっかけで知り合ったとか。 国王より 3 歳年上のいわゆる「姉さん女房」。 たしかにこんなに美人な年上のお姉さんがコンパニオンとして来て、アプローチしない人などいるのでしょうか? ちなみに現在のスウェーデン王室を率いているのは「ベルナドッテ王朝」。 その始まりは 1818 年。すでに 200 年以上の歴史があるんです。 日本でいうと江戸時代後期にあたりますね。

カール 16 世グスタフ国王とシルヴィア王妃の間には 3 人の子どもがいるのですが、こちらが長女のヴィクトリア王女。 現スウェーデン皇太子です。 スウェーデン王室はかつては男系継承でしたが、1980 年に王位継承法改正により、イギリスなどと同様の出生順継承になりました。 1818 年に現在のベルナドッテ王朝を開いたカール 14 世は王家出身ではなく、フランスの平民階級出身の軍人であるため、王家の血筋を重視する傾向はあまりありません。 結婚相手も民間出身が多いようです。

実際にヴィクトリア皇太子の夫であるダニエル王子も民間出身で、2 人はなんと、自身が経営するスポーツジムで知り合ったようです。 こちらがヴィクトリア皇太子の長女のエステル王女。 現在 9 歳で、母親のヴィクトリア皇太子に次いで王位継承権 2 位です。 王家継承法が改正されて以降、初めて生まれた王家の女の子であるため、スウェーデン史上初出生した時点で王太子が確定していた王女です。 また国王夫妻にとっての初孫なので、とても可愛がられているようです。

こちらは国王夫妻の長男カール・フィリップ王子の妃であるソフィアです。 これまた美人ですよね! そう、彼女は元モデルなんです。 セミ・ヌードも披露した経験もあるソフィアとの結婚を王室が反対している、という報道も出ましたが自分たちもコンパニオンで知り合った国王夫妻がこの噂を一蹴。 2015 年に結婚しました。 ちなみに 2 人の出会いは海沿いにあるクラブなんだとか。 民間出身も受け入れる王室のオープンマインドな姿勢は、国民からも愛されており、美形一族が続いていく理由なのではないかとされています。

ラストは国王夫妻の次女マデレーン王女です! スウェーデン王室の中でも女優クラスの美貌を持っており、なんとスウェーデン版「ELLE」で表紙を飾ったこともあるんです! そんなマデレーン王女は自由奔放な性格の持ち主であり、恋愛スタイルにもそれが出ている模様。 ロンドン留学の際についてきた恋人は薬物所持で逮捕。 また、婚約者の浮気が発覚し婚約破棄。 「ダメンズホイホイ」という異名の持ち主でもあるマデレーン王女ですが、結婚相手であるポール・オニールは最初マデレーン王女がロイヤルメンバーであることを知らずにデートに誘った模様。 無事に幸せをつかんだようですね?

いかがでしたか? 王室といえど、歴史をたどれば意外なものが見えてきます。 そしてそのスタンスは現在まで受け継がれていることがわかりますね。 2019 年にスウェーデン王室がカール・フィリップ王子夫妻、マデレーン王女夫妻を王室から外すことを発表しました。 それぞれの子どもたちも王室のメンバーではなくなり、民間の子どもたちと同じようにプライバシーを保たれた生活を送るようです。 これからもスウェーデン王室から目が離せませんね。 (ForzaStyle = 5-2-21)


アワード史上最強のドレスは? 歴史に残る、アカデミー賞ファッション

現地時間 2021 年 4 月 26 日(月)に行われる第 93 回アカデミー賞授賞式。 その前に、これまでのアカデミー賞で話題を呼んだ海外セレブたちの装いをおさらい!

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1954 年 : オードリー・ヘップバーン

『ローマの休日』で最優秀主演女優賞を受賞したオードリーは、ユベール・ド・ジバンシィがデザインしたフローラル柄のドレスを着用。 当時「ジバンシィ」のミューズだったこともあり、このドレスはオードリーの洗練さと可愛らしさを完璧に表現している。

1955 年 : グレース・ケリー

50 年代後半、主演女優たちはアカデミー賞などの煌びやかなイベントには、衣装デザイナーにデザインをリクエスト。 当時最も人気を集めていたデザイナーは、かの有名なイーディス・ヘッド。 アカデミー賞で 35 回ものノミネーションと 8 回もの受賞経験があるイーディスは、グレースのためにアイスブルーのフレンチシルクガウンをデザイン。 そのドレスを着たグレースは『喝采』で最優秀主演女優賞を受賞した。 イーディスが "ブルーシャンパン" と名付けたこのドレスは、グレースが雑誌『ライフ』の表紙で着用したことで一躍有名に。 このドレスは、のちにレーニエ 3 世と結婚してプリンセスとなるグレースにぴったり!

1969 年 : バーブラ・ストライサンド

『ファニー・ガール』で最優秀主演女優賞を獲得したバーブラが着ていた衣装は、かなりプレイフルなデザイン。 アーノルド・スカアシが手掛けたベルボトムのパンツスーツは、シアー素材だったため会場のライトだと透けてしまうほど(バーブラはヌードカラーの裏地をつけたため透けなかった)。 バーブラは檀上へ上がる際に転んでしまったものの、動じることなく手にしたオスカー像を見つめて、劇中の有名な台詞「ハロー、ゴージャス」をささやき、軽やかに笑いを取った。

1986 年 : シェール

1986 年のアカデミー賞で最優秀助演俳優賞のプレゼンターを務めたシェールは、歴代で最も刺激的なドレスで登場した。 ウエストを大胆に露出し、黒のカシミアケープを羽織り、仕上げにおんどりの羽を大量に使用したヘッドピース(リムジンに乗っての移動中、ヘッドピースがぶつかるので車の床に座っていたとか)のスタイルは、衣装デザイナーのボブ・マッキーが手掛けたもの。

2001 年 : ビョーク

エキセントリックなアイルランド出身シンガー、ビョークは 2001 年のアカデミー賞にマラヤン・ペジョスキーがデザインした白鳥ドレスを纏って登場。 主演を務めた映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の挿入歌「アイヴ・シーン・イット・オール」でアカデミー歌曲賞にノミネートされていたビョークは、「実は 6 つのダチョウの卵を持っていってレッドカーペットに置いていたの。 そうしたら、違うゲストのボディガードがいちいち卵を拾って、強いアメリカンアクセントで『すみません、これを落としましたよ』って持ってきてくれたの」と当時のことを振り返った。 このアイコニックな白鳥ドレスは、それ以来ハロウィーンの仮装アイディアになったり、有名司会者のエレン・デジュネスが真似したりと、まさに歴史に名を刻むドレスに。 (Elle = 4-24-21)


楽しく、着心地よく ワンピースの季節 セレクトショップから

東京・南青山「ラブレス」で見つけたのは、マーブルプリントの生地を使ったワンピース。 本体の紺色部分はスーピマコットン(高級超長綿)をハイゲージに編んだジャージー素材。 特殊な加工を施し、綿とは思えないほど滑らかで光沢感のある表情を生んでいる。 伸縮性もあり着心地は楽に、でも「オシャレをしている」と思える一着。 22 日発売。 2 万 9,700 円(税込み)。

六本木「ポール・スミス」では、カラーリングが独特なキャミソール型のワンピースを選ぶ。 胸元の大胆な切り替えが目を引く。 光沢感のあるサテン生地は古着の雰囲気も漂う。 今の季節にはレザーやデニムのジャケットを、初夏にはさらっとストールなどを合わせて長く着られる。 動くと揺れる裾など、着ていて楽しくなる。 3 万 6,300 円(税込み)。

南青山「アニエスべー」では、フォトプリントのスカートを試す。 デザイナーが自宅の庭の小道を撮影したもので、日常の風景を切り取った。 額縁をイメージしたかのように配置したラインも素敵。 しなやかなコットンで着やすく、何げない T シャツを合わせてもモードに着こなせる。 3 万 5,200 円(税込み)。 同じシリーズでトップスもそろう。 (飯塚りえ、asahi = 4-19-21)


ファストファッションの新たな展開、H & M のブランド「COS」に注目

競泳女子の池江璃花子選手が日本選手権の 100 メートルバタフライ決勝を制して東京五輪代表に内定し、続いて 100 メートル自由形でも五輪代表入りしたのは、久しぶりの明るいニュースだった。 新型コロナウイルスの第 4 波ともされる感染拡大への対策として、まん延防止措置が大阪や兵庫などの計 6 市で 5 日から適用された。 出口の見えない自粛要請に、多くの人々の不安も広がっている。 池江さんは 2019 年 2 月に白血病と診断され、およそ 10 カ月の入院生活で治療のため髪が抜け落ち、何度も嘔吐するような苦しみを経て競技に復活した。

そんな苦しみから抜け出せたのは、病気には負けたくない、努力は必ず報われる、と信じて立ち向かったからだろう。 それと比べると、新型コロナへの対応は、現場での医療関係者の努力は別として、コロナへの私たちの向き合い方には、多くの場合、安易な思い込みや消極的な逃げの姿勢があるのではないか。 ひたすら家に閉じこもったり、安全性がまだ十分には確かめられていないワクチンの接種を待ち望んだりすることで、新型コロナを克服できるのだろうか?

新型コロナのパンデミックは、地球環境の資源からすると、大量生産・大量消費の現代産業社会が限界に来ていることを露呈してしまったといわれている。 すでに多くの産業分野が深刻な経営不振に陥っているが、シーズンごとに新トレンドを打ち出して消費をあおってきたファッションはその代表的分野で、老舗のトップブランド企業からセレクトショップ(専門店)系のブランドからアパレル系の中間のブランド、量販系やストリート系のブランドまでが、自滅を前になんとか活路を見いだす必要に迫られている。

ファッションは元々、時代の変化を最も敏感に示してきた。 大量生産・消費への不安は、コロナのまん延より前から始まっていたからだ。 そして、まん延による人々の生活意識の変化は、今回のコロナ禍が何らかの形で収まったとしても、もう決して元には戻らないほどの歴史を画す大きな変化に違いない。

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サステイナビリティーを重視した服

英国のロンドンを拠点とするブランド「COS (コス)」は、そうした状況に対する試みの例の一つといえるだろう。 COS は Collection of Style (コレクション・オブ・スタイル)の頭文字をつないだ名称で、2007 年に設立。 顧客層は都会的なライフスタイルでアートや環境への関心が高い男女だという。 都会的というのは、必ずしも都会に住んでいる必要はないとのこと。 サステイナビリティー(持続可能性)を重視し、一過性のトレンドではなく、ワードローブに長く置いて他のブランドなどと組み合わせて着られるような、ベーシックでシンプルな形になっている。

服の素材には遺伝子組み換えでない自然素材や、独自のリサイクル合成繊維を使い、サステイナビリティーに関する独自の目標を設定している。 今年はその 86% を達成したというが、あくまで 100% を目指すそうだ。 そしてビジネスとしての倫理基準とその達成度を公表して、常に点検できるようにする。 また、製品を作る地域(現在は主に東ヨーロッパ各国)の人々やコミュニティーへの関わりを企業が果たすべき社会的責任として重視している。 日本への進出は、2014 年 11 月に東京・青山、16 年に横浜、17 年に東京・銀座のマロニエ通りに直轄店をオープン。 それに加えてオンライン販売のための仮想店舗がある。 新作はプレスリリースで公開している。

最新作の 2021 年春夏コレクションは、撮影に新進気鋭の写真家カリム・サドリを起用。 モデルは、モデルの公平な扱いを強く主張しているイギリス人のエディ・キャンベルや、映画作家・ライター・編集者としても活躍しているアメリカ人モデル、アデスワ・アイゲウィらがキャンペーンビジュアルに参加している。 これらのビジュアルは、アラブ首長国連邦の首長国シャルジャの海と砂漠が美しい沿岸の秘島で撮影。 すっきりしたラインと軽やかな素材の服と、荒涼としているが強い生命力の息吹も感じさせる風景との対比がとても効果的で、写真家サドリが込めた深いメッセージが感じ取れる。

COS のデザイン・ディレクター、カリン・グスタフソンはウェブメディアの取材に対し、「今シーズンは、世界的に未曾有の事態となったこの 1 年を経た私たちが、より良い未来に対する希望を胸に、暗闇の中に光を見いだしていくことをテーマにした」と述べている。 そして「今回のコレクションでは定番アイテムに新鮮なエッセンスを少し加えることで付加価値を付けたり、あるいはワードローブの定番というものを再定義したりすることで、環境の変化について私たちがどのように対応しているかを表現してみた」と説明している。

実は COS は、スウェーデンのストックホルム発の H & M が新たに立ち上げたブランドだ。 H & M は、ユニクロやスペイン発の ZARA と並ぶファストファッションの代表的ブランドとされている。 その中で H & M は、多数の専属デザイナーがトレンドをいち早く独自デザインでカジュアルに表現することで人気を得てきた。 デザイン性のわりには驚くほど低価格なことで結果的に巨大な大量生産ブランドとなったが、COS の設立はそうした服作りが破たんするとの強い危機感を表したものと言えるだろう。

COS の平均的な価格は、ジャケット 1 万 - 2 万円、ドレス 8 千 - 2 万円、パンツ 8 千 - 2 万円、コート 1 万 5 千 - 3 万円で、メンズとレディースはほぼ同じ。 本体の H & M よりかなり高い。 といってもやはり安めなため、ファッションの業界人でも隠れたファンも少なくなはない。 しかしそれはあくまでも室内着、または自宅の周り用の日常着としてで、仕事着としては使えないという。 だがコロナによる自粛生活の影響で、仕事着・外出着のあり方が急速に日常着に近くなっている。 COS のような服を着てかまわない公式場面が、今後はもっと広がる可能性もある。

H & M の低価格志向は、権力に抗し、誰でも自由に政治に参加できる、というスウェーデンの民主主義に基づいていたことも事実だ。 私がかつてストックホルムで H & M への取材をした時にも、スタッフやデザイナーらがスウェーデン式民主主義という言葉をよく口にしていたことを覚えている。 コロナへの対応の中で、民主主義が危機に陥っているとの指摘もある。 その意味でも COS の今後の展開に注目したいと思う。 (上間常正、asahi = 4-9-21)


新しい風、らしさ全開 夜明けへ、次代へ、手を携えて 21 年秋冬東京コレクション閉幕

顔を上げて、次の時代へ。 20 日に閉幕した 2021 年秋冬東京コレクション(楽天ファッションウィーク東京)では、ユニークな造形や色柄で心を動かそうとする服が多く、コロナ下で希望を模索しているデザイナーたちの心境が垣間見えた。 リラックスした日常着や、和の要素をとり入れた服など、東京ならではの提案も目立った。

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アンダーカバー (高橋盾)は、東コレの冠スポンサーである楽天の支援を受けて、都内でメンズを含めたランウェーショーを開催した。 冒頭は、パジャマスーツに編みこみのニットなどを羽織った眠そうなモデルがとぼとぼと歩く。 今回はアニメ作品「エヴァンゲリオン」と協業。 キャラクターを思わせるカラフルに色分けされたブルゾンも。

作品に合わせて、暗い映像や不気味なパーカッション、優しいギター音が流れる。 天の川のように小さな光が輝く下、大きなフリル飾りや真っ赤なバラの造花をつけたブルゾンが並ぶ。 高橋は「私たちが日々抱える不安や悩み、その先にあって欲しいと願う希望。 今の時代、常に相反する感情を抱えて生きている全ての人々に向けて作った世界観」とコメントした。

1 月のパリ・メンズで映像を発表した サルバム (藤田哲平)は、コーディネートを組み替えて同じ服をショーで披露。 黒、白、赤を基調に「テンションが上がり、前を向ける服を作った」と藤田は言う。 ショーには子どもたちやファッション業界を目指す学生も招いた。 藤田は「これからの時代の担い手に、本物のショーを見てほしかった。」

チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンス (志鎌英明)が掲げたメッセージは「夜が明ける」。 会場は、上野の東京国立博物館・表慶館。 歴史ある洋館と、優雅なストリートスタイルがマッチした。 アフリカと日本のファッションや文化の交流を試みるプロジェクト「FACE.A-J」と協業し、ブルキナファソの職人が織った生地も使った。

ミスター・ジェントルマン (オオスミタケシ・吉井雄一)は、1 月に 47 歳で死去したオオスミが手がけた最後のコレクションになった。 英語で「非暴力の実践」。「心の解放」など、愛や平和を願う言葉をグラフィックに落とし込んだ。 最後に登場した吉井は、オオスミが隣にいるかのように手を横に差し出してあいさつした。

ミントデザインズ (勝井北斗・八木奈央)は、ピエロの影絵の模様やロープ飾りなどを使い、生で見るサーカスのわくわく感を表現した服を映像で発表した。 八木は「着たときの高揚感」を大事にしたと言う。

和を組み込み

今季のパリやミラノではきらびやかさが目立ったのに対し、東京では気負わずゆったり着られる日常着が多かった。 生活が変化したコロナ下で、人々にいっそう求められるものだ。

ザ・リラクス (倉橋直実)はシンプルなドレスやコートに、花柄やチェック、透け感のある素材などで華やかさや軽やかさを出した。 袖やパンツのボリューム感が絶妙な ハイク (吉原秀明・大出由紀子)は、スタイリッシュな中にざっくりしたニットが温かみを添える。

きものや和のモチーフを打ち出す動きもあった。 アツシ・ナカシマ (中島篤)は、自身の曽祖父で日本画家の楚水の作品を柄にとり入れた。 濃淡が美しい多様な色彩の柄で、トレンチコートやフライトジャケットなどスタンダードなアイテムを新鮮にみせた。

「新時代の和装」を掲げる新ブランド、ソワハ (廣川玉枝)は、きものの襟合わせのようなドレスやジャケット。 廣川は「洋服と和装の間の服を、皆が気軽に楽しんでくれたら。」 最終日に開かれたリコール(土居哲也)のショーは、モデル同士が肩を組んでポーズをしたり、他のモデルが歩く様子を皆で見守ったり。 人とのつながりを体現しようとしていた。 最後はギターの弾き語りでこう歌った。 「いつの日にか新しい風が吹く。」

昨年 3 月の東コレは、コロナの影響で急きょ中止になった。 あれから 1 年。 感情に訴えかける独創性と、日常になじむリアルクローズ、双方が共存する東コレは時代に沿い、未来も感じさせる。 (神宮桃子、編集委員・高橋牧子、asahi = 3-31-21)


パリ・コレは静から動へ ポスト・コロナへ希望をつなぐ

静から動へ。 コロナ下でデジタル配信となった 2021 年秋冬パリ・コレクションでは、今後への希望を訴えるかのように、華やかで活動的な作風が目立った。 前シーズンの穏やかなリラックススタイルから一転、クラシックな中にもミニ丈や鮮やかな色、光沢素材でファッションの楽しさを謳歌するようなデザインが主流になった。

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ルイ・ヴィトンは、前シーズンのユニセックスなワーク調から、がらりと趣を変えた。 並んだのは、パンチの効いたフェミニンなスタイル。 たとえば、クラシックなテーラードやアウトドアジャケットに、きらきらと輝くインナーや裏地と、オートクチュールのドレス風のチュールのバルーンスカートの組み合わせ。 華麗なスタイルに新鮮さを与えたのが、イタリアのアート工房「フォルナセッティ」による、古代の彫像の手描き柄のプリントや刺繍だ。 アウターはぶかぶか。 ストリートとエレガンス、現代と古代など、相反する要素を大胆に共存させた。

ロエベは「衝撃」をキーワードに、造形や色、ディテールに過剰さを盛り込んだ。 はっとするような鮮やかな黄や緑、青。 膨らんだフォルムのキルティングコートや、大きなオブジェを貼り付けたドレスなど。 デザイナーのジョナサン・アンダーソンは、新作について「色で元気を出してと伝えたかった。」

発表法も「衝撃」的で、新聞に新作の写真を載せた冊子を折り込んだ。 表紙には「特報・ロエベ、ファッションショーを中止」とのニュースが取り上げられ、小説も載せられた。 この冊子は英タイムズなど世界の主要紙、日本では朝日新聞の一部の世帯に配られる新聞に折り込まれた。 その狙いをアンダーソンは「ファッションは文化の一部として、民主的なものになった。 オンラインと違い、新聞は手でページをめくられ、ファッションの夢の存在を具体的に示すことが出来ると思ったから。」と説明した。

コロナ下ではかなわない憧れというわけか、パーティーや都会での遊びのシーンを設定するブランドが多かった。 なかでもシャネルはパリの伝説的なクラブ、カステルが舞台。 モデルたちはツイードのロングコートをクロークに預けて、きらびやかなミニドレスで飲み物やメイクアップを楽しむ。 赤系のツイードや白のキルティングのサロペットなど若々しくキュートな作品が多い。

若さといえば、クリスチャン・ディオールは「おとぎ話の世界」をテーマに、ハイウエストのミニドレスなど初々しさが漂う作品をそろえた。 おもちゃの兵隊の制服を再解釈したカシミヤのピーコートや、小学生を思わせる白シャツにジャンパースカート。 赤ずきんちゃん風のフード付きの赤いコート。 大人のファンタジーを感じさせる。

ジル・サンダーは持ち前のミニマルなコートやシャツに、黄色や薄紫といった柔らかな色が明るい。 赤や水色の花柄、幾何学柄、チョウのモチーフなど、多様な柄が躍動感を与えている。 ブランドによると、「個性、自由、変化への頌歌」の表現。 一人の人間が様々な側面を持っていることを表し、「服で遊ぶこと、服を組み替えることの楽しさ」を伝えているという。

コロナ下で、人間も自然の一部という意識が広がり、その体が注目されている中、ダンスなどで身体性の表現を取り入れる例も目立った。 エルメスは本拠地のパリで新作のショー、ニューヨークと中国・上海からはダンサーたちの生き生きとした踊りのパフォーマンスをライブ中継した。 欧州と米国、アジア。 場所や時間など様々な制約に関わらず、人間の体の魅力やファッションの自由さが、常に存在することを訴えかけた。

新作で目につくのは、黒の多用。 ほっそりと体に沿うシルエット。 しなやかな黒革のトップスは小さな金具で留められ、ブルゾンには独創的な抽象柄が刺?される。 ドリス・ヴァン・ノッテンも、ベルギーのダンスカンパニー、ローザスなどのダンサーらが新作をまとった。 活力に満ちた踊りが、普段よりドラマチックな新作の魅力を増幅させた。 テーマは「情熱への呼びかけ」。 サテン風のドレスには、衝動的に描いたような抽象柄のプリント。 肌を露出した超ミニドレスと体が泳ぐようなメンズ風のビッグコートが組み合わされた。

日本勢は、繊細な美意識を反映した作品で存在感を放った。 ヨウジヤマモトはいつものように黒が基調。 ロング丈のドレスは体に沿って美しい線を描き、黒いチェーンベルトが静かな輝きを添えた。 ほつれたような白い糸や、赤と黒のグラデーションになった帯状の飾りが変化をつけた。 石や卵、貝殻といった自然物から着想を得たのがイッセイミヤケ。 京都の職人による「墨流し」の技で石を表現するなど、いつもより落ち着いた色調で、自然のありのままの美をとり入れた。 マメ・クロゴウチは、窓から入った月明かりが室内に作る、様々な影を表現。 伝統的な「板締め絞り」で染めたり、曲線のプリーツを施したり、揺らぐ影の表情をドレスやトップスに落とし込んだ。

今季は、おしゃれの楽しさを強くアピールするような提案が多かった。 コロナ禍は収まらないが、ファッションとは夢や希望を先取りするもの。 今回のトレンドは、ファッションの意義をデザイナーたちが再認識した結果なのだ。 (編集委員・高橋牧子、神宮桃子、asahi = 3-22-21)


全身黒でも重くない! …2021 年春の「大人カジュアルファッション」 5 選

現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。 今回は今すぐまねできる、おしゃれな春の大人カジュアルファッションをご紹介します。

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やっぱり手放せないトレンチコートはベージュが人気 定番カラーで!

春になっても朝晩は冷え込むこともありますよね。 春のトレンチコートは少し薄めのベージュやピンクベージュが人気。 軽やかに見え、プライベートでも仕事でも大活躍するオフィススタイルでもあります。 まだまだ手放せないジャケットやコート、このシーズンのいち押しはトレンチコートです。

ネイビーや全身ブラックでモード感 200% 足首を見せれば春っぽい!

春なのにダークカラーは … と敬遠しがちですが、足首がポイント! ズボンを短めの丈にするだけで一気に春らしい雰囲気に。 人気のアンクルブーツでかっこよく! トップスやズボンは今どきっぽいゆったりめがおすすめ。 シンプルなダーク系カラーで統一するだけで、モードなスタイルに一気に早変わり!

ワイドなジーンズもショート丈で春モード シンプルなオシャレが完成!

素敵な春らしい着こなしですよね! ワイドなジーンズもカラー次第でシックに着こなせるんですね。 先程の写真と同様に、ショート丈で春らしさ満点。 トップスはどんな服でもばっちり決まりそう。 とってもシンプルかつおしゃれなジーンズモードスタイルです。

ポイントはトップスのハーフインの仕方にあり!? 一部だけイン!

小物から全てにおいて、大人っぽくスタイリッシュに決まっているこちらのスタイル、とっても参考になりますよね。 色の使い方からアクセサリーのつけ方も、完璧で今すぐまねできるおしゃれスタイルです。 特にワイドなズボンにハーフインしたトップスは、インする方法がまねしたいポイント。 トップス全体をズボンに収めてしまうよりも、今は一部をそっと中に入れるだけで、一気におしゃれに見えます。ぜひ参考にしてみてください。 ジャケットがわりにシャツスタイルも、今がおすすめ!

カジュアルモードな春スタイル シャツを羽織れば全体が軽くなる!

これからの季節は、ジャケットがわりにもなるシャツが大活躍しそう! 日中は比較的暖かい日が多くなるとジャケットやコートはちょっと邪魔になりそうだなということありますよね。 そういう時は、ぜひシャツでコーディネートしてみてください。 シャツをジャケットがわりにすれば、さっと脱ぎ着できる便利なアウター兼トップスになりますよ。 また写真のようにピアスやシューズで雰囲気を変えてファッションを楽しんで!

この季節は気温の変化が多い時期なので、お出かけの際はさっと着れて脱げるアウターなどを持参することをおすすめします。 その際はぜひショート丈や着こなしに注意しながら、重いファッションにならないように、紹介した着こなしを参考にしてみて下さい。 (平野秀美、ananweb = 3-19-21)


ビューティフルピープル 2021 年秋冬コレクション - 世界を "ひっくり返す" ダブルエンドの服

ビューティフルピープルの 2021 年秋冬コレクションが発表された。 テーマは「Side-C Vol.6 DOUBLE-END」。

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「ダブルエンド」がテーマ

今季のクリエーションを作り上げる上で、デザイナーの熊切秀典が思いを馳せたのは、これまでの当たり前が "ひっくり返された" 昨今の日常。 これまでのノーマルとは何だったのか。 これからのニューノーマルとは何なのか。 今までのノーマルとこれからのノーマルは違うものなのか …。 そんな思いを巡らせているうちに、"両頭使い" を意味する「ダブルエンド」というテーマが浮かんできた。

上下を回転しても着用できる服

熊切が取り組んだのは、「ダブルエンド」のペンのように、くるっと上下を回転させることによって、1 枚で複数のシルエットを楽しめる洋服づくり。 ここ数シーズン、ブランドが追及し続けている「Side-C」の概念を踏襲し、首や袖を通す場所を変えることによって、異なるフォルムやボリューム感が生まれるような仕立てを考案している。

エポレットが付いたミリタリーなケープ風アウターは、上下を入れ替えることで、シルエットが劇的に変化。 フリルの襟とフィッシュテールがエレガントなシルエットを描く、ロングコートへと変貌を遂げている。

世界地図柄のモノトーンブランケットは、「地球を再びひっくり返えす」という願望が込められたピース。 北半球を上にすればガウン風に、南半球を上にすれば躍動感のあるバックスタイルを楽しむことができる。

グスタヴ・ヴァーベックが描いた "だまし絵" モチーフのトップスも。 どちらを上にするかによって「大きなナマズを捕らえている人」にも「巨大な鳥に捕らわれている人」にも捉えることができるトロンプルイユを、ニットで表現している。 洋服を纏う人に解釈を委ねる、ウィットに富んだデザインだ。

パリ・ファッションウィークで初披露

なお、ビューティフルピープル 2021 年秋冬コレクションは、パリ・ファッションウィークにて、デジタルショー形式で初披露。 手洗いをする際に鏡を見る機会が増えている社会的背景から、鏡をヒントにしたムービーを制作した。 「日常の自分」と「自己陶酔する鏡の中の自分」を対極的に描き、"鏡の中の自分は本当の自分なのか?" という問いを投げかけている。 (FashionPress = 3-12-21)


ジョルジオ・アルマーニ、夜行性テーマにロマンチシズム

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ジョルジオ・アルマーニのテーマは「Nocturnal (夜行性)」。 夜を思わせるダークカラーに、水色やピンク、グリーンなど明るく柔らかい色が差される。 いつも以上に穏やかでロマンチックなコレクションだ。

シルエットはほっそりと流れるよう。 素材はデザイナーのアルマーニが好んで使用する、つやのあるベルベットが多く使われている。 曲線を描くフリル状の飾りやきらきらとしたビジュー飾りが、優しくフェミニンな雰囲気を盛り上げる。 ブルゾンや太めのパンツなどカジュアル感のあるアイテムにも、アルマーニらしい上品な量感が加えられた。

ランウェーの中央に置かれたのは、ゴリラをかたどった大きなオブジェ。 映画のセットの一部に使われたものをアルマーニが引き取り、自宅に飾っているものだという。 ゴリラは絶滅が危惧されている動物。 アルマーニは「自然界を守ることの大切さを人々に思い出してもらうことが、今まで以上に必要だと思ったから」とコメントした。 (編集委員・高橋牧子、asahi = 3-5-21)


冨永愛さん「ファッションが発信できることは、希望」

ファッションや生き方は、コロナ下で変わりましたか? トップモデルの冨永愛さんと、DJ や着物スタイリスト、モデルとして活躍するマドモアゼル・ユリアさんが、日本の伝統文化からファッションの未来まで語り合った。 3 月 1 日から開かれる 2021 年秋冬のパリ・ファッションウィーク(PFW = 通称パリ・コレクション)で、朝日新聞は冨永さんを、日本における PFW 公式アンバサダーとして迎えている。

冨永 ユリアちゃんはパリ・コレに行き続けている。 パリ・コレがデジタルでの発表になって、どのように感じていますか?

ユリア 世界観がはっきりしているブランドは、映像でもそれがぶれず、逆にランウェーでできなかったことを表現していた。 有名ではないブランドが、映像によって注目を浴びることもある。 そういう新たな楽しみもあったけど、そろそろパリに行きたい。

冨永 そうですね。 やはり、現場の臨場感と緊張感を感じたい。 幻想的な映像を作るなど、デジタルでも伝わるものがあって素晴らしいけど、リアルで見る感動のほうが身にしみる。

ユリア パリ・コレ自体が一つのカルチャー。 どういう形であれ続いてほしい。 見せ方をどうするかはブランド次第なのかな。

冨永 コロナで、私は服を着ることに対して、思いは変わったかもしれない。 外に出る機会は減った。 そのなかで、明日何を着ていこうか、って考えるのがより楽しくなった。

ユリア 私は、「これを着てどこに行くんだろう?」という服をたくさん持っていて、それを着て行く場所はなくなった。 ちょっとさみしい。 でも、SNS の発信の場で、そういう服を着てみることはできる。

冨永 マスクにも慣れた。

ユリア 私、着物を結構着るけれど、不織布のマスクが着物に合わない。 足袋屋さんとかみんなが布マスクを作り始めて助かった。

冨永 着物、よく着てらして、素敵。

ユリア 母と祖母が着付けをやっていて、身近だったけれど、日本の伝統文化を仲介する人になりたいなと思って着付けの教室もやっています。 着物ってサステイナブル(持続可能)なこととつながっている。 洋服は生地を曲線的に裁断するから余り布が出るけれど、着物は直線でぴったりに裁断するから余りが出ない。 それに、昔は古着を着ている人がたくさんいたらしい。 生地を無駄にせず、自分が着なくなったら子供に着せて、その次は雑巾にして … というサイクルができている社会だった。

冨永 そう考えると、日本は昔からサステイナブルな精神があった。

ユリア 昔の良いところを見直して、現代に置き換えたらこういうことができるよね、となったらいい。 色々なものと共存するということですよね。

冨永 人と動物の共存。

ユリア 自然とも。

冨永 ファッション界にとっては生産過程においてもゼロから改革していかないといけないことがたくさんあるから、大きな挑戦。 一つの企業、一つの国ではなくみんなが協力して変えていくことが必要なのだと思います。

ユリア 洋服ってそんなに必要? と思ってみたり、でも必要な部分もあるし。 今コロナでみんなが一回立ち止まって考えている時期だと思う。 私がわからないのは、どこまでが、何が環境に優しいのかということ。 エコをうたっている素材も、環境を破壊しているかもしれないし。 科学者か誰か教えて欲しい。

冨永 何が正解で不正解で、というのはないかもしれない。 今の時点では。 その中で自分のできる範囲で、自分の心が豊かになる方法で変えていくということをみんながやれば変わる。 100% やるのは難しいから。

ユリア それにしても、コロナで生活は変わりましたよね。 密になるイベントができないから、私は DJ の仕事がなくなった。 でも、さらに勉強する時間もあったし、有意義な時でもあった。

冨永 自分自身の生き方や暮らし方を考えさせられた。 何が必要で何が不要か。 外部との接触を断って 1 人になった時に果たして自分は幸せなのか。 自分の幸せとは何なのかをきっとみなさん、考えたのだと思う。 私もこれから何を求めて、何を目標にしていくのかと考える良いきっかけになった。 たとえば、私はもともと田舎育ちで、ちょっとコンクリートに囲まれているのは息苦しいなと感じた。

ユリア コロナ前までは、ファッションのイベントもショーもたくさんありました。 イベントができなくなってしまったからこそ、別のやり方も出てくると思うし。 今後は、やる意味があって、スペシャルなもの、人の心を動かせるものが大事になりそう。

冨永 ファッションが発信できることは、希望しかないと思う。 人々に夢と想像力とファンタジーを与えてきた。 ファッションはパワーであり、これからもそうあってほしい。

ユリア 本当にそう。 ファッションは自分が楽しむことだし、見る人を喜ばせることでもある。 ファッションが、ポジティブなエネルギーを出していくためのツールの一つになるといいですよね。 (構成・高橋牧子、神宮桃子、asahi = 3-1-21)