在留資格更新「会社側が怠った」 実習生、賠償求め提訴

大阪府寝屋川市の鉄筋加工会社で働いていたベトナム人技能実習生 (23) が 5 日、受け入れた監理団体と実習先の会社が在留資格の更新を怠ったために実習を続けられなくなったとして、同社などに約 670 万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。 訴状によると、実習生は 2018 年 6 月に来日。 1 年後の更新時、監理団体や会社から更新手続きが間に合わないため、帰国を促されたという。 実習生側は、会社側が更新に必要なパスポートと在留カードを預かっていながら、更新手続きを怠ったと主張。 実習を続けていれば得られた収入などの支払いを求めている。

一方、会社側は、実習生側との話し合いで「給料を支払うので一時帰国してほしいと伝え、航空券を手配したのに、実習生が失踪した」と説明したという。 この実習生は、支援団体の支援を受けて在留資格を取り、府内の別の建築会社で実習を続けている。 5 日に記者会見し「日本でもっと勉強と仕事がしたい」と話した。 (米田優人、asahi = 4-5-21)


実習生の高額手数料問題視 ベトナム、監察で担当官庁批判

日本に多くの技能実習生を送り出しているベトナムで、政府監察院は 3 日までに、自国の担当官庁による実習生保護の取り組みが不十分だと批判する監察結果をまとめた。 実習生が人材派遣会社に高額な手数料を支払わされてきた実態を厳しく指摘している。 現地メディアが報じた。 人手不足の日本でベトナム人実習生の存在感は増しており、昨年末時点で約 21 万人。 実習生全体の半数を超す規模だ。

実習生の訪日では、送り出しを担うベトナムの人材派遣会社が徴収できる手数料は最大 3,600 ドル(約 40 万円)と定められているが、ほぼ守られていない。 監察院は 2018 年まで約 6 年間の送り出し実態を調べ、今年 3 月に結論をまとめた。 関連業界の監督が行き届かず、実習生が 7 千 - 8 千ドルの法外な手数料を支払う状態が続いてきたと強調した。 (kyodo = 4-4-21)


「技能実習制度 違反企業マップ」が登場 「反道徳的な行為の撲滅を目指す」

賃金未払いやパワハラなどの問題を起こした受け入れ先を Google マップで示した「外国人技能実習制度 違反企業マップ」が登場した。 ネットでは「悪質な企業を挙げることには意義がある」などと話題になっている。 企業名や場所を、外国人技能実習機構 (OTTT) のウェブサイトに掲載された行政処分の内容など、根拠を示しながら伝えている。 違反企業の投稿はユーザーも可能。 「デマや信憑性のない情報は絶対ダメ」という注意事項が掲げられており、信ぴょう性の確保が今後の課題になりそうだ。 日本語や英語のほか、ベトナム語、タイ語など計 8 カ国語から表示言語を選べる。 (弁護士ドットコム = 4-1-21)


ベトナム実習生、再就職相談増加 強いられる「辞職」も
コロナ禍で問題浮き彫り

新型コロナウイルスの影響で失職したベトナム人技能実習生から、支援団体への再就職の相談が増加している。 実習生らを支援する NPO 法人「日越ともいき支援会(東京都)」には昨年 9 月以降、400 人以上が相談しているという。 同会の吉水慈豊代表によると、実習先の企業に「辞職」を強いられた実習中断者か失踪者が半数以上を占める。 吉水さんは「便利な労働力として扱う企業やコミュニケーションの不足など、コロナ禍で問題が浮き彫りになっている。」と話す。

2019 年 4 月に来日し、今年 1 月まで徳島県のスーパーで働いていたベトナム人実習生グエン・ティ・ゴック・アィンさん (20) は、県外への外出を発端に辞職へ追い込まれた。 実習先の会社は新型コロナ対策として県外外出自粛を決めたが、アィンさんは知らされていなかったと主張する。 「ルールを破ったから辞職しなさい。」 会社に迫られ、驚きと困惑の中、県外外出を理由に 2 週間の隔離生活を強いられた。 その後、提示されたのは「意思に反して技能実習を中止するものではない」と記された確認書。 大声でサインを求められ、「もうここでは働けない」と諦めたと、アィンさんは涙ながらに振り返る。

実習生の受け入れ窓口となり、監督や保護も担う監理団体の担当者は、アィンさん本人の申し出を受けた意思確認だったと説明する。 担当者は「双方の不信が拭えず、残念な結果になってしまった」と話した。 同会の支援の結果、アィンさんは在留資格の変更が認められる見込みで、今年 4 月にも長野・軽井沢のレストランで調理室に立つ。 「一生懸命頑張りたい。 学んだ技術を生かして将来、地元で日本料理のレストランを開きたい。」と語った。

吉水さんによると、実習の中断や失踪をした実習生には、経営不振の実習先から「帰国しないのか」と耳元で連日ささやかれたり、説明なく給料を半減されたりした人などがいる。 法律は、実習生を労働力の調整弁としてはならないと定めている。 吉水さんは「企業側が実習生に自ら辞めるように仕向けている。 事実上の解雇だ。」」と訴えた。 (jiji = 3-27-21)


コロナで失職、帰国もできず職探し 72 人だけ? 実習生の現状、正確に把握し支援を

新型コロナウイルス禍で職を失った外国人技能実習生の過酷な状況を伝える記事を書いた。 取材して、制度の課題に加えて問題があると思うのは、公的な数字で現状が把握できないことだ。 法務省によると、「コロナ禍の倒産や解雇などで職を失った実習生」は、1 月 22 日時点で国内に 4,110 人。このうち、再就職も帰国もできずに仕事を探しているのは、3 月 11 日時点で 72 人だけとされる。 また、コロナ関連では「受け入れ期間が終わったのに、母国の入国制限などで帰国できない実習生」という統計もあり、3 月 5 日時点で 3 万 8,600 人いるが、このうち仕事がないのは 1,700 人だ。

一方、制度を運用する外国人技能実習機構によると、2019 年度だけでも約 4 万 5 千人が途中で実習中止になっている。 企業などの都合とされるケースもあるが、約 3 万 5 千人は、企業の新たな実習生の受け入れに影響しない「実習生の都合」が理由だ。 そもそも、実習をやめる理由が正確に把握できているかわからない。 いま現場を取材していても、コロナ禍で次の職探しをせざるを得なくなった実習生が、2 千人弱だけだとは思えない。 実際はコロナ禍で失職したのに、そうはみなされていない実習生が、もっといる可能性があるのではないか。

機構によると、「コロナ失職」かどうかは監理団体からの届け出内容や、受け入れ企業から聴いた事情などから判断しているという。 さらに問題なのは、ここで「コロナ失職」とみなされるかどうかで、実習生が受けられる支援や選択肢も変わってしまうことだ。 法務省によると、「コロナ失職」なら特例の転職支援の対象になる。 受け入れ時の窓口となった監理団体以外からも支援を受けられ、職種も変えられる。 しかし、それ以外の失職者は基本的に元の監理団体から支援を受けるかたちで、職種は転換できない。

日本経済研究所の梅田邦夫・上席研究主幹は「外国から『実習』として受け入れている以上、(支援策などの)政策を考えるためにも、実態を早く正確に把握するように政府は努力するべきだ」と指摘する。 コロナ収束のめどは立たない。 真摯な対応を望みたい。 (藤崎麻里・東京経済部、asahi = 3-18-21)


外国人技能実習生を対象に 《オンライン日本語教室》 無償開講

コミュニケーション齟齬によるトラブル・孤立を防ぐために協同組合 LINK と連携します。

株式会社ボーダレス・ジャパン

株式会社ボーダレス・ジャパン(本社 : 東京都新宿区、代表取締役社長 : 田口一成)は、技能実習生の受け入れを支援する協同組合 LINK と連携し、無償のオンライン日本語教室を開講します。 オンライン日本語教室では 《働く心得》 と 《実習現場で使える日本語》 の習得を支援し、実習現場におけるトラブル・孤立を防止します。

日本で働く技能実習生を取り巻く環境

建設業・農業などの業種では、ベトナム・中国・ミャンマーをはじめとする 14 ヵ国から技能実習生を積極的に受け入れています。 その数は 2020 年には約 40 万人と、日本経済にとって欠くことのできない存在となっています。 ある程度日本語を勉強してから来日しますが、ほとんどの技能実習生は日本語に不安を抱えながら働いています。

実習現場で日常的に起こる『コミュニケーションのすれ違い』は表面化しにくく、見過ごされがちです。 しかし、一日一日と積み重なった『小さなずれ』 が、やがて事故やトラブル、孤立、失踪という形で現れてしまうことも決して少なくありません。 これら、実習生と企業の間で起きてしまう問題は「たった一つの日本語」、「たった一つの常識」を知っていれば、防げるはずなのです。

オンライン日本語教育について

技能実習生が事故やトラブルにあうことなく、安心して実習を続けられるよう、株式会社ボーダレス・ジャパンは、職種・日本語レベルを問わず、週 2 回・全 8 回の授業を無償で全国の実習生に届けています。 一人でも多くの技能実習生に授業を届けるため、実習生の受け入れを支援する「監理団体」と連携して 《働く心得》、《実習現場で使える日本語》 の習得を支援しています。

オンライン日本語教育の特徴

  • 土日祝含む 9:00 - 22:00 の間で授業実施
    残業や外出制限が理由で、地域の日本語教室に参加できていなかった実習生も、受講することが可能です。
  • 細やかな報告・連携体制
    実習生の学習状況・日々の様子を、企業様及び監理団体様へ報告しながら連携を取っています。
  • 学習意欲を高める会話中心授業
    実習生同士で会話練習をする「ペアワーク」や「講師との質疑応答」など、双方向にコミュニケーションを取る授業設計となっています。 そのため、アプリや自習で学習意欲が続かなかった実習生も、楽しみながら日本語を習得することが可能です。

オンライン日本語教育_詳細資料

オンライン日本語教育の背景にある想い

私は以前、ベトナムのダナンで来日前の技能実習生に対して日本語を教えていました。 そこで出会ったベトナムの人達はみな、日本で働くことをとても楽しみにしていました。 そんな彼らが来日後、日本語がうまく話せないことで、会社の人と揉めてしまったり、日本人の友達ができずに孤立している現状を、後になって知りました。 日本を選んでくれた実習生が、トラブルに巻き込まれたり、孤立してしまう状況を変えたいという思いから、日本語教育事業を始めることを決意しました。 一人でも多くの実習生に「日本に来て良かった」、一社でも多くの企業様に「実習生を受け入れて良かった」と思っていただけるよう、誠心誠意、取り組んでいきます。 (相原恭平、PR Times = 3-16-21)

<協同組合 LINK 組合概要>
会社名 : 協同組合 LINK
設立 : 1992 年 12 月 10 日(平成 4 年 12 月 10 日)
本部 : 東京都新宿区信濃町 12-1 信濃町 SANMO ビル 4 階
代表者 : 理事 冨岡和夫(トミオカ カズオ)
公式サイト : http://link-cooperative.jp/

<ボーダレス・ジャパン 会社概要>
会社名 : 株式会社ボーダレス・ジャパン
設立 : 2007 年 3 月
本社 : 東京都新宿区市谷田町 2-17 八重洲市谷ビル 6F
代表者 : 代表取締役社長 田口 一成
公式サイト : https://www.borderless-japan.com/

<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社ボーダレス・ジャパン 相原恭平
TEL : 092-292-5791
E-mail : aihara@borderless-japan.com


中国人実習生 20 人を高台に避難させ、津波にのまれ死亡した女川の男性 … 中国で作家が追悼手記

震災被災時の日本人の行動に心を動かされたという中国の作家が 11 日、追悼の手記を SNS で発表した。 「地震で受けた心の傷が癒やされ、いつか明日を見据えることができると信じている。」 そう書いたのは、上海在住の作家于強(ユーチャン)さん (76)。

宮城県女川町の水産加工会社役員、佐藤充さん(当時 55 歳)が中国人の技能実習生 20 人を高台に避難させた後、津波にのまれて亡くなったことを報道で知り、哀悼の意を心に刻んできた。 2012 年には「国籍を越えた絆」をテーマに小説を出版した。 于さんによると、今は大連市に住む元実習生の女性は「忘れたことは一度もない。 今も助けられたことに感謝している」と話している。 (南部さやか・上海、yomiuri = 3-12-21)

◇ ◇ ◇

「専務は私たちの心の中で生き続けている」中国人実習生

宮城県女川町の水産加工会社「佐藤水産」で技能実習生として働いていた叢偉さん (39) は、今は 2 人の娘とともに中国東北部、遼寧省大連で暮らしています。 震災から 10 年となった 11 日、叢さんは地震が発生した日本時間の午後 2 時 46 分にあわせて自宅の仏壇に線香をあげ、手を合わせました。 叢さんは「私のように助かった人にとって、今の気持ちは複雑です。 助けてくれたことに感謝し、家族を亡くした人が幸せを取り戻せるよう祈りました。」と話していました。

地震が起きた時、叢さんを含む 20 人の中国人実習生は、佐藤水産の専務だった佐藤充さん(当時 55)の指示に従い、すぐ高台に逃げました。 佐藤さんは叢さんたちが避難するのを確認したあと会社の工場に戻り、津波の犠牲になったということです。 実習生たちをまず避難させ、その後、ほかに取り残された人がいないか確認しにいったのではないかとみられています。 日本語に不慣れな中国人実習生の避難を助けた佐藤さんの行動は、当時の中国の温家宝首相が感謝の意を示すなど、中国国内でも大きな反響を呼びました。

叢さんは「佐藤専務は私たちの心の中で生き続けていて、時がたてばたつほど彼の偉大さをさらに感じるようになりました」と話しています。 叢さんは去年、2 人の娘を連れて女川町を訪れる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響でかないませんでした。 叢さんはこれまで、震災当時のことを思い出すのがつらく、自分の経験を多くは語ってきませんでしたが、震災から 10 年となることし、娘たちに初めて地震が起きてから避難するまでのことや、避難所での生活などについて話して聞かせました。 2 人の娘は時折、涙を浮かべながら当時の様子を聞き入っていました。 (NHK = 3-11-21)


日本でやっと一歩 ベトナム実習生 3 人、特養で辞令

新型コロナウイルスが国内外で猛威をふるう中、1 月にベトナムから来日し、自主隔離と日本語研修を終えた技能実習生 3 人が、湖西市新居町の特別養護老人ホーム(特養)「燦光(さんこう)」で働き始めた。 3 人は「働く日が待ち遠しかった。 仕事を覚えて早く一人前になりたい。」と力を込める。 同施設では介護人材不足解消のため、外国人の技能実習生や介護研修生の受け入れを 2018 年から進めている。 ベトナム人女性 1 人、フィリピン人男性 2 人をこれまでに受け入れ、全員が職員とともに介護の第一線で働く。

今回受け入れた 3 人は全員女性で、北中部出身のグエン・ティ・ミン・タンさん (22) と、北部出身のグエン・ティ・ジュウ・リンさん (22)、ファム・ティ・ハイ・イエンさん (24)。 母国では看護や薬学を学び、「介護の仕組みが最も進んでいる国に住んで働きたい」と来日した。 3 人は国の緊急事態宣言発令を受けて外国人の新規入国が全面禁止される直前の 1 月 11 日に日本に到着。 愛知県豊橋市内のアパートで 2 週間の隔離を経て、同市内での日本語研修に取り組んだ。 隔離生活中はずっと家の中で過ごし、「何もできずさみしく、早く働きたかった」と声をそろえる。

来所した 2 日に歓迎式が開かれ、運営する社会福祉法人新和会の二橋益良理事長から辞令を受け取った。 リンさんは「一日も早く入所者の役に立ちたい」、タンさんは「一生懸命仕事を覚える」、イエンさんは「生活と仕事に早く慣れたい」とそれぞれ抱負を語り、二橋理事長は「健康に気を付けつつ、分からないことがあったら気兼ねなく職員に質問して」とエールを送った。 3 人とも実習期間後も日本国内で働き続けることを希望しており、3 年間の期間中に介護福祉士と日本語能力試験 N2 の資格の取得を目指す。 (鈴木太郎、中日新聞 = 3-4-21)


入国緩和で来日外国人の 7 割「技能実習生・留学生」 ビジネス往来なのに …

政府が昨夏から今年 1 月にかけて実施した入国制限の緩和で、来日した外国人のうち技能実習生と留学生が 7 割超に上ることが、出入国在留管理庁(入管)の資料で分かった。 新型コロナウイルスの流行前に 4 割を占めた短期出張などは 5% 台に縮小した。 入国緩和は企業の出張などを連想させる「ビジネス往来」の再開として知られたが、実態は事実上の低賃金労働者といわれる実習生らが入国者の大半を占めている。(山田晃史)

例外的に「ビジネス上必要な人材等」限る

政府はコロナの感染拡大に伴い、昨年 2 月から入国に制限をかけ始めた。 いったん感染が落ち着いた 6 月に新型コロナの対策本部会議で、「ビジネス上必要な人材等」に限り例外的に入国を認める方針を決めた。 夏以降に段階的に緩和し、感染が再拡大した今年 1 月 21 日まで続けた。 入管は昨年 8 月 - 今年 1 月に入国緩和で来日した人数を週ごとに公表している。 本紙が集計したところ全体で 14 万 7,083 人のうち、企業の出張など主にビジネス目的の「短期滞在」は 5.6% (8,216 人)にとどまった。 最多は技能実習の 43.2% (6 万 3,484 人)で、留学は 28.9% (4 万 2,531 人)を占めた。

70 万人の技能実習生、留学生が低賃金で支える

入国の中心となった技能実習生と留学生は現在、日本で約 70 万人が働く。彼らが低賃金で長時間働くことで成り立っている企業は多く、政府が経済界の求めに応じて入国を続けやすい環境を整えたとみられる。

コロナ前だった 2019 年の入国と比べると、違いは鮮明だ。 緩和の対象にならない観光を除いた割合をみると、19 年は短期滞在が 42% で、技能実習が 4%、留学が 8.8%。 リモートの活用で出張が減る一方で、実習生らの入国は平時とほぼ変わらず続いた。 本来、実習生は技術を学び母国で役立てるのが目的で、留学生も教育のため来日している。 いずれも就労を目的とした在留資格ではない。 しかし菅義偉首相は国会で、実習生を含んだ入国緩和の対象者を「ビジネス関係者」と説明。 留学生は 10 月になってから、緩和の対象に追加されている。

場当たり的な労働力の確保政策

外国人労働者の問題に詳しい指宿昭一弁護士は「そもそも実習生や留学生が入国する目的は『ビジネス』ではない」と強調。 その上で「入国緩和は彼らを事実上の労働力として確保する場当たり的政策だ」と指摘している。 (東京新聞 = 2-24-21)


なぜ、ベトナム人実習生の入国ラッシュが起きたのか?

コロナ禍の最中、政府が 11 カ国・地域の外国人に例外的に認めていた入国制限緩和措置を通じ、11 月から 1 月後半までの 3 カ月弱の間に 12 万 8,625 人が来日した。 国籍別で最も多く入国したのが 5 万 5,754 人のベトナム人で、中でも実習生は 3 万 2,305 人に上った。 ベトナム人実習生の入国は今年初めからさらに加速し、1 万 7,000 人以上が日本へ駆け込んだ。 その数は、同じ時期に緩和措置で入国した外国人全体の 6 割にも達したほどだ。 結果、昨年 6 月末時点で約 22 万人を数え、実習生全体の半数以上を占めていたベトナム人の数は、25 万人前後まで増えたと見られる。

実習生は、現地の送り出し業者を通して日本へ派遣される。 新聞やテレビでは「送り出し機関」と呼ぶが、実際には民間の人材派遣業者である。 その送り出し業者の間で、昨年末からこんな噂が流れていた。 「コロナ感染が拡大しているので、日本が 3 月末まで実習生の受け入れを止めるかもしれない。」 噂は現実となり、日本は 1 月後半に実習生などを対象とした入国制限緩和措置を一時停止した。 その前に送り出し業者が、日本での就労先が決まっている実習生たちを急いで派遣したわけだ。 業者関係者によれば、現地では航空券の奪い合いまで起きていたという。

日本に行けるかどうかは、実習生にとっては大問題だ。 彼らは送り出し業者に対し、多額の手数料を支払っている。 借金に頼ってのことである。 日本で働かなければ、借金は返済できない。 実習制度は、実習生が金銭的な負担なく来日できるよう定めている。 来日前に送り出し業者が実施する日本語などの研修、また渡航の費用にしろ、日本で実習生を受け入れる企業が負担する決まりだ。 しかしベトナムでは、実習生は送り出し業者に金を払わなければ、日本へは行けない。

ベトナム政府は送り出し業者に対し、実習生から「3,600 ドル(約 38 万円)」を上限に手数料を取ることを認めている。 しかも、この上限が全く守られていない。 数年前までは、日本円で 100 万円以上の手数料を徴収する業者も多かった。 現在の相場は 6,000 - 9,000 ドル(約 63 万 - 95 万円)程度だが、それでも政府が定める上限をかなり上回る。 実習生として日本での出稼ぎを希望するベトナム人は、地方の貧しい若者たちが中心だ。 たいていは農村部の出身で、月 2 - 3 万円程度の収入で暮らしている。 業者へ支払う手数料は、家族の年収の 2 倍以上にも相当し、借金でしか工面できない。

コロナ感染が拡大する日本での出稼ぎは、実習生にとっても不安が大きいことだろう。 それでも借金返済のため、日本が入国を止める前に出発を急いだ。 送り出し業者としても、1 人でも多くの実習生を派遣したい。 実習生の手数料は、業者と契約した時点で半分が支払われ、残り半分は日本への出発直前に収めることになっている。 業者は実習生を送り出せなければ、手数料の半分を取りはぐれてしまう。

さらにいえば、日本側で実習生を仲介する「監理団体」の事情もある。 監理団体は実習生の就労先となる企業や農家から、1 人につき月 3 万 - 5 万円を「監理費」として受け取る。 実習生が来日できなければ、そのぶん収入も減ってしまう。 そのためベトナムの送り出し業者には、監理団体から「実習生の受け入れが止まる前に急いで送れ」という指示が相次いでいたという。 こうした実習生や送り出し業者、そして日本の監理団体の思惑が重なり合って、ベトナム人実習生の駆け込み入国が起きたのだ。

ベトナム人実習生が多額の借金を背負い来日する問題は、新聞などでも頻繁に報じられる。 その論調は、決まって「現地に悪質業者がいて、違法に手数料を取っている」というものだ。 だが、悪いのは業者だけなのだろうか。 そもそもベトナム政府が手数料の上限まで定めながら、なぜ全く守られないのか。 そにには、ベトナム特有の "事情" が影響している。 日本への実習生送り出しには、ベトナム労働・傷病兵・社会省海外労働局の認可が必要となる。 日本側で実習制度を統括する公益財団法人「国際人材協力機構 (JITCO)」によれば、ベトナムの認可業者は 397 社に上る。 ベトナムでは、認可を取ることは容易ではない。

ベトナムは汚職と賄賂が蔓延る国だと言われる。 実習生の送り出しにも、汚職大国の壁が立ちはだかる。 首都ハノイの大手送り出し業者で幹部を務めるグエンさん(仮名・30 代)は、絶対匿名を条件にこう話す。 「送り出し業者としての免許を取るには、当局とのコネと金が必須です。 どちらが欠けても免許はもらえない。」 業者はまず、コネを使って当局の担当者に近づく。 そして担当者を接待しては賄賂を渡す。 グエンさんの会社は、免許を得るまでに「日本円で 1,000 万円以上は使った」という。 官僚が認可権を利権にして、私服を肥やしているのである。

認可権を握る官僚から賄賂を受け取るなど、日本で発覚すれば大問題となる。 だが、ベトナムでは「常識」なのだ。 接待や賄賂は、認可が取れて終わりではない。 当局とのコネを維持するため、年に何度も接待しては賄賂を渡し続ける。 グエンさんによれば、1回の額は「5 万 - 10 万円」程度だという。 しかも相手は 1 人ではなく、何人もの官僚に渡す必要がある。 官僚には、正規の月収以上の賄賂が接待のたびに手に入る。 そして接待してくれる業者は、かなりの数に上る。 官僚にとって、どれほど大きな利権であるかわかってもらえるだろう。

官僚とのコネは、誰もが持てるわけではない。 そのため実習生の送り出しには、ベトナムの特権階級が関与するケースも多い。 グエンさんが続ける。 「名前は出せませんが、(ベトナムで一党支配体制を敷く)共産党幹部の家族や親戚が、業者の運営に関わっているケースも多いのです。」 業者が実習生から徴収する手数料は、特権階級の「財布」にもなっているというのだ。 これでは、政府が定める手数料の上限など守られるはずもない。

日本への実習生の送り出しは、ベトナムでは「一大産業」だ。 約 22 万人のベトナム人実習生が 1 人 100 万円の手数料を支払っていれば、総額で 2,200 億円に上る。 GDP の規模が日本の 20 分の 1 程度というベトナムでは、極めて大きなものである。 しかも実習生以外にも、留学生も同様に送り出し業者に手数料を払って来日する。 その後、実習生や留学生たちは日本で借金返済のための肉体労働に明け暮れる。 そうやって借金を返済しながら、母国の家族へ仕送りを始める。

在日ベトナム人の数は昨年 6 月末時点で約 42 万に上っていた。 その多くが実習生もしくは留学生として来日し、母国へと金を送っている。 1 人が年 100 万円を送金していれば 4,200 億円、年 10 万円でも 420 億円だ。 彼らの送金は、ベトナム経済にとっては欠かせない外貨収入である。 こうした経済事情もあって、ベトナムは 11 月以降だけで、実習生を中心に約 5 万 6,000 人もの自国民を日本へ送り込んだ。

その一方で、実習生たちが借金漬けで来日するシステムは全く改まる気配がない。 実習制度のルール違反なのだから、本来であれば日本からベトナムに対し、実態を改めるよう強く要求すべき問題だ。 しかし、そんな気配は全くない。 実は、実習生が借金して送り出し業者に支払う手数料に群がるのは、ベトナムの腐敗官僚だけではない。 日本側の受け入れ関係者の利権にもなっていることが疑われる。 (出井康博、Wedge Infinity = 2-16-21)


帰国できないベトナム人の技能実習生など旧正月「テト」祝う

アジア各地で 12 日、旧正月を迎えました。 埼玉県の寺では、新型コロナウイルスの影響で帰国できないベトナム人の技能実習生などが新年のあいさつを交わしたり、母国の家族に連絡したりしました。 埼玉県本庄市の「大恩寺」は、新型コロナの影響で仕事を失うなどしたベトナム人技能実習生を受け入れていて 30 人余りが身を寄せています。 旧暦の 1 月 1 日の 12 日は、ベトナムで「テト」と呼ばれる旧正月にあたることから、寺では新年の平穏を願う催しが行われ、実習生たちは参拝に訪れた地元のベトナム系住民を出迎えてお祝いの品を渡したり「ブン」と呼ばれる麺料理をふるまったりしました。

実習生の中には実習期間がすぎても、ベトナム側の入国制限が厳しく帰国できない人もいて、スマートフォンのビデオ通話で母国の家族と新年のあいさつを交わしたりしていました。 4 年前に来日して以来、家族と会っていないというフア・トゥアン・ホアさん (37) も 60 代の両親に「元気にしていますか」などと呼びかけ、体調を気にかけていました。 ホアさんは「『元気だから心配しないで』と伝えました。 直接会えないのは寂しいですが、あいさつができてうれしいです。」と話していました。 ベトナム人住職のティック・タム・チーさんは「仕事がなく帰国も難しい厳しい状況なので、皆さんの健康と、いち早い帰国の実現を祈りました。 大変なときだからこそ日本人も外国人も支え合うことが大事だと思います。」と話していました。

大使館のチャーター便で帰国の順番待つも めど立たず

フア・トゥアン・ホアさんは、かつてベトナムで英語の教師をしていましたが、家族の生活を支えるため 4 年前、技能実習生として来日し建設会社で働いていました。 しかし、職場の日本人に暴力を振るわれるなど、過酷な環境に耐えかねて実習先を離れ、その後は新型コロナウイルスの影響で職を転々とし、去年 12 月から寺に身を寄せています。 現在は、大使館のチャーター便で帰国する順番を待っていますが、ベトナムの厳しい入国制限もあり、便数は限られ帰国のめどは立っていないということです。 ホアさんたちが身を寄せている大恩寺は、地元や各地のベトナム人からの寄付などを受けて運営されていて、ホアさんは帰国できる日まで境内の掃除や参拝客の案内などをして、できるかぎり手伝いたいとしています。 (NHK = 2-12-21)


群馬でスイカも盗んだ疑い、元実習生再逮捕 関連被害も

埼玉県神川町の畑から梨 182 個を盗んだとして窃盗容疑で逮捕、起訴された元技能実習生でベトナム国籍のグエン・ヒュー・トー容疑者 (28) = 群馬県伊勢崎市長沼町 = について、埼玉県警は 9 日、群馬県内でスイカも盗んだとして、同容疑で再逮捕し、発表した。 容疑を認めているという。 再逮捕前の調べに対し、「頼まれて車を運転した。 ベトナム人 2 - 3 人で盗んだ。」などと述べたという。

捜査 3 課によると、再逮捕容疑は昨年 5 月 25 日、何者かと共謀して、群馬県太田市大原町のビニールハウスから小玉スイカ 43 個(時価 2 万 1,500 円相当)を盗んだというもの。 先月の梨の窃盗容疑での逮捕後、トー容疑者の供述などから関与の疑いが浮上した。 現場にはスイカが積まれた車が乗り捨てられていたという。 周辺では別のスイカやホウレンソウの盗難被害も確認されているほか、埼玉県や北関東では果物の窃盗被害が相次いでおり、県警は関連を調べる。 (asahi = 2-9-21)


ベトナム実習生 2 人 → 100 人ロッジに 行き場失った末

昨年夏、日本海を望む新潟県内のロッジに、2 人のベトナム人が助けを求めてやってきた。 "仲間" はどんどん増え、年明けまでに 100 人を超えた。 ここにも、新型コロナウイルスの影響が及んでいた。

「助けてやろうよ」無償で食事

1 月初め、雪が積もる同県長岡市寺泊地域のレストランで、数人のベトナム人女性が料理をしていた。 店員ではない。 隣のロッジで滞在中にお世話になった人たちへ振る舞うためだ。 ベトナム風お好み焼きを巻いたボリューム満点の生春巻き。 それを眺めながら、「気持ちが伝わる。 いつか戻ってきてもらいたい。」と、ロッジとレストランを経営する諸橋康裕さんは言った。

話は、昨年夏ごろにさかのぼる。 中部地方の別の県で働いていたベトナム人 2 人が、ロッジにやってきた。 外国人技能実習生だった 2 人は、実習先の電子部品会社が新型コロナの影響で倒産してしまい、やむなく農家に就労。 そこも「仕事がない」と追い出されてしまい、頼ったのが、知り合いのベトナム人通訳が関連会社に勤めていた、このロッジだった。 関連会社は、外国人の在留資格申請などを担う事業所として国に認められた「登録支援機関」。 諸橋さん自身はその事業に携わっていないが、「助けてやろうよ」と救いの手をさしのべた。 無償で食事を出し、ロッジの部屋を貸した。

この情報がインターネットや口コミで全国のベトナム人実習生の間に広まり、行き場をなくした人たちが各地から集まってきた。 その数、100 人以上。 文字通り北海道から沖縄まで様々な分野で実習していたが、業績悪化で解雇されたり、飛行機の減便で帰国できなかったりしていたという。 その一人、グェン・ティ・トゥオンさん (26) は長野県内の食品製造工場での実習を終えたが、帰国できなかった。 宿舎に居続けられず、実習生の生活を監督する義務がある「監理団体」を頼ったものの、住む場所も仕事も「見つけてくれなかった」という。

実習中は、毎月 10 万円を家族に仕送りしていた。 「安定的な仕事に就きたい。 コロナが終わったら一時帰国したいけど、今は安定的な仕事。」と話す。 実習先の変更や実習終了後の就労には本来、制限があるが、国は昨年、新型コロナ禍の特例として緩和した。 ロッジに集まったベトナム人は、在留資格に関する必要な手続きを関連会社が担ったこともあり、全員が次の働き口を見つけられた。 その際、関連会社には受け入れ企業からの登録料が入ったが、諸橋さんは滞在費に「たぶん何百万円も使ったよ」と話す。

都内の寺には 300 人

毎日の食事に加えて、資格試験の指導もした。 実習生らに楽しんでもらおうと、知り合いの歌手の沢田知可子さんを招いたライブの開催や、花火を打ち上げたことも。 「何でも一生懸命な彼女たちを尊敬しているし、応援したくなる。 (寺泊のことを)発信もしてくれるだろう。」と話す。 ロッジに、日本語の手紙が残っていた。 「ここの皆は私を大いに手伝ってくれました。」 「今週土曜日は引っ越します。 皆さんお世話になります! ありがとうございました。 チャンスがあったら会いたいです。 お元気で!」

外国人実習生らが保護される例は、新潟だけでなく各地でみられる。 東京都港区の寺にも、昨年 2 月ごろから 300 人弱のベトナム人実習生や留学生が救いを求めてやって来た。 この寺を拠点に滞日ベトナム人を支援する NPO 法人・日越ともいき支援会の吉水慈豊(じほう)代表理事は「家と金と仕事がない子たちが増えてしまい、きりがないくらい多い」と言い、指摘する。 「本来、国がやるところを民間に丸投げしている。」

監理団体、不十分な支援

出入国在留管理庁によると、新型コロナウイルスの影響による解雇や実習先の倒産などで、全国で 3,396 人の技能実習生が実習を続けられなくなった(昨年 11 月 27 日時点)。 また、実習期間を終えた元実習生らのうち、約 3 万 6,500 人が新型コロナ禍で帰国できないでいる(今年 1 月 15 日時点)。 こうした状況を受けて、政府は特例で救済策を設けた。 在留資格を「技能実習」から「特定活動」に変えられることとし、異業種に転職したり、元実習生が帰国しないで国内で就労したりできるようにした。

それでも、働き先や住居を見つけられず路頭に迷う外国人が後を絶たない。 「監理団体」が対応できていないことも一因だ。  監理団体は技能実習法に基づく非営利団体で、実習生を企業につなぐ役割を担う。 商工会や中小企業組合でつくり、全国に約 3 千。 監理団体を監督する国の認可法人「外国人技能実習機構 (OTTT)」の担当者は、今回の特例に伴う実習先変更や再就職の支援、その間の住居確保などは「(監理団体に)責任を持ってもらう」と話す。

しかし、監理団体による住居確保などは実習前後の短期にとどまるのが通例で、コロナ禍で必要になった長期支援に十分な態勢を備えていない場合が多い。 新潟県内の監理団体の一つ「新潟国際異業種協同組合(新潟市)」は、昨年 4 月に実習先の業績不振で働けなくなった実習生 5 人のためにアパート 2 部屋を急きょ借り、同 11 月まで 1 部屋月 4 万円の家賃負担を続けた。 石井和昭代表理事は「30 - 40 人とかになれば、面倒を見切れなかった」と話す。 OTIT も再就職支援や宿泊支援の制度を用意している。 今年度の利用実績は明らかにしていない。 (杉山歩、asahi = 2-6-21)

《日越ともいき支援会顧問も務める斉藤善久・神戸大院准教授(アジア労働法)の話》 実習生の生活は監理団体が帰国まで責任を負うことになっているが、コロナ禍の中で支援し続けることは難しい。 一方で、実習生からは「監理団体が "転職" を手伝ってくれない」という相談も多い。 監理団体とすれば、(在留資格の変更など)「技能実習」の範囲外の支援には権限も能力もなく、利益もないため、後ろ向きになるのだろう。

在留資格のこともあり、実習生の解雇は日本人の解雇と意味が違う。 技能実習自体が、いわば「働ける期間だけ働かせて送り返してしまおう」という制度で、働けなくなった状態の人をずっと世話するという発想がない。 国策で人材を呼び込んでいるのだから、国が前面に出て仕事のマッチングまで責任を持たなければならない。

外国人技能実習 : 1993 年に始まった。対象はとびや畜産農業、介護など 83 職種で最長 5 年。 実習生は全国に 40 万 2,422 人、新潟県内で 4,652 人(昨年 6 月末)。 監理団体が仲立ちするケースが多く、実習先の紹介をするほか、受け入れ企業が適切に実習しているか確認するなど実習中の支援も行う。 日本の技術習得を制度の目的にうたっているが、実習先は単純労働が少なくなく、実態は不足する労働力の補填になっているとの指摘が多い。


新型コロナ 技能実習生や教職員ら 29 人感染、2 人死亡 茨城

茨城県は 2 日、県内で新型コロナウイルス感染者が新たに 29 人確認されたと発表した。 水戸市の感染確認は 1 月 2 日以来 1 カ月ぶりにゼロだった。 県内の累計感染者は 4,875 人。 また、県内の医療機関に入院していた、感染患者の 90 代と 80 代の男性 2 人が 1 日に死亡した。 うち 80 代男性は死亡後に陽性と分かった。 県内死者の累計は 68 人となった。

新規感染者のうち、取手市の 20 - 30 代の技能実習生男女 3 人は、実習先事業所の寮で生活。 この寮で暮らす技能実習生の感染は計 9 人に拡大した。 古河市の 40 代男性 2 人は同市の外国人コミュニティー関連で、感染者は計 6 人に拡大。 うち 4 人は同じ事業所に勤務している。 石岡市内の学校では新たに 30 代教職員女性が陽性と分かり、関連の感染は計 6 人となった。 新型コロナ感染者のうち新たに 83 人が回復。 県内の退院・退所などは計 4,111 人となった。 (茨城新聞 = 2-3-21)


実習生監理団体に賠償命令 熊本、意に反し帰国手続き

熊本県御船町の建設会社で技能実習生として働いていたフィリピン国籍の男性 (32) が、契約外の作業をさせられ、強制的に帰国させられようとしたなどとして、受け入れ窓口となる監理団体の協同組合アーバンプランニング(岡山市)と建設会社に損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は 29 日、協同組合に 55 万円の支払いを命じた。

佐藤道恵裁判長は、上司に叱責された男性が帰国を望んだ発言はその後翻され、実習先の変更を希望したことから本意ではなかったと判断。 意思確認が不十分なまま協同組合が帰国手続きを進めたことで「実習生としての権利が侵害された」とし、精神的苦痛の慰謝料を認めた。 原告は、契約外の作業をさせられ残業代も未払いだと訴えたが、判決は認めなかった。

判決によると、男性は 2015 年 8 月に来日。 16 年 10 月から建設会社で働き、18 年 1 月に辞めた。別の実習先が見つからず、在留期限の 18 年 9 月に帰国した。 判決後の記者会見で原告代理人の松野信夫弁護士は「直接雇用関係にない監理団体の不法行為を認めた点は画期的だ」と話した。 アーバンプランニングは「コメントは差し控える」とした。 (kyodo = 1-29-21)