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岩手・宮城で震度 4、津波注意報発表の岩手・久慈港で 20 センチ観測
9 日午後 5 時 3 分ごろ、三陸沖を震源とする地震があり、盛岡市や岩手県矢巾町、宮城県涌谷町で最大震度 4 を観測した。 気象庁は午後 5 時 13 分、岩手県沿岸に津波注意報を発表した。 気象庁によると、震源の深さは 16 キロ、地震の規模を示すマグニチュードは 6.9 と推定される。 岩手県内では相次ぎ津波が観測された。 久慈港で午後 5 時 52 分、大船渡市で午後 6 時 25 分に、それぞれ 20 センチを観測。 釜石市と宮古市でも 10 センチの津波が観測された。
東北新幹線、一時運転見合わせ
JR 東日本によると、地震の影響により、東北新幹線で一時的な停電が発生。 仙台 - 新青森間で約 25 分間、運転を見合わせた。 岩手県内では、一部区間で速度を落として運行した在来線があったほか、海岸沿いを走る三陸鉄道は全線で運転を見合わせた。 岩手県は津波注意報の発表を受けて災害特別警戒本部を設置。 被害がないかなどの情報収集を進めている。 県内各地の自治体でも、海に近い世帯を中心に避難指示を出し、警戒を呼びかけた。
津波が観測された大船渡市では地震直後の午後 5 時 12 分、2,835 世帯 6,138 人に避難指示を発表。 小中学校の体育館など 10 カ所に避難所を開設し、市民が身を寄せた。 宮古市も同様に、市内 16 カ所に避難所を立ち上げた。
「長い横揺れ感じた」
震度 3 を観測した釜石市でも災害対策本部を設置するとともに、防災無線で防潮堤から海側にいる人は離れるよう、避難指示の緊急放送を流した。 市内には米ミネルバ大学の 26 カ国 48 人の学生とその引率教員らがフィールドワークのため滞在。 出先で自主的に高台へ避難した学生もいた。 震度 2 の岩手県大槌町では、7 世帯 20 人に避難指示が出た。 海岸から約 2 キロ離れた小川旅館の周辺では、防災無線から津波注意報を知らせるサイレンが鳴り響いた。
同旅館を経営する小川勝巳さん (66) は、「長い横揺れを感じた。 何事もないといいのですが。」とニュースを見守った。 近くの自宅にいた長男も、心配になってやや高台にある旅館へ避難してきた。 東北電力によると、稼働中の女川原発(宮城県女川町、石巻市)では午後 5 時 50 分までに地震や海面変動による異常は確認されていない。 (asahi = 11-9-25)
カムチャツカ半島で 4m の津波観測 地震で負傷者も 現地報道
ロシア・インタファクス通信は 30 日、カムチャツカ半島沖の地震で、同半島の一部で目測およそ 3 - 4 メートルの津波が観測されたと報じた。 また、同半島の中心都市ペトロパブロフスク・カムチャツキーでは、幼稚園の建物の外壁が崩落したり、家具や商店の棚が倒れたりするなどの被害が出ている。 地元メディア「KAM 24」が伝えた。 国営タス通信によると、負傷者が数名出ている。 地震発生時に避難しようとして窓から飛び降りるなどしたという。
トランプ氏「最新の情報を確認して」 米でも津波警報
カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード (M) 8.7 と推定される地震を受け、米国では 29 日夜、ハワイ州やアラスカ州西部に津波警報が出された。 太平洋に面する米西部のカリフォルニア州やワシントン州、オレゴン州にも注意報が出された。 米地質調査所 (USGS) によると、M8.7 の地震の後も震源地周辺では M6.9、M6.3 の余震が続いている。 米国の津波警報センターは、ハワイ州やグアムといった太平洋の島だけでなく、南米ペルーやチリでも 1 - 3 メートルの津波が到達すると予想している。
米 CNN によると、ハワイ州ではグリーン知事が直ちに沿岸部から避難することを呼びかけた。 住民や観光客が高台に避難しているが、交通渋滞も起きているという。 米 ABC は、ハワイ州の沿岸地域で避難を呼びかけるためにサイレンが鳴らされていると伝えた。 カリフォルニア州ロサンゼルスでは安全のためにビーチを閉鎖しているという。 トランプ米大統領は自身の SNS で津波警報が出されたことについて発信し、「最新の情報を確認して。 安全に!」と呼びかけた。
太平洋の島国の多くも津波警報
太平洋の島国の多くも津波警報や注意報を出した。 西太平洋のミクロネシア連邦の政府当局は、30 センチから 1 メートルの津波が到達する可能性があるとの注意報を発出。 住民に対し、海岸から離れ、海での活動を避けるよう呼びかけた。 ニュージーランドの国営ラジオによると、南半球のトンガでは警報が出され、首都ヌクアロファで避難所に指定されているビルの最上階に周辺の学校の生徒らが避難。 洋上の船舶には、水深が深い海域へ移動するよう呼びかけがあった。 AP 通信によると、太平洋地域ではフィジー、サモア、ソロモン諸島などでも警報や注意報が出ている。
インドネシア気象気候地球物理庁は、同国東部を中心に計 10 の地域で 0.5 メートル以下の津波が起こる可能性があるとして、海沿いの住民に対し避難を呼びかけた。 (駒木明義、フロリダ州・市野塊、武石英史郎、河野光汰、asahi = 7-30-25)
各地に津波警報、最大 3m の恐れ 一部の地域は注意報に
30 日午前 8 時 25 分ごろ、ロシアのカムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード (M) 8.7 (推定)の地震があった。 気象庁は北海道から和歌山県までの太平洋側の地域に津波警報、オホーツク海沿岸や、四国や九州などの太平洋側などに津波注意報を発表した。 気象庁によると、北海道から沖縄県の太平洋沿岸の広い地域で津波を観測し、岩手県久慈市では同日午後 2 時ごろ、最大 1 メートル 30 センチを記録した。
気象庁は 30 日午後 6 時半、茨城県から和歌山県までの太平洋沿岸に出していた津波警報を、注意報に引き下げた。 一方、北海道と東北の太平洋側を対象とする津波警報は引き続き、発表されている。 総務省消防庁によると、30 日午後 5 時までに 19 都道県の 201 万 1,038 人に自治体から避難指示が出されている。
気象庁によると、今回の震源は北海道根室市から北東に約 1,500 キロ離れた地点。 当初、地震の規模を示す M は 8.0 と推定し、同日午前 8 時 37 分に広い範囲に津波注意報を発表したが、その後の解析で M8.7 に更新し、最大 3 メートルの津波が到達する恐れがあるとして、一部の地域で津波警報に引き上げた。 この地域はもともと、プレートが沈み込み、地震活動が活発で、7 月 20 日にも M7.4 の地震があった。 1952 年 11 月に近くで発生した M9.0 の地震では、岩手県久慈港で最大 1 メートルの津波を観測したという。
清本真司・地震津波対策企画官は会見で、「震源は離れており、日本での地震活動が活発になるとは考えにくい。 遠くで発生した地震による津波の継続時間は長いため、高いところへ避難を続けてほしい」と呼びかけた。 国内で津波警報が発表されるのは、2024 年 4 月に台湾東部沖を震源とする地震で沖縄本島地方、宮古島・八重山地方に発表されて以来となる。
60 代女性が避難中に転倒し軽傷
林芳正官房長官は 30 日午後の記者会見で、津波警報が発表されている北海道太平洋沿岸の白老町で、60 代女性が避難する際に転倒し、軽傷を負ったと明らかにした。 政府は、首相官邸危機管理センターに官邸連絡室を設置し、引き続き被害状況を収集している。
鉄道、高速、航空便にも影響
津波警報の発表を受け、交通網にも影響が出ている。 JR 北海道では午前 11 時時点で、釧路発札幌行きの特急おおぞらなど、釧路や帯広、函館などから発車する特急 14 本のほか普通列車 23 本が運休となった。 首都圏では、JR 東海道線や横須賀線、外房線などが運転を中止し、走行中の電車は安全な高台にある駅などに移動した。 小田急電鉄や京浜急行も一部路線で運転を見合わせた。 このほか、紀伊半島から東海、東北、北海道に至る太平洋沿岸部を走る路線が運転を中止した。
JR 東海は午前 11 時 40 分時点で、熱海 - 豊橋間の上下線などを運転を見合わせた。 JR 西日本は 30 日午前 10 時 20 分時点で、きのくに線の和歌山 - 新宮間と、紀勢線の和歌山 - 和歌山市間の運転を中止した。 一方、東海道新幹線や東北新幹線は平常通りに運行している。
航空機への影響も出ている。 国土交通省によると、午前 9 時 41 分に仙台空港の滑走路が閉鎖となった。 日本航空 (JAL) によると、午後 4 時時点で仙台空港に着陸予定だった伊丹・福岡発の 2 便が滑走路の閉鎖により、それぞれ出発した空港に引き返したという。 このほか、仙台を発着する 20 便が欠航となり、計 1,638 人に影響が出たという。 全日本空輸 (ANA) によると、午後 3 時点で 30 日に仙台を発着する計 19 便が欠航となったという。 また、翌 31 日も機体を用意できないため伊丹 - 仙台間の 2 便が欠航となった。 これにより計約 2,420 人に影響が出たという。
国交省によると、午後 2 時現在、道央自動車道の大沼公園インターチェンジ (IC) - 苫小牧中央 IC 間などで通行止めとなっている。 また、仙台東部道路や紀勢自動車道の三重県内の一部でも出口が閉鎖されている。
福島第一原発、処理水の放出を停止
東京電力は 30 日、福島県への津波注意報・警報発表を受けて、福島第一、福島第二原発の作業員に避難指示を出したと発表した。 対象者全員が構内の高台などに避難したという。 第一原発では今月 14 日から処理水の海洋放出を行っていたが、手動停止した。 処理水には「多核種除去設備(ALPS)」で取り除ききれなかった放射性物質のトリチウムが含まれる。
首相「直ちに高台や避難ビルなどに非難を」各省庁に対応指示
太平洋側沿岸に津波警報が出たことを受けて、石破茂首相は 30 日午前、首相官邸で記者団の取材に応じ、「警報が発表されている地域の皆様は、直ちに高台や避難ビルなどの安全な場所に避難をしてください」と呼びかけた。 首相は関係各省庁に対し、▽ 住民避難等の被害防止の措置を徹底すること、▽ 早急に被害状況を把握すること、▽ 地方自治体とも緊密に連携し被害防止に全力で取り組むことを指示した。 人的、物的被害は「確認中」としている。
警報発令に伴い、官邸連絡室に改組
カムチャツカ半島付近を震源地とする地震で、太平洋沿岸に津波警報が出たことを受けて、林芳正官房長官は 30 日午前、臨時の記者会見をした。 林氏は、人的、物的被害は確認中と説明し、「警報が発表されている地域の皆様は、直ちに高台や避難ビルなどの安全な場所に避難をしてください」と呼びかけた。 林氏は「津波が到達しても第 2 波、第 3 波がより大きくなって到達することがあるので、津波に関する情報に十分注意をし、警報が解除されるまで安全な場所から離れないようにしてください」と話した。 政府は官邸危機管理センターに設置していた情報連絡室を、津波警報が出たことに伴い、官邸連絡室に改組した。
原発「異常の報告は受けていない」
太平洋沿岸に津波警報が出たことを受け、林芳正官房長官は 30 日午前 11 時すぎからの記者会見で、「現時点で人的、物的被害があったとの報告は受けていない」とした上で、警察や消防、自衛隊などのヘリで被災地域の被害状況を確認していると説明した。 林氏によると、高速道路が 3 路 3 区間で通行止め、鉄道は 17 事業者 41 路線で運転見合わせ、仙台空港で滑走路閉鎖中、との報告を受けているという。 原発については「現在のところ異常があったとの報告は受けていない」と話した。 (asahi = 7-30-25)
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