タイ反政府集会、2 万人規模に拡大 強制排除が逆効果に

タイでプラユット政権の退陣などを求める反政府集会が、政権側の集会禁止措置や放水による強制排除があったにもかかわらず、18 日もバンコクなどで開かれた。 政権側の出方によっては、衝突が起きる可能性もある。 参加者は逮捕されたリーダーらの似顔絵を掲げ、「仲間を釈放しろ」などと声を上げた。 反政府集会は 18 日夕からバンコクの戦勝記念塔前など数カ所で始まり、参加者は合わせて 2 万人規模に膨らんだ。 バンコクの会社員の男性 (25) は「当局の強硬な対応で、眺めるだけだった人々もデモに参加するようになった。 真の民主化が実現するまでデモに加わり続ける。」と話した。

7 月から続く反政府集会で中心になっている若者は軍事政権の流れをくむプラユット政権の退陣や、軍政下で制定された憲法の改正、タブー視されてきた王室改革などを求めている。 タイ社会は格差が大きいうえ、新型コロナウイルスなどの影響で庶民の暮らしは一段と厳しさを増す。 デモに集まる若者たちには、軍や王室など一部の権力層や特権階級による支配への不満と反発がある。

主催者らは、ふだんはドイツにいることが多い国王が帰国中の 14 日、大規模なデモを決行。 政府は 15 日にバンコクに緊急事態を宣言して 5 人以上の集会を禁止し、首相府前にいたデモ隊を強制排除。 16 日には、バンコク中心部での数千人規模の集会に放水し、散会させた。 また警察は 16 日、王妃らが乗った車列を妨害したなどとして、反政府デモに参加していた活動家 2 人を逮捕した。 有罪なら最高刑は終身刑で、見せしめ的に刑罰が厳しい容疑に問うことでデモ参加者らを萎縮させる狙いがあるとみられる。

それでも若者らは 17 日、バンコク市内の数カ所に分散して集会を開き、人数は計 2 万人規模に。 地方でも十数県で集会が開かれた。 政府はリーダー格を相次いで逮捕し抑え込みを図るが、若者らは SNS を通じた呼びかけで次々に街頭に繰り出している。 政権側は高架鉄道や地下鉄などを止め、集結を阻止しようとしているが効果は限定的だ。 一方、こうした措置は市民生活の混乱も招いている。 警察幹部は 18 日、非常事態宣言下のデモが違法であることを改めて強調し、法に基づく対応を取ると語った。 再び強硬手段に出る可能性がある。 (バンコク = 乗京真知、福山亜希、asahi = 10-18-20)


NY 株、3 週間で 2 千ドル下落 米経済の先行き不安強く

米ニューヨーク株式市場で、今月初めまで過去最高値圏で動いていた株価が一転、下落傾向にある。 主要企業でつくるダウ工業株平均は、この 3 週間で約 2 千ドルも下落。 米経済の先行きをめぐり不安要素が積み重なっており、投資家が慎重姿勢を強めている。 週明けの 21 日、ダウ平均は前週末比で一時 900 ドル超続落した。 終値は同 509.72 ドル (1.84%) 安い 2 万 7,147.70 ドルで、1 カ月半ぶりの安値だった。

外国為替市場でも、投資家がリスク回避姿勢を強め、ドルを売って安全資産とされる円を買う動きが広がった。 円相場は一時、1 ドル = 104 円近くまで円高ドル安が進んだ。 その後大きくドルが買い戻され、午後 5 時(日本時間 22 日午前 6 時)時点では 1 ドル= 104 円 60 - 70 銭と、前週末の同時刻比 07 銭の円安ドル高。 米最高裁のリベラル派、ギンズバーグ判事の死去を受け、後任選びを急ぐトランプ大統領や与党・共和党と、反対する野党・民主党の対立が激化。 追加経済対策をめぐる与野党の協議が暗礁に乗り上げる恐れが強まった。

欧州で再び新型コロナウイルス感染が拡大していることや、欧米の大手金融機関が巨額の資金洗浄(マネーロンダリング)に関与してきたとする一部報道も、株式相場の重しになった。

米連邦準備制度理事会 (FRB) の未曽有の金融緩和などを支えに、ダウ平均は 2 日に半年ぶりに 2 万 9 千ドル台に乗せ、コロナ危機前の 2 月に記録した過去最高値(2 万 9,551 ドル)までわずか 450 ドルに迫った。 しかし、夏以降の急騰で過熱感が強まっていた IT 株が大きく売られたことを機に相場全体が反転。じりじりと水準を切り下げてきた。 「恐怖指数」とも呼ばれる米国株の変動率指数 (VIX) は 21 日、31 超まで上昇。 先行き不安が高い状態とされる「20」を超えて動いており、当面は不安定な相場展開が続きそうだ。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 9-22-20)

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NY 株再び大幅下落で 630 ドル安に テスラ 21% 急落

連休明け 8 日の米ニューヨーク株式市場は、主要企業でつくるダウ工業株平均が大幅続落し、前週末比 632.42 ドル (2.25%) 安い 2 万 7,500.89 ドルで終えた。 この夏に急騰していた IT 銘柄を中心に、利益を確定するための売り注文が広がった。 ハイテク株が多いナスダック市場の総合指数も急落。 同 465.45 ポイント (4.11%) 低い 1 万 0,847.69 で取引を終えた。 同指数は今月 2 日につけた過去最高値(1 万 2,056.44)から 10% 超の下落となり、調整局面に入った。

これまでの米株高を主導してきた代表的銘柄、電気自動車 (EV) 大手テスラは 21% もの急落となった。 市場で期待されていた米主要株価指数「S & P500」への採用が見送られたことがきっかけ。 アップル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックなど主要 IT 銘柄はいずれも 4% 超の大幅下落となった。 欧米メディアは前週末、ソフトバンクグループ (SBG) が米大手 IT 株をめぐって数千億円規模のデリバティブ(金融派生商品)取引を手がけていたと報道。 この大口取引が 8 月以降の米ハイテク株高騰の一因となった可能性があり、市場では高値への警戒感が一段と強まっていた。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 9-9-20)


「中国企業が安倍首相含む 240 万人の個人情報収集」 豪メディア

中国の企業が、安倍総理大臣を含む日本や欧米などの政治家や外交官らおよそ 240 万人の個人情報を収集し、中国が工作活動に使った疑いがあると、オーストラリアのメディアが伝えました。 オーストラリアの公共放送 ABC などによりますと、個人情報を収集していたとされるのは、中国の企業「中国振華電子集団」の傘下にあるデータ関連企業です。 この企業は、およそ 240 万人分の個人情報をデータベースとしてまとめ、この中には、安倍総理大臣を含む欧米やアジアなどの政治家や外交官、企業経営者などが対象とされていたということです。

情報は生年月日やニュース記事、SNS のアカウントなど、大半は公開されているものですが、中には銀行との取り引きに関する情報や履歴書など、非合法に入手されたものとみられる情報も含まれていたということで、収集された個人情報が中国の工作活動に使われた疑いがあると伝えています。 データベースは、関係者からもたらされ、オーストラリアや欧米の報道機関と専門家らが分析にあたったということで、プロジェクトに加わったアメリカの研究者はメディアに対し、「中国は自国民だけでなく世界中の人々を監視し、影響を及ぼそうとしていて、その脅威が大きくなっている」と警鐘を鳴らしています。 (NHK = 9-15-20)


カリフォルニア州の焼失面積、東京の 6 倍に 山火事拡大

米西海岸で記録的な規模の山火事が広がっている。 カリフォルニア州では焼失面積で同州史上 10 位に入る山火事が 5 つ発生。 オレゴン州では約 50 万人が避難準備や避難指示の対象となり、米メディアによると、ワシントン州を加えた 3 州の犠牲者は 25 人に上る。 異例の暑さと乾燥など、気候の変化が影響しているとの危機感が強まっている。

「気候変動が起きているか否かという議論は終わりだ。 カリフォルニアに来て自分の目で確かめるといい。」

カリフォルニア州のニューサム知事は 11 日、大規模な山火事に見舞われた州北部のブット郡の被災地でこう訴えた。 記録的な熱波と干ばつに見舞われた同州では 8 月半ばに 1 万 4 千を超える落雷が起き、各地で大きな山火事が発生した。 現在も大規模なものだけで 30 近い山火事が続いている。 同州政府によると、焼失面積は東京都の面積の 6 倍近い 1 万 2,500 平方キロに達した。 犠牲者も 19 人に上る。 9 日には州北部から流れ込んだ煙で、サンフランシスコ市などで一日中、空が暗いオレンジ色に染まる現象が起きた。

オレゴン州でも焼失面積は 4 千平方キロを超え、5 人が犠牲になったほか数十人が行方不明になっている。 亡くなった 1 人は、13 歳の少年で車の中でひざの上に飼い犬を抱いた状態で見つかった。 同州では 4 万人以上が避難しており、約 50 万人が避難準備、避難待機、即時避難のいずれかの勧告を受けている。 ブラウン知事は 11 日の会見で、「気候変動が状況を悪化させていることは疑問の余地がない」と語った。 ワシントン州でも 2,500 平方キロ以上が焼失し、少なくとも 1 人が犠牲になった。 同州のインスリー知事は「おそらく州史上、最も壊滅的な山火事だ」と、その拡大のスピードに危機感を募らせている。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 9-12-20)

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最高気温 54 度を記録したカリフォルニアに、いきなり降雪予報

記録的なヒートウェーブと山火事で、まるで「炉の中にいるようだ」と形容されたアメリカ西部に、今度は急激に寒気が流れ込み、雪の降るところが出てきそうだ。 9 月最初にある 3 連休はレイバーデー(「労働者の日」)で、例年ならパレードを見たり、家族でバーベキューしたり、アメフトを見たりして過ごす。 今年はどれも叶わず、代わりにやって来たのは記録的な高温と山火事、そして停電だった。

気象予報士の白戸京子さんがこう話す。 「先月 54.4 度を記録したカリフォルニア州のデスバレーは、9 月 5 日の最高気温が 51.66 度と、9 月として最高記録を更新しました。 続く 6 日は 48.88 度でしたが、その日、デスバレーをわずかに上回ったのがロサンゼルスで 49.4 度、観測史上 1 番の記録となりました。 他にも霧で有名なサンフランシスコが 37.77 度、パームスプリングスは 49.99 度など、各地で灼熱の記録が塗り替えられています。 電力需要の増えたカリフォルニア州は、連休中も計画的に停電をおこなっていて、SNS では『no AC (ノーエアコン)』の話題で盛り上がったようです。」

先月半ばから大規模な山火事が発生していたが、今回のヒートウェーブで火事はさらに増え、焼けた面積は 200 万エーカー(8,000 平方キロ)を超えたという。 現在は 1 万 4,000 人を超える消防隊が州内の 20 カ所以上で奮闘中だ。 州南部のサンバーナーディーノ郡で 5 日に起きた火事は、パーティーで違法に火薬を使ったことが原因だった。 妊娠中の赤ちゃんの性別を告知する「ジェンダー・リビール」という最近流行のパーティーでは、カウントダウンとともに、青やピンクの色を発表する。 発表の仕方に工夫を凝らすのだが、火薬を爆発させて色のついた粉を大きく撒き散らしたり、スタジアムのモニターに映し出したり、橋をライトアップするなど派手な演出も見られる。

2 年前、アリゾナ州のパーティーでは火薬装置が 180 平方キロの山火事を引き起こし、主催者は 8 億 7,000 万円の賠償を命じられた。 今回の火事でも、3,000 名の住民が避難し、60 台の消防車と 600 名の消防士が消火にあたっている。 本格的な山火事シーズンは 9 月、10 月でこれからが本番だが、連休が終わると同時に今度は北から冷たい寒気が流れ込んできた。 7 日までに 73 日連続で気温が 32 度以上だったが、8 日は一転して雪の予報が出ている。 日中の気温差は 30 度以上だ。

「山火事の多いカリフォルニア州は雪こそ降らないでしょうが、乾いた強い風が吹き込むと、さらに山火事の危険が高まります。 地元ではサンタアナ風やディアブロ風と呼ばれて、非常に恐れられているんです。 今回の天気の急変は、先週日本付近を通過した台風 9 号が影響しています。 台風の強いパワーが上空の流れを大きく蛇行させ、空気が南北に大きく揺れたまま数千キロ離れたアメリカ大陸に到着し、北の冷たい空気をはるか南まで運び込んでいるのです。」

特別警報に匹敵する発達を見せた台風 10 号も、いずれアメリカ大陸に影響を及ぼすとみられる。 レイバーデーは、翌日から学校の始まるところも多く、夏の終わりを告げる祝日と言われている。 今年はとても極端な夏の終わりとなりそうだ。 (SmartFLASH = 9-8-20)


イスラエルと国交正常化、バーレーンも合意 米発表

【ワシントン = 中村亮、カイロ = 久門武史】 トランプ米大統領は 11 日、イスラエルとバーレーンが国交正常化に合意したと発表した。 イスラエルと国交を樹立するアラブ諸国は 8 月に国交正常化で合意したアラブ首長国連邦 (UAE) に続き 4 カ国目。 イスラエルとアラブが共通の脅威とみなすイランへの対抗に向けて連携を加速する。 トランプ氏が 11 日、イスラエルのネタニヤフ首相やバーレーンのハマド国王と電話し、両国が国交正常化に合意した。

トランプ氏がツイッターに投稿した 3 カ国の共同声明は合意について「中東での前向きな変革を継続させて地域の安定や安全保障、繁栄に貢献する」と強調した。 イスラエルと UAE が 15 日にホワイトハウスで開く国交正常化合意の調印式にバーレーン政府高官も参加。 イスラエルとの「平和宣言」に署名する予定だ。 トランプ氏は 11 日、ホワイトハウスで記者団に対し「(バーレーンに)さらに多くの国が続くことをとても望んでいる」と語り、イスラエルとアラブ諸国の連帯を一段と促していく考えを強調した。 「(連帯に)パレスチナも加わりたいと思っている。 パレスチナの友人がみんな加わっているからだ。」と述べた。

ポンペオ米国務長官は 8 月末にバーレーンを訪問し、イスラエルとの国交正常化を働きかけていた。 バーレーンは 8 月中旬、イスラエルと UAE の国交正常化合意について早々に歓迎を表明し、早期に追随するとの見方があったからだ。 相次ぐ国交正常化はトランプ氏にとって外交政策の大きな成果となる。 バーレーンはペルシャ湾に面した王国で、隣国サウジアラビアとの関係が深い。 王家をはじめ指導層はイスラム教スンニ派だが、国民の多数はシーア派が占める。 対岸にあるシーア派の大国イランを潜在的な脅威とみている。

イスラエルにとって、バーレーンとの正常化合意は、敵対するイランへの圧力を強めるうえで大きな成果になる。 バーレーンには米海軍第 5 艦隊が司令部を置き、イランににらみをきかせている。 バーレーンは石油・天然ガスに歳入の大半を頼る。 IT (情報技術)や医療など先端技術に強いイスラエルとの産業協力は、目指す経済の多角化に追い風となる。 イスラエル企業はバーレーンと組むことで、洋上橋で結ばれた地域大国サウジのを視野に入れた活動がしやすくなる。 (nikkei = 9-12-20)

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イスラエルと UAE が国交樹立で合意 トランプ氏が発表

トランプ米大統領は 13 日、イスラエルとアラブ首長国連邦 (UAE) が国交を樹立することで合意したと発表した。 イスラエルによるヨルダン川西岸地区の一部併合の停止を条件にしている。 ホワイトハウスが発表した米国とイスラエル、UAE の共同声明によると、トランプ氏と、イスラエルのネタニヤフ首相、アブダビ首長国のムハンマド皇太子が 13 日に電話会談し、「完全な国交正常化」で合意したとしている。

共同声明は「この歴史的な進展は、中東地域の和平を前進させる」と意義を強調した。 イスラエルと UAE の代表が数週間以内に投資や観光、飛行機の直行便、治安、技術、エネルギー、文化、相互の大使館設立などに関して、両国間の署名を交わすとしている。 トランプ氏は「大きな進展だ! 米国の素晴らしい友のイスラエルと UAE の歴史的な和平合意だ。」とツイッターに投稿。 「氷は溶けてきた。 ほかのアラブ諸国が UAE に続くことを期待している。」と記者団に語った。

イスラエルはパレスチナ問題をめぐり、歴史的にアラブ諸国と対立。 1979 年、エジプトと平和条約を締結。 94 年にヨルダンとの平和条約を締結し、この 2 カ国とは国交がある。 (ワシントン = 渡辺丘)

変化する中東の対立構造 パレスチナは

イスラエルが 1948 年に建国して以来、パレスチナを支持するアラブ諸国とイスラエルとの間では戦争が繰り返されるなど、争いが続いてきた。 戦争を経て、エジプトとヨルダンはイスラエルとの和平条約を結んだものの、多くのアラブ諸国はいまもイスラエルと国交を持たず、敵対する構図が続いている。

しかし、こうした対立構図にも近年は変化が見え始めていた。 イスラエルのネタニヤフ首相は 2018 年 10 月、国交のないオマーンを首相として 22 年ぶりに訪れ、当時のカブース国王と会談。 イスラエルの閣僚も同月、UAE を訪問した。 今年 1 月にトランプ米大統領が中東和平案を発表した際にも、パレスチナが反発する一方で、UAE、バーレーン、オマーンといった親米国の大使はホワイトハウスに姿を見せたことが話題となっていた。

背景には、中東情勢の変化にともなって双方が関係正常化に進みたい思いがある。 近年、イスラエルは対イランの強硬姿勢を明確にする一方、アラブ諸国とは距離を縮める意図を繰り返し明言してきていた。 アラブ諸国側も、イスラエルと関係を持つことによる経済や安全保障面での利点がある。 一方、こうした関係正常化の動きにより、依然としてイスラエルと強く対立しているパレスチナは後ろ盾を失い、孤立化が進む可能性がある。 (エルサレム = 高野遼、ドバイ = 高野裕介、asahi = 8-14-20)


米、台湾で EU・日本と新たな経済連携訴え 中国排除

【台北 = 中村裕】 台湾にある米国の代表機関の米国在台協会 (AIT) は 4 日、台北市内で欧州連合 (EU)、日本の各代表機関と共同で、新たな経済連携を目指すフォーラムを開催した。 中国の排除を念頭に、今後は経済連携の新しい枠組みづくりが必要になる、との認識で一致した。 チェコ上院議長らの台湾訪問に合わせ、米国が主催した。 フォーラムでは米中対立が激化するなか、信頼できるパートナー同士でサプライチェーン(供給網)の再構築を急ぎ、経済発展を目指す必要性を共有した。

AIT トップのブレント・クリステンセン処長(大使に相当)は「多くの企業は今、中国とのつながりの危険性をますます認識し、(中国大陸からの)代替生産地を探し始めている」と指摘した。 その上で「中国企業と対照的に台湾の企業は法令を遵守し、知的財産も保護している」とし、中国を痛烈に批判した。 台湾の呉●(= かねへんにりっとう)燮・外交部長(外相)も「新型コロナウイルスの発生は、単一国家やサプライヤーに過度に依存するリスクを露呈した。 今後は志を同じくするパートナーと協力し、経済で相互関係を築いていく」と述べた。

フォーラムには台湾当局やチェコ訪問団のほか EU の欧州経済貿易弁事処、日本台湾交流協会が参加した。 各国が台湾に置く事実上の大使館で、米国の呼び掛けに応じた。こうした枠組みに EU が参加するのは珍しい。 新たな経済連携では過度な中国依存から脱却し、各国が新しい枠組みの中で協力する。 背景には次世代通信規格「5G」分野で高いシェアを持つ華為技術(ファーウェイ)問題や、米国や台湾が得意とする高度な半導体技術の中国への流出防止といった課題がある。

米台間では既に動き始めている。 5 月、米が半導体世界大手の台湾積体電路製造 (TSMC) のアリゾナ州への工場誘致を決め、高度な半導体で新しいサプライチェーンの構築が進み始めた。 8 月 31 日にはスティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が、台湾との間で「新たな経済対話」の枠組みを設ける方針を表明した。 半導体や医療、エネルギーなどを対象とする見込みで、中国を排除した協力姿勢を鮮明にする。 (nikkei = 9-4-20)


1,400 万円で国籍が買える国 中国人が次々、不安視も

太平洋の島国バヌアツで、外国人への「国籍売却」が急増している。 高額の申請料を払った外国人に国籍を与える制度で、人口 30 万人の小国で最大の財源に。 事業を担当するバヌアツ国籍委員会によると、「買い手」の多くは中国人という。 同国では 2017 年に現行の制度を導入。 申請料は 1 人 13 万ドル(約 1,400 万円)で、家族も含む場合は追加の申請料を払う。 例えば、夫婦と子 2 人の場合は計 18 万ドルになる。 治安当局による犯罪歴などの審査を経て国籍が与えられる。 同国での居住は、国籍付与の条件になっていない。

政府の報告書によると、この制度による収入は昨年、当初予算額の 1.9 倍の 122 億バツ(115 億円)に達した。 政府の歳入の 3 分の 1 を占める額で、国籍委員会によると、新たに数千人が国籍を得た。 今年は 1 月から 8 月半ばまでの収入が 96 億バツだった。 法人税や所得税がない同国では長年、日本の消費税にあたる付加価値税が最大の財源だったが、18 年にこの制度の収入が取って代わった。 国籍申請は、代行業者を通じて海外からもできる。 中国本土や香港の人が目立ち、国籍取得後も「80% 以上が我が国には来ず、居住もしていない(国籍委員会)」という。

申請者には、外国への渡航の可能性が広がることへの期待が大きいようだ。 1980 年に独立するまで英国とフランスの共同植民地だったこともあり、同国の旅券を持っていると、欧州各国も含む 110 カ国以上にビザなしで入国できる。 バヌアツはビーチリゾートや火山などの観光が主要産業の一つだが、新型コロナウイルスの影響で 3 月から外国人の入国を原則禁止。 4 月には大型サイクロンが上陸し、人口の半数近くが被災した。 経済的に厳しい時期で、この制度の重要性が高まっているという。

一方で、中国人らが次々と国民になる状況を不安視する声も出ている。 同国では近年、港や政府施設などの大型インフラ施設の建設支援を通じて、中国の影響力が強まっている。 英プロフェッショナル・ウェルス・マネジメント誌の報告書によると、世界ではバヌアツのほか、ドミニカやトルコ、カンボジアなど 13 カ国で高額の「投資」と引き換えに国籍を与える制度がある。 (シドニー = 小暮哲夫、asahi = 9-4-20)


大型ハリケーン、米上陸へ 「生存不能」な高潮の恐れ

米国南部に間もなく上陸する見通しのハリケーン「ローラ (Laura)」は 26 日、5 段階で上から 2 番目の「カテゴリー 4」に勢力を強めた。 カテゴリー 4 は「非常に危険」な勢力とされ、米国立ハリケーンセンター (NHC) は最大 6 メートルの「生存不能な」高潮が起きる可能性を警告。 テキサス州やルイジアナ州の沿岸地域では数十万人に避難命令が出された。

NHC によるとローラの最大風速は約 61 メートルで、同日夜から未明にかけてメキシコ湾沿岸に上陸する見通し。 NHC は「大きく破壊的な波を伴った生存不能な高潮が発生し、テキサス州のシーリム州立公園からルイジアナ州のイントラコースタルシティーにかけて壊滅的な被害をもたらす」と警告。 一部地域では高潮が内陸約 48 キロメートルに達し、満潮と重なることで潮位が通常より最大 4.5 - 6 メートル上昇する可能性がある。

11 月まで続く今年の大西洋ハリケーンシーズンでは、ハリケーンや熱帯低気圧の発生数が過去最多水準となる可能性がある。 NHC は名前の付く規模の勢力の熱帯低気圧がシーズンを通して最大 25 個発生すると予想しており、ローラは 12 個目。 これに先立ちローラが通過したハイチとドミニカ共和国では、洪水で少なくとも 25 人が死亡していた。 同じくメキシコ湾を通過した熱帯低気圧「マルコ (Matco)」はハリケーンから勢力を弱め、25 日、上陸前にルイジアナ州沖で消滅した。 (AFP/時事 = 8-27-20)


車サイズの小惑星、地球すれすれ通過 観測史上最接近か

米航空宇宙局 (NASA) は 18 日、大きさが 5 メートル前後の中型車ほどの小惑星が、16 日に地球すれすれをかすめていたと発表した。 最も近づいた時の距離は、地球の直径の 4 分の 1 にあたる 3 千キロ上空だったといい、地球にぶつからなかった小惑星としては観測史上最も近づいたとみられる。 発表では、米パロマー天文台が 16 日、飛び去っていく小惑星を発見した。 大きさは 3 - 6 メートルで「2020QG」と名付けられた。 太陽の方向から地球に近づき、インド洋の 3 千キロ上空をかすめながら地球の重力で軌道を変え、通り過ぎたという。

これまでの最接近記録は、2011 年の「2011CQ1」の約 5,500 キロだった。 今回の 3 千キロは月までの距離の 100 分の 1 以下で、地球を直径約 20 センチのバレーボールに例えるとボールの表面から 5 センチの付近だった。 7 月上旬に関東上空に現れ、千葉県で隕石(いんせき)が見つかった流れ星は数十センチの大きさだったとみられている。 今回の小惑星は 5 メートル前後で10倍の大きさがあるが、もし地球にぶつかっていても大気圏内でほぼ燃え尽き、被害が出る可能性は低いと NASA はみている。

小惑星の多くは火星と木星の間を回っているが、地球に近づくものも 2 万個ほど知られている。 このうち大きさが 140 メートル以上の約 2 千個が地球に衝突する恐れがある「潜在的に危険な小惑星」として監視されている。 ただ、今回のような数メートルの小惑星は小さすぎ、「数億個あるとも言われるが、事前に発見するのは非常に困難 (NASA)」なのが現状だ。 発見チームの米カリフォルニア工科大のジョージ・ヘロウ氏は「望遠鏡の広い視野と迅速なデータ処理で希少な小惑星を発見できた」と話している。 (石倉徹也、asahi = 8-20-20)


中国共産党の支配強化によって香港から流出する資金の行き先は「あの国」だった

香港の金融センター機能を日本が代替する可能性はあるのか?

6 月 5 日に中央銀行にあたるシンガポール金融通貨庁 (MAS) の発表によると、4 月の銀行の非居住者預金残高は、前年同月比 44% 増の 620 億シンガポールドル(約 4 兆 7,000 億円相当)になりました。 これは 1991 年以降で最も多い増加額です。 これを見る限り、香港からシンガポールへの大量の資金移転を反映している可能性が高そうです。

シンガポールへの資産移転の動きを受けて、UBS、クレディ・スイス、ジュリアス・ベアなどのプライベートバンク各社は、中国や香港の顧客を対象としたオフショア資産運用担当者の増員を計画している、とロイターが報じています。 その多くがシンガポールを拠点としたポストだといわれています。 さらに、ヘッジファンド、プライベート・エクイティなども、香港国家安全維持法をきっかけに、資産をシンガポールにシフトしているとのことです。 残念ながら日本が、香港から海外金融機関や人材を誘致できる可能性はかなり小さいと言わざるを得ません。

シンガポールと比較すると、言葉と税制の問題が、日本の国際金融センターとしての競争力をかなり劣ったものにしています。 特に、中国ビジネスという観点からは、英語と中国語の両方が通用するシンガポールに比べて、共に話す人が限られる日本の劣位は明確です。 また、法人税、個人所得税においても、シンガポールの法人税率は 17%、個人所得税率は最高税率 22% と、シンガポールの税金の水準は日本よりもかなり低く、この面でも香港からの金融機関や人材がシンガポールに移ることは避けられないでしょう。

結局、香港の一般企業、金融機関や個人は、これから中国に従うか、それとも香港から脱出するかの二択を迫られることになると思われます。 香港の人口 750 万人のうち、半数程度は香港から離れることを余儀無くされる可能性すらありえます。 香港は、モノとカネによって中国と世界をつなぐ重要なゲートウェイでしたが、最悪その役割を失うことになるのです。 (立沢賢一、サンデー毎日 x 週刊エコノミスト = 8-10-20)

立沢賢一(たつざわ・けんいち) : 元 HSBC 証券社長、京都橘大学客員教授。 会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会 (GIA) 会員など多彩な活動を続けている。 投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。


レバノン非常事態宣言、ベイルート爆発受け 死者 135 人に

[ベイルート] レバノン内閣は 5 日、首都ベイルートで前日発生した大規模爆発を受け、2 週間の非常事態を宣言した。 ベイルート中心部に近い港湾地区の倉庫で発生した爆発の死者は、これまでに 135 人に達し、負傷者も 5,000 人を超えている。 ハッサン保健相によると、なお数十人が行方不明で、自宅が損壊し住めない状況にある人は最大 25 万人に上るという。 内閣はベイルートの保全に関する権限を軍に移管し、2014 年以降に同倉庫の管理に関与した人物を全員、自宅監禁するよう命じた。 ディアブ首相はまた、6 日から 3 日間、国家として喪に服す方針を表明した。

アウン大統領は、政府は「何が起きたかを早急に明らかにし、責任を取らせる決意だ」と述べた。 初期段階の捜査によると、2,750 トンの硝酸アンモニウムが 6 年間にわたり安全対策が取られずに保管されており、それが爆発の原因とみられる。 捜査について知る当局筋は、危険物の撤去を命じるために関与していた委員会や判事が「何ら対応を取らなかった」とし、関係者の「無為と怠慢」を非難した。

当局者は最初に火が上がった原因には言及していないが、メディアなどによると、倉庫で行われていた溶接作業が原因となった可能性があるという。 ベイルートの知事は地元テレビに対し、爆発による被害総額はビジネスの直接・間接的な損失を含めて 100 億 - 150 億ドルに達する可能性があるとの見方を示した。 国際社会は中東や欧米を中心に、医師や救助隊の派遣、救援物資の送付など支援を表明している。 フランスのマクロン大統領は 6 日にレバノンを訪問する。 (Reuters = 8-6-20)

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まるでこの世の終わり … レバノン首都、二重爆発の現場から

港全体が炎に包まれ、船舶は燃え上がり、周囲の建物は砕け散った … レバノンの首都ベイルートの港湾地区で発生した大爆発の現場は、まるで核爆発後の終末世界のような様相だった。 倉庫にあった大量の硝酸アンモニウムが原因とされる爆発の現場は、ガラスやがれきの山と化していた。 港で働いていたという兄弟の消息を求めて泣き叫ぶ若い女性が、現場を封鎖する治安部隊に制止されていた。 辺り一帯に鳴り響く救急車のサイレン。 爆発地点にせわしなく出入りする消防車。 遺体の搬送は少なくとも 3 時間にわたって行われた。

港の内側の格納庫は、焼け焦げた缶のようだった。 あらゆる物が破壊され、元の形をとどめていなかった。 頭上では消防隊のヘリコプターが放水していた。 一帯に散乱する荷物。 きれいなままのバッグがあったが、横には遺体が横たわっていた。 半径数百メートル以内に駐車していた車両はすべて爆風の影響を受けた。 爆発の衝撃はあまりに大きく、240 キロ離れたキプロスでも感じられたという。

辺り一面、遺体

爆発地点に最も近い場所にあった車両はスクラップ工場の鉄くず同然となり、鳴り響く警笛や点滅するライトが現場の混乱を深めていた。 疲弊した消防隊員たちが、2 度起きたうちの最初の爆発で出動した同僚らを捜索していた。 治安部隊の助けを得て、遺体を探す市民防衛隊。 集まった報道陣に隊員の一人が「何を撮るっていうんだ? 辺り一面、遺体だらけだ。」と怒声を浴びせていた。

同僚の一人が遺体となってストレッチャーで運ばれてくると、治安部隊の隊員らは一斉に泣き崩れた。 5 日午前 2 時(日本時間同 8 時)までに確認された死者は 73 人。 だが、3,000 人以上が負傷し、病院では対応に苦心しており、最終的な死者数が増えるのは避けられないだろう。

炎のキノコ雲

停泊していたある船舶が、キノコ雲のように広がった炎で燃え上がったとき、当局は燃料への引火による二次災害の悲劇を恐れ、パニックとなった。 別の貨物船 2 隻の船員ら約 10 人が、爆発現場近くの歩道に座り、医師の治療を待っていた。 そのうちの 1 隻メロ・スターのエジプト人乗組員は、「船は海に沈みつつある。 爆発で船に穴が開き、まだ船内に重傷者がいる。」と語った。 別の乗組員は「爆竹のような音が聞こえ、倉庫から煙が上がるのが見えた。 それから数分して、爆発が起きた。」と語った。 (AFP/時事 = 8-5-20)


米 GDP、前期比 32.9% 減 コロナで戦後最悪水準

米商務省が 30 日発表した 2020 年 4 - 6 月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、年率換算で前期比 32.9% 減となった。 新型コロナウイルスの感染拡大で、戦前の大恐慌以来となる落ち込みを記録した。 経済活動の再開で今後は持ち直す見込みだが、足元では感染の拡大が止まらず、力強い急回復には程遠い状況だ。

マイナス幅はほぼ市場予想(約 34% 減)並みで、統計が残る 1947 年以降で最悪の水準。 リーマン・ショック後(08 年 10 - 12 月期の 8.4% 減)など戦後の低迷期を大きく上回る急減となった。 GDP の 7 割を占める個人消費は 34.・6% 減、企業の設備投資は 27.0% 減。 世界で同時不況が起きており、輸出が 64.1% 減、輸入は 53.4% 減と貿易も激減した。

米経済は 2 月まで堅調だったが、1 - 3 月期はリーマン以降で最悪の 5.0% 減(確定値)と暗転した。 4 月の失業率は戦後最悪の 14.7% を記録。 5 - 6 月に経済活動が徐々に再開したことに伴い、小売りや製造業などの指標で改善がみられていた。 だが、経済活動の再開は感染の再拡大を招いている。 7 月下旬には新規感染者数が 1 日あたり 7 万人規模と過去最悪の水準に達し、死者数も連日 1 千人を超えた。 累計の感染者数は 440 万人超と世界の 4 分の 1 を占め、夏を迎えても感染拡大に歯止めがかからなかったことが、消費者心理を冷え込ませている。

米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長は 29 日の記者会見で、クレジットカードの使用額やホテルの予約状況など直近のデータを踏まえ、「6 月の感染急増以来、米経済の回復ペースは遅くなったようだ」と指摘。 これに先立つ連邦公開市場委員会 (FOMC) では、「ゼロ金利」など危機対応の金融政策の維持を決めた。 4 - 6 月期の落ち込みが激しいだけに、10 月 29 日に発表される 7 - 9 月期の米 GDP はプラスに転じることが確実だ。 ただ、FOMC 後の声明では「経済の軌道はウイルスの動向に大きく依存する」と新たに明記し、見通しの不確実さを強調した。(ワシントン=青山直篤、ニューヨーク=江渕崇、asahi = 7-30-20)


在米中国総領事館がかくまった "軍所属" の女を拘束

アメリカのトランプ政権は、中国軍の関係者であることを隠してビザを取得したとして訴追した中国人 4 人のうち、サンフランシスコの中国総領事館でかくまわれていた女 1 人を拘束しました。 中国人 4 人のうち 3 人はすでに逮捕されていて、残っていた女 1 人も拘束されたことが 24 日に明らかになりました。

女はサンフランシスコにある中国総領事館でかくまわれていました。 アメリカ司法省は中国人 4 人が軍の研究機関などに所属していたことを隠し、研究者向けのビザを取得したとしています。 そのうえで「中国共産党はアメリカの開かれた社会を利用し、学術機関から情報を盗もうとしている」と批判しています。 FBI (連邦捜査局)は他にもアメリカの 25 以上の都市で中国軍との関係が疑われる中国人の調査を進めています。 (ANN = 7-24-20)

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中国が米に報復措置 成都の米総領事館閉鎖を要求

中国外務省は 24 日、在中国米国大使館に対し、四川省成都にある米国総領事館の設置許可を取り消し、業務を停止するよう求める通知を出したと発表した。 米国がテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命令したことに対する報復措置だ。

中国外務省は今回の措置について「米国の不当な行為に対する対応であり、国際法や外交慣例にも符合するものだ」と主張。 一方で「中米間の現在の状況は中国が望むものではなく、責任は完全に米国側にある。 我々は再度、米国が誤った決定を取り消し、両国関係を正常な軌道に戻すための必要な環境を作り出すよう促す」と呼びかけた。(北京 = 冨名腰隆、asahi = 7-24-20)

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米当局、在ヒューストン中国領事館閉鎖を通告 領事館側は敷地内で文書を焼却か

中国外務省は 22 日、米国から突然、ヒューストンの領事館を閉鎖するよう通告されたと発表、米国の措置を強く非難し、対抗措置を講じる可能性を示唆した。 外務省報道官によると、ヒューストン領事館閉鎖を通告されたのは 21 日だった。 現地メディアは 21 日夜、領事館の敷地内で文書が燃やされていると報道したが、外務省報道官は、領事館は通常通り業務を行っていると述べた。 (Reuters = 7-22-20)

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米司法省、中国人 2 人起訴 サイバー攻撃でコロナ研究情報など窃取

[ワシントン] 米司法省は 21 日、新型コロナウイルスに関する研究データや軍事機密などをサイバー攻撃により盗んだとして、中国人 2 人を起訴したことを明らかにした。 当局によると、李ショウ宇 (34)、董家志 (33) 両容疑者は、10 年以上前から現在に至るまで米国や日本などの企業や機関にサイバー攻撃を仕掛け、武器デザインや医薬品、ソフトウェアのソースコードなどの情報を盗んだ罪に問われている。 中国政府に批判的な個人の情報も盗んだとされる。 両容疑者とも中国国家安全部 (MSS) との契約の下で行動し、サイバー攻撃に必要な情報は国家安全部が提供していたとみられている。

デマーズ米司法次官補(国家安全保障担当)は、中国政府は知的財産権を盗むためにサイバー犯罪者に安全な隠れ場所を提供していたと非難。 「中国はロシアやイラン、北朝鮮と同様、国家の利益のために働くのと引き換えにサイバー犯罪者に安全な場所を提供する恥ずべき国に名を連ねた」と述べた。 ワシントンの中国大使館は、ロイターの取材に対し「中国は長年にわたり、サイバー空間での窃盗や攻撃の主要な被害者」となっており、そうした行為に「断固として反対し、対抗する」とした先の中国外務省のコメントに言及した。

被害に遭った企業や個人の名前は、ほとんど明らかにされていない。 ウィリアム・ヒスロップ連邦検事は、米国や世界各地に数百の被害者がいると述べた。 当局は、閉鎖されたワシントン州の核施設「ハンフォード・サイト」のネットワークにハッカーが 2015 年に侵入したことをきっかけに捜査に乗り出したという。 起訴状によると、サイバー攻撃の標的には、香港の抗議活動家やチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマの事務所、中国のキリスト教非営利団体なども含まれた。

また、新型コロナ感染拡大に焦点が当てられ始めていた 1 月下旬の時点ですでに、容疑者らはマサチューセッツ州のバイオ企業からワクチン研究データを盗もうとしていたという。 実際にデータが盗まれたかどうかは不明だが、専門家は、中国などの政府が新型コロナに関する研究に「極めて高い価値」を見い出している証拠だと指摘。 サイバーセキュリティー会社・ファイヤーアイのシニアアナリスト、ベン・リード氏は「世界各国の政府にとって根本的な脅威であり、治療やワクチンに関する情報は、複数のサイバースパイ支援者の標的になるだろう」と述べた。 (Reuters = 7-22-20)