塩釜市から食料品支援 外国人実習生がお礼状 宮城県塩釜市の水産加工会社などで働く外国人技能実習生と佐藤光樹市長との懇談会が 1 日、同市の市魚市場であった。 新型コロナウイルス感染拡大を受け、市は 7 月、実習生の生活支援として食料品を贈呈。 実習生は感謝の気持ちをしたためたお礼状を披露した。 7 月 15 日現在、ベトナムや中国など 5 カ国の実習生 332 人が市内の 35 社で働く。 市は県産米 5 キロ、ノリ、カップ麺などの食料品を詰め合わせた応援パックを各自に贈った。 懇談会には 20 代の女性実習生 3 人と、それぞれの会社の代表者らが出席。 3 人は日本語で書いたお礼状を読み上げ、佐藤市長に手渡した。 ぜんぎょれん食品(塩釜市)のハフィダ・リズカ・フマイローさん (22) = インドネシア出身 = は「日本のコメが好きで、カップ麺もおいしかった。 もう 2 年間は日本で働く予定なので、もっと仕事を頑張りたい。」と意気込んだ。 佐藤市長は「皆さんには基幹産業の水産業を助けてもらっている。 応援パックを贈ることで市が仲間と思っていると伝えたかった。 体に気を付けて元気に仕事をしてほしい。」と語った。 お礼状を書いたのは 3 社の 21 人。 塩釜国際交流協会が主催する日本語教室に参加し、勉強の一環として書いた。 協会の安川一会長は「日本語の手紙は外国人にとって難しいが、一生懸命書いてくれた。 コロナ禍の中、市の贈り物が励みになっている。」と話した。 (河北新報 = 8-14-20) 違法残業・未払い、技能実習生被害 広島県東部、複数の縫製会社 「市場縮小のしわ寄せ」指摘も 広島県東部の複数の縫製会社で、外国人技能実習生への長時間労働や残業代未払いが横行していることが関係者への取材で分かった。 法定を大きく超える月 100 時間以上の残業が常態化し、残業代の大半は最低賃金の半分ほどの時給で計算されている。 縫製業界では実習生を巡る賃金トラブルが絶えず、専門家は国内市場縮小のしわ寄せが末端の実習生を直撃していると指摘する。 県東部は備後絣(がすり)を源流とする繊維産業が盛んで、縫製工場は激減したものの一定に集積する。 中国新聞の取材に長時間労働と残業代未払いを訴えたのは、この地域の縫製会社 3 社で今も働くベトナム人の女性実習生。 うち 1 社で 2017 年から働く 3 人によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で仕事が減るまでは、休みは月平均 2 日で、残業は多い月で 150 時間に上った。 残業代は「表と裏」に分けて支給される。 残業が 127 時間 30 分だった 6 月を例に取ると、給料では残業は 20 時間とし、最低賃金の 871 円で計算。 給料の手取り総額は約 12 万 5 千円だった。 残る 100 時間余りの残業分は 1 時間 450 円で計算され、約 4 万 5 千円を別に封筒で手渡された。 労働基準法は、1 カ月の時間外労働の上限を原則 45 時間とし、その際は通常の 1.25 倍以上の割増賃金を支払うと規定。 実習生も例外ではない。 3 社はいずれも月 100 時間近く残業させた一方で、給料上の残業は月 10 - 30 時間程度だったと偽装。 残りの残業分は低額で計算して支払った。 ▽ よくある手口 3 社の実習生は 7 月、実習生を支援する労働組合を通じて会社側に未払い賃金を求めた。 うち 1 社の社長は中国新聞の取材に現在は法定通り払っているとした上で、過去の未払いを認め、実習生 2 人に支払いを約束した。 一方で、実習生との間で当初、残業代を 400 - 450 円で支払う「口約束」が成立していたとも説明した。 この社長は「ちゃんと払うと違法な長時間労働がばれる。 実習生は金のために少しでも残業がしたい。 だから裏で払える分だけを渡していた。」 縫製業界ではよくある手口とも明かし、背景には厳しい国内市場があるという。 低価格の商品を次々と供給するファストファッションの流行に伴い、衣服を安く大量生産する工場は海外へ移行し、国内の衣料品市場の規模は縮小。 メーカー側が工賃を上げず、縫製の現場は苦境が続く。 関係者の一人は「日本人は来ず、現場は実習生頼み。 メーカーが単価を上げない限り悪循環は続く。」と嘆く。 ▽ 「氷山の一角」 厚生労働省によると、18 年に実習生を受け入れる繊維・衣服業種で監督指導した計 782 事業所のうち、割増賃金の支払いに関する違反は約 2 割の 155 事業所に上り、違反項目で最も多かった。 同様に実習生が多い建設や農業などを含めた 5 職種で、割増賃金や長時間労働に関する違反の割合も他業種より高い水準にある。 技能実習制度に詳しい法政大の上林千恵子教授(産業社会学)は「業界の構造的な問題で、今回のケースは氷山の一角」と指摘。 「新型コロナウイルスの感染拡大の影響でアパレル市場の厳しさは一段と増している。 実習生にしわ寄せが向き、同様のトラブルがさらに増えるのではないか。」と警鐘を鳴らす。 (中国新聞 = 8-9-20) 「生活費もつか …」 技能実習生、2 万人帰れず困窮も 外国人技能実習を終えて本来は帰国するはずなのに、コロナ禍で帰れない実習生が急増している。 法務省出入国在留管理庁によると、母国の入国制限などで帰国困難な人は約 2 万人にのぼる。 集計し始めた 6 月中旬から約 6 千人増えた。 滞在期間が長引き、生活費も少なくなるなかで追い詰められる人もいる。 2 カ月分の生活費として 1 万円 新型コロナウイルスの感染拡大で入国制限を続ける国は多い。 同庁によると、7 月 24 日時点で帰国困難なのは 1 万 9,600 人。 実習生は全体で約 41 万人いて在留期間は順次終了するため、帰国困難者はこれからも増えそうだ。 実習生は監理団体が窓口になり企業側に送り込んでいる。 最長 5 年の実習期間を終えると在留資格がなくなり原則として帰国しなければいけない。 ルールでは監理団体が旅費を負担することになっているが、帰国までの生活費を誰が支援するのかは不明確だ。 帰国困難な約 2 万人はベトナムや中国などの出身者が多いとみられるが、同庁は詳しい内訳を公表していない。 雇用調整助成金などを利用して企業は雇用を守ろうとするが、実習を終え働いていない人も約 1,100 人いる。 監理団体や企業側に支援を求めても十分には対応してくれず、困窮する事例も相次ぐ。 トヨタ自動車系の部品メーカー、フタバ産業(愛知県岡崎市)の中国人実習生 24 人は、5 月初めの帰国ができなくなった。 地元の労働組合に助けを求め、監理団体と会社側と交渉した。 フタバが当面 2 カ月分の生活費として払ったのは 1 人あたり 1 万円。 会社側は生活費に 2 カ月で 1 人 15 万円かかると試算し、国の特別定額給付金 10 万円分と会社の寮費など 4 万円分を差し引いていた。 監理団体の支援もあったが、実習生によると生活するにはぎりぎりだったという。 「交渉の中で会社から『もう辞めたから支援する義務はない』と言われたのが納得できなかった。」 工場で約 3 年間働いていた劉震さん (25) は嘆く。 24 人の月給は手取りで 10 万 - 15 万円ほど。 帰る直前に欠航となり手元にお金はほとんどなく、1 日 2 食に切り詰めたこともあったという。 国会でこの問題が取り上げられたこともあり、フタバと監理団体は実習生に見舞金を払うことで和解した。 金額は明らかにされていない。 フタバは「日本にいる間の生活費と帰国後に必要な費用などを見直した」と説明する。 劉さんを含む 16 人は 2 日に帰国し、残る 8 人も 9 日に戻る予定だ。 フタバは東証 1 部上場の大企業だが、中小企業には支援する体力がないところもある。 寮を出され生活がままならない人も少なくない。 兵庫県の中小の自動車部品メーカーで働いていたベトナム人のティンさん (32) は、大阪市のマンションの一室で仲間 3 人と暮らしている。家賃と光熱費は監理団体が負担するが、食費は自分たちでやりくりする。 ベトナムへの帰国便は月 2 回ほどあるが、搭乗人数は制限され、高齢者や大使館関係者らが優先される。 「いつ帰国できるかわからず、生活費がいつまでもつか不安だ」と漏らす。 監理団体の中には「母国の事情で帰れないのだから大使館が支援すべきだ」といった声もあるが、母国の政府も多数いる実習生に十分には対応できていない。 外国人労働問題に詳しい神戸大の斉藤善久准教授(労働法)は「日本は労働力不足を埋めるため、国策として実習生を受け入れてきた。 帰国できなくなった人が生活に困らないように、国が実態を把握したうえで責任を持って支援するべきだ」と指摘する。 (編集委員・堀篭俊材、asahi = 8-2-20)
技能実習、計画と相違 倉敷の料理店、目的外配置など 倉敷市の和食料理店で技能実習生として働いていた中国人の男女 5 人が 29 日、「実習計画と実際の実習に相違があった」として同市内で記者会見した。 技能実習生らは「実情を知って私たちのようにだまされる人を出さないようにしてほしい」と訴えた。 会見したのは、20 - 30 代の 5 人。 この日欠席した 1 人を含む 6 人は「そう菜製造業」の職種で、実習計画上は仕出し弁当などの調理を主に担当することになっていた。 しかし、実際は食器洗いや飲食店部門の配膳などを担当させられていたとし、技能実習生らは「食品加工の技術を身に付けられていない」と主張した。 また、月平均 100 時間の残業といった長時間労働や労働時間の認定のずれによる未払い賃金に加え、上司などからのパワーハラスメントもあったとしている。 受け入れを仲介した監理団体は、毎日新聞の取材に「100% 計画通りに実習を行うことができたとは思っていない。 店が忙しく、実習の主な作業である調理が少なくなることもあったと認識している。 残業については実習生の収入を上げるためにも規定を越えない範囲で増やしていた。 ただ、定期的に店を調査した際には特に問題は感じなかった。」と説明。 店と監理団体の代理人弁護士は「団体交渉中のため話せない」としている。 (戸田紗友莉、mainichi = 7-30-20) マルナカ、技能実習生を母国のイオンで優先採用 イオン傘下で四国が地盤の食品スーパー、マルナカ(高松市)は、インドネシア人の技能実習生を、帰国後、インドネシアのイオン現地法人で優先的に採用してもらう仕組みを作った。 アジアに展開している企業が製造業ほど多くない流通業でこうした取り組みは珍しい。 技能実習生の就労先としてのイメージ向上にもつながりそうだ。 マルナカは総菜製造を受け持つグループ会社の味彩工房(高松市)との 2 社で、3 年前から技能実習生を採用することにし、受け皿である監理団体を通じて、インドネシア人の受け入れを始めた。 1 年目は味彩工房が採用。 2 年目からは両社あわせて 20 - 25 人ほどを採用しており、現在、味彩工房に 43 人、マルナカでも総菜部門で 19 人のインドネシア人実習生が働いている。 第 1 期で味彩工房に入った実習生 13 人がこのほど 3 年間の実習期間を修了。 うち 9 月に帰国する 3 人全員がイオン現地法人への就職を希望している。 勤務場所など本人の都合が合えば、試験を受けて採用される予定という。 マルナカ本体や味彩工房のこれからの修了生についても優先採用を続ける。 マルナカによると、優先採用の仕組みは平尾健一会長(兼マックスバリュ西日本社長)が社長時代にインドネシア現法と話を決めた。 当初は現地法人で働くインドネシア人をマルナカが実習生として受け入れ、再度現地で雇用するといったループ型の仕組みを考えたが、まずは日本で勉強した実習生を現地で受け入れるところから始めることにしたという。 日本の総菜製造現場の衛生基準は厳しいため現地で教えようと思っても難しく、日本の現場で衛生基準を身につけた実習生は貴重な人材。 3 年間日本で働くと日本語のレベルが高まり、日本の習慣などへの理解も深まるため、インドネシアの現地法人にとって、仕事の技能との両面で採用しやすい人材に育つ。 実習生の側も待遇面などから母国に戻ったら日系企業で働きたいと思っている人が多いという。 実習生の希望に添ううえ、職種が同じなので勉強したことが無駄にならない仕組みになる。 マルナカが技能実習生をインドネシアから受け入れたのは、香川県内の中小企業の経営者有志で結成した監理団体、ヒューマンリング協同組合(さぬき市、宮内和彦理事長)からの提案を受けたのがきっかけ。 同組合は「(技能実習生には労働条件などの面で悪い話も多い中)日本に来て良かったと、日本を好きになって帰ってもらえるようにしたい」と、受け入れ先企業の面接をして待遇などを確かめた上で紹介し、就労先にも職員を派遣して実習生の面倒をきめ細かくみるなど、丁寧な監理をしている。 母国の現地法人での優先採用の仕組みは、マルナカと同組合の問題意識が共鳴して実現した面もある。 各地の技能実習生の就労先を訪問している在大阪インドネシア共和国総領事館によると、実習生の母国現地法人での採用は製造業がほとんどで、「流通業では初めての例だと思う」という。 ■ 待遇改善、人材確保にも好影響 母国の現地法人での優先採用などの待遇改善は採用にも好影響があるという。 特に昨年工場を新設した総菜製造の味彩工房は、隣接地に寮を作ったり、工場にお祈りのための部屋を設けるなど、働きやすさへの配慮のレベルが高く、象徴がインドネシア法人での優先採用ともいえる。 味彩工房は 7 月 13 日には 3 年間の実習を終えた 1 期生のための修了証書授与式を開催。 インドネシア国歌を歌うなどした後、親身に面倒をみた工場長に一人ひとりが「カケ(自分の祖父のこと)」と呼びかけ、涙声の日本語で感謝のあいさつをした。 工場長はインドネシア語の原稿を用意し、がんばりをねぎらった。 寮は 2 階建てで横長の大きなものが 2 棟あり、3LDK のフローリングの部屋を 3人で使う。 隣接地にあるので給料の割り増しがある夜間勤務がしやすい。 20 歳前後の女性は月に 6 万円仕送りをしていると話していた。 味彩工房によると、通貨の価値が違うので、3 年間の給料で家を建てたりできるという。 工場にはイスラム教のお祈りができる部屋があり、聖地メッカの方向が書いてあった。 お祈りの前に手・足などを洗えるよう部屋に水道もある。 味彩工房の近藤博志取締役事業本部本部長は「日本人と同じ待遇をしている」と話す。 監理団体のヒューマンリングによると、SNS を通じて情報が伝わることもあって、マルナカの人気は高く、急な募集でも人材が多く集まるという。 1 期の 13 人の修了生のうち、3 人がインドネシアに帰るが、10 人は 2 年の実習期間延長を選択したのも特筆すべきことのようだ。 若い人が多いので部屋に故郷のボーイフレンドの写真を貼っていたりする年代だが、「延長を選択する人の比率が高い(ヒューマンリング)」という。 在大阪インドネシア総領事館に味彩工房について聞いたところ、ミルザ・ヌールヒダヤット総領事が「訪問時に実習生が笑顔と元気で迎えてくれた。 楽しく仕事をしている証拠だ。 日本人従業員との対話を見たときも家族間のようなコミュニケーションを取っている印象だった。」と、メールを通じてコメントした。 また「監理団体がしっかり役割を果たしたおかげだと私は思う。 感謝を表する。」と、強調して付け加えた。 (深田武志、nikkei = 7-28-20) 技能実習生増加 周知と待遇に課題 技能実習生とは、日本で企業などと雇用関係を結び出身国で困難な技能習得を図る制度である。 以前は中国人が多かったが、2019 年にはベトナム人が全体約 37 万人の半分を占めた。 コンビニや外食で見かけるベトナム人留学生と比べ、社会と接することの少ない隠れた存在だが、急速に浸透している。 23% が建築関係 外国人技能実習機構の認定件数(18 年度)から職種別に見ると、ベトナム人実習生の 23% が建設関係だ。 とび職約 1 万 5,000 人のほか、建設機械施工、型枠施工、鉄筋施工で各 5,000 人など、5 万人近いベトナム人が日本全国の現場で働いている。 そして食品製造 21%、機械金属 19%、農業 8%、繊維衣服 6% と続き、幅広い産業でベトナム人が担い手となっている。 一方、多くの課題があるのが周知の制度である。 同機構母国語別相談件数(18 年、総数約 2,700 件)でベトナム語は 57% と過半数を占め、内容は「賃金・時間外労働などの労働条件 (20%)」、「不適切な管理 (17%)」、「技能実習制度 (12%)」、「途中帰国 (11%)」、「実習先変更 (10%)」など、待遇課題が浮かび上がる。 いわゆる「ブラック企業」からの失踪など、不幸なニュースは後を絶たない。 「特定」職種拡大へ 最大 5 年の在留期間では成果を十分に "収穫" できないという声もある。 実習生、企業の双方が緩和を望み、人手不足を受けて昨年、特定技能ビザが開始され、実習後 5 年以上の滞在延長が可能となった。 開始から約 1 年、同制度の活用者(入国統計)はベトナムが 1,753 人と突出し、インドネシア 400 人、中国 185 人、タイ 77 人と続く。 同制度を利用する計約 2,500 人は技能実習生約 37 万人と比べて 2 桁少なく、試運転段階といえる。 建設関係約 20 職種で特定技能へ移行可能なのは半分以下で、残りの職種は実習後に帰国せざるを得ない。 こうした状況はもったいないとして、育てた実習生の継続活用をベトナム進出目的に挙げる企業が過去数年で増えた。 ベトナム法人という受け皿をつくり、双方の人材を回転・活性化していく狙いである。 もちろん日本市場の成長鈍化なども総合的に考えてのことだが、人事の思惑が先立つと市場環境検討に入って事業計画が二転三転するなど、迷走につながりやすい点には注意が必要である。 今後は、産業界の期待に応えるため特定技能職種の拡大が進むだろう。 日本の 12 地方紙が 32 カ国・地域の 305 人に行った調査では、実習生も 7 割が特定技能への切り替えを望んでいる。 政府目標は 5 年間で 35 万人と、現在の技能実習生と同規模となっている。 その半分以上を占めることになれば、日本で働くベトナム人総数は 50 万人以上となっていくことが想像される。 単純作業での搾取という段階は脱し、日本人以外で最大の根幹人材群と位置付ける必要があるだろう。 その内容を描くのはこれからである。 (sankei = 7-22-20) コロナ禍でカニ漁ピンチ 船員 2 割超が実習生、入国制限で来日できず漁獲高影響も 新型コロナウイルスが、9 月に漁期が始まる但馬の底引き網漁業を脅かしている。 感染対策として政府の入国制限が続く影響で、インドネシア人技能実習生が来日する見通しが立たないためだ。 いまや全船員の 2 割を超える 100 人近くが働く実習生は漁業に欠かせない存在。 但馬の冬の味覚、ズワイガニなどの漁獲高への影響は避けられないとみられる。 (金海隆至、神戸新聞 = 7-22-20) 来なかった外国人実習生、農場を救った観光業界 農業は恒常的に人手不足に悩まされているが、新型コロナウイルスによる混乱がそれに追い打ちをかけた。 現場の作業を支えている外国人技能実習生の一部が、日本に来ることができなくなったのだ。 労働力の多くを技能実習生に頼っている産地は、突如浮上したこの難題にどう対処したのか。 レタスやキャベツなどの高原野菜で有名な佐久浅間農業協同組合(JA 佐久浅間、長野県佐久市)を取材した。 エリア内の農家が受け入れを予定していた実習生は 90 人強。 すべて中国人で、春ごろに農場に入るはずだった。 例年 11 月まで続く野菜の収穫作業などにとって欠かせない働き手だ。 そのすべてがコロナの影響で入国できなくなった。 何も手を打たなければ、生産を減らさざるを得ない事態に直面した。 JA 佐久浅間は生産縮小を回避するため、ホテルなど観光関連の業種を対象に、農場で働く希望者を全国から募ることにした。 観光業はコロナで需要が急減し、人員に余剰が出ているので農場に来てもらうことができると判断した。 コロナで仕事が減った業種と、人手が足りない農業との間のマッチングだ。 観光業界から集まった働き手のなかで、人数的に最も貢献したのはベトナム人だ。 国内各地のホテルなどで働いていた約 50 人を受け入れ、収穫方法などを教える講習を実施。 中国人実習生が住む予定だった共同宿舎を提供し、農作業にあたってもらった。 地元の観光業界からも日本人の働き手を受け入れた。 連携の窓口になったのは、軽井沢にある旅館やホテルなどが加盟する軽井沢旅館組合。 10 人近くが募集に応じ、農場で働き始めた。 このほか、知り合いなどのつてで働き手を見つけた生産者も多く、中国人が来なかった分はほぼカバーすることができた。 生産縮小を回避できた農場の間では、安堵の声が広がった。 20 代のベトナム人を雇用したレタス農家は「来てくれてほっとした。 一生懸命働いてくれている。」と喜ぶ。 朝 5 時ごろには宿舎を出て畑に来るベトナム人に、朝食用のお握りを渡すなど、慣れない仕事へのやる気を高めてくれるよう努めている。 旅館組合を通じて、軽井沢の宿泊施設で働いていた日本人男性を受け入れたキャベツ農家は「もし彼がいなかったら出荷量を減らし、早朝から夜中まで働くしかなかった」と話す。 男性側も「仕事に就くことができたので助かっている」とホッとした表情を見せた。 観光業から農業への人手の融通は、おしなべて円滑に進んだようにみえる。 JA 佐久浅間は今回、ほかにも新たな人手不足解消のチャンスを得た。 リゾートホテルなどを展開する星野リゾート(軽井沢町)との連携だ。 JA 佐久浅間は、野菜の集荷所でブロッコリーの選果などを手がけるスタッフの確保に困っていた。 そこで、仕事量が減っていた星野リゾートが人材交流を提案した。 星野リゾートが集荷所に派遣したスタッフは、調理などの仕事に就いている人を中心に約 30 人。 3 人 1 組でチームを組み、仕事量に応じて集荷所とリゾート施設の両方で働くことができるようローテーションを組んだ。 JA 佐久浅間の農家が生産した野菜を、星野リゾートが運営しているレストランで提供することでも合意した。 突然起きた混乱への対応として始まった一連の取り組みを、いつまでどんな形で続けるかは未知数。 日本の農業にとって外国人は欠かせない労働力だが、コロナの収束が見通せない中で、技能実習生が当面入国できない可能性は否定できない。 コロナの影響で仕事が減った業種と人材融通で機動的に協力し合うノウハウは、JA グループを含めて農業界全体が維持し、向上させるべき課題となる。 そこから、星野リゾートとの連携のように新たな商機の芽が生まれる可能性もある。 外部の人材との交流で、農場の経営を向上させるヒントを得ることができるかもしれない。 人手不足はこれからも農業の構造問題であり続けるが、その解決を新たなチャンスにつなげる努力も必要だろう。 (編集委員・吉田忠則、nikkei = 7-18-20) 技能実習生の公正な取り扱いを 6 月 23 日、法務省と厚生労働省は、技能実習生制度に関し、以下の通知を行った。 改善命令 (一社)日中科学技術文化センター(理事長 巨 東英) 監理団体の許可の取消し
また同日、出入国在留管理庁と厚生労働省は、技能実習生制度に関し、以下の通知を行った。 技能実習計画の認定の取消し
いずれも「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(通称「技能実習法」)に基づく措置。 (Net IB = 7-10-20) 外国人技能実習 雇用の調整弁許されぬ 新型コロナウイルス感染拡大で雇用情勢が厳しくなる中、外国人技能実習生が失業したり、勤務を減らされる例が相次いでいる。 監督機関の外国人技能実習機構は実習生の保護に努め、実習先への監視の目を光らせてほしい。 農業や介護の現場などでは新型コロナの影響で実習生が来日できず、人手が不足している。 このため出入国在留管理庁は就労継続を望む実習生の他職種への転職を認める特例措置を出した。 だが技能実習は本来、日本の技術を習得し母国の経済発展に生かしてもらう国際貢献が目的だ。 人手不足の穴埋めに利用するのでは国が自ら雇用の調整弁だと認めたことにならないか。 劣悪な労働環境がたびたび指摘される技能実習を廃止し、多文化共生社会の視点から外国人労働者の権利を保障した制度設計の再構築が急がれよう。 実習生の多くは借金をして現地の送り出し機関に多額のお金を払って来日している。 お金を稼がないと帰国できない事情がある。 実習生らの支援を行う BPO 法人には製造業で働く実習生からまだ契約があるのに「国に帰れと言われた」、「退職を勧められた」との相談が相次いでいる。 企業の都合で立場の弱い実習生を切り捨てるのは許されない。 政府は実習先に雇用調整助成金を活用し、雇用を継続するよう促すべきだ。 休業手当を受け取れない中小企業の労働者に対する新たな給付金制度も今月始まる。 実習生も対象で直接給付される。 特別定額給付金も帰国困難な実習生らに対象が広がった。 支援策を周知徹底し、救済の手を差し伸べなければならない。 入管庁によると、実習生の失踪は年々増え、2018 年は 9,052 人に上る。 賃金の不払いや時間外労働などの不正が背景にある。 昨年 11 月、入管庁は失踪者の出た実習先で賃金不払いなどの違法性が認められれば、受け入れを停止させる対策を打ち出した。 しかし、実習生が使い捨てられる実態は今も変わらぬままだ。 外国人労働者の受け入れを拡大する昨年 4 月施行の改正入管難民法では新在留資格「特定技能」が導入され、実習生の移行が多く見込まれている。 だが特定技能は人手不足が解消すれば受け入れは停止され、家族の帯同は認められていない。 外国人を「人」でなく「労働力」としてしか見ていないようでは「選ばれる国」にはならないだろう。 (北海道新聞 【社説】 = 7-8-20) 《新型コロナ》 外国人実習生の転職後押し ホテル休業、農業へ 鉾田の支援機関 新型コロナウイルスの影響で実習先を失った外国人技能実習生について、別の業種で受け入れる動きが茨城県内で始まった。 外国人登録支援機関のコンサルタント業「交流中心(鉾田市)」は、実習生の在留資格変更を手助けし、人手不足の農業など異業種への転職を後押ししている。 同社は「国内にいる人材をうまくマッチングさせ、困っている人たちの助けになれば」としている。 ■ 3 週間研修 「これから、ここで農業について勉強してもらいます。」 6 月 29 日、交流中心の運営する鉾田市内の技能実習生研修センター。 県外のホテルグループで働いていた中国人実習生 16 人が、今後のスケジュールについて説明を受けた。 同センターで 3 週間ほど農業の基礎知識を学び、新しい職場に配属される。 母国より高い賃金を求めて来日したという楊来運さん (27) は「働けずに困っていたので助かった」と喜んだ。 実習生たちは昨年 9 月から 11 月にかけて来日したものの、新型コロナの影響で今年に入って実習先のホテルが休業。 実習継続が困難になり、転職を希望した。 ■ 来日できず困惑 同社は 5 月下旬、中国人実習生たちを受け入れた栃木県内の監理団体から相談を受けた。 一方で、コロナ禍で実習生が来日できず、人手不足に苦しむ鉾田市内の農家の実情も耳に入っていた。 同社の馬興栄専務は「関係団体と情報を共有すればやれることがある」と、両者をつなげる取り組みを始めた。 16 人の受け入れ先は、協力関係にある同市内の監理団体を通じて探した。 同市半原の大葉生産農家「ホッタバイオファーム」は 10 人の中国人を受け入れることになった。 越野秀平社長は「6 月までに予定していた実習生の来日ができなくて困っていた。 生産のピークを迎える夏場に向けて人手が必要だったので、ありがたい」と取り組みを歓迎する。 ■ 受け入れ協力を 在留資格の「技能実習」は、あらかじめ決められた業種でしか働けず、職場の移籍もできない。 国は現在、コロナ禍で職を失った実習生が継続して働けるように、異業種でも最大 1 年間働ける「特定活動」に変更することを特例で認めている。 交流中心では、在留資格を円滑に変更できるよう実習生の申請を支援する。 申請が通るまで転職先の業種に関する研修を実施し、寮を用意して生活面のサポートもしている。 特例による在留資格の変更は、特定活動の間、昨年 4 月に新設された転籍可能な在留資格「特定技能」を目指すことが条件になる。 同社は、今後も転職を希望する実習生を受け入れていく方針で、資格移行もサポートするという。 馬専務は「実習生の受け入れ先がまだまだ少ない。 協力してくれる企業、団体を募っていく。」と力を込めた。 (茨城新聞 = 7-3-20) 失踪で 30 万円の覚書 実習生監理団体、許可取り消し 外国人の技能実習生が働き先から失踪した際、海外の送り出し機関から違約金を受け取る不正な裏契約を交わしたとして、出入国在留管理庁と厚生労働省は 23 日、受け入れ側の監理団体「千葉農業技術協同組合(千葉県旭市)」の運営許可を取り消した。 技能実習適正化法は、監理団体の不適切な報酬の受け取りを禁止。 違約金の原資は、実習生が送り出し機関に払う手数料に上乗せされることになるため、結果的に実習生にしわ寄せが生じていたとみられる。 同庁などの調べによると、この団体はベトナムの送り出し機関との間で、実習生が失踪したら違約金を受け取る「覚書」を締結。 定められていた違約金は 1 人あたり日本円で 20 万 - 30 万円とみられるが、実際の支払いは確認されていない。 団体は、今年 4 月時点でベトナム人など約 30 人の実習生を受け入れていた。 同庁などは昨年 10 月、失踪をめぐる不正な裏契約を交わしていた二つの監理団体の運営許可を取り消した。 ベトナム政府との情報交換をふまえ、類似ケースを調べていた。 2019 年に失踪した実習生は 8,796 人で、半数以上がベトナム人だった。 また、許可を得ていない第三者に事業をさせていたなどとして、千葉県と愛媛県の別の二つの監理団体についても運営許可を取り消した。 賃金を支払わなかったなどした 11 の受け入れ先業者については、合計 194 件分の実習計画を取り消した。 今後 5 年間、実習生の受け入れができない。 (板橋洋佳、asahi = 6-24-19) 静岡県は技能実習生や定住外国人の雇用維持等で協議 静岡県は、第 1 回来日外国人材活用支援協議会を 6 月 26 日に開催することを発表した。 静岡県で就労する外国人材の活躍を官民一体となって支援するため、国機関、経済団体、労働団体などが参画する協議会が開催されることとなった。 この協議会の構成員は、名古屋出入国在留管理局、静岡労働局、静岡県経営者協会、静岡県商工会議所連合会、静岡県中小企業団体中央会、静岡県商工会連合会、連合静岡、外国人技能実習機構名古屋事務所、国際人材協力機構名古屋駐在事務所、静岡県弁護士会、静岡県行政書士会、静岡市、浜松市、富士市、くらし・環境部多文化共生担当理事などとなる。 なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、Web 会議も併用して行われる。 議題は「技能実習生や定住外国人の雇用維持と再就職支援」となる。 新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、実習の継続が困難となる技能実習生や派遣の定住外国人の解雇などが見込まれる中、雇用維持や再就職について実効性のある意見や助言をもらい、施策に生かし、外国人県民の生活を守ることを目的とする。 (ASEAN Portal = 6-22-20) 技能実習生が心の支え コロナで苦境、白山の旅館経営者 旅館兼飲食店「白山お宿そば処さかい(白山市八幡町)」の酒井進代表 (62) が、技能実習生として来日したベトナム人女性約 20 人と、帰国後も交流を続けている。 旅館での約 1 カ月間の滞在で親交が芽生え、日本の「ボー(お父さん)」と呼ばれる仲に。 新型コロナウイルスの影響で旅館は開店休業状態の苦境が続くが、酒井さんは「娘」からの励ましをエネルギーに、笑顔で前を見据えている。 ベトナム人女性はいずれも 20 歳前後で、昨年 7 月末、能美市内の製造業の会社と半年間の契約を結び、技能実習生として約 40 人が来日した。 企業側が予定していた宿泊施設が急きょ使えなくなったため、酒井さんの旅館に依頼が来たという。 店で外国人を泊めるのは初めての体験。 女性側も日本語を話せる人が少なく、酒井さんとおかみの光子さん (62) は身ぶり手ぶりで意思疎通を図り、次第に打ち解けるようになった。 酒井さんは「みんな明るくて、人懐っこい。 仲良くなるのに時間は掛からなかった。」と振り返る。 当初「ダオイ(おじさん)」と呼ばれていた酒井さんは、半月ほどたつと「ボー」と呼ばれるようになった。 女性たちは新しい住まいが決まり、8 月末で旅館を去ったが、酒井さんは誕生日会を開いてもらうなど、その後も親交は続いた。 2 月にベトナムに帰国して以降も約 20 人とは会員制交流サイト (SNS) によるビデオ通話やメールなどで連絡を取り合い、日々の出来事などを紹介しあう。 15 日、ビデオ通話で酒井さんと会話したヴイ・ヴァン・アインさん (21) は「ボーは困ったときにいつも手伝ってくれる。 もう一度日本に戻って会いたい。」と話した。 新型コロナの影響で、飲食店は 2 月から営業を自粛し、旅館も客がほぼいない。 それでも、片言の日本語で「コロナは大丈夫?」と心配されると気遣いにうれしくなるという。 酒井さんは「コロナが落ち着いたら、また技能実習生を受け入れたい。 白山や鶴来の良さをもっと伝えたい。」と意気込んだ。 (北国新聞 = 6-17-20) 心臓移植予定の実習生が武漢へ 中国のチャーター機で帰国 技能実習生として来日中に重い心臓病を患い、藤田医科大病院(愛知県豊明市)で闘病してきた中国人女性 (24) が 12 日、心臓移植手術を受けるため、中部国際空港から中国当局が手配したチャーター機で帰国した。 女性は心臓外科の先進医療で知られる中国・武漢の病院に入院し、移植の日を待つ。 「巨細胞性心筋炎」という、まれな心臓病を発症し、昨年から血液を体外で循環させる人工心臓をつけて入院していた。 新型コロナウイルス感染拡大の中でもリハビリを続け、歩けるほどに回復した。 関わった医師や看護師ら約 30 人の見送りを受け、女性は「頑張って病気を治します」と笑顔で病院を出た。 日中間の渡航制限は続いているが、在名古屋中国総領事館が中国南方航空に働き掛け、チャーター機の運航が実現した。 空港では、女性の乗った救急車が機体に横付けされ、藤田医科大病院心臓血管外科の高味良行教授 (55) らが付き添って機内へ。 武漢から迎えに来た華中科技大付属協和医院の医師らに引き継いだ。 (安藤孝憲、成田嵩憲、東京新聞 = 6-13-20) 技能実習生受け入れ企業向けガイドラインの無料配布開始! 技能実習生監理団体「21 世紀マンパワー事業協同組合」 技能実習生監理団体の「21 世紀マンパワー事業協同組合(東京都中央区日本橋)」は、組合員向けに「外国人技能実習生受入企業ガイドライン」を無料配布しております。 お申し込みは以下のリンクより。 < 優良監理団体「21 世紀マンパワー事業協同組合」が監修 > 技能実習制度は細かい規定が多く、全てを理解するのは難しいという声から、このガイドラインが生まれました。 このガイドラインは、優良監理団体である 21 世紀マンパワー事業協同組合が監修し、技能実習制度の詳細から受入方法、また受け入れが決まってから受入企業が準備すべきことや、受け入れ後の流れまで、技能実習生の受け入れをするために必要な情報がすべて掲載されています。 技能実習生の受け入れ企業にとって、バイブルとなるような 1 冊です。 < 技能実習生の受入企業が知っておくべきことをまるごと収録 > このガイドラインは、21 世紀マンパワー事業協同組合の組合員の皆様へ無料でお配りしています。 まだお手元にない組合員の方は、以下よりお申込みください。 「外国人技能実習生受入企業ガイドライン」申し込みはこちらから https://21manpower.com/pages/5632/ * 21 世紀マンパワー事業協同組合の組合員でない受け入れ企業様も、ご希望があればお申込み可能です。 ● 収録内容 ●
● 受け入れ企業様のこのようなご要望に応えます ●
< ホームページでは新着情報やお役立ちコンテンツも多数掲載 > 新着情報では、制度の変更に関するお知らせや、技能実習生の面接に同行した様子など随時掲載しています。 また、コラムでは技能実習を行うにあたり役に立つ情報や、技能実習生が住んでいる宿舎のご紹介など、様々なコンテンツを投稿しています。 (PR Times = 6-10-20) |