大麻取締法違反容疑でベトナム人を逮捕 特定技能在留者の逮捕は全国初

愛知県警は 10 日、大麻取締法違反の疑いでベトナム人を逮捕した
外国人の就労拡大を狙い 2019 年 4 月に新設された特定技能の資格で在留
同資格で在留する外国人の逮捕は全国初とみられる

愛知県警は10日、大麻取締法違反(営利目的譲り渡し)の疑いで同県東海市名和町、ベトナム国籍の作業員グエン・ゴック・アイン容疑者 (26) を逮捕した。 県警によると、容疑を否認している。 同容疑者は、外国人の就労拡大を狙い昨年 4 月に新設された「特定技能」の資格で在留。 同資格で在留する外国人の逮捕は全国初とみられる。 逮捕容疑は昨年 12 月 - 今年 5 月までの間、大麻を隠匿した宅配便を 3 回に分け、同県西尾市内のベトナム人男性方に発送し、10 万円で大麻を譲り渡した疑い。 県警は昨年末、同容疑者がフェイスブック上で違法薬物を持ち掛けているのをサイバーパトロールで発見した。 (livedoor/kyodo = 6-10-20)


トイレで体洗い、高架下で寝た コロナで困窮、帰国へ

夢を抱いて来たのに、こんなかたちで帰ることになるなんて - -。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、日本での暮らしが難しくなったベトナム人のための臨時帰国便が 5 日、成田空港からベトナムに向けて飛び立った。 午前 8 時ごろ、成田空港のベトナム航空のカウンター前には、帰国を希望する多くのベトナム人が列を作った。 搭乗する 343 人のうち、約 130 人が IT エンジニア、約 200 人がベトナム大使館が支援する生活困窮者たちだった。

その中に、2 月末まで福岡の日本語学校で学んでいた留学生ホアン・バン・ホアックさん (26) がいた。 2 年間、日本語を学びながら弁当工場で時給 900 円のアルバイトをし、月 9 万円の収入を得ていた。 だがコロナの影響でバイトがなくなり、卒業で学生寮も退去せざるを得なかった。 友人の家を転々としたが長くは甘えられなかった。 自動車関係の専門学校に進みたいと考えていたが、学費の 100 万円を払えるメドも立たなくなった。 ベトナムにいる母に相談すると、大使館を頼って帰国するよう勧められた。

所持金は 1 万 1 千円。 新幹線の切符が買えず、福岡から各停の電車に乗った。 公園のトイレで体を洗い、夜には駅や高架下で寝た。 途中下車を繰り返し、2 週間かけて東京の大使館にたどり着いた。 館員に「帰してほしい」と泣きついた。 家は貧しく、両親を楽にさせたいと来日した。 それなのに、帰国のためのチケット代約 9 万円も母に頼るかたちになった。 来日のために負った借金のうち約 100 万円も返せていない。 「コロナがなければ専門学校に進み、きちんとした会社に就職できたんじゃないか」と悔しがる。

妊娠、両親に告げられず 帰国後は寺へ

妊婦も多く搭乗した。 大きなおなかをさすっていたファム・チゥ・タインさん (23) は元技能実習生だ。 2018 年末に来日し、長崎県の実習先でタマゴの箱詰めをしていた。 月収は 8 万円。 食費など 2 万円を残し、それ以外はベトナムの家族に送金していた。 だが、このままでは来日時に負った借金が返せないと考え、1 年前に実習先から失踪した。 群馬県に住むベトナム人の友人を頼って仕事を探したが、なかなか見つからなかった。 逆にベトナムの家族から生活費を送ってもらっていた。

妊娠は昨年 11 月に分かった。 一緒に暮らしていたベトナム人との子だった。 両親には妊娠を告げられずにいる。 帰国後は、両親に内緒で寺に身を寄せるつもりだ。 出産は 8 月の予定だ。 「日本で仕事があったら働きたかった。」

6 人分の骨つぼも、この便に載せられた。 交通事故で亡くなった元技能実習生の女性、自ら命を絶った留学生らの遺骨が納められていた。 ベトナム人を支援する NPO 法人「日越ともいき支援会」で活動する尼僧ティック・タム・チーさん (42) は「亡くなった人を少しでも早く遺族のもとに帰したい」と話した。

日本で暮らすベトナム人は、技能実習生や留学生を中心に 14 年ごろから急増し、19 年末時点で約 41 万人にのぼる。 特に技能実習生の最大の送り出し国になっていて、実習生計 41 万人のうち半数の約 22 万人をベトナム人が占める。 だがコロナ禍でバイトができなくなったり実習が続けられなくなったりした人が相次ぐ。 大使館には、帰国したいという電話やメールが殺到している。 大使館によると、1 万人以上が帰国を希望しているという。 ベトナム航空は 6 月末まで定期便の運航を停止しているため、大使館が 3 月から臨時便を飛ばし、妊婦や病人、高齢者など緊急性の高い人を優先的に帰国させている。 (平山亜理、asahi = 6-6-20)


政府の対策では「コロナ切り」技能実習生は救われない
無料で企業紹介するベンチャーも

新しい職場を見学し、一緒に働く仲間に挨拶をした。ベトナム北部・フンイエン省の出身のダオ・ティ・フェンさん(25 歳)の顔に、ようやく笑顔が戻った。 フェンさんは 2019 年 7 月に技能実習生として日本にやってきたが、新型コロナ感染拡大の影響を受け、実習先の縫製工場の経営が悪化。 3 月 16 日に倒産し、実習も中止になった。 働き始めてまだ半年程度。 故郷から旅立った技能実習生は、帰国後に家を建てた。 フェンさん自身も農業を営む両親のために家を買ってあげたいと思ったという。 4 人きょうだいの次女で、妹も技能実習生として働いている。

しかし、故郷に家を建てるどころか、日本に来るために支払った約 100 万円の借金の返済も終わっていない。 「借金はまだ 50 万円残っていて、今、ベトナムに帰るわけにはいきません。 (技能実習生を受け入れる)監理団体は次の仕事を探してはくれましたが、3 カ月間、次の仕事が見つからなければ帰国するように言われていました。」 フェンさんはそう振り返る。 50 万円はベトナムの農家の年収の 2 倍近い金額だ。 実家の土地を担保に銀行から借金しているため、返済できなければ家族も路頭に迷う。

そんなフェンさんに救いの手を差し伸べたのが、日本国内のベトナム人労働者や留学生の支援にあたる NPO 法人日越ともいき支援会(東京都港区)だ。 フェンさんの新たな職場を見つけ、「転籍」をサポートした。 詳しくは後述するが、技能実習生に転職は認められていないが、転籍はできる。 代表の吉水慈豊さんはこう話す。 「政府はコロナ禍で解雇された技能実習生に対し、特定活動への在留資格変更を認める特例措置を出していますが、そのまま日本で働き続けるにはハードルが高いのです。」

1 年間で 2 つの試験に合格することが条件

どういうことなのか。 まずは、新型コロナ感染拡大の影響による実習先の経営悪化等で、技能実習の継続が困難となった実習生に対する政府の対応について説明したい。 出入国在留管理庁は新型コロナ感染拡大の影響を受け、在留資格に関する特例措置を発表。 実習先の経営悪化などにより実習が継続できなくなった実習生は、その在留資格を「技能実習」から「特定活動」に変更することができ、新たな受け入れ先での就労を認めるとした。

ただし、これには条件がある。 在留期間は最大 1 年で、その間に 2019 年に新設された単純労働に就く外国人の在留資格「特定技能」を目指すことが条件だ。 特定技能は単純労働で働く外国人の在留を初めて認める在留資格で、外食業や介護など 14 業種が対象になっている。 ただ、制度開始から 1 年経っても、特定技能外国人は政府想定の 1 割に満たない 3,987 人に過ぎず、受け入れが進んでいない。 壁となっているのが、技能と言葉の 2 つの試験だ。

特定技能外国人の約 9 割は試験不要の元技能実習生であり、試験が大きな壁になっているのは間違いない。 吉水さんはこう指摘する。 「特定技能の在留資格を得るためには、業界別に実施される技能試験と、日本語の試験(N4 レベル)に合格する必要があります。 働きながらそれらの試験に合格するのは難しい。」 今後の新型コロナ感染拡大の第 2 波、第 3 波の影響で試験が実施されない場合などは、最長 1 年としている在留期間を再度延長することも想定されているが、現在の政府見解はこうだ。

「試験に受からなければ特定技能の要件を満たさず、特定技能への在留資格変更は認められません。 ほかに在留資格を変更する道がなければ帰国することになります。(出入国在留管理庁)」 そのため、支援現場も特定活動への在留資格変更にすべて前向きというわけではない。

転職はできないが転籍はできる

冒頭のフェンさんは元の実習先の倒産から、NPO 法人日越ともいき支援会のサポートを受け、新たな受け入れ先に「転籍」した。 実習先での実習継続が困難となり、それでも実習の継続を希望する場合は、別の受け入れ機関に転籍して継続することができる。 ただ技能実習制度は、日本で学んだ技能や知識を母国に持ち帰って生かしてもらうという国際貢献を建前としており、実習生には「日本において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること(法務省令)」が求められている。 そのため、転籍先は同業種の受け入れ先に限られる。 同業種間の転籍となれば、新型コロナの影響も同様に受けている可能性が高く、転籍先を見つけるのは、至難の業だ。

雇用調整助成金を活用して欲しい

転籍先に困っていたフェンさんを受け入れたのが、アゼリア協同組合(群馬県館林市)だ。組合員企業である UNO テック(縫製業)への転籍をサポートする。 UNO テック自体も新型コロナの影響を受けて業務が縮小しているが、新たな実習生の入国の見込みが立たないことなどから、フェンさんの受け入れを決めた。 技能実習生から「日本のお父さん」と慕われるアゼリア協同組合の早川智理事長はこう指摘する。 「倒産すれば仕方ないですが、特例で認められた特定活動への在留資格変更や転籍を検討する以前に、企業は雇用調整助成金を使って雇用を守る努力をすべきだと考えます。 若くして海外で働くということは、彼らもそれ相応の覚悟で来ています。 その思いに最大限応えるべきです。」

人手不足は再びやってくる

技能実習生や支援団体には不評の特定活動への在留資格変更の特定措置だが、それをサポートする動きもある。 フォースバレー・コンシェルジュ(東京都千代田区)はこれまで外国人の高度人材の紹介業をしてきたが、2020 年 3 月から特定技能外国人と企業のマッチングも開始。 サービス開始からわずか 1 カ月で、国内の技能実習生や留学生を中心に 4,951 人の登録(4 月 20 日時点)があった。

さらに 5 月には、新型コロナの感染拡大の影響で仕事を失った実習生の支援に乗り出した。 解雇されるなど実習先を失った技能実習生に無料で企業を紹介し、特定活動に在留資格を変更した後は、特定技能試験合格に向けた勉強のための貸付型奨学金給付も検討している。 フォースバレー・コンシェルジュ代表取締役の柴崎洋平さんは話す。 「現在は新型コロナの影響で企業の採用意欲は下がっていますが、収束すれば一気に人材不足感が高まるはずです。 日本での就労継続を希望する外国人を支えていきたい。」 (澤田晃宏、Business Insider = 6-3-20)


霧島の工場閉鎖 77 人解雇 レナウン破綻が影響
外国人技能実習生 18 人も

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け経営破綻したレナウンの子会社の協力事業所・鹿児島ファミリーソーイング(霧島市)が 22 日に工場を閉鎖し、グループ会社と合わせ全従業員 77 人を解雇したことが 28 日分かった。 今後の受注が見込めず、操業継続は困難と判断した。 解雇された 77 人には、中国とベトナム出身の外国人技能実習生 18 人が含まれ、外国人技能実習機構熊本支所(熊本市)によると、新型コロナに関連する実習生解雇の規模は県内最大とみられる。

鹿児島ファミリーソーイングは 1988 年に創業した。 2007 年、敷地内にグループ会社の霧島ソーイングを設立し、レナウン子会社のダーバン宮崎ソーイング(宮崎県日南市)から紳士服の上着を縫製する仕事を請け負ってきた。 鹿児島ファミリーソーイングによると、4 月から受注が激減。 ダーバン側から 6 - 7 月は発注の見込みがないと伝えられ工場閉鎖を決めた。 餅原麗子社長は「本当に心苦しいが、従業員のことを考えると、給料が支払えるうちにやめた方がいいと判断した。」と説明した。

28 日は霧島市の国分公民館に関係機関が集まり、元従業員を対象に雇用保険受給の手続きや再就職先の相談に応じた。 71 人が出席し、実習生が集まる部屋では通訳も同席した。 地元の元従業員女性は「縫う製品がないと聞いてはいたが、いずれは規模を縮小してでも再開できると思っていた。 縫製関係に再就職したいが希望がかなうだろうか。」と肩を落とした。 霧島市の中重真一市長は「関係機関と連携し、市内企業の紹介や市の臨時職員として雇用に努めるなど、再就職支援に取り組みたい」と話した。 (373news.com = 5-29-20)


外国人労働者の「特定技能」就労、準備不足で想定の 1 割弱 3,987 人 制度創設 1 年

出入国在留管理庁は 29 日、外国人労働者の受け入れ拡大に向けて創設された「特定技能」の在留資格で就労する外国人が創設から 1 年となる 3 月末時点で、政府の最大想定の 1 割に満たない 3,987 人だったと発表した。 資格試験の実施が出遅れるなど準備不足が影響し、伸び悩んだ。 年度後半からは増加傾向が強まったが、2 年目となる 4 月以降は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により再び鈍化している。

2018 年 12 月の改正入管法成立に伴い、特定技能は 19 年 4 月に創設された。 人手不足が深刻な 14 業種が対象で、政府は初年度は最大 4 万 7,550 人、5 年間で最大 34 万 5,150 人の受け入れを見込んだ。 資格は業種ごとの技能試験と日本語試験に合格すれば取得できるほか、3 年間の技能実習を修了すれば無試験で移行できる。 3,987 人のうち、技能実習からの移行が 91.9% を占めた。

業種別では、▽ 飲食料品製造業が 1,402 人で最も多く、▽ 農業 686 人、▽ 素形材産業 437 人、▽ 産業機械製造業 428 人、▽ 建設業 267 人、▽ 外食業 246 人 - - など。 国籍は、ベトナムが半数超の 2,316 人に上り、インドネシア 456 人、中国 331 人と続いた。 就労地域は 47 都道府県にわたり、愛知県が 337 人で最多。 千葉、東京、埼玉、福岡、茨城の 5 都県が 200 人を超えた。

特定技能の就労者は、創設から半年の 19 年 9 月末では 219 人と低迷。 送り出し国との協力覚書の締結が制度開始後にずれ込み、業種ごとの試験実施も大きく出遅れたほか、国内の受け入れ企業にも手続きの周知が進まなかったことが要因とみられる。 その後、送り出し国の制度整備や海外での試験実施が進み、20 年 2 月末に 2,994 人、3 月末に 3,987 人に達した。 だが、新型コロナの影響で日本を含む各国で出入国が制限されたほか、国内経済の悪化に伴う解雇例もあり、4 月末は速報値で 4,497 人と前月比 510 人増にとどまった。 3 月以降、国内外で技能試験の中止が相次いだが、再開の動きが出ているという。 (村上尊一、mainichi = 5-29-20)


入管庁、不適切行為あれば委託排除 不正疑惑受け新基準

出入国在留管理庁の公的な窓口業務を受託している外国人材派遣会社フリースタイル(FS、本社・金沢市)とグループ会社が、入国審査で虚偽の書類を提出した疑いがある問題をめぐり、入管庁が、窓口業務などを民間委託する際の基準を見直したことがわかった。 新たな基準では、入国管理制度に照らして不適切な行為をした企業を事実上、委託先から排除する。 FS 社は昨年 7 月から、名古屋出入国在留管理局で入国・在留手続きをする窓口業務を受託している。 関係者によると、入管庁は昨年秋、FS 社などによる虚偽記載の疑いを把握した。

入管窓口での不正行為の疑いではないとはいえ、入管庁は、不適切な行為をした疑いがある企業に役所の業務を任せるのは「適切ではない」とし、法務省とも連携し、民間企業に業務委託する際の要件の見直しを検討してきた。 新たな基準には、企業が入管庁の業務を請け負う際の条件に、企業やその役員が過去 5 年以内に入管法に違反した行為をしていないことを加えた。 また、違法でなくても「(入管)制度の目的から見て適当でない行為」があれば入管庁から業務を請け負うことはできない。 過去に不適切行為をしていた企業で役員だった人物を役員として迎え入れている企業も排除される。

委託後に不正行為などが発覚した場合、契約を解除できる項目も盛り込まれた。 新基準は 3 月下旬から適用しているという。 同庁は見直しについて「適切な契約手続きを確保するため」としている。 FS 社の窓口業務は 1 年契約で、今月下旬には次の委託先を決める入札が行われる予定だが、同社は基準の見直しを受け、入札参加を見送るとみられる。 入管庁の業務委託は、東京や大阪など 4 カ所の窓口業務のほか、収容施設での監視や空港での審査手続きなどがある。 今年 3 月末までの 1 年間に、業務委託の入札が約 70 件あった。

取材で得た証言や資料によると、FS 社とグループ会社は 2017 年ごろから、外国人の在留資格認定証明書の交付に必要な提出書類で、外国人本人の了解を得ずに署名を代筆するなどしたという。 同社は虚偽記載の有無などについて、取材に「対応できない」としている。 (板橋洋佳、織田一、asahi = 5-22-20)

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署名・派遣先も偽造か 人材派遣会社に不正手続き疑惑

外国人専門の人材派遣会社が、入国審査に偽造書類を提出するなどして外国人を来日させていた疑いがあることが分かった。 事情を知らないまま来日した外国人の中には、日本で予期せぬ職探しを迫られるケースもあった。 元社員ら関係者によると、人材派遣会社フリースタイル(FS、本社・金沢市)と名古屋市のグループ会社は 2017 年ごろから、外国人が日本で働くのに必要な在留資格を得られるよう、不正な手続きをするようになったという。 会社と本人が結んだ雇用契約書とは別に、署名を偽造するなどした雇用契約書をつくり、名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)に提出していたという。

朝日新聞は、虚偽記載の可能性がある両社作成の雇用契約書のコピーを複数入手。 パスポートの本人署名と比較できる 5 件について筆跡鑑定の専門家に分析を依頼したところ、パスポートと契約書の署名は「いずれも別人の可能性が高い(日本筆跡鑑定人協会の柳谷亮氏)」との回答を得た。

また、実際には決まっていない「派遣先企業」が、あたかも決まっているかのように雇用契約書に記された可能性のあるケースも。 東南アジアの女性は、FS 社のグループ会社の手配で在留資格を得て 18 年夏に来日。 ところが、派遣されるはずだった東海地方の会社の面接で不採用となり、その後、人づてで他の企業に雇用されるまでの約 3 カ月、無収入で過ごした。 女性は朝日新聞の取材に「私は日本に留学していた妹と同居し、何とかしのいだ。 あの 3 カ月は不安でつらかった。」と話した。

新型コロナウイルスの感染拡大前までは、国内の人手不足を背景に外国人労働力への需要は高く、なかでも日本語ができる外国人は人気だった。 厚生労働省によると、就労外国人は昨年 10 月末時点で過去最多の約 166 万人に達していた。 (asahi = 5-20-20)


コロナが石巻の水産業を直撃 技能実習生、来日できず 市の基幹産業ピンチ

新型コロナウイルス感染拡大に伴う入国制限で外国人技能実習生が来日できなくなり、東北屈指の港町・石巻市の水産業界がピンチに直面している。 加工業や漁船操業で頼りにしてきた人材を確保できないからだ。 市の基幹産業の落ち込みは避けられず、関係者は頭を抱えている。 「生産ラインを保ちたいが、今後どうなるか分からない。」 カキやホヤを扱う石巻市の水産加工会社「本田水産」の本田太社長 (69) は不安を口にする。

同社は 20 - 33 歳のミャンマー人実習生を 35 人受け入れている。 うち 6 人の受け入れ期間が今月で終わるため、ミャンマー政府のチャーター機で帰国させた。 新たに 6 人を受け入れたいが、現地でも新型コロナ感染に伴う外出自粛の影響が及び、調整が進まないという。 従業員の高齢化が進む中、全体の 3 分の 1 を占める実習生の存在は大きい。 本田社長は「秋になれば別の 6 人が帰国し、人は減る一方だ。 受け入れできない状況がいつまで続くのか見通せない。」と悩む。

漁船操業の人手不足も深刻さを増す。 実習生約 40 人を受け入れる市内のある漁協では、今春予定していた約 10 人の来日が宙に浮いている。 担当者は「計 5 隻の船に乗ってもらう予定だった。 実習の修了者が帰国するばかりでは出漁できない船が出てくる。」と話す。

農林水産省の 2018 年漁業センサスによると、石巻市の水産加工業と漁業の従事者は、東北の市町村で最多の計約 4,400 人に上る。 外国人技能実習制度は技能習得が本来の目的だが、個人経営の漁業者にとっても実習生は貴重な人材だ。 家族で漁業を営む石巻市の佐藤一さん (66) は「実習生が 1 人減っただけで死活問題。 このままでは船を出せなくなるかもしれない。」と焦りを見せた。 (河北新報 = 5-18-20)


客室係の外国人を収穫作業に 休業ホテル、農家に打診

全国有数の高原野菜の産地、長野県佐久地域の農家が人手不足に悩んでいる。 新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限で、農作業を担う外国人技能実習生の多くが入国できないためだ。 そこで地元農協などが仲介役となり、休業で収入を断たれた観光業などの人材を雇う試みが始まった。 「6 月から出荷作業が始まる。 人が来なければ、作付けを半分程度に減らさざるを得ない。」 県やハローワーク佐久が 8 日に佐久市内で開いた農家と求職者をマッチングする相談会で、参加した 14 軒の農家から悲鳴のような声が相次いだ。

南牧村でレタスやキャベツなどを育てる男性 (57) はため息をつく。 例年、4 月に実習生 1 人を受け入れていたが、今年はめどが立たない。 地元のハローワークに求人を出してもなしのつぶて。 「農作業は重労働。 なり手は少ない。」 「実習生 3 人が入国できなくなった」と嘆くのは、日本一のレタス産地で知られる川上村で 5 ヘクタールの畑を営む男性 (71)。 友人に手伝ってもらっているが、「出荷で忙しくなる 6 月になったら今のままではとても回らない。」と話す。

県によると、中国や東南アジアなどから毎年 2 千人程度の実習生を県内で受け入れているが、今年は約 800 人が入国できず、佐久地域では 500 - 600 人不足しているという。 佐久地域の夏場のレタスやハクサイなどの出荷量は全国の 8 割以上を占めるといい、収穫量が減ると市場価格にも影響が出かねない。 こうした中、地元の農協には、全国で約 130 のホテルを運営するホテルグループからこんな相談が寄せられているという。 「客室係として雇用する 100 人以上の出稼ぎの外国人を、休業期間中に農家で働かせてもらえないか。」

また、軽井沢町など 3 市 4 町にまたがる佐久浅間農協は、地元の軽井沢旅館組合と連携。 相次ぐキャンセルや休業要請にあえぐ宿泊施設の働き手と、助っ人がほしい農家を橋渡ししている。 これまでに 20 人程度の採用が決まった。 軽井沢町でキャベツなどを育てる片山修さん (48) の畑では、4 月中旬から上田明広さん (60) が働き始めた。 車で 10 分ほどの町内で家族と旅館を営むが、3 月下旬からキャンセルが相次ぎ 4 月から休業。 「何かアルバイトでも、と考えていたら募集を知ってすぐに手を挙げた。」

週 5 日、午前 9 時から午後 4 時すぎまで、苗を植えたり農機具で土をならしたり。 本格的な農作業は初めてだが「接客業の細やかな気配りで仕事が丁寧」と片山さん。 上田さんは「広大な大地で土をいじっていると心が解放される。 この体験を糧に、本業でも軽井沢のおいしい野菜の魅力を伝えたい。」と笑顔をみせた。 上田さんは 7 月以降の旅館再開をめざしている。 ただ、7 月は出荷の最盛期。 片山さんは「そのときはまた人を探す。 上田さんにも可能な範囲で手伝ってもらえたらうれしい。」と話す。 (滝沢隆史、asahi = 5-10-20)


ベトナム人技能実習生、殺害される 富山市

富山市の住宅街にある側溝で、ベトナム人技能実習生の男性が遺体で見つかり、警察は殺人事件として捜査しています。 遺体で見つかったのは、ベトナム人技能実習生で清掃作業員のグエン・ヴァン・ドゥックさん (21) です。 警察によりますと、グエンさんは先月 2 日の夕方から連絡がとれなくなり、警察に行方不明の届けが出ていました。 5 日、知人らがグエンさんのアパートを訪問した際、異臭がしたため、近くを調べたところ、側溝の中で倒れている遺体を発見しました。 遺体は死後 1 か月ほど経過していて、首や腹などに鋭利なもので傷つけられた痕があることから、警察は殺人事件と断定し捜査しています。 (TBS = 5-7-20)

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ベトナム人技能実習生 同僚を包丁で刺し逮捕 殺意は否認 香川・三豊市

香川県三豊市で、ベトナム人技能実習生の男が、一緒に暮らす技能実習生の男性を包丁で切りつけ、殺そうとしたとして逮捕されました。 殺人未遂の疑いで逮捕されたのは、ベトナム人技能実習生のホー・ハイ容疑者 (26) です。 警察によると、ホー・ハイ容疑者は 5 日午後 9 時過ぎ、三豊市詫間町の倉庫で一緒に暮らす技能実習生の男性 (26) を包丁で切りつけ、殺そうとした疑いが持たれています。

切りつけられた男性は、腕にけがをしましたが命に別状はありません。 ホー・ハイ容疑者と男性は、三豊市の家具製造工場で働いていて、他のベトナム人技能実習生 2 人も合わせた 4 人で暮らしていました。 ホー・ハイ容疑者は「けがをさせてやろうと思った」と話しているものの、殺意は否認しているということです。 警察は 2 人の間にトラブルがあったとみて調べています。 (KSB 瀬戸内海放送 = 5-6-20)


技能実習生 応急措置後を見すえよ (社説)

あくまで新型コロナウイルスの感染拡大に伴う応急措置である。 多くの矛盾と問題をはらむ制度自体をなし崩しに温存することがあってはならない。 あらかじめ働く場を決め、原則として転職できない外国人技能実習制度で、政府は職種の変更を認める仕組みを導入した。 観光・製造業などに就いていた実習生が休業に伴って職を失う一方、入国規制で新たな実習生が来日できなくなった影響で農漁業や介護分野では人手が足りない。 そんな実習生と事業者を政府がつなぎ、向こう 1 年働ける在留資格を認める。

コロナ禍は世界に広がっており、仕事をなくしながら帰国もままならない実習生は少なくあるまい。 放置するわけにはいかない。 この手当てで助かる事業者がいるのも確かだろう。 ただ、技能実習をめぐっては、低賃金労働や長時間の残業、雇用主による暴力など、様々な人権侵害が後を絶たないことを忘れてはならない。 政府は実習生を受け入れてきた事業者に対し、まずは雇用の継続を指導すべきだ。 どうしても難しい場合は、本人の希望に基づき、働き手を求める事業者と結ぶ。 これまでの受け入れで違反がないことが前提で、法令を守ることを確約させる。 そうした手順をしっかりと踏む必要がある。

職を変える実習生は、都市部から地方へ移るケースが多いと見られる。 コロナ感染は大都市圏で目立つだけに、受け入れ先で不安をもたれる恐れもある。 事業者の近隣住民を含めた周知と合意形成が欠かせない。 最長 1 年のつなぎ期間を経た後、実習生は政府が昨年 4 月に新設した「特定技能」制度に移ることとされた。 人材育成を通じた国際貢献を掲げる技能実習とは別に、外国人労働者の受け入れ拡大を狙った試みである。 この特定技能制度も、基本的に最長 5 年の滞在後は帰国させ、家族の帯同を認めないなど問題が多い。 政府・与党が拙速に導入したこともあり、昨年末時点で 2 千人にも達しない。

一方で技能実習生は増え続けており、約 41 万人に及ぶ。 事業者が圧倒的に強い立場にあるだけに、制度を残す限り、人権侵害の根絶は困難とみるべきだ。 コロナ禍は、日本社会が外国人の働きに頼る現状を改めて浮き彫りにした。 労働力ではなく、生活者として受け入れる。 この基本に立って、官民の関係者には技能実習生の暮らしぶりへの目配りを怠らないでほしい。 その上で、今回の応急措置を制度の縮小・廃止への起点としつつ、海外の人材にかかわる仕組み全体の見直しを急がねばならない。 (asahi = 4-30-20)


技能実習生に 1 カ月 100 時間残業 36 協定の限度時間越えで送検 米子労基署

鳥取・米子労働基準監督署は、時間外・休日労働に関する労使協定(36 協定)の限度時間を超えて違法残業をさせたとして、水産食料品製造業の(株)ダイマツ(鳥取県米子市)と同社元生産統括本部生産部課長を労働基準法第 32 条(労働時間)違反の容疑で鳥取地検米子支部に書類送検した。 同社は平成 31 年 2 月、ベトナム人技能実習生 1 人に対して 36 協定で定めた限度時間である 1 カ月 80 時間を超えて違法残業させていた疑い。 総残業時間は 100 時間に達している。 (労働新聞 = 4-27-20)


外国人実習生、入国できず … ホウレンソウ農家は作付け大幅縮小へ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の入国制限措置の影響が、栃木県内の現場でも広がっている。 外国人技能実習生が入国できなくなったことで、研修施設は休業状態となり、県北の農家では作付け量を減らさざるを得ない。 技能実習は、技術や知識を途上国に移転するための制度で、労働力の需給の調整として行われてはならないと定められているが、人員不足が続く中、多くの産業で事実上の労働力として役割を果たしているのが現状だ。

県内最大、関東でも有数規模の研修施設「きぼう国際外語学院(小山市)」は、全国約 60 の監理団体の委託を受け、外国人技能実習生に研修を行っている。 実習生は来日後、約 1 か月間の研修が義務づけられており、学院では、ベトナム、中国、タイ、インドネシアなどから年間約 3,600 人を受け入れている。 普段は約 300 人が市内各所の教室に約 30 人ずつに分かれ、日本語や生活ルールなどを学ぶが、24 日には 1 人だけとなった。 同学院の竹内靖社長は「今の実習生の研修が終わると、ゼロになる。 実習生が来日できない以上、致し方ないが …。」と諦めの表情を浮かべた。

3 月下旬に実習生の主力となっているベトナムの航空会社が国際便の運航を停止してから来日人数が減り、4 月はカンボジアから 1 人だけだった。 学院に研修を委託する小山市の協同組合グランの小坪洋一代表理事は「4 月に来るはずだったベトナムの実習生が来られなくなり、実習先の企業にも影響が出始めている」と話す。 実習を終え、帰国目前に渡航制限となり、日本にとどまらざるを得ない実習生もいるという。

那須塩原市の外国人技能実習制度の監理団体、県開拓農業協同組合では今春、組合員の 17 農家で 43 人の外国人技能実習生を受け入れる予定だったが、入国できたのは 3 人にとどまる。 受け入れ農家の大半は同市や日光市の高冷地でホウレンソウを育てており、塩原地区では 10 日頃から作付けが始まっている。 実習生は中国とインドネシアから 3 - 5 月に受け入れるはずだったが、現在、実習生は来ていない。

1 軒の農家で受け入れる実習生は最大 3 人だが、組合によると、1 人で経営する農家は実習生がいないとビニールハウスを建てることさえ困難で、このままでは作付けを 5 分の 1 程度まで減らさざるを得ない農家もありそうだ。 また、ホウレンソウは収穫時期が短いため人手が欠かせず、収穫が遅れれば、1 ハウスで数十万円の影響が出ることもあるという。 組合の加藤効示専務は「待ったなしで労働力を探さなければならないが、そう簡単には見つからない。 従業員が余っている業界から労働力を融通してもらえる仕組みや、給料の補償があればいいのだが。」と頭を抱える。 (yomiuri = 4-26-20)


実習生の「窓口」 5 億円所得隠し 3 監理団体に国税指摘

外国人技能実習生の受け入れ窓口として国が運営許可を出している「監理団体」の 3 団体が税務調査を受け、総額約 5 億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。 経費を架空計上して裏金をつくり、代表者による個人的な使用や海外工作に充てたとされる。 監理団体は技能実習がきちんと行われているかをチェックする非営利団体で、所得隠しの発覚は初めて。 3 団体は、▽ 協同組合フレンドニッポン(FN、広島市)、▽ 全国人材支援事業協同組合(長野県佐久市)、▽ 朝日協同組合(同県川上村)。

複数の関係者によると、監理団体で全国最大規模の FN は広島国税局から、他の 2 団体は関東信越国税局から 2018 年秋ごろに税務調査を受け、いずれも 18 年 3 月期までの数年間に不正な経理操作が発覚した。  FN は国内外の関連会社に一部の業務を委託したように見せかけて架空経費を計上するなどしたとして、約 3 億円の所得隠しを指摘された。 非営利の監理団体は法人税率が一般企業より軽いことなどから、重加算税を含む追徴税額は約 5 千万円とみられる。

全国人材支援事業協同組合は経費の水増しなどがあったとして 3 年間に約 1 億 1 千万円、関連団体の一般社団法人「全国人材支援連合会」は売り上げの一部を簿外にしたなどとして 7 年間で約 9 千万円の所得隠しを指摘された。 朝日協同組合は、川上村の特産物のレタスの生産農家に中国人実習生らを派遣していたが、経費の水増しなどで約 1 億円の所得を隠したとされる。 FN は取材に対し修正申告したことを認め、「再発防止に取り組む」などとコメント。 他の監理団体は取材に応じなかった。 (花野雄太、asahi = 4-20-20)

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実習生 1 人当たり月 6 万円 「外国人材ビジネス」の実態

外国人技能実習生に実習先を紹介し、実習内容や住環境の監査もする「監理団体」。 その 3 団体で総額約 5 億円の所得隠しが指摘された。 監理団体は国の許可を受けた非営利団体だが、人手が欲しい企業に実習生を売り込む「外国人材ビジネス」の実態も浮かぶ。 協同組合フレンドニッポン(FN、広島市)は、昨年 9 月時点で 3 千人超の実習生を監理していた監理団体大手の一つ。 技能実習適正化法に違反した実習を行わせていたとして国から処分を受けた日立製作所や三菱自動車に、フィリピン人実習生を紹介していた。 国はこの問題でも FN について調べている。

監理団体は、企業から受け取る実費相当の「監理費」が主な収入源だ。 関係者によると、FN は実習先の企業と「監理契約」を結び、実習生 1 人当たり毎月 2 万数千円の監理費を受け取るが、別途、日本語指導など実習生の面倒を見る「支援契約」も結び、監理費とあわせて毎月 6 万円程度を受け取るビジネスモデルだという。 法的な規制下にある「監理契約」と異なり、「支援契約」は規制が及びにくいとされる。

FN は、創業者 (76) の人脈で日立グループに実習生を送り、製造業に強い大手に成長した。 創業者がフィリピンに設置した訓練学校で実習希望者を学ばせ、「即戦力」となる能力の高い外国人材を提供すると企業にアピールしてきた。 一方、事務などの一部を、家族で経営し所在地も同じビル内になっている人材派遣会社に委託。 FN 職員はこの会社の名刺も持ち、業務を掛け持ちしていた実態もあったという。

関係者によると、今回の所得隠しでは、業務委託費の水増しやフィリピンへの現地工作費の送金がみられたとされる。 FN 関係者の一人は「お金の流れは役員だけが知っていて、決算書類は受け入れ企業にも見せないほど、ブラックボックスだった。」と証言する。 FN では創業者が 2018 年末に代表理事を辞め、人材派遣会社の役員も退任。 運営を委ねた自身の長男や次男側と金銭の分配を巡って訴訟になっている。

朝日新聞の取材に対し、FN は「見解の相違があったとはいえ、追徴税を課せられたことを真摯に受け止める」などと文書で回答。 創業者は代理人を通じ「係争中の相手方に関する事項をお話しするのは、訴訟に影響する可能性があるため、回答を差し控える」などと答えた。 監理団体は今年 2 月時点で全国に約 2,900 ある。 実習生が失踪したら賠償金を支払わせるなどの不正な裏契約を送り出し機関と結んだとして、国から運営許可を取り消された監理団体も出ている。

「技能実習」の在留資格で働く人は昨年末で約 41 万 1 千人。 4 年前から倍増したが、劣悪な待遇や失踪者が多いなどの問題が指摘されている。 昨年 4 月に設けられた「特定技能」の在留資格を得た人数は、政府の見込みを大きく下回っており、外国人材の受け入れは今も技能実習が中心だ。 (前川浩之、asahi = 4-20-20)


外国人技能実習生の日本での再就職を支援へ 出入国在留管理庁

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、出入国在留管理庁は、実習の継続が困難となった外国人技能実習生などが、日本国内で再就職できるようにするための支援を実施することになりました。 出入国在留管理庁によりますと、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大の影響で、製造業や観光業などでは業績が悪化し、外国人技能実習生の実習の継続が困難になったり、「特定技能」の在留資格を持つ外国人が解雇されたりするケースがあるということです。

このため、出入国在留管理庁は、日本国内で再就職を希望する外国人技能実習生らへの支援を、今月 20 日から実施することになりました。 具体的には、関係省庁や業界団体に情報を提供し、報酬や生活支援の有無などの一定の要件を満たした企業などとのマッチングをおこなったうえで、最大で 1 年間働くことができる在留資格を与えるということです。

対象については、予定していた技能実習の期間が終了したものの帰国が困難な人や、日本国内の企業の内定が取り消しになった留学生などにも柔軟に対応するとしています。 出入国在留管理庁は、「外国人技能実習生が来日できないために人手不足となっている農家や介護施設の支援にもなる。 今後、技能実習が再開される場合も見据えて、在留を継続するための仕組みとして活用してほしい。」と話しています。 (NHK = 4-17-20)


コロナで実習生来ない産地続出 農水省が人材確保へ補助

新型コロナウイルスの感染拡大で外国人技能実習生が来日できなくなり、人手不足が心配されている農作業の支援に、農林水産省が乗り出す。 野菜収穫などを担う人に、交通費や上乗せ分の労賃などを負担する補助金を設ける。 事業縮小や雇い止めが懸念される観光業やタクシー業界からの受け入れを想定している。 技能実習生の来日が見込めない農家が代わりの人を雇用した場合、上乗せ分を時給で 500 円まで、交通費や宿泊費も一定額を負担する。 民間の人材派遣会社を通じて募集する際の経費も半額まで負担する。 2020 年度補正予算案に関連予算計約 46 億円を計上した。

農水省によると、昨年末時点で農業分野の技能実習生は約 3 万 2 千人。 今春は中国を中心に技能実習生約 1,900 人が来日できなかった。 これから収穫期を迎える関東近郊の野菜農家などで人手不足が懸念されている。 レタス農家などが加入する JA 佐久浅間(長野県佐久市)は技能実習生の受け入れ団体でもあるが、今春は 100 人弱の受け入れ見通しが立っていない。 このしくみを利用し、営業を縮小している近隣観光地のホテルの従業員の受け入れをめざす。 担当者は「出荷が本格化する 5 月初めまでに半数程度は確保したい」と話す。

一方、約 120 人の来日が見込めない JA 利根沼田(群馬県沼田市)の担当者は「近隣に大規模な観光地がなく、確保は難しい。 人が集まらないと夏以降は作付けを減らさざるを得ない農家も出てくる。」と頭を抱えている。 (高木真也、asahi = 4-17-20)