水から水素を取り出す 活性高い光触媒を信大などが開発

光を 100% 近い効率で使い、水を水素と酸素に分解する光触媒を開発したと、信州大や東京大などの研究チームが発表した。 これほどの効率になるのはまだ紫外線の一部だけだが、似た原理で可視光でも効率を高くできる可能性がある。 太陽光と水から、エネルギー源となる水素を大量につくれるようになるのではと期待されている。 水を分解する光触媒が、光を反応に利用する効率(量子収率)は、これまで多くが 10% 以下で、50% を超す例もわずかだった。

信大の高田剛特任教授と堂免一成特別特任教授らのグループは、半導体のチタン酸ストロンチウム粒子にアルミニウムを加えて光触媒をつくり、表面に水素や酸素ができやすくする助触媒をつけるなどの工夫をした。 波長 350 - 360 ナノメートル(ナノは 10 億分の 1)の紫外線で、ほぼ 100% の量子収率を達成した。 光を照射されることで触媒に生じる電子と正孔(電子が抜けたプラスの穴)が、こうした工夫によって表面の助触媒のところへ移動しやすくなるらしい。 そのため、電子と正孔が途中で再結合して失われるロスがほぼ抑えられたと考えられた。

この原理は可視光にも応用できそうだといい、堂免さんは「可視光は光の量が多く、30% くらいの収率でも水素の生産を実用化できるレベルになる」とみる。 高田さんは「今後、利用できる波長域を広げる研究を進めていく」と話した。 人工光合成に詳しい井上晴夫・東京都立大特別先導教授は「今回の成果を生かせれば、近い将来に飛躍的な反応性の向上が期待できる。水を原料とした人工光合成の実用化に、大きな一歩を踏み出した成果だ」とみている。 この 成果 は英科学誌ネイチャーに掲載された。 (米山正寛、asahi = 6-2-20)


風車のない風力発電を実現する 「ボルテックス・ブレードレス」

SDGs (持続可能な開発目標)が注目され、新型コロナウイルスの影響で化石燃料の産出量が削減されるなか、改めて再生可能エネルギーへの関心も高まっている。 日本でも思わぬところで風力発電の巨大風車を見かけたりするが、燃料費がかからない反面、設備投資やメンテナンス費用はそれなりの額となり、風車が発生する低周波騒音を問題視する声もある。

10 年近い開発期間を経て、今年いよいよテスト運用が開始されるスペイン発の風力発電システム「ボルテックス・ブレードレス」は、その名の通り、低周波騒音の原因ともなるブレード(羽根)を持つ風車ではなく、風を受けた円筒の振動によって発生する「渦励振(うずれいしん)」と呼ばれる現象を利用した、新しい発電システムだ。

発想の原点は、1940 年に強風による共振現象で崩壊したアメリカのタコマ・ナローズ橋の事故の映像を、開発者のひとりが見たことにあった。 その分析映像は、こちらで見ることができるが、円柱に当たった風が周縁部を通過する際にも渦が連続的に発生し、空気の流れが左右に振れることで、円柱自体も振動する。この揺れが内部にあるコイルと磁石を用いた発電機によって電力に変換されるのである。

渦の発生は不規則で、絶えず増減する風速によっても影響を受けるが、その変化に合わせて発電機を自動調整する仕組みを開発したことにより、風速 3m という弱い風でも発電できるようになったという。 ギアなどの消耗部品がなく、部品点数も少ないことから、長期に渡ってメンテナンスフリーで利用でき、バードストライクのような事故も起こりにくいボルテックス・ブレードレスは、重量約 15kg のユニットで 100W/h の発電が可能。 メーカーによれば、量産後は 1 基あたり 200 ユーロ程度で販売できるようになるとのことであり、それが実現すれば自然エネルギー利用の新たな地平を開くことになるだろう。 (大谷和利、Axis = 5-21-20)


環境省、営農や融雪設備に「熱資源」利活用し CO2 削減 支援事業を公募

環境省は 5 月 19 日、エネルギー起源 CO2 の排出を抑制する設備の導入等を支援する事業の公募を開始した。 執行団体は、一般社団法人温室効果ガス審査協会。 期限は 6 月 24 日まで。 なお新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から公募説明会は開始しないが、特設ウェブサイトにて応募者向けの詳細な説明資料を公開している。 また、6 月 17 日まで、別途メールにて、質問事項への問い合わせも受け付けている。 (環境ビジネス = 5-20-20)


日光を浴びて従来よりも速いスピードで二酸化炭素を有機化合物に変える「人工葉緑体」を研究者が開発

植物が日光などの光エネルギーを化学エネルギーに変換する光合成は、細胞小器官の葉緑体で行われる生化学反応であり、反応の途中で空気中の二酸化炭素を吸収すると共に酸素を大気中に放出しています。 合成生物学者らの研究チームは、従来よりも早いスピードで二酸化炭素を有機化合物に変換する「人工葉緑体」を作ることに成功しました。

光合成は 2 段階のプロセスであり、まずは葉緑体に含まれるクロロフィルが太陽光を吸収し、化学エネルギーを蓄積するアデノシン三リン酸 (ATP) およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADPH) といった化学物質を合成します。 次に、さまざまな酵素がATPとNADPHを使って、空気中の二酸化炭素を植物の生長に使用できるグルコースなどのエネルギー豊富な有機分子に変換します。

二酸化炭素を使った反応はリブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ (RuBisCO) という酵素から始まりますが、マックス・プランク研究所の合成生物学者である Tobias Erb 氏は、「RuBisCO は非常に低速です」と指摘。 各酵素は 1 秒当たり 5 - 10 個の二酸化炭素分子を取得して光合成反応を行っているとのことですが、これが植物の成長速度を制限しているとのこと。

Erb 氏らの研究チームは 2016 年の研究で、光合成に関わる一連の化学反応を再設計することにより、この速度を上げようと試みました。 再設計された化学反応では RuBisCO の代わりに、二酸化炭素分子を取得する速度が 10 倍も速い別の細菌酵素が用いられたほか、合計で 9 つの生物に由来する 16 もの酵素を組み合わせ、「CETCH サイクル」という二酸化炭素を有機化合物に変換する新しいサイクルが人工的に作られました。

新たな研究では、CETCH サイクルを太陽光のもとで実行するため、クロロフィルによる ATP や NADPH の合成を CETCH サイクルと組み合わせました。 葉緑体に含まれるチラコイドはクロロフィルなどの光合成酵素を保持する袋状の区画です。 ほかの研究者によって、既にチラコイドが植物細胞の外側で機能することは確かめられていたとのこと。

Erb 氏らの研究チームもホウレンソウの葉の細胞からチラコイドを取り出し、植物細胞の外にあるチラコイドが光を吸収して ATP や NADPH を合成することを確認しました。 続いて、ホウレンソウから取り出したチラコイドと CETCH サイクルのシステムを組み合わせることにより、研究チームは「光を使用して継続的に二酸化炭素をグリコール酸塩という有機化合物に変換する人工葉緑体」を作り出すことに成功しました。

チラコイドを人工的な CETCH サイクルと組み合わせるため、研究チームは CETCH サイクルに用いる酵素のいくつかを入れ替えるなどの微調整を行いました。 また、フランスのポール・パスカル研究センター (CRPP) に所属するマイクロ流体工学の専門家、Jean-Christophe Baret 氏らの研究室と協力して、油の中で数千もの水滴を生成してそれぞれに異なる量のチラコイドと CETCH サイクルの酵素を注入するデバイスを設計したそうです。

研究チームは、人工葉緑体が生成する有機化合物をグリコール酸塩より有用な別の化合物にするため、あるいは二酸化炭素から有機化合物への変換をより効率的にするため、設計をさらに変更したいと考えています。 また、将来的には人工的に設計された光合成経路の遺伝子を作物に組み入れて、従来の品種よりもはるかに速く生長する品種を作り出せる可能性もあるとのことです。 (Gigazine = 5-11-20)


3 次元架台の活用や蓄電池の併設も、日本アジア投資のメガソーラー 3 件が稼働

日本アジア投資は、同社グループが投資する 3 つのメガソーラーが売電を開始したと発表した。

日本アジア投資は 2020 年 4 月 12 日、同社グループが投資するメガソーラープロジェクト 3 件が完成し、売電を開始したと発表した。 紋別市弘道太陽光発電所(北海道紋別市)、広野ソーラーパーク(福島県双葉郡広野町)、横津の丘太陽光発電所(北海道亀田郡七飯町)の 3 カ所である。

紋別市弘道太陽光発電所は、最大出力が 15.7MW、予想発電電力量が年間約 1 万 8,993MWh。 売電開始は 2020 年 2 月。 買取価格 (FIT) は 40 円/kWh (税抜き)である。 同発電所は、スマートソーラーとの共同投資案件となる。 出力変動対策として蓄電システムを導入した他、パネルの設置角度を最大 20 度まで調整可能な 3 次元架台を使用。 また、パネル表面への積雪回避のため、パネルを高い位置に急な傾斜角度で設置している。

広野ソーラーパークは、最大出力が 2.7MW、予想発電電力量が年間約 3,290MWh。 売電開始は 2020 年 2 月。 買取価格 (FIT) は 40 円/kWh (税抜き)。 スマートソーラーとの共同投資案件である。 採石場跡地を有効利用した、災害復興における地域のインフラ整備の一環として位置付けられた発電所である。 横津の丘太陽光発電所は、最大出力が 2.0MW、予想発電電力量が年間約 2,301MWh。 売電開始は 2020 年 3 月からである。 買取価格 (FIT) は 36 円/kWh (税抜き)。 閉鎖された旧函館カントリークラブ横津ゴルフコース跡地を活用したメガソーラーだ。 (スマートジャパン = 5-8-20)


次世代太陽電池では負けない シャープが新技術

シャープが次世代型の太陽電池の開発に注力している。 化合物を使ったタイプで高い変換効率を誇り、軽量で様々な加工がしやすいのが特徴だ。 現在、太陽電池で主流のシリコン型では中国勢が覇権を握るが、新たな技術を確立することで競争力を向上。 宇宙用途のほか電気自動車(EV)でも実証実験を展開し、2020 年代の実用化を目指す。

トヨタ自動車のプラグインハイブリッド (PHV) 「プリウス PHV」が、2 月末まで少し変わった装いで東京都や愛知県の街中を走り回っていた。 目を引いたのは車体の屋根やフロント部分にびっしり貼られた黒色の薄いパネル。 シャープが開発中の次世代型太陽電池の実証実験だ。 実験の目的は EV の航続距離や燃費向上効果の検証。 使われるプリウス PHV は、約 0.03 ミリメートルという薄さのフィルム状の太陽電池を計 1,170 枚搭載する。 電力は約 860 ワットで「条件が良ければ 1 日の充電で約 56 キロメートル走ることができる。(シャープ広報)」

シャープやトヨタは新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) と連携。 昨夏から半年かけて収集したデータを分析し、今後の実用化に生かしていく。 そのカギを握るのが、シャープが手掛ける「化合物 3 接合型」の太陽電池だ。 太陽電池は材料によって「シリコン系」、「化合物系」、「有機系」に分けられる。 シャープの太陽電池は化合物系の中でも材料に「ガリウムヒ素 (GaAs)」などを使用するタイプで、光を吸収してエネルギーに変換しやすい。 その変換効率は 34% 以上で世界最高水準。 一般的なシリコン系の 20% 台を大きく上回る。

「性能の面では非常に大きな可能性が開けている。」 シャープの高本達也・化合物事業推進部部長はこう強調する。 その理由は変換効率に加え、軽量で薄型、曲面への貼り付けなど様々な加工がしやすい点にもある。 化合物 3 接合型は製造途中で基板を除去するため、太陽電池の中心部材である電池セルを 30 マイクロ(マイクロは 100 万分の 1)メートルの薄さにすることが可能だ。 重さも 1 ワットあたり 0.33 グラム程度に抑えられる。 これらの特徴により 「曲面の多い EV の車体に大量の電池を載せ、効率的に電気を充電する。(高本氏)」

この太陽電池の展開で既に成果を上げつつあるのが宇宙用途だ。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が 19 年 1 月に打ち上げた「革新的衛星技術実証 1 号機」にはシャープの太陽電池が搭載され、宇宙空間で人工衛星が安定して稼働できるか、実証実験が進められている。 発電効率や軽さに加えて十分な耐久性が確保できれば、宇宙開発に活用できる余地は今後さらに広がる。 シャープ製品は JAXA が今後打ち上げを予定する小型月面着陸探査機などにも搭載されるため、様々なデータをもとに改良する計画だ。

シャープが化合物 3 接合型の太陽電池を世の中に打ち出し始めたのは 11 年ごろから。 そもそも、1959 年に太陽電池の開発に着手した同社にとって太陽電池事業は成功と苦難の歴史だった。 63 年に太陽電池の量産化にいち早く成功したシャープは同年に横浜港のブイに世界初の太陽電池を納入。 その後もシリコン系など各種太陽電池で世界最高の変換効率を実現し、94 年には住宅用の太陽光発電システムを商品化した。 2000 年には太陽電池の生産量で世界一を達成。 「太陽電池のシャープ」のブランドを確立した。 (nikkei = 5-7-20)


化石燃料を使わない航空機用ジェットエンジンのプロトタイプが発表される

人類は輸送においてガソリンなどの化石燃料に依存していますが、化石燃料は「温室効果ガスを生み出す」、「埋蔵量が限られている」という問題があります。 そんな化石燃料を必要としない「電気のみで駆動する航空機向けジェット推進装置」のプロトタイプを武漢大学技術科学研究所の研究チームが発表しました。 従来型のジェットエンジンは、取り込んだ空気に含まれる酸素と化石燃料を燃焼させて熱エネルギーを生み出し、この熱エネルギーで燃焼ガスを加熱・膨張させて推力を得ています。 つまり、ジェットエンジンにおいて化石燃料は「熱エネルギーを生み出す」ということに活用されています。

この熱エネルギーを「プラズマから生み出す」というジェットエンジンのプロトタイプを武漢大学技術科学研究所の研究チームは作成しました。 武漢大学の開発した化石燃料を必要としないエンジンは空気を高圧に圧縮し、マイクロ波でイオン化することによって熱エネルギーを生成して推力を生み出します。

駆動時は、まずマグネトロンを使用して 1kW の高出力マイクロ波を生成します。 このマイクロ波が導波管の最も細くなる部分に接合された石英管の入り口付近で非常に強力な電界を生み出します。 この電界を通過するように石英管に向けて圧縮空気を流し込む過程で圧縮空気中の窒素と酸素から電子が取り除かれ、低温かつ低圧のプラズマが生成。 導波管の中でプラズマ内の荷電粒子が圧縮されて、イオン・原子・電子が振動することによって頻繁に衝突し合い、熱エネルギーを急速に生み出します。

過熱されたプラズマによって、石英管の中でトーチ型の炎が形成されます。 この炎は電力によって出力が変動し、最大出力時は 1,000℃ 以上に達します。 研究チームは、「本プロトタイプ機が生み出した推力は 28N/kW で、商用航空機のジェットエンジンに匹敵します」と述べています。

今回発表されたのはあくまでプロトタイプで、実際の航空機向けジェットエンジンとはスケールが異なります。 IT 系ニュースサイト Ars Technica は「このプロトタイプが生み出した気流は実際のジェットエンジンに比べて 1 万 5,000 分の 1 の大きさであり、推力・出力も 1,000 分の 1 以下です」と指摘し、本プロトタイプを実物大のサイズにしたときにプラズマが安定しないといった可能性を挙げて、「複数の課題が残されています」と指摘しています。

研究チームの Jau Tang 氏は、「私たちの設計では化石燃料は不要で、温室効果や地球温暖化を引き起こす炭素排出はありません」、「今回発表したプロトタイプは、従来の化石燃料によるジェットエンジンの潜在的な代替手段になり得ることを示しています」とコメントしています。 (Gigazine = 5-7-20)


太陽光・風力比率 65% 超も 東北電管内の GW 見通し

東北 6 県と新潟県の電力需要に占める太陽光・風力発電比率が、5 月のゴールデンウイーク (GW) 中に過去最高の約 65% を更新する見通しであることが分かった。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で企業や工場の需要が減る一方、太陽光や風力の発電量が拡大していることが背景にある。 送配電事業を担う東北電力ネットワーク(仙台市)によると、GW は例年、冷暖房の電力需要が少なく、1 年のうち最も需要が落ち込む。

7 県では 4 月、政府の緊急事態宣言と自治体による休業要請などに伴い、大型商業施設やオフィスの休業、工場の稼働停止などが相次いだ。 週末の日中の需要は昨年同期比で約 5% 落ちており、GW の需要も一定程度減ると見込む。 これに対し GW に晴天となった場合、太陽光と風力の出力は計 580 万キロワット(太陽光 500 万キロワット、風力 80 万キロワット)に達すると予想する。

これまで 7 県で太陽光・風力発電比率が最も高かったのは、2019 年 5 月 4 日午前 11 時台の 64.8%。 当時の需要 728 万キロワットに対し、472 万キロワット(太陽光 452 万キロワット、風力 20 万キロワット)を賄った。 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度 (FIT) が始まった 12 年度の最高値は 6.1% で、その後は上昇傾向が続いている。 14 年度に初の 2 桁台となる 17.0%、18 年度は 55.1% に達した。

FIT 導入以降、7 県では「再生エネ適地」として太陽光・風力の発電所建設が相次ぎ、発電量が大きく伸びた。 1 月末現在、送電網に接続済みの太陽光施設は 550 万キロワット、風力施設は 158 万キロワットに上り、それぞれ 12 年度末の約 14 倍、約 3 倍に膨らんでいる。 (河北新報 = 5-2-20)


独企業、新型コロナ政府援助と環境保護の連動を要請 独紙

[フランクフルト] 独鉄鋼大手ティッセンクルップや同ザルツギッター、製薬・化学大手バイエルなどドイツの大手企業は、新型コロナウイルス感染に対応した政府からの援助を環境保護への取り組みに連動させるよう要請した。 独ハンデルスブラット紙が報じた。 大手企業 60 社以上は連名で独政府に書簡を送り、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を前に環境問題が後回しになっていると指摘。 連邦政府に対し、経済政策を環境危機と新型コロナウイルス危機の両方の克服に密接にリンクさせるよう求めた。 (Reuters = 4-27-20)


太陽光発電、ドローンで点検 ウエストが中国最大手と

太陽光発電設備大手のウエストホールディングス (HD) はドローン(小型無人機)世界最大手の中国 DJI と組み、ドローンを使った太陽光発電設備の保守管理事業を始めた。 NEC 系なども関連サービスを展開する。 太陽光など再生可能エネルギーは需要拡大が見込まれるが、設備の点検などを担う人材が不足。 ドローンなどデジタル技術の活用が急務となる。

ウエスト HD はこのほど、DJI の高性能ドローンを使った保守管理事業を始めた。 上空から赤外線サーモグラフィーなどで太陽光パネルや関連機器を点検。 画像解析技術と組み合わせて設備の破損部分などを分析し、パネルの取り換えなど補修にも対応する。 従来こうした業務は担当者が目視など人力で行い、確認漏れなどのミスも起こりやすかった。 ドローンを活用することで少人数での正確な点検が可能になる。 当初は大規模発電所を対象にするが、順次工場や農地、住宅での中小型設備についてもサービス展開する。

DJI は日本で産業向けのドローン販売を拡大するため、クボタやコマツなどと提携しており、再生エネの分野にも手を広げる。 DJI が認定するドローンの技能操縦者は日本に約 8,300 人いる。 こうした技能者を増やすためのスクール運営などでもウエスト HD と協業する。 政府はドローンの商業利用を推進するため、ドローンの登録を義務化し、2022 年度には人がいるエリアでの目視外飛行を実現させるための法改正を目指している。 活用に期待が高まる中、重要な分野の一つが再生エネのインフラだ。

山間部の設置が多い太陽光や今後洋上での事業が広がる風力は、電力会社やガス会社のように十分な管理体制が整っていないケースも多い。 近年は大型台風で設備が損壊する被害も目立ち、防災対策や災害復旧が課題だ。 一方、大規模設備の保安に必要な「電気主任技術者」の有資格者は 30 年に約 2,000 人が不足し、需給ギャップが 1 割に及ぶとの試算もある。

こうしたなか、ドローンなどを活用して効率的な管理サービスを提供できれば、ニーズを取り込める余地は大きい。 IT (情報技術)大手やスタートアップも事業化の取り組みを進めている。 システム開発の NEC ネッツエスアイは 19 年、ドローンと人工知能 (AI) を組み合わせた太陽光発電の点検サービスを開始。 ドローンで太陽光パネルを撮影し、AI で自動的に異常を識別する。 NTT 西日本も同年からグループ会社を通じて太陽光や風力向けに点検サービスを提供する。

ドローン関連事業を手がけるセンシンロボティクス(東京・渋谷)は、各メーカーのドローン機体に飛行経路を指示し太陽光発電所を自動点検できるソフトを開発する。 電力大手でも、東京電力ホールディングスが 19 年に銚子沖洋上風力発電所で、水中ロボットやドローンを活用した設備点検の実証実験を実施した。 実用化が進めば事業モデルや技術の開発でも競争が活発になりそうだ。 (nikkei = 4-27-20)


4 月 22 日は地球の日(アースデイ) 新型コロナで地球環境は改善か

4 月 22 日は「地球の日(アースデイ)」です。 米国の上院議員のゲイロード・ネルソンが環境問題についての討論集会を呼びかけ、1970 年 4 月 22 日に討論集会を開催し、以来 4 月 22 日のアースデイ集会は世界各地に広まりました。 50 年の節目を迎えた今年、新型コロナウイルス感染防止のための外出制限や生産活動の停止などが、地球環境改善に寄与しているかもしれないのです。

新型コロナ対策が環境悪化にブレーキ?

地球環境が年々悪化してきましたが、今年になって世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスが、地球環境の悪化にブレーキをかけてくれる可能性があります。

図は今年 3 月 2 日に NASA (米航空宇宙局)とアースオブザバトリーが公開した衛星画像で、二酸化窒素 (NO2) の濃度を示しています。 左が 1 月 1 - 20 日、右が 2 月 10 - 25 日になります。 中国の武漢から始まった感染拡大で全国的に移動制限や生産活動の制限を行った結果、色が濃い 500μmol/m2 といった高濃度地域が消えて、大半が 100μmol/m2 以下に下がったのです。

二酸化窒素は、自動車や航空機の排気ガスや工場の排煙など高温燃焼に伴って発生する有害ガスです。 二酸化窒素の濃度が低下したということは、地球温暖化の主因とされる二酸化炭素 (CO2) や微小粒子状物質 (PN2.5) なども減少したと思われます。 つまり、大気がきれいになったのです。

欧米も生産活動の低下で大気が改善

新型コロナウイルスの感染が蔓延したイタリアでも二酸化窒素排出量が激減しました。 欧州宇宙機関 (ESA) が二酸化窒素排出量変化(10 日間における移動平均値)の動画をホームページ上で公開しています。 1 月の平常時と感染が拡大して移動制限と工場操業停止が行われた 3 月を比較すると、特にイタリア北部地域で二酸化窒素排出量が顕著に減少していることがわかります。 アメリカでも、同じような現象がみられます。 NASA の人工衛星の測定データによると、車の通行量が減ったことなどにより、アメリカ北東部では窒素酸化物が 30% も減少したそうです。

日本の大気汚染物質も減少

黄砂や PM2.5 などの大気汚染物質の監視や予測を行っている、ウェザーニュース予報センターの解析によると、日本でも 3 月の大気がきれいになっていることが分かりました。 大気汚染物質の少なさを表す指数 (CII * Clear aIr Index〈*〉)をみると、2019 年3月の全国平均は 0.78 だったのに対し、2020 年 3 月は 0.81 前後と、0.03 ポイント高い結果に。 中国大陸で大気汚染物質が減少し、越境汚染が低下したことなどが原因として考えられます。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外出制限や生産活動が縮小・停止されたことで、一時的とはいえ地球環境の改善につながったと言えそうです。 人間の活動と地球環境は切っても切れない関係にあることをいみじくも証明してくれました。 新型コロナウイルスが収束した後も、地球環境の悪化を防いで、持続可能な社会を目指していきましょう。 (ウェザーニュース = 4-22-20)

* CII は、オゾンや PM2.5 などの大気汚染物質の少なさを表す指数で、NICT-情報通信研究機構による計算式をもとにウェザーニュースが独自で算出しています。 値が高いほど空気がきれいなことを表しています。


太陽光発電、市町村の 1 割が「電力永続地帯」に、一方で太陽光関連倒産は 3 半期ぶり増加

域内の民生・農水用電力需要を上回る再生可能エネルギー電力を生み出している市町村「電力永続地帯」の数が全市町村数の 1 割を超えた。 その一方で、2019 年度下半期は関連倒産件数は 25% 増加している。

増加する「電力永続地帯」とは?

千葉大学倉阪研究室と認定 NPO 法人環境エネルギー政策研究所は、日本国内の市町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究を進めており、14 年目の報告書を 4 月 7 日に発表した。 最新結果では、2019 年 3 月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を推計し、一部は実績値を採用している。

再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取制度が 2012 年 7 月に施行され、再生可能エネルギー供給量は拡大を続けている。 直近の増加率は、2015 年度が前年度比 20.4% 増、2016 年度が同 17.9% 増、2017 年度が同 8.4% 増、2018 年度が同 10.1% 増となり、2018 年度は 2011 年度比で約 3.3 倍に拡大した。

その結果、域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村「電力永続地帯」の数は、2011 年度の 84 団体から 2018 年度には 186 団体に増加し、全市町村数の 1 割 (10.7%) を超えた。 再生可能エネルギー供給量全体に占めるシェアは太陽光発電が最も高く、2015 年度が 49.7%、2016 年度が 52.6%、2017 年度が 55.3% 増、2018 年度が 58.3% 増と拡大を続けている。 太陽光発電の増加率は 2015 年度が前年度比 36.6% 増、2016 年度が同 24.7% 増、2017 年度が同 13.9% 増、2018 年度が同 16.1% 増で、拡大は続いているものの伸び率は低下傾向にある。

太陽光関連業者の倒産件数

一方、帝国データバンクが 4 月 7 日に発表した「太陽光関連業者の倒産動向調査 2019 年度」の結果によると、2019 年度(2019 年 4 月 - 2020 年 3 月)の太陽光関連業者の倒産件数は前年度比 15.6% 減の 81 件となり、6 年ぶりに減少した。 ただし、2019 年度下半期においては、太陽光関連業者の倒産が前期比 25.0% 増の 45 件となり、3 半期ぶりに増加に転じたほか、負債額も同 34.5% 増の 136 億 300 万円に増加している。

2006 年度から 2019 年度までの太陽光関連業者の累計倒産件数は 483 件だった。 業種別の内訳は「設備工事業」が 117 件(構成比 24.2%)で最も多く、以下は「家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業」の 91 件(同 18.8%)、「総合工事業」の 62 件(同 12.8%)、「機械器具卸売業」の 60 件 (12.4%) が続いた。 倒産主因では「販売不振」が 351 件(同 72.7%)で最も多く、「その他の経営計画の失敗」が 28 件(同 5.8%)、「放漫経営」が 25 件(同 5.2%)で続いた。 再生可能エネルギー供給量が拡大する中、太陽光発電は重要な位置を占めている。 2019 年度下半期は関連倒産件数や負債額が増加しており、今後の動向に注目が集まる。 (Moneyzine = 4-18-20)


商船三井、台湾で洋上風力発電の保守 22 年にも参入

商船三井は台湾で専用船を使った洋上風力発電施設のメンテナンス事業に 2022 年にも参入する。 台湾西部の彰化県沖に 21 年以降完成する複数の発電機(計 900 メガワット時)ついて、15 年間、保守作業をする契約だ。 5,000 万ドル(約 53 億円)を投じて新たに発注した専用船を使う。 台湾では今後も洋上風力市場の拡大が見込まれ、追加で 2 - 3隻投入できる余地があると見ている。

台湾の船舶管理会社の大統海運との合弁会社、大三商航運(台北)を通じ、メンテナンスに使う専用船を 1 隻新造する。 最大 90 人の整備士や船員が乗船し、洋上にとどまったまま 2 週間程度連続で作業できる。 今回専用船を投入する大彰化発電所と港の往復には 6 時間程度かかることから作業が大幅に効率化できるという。 専用船は洋上風力発電事業者のオルステッド台湾に貸し出し、商船三井は船の運航などを担う。 まず台湾で実績を積み、日本などその他のアジア諸国でのメンテナンス需要の取り込みにつなげたい考えだ。 (nikkei = 4-17-20)


石炭火力の新規融資停止 みずほ、50 年に残高もゼロに
3 メガバンクは石炭火力発電所向けの新規融資をやめる

みずほフィナンシャルグループ (FG) は温暖化ガスの排出量が多い石炭火力発電所向けの新規融資をやめる。 約 3 千億円の残高を段階的に減らし、2050 年度までにゼロとする。 三井住友 FG も新たな融資を原則として控える方針を近く打ち出す。 気候変動対策では欧米の金融機関が先行しており、邦銀も取り組みを急ぐ。

みずほ FG は改定する基本方針に新たな建設のための融資をしないと明記し、6 月から適用する。 石炭火力向けを対象にした事業融資(プロジェクトファイナンス)の残高は 20 年 3 月末時点で約 3 千億円。 融資した資金の借り換えにも原則として応じないことで 30 年度に半減させ、50 年度までにゼロとする。 すでに三菱 UFJ フィナンシャル・グループが新規の投融資を原則として行わない方針を示しており、3 メガバンクが足並みをそろえる。 みずほ FG はそのなかでも新規融資の停止や残高ゼロの期限を明確に打ち出す。 海外では米 JP モルガン・チェースやクレディ・スイスが石炭火力への融資を見合わせる意向を表明している。 (nikkei = 4-15-20)


太陽光と "海水" でアンモニア合成に成功、水素キャリアの拡充へ期待

大阪大学の研究グループが、太陽光と海水を利用し、常温・常圧下で窒素ガスからアンモニアを合成できる光触媒技術を開発。 再エネ由来水素のエネルギーキャリアとして期待される新たなアンモニア合成触媒手法の実現に貢献する成果だという。

大阪大学、太陽エネルギー化学研究センター研究グループは、太陽光と海水とを利用し、常温・常圧下で窒素ガスからアンモニアを合成できる光触媒技術を開発しと発表した。 アンモニアは化学肥料の原料として重要な化学物質であるほか、近年では、再生可能エネルギーで製造した水素を効率的に貯蔵・輸送するためのエネルギーキャリアとして注目されている。 ただ、従来のアンモニア合成は、高い水素圧力と温度下で行う必要があった。

これに対し光触媒反応では、太陽光のエネルギーにより水と窒素ガスからアンモニアを製造できる。 省エネルギープロセスとして期待されています。 しかし、通常の光触媒では、水の四電子酸化と、窒素の六電子還元を進めることは難しく、新しい反応技術の開発が求められていたという。 そこで研究グループでは、ビスマスオキシ塩化物半導体に表面酸素欠陥を形成させた BiOCl-OVs 光触媒を、海水などの塩化物イオンを含む水溶液に懸濁させた。 これを利用して窒素ガス流通下で太陽光を照射すると、太陽エネルギー変換効率 0.05% 以上と、一般植物による天然光合成に匹敵する効率でアンモニアを生成することに成功した。

太陽エネルギーの化学エネルギーへの変換は古くから研究されているが、水の酸化は極めて進行しにくい反応で、高効率変換の妨げになっていた。 今回開発した反応技術を用いれば、水の酸化を促進でき、今回の技術を応用することで、さらに高性能なアンモニア合成触媒の創製が期待されるとしている。 (スマートジャパン = 4-13-20)


国内最大の風力発電所稼働 つがる

つがる市西部の屏風山広域農道(通称メロンロード)沿いの南北約 12 キロにわたって設置された風力発電所「ウィンドファームつがる」が今月、商業運転を開始した。 再生可能エネルギーの普及に取り組むグリーンパワーインベストメント(GPI、東京)が 1 基当たり 3,200 キロワット出力の風力発電機(大型風車) 38 基を建設、稼働させた事業で、総出力は国内最大の 12 万 1,600 キロワットを誇る。

同市西部の日本海側は白い風車群が遠くからでも確認できる。 この大半がウィンドファームだ。 同市によると、市内には陸上大型風車 50 基が設置されており、うち GPI の 38 基と、別の風力発電会社の 11 基が 1 日から稼働。 GPI は今後 20 年間の稼働を想定しており、市に農林水産業の地域振興資金として 20 億円を支払う。 別会社からも 20 年間で 2 億円が市に支払われる。

ウィンドファームは北サイト(牛潟町、下牛潟町地区)に 21 基、中サイト(木造館岡地区)に 5 基、南サイト(木造菰槌、出来島地区)に 12 基の風車を設置。 2017 年 10 月に着工し、20 年 3 月末に試運転を終え完工した。 総事業費は約 500 億円。 風車が建つ土地は 13 年制定の農山漁村再生可能エネルギー法に基づき、全て農地を借用。 土地を貸すことで収入を得る農家もいる。 総出力は本県全世帯の 5 分の 1 に当たる約 9 万世帯分の電力供給に相当し、再エネ発電により年間約 18 万トンの二酸化炭素削減効果が見込まれるという。

風車は風速 4 メートル以上になると自動で稼働し、同 25 メートルを超えると自動停止する。 3 枚あるブレードは風速が変わると角度を変えて対応。ブレードが取り付けられた頭部分も 360 度回転し、どの方角からの風も捉える。 発電した電気は、北サイトの北プロジェクト変電所、南サイトの南プロジェクト変電所それぞれと、管理施設ウィンドファームつがる風力発電所(同市木造菰槌)、東北電力北津軽変電所(鶴田町)間の延長 34 キロに整備した地中送電線を通じて、東北電力に全量供給する。

同発電所の小笠原孝所長は「風車のメンテナンスをしっかりし、風さえあれば毎日稼働する。 エネルギー源が自然のものなので温暖化の抑制も期待できる」と風力発電の可能性を説明。 また「土地の人の理解がなければ稼働までこぎ着けることができなかった。 地域とのつながりを密にして、安心・安全を実感してほしい。 今後は地域の経済に貢献し、共生していくことが重要。」と力を込めた。 (陸奥新報 = 4-12-20)


水素の混焼発電で CO2 削減、産総研らが福島県で水素サプライチェーン実証に成功

産業技術総合研究所は、日立製作所、デンヨー興産と共同で、福島県にて導入が促進されている再生可能エネルギー電力を化学変換、貯蔵、輸送して水素混焼発電機システムで発電する水素サプライチェーンを実証した。

産業技術総合研究所(以下、産総研)は 2020 年 3 月 18 日、同研究所の再生可能エネルギー研究センター 水素キャリアチームと日立製作所、デンヨー興産が、福島県にて導入が促進されている再生可能エネルギー電力を化学変換、貯蔵、輸送して水素混焼発電機システムで発電する水素サプライチェーンの実証実験を行ったと発表した。 今回実証された水素サプライチェーンは、トルエンを水素キャリアであるメチルシクロヘキサン (MCH) に化学変換するもの。 従来システムと比較してシンプルな構成とすることで、設備コストを半減させるシステム開発を行った。

さらに、MCH を製造する水素化反応器内で起こる物理・化学現象の定常データをもとに操作条件の最適化制御マップを作成し、制御器に組み込むことで、反応を制御する手法を確立した。 水素が変動して製造されても水素化反応の選択率を 99.6% 以上とすることができ、反応副生物を少量に抑制する。 さらに産総研は、日立製作所、デンヨー興産とともに、ディーゼルエンジンをベースにした水素混焼発電機システムを保土谷化学工業の郡山工場に設置して燃焼試験を実施した。 水素混焼発電機システムは、軽油の代わりに福島県内の学校給食などで使用済みの食用油を原料とするバイオマス燃料を用いて稼働させた。

水素混燃発電機システムは、発電出力 300 - 500kW、水素混燃率 40 - 60% で、合計 1,000 時間以上稼働した。 また、発電出力 300kW の条件では、短時間ではあるものの水素の発熱量割合 80% 以上で軽油の使用量を 80% 以上削減できた。 産総研は、今後は再生可能エネルギーを MCH 水素キャリアを活用して平準化し、電気と熱を安定して供給することや、石油コンビナートや鉄鋼、化学プラントから生成される副生水素を燃料として地産地消する事業モデルの普及、拡大を図るとしている。 (スマートジャパン = 4-3-20)

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水素製造拠点が開所 世界最大級の生産能力 - 福島

世界最大級の生産能力を持つ水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド(福島県浪江町)」が 7 日、開所した。 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) が中心となり、民間企業と水素活用に向けた技術の開発を進めていく。

約 6 万 8,000 枚の太陽光パネルで生み出した電力で水を電気分解し、水素をつくる。 総事業費は約 500 億円で、燃料電池車約 560 台分の水素を 1 日で製造でき、貯蔵・供給も可能。 東京五輪・パラリンピックの選手村の燃料として使うことも計画しているという。 7 日に行われた開所式典には、安倍晋三首相や NEDO の石塚博昭理事長が出席。 あいさつした石塚理事長は「水素社会の実現に向け、引き続きまい進していく」と語った。 (jiji = 3-7-20)


村田製作所、日本最大級となる 1,200 台分の駐車場型メガソーラーシステムを導入

村田製作所は、生産子会社の岡山村田製作所(岡山県瀬戸内市)が所有する 1,200 台分の社有駐車場を活用し、日本最大級となる駐車場型メガソーラーシステムを導入、稼働・発電を開始した。

今回の駐車場型メガソーラーシステムでは、一般的な表面発電パネルではなく、裏面でも受光可能な両面発電パネルを採用することで設置面積当たりの発電効率を向上。 表面への直射日光だけでなく、駐車車両、地面などから受ける反射光により裏面側でも一定の発電が期待できる。 同システムにより、年間で一般家庭 600 世帯以上分の消費電力に相当する発電が可能となり、1,698 トンの CO(2) 削減効果がある。

なお、岡山村田製作所ではさらに 500 台分の駐車場を活用した両面発電パネルの設置を 2021 年中に予定。 これにより、システム全体の発電能力は約 1.5 倍となり、CO(2) 削減効果もさらに高まる見込みだ。 村田製作所グループは引き続き国内・海外拠点における太陽光発電設備の導入による再生可能エネルギーの利用促進を図り、気候変動対策に向けた取り組みを進めていく。 (纐纈敏也、Response = 3-30-20)