百貨店向けアパレルブランドの苦境は続くのか? 勝ち組はワールド、三陽商会は赤字拡大

百貨店の苦戦は、出店するアパレルブランドにも影響を与えている。 東京商工リサーチが上場アパレル 12 社の売上高と全国の百貨店の売上高の推移をまとめた「上場『百貨店向けアパレルブランド』主要企業の業績動向調査」によると、上場アパレル 12 社の売上高合計(連結)は 2014 年度の 1 兆 1,376 億 300 万円から 17 年度には 9,731 億 9,200 万円となっており、5 年間で14.4% の落ち込みを見せている。

「百貨店事業に多くのリソースを割いているアパレルブランドは厳しい局面が続く。 今後は、脱百貨店化に向けた戦略が求められてくる。」と語る、東京商工リサーチ情報本部情報部の二木章吉氏に話を聞いた。

売上高トップ 3 はワールド、オンワード、TSI

- - 百貨店向けアパレルブランドの現状はどうなっていますか。

二木章吉氏(以下、二木) 百貨店向けアパレルブランド主要上場 12 社(以下、百貨店ブランド)は直近の本決算で、判明分だけで 8 社の売り上げが前期を割り込み、利益も 8 社が減益、5 社が最終赤字となっています。 百貨店ブランドは中 - 高価格帯の商品がメインのため、EC の台頭、オフィスカジュアルの定着、消費者の節約志向などの要因で苦戦を強いられ、さらに低価格帯のアパレルブランドとの競合も激化しています。

また、地方を中心に百貨店の閉店が増えています。 三越伊勢丹ホールディングスは 3 月に新潟三越を閉店、そごう・西武は 8 月に西武岡崎店と大津店を閉店することを発表しており、そごう西神店と徳島店も閉店が予定されています。 これらの流れはアパレル各社にも影響を及ぼし、百貨店ブランドの中には地方からの撤退や店舗のリストラを図る動きもあります。

- - 百貨店ブランドで好調な企業はどこでしょうか。

二木 ワールド、オンワードホールディングス、TSI ホールディングスの上位 3 社は百貨店以外にもビジネスチャンスを拡大しています。 「23 区」、「五大陸」、「J プレス」などのブランドを展開するオンワードは直近で赤字を計上しましたが、ワールドは前期まで、TSI は今期増収に転じており、これは百貨店以外のセグメント利益の増加が寄与しています。

たとえば、ワールドは M & A を活発化しており、百貨店事業の比率を減少させています。 TSI も同様で、若者に人気のセレクトショップやアパレル企業を次々と子会社化し、最近もカジュアルウェアが主力の上野商会を約 150 億円で買収。 百貨店向けブランドと並行して、若者向けのカジュアルウェアに力を注いでいます。

- - そのほかの有力な百貨店ブランドの現状は。

二木 「アーペーセー」や「イル ビゾンテ」などの主力ブランドを持つルックホールディングスは、百貨店だけでなく路面店やファッションビルへの出店を強化しており、若者向けに注力しています。 百貨店ブランドでは異質な存在といえるでしょう。 一方で、中国企業の傘下で再建途上のレナウン(倒産)は 6 期、「ポール・スチュアート」、「エポカ」などの三陽商会は 5 期、「DAKS」などの三共生興は 5 期、「ピエール・カルダン」のライセンスなどを展開するラピーヌは 6 期連続の減収と、苦境が鮮明になっています。

- - 特に、三陽商会の苦戦は広く伝えられていますね。

二木 三陽商会は 15 年春夏シーズンで英国老舗ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了し、16 年 12 月期の売上高は前期比 30.6% 減の 676 億 1,100 万円まで落ち込みました。 バーバリー終了後は、同じく英国高級ブランド「マッキントッシュ」の各ラインを展開していますが、減収が続いています。

また、三陽商会は 14 カ月決算となった 20 年 2 月期で、売上高は 688 億 6,800 万円と期中に修正した通期予想はクリアしました。 一方で、営業損益マイナス 28 億 7,500 万円(通期予想マイナス 18 億円)、経常損益マイナス 28 億 9,900 万円(同マイナス 17 億円)、当期純損益マイナス 26 億 8,500 円(同マイナス 15 億円)で赤字幅が前期比(8 億 1,900 万円)で拡大した上、予想も上回りました。

アパレルブランドの "百貨店離れ" が加速か

- - 今後、生き残りの鍵は何になるのでしょうか。

二木 現状で業績が比較的堅調なのは、ワールド、TSI、ルック、そこにオンワードが食い込みつつあるという構図です。ワールドは 18 年にブランド古着チェーン古参の「ラグタグ」運営会社をグループ化し、19 年にはブランドバッグのシェアサービスを展開する国内企業も買収。 さらに、日本のアパレル商品を海外に販売する EC サイトを立ち上げ、プラットフォーム事業を急拡大させています。

また、TSI は買収の成果もあり、現在は百貨店ブランドが 3 分の 1 程度で、残りのブランドはカジュアル系が占めています。 つまり、軸足を百貨店から別の事業へと移している企業が強いということです。 逆に、百貨店を事業の柱としている三共生興、「ニューヨーカー」などのダイドーリミテッドは厳しいでしょう。 百貨店自体の売り上げが減っていますから、今後は事業の多様化が肝要になります。

- - 昨秋の消費税増税から、記録的な暖冬、さらに新型コロナウイルスの感染拡大と、逆風が続いていますね。

二木 20 年 3 月期の売り上げは、新型コロナウイルスの影響も大きいですが、対前年比で大丸心斎橋店が 63.0% 減、大丸梅田店が 51.7% 減、大丸東京店が 50.0% 減と、いずれも 50% 以下。 阪急阪神百貨店も、3 月度は基幹店の阪急本店と阪神梅田本店で前年同月の 6 割程度まで売り上げが落ち込んでいます。 東京都内では、20 年 2 月まで 4 カ月連続で繊維・衣服等卸の倒産が増加しました。

昨秋の増税と暖冬の反動に加え、今後は新型コロナウイルスによる春物の販売減の影響は必至です。 さらに、結婚式やパーティの自粛・延期により、フォーマルウェアやドレス類も低迷しています。 先の見えない消費マインドの停滞に、アパレル関連はしばらく厳しい状況が続くのではないでしょうか。 (長井雄一朗、Business Journal = 5-15-20)


春商戦壊滅のアパレル業界 残るブランド、消えるブランド

飲食店をはじめ、コロナ自粛による店舗休業の長期化で壊滅的な被害を受けている業種は多いが、アパレル業界もその代表だろう。 ゴールデンウイークにピークを迎える春物商戦も期待できない中、今後どうなってしまうのか 。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。

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新型コロナウィルス感染の深刻化によって、アパレル各社の今春商戦はほとんど吹き飛んだといえます。 基本的に年明けからのアパレル業界の売れ行きというは、1 月は正月と冬バーゲンで好調、2 月はその反動で売れず、3 月と 4 月は春物が非常に良く動き、5 月はゴールデンウイークを境に動きが止まります。

そのため、3 月からの商業施設の時短営業、4 月の非常事態宣言によるゴールデンウイーク明けまでの商業施設の休業は、ちょうどかき入れ時の 3 月と 4 月の実績が大きく落ち込むことになります。 5 月のゴールデンウイーク明けからは反動で洋服の動きが鈍るのと、売り場のメイン商材は夏物に切り替わるため、春物の洋服はほとんど不良在庫になってしまったといえます。

メンズの場合、秋にもう一度売ることもできますが、トレンドや雰囲気に敏感なレディースの場合は、よほどの定番品以外は秋にもう一度定価で売ることは難しく、業界はこぞって今春物をどのように処分するかが緊急の課題となってしまいました。 3 月に発表された各社の業績はどこも非常に悪く、営業時短の影響と消費者の外出自粛の影響をモロに受けたといえますが、本当に恐ろしいのは非常事態宣言以降、ほとんどの主要商業施設が休業となった 4 月度の業績です。 どれほどの落ち込みになるかは現時点では想像できません。

営業時短が開始された 3 月度の主要な百貨店各社の実績は、三越伊勢丹が 39.8% 減、J. フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)が 43.0% 減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)が 28.1% 減、高島屋 36.2% 減、そごう・西武が 31.9% 減となっています。 営業時間の短縮に加えて土日の休業が原因といえます。 東京、大阪、兵庫の百貨店は 4 月 7 日の非常事態宣言の翌日から休業しているので、4 月の売上高はほとんどなくなることになります。

一方、アパレル各社の業績は、すでにコロナショックが始まる前の昨年の秋冬から落ち込んでいました。 2020 年 2 月期決算を発表しているオンワードホールディングスや三陽商会、TSI ホールディングスなどはいずれも大幅な減益となっていますが、これらの業績が悪い理由は、新型コロナの影響というよりは、昨年秋から今年 2 月末まで異例の暖冬だったため、厚手の防寒アウター類が動かなかったためです。

アパレルは全般的には T シャツやポロシャツ、ブラウスなどが主力となる春夏は商品単価が低く、ダウンジャケットやコート類が主力となる秋冬は商品単価が高くなります。 このため、暖冬で防寒アウター類(ダウンジャケット、コート類)の動きが鈍いと、たちどころに業績が崩れるという特性があります。

これは業界の絶対王者ユニクロとて同様です。 ユニクロを展開するファーストリテイリングは、2020 年 8 月期の業績予想を下方修正しています。 また 2020 年 8 月期第 2 四半期の国内事業は、売上収益が 4,635 億円(前年同期比 5.7% 減)、営業利益は 716 億円(同 5.7% 増)と減収増益となりましたが、これも主な原因は暖冬による不調です。 ダウンジャケットもさることながら、ウールのセーター類は大苦戦だったと業界では指摘されています。

そんな各社の不調に今回の新型コロナが追い打ちをかけています。 しかも、コロナショックは日本全国が休業状態に追い込まれているだけでなく、世界各国もほぼ同様の状態にあるため、これまでの自然災害や大規模アクシデントとは異なります。 特にユニクロは世界規模で売り場を広げているため、そのダメージが国内向け専門のアパレル各社よりも大きくなると考えられます。 ですから決算見通しの 2 度目の下方修正を行ったのでしょう。

世界でも日本でも実店舗が休業しているなら、売り場と買い場は「ネット通販」しかありません。 事実、3 月からネット通販が高い伸び率を見せている企業もあります。 例えば、オンワードはグループ全体の EC 売上高(2019 年度)が 333 億円(前年比 31% 増)あり、自社 EC 比率は 85% にまで上昇しています。 3 月の月次売上では、オンワード樫山のトータルの売上が 31% 減少していますが、EC の売上高は 45% 増と大幅に伸びています。 全売上高に占める EC 化率は過去最高の 30% 台に達したとされています。

またネット通販が強いアダストリアやユナイテッドアローズも 3 月度の EC 売上高は伸びています。 ユナイテッドアローズは自社オンラインストアとゾゾタウンでの売上は 23.8% 増と大幅に伸び、アダストリアも自社サイトと他社サイトはそれぞれ 10% 増ずつ伸びていると発表されています。

アパレル業界では以前からネット通販に注目が集まっていましたが、今回の新型コロナをきっかけとして、ネット通販をさらに強化しなければ生き残れない状況になっています。 全国的に実店舗がほぼ休業状態になるなど、これまで想定されていませんでしたし、世界的に活動が休止することも同様で想定外の事態です。 このため、現在まともに稼働できる売り場はネット通販だけなのです。

これまでネット通販を強化していたオンワードやアダストリア、ユナイテッドアローズは完全に実店舗の落ち込みを補填できないものの、幾分緩和することができています。 その一方、ネット通販売上高が 10 数億円しかなく実店舗での売上高に過度に依存していたレナウンなどはさらに厳しい状況に追い込まれることになるでしょう。 じつはユニクロは国内のアパレルでは突出して EC 売上高が大きいのですが、3 月度速報ではあまりその効果が見られないだけでなく、アナウンスがありませんでした。

国内ユニクロの E コマース売上高(2020 年 8 月期第二四半期連結)は 525 億円(前年同期比 8.3% 増)と発表されており、その堅調ぶりがうかがえ、通期売上高だと 1,000 億円を突破できるペースで推移していますが、3 月度月次でその効果が積極的にアナウンスされていないのはいかにも不可解です。

その理由は、ユニクロのネット通販の売り方の特徴に原因があるのではないかと個人的には見ています。 ユニクロのネット通販は総額 5,000 円以上で送料無料となりますが、店舗受け取りだと 100 円の物を買っても送料無料になります。 しかし、新型コロナによって 3 月から時短、4 月から休業が相次いでいるため、この店舗受け取りが利用できません。 そのため、他社ほどのECの伸びが見られないのではないかと考えられます。

とはいえ、新型コロナは収束しても、各社のネット通販への注力はさらに強まることは確実視されていますから、今以上にネット通販は過当競争になると考えられます。 そのため、ネット通販に強い企業(ユニクロ、オンワード、アダストリア、ユナイテッドアローズなど)と弱い企業(レナウンなど)の格差はさらに開く一方になることでしょう。 そして、"アフターコロナ" ではネット通販が弱いアパレル、ブランドはさらに淘汰が進むと考えられ、コロナ収束後何年間かのうちに姿を消すアパレルやブランドも相次ぐのではないでしょうか。 (News Post/Seven = 5-4-20)


"巣ごもり" でもファッションは好調! ファッション系サイトの動向を調べてみた

・ ファッション EC で売上前年比が 2 割増
・ ファッション系サイトの訪問ユーザー数は
・ 前年同月比の上昇率順で見ると
・ 時間あたり売上のピーク開始は昨年より早い

外食産業や観光業をはじめ、あらゆる業界に深刻な売上不振をもたらしている新型コロナウイルス。 しかしそんな中で、"巣ごもり消費" でEC (自社商品を受発注する自社サイト)売上が向上していると言われているのがファッション EC です。 当記事では、外出自粛の影響で、実際にファッション EC が伸びているのか、またどのような影響が現れているのか、実態を調査していきます。

ファッション EC で売上前年比が 2 割増

オンライン試着サービス「バーチャサイズ」を提供する Virtusize の調査によると、ファッション EC の売上は昨年の同時期に比べ 20% 増加しているといいます。 また、業界大手のユナイテッドアローズとワールドは、2 月の売上速報で、店頭売上が伸び悩んだ一方、EC 事業の売上が増加したことを公表しました。 両社によると、ユナイテッドアローズでは店舗売上が前年同月比 2.5% 減だったのに対し、EC 売上全体では 19% 増。 ワールドは店舗売上が 7.4% 減、EC 売上全体は 18% 成長となり、いずれも EC 事業が 2 割近く増加しています。

では、ファッション EC 業界全体における、新型コロナウイルスによる影響の実態はどうなっているのでしょうか。 国内主要サイトのユーザー数、前年同月比から調べていきます。

ファッション系サイトの訪問ユーザー数は

ヴァリューズが提供する SaaS 型の市場調査ツール「eMark+ (イーマークプラス)」を使って、国内主要ファッション系サイトの 3 月度訪問ユーザー数を調査しました。 トップにはユニクロ、2 位 ZOZOTOWN、3 位ベルメゾンネットと続いています。 ここで注目したいのは、前年同月比です。 上位にランクインしているサイトの大半が、前年よりもユーザー数が増加していることが分かります。

上位 15 位の中で最も上昇率が高いのはドットエスティで、54% 増。 飛躍的成長を見せています。 ドットエスティは、グローバルワーク、ローリーズファーム、ニコアンドなど 24 ブランドの直営ストアを集結させた、カジュアルファッション EC サイト。 直営ストアならではの豊富な品揃えや、スタッフ個人の Instagram と連動したスタイリング提案 (Staff Board) が人気のサービスです。 外出自粛でお店に足を運べない中、SNS で展開されているスタッフの親近感を感じさせるコーディネート提案がユーザーに刺さり、購買促進に繋がったのではないでしょうか。

 

上位 3 サイトを見てみると、ユニクロは前年同月比がやや減少。 一方で ZOZOTOWN やベルメゾンは上昇しています。 自社製品のみを扱うユニクロのオンラインストアは、外出自粛で百貨店やショッピングモールに出かけられない中、"複数のブランドを見比べながらショッピングを楽しむ" といった体験とは目的が異なり、外出自粛に伴う伸びが表れ難かったのかもしれません。 その点、複数のブランドを扱う ZOZOTOWN やベルメゾンは前年同月比でいずれも上昇しています。

また、前項で EC の売上が伸びたことに触れたワールドは、前年同月比が若干下降しています。 ワールドは、自社の EC ショップに限らず、トップ 2 位、3 位にランクインし、前年同月比も伸びている ZOZOTOWN やベルメゾンへ複数のブランドを出品しています。 それら外部サイトでの売上が好調だったことが、EC 事業全体の売上を引き上げたのでしょう。

前年同月比の上昇率順で見ると

次に、前年同月比の上昇率順でファッションECサイトを見てみます。 1 位のコールハーンは前年同月比でプラス 381.6% 増という驚くべき数字。 ドレスシューズで定評のあるシューズブランドでしたが、最近はビジネスカジュアルやアースレジャーなどのトレンドを取り入れ、人気を集めています。 オフィスファッションのカジュアル化が一層進んだ上、新型コロナウイルスの影響で在宅ワークが推奨され、自宅とオフィスのどちらでも使えるスタイルとして、昨年よりも格段にユーザー数を伸ばしたのかもしれません。

また、2 位のアルペン、3 位のコンバースは、いずれもスポーツ・アウトドアブランドです。 外へ出かける機会が減ったことで、ちょっとした散歩や買い物の際におしゃれを楽しめる、カジュアルスタイルが伸びたのではないでしょうか。 さらに、外出自粛が呼びかけられて以降、自宅でアウトドア気分を楽しむ "自宅キャンプ" という言葉が SNS でも話題になりました。 2 位のアルペンはサイト内でアウトドア用品も販売しており、自宅キャンプ需要もアルペンのユーザー増加の要因のひとつではないかと考えます。

時間あたり売上のピーク開始は昨年より早い

一方、消費者がファッション EC を利用する時間帯は、巣ごもり消費で変化があったのでしょうか。 こちらは、Virtusize の調査によるファッション EC の時間ごとの売上変化です。 時間あたりの売上データは、今年は昨年よりも早い時間での上昇が見られます。 昨年は 21 時以降にピークを迎えていましたが、今年は午前中も比較的高い値を記録。 ピーク時間も少し早く、19 時以降に活発に購買が行われている様子です。 外出自粛で自宅で過ごす時間が増えた分、家でできる楽しみとして、ファッション EC を早い時間から利用する方が増えたのでしょう。

まとめ

ファッション業界全体で見ると、外出自粛に伴う店頭売上の大幅減により、厳しい状況に陥っています。 さらに、先行きが不安な情勢が続き、消費者の購買欲求は下がり気味。 外食や旅行にも出かけられず、仕事も自宅で行う日々が続くと、おしゃれを楽しんだり、外見を気づかう機会が減ってしまうかもしれません。

しかしそんな中でも、EC には良いニュースがありました。 オンラインだからこそできるマーケティング活動に力を注いだり、試着やコーディネート提案など、オンライン上のサービスを充実させることが、いま重要な活動なのではないでしょうか。 また、それらの取り組みが、消費者に新しいショッピングの楽しみ方を提供し、今後の業界の発展にも繋がっていくかもしれません。

この記事で分析に使用した「eMark+」について、指定したサイトのユーザー数がわかる「ユーザー数推移」やサイト訪問者の性別、年代、職業などがわかる「ユーザー属性」は、PCのデータであれば無料で利用することができます。さらに詳しくECサイト関連のデータを分析したい方はぜひお使いください。 (マナミナ = 4-29-20)


三陽商会「5 カ月で社長交代」の厳しすぎる現実
新型コロナに加え、ファンドと委任状争奪戦

「ポールスチュアート」や「マッキントッシュ ロンドン」を展開するアパレルの三陽商会は 4 月 14 日、社長交代人事を発表した。 5 月末にも開催する株主総会をもって中山雅之社長は副社長に降格。 3 月に入社したばかりの大江伸治副社長を社長に昇格させる。 同社では 4 期連続の最終赤字が濃厚となった 2019 年 10 月、岩田功・前社長が引責辞任を表明。 取締役常務執行役員だった中山氏が 2020 年 1 月から後任社長に就いたばかりだった。

社長の早期交代は想定されていた

「今後は副社長として大江さんが指揮する再生プランの遂行を土台から支えていく。 (大江氏との)ツートップ体制は変わらないが、非常時である今は、外部から来た大江さんが新しい "顔" となる方が金融機関や株主の理解を得られやすいと考えた。」 4 月 14 日に都内で開いた会見で、中山社長は社長交代の理由をこう話した。 新社長となる大江氏は、58 歳の中山社長より一回り以上も上の 72 歳。 三井物産に 37 年間在籍した後、アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」を展開するゴールドウインに 2007 年に移り、取締役や副社長を歴任した。 大江氏がゴールドウインに在籍していた期間は、同社が業績の底から浮上し、現在の成長を実現した時期に当たる。

「アパレル業界での事業再生を成し遂げたプロフェッショナルとして外部から招聘した。 アパレル業界における豊富な経験、幅広い知見・人脈は当社の再建を早期に実現するうえで大きな後押しとなる。」と中山社長は大江氏に期待を寄せる。 会見に同席した大江氏は、三陽商会の経営立て直しを引き受けた理由について、「これまでほぼ 50 年間、繊維がらみの仕事に従事してきた。 多岐にわたる経験を生かして、キャリアの集大成となる仕事ができるのではないかと判断した。」と説明。 「ミッションを引き受けたからには不退転の覚悟で臨みたい」と厳しい表情で語った。

アパレル業界の中で今回の社長交代は想定内のことだった。 2020 年 1 月の中山社長就任は、対外的にけじめを示す目的で岩田前社長の退任を急いだ意味合いが強く、経営体制の大幅な見直しを決めるまでの「ワンポイントリリーフ」と多くは見ていた。 実際、紳士服の企画畑を歩んできた中山社長の手腕については、「厳しい経営状況の中で大胆な改革を実行できる力量もないだろう(アパレル業界関係者)」と疑問視されていた。

コロナ影響で 100 億円の営業赤字も覚悟

三陽商会の業績はじり貧状態だ。 2015 年にライセンス契約が終了したイギリスのブランド「バーバリー」の穴を依然埋め切れていない。 加えて、売上高の 6 割強を占める百貨店での集客減が直撃している。 4 月 14 日に発表した 2020 年 2 月期決算(14 カ月の変則決算)。 売上高は 688 億円と 2019 年 3 月に公表した会社計画比で 5% 減にとどめたものの、営業損益は当初見込んでいた黒字を達成できず、28 億円の赤字となった。 2018 年末に約 250 人の希望退職を実施し、人件費を大幅削減したにもかかわらず、4 期連続の大赤字となった。

足元では新型コロナウイルス感染拡大の影響が重くのしかかる。 外出自粛の傾向が強まった 3 月は、月次売上高が前年比 44% 減と大きく落ち込んだ。 緊急事態宣言を受けて多くの百貨店が休業した 4 月はさらなる売り上げ減が予想される。 会社側は今 2021 年 2 月期の業績予想を未定としたが、大江氏は新型コロナの影響次第で営業赤字が約 100 億円に膨らむ可能性を示唆。 そのうえで「事業構造改革を断行し、2022 年 2 月期に確実に黒字化するための施策を徹底する」と強調した。

大江氏が掲げる再建プランの柱は主に 2 つ。 1 つは在庫抑制による粗利率の改善だ。 これまで商品の仕入れは各ブランドの現場裁量で決めていた。 それを中央で一元管理し、今下期は仕入れ量を前年同期比で 3 割減らす方針。 品番数もブランドごとに 1 - 3 割程度削減する。 「バーバリーがなくなった後も一定の売り上げ規模の維持に必要以上にこだわった結果、過剰仕入れ、過剰投入、セールの乱発、粗利率の悪化という悪循環に陥った。 今後は額ではなく、(粗利)率に徹底してこだわる。(大江氏)」

もう 1 つの柱はコスト削減だ。 約 1,050 の売り場のうち、最大 150 売り場を今期中に撤退する。 乱発ぎみだった新規事業も、大半が赤字に陥っていることから今期中に整理を進める。 「収益化のメドが立たないと判断されれば躊躇なく事業撤退を考える。(大江氏)」という。

大株主は中山社長の取締役留任に猛反対

抜本的改革にようやく乗り出したようにみえるが、市場関係者やアパレル業界関係者の視線はなお厳しい。 三陽商会の株式を 6% 保有するアメリカの投資ファンド「RMB キャピタル」は、5 月の株主総会で中山社長の取締役退任と、同社が推薦するマッキンゼー出身の小森哲郎氏の社長選任などを求める方針だ。 RMB の細水政和ポートフォリオマネジャーは、「小森氏と大江氏の体制であれば真の再生が実行できるが、そこに中山氏は不要。 中山氏が代表取締役副社長としてとどまると経営責任の所在があいまいになる。」と主張する。

大江氏については、「生産管理・在庫管理など、これまで三陽商会がきっちりできていなかったオペレーションを厳しくコントロールできる実行力がある」と評価。 「さまざまな業界で経営してきた経験を基に将来の成長戦略やビジョンを描ける」小森氏と組めば、赤字を止め、将来の成長戦略を社内外に示せると細水氏は考える。 一方、4 月 14 日に発表された再生プランは中山社長と練った策であるため評価が低い。 細水氏は「目先の黒字化計画に過ぎず、強力なブランド育成やビジネスモデルの転換など長期的に黒字を維持するための成長戦略が示されていない」と切り捨てる。

RMB は 2019 年末にも第三者への会社売却を検討するよう提案するなど、経営体制の見直しを求めてきた。 中山社長は「会社側の考えを丁寧に説明して理解を得ていきたい」と語るが、今後も双方の話し合いが平行線をたどれば、株主総会で委任状争奪戦へと発展する可能性がある。

「貴族のような気質」を変えられるのか

大江氏は三陽商会を変えられるのか。 消費環境の変化にいまだ対応できていない同社を変えるのには骨が折れそうだ。 あるアパレル OEM 会社の幹部は、「(「23 区」などを展開する)オンワードホールディングスは EC 強化などの目標を決めたら兵隊のごとく徹底的に実行する。 対する三陽商会は、特に中堅以上の社員や経営幹部の間でまったりとした貴族のような気質が抜けない。 打ち出す新規施策も後手の印象が強い。」と語る。 新たな戦略を打たずともバーバリーが売り上げを支えてくれた時代が長かったことで、三陽商会は変化への対応力が培われなかったようだ。

現預金や不動産など保有資産が潤沢なことも、かえって会社の経営に対する危機意識が高まらない要因となった。 2018 年夏の決算会見で、当時の岩田社長は「現預金はかなり潤沢にあるので、売り上げを上げる投資を行っていく」と発言。 翌 2019 年に、手薄な 20 - 30 代向けの新ブランド「キャスト」を立ち上げて約 30 店舗を一気に出店。 銀座の自社ビルも巨費を投じてリニューアルした。

が、キャストも銀座の自社ビルでの販売も、想定した売り上げを確保できなかった。 大手アパレルの幹部は、「このアパレル不況の時代に新ブランドを 30 店も一気に出す勇気は到底ない。 資産があるからできるのでは。」と苦笑する。 会社の気質を一朝一夕に変えるのは難しい。 今回の人事では社外取締役を 2 人から 6 人へ大幅増員し、ガバナンス機能の強化をうたうが、大江氏と同じ三井物産や百貨店の出身者を含むメンバー構成に、複数の業界関係者は「お友達人事ではないか」と首をかしげる。

現預金と保有有価証券は約 5 年前比でおおよそ半減し、2020 年 2 月末時点で 219 億円。 新型コロナの影響が長引けば、一層のリストラや事業整理を迫られる可能性もある。 遅すぎた改革の下、会社とブランドを存続させていけるのか。 大江新体制は、重責を背負ってスタートする。 (真城愛弓、東洋経済 = 4-20-20)


ベトナム衣料、受注「蒸発」 国営大手最大 5 万人帰休

【ハノイ = 大西智也、ヤンゴン = 新田裕一】 ベトナムの衣料品産業が新型コロナウイルスの影響で注文の急減に直面している。 最大手のビナテックスは最大 5 万人の従業員を一時帰休とする検討に入った。 中小工場にとっては経営の危機だ。 仕事の「蒸発」が長引けば、急成長が続いたベトナム経済の転機となるだけでなく、スペインの「ZARA」など世界的アパレル大手にとってもサプライチェーンの基盤が崩れる懸念がある。

「このままだと 5 月には社員の 3 - 5 割の仕事がなくなる。」 ビナテックスのレ・ティエン・チュオン最高経営責任者 (CEO) は危機感をあらわにする。 コロナの影響はまず 2 月に現れた。 中国で感染が広がり、中国産の生地調達が停滞した。 3 月には正常化に向かったが、ここで「第 2 波」が襲った。 感染拡大が欧米にも広がり、外出制限などにより衣料品の需要が急減。 注文を取り消したり新規発注を停止したりするアパレルが相次いだ。

ベトナムでもハノイ市などでは不要不急の外出が禁止されたが工場の停止は求められていない。 稼働はできるのに注文がない。 急場をしのぐため、縫製の設備を生かしてマスクの生産を始めたが焼け石に水の状況だ。 ビナテックスはベトナムの縫製品生産で約 1 割のシェアを持つ最大手だ。 国営企業で、伊藤忠商事も約 15% 出資する。 インディテックスが展開する「ZARA」のほかスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ (H & M) などと取引がある。 ベトナム国内に約 200 の工場があり、グループ社員は 10 万人に達する。

損失額、前年度利益の 2 倍にも

ベトナム商工省によると 4 - 5 月の繊維・履物製品の受注額は前年同期比 7 割減る見通しだ。 新型コロナが 5 月末までに収束してもビナテックスの損失額は 1 兆ドン(約 47 億円)に達すると同社はみている。 19 年の純利益 5,100 億ドンの 2 倍近い額だ。 影響が長期化すれば赤字はさらに膨らみ、中小工場の多くは存続の危機を迎える。

ベトナムはサムスン電子など外国企業を誘致して産業の高度化を進めるが、縫製業はいまも基幹産業の一つだ。 19 年の輸出額の 1 割を占める。 米中貿易戦争の影響で中国からベトナムに生産拠点を移す企業も多く、高度成長を続ける「ネクストチャイナ」の代表格だが、環境は急変した。 縫製業は最低賃金に近い給与で働く労働者が多い。 最も安い地域で月 300 万ドン(約 1 万 4,000 円)だ。 雇用の喪失は社会不安にもつながるだけに、政府は新型コロナで失業した生活困窮者や企業に対する費用として 3,000 億円規模の予算を計上して支援に動く。

アパレル大手への供給網に影響

影響はベトナム経済にとどまらない。足元の危機を乗り越えられない縫製工場が続出した場合、ZARA や H & M のほか「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどの商品調達に懸念が出てくる。 アパレル産業は過去 10 年ほどでグローバル化が急速に進み、アジアの縫製業はサプライチェーンに不可欠の存在になっているためだ。

9 日、ベトナムやバングラデシュなどアジア 6 カ国の縫製業界の団体が共同声明を発表した。 衣料ブランドに対し、注文キャンセル時の全額補償などを求めた。 H & M などは「生産工程に入った品物は契約通りの条件で買い取る」としているが「商品完成後に代金減額や支払い延期を求めるアパレル企業も多い。(バングラデシュの団体)」

新興国の縫製産業を巡っては、社会的責任投資などの影響から児童労働の撤廃は進みつつある。 契約の順守は次の課題だ。 電機業界ではさらに一歩進んで、部品の買い手が代金を先払いして取引先の資金繰りを支えるケースもある。 コロナによる経営環境の悪化をいかに乗り切るか、アパレル側と縫製側の連携が問われる局面だ。

アジア、輸出の 6 割担う

【広州 = 比奈田悠佑】 衣料品の輸出額はアジアが世界の約6割を占める。世界最大の衣類輸出国である中国でもメーカーや卸売業者が苦境に陥っている。 産業集積地の広東省ではコロナ禍で海外受注の 8 割がキャンセルや延期になった。 「ポロシャツを完成させれば 3 元(約 45 円)。ポケット 2 つ付けるだけなら 2 元 - -。」 広東省広州市の縫製工場街では工場関係者が街頭で服を掲げ日雇い工員を探すのが日常だ。

工員は縫製する服を手に取り、報酬が作業難度に見合うか確認する。 新型コロナの流行で工場の受注は激減、こうした人員募集も減った。 ある女性工場主は「今はシャツ 200 枚しか仕事がない」と嘆く。 一方で工場関係者がメーカーに受注を求めて路上に出る姿は増えた。 「スカート、ワンピース、レース製品。なんでもできます」と黒板を掲げていた男性工場主は「受注は去年の同時期の 11割しかない。 海外向けはゼロ。」とあきらめ顔だ。

世界 2 位のバングラデシュは輸出総額に占める衣料品の割合が 8 割を超える。縫製品製造業・輸出業協会によると、コロナの発生後 31 億ドル(約 3,400 億円)相当、約 10 億着分の発注が取り消されたり出荷が延期されたりした。 年間輸出額(329 億ドル)の約 1 割にあたる。 約 4,500 ある工場のうち約 1,100 工場からの申告額を集計したもので、今後さらに増える見通しだ。 (nikkei = 4-18-20)


医療用ガウンの縫製協力、ANA 発表 職種や性別問わず

ANA ホールディングスは 16 日、新型コロナウイルスの感染拡大で不足している医療用ガウンについて、縫製に協力すると正式発表した。 ANA グループの社員から希望者を募り、1 日あたり最大約 30 人が 4 月末から当面の間、縫製などの作業に従事する。 ANA は客室乗務員や空港で働く地上職員など約 2 万人を対象に一時帰休を実施することを決めており、その対象者から縫製作業支援の希望者を募る。 職種や性別は問わないという。 医療用ガウンの縫製支援をめぐっては、ANA の正式発表前に、西村康稔経済再生相がテレビ番組で「CA (客室乗務員)さんたちも手伝うという申し出があった」と述べていた。

ANA はガウンの縫製について、政府からの支援要請を受けて協力を申し出た。 同社は「社会的な危機に際し、業界・業務の垣根を越えて職種を問わず貢献したいと考え、協力することにした」とコメントしている。 東京都大田区にある自社のトレーニングセンターで、奈良県の縫製会社の委託を受け、医療用ガウンの製造工程の一部を担う。 奈良県の会社の指導を受け、ミシンを使った作業をするという。 (南日慶子、asahi = 4-16-20)

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ANA の CA らが防護服の縫製支援か 時代錯誤と批判も

新型コロナウイルスの感染拡大で需要が高まっている医療用防護服について、ANA グループが製造を支援する方向で検討していることが 9 日、わかった。 航空便が運休していることから、空港で働く現場の社員を中心に、縫製を支援する見通しという。

安倍晋三首相が 7 日の記者会見で「欠航が相次ぐエアラインの皆さんは、医療現場に必要なガウンの縫製を手伝いたいと申し出てくださいました」と明かしていた。 西村康稔経済再生相も 8 日、BS フジの番組で「CA (客室乗務員)さんたちも手伝うという申し出があった」と述べていた。 縫製に必要となる人数や具体的な作業について調整しているが、「詳細は決まっていない(広報)」という。

ただ、SNS では、客室乗務員 (CA) が名指しされたことから、女性は縫製が得意といった発想だとし、「戦前」、「時代錯誤」との批判が出ている。 防護服を製造する東レによると、防護服をつくるには、不織布を型どりして縫製する工程が必要になる。 縫い目から不純物が入らないようにするための特殊な技術が必要だという。 東レでは完全受注生産で中国の協力工場で製造しており、新型コロナの感染拡大で需要は増えているが十分対応ができていないという。 (南日慶子、asahi = 4-9-20)

〈編者注〉 現在、ガウンの縫製がなされている生産ラインがあり、そこで、素人でもお手伝いできる部分があれば、それなりに良い結果を生む可能性もありますが、何もかも 0 からのスタートであれば、ほぼ実現は叶わないでしょう。


オンワード 700 店規模閉店へ 新型コロナで販売不振

アパレル大手「オンワード」は新型コロナウイルスによる販売不振の影響などで今後、700 店規模の不採算店舗を閉店すると発表しました。 オンワードは今年 2 月期の決算で純損益が 521 億円の赤字になりました。 ネット通販などに押されて不採算店舗約 700 店の閉鎖費用が掛かったほか、消費増税や新型コロナによる販売不振が影響しました。 オンワードは今期、さらに 700 店規模を閉店する見通しです。 人員の削減はせず、ネット販売を強化する方針です。 また、今月に入って実店舗での主力ブランドの売り上げが 7 割減るなど「新型コロナの感染拡大の影響が見通せない」として今期の業績予想の発表を取りやめました。 (テレ朝 = 4-13-20)


カナダ衣料品ブランド「カナダグース」、コロナ禍で医療着生産

パーカ(フード付き防寒具)などで知られるカナダの高級衣料品ブランド「カナダグース」は 25 日、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックで品薄となっているスクラブ(医療用ウエア)とガウン式患者衣の生産を始めると発表した。 同社のパーカ製造施設のうちトロントとウィニペグにある 2 か所で従業員約 100 人が衣料着の生産に当たる。 当面の生産目標は 1 万着で、来週から順次医療施設に寄付する。

ダニ・ライス最高経営責任者 (CEO) は、「カナダ中の医療施設で、日々生命を危険にさらしながら新型ウイルスの最前線に立っている人たちがいる。 彼らには助けが必要だ」、「今こそわが社の生産リソースと能力を生かして社会全体の利益のために働く時だ」と述べた。 カナダ政府は 20 日、全国の製造業者に、すでにマスクや人工呼吸器、手指消毒剤を製造しているなら増産を、そうでなければ医療用品製造に乗り出すよう要請。 政府報道官が AFP に語ったところによると、24 日の時点で 1,200 社から支援の申し出があったという。 (AFP = 3-26-20)