外国人実習生もマスク製造へ 相談相次ぎ、厚労省が特例

新型コロナウイルスの感染拡大によるマスク不足を踏まえ、厚生労働省は、縫製の技術を学ぶ外国人技能実習生に一定期間、マスクの製造にも携わってもらえる特例措置を決めた。 衣料品の生産が減る一方でマスクの増産ニーズは高く、繊維や衣服関連の職種で実習生を受け入れている企業から、マスク製造に従事させられないかという相談が相次いでいたという。

外国人技能実習生が受け入れ先の企業で学ぶ技術は事前に決まっているが、厚労省は、実習期間全体の半分を超えない範囲でマスク製造に従事することを認める。 厚労省によると、繊維や衣服関連の職種で受け入れている実習生は全国に約 3 万人いるという。 (asahi = 4-15-20)

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「マスク作らせて」 シャープ工場前で外国人労働者訴え

新型コロナウイルス禍による需要の伸びで、政府から補助を受けてマスク生産を始めたシャープ三重工場(三重県多気町)の正門前で 9 日、フィリピン人の派遣労働者ら約 40 人が「私たちに作らせて」と、仕事を求めてデモ活動をした。 シャープは 3 月下旬から 1 日約 15 万枚のマスクを製造。 今後、増産をめざす。 一方、液晶パネルの需要落ち込みで、2018 年には亀山工場の外国人労働者が雇い止めにあい、19 年からは三重工場で働く外国人労働者の勤務日数が減らされているという。

フィリピン人による労働組合「シャープ・ピノイ・ユニティ (SPU)」のラケル・ガルシアさん (44) によると、月に約 20 万円あった手取りが 6 万 - 7 万円に減少したという。 SPU が加盟するユニオンみえはこの日、戴正呉社長あてに組合員を優先的にマスク製造ラインで働かせることなどを求める要求書を出した。 鈴木英敬知事には、経済活動の萎縮を口実にした解雇や雇い止めがないよう事業主への周知徹底を求める要請書を出した。 (中川史、asahi = 4-9-20)

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「技能実習生によるマスクの生産を可能に」岐阜一般労働組合が実習計画の一部変更を要請

岐阜一般労働組合は 4 月 3 日、マスクの不足に対処するため、日本政府に対し、技能実習計画の一部変更を認めるよう求める要望書を出した。 日本の外国人技能実習制度では、技能実習生は技能実習計画にある業務でしか仕事をできない。 一方、同労組は、今回の新型コロナウイルスの世界的流行に際し、特例的に技能実習計画の一部変更を認めることにより、技能実習生による布製マスクの生産を可能にするよう求めている。

マスクを作りたくても技能実習生は作れない

岐阜一般労働組合の北島あづさ執行委員長は 4 月 6 日、筆者の電話取材に対し、「新型コロナウイルスの影響でマスク需要がひっ迫する中、縫製会社には布製マスクの注文が入っている。 また縫製会社の経営者からも『社会貢献として布製マスクを作りたい』との声が出ている。」と説明した。

一方、外国人技能実習制度では、技能実習生は技能実習計画に沿い受け入れ機関(企業)で技能実習を行うが、この際、技能実習生は技能実習計画にある業務以外の業務はできないことになっている。 北島執行委員長は、「縫製会社には材料もあり、人手もある。 しかし技能実習生がマスクを生産すれば、それは技能実習計画に違反することになるため、縫製会社はマスクを技能実習生に作らせることができない。」と指摘する。

そうした中、岐阜一般労働組合は 4 月 3 日付声明で、「縫製分野での外国人技能実習は、婦人子供既製服縫製作業、紳士服製造、下着類製造などと細かく分類」されていることから、「本来は婦人服を作る縫製工場が布製マスクを作ると、外国人技能実習機構から、技能実習計画齟齬との違反を指摘され是正勧告を受ける可能性があるため、作りたくても作ることが許されません」と説明している。

その上で、同労組は、技能実習計画上の特例とし、技能実習生が布製マスクの生産にあたることを認めるよう要請。 さらに、布製マスクの供給が増えることで、「布製マスクを待っている子どもたちを含む地域社会に貢献し、救える命」を救えると強調。 同時に、「私どもは労働組合として、地域の労働者を代表する立場ではありますが、居住する地域のみならず、日本全体を覆う困難な情勢を経営者と共に乗り切るため」技能実習計画の一部変更が認められることを要望するとしている。

縫製業に打撃、技能実習生の雇用・賃金維持も課題に

北島執行委員長によると、新型コロナウイルスの流行拡大を受け、百貨店などが営業を停止して売り上げが落ちる中、地域の縫製会社では洋服の受注が落ちこんでいる。 日本の縫製部門では、中国やベトナム、カンボジアなどの女性技能実習生が多数就労する。 こうしたアジア諸国出身の女性たちが日本の縫製部門では欠かせない労働力となっており、縫製部門を支えてきた。 しかし、受注の落ち込みから技能実習生の雇用や賃金の維持が課題になってきているという。

この状況を受け、岐阜一般労働組合は要望書で、技能実習計画の一部変更が認められれば、日本の縫製工場は布製マスクの技能実習生による生産に着手できるとともに、これが技能実習生の雇用の安定と賃金確保につながると説明する。 (巣内尚子、Yahoo! = 4-6-20)


帰国困難な外国籍者の在留資格の変更可能に 入管庁
「帰国できない。 仕事もない。」技能実習生から悲鳴も

出入国在留管理庁は 4 月 3 日、新型コロナウイルスの影響を受け、帰国困難となっている技能実習生ら外国籍者を対象とする在留期間の伸長措置を実施した。

技能実習生は「短期滞在(90 日・就労不可)」か「特定活動(3 カ月・就労可)」に在留資格の変更可

出入国在留管理庁の職員は同日、筆者の電話取材に対し、新型コロナウイルスの影響で帰国が困難となっている技能実習生については、「短期滞在(90 日・就労不可)」ないし「特定活動(3 カ月・就労可)」への在留資格の変更が可能になると説明した。 この措置を受け、これまでの 30 日から 90 日に、1 カ月から 3 カ月にそれぞれ滞在期限をのばすことができるようになる。 これらの情報は同庁のホームページに「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱いについて」として掲載されている。

また、このうち「特定活動(3 カ月・就労可)」に在留資格の変更ができれば、日本において 3 カ月間就労を継続できることになる。 ただし、「特定活動(3 カ月・就労可)」への変更が認められるのは、同一の受け入れ機関(企業)・業務での就労を希望する技能実習生に限られる。 このほか、帰国できない事情が継続している場合、更新を受けることが可能となる。

一方、出入国在留管理庁の職員は、「在留資格の変更を申請する際は原則、本人が申請することになっている」とする一方、「技能実習生の場合、実質的には監理団体が取りまとめた形での申請になると見込んでいる」とする。 同時に、同じ受け入れ機関(企業)で同一の業務にあたることが要件となるため、現在の受け入れ機関(企業)での仕事を継続することが見込まれる。 そのため申請にあたっては、技能実習生は監理団体、受け入れ機関(企業)の協力を受けながら、実際の手続きは監理団体がとりまとめることが想定されているという。

出入国在留管理庁はホームページに「新型コロナウイルス感染症に関する情報はこちらに掲載しています」というページを作り、関連情報を掲載している。

「短期滞在」やそのほかの在留資格の人も期限伸長可能に

出入国在留管理庁は、「短期滞在」の在留資格で日本に在留中の外国籍者についても 4 月 3 日付で、「短期滞在(90 日)」の在留期間更新を認め、許可する在留期間を 30 日から 90 日に伸長すると説明する。 同時に、その他の在留資格で在留中の外国籍者に関しても、「短期滞在(90 日)」への在留資格変更を許可している。 こちらも、それぞれ帰国できない事情が継続している場合、更新を受けることが可能だ。 この情報も出入国在留管理庁のホームページに「帰国困難者に対する在留諸申請及び在留資格認定証明書交付申請の取扱いについて」として掲載されている。

帰国できず、仕事もない

この措置が出された背景には、新型コロナウイルスの影響で帰国できずにいる技能実習生ら外国籍者の存在がある。 ベトナム出身の男性、タインさん(仮名)は、日本で働く技能実習生だ。 タインさんは来日前、ベトナムの仲介会社(送り出し機関)に 5,000 米ドルを支払った。 この費用は親族などからすべて借り入れて賄ったという。 来日後は、従業員数十人の受け入れ企業で就労しながら、渡航費用のためにできた借金を返した。

直近の賃金は 1 時間当たり約 980 円。 最低賃金よりは高いものの、1,000 円にはとどかなかった。 最近は受け入れ企業の仕事が少なく、残業はほとんどない。 残業というと否定的なイメージを持たれることもあるかもしれないが、渡航費用のための債務返済や故郷への仕送りの責任を持つ技能実習生の中には、残業で稼ぎたいという人もいる。 通常の賃金だけでは、思ったような稼ぎが得られないからだ。 タインさんの手取りは、賃金から家賃に加え、水光熱費、社会保険料などが引かれ 9 万円程度となる。 時期により手取りが 9 万円を下回ることもあった。

同僚の技能実習生の中には、受け入れ企業の従業員に殴られ、契約終了を前に帰国した人もいるという。 また技能実習生の賃金は日本人よりも低かった。 それでも、社内にはタインさんに親切にしてくれる従業員もおり、タインさんはその人について「とても良い人です」と言う。 タインさんは独学で日本語を勉強しながら、この 3 年、就労を続けた。 そして、この春、規定の技能実習の期間を終え、故郷のベトナムへと戻る予定だった。 だが、新型コロナウイルスの影響で帰国ができなくなった。 さらに技能実習の期間も終わり、現在は仕事がなく、寮で過ごしている。

タインさんの不安は帰国時期の見通しが立たないことと、生活費の負担だ。 仕事がないため収入が途絶えており、食費などの生活費は貯金を使って支払っている。 筆者の取材にタインさんは SNS で、「監理団体が帰国のための航空券を用意してくれたのですが、実際にはいつ帰れるのかわかりません」と説明する。 タインさんは出入国在留管理庁の措置に関してもこれまで知らず、これから監理団体に問い合わせるという。

ただし、現在の受け入れ企業は前述したように最近仕事が少ない状況だ。 タインさんは「(受け入れ企業は)現在、仕事があまりないですから、この会社で仕事を続けられるかわからないです」と言う。 「収入がないのに、生活費はかかります。 いつベトナムに帰ることができるのかわかりません。 この件について、誰が私を支援してくれるのかもよくわかりません。」 タインさんは困惑しながらそう語っている。

出入国在留管理庁では、この在留期限の伸長措置に関して、前述したようにホームページで広報をしている。 ただ残念ながら、在留資格の伸長措置が理解できるベトナム語の書類を筆者は見つけられなかった。 また、より具体的な詳細を理解し、申請に必要な手続きをするには、各地の入管に問い合わせる必要がある。

在留資格の変更措置は、帰国が困難になっている技能実習生をはじめ外国籍者の助けになるだろう。 ただし、帰国困難者をより迅速にサポートするには、本人が理解できるよう母語による情報発信をするとともに、技能実習生については監理団体と受け入れ企業に対して関係機関から直接通知をして協力を要請するなど、より踏み込んだ支援を行う必要がある。

技能実習生の支援を続ける榑松佐一さん(愛労連元議長)は 4 月 4 日、筆者の取材に対し、「技能実習生だけでなく、技能実習生を受け入れている中小企業や監理団体の中にも、こうした情報を知らないところがあると思います」と指摘している。 (巣内尚子、Yahoo! = 4-4-20)

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「近年最多」東京入管局が大混雑 帰国手段ない外国人ら

外国人の在留に関する手続きを行う東京出入国在留管理局(東京都港区)が新型コロナウイルスの感染拡大などをうけて大混雑している。 留学や就職などで混み合う年度末に、感染拡大の影響で帰国する手段がなくなった短期滞在者がビザの延長を求めて訪れることが一因だ。 同局では待機列による密集を減らそうと、初めて 30 分おきの入場規制も行っているが、フロアの密集状態はなかなか解消されていない。

首席審査官の一人は「処理数は近年で最多。 応援も得て全局態勢で対応しているが大変だ。」と話す。 江東区からビザの延長に来たフィリピン人の女性 (44) は「4 時間近くたつが、屋内は混んでいて(感染が)怖いので外で待っています」と話した。 入管庁は 3 月中に在留期間が切れる外国人に対し、更新などの手続きの受け付けを 1 カ月後まで延長すると発表している。 (鬼室黎、asahi = 3-30-20)


技能実習、低賃金明白に 全体の 6 割強にとどまる - 厚労省調査

厚生労働省が発表した 2019 年の賃金構造基本統計調査によると、外国人技能実習生の賞与や残業代を除いた 1 カ月の賃金(平均 26.7 歳)は 15 万 6,900 円だった。 日本人を含む同年代(25 - 29 歳)の労働者全体(24 万 3,900 円)の 6 割強にとどまっており、低賃金で働かされている実態が政府の統計で初めて明らかになった。

25 - 29 歳の労働者の賃金は、正社員以外の雇用形態でも 19 万 8,900 円となっており、やはり実習生より高い。 短時間労働者の時給は、25 - 29 歳の労働者全体で 1,151 円だったが、実習生は 977 円(平均 25.5 歳)と、174 円の差があった。 実習生の報酬は「日本人と同等以上」と法律で決められている。 調査結果からは違法な実習の横行がうかがえるが、厚労省は「日本語や作業の習熟度にも左右されるため、低い賃金という評価は一概にはできない(海外人材育成担当参事官室)」と言葉を濁す。

一方、外国人労働者を支援する NPO 法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平代表理事は「日本人と同等の賃金になっていない。 技能実習生だから低くていいのか。 数字を直視すべきだ。」と訴える。 (jiji = 4-2-20)


技能実習生 17 人を突然解雇 「不当で無効」と労組、北海道

北海道栗山町のキノコ工場で働いていた 20 - 30 代のベトナム人技能実習生 17 人が実習期間が満了していないのに事実上予告なく解雇されたことが 30 日、関係者への取材で分かった。 工場の所有企業が事業を停止したため、実習生を雇用していた農業関連会社 2 社が 3 月 12 日に解雇を通知した。 実習生らが加入する札幌地域労組は「整理解雇を回避する努力や実習生との協議をしておらず不当で無効」としている。 関係者によると、2 社は栗山町の「協和アグリファーム」と千歳市の「KOTOBUKI ファーム」で、工場の所有企業は札幌市の「北海道きのこ生産総合研究所」。 (kyodo = 3-30-20)


聖火リレー、急逝の父に「見せたかった」 実習生の涙

東京五輪の 2021 年への延期方針が決まり、26 日から始まる予定だった聖火リレーが見送られた。 愛知県岡崎市の工場で働くモンゴルからの技能実習生ルハグワドルジ・ナンデンエルデネさん (28) は聖火ランナーになる予定だった。 晴れ姿は約 2 週間前に亡くなった母国の父が楽しみにしていた。

「ナンディアさん」の通称で親しまれるナンデンエルデネさんは、ネジのメーカー「藤田螺子(らし)工業」で品質管理を担当し、ネジの強度や精度を検査している。 ネジはトヨタの車などで使われ、社会を支えている。 今回、会社からの卒業を前に「感謝の気持ちを伝えたい」と聖火ランナーに応募。 4 月 7 日に愛知県安城市を走る予定だった。 すでに当日の集合時間が知らされるなど本番ムードが高まっていた矢先だった。

「楽しみにしていたので寂しいし、残念。 聖火ランナーとして走ることで日本とモンゴルをつなぐ架け橋になる姿を見せたかった。」と言う一方で、「世界中の人々が病気になっている。 何より人命が大切なので仕方ない。」 社内ではリーダーシップや正確な仕事が評価され、上司は「技能実習生というと、よくブラックとか低賃金とかマイナスのイメージで報道されることが多いが、真面目に活躍している実習生がたくさんいることを多くの人に知ってほしかった」と新型コロナウイルスが拡大する社会状況を残念がる。

モンゴルの首都ウランバートルで 6 人きょうだいの末っ子として生まれ、遊牧の伝統が受け継がれる「ゲル地区」で育った。 テレビでは「おしん」、「ラブジェネレーション」など日本のドラマや、人気アニメ「ドラゴンボール」、「NARUTO」が放送されていたこともあって日本に親近感を持った。 大学で日本語を学び、在学中に 2 度来日。 日本人のこまやかな気遣いや豊かな自然に魅せられた。

日本で働きたい。 2014 年に技能実習生として来日。 出会ったのが藤田螺子工業。 技能実習期間の 3 年間働いた。 モンゴルに戻ったが、17 年に技能実習の期間が 3 年から 5 年へ 2 年間延長されたため、18 年 11 月に再来日。 実習が満了するのが 20 年 11 月 14 日という。 技能実習の日々を支えてくれたのが父のルハグワドルジさんだった。 「機械の修理が得意なエンジニアで、本当にやさしい人だった。 ナンデンという名前には『宝』という意味があるんです。」とナンディアさん。 2 週間で 1、2 回は、SNS を使ったテレビ会話で近況を報告し合った。

聖火ランナーが決まった時、ルハグワドルジさんは大喜びで「日本へ来て応援する」と話していた。 ところが、今年 2 月中旬に病気で倒れ入院。 約 1 カ月後に 59 歳で亡くなった。 亡くなる数日前に SNS を通じて体が動かない父に伝えた。 「聖火ランナーを頑張るから、元気になってね。」 言葉は発せないながら、大きく目を開いて答えてくれた父の姿を思い出すたび、涙がこみ上げる。

モンゴルと日本の往来は新型コロナウイルスで制限されている。 母国に帰る飛行機はなく、葬式には出たくても出られなかった。 会社の仲間と一緒に工場近くの寺で手を合わせた。 11 月の実習期間満了後はモンゴルで、家族のサポートをしながら日本語の能力や工場で培った検査の技能を生かしたいと考えている。

五輪延期でランナーとしての再チャンスが生まれたとしても出られるかどうかは不透明だが、日本では日本語作文コンクールで表彰されるなどかけがえのない思い出はある。 「人生はいろいろあるなと思う」と話すが、「心は成長した。 仕事にはやりがいを感じているし、(聖火ランナー見送りで)あきらめることなく実習を終えたい。」 大会組織委員会は今回延期される見通しの聖火リレーでは今の聖火ランナーの出走を尊重する方針を示している。 「戻れる機会があるのなら、喜んで参加する方法を探りたい」と話した。 (土井良典、asahi = 3-26-20)


失踪実習生を働かせた疑い、派遣先社長ら書類送検 大阪府警

技能実習先から失踪したベトナム人を違法に働かせたとして人材派遣会社社長らが逮捕された事件で、大阪府警生活環境課は 21 日までに、ベトナム人が派遣されていた化学薬品会社「カセイ化学(大阪府高槻市)」の男性社長 (68) と勤務管理担当の男性役員 (46)、法人としての同社を入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検した。

送検容疑は 2019 年 8 - 11 月、技能実習先から失踪し、在留期限が切れるなどしたベトナム人男性 4 人を滋賀県高島市内の同社工場で働かせた疑い。 同課によると、2 人は容疑を認めており、社長は調べに対し「日本人の採用が集まりにくく、人材確保に困っていた」などと話したという。 同課によると、失踪実習生の不法就労を巡り、派遣を受けた会社が摘発されるのは珍しい。

社長らは派遣元の人材派遣会社「MTS(滋賀県長浜市)」側から「グレー(就労資格がない人物)を派遣する。 グレーを使うのはどこでもやっている。」と言われるなどしていたという。 同課は違法性を認識しながら失踪実習生の雇用を続けていたことを重く見て立件したとしている。 MTS の社長ら男 3 人は同容疑で逮捕、起訴されている。 (nikkei = 3-21-20)

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「兵士」と呼ばれ、FB で職探し 失踪ベトナム人実習生

技能実習先から失踪したベトナム人を違法に働かせたとして、大阪府警は 19 日、人材派遣会社の代表ら 3 人を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕した。 捜査関係者への取材でわかった。 府警は、失踪したベトナム人技能実習生を SNS などを通じて集め、仕事のあっせん先から仲介料を得ていたとみて捜査を進める。 捜査関係者によると、逮捕された 3 人は、名古屋市守山区の人材派遣会社「コネクト」代表の太田敦士容疑者 (42)、滋賀県長浜市の人材派遣会社「MTS」社長の松村洋明容疑者 (47) と同社幹部の松村知(さとる)容疑者 (45)。

3 人は共謀して 2018 年 9 月 - 19 年 11 月、在留期限が過ぎるか、技能実習の受け入れ先以外での就労資格がないベトナム人男性 5 人を、大阪府内の化学薬品会社や、滋賀県内の同社工場で働かせた疑いがある。 捜査関係者によると、太田容疑者が失踪したベトナム人技能実習生らを集めて、MTS に紹介し、派遣していたとみられる。 ベトナム人 5 人は不法残留や資格外活動の疑いで府警に逮捕され、4 人は起訴されている。

公判記録などによると、5 人はいずれも失踪した技能実習生だった。 化学薬品会社側は 1 人につき時給 1,750 円を MTS 側に支払っていたが、ベトナム人が実際に受け取っていた時給は 1,100 円ほどだったとされる。 MTS 社長の松村容疑者は 1 月末、朝日新聞の取材に「不法就労とは知らずに採用した」と話していた。

「兵士」と呼ばれ、フェイスブックで職探し

「bodoi (ボドイ)」。 失踪したベトナム人技能実習生は、フェイスブック (FB) 上で同胞からそう呼ばれている。 本来の日本語訳は「兵士」だが、警察や入管当局から隠れて日々奮闘しているという意味も込められている。 FB 上では、「bodoi」に地名などを組み合わせたグループが多数存在する。 登録者が 1 万人を超えるグループもあり、失踪者たちが求人情報を交換している。 「パン工場 時給 1,050 円 〜 在留カード不要です」、「失踪者募集 詳しくはメールで」。 提示される時給は実習先よりも高い傾向にあり、スーパーや屋根の工事のほか、「すてきな金額」として、風俗店をうかがわせる求人もある。

日本でのベトナム人の雇用支援会社「HTC(大阪府柏原市)」のグェン・ティ・タン・スン代表は「日本企業からの依頼でブローカーがベトナム人を通して書き込んだとみられる投稿もある」と指摘する。 捜査関係者によると、今回の事件でも失踪したベトナム人の一部は、FB で求人情報を集めていたという。 「アパート空いてます」と住まいを紹介する情報も FB でやりとりされる。 在留カードや運転免許証の偽造を請け負う投稿や、駅などでの職務質問を避けるためか、無許可営業の「白タク」の情報も飛び交う。

「SNS で実習先より待遇のいい仕事が簡単に見つかる。 だから bodoi になってしまう。」 グェン代表は、FB グループの投稿が失踪を誘発していると懸念する。 ただ、不慣れな異国で捜査当局から逃げ続けるのは疲れるのか、こんな投稿もあった。 「来週自首します。 一緒に来てくれる人いませんか。」

失踪実習生 9,052 人 劣悪な労働環境

法務省によると、日本で働きながら技術を学ぶ外国人技能実習生は 2018 年末時点で約 32 万 8 千人。 ベトナム人が最多で半数の約 16 万人を占める。 失踪した実習生は 11 年の 1,534 人から 18 年は約 6 倍の 9,052 人に。 同年のベトナム人失踪者は 64% と際立つ。 なぜ失踪するのか。

法務省が昨年 3 月に公表した調査では 17 年 1 月 - 18 年 9 月に摘発された 5 千人余の失踪者のうち延べ 937 人が受け入れ先などから法令違反を含む不正な扱いを受けていた疑いが確認された。 内訳は、▽ 最低賃金違反 58 人、▽ 契約賃金違反 69 人、▽ 時間外労働の割増賃金不払い 195 人、▽ 賃金からの過大控除 92 人 - - など。 来日時に多額の借金を背負わされている例も少なくないという。

出入国在留管理庁は昨年 11 月、劣悪な労働環境が失踪問題の背景にあるとみて、多数の失踪者を出した企業や関係団体の新規受け入れを禁じるなどの方針を打ち出した。 ベトナム人技能実習生の支援に取り組む NPO 法人の顧問も務める神戸大大学院の斉藤善久准教授(アジア労働法)は、失踪が多い理由に、SNS で簡単に仕事が見つかることに加え、受け入れ企業を監督し、実習生を支援する役割を担う監理団体の一部が、本来の機能を果たしていないことを挙げる。

受け入れ先がブラック企業だった場合、監理団体は、企業への指導や、受け入れ先の変更などを担う。 斉藤准教授は「監理団体が次の職場を探さないばかりか、失踪されないように強制的に帰国させてしまうケースもある。 だから実習生は失踪の道を選んでしまう。」と訴える。 (藤波優、国方萌乃、asahi = 2-19-20)


日本で働くってどうなの? 「行きたい人などいるわけがない」、「かなり稼げるらしい」 = 中国報道

中国メディアは、日本で働く中国人女性が多いと伝える記事を掲載した。 彼女たちは、日本での仕事をどう感じているのだろうか。 日本では 2017 年に技能実習法が施行され、新たな外国人技能実習制度が始まった。 少子高齢化に悩む日本は、ますます海外に労働力を求めるようになっているが、中国メディアの今日頭条は 11 日、日本で働く中国人女性が多いと伝える記事を掲載した。 彼女たちは、日本での仕事をどう感じているのだろうか。

日本に働きに来る中国人にはもちろん男性もいるが、記事では技能実習生として日本に来る人のなかには、「若い中国人女性」が多いと紹介。 貧困地域で学歴もコネもない人が日本に来ることが多いという。 中国は GDP で日本の 3 倍近くにまで成長したが、国内の貧富の差は大きいのが現状だ。 高学歴の人が増える一方で、貧困地域では中学卒業と同時に働き始める人も珍しくない。

彼女たちは、日本でどんな仕事をしているのだろうか。 記事は、青果工場やクリーニング工場、タオル工場での検品、縫製工場、部品の検査など様々な仕事があると紹介。 「技能実習」とはいえ技能とは程遠い単純作業であり、人手不足解消の意味合いが強いことがうかがえる。 また、技能実習生は週末に休みがあれば、遊びに出かけることもできると紹介。 しかも、日本はどこもきれいで空も青く、出歩くと気分が良いと称賛している。 中国では休みがないブラック企業が多いので、「学歴もコネもない」彼女たちが働く条件としては悪くない話なのだという。

では、気になる収入面はどうだろうか。 記事は、3 年で 30 万人民元(約 460 万円)稼げると紹介。 女性は海外に働きに行ってもあまり稼げないと言われているが、家族の生活を改善するには十分の収入で、若い人にとって良い経験にもなる、と日本で働くことのメリットを伝えた。

記事ではプラス面を強調しているが、残念ながら技能実習生を受け入れる日本の企業の中にはいわゆる「ブラック企業」が存在するのもまた事実だ。 記事に対して、「行きたい人などいるわけがない」という否定的なコメントと、「本当にかなり稼げるので、帰りたくなくなるらしい」などの肯定的なコメントがあり、意見が分かれていた。 日本は人手不足が深刻な問題となっており、外国人労働者は今後ますます必要な労働力となることだろう。 受け入れ側の日本としてもさらなる環境整備が必要になるかもしれない。 (村山健二、SearChina = 3-16-20)


外国人技能実習生 900 人 来日の見通し立たず  感染拡大の影響で

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国の農業や畜産の現場で受け入れることになっていた外国人技能実習生およそ 900 人が来日の見通しがたたなくなっていることがわかりました。 これは 11 日開かれた衆議院の農林水産委員会で、江藤農林水産大臣が明らかにしました。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中国などからの入国を制限する措置を取っているため、外国人技能実習生が来日できない事例が相次いでいます。

農林水産省が都道府県を通じて調べたところ、この影響で来日の見通しがたたなくなっている実習生が、現時点でおよそ 900 人にのぼっているということです。 大半は中国人の実習生です。 農業や畜産の現場ではおよそ 3 万 2,000 人の技能実習生を受け入れています。 入国を制限する措置が長く続けば、来日できない実習生はさらに増える見込みで、実習生を多く受け入れている北海道や茨城県、長野県などから懸念の声があがっているということです。 江藤大臣は「大規模な農家であればあるほど実習生に頼る比率が高く、非常に重い問題だ。 できるかぎり生産現場に影響がでないよう人員確保に努力していきたい。」と述べました。 (NHK = 3-11-20)

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農業の外国人実習生、来日できず 9 道県 360 人、作業に支障も

全国農業協同組合中央会(JA 全中)は 6 日、新型コロナウイルスの感染拡大で、北海道や茨城県など少なくとも 9 道県で計約 360 人の外国人技能実習生が予定通りに来日できず、農家への受け入れの見通しが立っていないと発表した。 レタスやキャベツの産地で植え付け作業などに支障が出る恐れがあるという。 JA 全中が 2 月下旬に調査した。 春節のため一時帰国した中国人実習生は、中国政府が渡航を許可しないなどの理由で来日できなくなった。 カンボジアやベトナム人の実習生が、来日を拒否するケースもあったという。 (kyodo = 3-6-20)


ベトナム実習生に感染防止策チラシ 根室市

市内で働く約 250 人のベトナム人技能実習生向けに北海道根室市は、ベトナム語による新型コロナウイルスの感染防止チラシを作成、配布を始めた。 市のホームページにも掲載して防止策の普及に努めており、実習生が働く他の自治体や企業などからも情報提供の要請が寄せられている。 チラシは、市民向けに配布した日本語版を基にした。 身の回りの物の小まめな消毒のほか、せきのエチケットやガーゼを使ったマスクの作成方法なども、絵付きで説明している。

今月 3 日から市内の水産加工など 19 事業所で働く実習生に配布を始め、市のホームページでも読めるようにした。 その結果、実習生が地域で働く留萌市や増毛町のほか、オホーツク管内の企業、北海道外国人相談センターなどから情報提供やチラシ送付の要請が相次ぐようになった。 根室市でチラシの配布を受けた水産加工会社「カネヒロ」では、佐藤晃司社長 (61) と一緒に読み合い、手洗いの一層の徹底などを申し合わせた。 勤めて 2 年目のグエン・ティ・ダイン・ガンさん (25) は、「防止法がよくわかりました。 対策に力を入れ、故郷の家族に心配させないようにします。」と話していた。

チラシを作成した同市水産経済部は、「問い合わせでベトナム人実習生対策への関心の高さがわかった。 市ホームページ から自由にダウンロードできるので、ぜひ参考にしてほしい。」と呼びかけている。 2010 年度にベトナムへ根室産サンマの輸出を試みてから交流が続く同市には、水産加工や酪農などに計 248 人のベトナム人実習生が勤務している。 (大野正美、asahi = 3-9-20)


外国人技能実習生 県社会福祉事業団が受け入れ開始

兵庫県社会福祉事業団は 1 日、外国人技能実習生の受け入れを初めて開始した。 受け入れ第 1 号の採用辞令交付式が 2 日、神戸市西区の県立総合リハビリテーションセンターで行われた。 1 年後の試験に合格すれば、計 3 年間にわたって、同センターの特別養護老人ホーム「万寿の家」で介護技術の習得に努めることになる。 同事業団は、2017 年に外国人技能実習制度に介護職種が追加されたことを受けて、開発途上国に介護技術を移転する形で国際貢献をしようと、ベトナム人の受け入れを決めた。

18 年度に現地の人材 3 人の受け入れを確定。 このうちクアット・ティ・タイン・フエンさん (19) がこのほど、日本語能力試験で、基本的な日本語を理解できるレベルの「N4」など必要な資格を取得し、第 1 号として入国した。 さらに 1 年後の試験通過を条件に、これから計 3 年間、同老人ホームで高齢者の食事や入浴の手伝いなどを通して介護を学ぶ。 クアットさんは「資格を取れるよう頑張りたい」と意気込む。 同老人ホームの竹内康文所長は「慣れない国での生活。学習面でも生活面でもサポートしていく」と話した。 (喜田美咲、神戸新聞 = 3-2-20)


実習生のスマホ没収 全国初、禁止行為容疑で監理団体元職員を逮捕

外国人技能実習生に「罰金を取る」と告げてスマートフォンを取り上げたなどとして、福岡県警は 27 日、技能実習適正化法違反(禁止行為)の疑いで、ベトナム国籍の元監理団体職員、グエン・ティ・フエン容疑者 (30) = 福岡市東区唐原 1 丁目 = を逮捕した。 県警によると、同法違反(禁止行為)容疑での逮捕は全国で初めて。 監理団体は実習生を海外から受け入れ、実習先企業に支援や指導を行う非営利団体。 逮捕容疑は、福岡市内の監理団体職員だった 2017 年 12 月 4 日 - 18 年 11 月 20 日、ベトナム人実習生 4 人に「ルールを守らないと罰金を取る」、「ベトナムに帰す」などと言ってスマホを没収、私生活を不当に制限した疑い。 県警は認否を明らかにしていない。

県警は 26 日午前に同法違反容疑で女を逮捕し、同日午後発表したが、法令適用される時期の解釈を誤った容疑内容だったとして、女をいったん釈放し、正しい内容で新たに逮捕状を請求し直す手続きを取った。 (梅沢平)

職員教育「徹底を」

技能実習生の受け入れを担う監理団体を巡っては、「玉石混交」との見方があり、トラブルも指摘されている。 監理団体は国の許可が必要で、外国人技能実習機構によると現在、全国に 2,912 団体、福岡県内には 128 団体ある。 法務省によると、2017 年 1 月 - 18 年 9 月、失踪してその後摘発された実習生を受け入れていた 4,280 機関を調べたところ、662 機関 (15,5%) に労働基準法・最低賃金法違反といった不正の疑いがあったという。

ベトナムの送り出し機関の代理店「アイシーオー ジャパン」シニアコンサルタントの森山穣さん (47) = 福岡市 = は、団体元職員の不正疑惑について「真面目に活動している受け入れ企業や監理団体が色眼鏡で見られる」と残念がる。 その上で「罰金は初耳だが、携帯電話の取り上げや暴言や暴力で威圧する事例は残念ながら、ある」と話す。 外国人技能実習機構の母国語相談センターなど相談窓口はあるが、森山さんは「実習生を管理しやすくするため、その存在を知らせない企業や団体もまれにある」と打ち明ける。

外国人技能実習生権利ネットワーク北九州の本村真さんは「実習生に、通訳などの職員を『先生』と呼ばせて権威を持たせる団体も多い。 職員に労基法や技能実習適正化法の教育を徹底する必要がある」と指摘した。 (坂本信博、西日本新聞 = 2-27-20)


外国人実習生 監理団体許可取り消し 新居浜

出入国在留管理庁と厚生労働省は 21 日、外国人技能実習生の受け入れ会社に対し適切な指導、監督を行わなかったとして、技能実習適正化法に基づき、新居浜市の監理団体「えひめ EX 協同組合」の許可を取り消した。 (愛媛新聞 = 2-22-20)


着物姿、映えますね 外国人実習生、交流会で体験

鳥取県境港市内で働く外国人技能実習生を対象にした「冬の交流会」が 16 日、同市上道町の市保健相談センターであった。 参加したベトナム人やカンボジア人約 70 人が楽しみながら、料理づくりや着物の着付けに挑戦し、日本文化に触れた。 参加者が 3 班に分かれて料理、ちぎり絵、着物の着付けに挑戦。 地域住民の手ほどきで豚汁や巻きずしを作り上げたほか、色鮮やかな着物姿になり、ひな飾りの前で思い思いのポーズを取って記念撮影し、笑顔を浮かべた。 (山陰中央新報 = 2-17-20)


ミャンマーとのパイプ役に 豊後高田市が実習生支援へ職員採用

豊後高田市はミャンマーからの外国人技能実習生を受け入れるため、日本語の堪能な同国の女性を嘱託職員として採用した。 母国の送り出し機関との交渉を担うとともに、実習生の生活を支える。 ベトナム人材の争奪戦が起きている中で、市は労働力を安定的に確保するために経済発展の進むミャンマーに注目した。 国の地方創生推進交付金を活用しての外国人材採用は県内初の取り組みという。

採用したニ・ニ・ウィンさん (27) はミャンマー南東部のモン州パウン町出身。 現地の大学卒業後は日本語を学びながら働き、2016 年に実習生として初来日した。 名古屋市で製造会社の工場に 3 年間勤務し、日本語検定 2 級も取得した。 帰国後も日本語講師を務めていた。 市が現地で面接試験をし、採用を決めた。 人件費の半額は国の交付金を受ける。 期間は最大約 2 年 2 カ月。 市ではアジア圏からのインバウンド(訪日外国人客)を増やすために、19 年 10 月には同種の交付金を使って台湾人女性を採用している。

10 日に市役所で辞令交付式があり、佐々木敏夫市長が「本市はミャンマーと似て仏教文化が豊か。 頑張ってほしい。」と激励した。 ニさんは「ミャンマーでは日本で働きたい人が大勢いる。 心優しくて真面目な国民性なので、すぐなじめる。 自分の経験を伝えながら努力したい。」と話した。 市内では 19 年 12 月末現在で、約 540 人の実習生がいる。 ベトナム人が半数超を占めている。 市が官民共同で設立した「豊後高田インターナショナル・コントリビューション事業協同組合」でも、約 20 人のベトナム人を受け入れている。 しかし、勤勉なベトナム人材の確保が年々難しくなっており、建設や農業分野での人手不足は深刻となっている。 (大分合同新聞 = 2-12-20)


新型ウイルス 牧場の技能実習生にも影響 不安募る北海道酪農

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中国からの技能実習生が働く北海道の牧場では実習生の帰国や新たに受け入れる実習生の入国の見通しがたたず、不安を募らせています。 幕別町忠類地区の多田篤さんの牧場では 8 人の中国人技能実習生が働いていて、乳牛の搾乳や子牛の世話などを担当しています。 このうち、4 人はいずれも中国・湖北省の出身でことし 4 月に実習期間を終え帰国する予定でした。 しかし日本と中国を結ぶ航空便の運休が広がっていることや、中国国内での感染に終息の兆しが見えないことから、予定どおりに帰国できるのか不安を募らせています。

このうち韓瑞テイ(= 女へんに亭)さん (30) は湖北省に住む夫と 9 歳の長男、それに両親の状況を心配し毎日、電話をかけているということです。 韓さんの家族は体調に問題はないということですが、現地では、外出をせずに自宅で過ごし続けているほか、長男の学校は休校が続いているということです。 韓さんは「家族の健康が不安です。 早く家族に会いたいので 4 月に中国に帰りたい。」と話していました。

また、この牧場では来月、湖北省から 2 人の技能実習生を受け入れる予定でしたが、湖北省に滞在歴のある外国人は入国拒否の対象となるため、見通しがたっていないということです。 多田さんは「関係機関と協力してなんとか帰国させてあげたい。早く事態が終息するのを願っています」と話していました。

来日の見通したたず

JA 北海道中央会によりますと、こと 4 月から農作業の現場に出る中国人技能実習生は、今月から来月にかけて日本を訪れる予定になっていました。 ところが、今週、一部の農協に確認した結果、少なくとも 30 人ほどの中国人技能実習生について、来日できるかどうか見通しがたっていないということです。 JA 北海道中央会は「現場から不安の声が上がっている。 まずは情報収集を進め、どのような対策ができるかを検討したい。」と話しています。

不可欠な存在に

北海道によりますと、道内の外国人技能実習生は年々、増え続け、このうち、中国人の実習生は大きな位置を占めています。 外国人技能実習生の数は、おととしには合わせて 1 万人余りに上り、このうち中国人は 3,471 人と全体の 35% でベトナム人に次いで 2 番目に多くなっています。 業種別でみると「農業」が 2,765 人と 27.6% に上っています。 中でも、このところ、十勝や釧路地方など北海道東部の酪農家の受け入れが顕著に増えています。 都市圏から離れた地域の酪農家の間では人手不足が深刻になっていて、中国人の技能実習生は不可欠な存在になっているのが実態です。 (NHK = 2-7-20)