上場 135 社が業績を下方修正 丸紅は 3,900 億円減

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、上場企業 135 社が業績を下方修正し、売上高、純利益がそれぞれ 1 兆円以上ずつ減ることが、東京商工リサーチの調べでわかった。 影響を精査中の企業も多く、日本経済の落ち込みは底が見えない状況となっている。

同社によると、全上場企業の約 2 割の 765 社が 27 日正午までに新型コロナに関する情報を開示。 うち 135 社(約 18%)が下方修正を公表し、減少額は売上高計 1 兆 1,1944 億円、純利益計 1 兆 1,177 億円だった。 純利益が大きく減った企業は、原油価格の下落が響いた石油元売り最大手の JXTG ホールディングス(4,550 億円減)、大手商社の丸紅(3,900 億円減)などだった。

292 社(約 38%)は、新型コロナの影響について「懸念がある」、「精査中」、「確定が困難なので織り込んでいない」などとして金額を示していない。 調査担当者は「売上高や純利益の下方修正は 3 兆円超にのぼる可能性がある。 感染拡大が続けば、影響はさらに広がるだろう。」と話す。 また、上場企業の開示に加え、商工リサーチの独自調査も合わせると、計 783 社が新型コロナの影響を受けていると判明。

業種別では 317 社(全体の約 40%)の製造業が最多。 観光客減少などが響くサービス業 117 社(約 15%)、小売業 110 社 (14%) と続く。 具体的な対応は、店舗や事業拠点の休業 52 社(約 7%)、工場の操業停止・休業延長 45 社(約 6%)だった。 (箱谷真司、asahi = 3-30-20)

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企業の 54% 「新型コロナの影響、すでに出ている」

東京商工リサーチの 3 月初めの調査によると、国内企業約 1 万社の 54.1% が、新型コロナウイルス感染拡大の影響が「すでに出ている」と答えた。 2 月 7 - 16 日の前回調査から 31.4 ポイント上がっており、政府の要請によるスポーツイベント中止などが響いたとみられる。

全国 1 万 408 社(大企業 1,890 社、中小企業 8,518 社)が回答。 「すでに影響が出ている」 54.1%、「今後影響が出る可能性がある」 40.6%、「影響はない」 5.1% だった。 業種別に影響が出ている企業をみると、様々な取引にかかわる「卸売業」が 61.6% と最多。 「金融・保険業」 61.3%、外国人観光客の減少が響く宿泊・旅行業などの「サービス業他」 59.9% が続いた。 一方、「農業・林業・漁業・鉱業」や「建設業」といった内需中心の産業は 3 割超にとどまった。

具体的な影響は「イベント、展示会の延期・中止」が最多。 「マスクや消毒薬など衛生用品が確保できない」や「商談の延期・中止」も多かった。 また、全企業の 67.1% が 2 月の売上高が前年同期より落ち込んだと回答した。 中小企業の約 2 割は、売上高が 2 割以上落ちたとした。 東京商工リサーチの調べでは、昨年の企業倒産件数は 8,383 件(前年比 1.7% 増)で、11 年ぶりに増加。 今年は 9 千件ほどとみていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「1 万件を突破する可能性が出てきた(担当者)」という。 (箱谷真司、asahi = 3-5-20)


鉱工業生産 3 ヵ月連続上昇

経済産業省がきょう発表した先月の鉱工業生産指数は前の月に比べて 0.4% 上昇しました。 上昇は 3 ヵ月連続です。 先月の鉱工業生産指数は前の月に比べて 0.4% 上昇した 100.2 で、3 ヵ月連続のプラスでした。 ただ、新型コロナウイルスの影響で部品調達に支障が出たため上昇率は抑えられました。 今後の生産活動について経済産業省では 3 月は大幅な低下を見込んでいて 4 月以降も、国内外での需要の減少が見込まれることなどを理由に「戻るかは不確実性が大きい」としています。 (テレ東 = 3-30-20)

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昨年 12 月の鉱工業生産、3 カ月ぶり上昇 なお低水準

経済産業省が 31 日発表した 2019 年 12 月の鉱工業生産指数(15 年 = 100、季節調整済み)の速報値は 98.9 で、前月を 1.3% 上回った。 上昇は 3 カ月ぶり。 消費増税後の 19 年 10、11 月に大きく下げた反動で上昇したが、指数自体はなお低水準だ。 四半期の 19 年 10 - 12 月の指数は前期比 4.0% 低下の 98.4 で、下げ幅は比較可能な 13 年以降で最大だった。 基調判断は「生産は弱含み」で据え置いた。

全 15 業種中で上昇したのは 6 業種。 フラットパネル・ディスプレー製造装置のアジア向けなどは増えたが、普通乗用車ではアジアや米国向けの輸出で生産を控える動きがあった。 主要企業に聞いた先行き予測は、20 年 1、2 月とも上昇を見込む。 ただ、新型コロナウイルスによる肺炎の影響は十分に織り込まれておらず、「先行きを注視する必要がある(経産省)」という。 (asahi = 1-31-20)

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11 月の鉱工業生産、2 カ月連続低下 6 年 7 カ月ぶり低水準

経済産業省が 27 日発表した 11 月の鉱工業生産指数速報(平成 27 年 = 100、季節調整済み)は前月比 0.9% 低下の 97.7 で、25 年 4 月以来 6 年 7 カ月ぶりの低水準だった。 低下は 2 カ月連続。 基調判断は「生産は弱含み」で据え置いた。 前月比 4.5% の大幅低下となった 10 月に続く低下となった。 業種別では、15 業種のうち、生産用機械工業、電気・情報通信機械工業など 12 業種が低下。 生産用機械工業は、10 月の台風被害で掘削機械の生産への支障が続いた。 自動車工業や電子部品・デバイス工業など 3 業種が上昇した。 生産の先行きについて経産省は、12 月が前月比 2.8% の上昇、来年 1 月が 2.5% の上昇を見込む。

一方、経産省が同日発表した 11 月の商業動態統計速報によると、小売業の販売額は前年同月比 2.1% 減の 11 兆 8,670 億円と、2 カ月連続で減少。 自動車や家電の販売が振るわず、平年よりも気温が高めで冬物商品の動きも鈍かった。 消費税増税が実施された 10 月の 7.0% 減からはマイナス幅は縮小。 季節の違いなどで単純比較は困難だが、前回増税時の 26 年 4 - 5 月(4.3% 減、0.4% 減)と比べると今回の方がマイナス幅は大きい。 (sankei = 12-27-19)


日経平均、終値は 1,128 円安 一時 1 万 7 千円割り込む

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、13 日の東京株式市場は日経平均株価が大幅に値下がりした。 下げ幅は一時 1,800 円を超え、1 万 7,000 円を割り込んだが、午後の取引でやや持ち直した。 終値は前日より 1,128 円 58 銭安い 1 万 7,431 円 05 銭。

前日の米ニューヨーク市場での史上最大の下落を受け、日経平均は取引開始後から売りが殺到した。 午前の取引で、2016 年 11 月以来 3 年 4 カ月ぶりに 1 万 7,000 円を割り込んだ。 午後の取引では下げ幅を縮め、1 万 8,000 円台を回復する場面もあった。 野村証券の若生寿一氏は「日本銀行が資金を供給する措置をした。 中央銀行の足並みがそろったとしてマーケットに安心感を与えた。」と話した。 (asahi = 3-13-20)

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東証、一時 2 万円割れ 新型コロナ拡大で 1 年 2 カ月ぶり

9 日の東京株式市場で日経平均株価が一時、前週末終値より 750 円超値下がりし、2019 年 1 月 7 日以来、約 1 年 2 カ月ぶりに 2 万円を割った。 欧米などでの新型コロナウイルスの感染拡大から、世界経済への懸念が強まっている。 9 日朝の東京外国為替市場で円相場が一時 1 ドル = 103 円台後半と約 3 年 4 カ月ぶりの円高水準をつけたことも株安に拍車をかけている。 (asahi = 3-9-20)

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円高、一時 103 円台半ばに 感染拡大で 3 年 4 カ月ぶり

9 日の東京外国為替市場は一時、円相場が 1 ドル = 103 円台半ばとなり、2016 年 11 月以来、約 3 年 4 カ月ぶりの円高水準となった。 欧米などでの新型コロナウイルスの感染拡大から、世界経済への懸念が強まり、比較的安全とされる円が買われている。 米国のさらなる利下げへの期待も、円買いの動きを加速させている。 (asahi = 3-9-20)

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日経平均、一時 1,000 円超下落 新型肺炎への懸念受け

25 日の東京株式市場は日経平均株価が取引開始直後から大きく値下がりし、前週末終値からの下げ幅が一時千円を超えた。 新型コロナウイルス発生後も堅調だった米国株式市場でも、ダウ工業株平均が 24 日に 1 千ドル超急落するなど、株安が世界で連鎖している。

日経平均が千円超値下がりするのは 2018 年 12 月 25 日以来となる。 午前 10 時時点では、前週末比 768 円 53 銭安い 2 万 2,618 円 21 銭。 中国から始まった新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大はこれまで、主にアジアの株式市場へ影響を与えてきた。 感染者の少ない米国市場への影響は限定的だったが、欧州や中東などでも感染者が増えていることを受け、世界経済の先行きに対する警戒感が高まった。 (吉田拓史、asahi = 2-25-20)


景気への懸念強まる 設備投資、貿易減少も 新型肺炎

内閣府が 19 日発表した機械受注で、設備投資の先行指標とされる民間需要(変動の大きい船舶・電力を除く)は 1 - 3 月期に前期比 5.2% 減の見込みとなった。 今後、新型肺炎の影響が長引けば、個人消費とともに内需を支える設備投資の意欲減退に拍車が掛かる。 中国経済の減速で輸出の減少も想定され、景気への懸念は一段と強まっている。

1 - 3 月期見込みは昨年末時点の調査。 年明けから新型肺炎が拡大したことを考慮すると、「製造業からの受注は減少する可能性が高い(SMBC 日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)」という。 非製造業も、観光業などで売り上げの減少が懸念される中、「設備投資は後回しになりがち(同)」とされる。 製造業は 3.9% 減、非製造業は 6.7% 減の見込みだが、ともに落ち込み幅が拡大することは濃厚だ。

一方、財務省が 19 日発表した 1 月の貿易統計によると、全体の輸出額が前年同月比 2.6% 減で、中国向けは 6.4% 減だった。 昨年は 2 月だった春節(旧正月)休暇が今年は前倒しされたため 1 月の輸出はもともと少ない。 新型肺炎の影響が本格化するのは 2 月以降とみられる。 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、中国現地工場の操業停止などで「中国向け輸出が大きく落ち込むことは避けられない」と指摘する。 また、中国からの部品を輸入し、製品として他国へ輸出する動きも停滞が予想され、輸出額の減少にも影響が出そうだ。 (jiji = 2-20-20)

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設備投資 7.1% 増 7 - 9 月期、法人企業統計

財務省が 2 日発表した 7 - 9 月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の設備投資額は前年同期比 7.1% 増の 12 兆 826 億円だった。 プラスは 12 四半期連続。 このうち製造業は 6.4% 増、非製造業は 7.6% 増だった。 国内総生産 (GDP) 改定値を算出する基礎となるソフトウエアを除く全産業の設備投資額は、前年同期比で 7.7% 増だった。 全産業の売上高は前年同期比 2.6% 減の 349 兆 4,974 億円で、うち製造業が 1.5% 減、非製造業は 3.1% 減。経常利益は 5.3% 減の 17 兆 3,232 億円で、うち製造業が 15.1% 減、非製造業は 0.5% 増だった。 今回の結果は 9 日公表の 7 - 9 月期の GDP 改定値に反映される。 (nikkei = 12-2-19)


GDP 一転、年率 6.3% 減 10 - 12 月、5 期ぶりマイナス 増税に台風、冷える消費

内閣府が 17 日公表した昨年 10 - 12 月期の国内総生産 (GDP) の 1 次速報は、物価の変動を除いた実質(季節調整値)で前期(7 - 9 月期)より 1.6% 減り、5 四半期ぶりのマイナス成長となった。 この状況が 1 年続いたと仮定した年率換算では 6.3% 減。 10 月からの消費増税に台風被害なども重なり、個人消費が落ち込んだことが大きく影響した。 GDP の半分以上を占める個人消費は、前期は 0.5% 増だったが、10 - 12 月期は 2.9% 減と 5 四半期ぶりにマイナスに転じた。 家電製品などで増税前の駆け込み購入からの反動減が生じたほか、家計で使える所得が増税で目減りし、消費の低迷が続いた。 大型台風や暖冬も衣料品などの売れ行き不振につながった。

このほか、企業の設備投資が 3.7% 減(前期は 0.5% 増)、住宅投資は 2.7% 減(同 1.2% 増)となり、個人消費とともに内需を支える項目がマイナスとなった。 増税の影響で新設の持ち家の着工戸数が減少傾向にあることや、製造業を中心に企業業績の悪化などが影響した。 一方、外需は GDP を 0.5% 分押し上げた。 輸出は、欧米向けの自動車などが不振で 0.1% 減だったが、輸入は 2.6% 減と、輸出を上回る規模で落ち込んだ。 内需の弱さの表れとみられるが、輸出から輸入を差し引いた外需全体はプラスとなり、統計上は GDP の落ち込みを一部補う格好になった。

物価の動きを反映し、より実感に近いとされる名目 GDP は 1.2% 減(年率 4.9% 減)だった。 (北見英城)

新型肺炎、影響見通せず

昨年 10 - 12 月期の実質 GDP は年率 6.3% 減となり、4% 程度のマイナスが中心だった民間エコノミストの予測を上回る大きな落ち込みとなった。 今回の結果は消費増税直後とあって特に注目された。 マイナス幅は、前回の増税時(2014 年 4 - 6 月期、年率 7.4% 減)よりやや小さいとはいえ、東日本大震災の時(11 年 1 - 3 月期、年率 5.5% 減)を超える規模だ。

政府は今回の増税で、消費への悪影響を抑えるため、軽減税率やキャッシュレス決済へのポイント還元などの対策をとってきた。 西村康稔経済再生相は「今回の駆け込み需要と反動減は前回ほどではなかったと考えられる。 個人消費のマイナス幅は縮小傾向にあるとみられる。」との談話を出し、この先の回復への期待感をにじませた。 ただここに来て、強い逆風が吹き始めている。 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大は日本経済にも影を落とし、中国からの観光客の減少に加え、製造業では部品供給が滞り一時停止する工場も出ている。

影響がどこまで広がるかは見通せず、経済活動の停滞が雇用などに波及すれば、景気は腰折れしかねない。 感染拡大の影響について、今年 1 - 3 月期の GDP を年率 0.46% 分押し下げるという試算もあり、エコノミストの間では、2 四半期連続のマイナス成長の可能性も指摘されている。 政府は昨年 1 月、戦後最長の景気拡大となった可能性があると表明し、その後も「景気は緩やかに回復している」との認識を示してきた。 ただ足元では、景気動向指数の判断が 5 カ月連続で「悪化」を示すなど、客観的な指標とのずれが広がっている。

次に注目されるのは、今月 20 日に政府が公表する月例経済報告だ。 GDP の落ち込みや新型肺炎などの新たなリスクを踏まえ、「緩やかに回復」との認識を維持するのかが焦点となる。 (高橋末菜)

17 日の東京株式市場は、日経平均株価が取引開始直後から大きく値下がりし、前週末終値からの下落幅は一時 300 円を超えた。 同日朝発表された GDP の速報値が、市場の事前予想を下回ったことが、日経平均の下げ幅を拡大させる理由になった。 ただ、その後の下げ幅はやや縮小している。 (asahi = 2-17-20)


日本製鉄、呉製鉄所を閉鎖へ 極めて異例の全面閉鎖

鉄鋼国内最大手の日本製鉄は 7 日、2 基の高炉がある呉製鉄所(広島県呉市)を 2023 年 9 月末までに閉鎖し、和歌山製鉄所(和歌山市など)の高炉 2 基のうち 1 基を 22 年 9 月末までに休止することを柱とする大規模な生産設備の合理化策を発表した。 鉄鋼需要の低迷や設備の老朽化を踏まえ、全国各地の製造拠点で過剰な生産能力の削減に踏み切る。 地域経済や協力企業を含めた雇用への影響は避けられない。

呉製鉄所は日本製鉄の傘下に入った日新製鋼(現日鉄日新製鋼、4 月に日本製鉄と合併の予定)の主力拠点。 旧日本海軍の呉海軍工廠(こうしょう)の跡地で 1951 年に稼働した。 設備が老朽化していて、粗鋼の生産能力も小さいため、高炉 2 基のうち 1 基を今月休止する予定だったが、もう 1 基の稼働も 21 年 9 月までに止める。 高炉でつくった粗鋼を鉄鋼製品に加工する設備も 23 年 9 月末までにすべて休止する。 高炉から製品の加工・出荷までを一貫して担う国内の製鉄所が閉鎖されるのは極めて異例だ。

撤退や拠点集約、各地で

和歌山製鉄所は、旧住友金属工業の主力製鉄所。 高炉 2 基のうち 1 基やコークス炉などの生産設備を 22 年 9 月末までに休止する。 合理化の対象は全国各地の拠点に及び、グループ全体の粗鋼生産能力の約 1 割にあたる 500 万トンを減らす。 航空機のエンジン向け部材のチタン丸棒の製造から撤退し、船舶や橋げたなどに使われる厚板、ステンレスやめっきの製造拠点の集約も進める。 八幡製鉄所小倉地区(北九州市)の高炉の休止時期を 20 年 9 月末まで、広畑製鉄所(兵庫県姫路市)のブリキ製造ラインの休止時期を 21 年 3 月末までに前倒しすることも盛り込んだ。

設備の休止により、1 千億円の収益改善効果を見込む。 一連の合理化策で、グループの従業員約 1,600 人が配置転換の対象になるが、「希望退職を募ることは考えていない(右田彰雄副社長)」という。 だが、製鉄所や生産拠点で働く協力企業の社員の雇用などに悪影響が出る恐れがある。

米中貿易摩擦の影響で製造業向けの鉄鋼需要が低迷。 原材料価格が高止まりする中で鋼材の販売価格は低迷しており、日本製鉄は厳しい経営環境に直面している。 20 年 3 月期決算(国際会計基準)の業績予想を 7 日下方修正し、純損益が 4,400 億円の赤字(前年実績は 2,511 億円の黒字)になる見通しだと発表した。 赤字幅は過去最大。 生産設備の減損処理を進めることも響く。 大幅な業績悪化の責任をとり、橋本英二社長と進藤孝生会長は 7 月から 1 年間、役員報酬を 40% 強減らす。 他の役員も 40% 弱 - 30% 弱減らす。 (上地兼太郎、asahi = 2-7-20)

日本製鉄が 7 日発表した生産設備の休止

日鉄日新製鋼の呉製鉄所 = 全設備 / 和歌山製鉄所 = 第 1 高炉、第 4・第 5 コークス炉、第 5-1 焼結機、第 3 連続鋳造機の一部設備 / 名古屋製鉄所の厚板ライン / 日鉄日新製鋼の堺製造所 = 電気亜鉛めっきライン、連続焼鈍ライン、No.1 溶融アルミめっきライン、製鋼所 = チタン丸棒製造専用設備 / 大分製鉄所光地区 = チタン溶接管製造ライン / 日鉄ステンレス衣浦製造所 = 熱延工場、精密品製造専用設備 / 広畑製鉄所 = ブリキ製造ライン / 八幡製鉄所小倉地区 = 鉄源(高炉、製鋼)設備


1 ドル = 110 円台に 8 カ月ぶりの円安水準

米国の財務省が、中国の「為替操作国」指定を解除することを受けて、14 日の東京外国為替市場では円を売る動きが強まり、円安ドル高が進んだ。 一時、昨年 5 月以来約 8 カ月ぶりの水準となる 1 ドル = 110 円台をつけた。 円安傾向を受け、東京株式市場では日経平均株価が上昇。 約 1 カ月ぶりに 2 万 4 千円台を回復した。 (asahi = 1-14-20)

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東証大引け 大発会は大幅続落、一時 500 円安 米イラン対立激化に懸念

東京株式市場の 2020 年初めての取引となる 6 日の大発会で日経平均株価は大幅に 3 日続落し、前営業日比 451 円 76 銭 (1.91%) 安の 2 万 3,204 円 86 銭で終えた。 日経平均の下げ幅は昨年 8 月 2 日(453 円安)以来、およそ 5 カ月ぶりの大きさとなった。 米軍によるイラン革命防衛隊司令官の殺害をめぐり、両国の対立が激化するとの懸念から運用リスクを回避する目的の売りが膨らんだ。 トランプ米大統領の発言を受けて米朝関係が悪化するとの警戒感も強まり、米国発の政治リスクが投資家心理を一段と冷やしかねないとの見方が広がった。 円相場が 1 ドル = 107 円台後半まで上昇する場面があり、日経平均の下げ幅は一時 500 円を超えた。

米国とイランの威嚇の応酬が激化するなか、朝方からリスク回避の売りが先行した。 共同通信などは 6 日午前、トランプ大統領が 5 日に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長に関し、「私との約束を破るとは思わないが、破るかもしれない」と述べたと伝えた。 米朝間の非核化合意の白紙化などに懸念を示したとの受け止めが広がり、世界的な地政学リスクへの警戒感が強まると、日経平均は前引け間際に 508 円安まで下落した。

後場は下げ渋った。 市場では「米国やイランなどが直接的な武力衝突に至る可能性は低く、一時的な下げにとどまりそうだ(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)」との声が聞かれ、一部の投資家が押し目買いを入れる動きも見られた。 JPX 日経インデックス 400 は 3 日続落。 終値は前営業日比 205.85 ポイント (1.34%) 安の 1 万 5,170.53 だった。 東証株価指数 (TOPIX) は続落し、23.87 ポイント (1.39%) 安の 1,697.49 で終えた。 東証 1 部の売買代金は概算で 2 兆 2,246 億円。 売買高は 12 億 1,971 万株だった。 東証 1 部の値下がり銘柄数は 1,853 と全体の約 85% を占め、ほぼ全面安の展開が続いた。 値上がりは 277、変わらずは 49 銘柄だった。

ファストリやソフトバンクグループ、ファミマなど値がさ株の一角が安い。 東エレクやアドテスト、信越化など半導体関連株の下げも目立った。 トヨタやホンダなど自動車株も売られた。 T & D や第一生命 HD のほか、アステラスやエーザイが下落した。 半面、米国とイランの関係悪化を受けた原油高が収益改善につながるとの見方から、国際石開帝石が昨年来高値を付けた。 JXTG や出光興産も上昇。 キーエンスや三井物が買われた。 (nikkei = 1-6-20)

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日経平均の年末終値、29 年ぶり高水準 2 万 3,656 円

東京株式市場は 30 日、今年最後の取引を終えた。 日経平均株価の終値は前週末から 181 円 10 銭安い 2 万 3,656 円 62 銭。 年末の終値としては 1990 年以来 29 年ぶりの高い水準となった。 (asahi = 12-30-19)


家計の消費支出 2% 減 増税影響続く、マイナス幅は縮小

総務省が 10 日発表した昨年 11 月の家計調査で、2 人以上の世帯の消費支出は前年同月比 2.0% 減の 27 万 8,765 円だった。 2 カ月連続の減少。 10 月の消費増税の影響とみられるが、5.1% 減だった 10 月よりもマイナス幅は縮小した。 10 品目のうち「家具・家事用品」や「被服及び履物」など 7 品目が減少に寄与した。 エアコンは 10 月よりも下げ幅が拡大した。 男性用のスーツや女性用コートなどは増税の影響に加え、気温が高かった影響もあったとみられる。

消費税率を 8% に引き上げた後の 14 年 5 月は 8.0% 減とマイナス幅が今回より大きく、10 品目すべてが減少していた。 一方、今回は「教養娯楽」、「保健医療」、「食料」が増加。 パソコンやテレビ、予防接種、外食などが押し上げた。 総務省は「増税対策の効果もあり、消費に持ち直しの動きが見えるが、基調が戻るかどうかは今後も注視が必要」としている。 (高橋末菜、asahi = 1-10-20)


102 兆円、大盤振る舞い 消費増税後、緩んだ「たが」 予算案決定

政府が 20 日に閣議決定した 2020 年度の一般会計当初予算案は、総額が 102 兆 6,580 億円と過去最高額になった。 100 兆円の大台を超えるのは 2 年連続で、19 年度当初より約 1 兆 2 千億円増えた。 財政健全化をめざすためだったはずの 10 月の消費増税を終えたあと、政府の財政はむしろたがが緩んだようにずるずると膨らんでいる。 20 年度予算案には総額だけでなく、「過去最高額」がずらりとならんだ。

まず、税収だ。 税率を 10% に引き上げた消費税が通年分の収入として加わり、63 兆 5,130 億円を見込む。 ただ、国内総生産 (GDP) の伸びが、「民間予想より甘い」とされる実質 1.4% を前提とした増収も織り込んでいる。 増えた税収を吸い込んだのが、歳出全体の 3 分の 1 を占める社会保障費だ。 総額は 35 兆 8,608 億円で、19 年度から 5.1% も伸びて過去最高を塗りかえた。 幼児教育・保育の無償化や大学など高等教育の負担減への出費が主な要因。 安倍晋三首相が 17 年に消費増税分の使い道を変えて導入した肝いりの政策だ。 ほかの予算で切り込んで「メリハリ」を利かせた様子は乏しい。 防衛費も 6 年連続で過去最高となり、5 兆 3,133 億円に達した。

そもそも、今月 5 日には総事業費 26 兆円と第 2 次安倍政権下で有数の規模の経済対策を決めたばかり。 1 週間前には、4 兆 4,722 億円を追加で支出する 19 年度の補正予算案も閣議決定。 経済対策は当初予算案にも「臨時・特別の措置」として 1 兆 7,788 億円が盛り込まれたが補正予算に回して当初予算の出費を小さく見せかけた部分もある。 ここまでの出費に打って出る背景には、来年の景気の落ち込みへの危機感があるからだ。 首相官邸関係者は「中国の経済が減速し、欧州が低迷したまま。 国内は五輪後の落ちこみも懸念される。」と解説する。 17 年 10 月の衆院総選挙から 2 年以上が過ぎ、政権が「次」を意識するタイミングでもある。

財政再建を重視する立場の財務省も、ようやく実現した消費増税が、景気悪化の「主犯」とされるのは避けたかった。 幹部は「消費増税後の経済の影響は、今後の消費税のあり方の論点になると思っている。」 消費税への反感を高めたくないという事情が、予算が膨らむことへの切り込みを弱めた面がある。 予算案の決定を受け、政府は国・地方を合わせた長期債務残高が 20 年度末に、前年から 8 兆円増えて 1,125 兆円(対 GDP 比で 197%)に達すると見込んだ。 やはり過去最高額だ。 (斎藤徳彦、asahi = 12-21-19)

2020 年度予算案に盛り込まれた主な事業
◆ 低所得者世帯への大学などの高等教育の負担軽減 4,882 億円
◆ 保育の受け皿整備 1,144 億円
◆ 児童虐待の防止対策 1,754 億円
◆ 就職氷河期世代の支援策 199 億円
◆ 「診療報酬」を 0.55% 引き上げ 約 600 億円
◆ マイナンバーカードを持つ人へのポイント還元策など 2,478 億円


景気総括判断を下方修正、米向け自動車輸出減響く = 12 月月例経済報告

[東京] 政府は 20 日、12 月の月例経済報告で景気の総括判断を「輸出が引き続き弱含む中で、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」とし、前月から下方修正した。 北米向け自動車輸出の減少による自動車関連産業での減産が影響した。 消費税率引き上げによる景気への影響度合いが注目されているが、消費は堅調と判断している。 前月 11 月の総括判断は「輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」だったが、12 月は鉱工業生産の悪化を踏まえて製造業に関する記述を追加した。 10 月も総括判断を引き下げており、輸出・生産の低迷長期化を反映させた格好だ。

項目別でも「生産」は、11 月の「このところ弱含んでいる」から「一段と弱含んでいる」に下方修正した。 生産を大きく左右する輸出で資本財や自動車関連が弱い上、台風による一時的生産減の影響もあり、先行きについても弱めの動きとなっている点に留意した。 低迷が続いている輸出・生産だが、足元で大きな下押し要因となっているのは自動車。 内閣府は「国内需要は弱くないが、海外向けは北米への現地生産シフトなどが影響している。 また、中国向け完成車輸出は堅調であるものの、関連部品は弱い動き(幹部)」と分析している。

生産以外の主要項目は判断を据え置いた。 「個人消費」は「持ち直している」との判断を維持。 9 月に消費増税前の駆け込み需要があり 10 月は前月からの反動減がみられたが、11 月以降は家電やドラッグストアの販売などが底堅かったという。 「設備投資」も「機械投資に弱さもみられるが、緩やかな増加傾向」との判断を維持した。 日銀短観で 2019 年度の設備投資計画が前年度比増加することが確認されたことなどが背景。 世界経済についても「全体として緩やかに回復しているが、そのテンポは鈍化している」との表現に変更はなかった。 (竹本能文、Reuters = 12-20-19)

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大企業製造業景況感、4 期連続悪化 日銀短観の DI ゼロ

日銀が 13 日発表した 12 月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数 (DI) はゼロとなり、9 月の前回調査から 5 ポイント悪化した。 米中貿易戦争で外需の低迷が続き、4 四半期連続の悪化となる。 大企業非製造業も個人消費の落ち込みで 2 期連続で悪化した。 ただ政府の消費増税対策もあり、前回増税時よりも小幅の悪化にとどまった。

業況判断 DI は景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。 大企業製造業のゼロは、日銀が大規模緩和に踏み切る直前の 2013 年 3 月(マイナス 8)以来、6 年 9 カ月ぶりの低水準となる。 QUICK による市場予想の中心値(プラス 2)も下回った。

主要 16 業種のうち、11 業種で悪化した。 アジア向け輸出が低迷する自動車や鉄鋼のほか、東京五輪の建設需要が一巡した窯業・土石製品などが悪化した。 台風 19 号による工場の操業停止も響いた。 大企業非製造業の業況判断 DI はプラス 20 で、前回調査から 1 ポイント悪化した。 消費増税の影響で、小売りや卸売りが低迷した。 ラグビーワールドカップの特需を受け、宿泊・飲食サービスが改善した。

今回の短観では消費増税による駆け込み需要の反動減や消費意欲の低迷を自動車や小売りなどの業種が受けた。 ただ前回の増税直後の 14 年 6 月調査では、両業種ともに 23 ポイント悪化したが、今回調査では自動車が 13 ポイント、小売りが 7 ポイントの悪化にとどまった。 大企業非製造業は 14 年 6 月調査で 5 ポイント悪化していた。 3 カ月先の見通しを示す先行きの業況判断 DI は大企業製造業がゼロと足元から横ばいとなる。 半導体やスマートフォンなど IT (情報技術)関連の需要回復が見込まれる一方、世界経済の不透明感は続く。 非製造業はプラス 18 で足元から 2 ポイント悪化となる。 増税の個人消費への影響を懸念する声が残る。

短観は日銀が 3 カ月に 1 度、全国約 1 万社の景況感など経営状況を聞き取り公表している。 12 月調査の回答期間は 11 月 13 日から 12 月 12 日まで、回収基準日の 11 月 27 日までに約 7 割が回答した。 (nikkei = 12-13-19)

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景況感、4 四半期連続悪化 増税、台風被害が影響 - 12 月短観予測

日銀が 13 日に公表する 12 月の全国企業短期経済観測調査(短観)に関する民間シンクタンク 12 社の予測がまとまった。 景況感を示す業況判断指数 (DI) の平均は、大企業製造業でプラス 3 と、前回 9 月短観(プラス 5)から 2 ポイントの悪化を見込む。 米中貿易摩擦に伴う世界経済の減速に加え、消費税率引き上げや台風など自然災害が重なったことが響くとみている。

悪化すれば 4 四半期連続となる。 DI は、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いた値で、11 社が悪化、1 社が横ばいと予想。 「消費税増税後の一時的な内需の落ち込みと自然災害が下押し要因となった(三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング)」との見方が大勢を占めた。 3 カ月後の先行き DI の平均はプラス 5 となり、改善が見込まれる。 世界経済の先行きに不透明感は残るが、半導体市況の底打ちや政府の経済対策が押し上げると指摘があった。 2019 年度の設備投資計画(大企業全産業)の伸び率の予測平均は前年度比 5.9% 増。 9 月短観 (6.6%) から下方修正されるとみられている。 (jiji = 12-8-19)


日銀、生産判断の下方修正を検討へ = 関係筋

[東京] 日銀は 18 - 19 日開催の金融政策決定会合で生産の判断を下方修正する方向で検討する。 複数の関係者が明らかにした。 これまでは「横ばい圏内の動き」と判断していたが、10 月の鉱工業生産指数が予想以上に悪かったことから、日銀内には生産の弱さを懸念する声が広がっている。 10 月鉱工業生産指数速報は前月比 4.2% 低下の 98.9 となった。 前月比のマイナス幅は 2018 年 1 月以来の大きさで、指数の絶対水準も 2016 年 5 月以来の低水準となった。

10 月の生産を最も下押ししたのは自動車生産だ。 ただ、これには台風 19 号による被害の影響も入っているため、日銀内にはこれが一時的なものなのか、基調が変わったのか 11 月以降の数字も見極めたいという声もある。 さらに 1 月には「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も控えていることから、12 月会合で判断を変える必要があるかどうかも含めて慎重に判断する。 (志田義寧、木原麗花、和田崇彦、Reuters = 12-7-19)


10 月の実質賃金、前年比 0.1% 増 人手不足で賃金上げ

厚生労働省が 6 日発表した 10 月の毎月勤労統計調査(速報、従業員 5 人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比 0.1% 増加した。 消費者物価指数は上昇基調が続くものの、消費増税でも伸びは鈍い。 一方で人手不足から賃金を上げて人材を確保しようとする動きがあり、名目賃金にあたる 1 人あたりの現金給与総額が 27 万 3,466 円と 0.5% 増となったことが寄与した。 内訳を見ると、基本給にあたる所定内給与が 0.6% 増で、残業代など所定外給与は横ばいだった。 ボーナスなど特別に支払われた給与は 4.4% の減少だった。 パートタイム労働者の時間あたり給与は 2.8% 増の 1,172 円だった。 パートタイム労働者比率は 0.06 ポイント低下の 31.12% だった。 (nikkei = 12-6-19)


経済対策 10 兆円超に 政府調整、事業規模は 20 兆円超

政府は 12 月上旬にまとめる経済対策で、財政支出を 10 兆円超とする調整に入った。 2019 年度補正予算案と 20 年度当初予算案の一般会計に 5 兆 - 6 兆円を計上する。 税外収入である財政投融資や外国為替資金特別会計なども活用し、財源を確保する。 景気の先行きに不透明感が強まるなか、大型の経済対策を通じて企業の生産性向上や個人消費を下支えする。

政府内では 12 兆円を上回る規模とする案が有力になっている。 週明けにも与党と協議して最終決定する。 与党からは政府による直接の財政支出である「真水」で 10 兆円規模を求める声が出ており協議次第ではさらに規模が膨らむ可能性もある。 地方自治体や民間金融機関、企業などが負担する分も含む事業規模は 20 兆円を超える見込みだ。 16 年 8 月に打ち出した前回の経済対策は財政支出が 13.5 兆円、事業規模は 28.1 兆円で、現段階で前回に匹敵する規模となっている。 国と地方の支出で計 8 兆円程度を充てる方針だ。 主に一般会計や特別会計で構成する国費は 7 兆円程度を見込む。

一般会計のうち、公共投資は 3 兆 - 4 兆円規模とする見通しだ。 財源には建設国債を発行する。 台風 19 号の被害によって地方の河川で多数の堤防が決壊したことを踏まえ、堤防の補強や川底の掘削、ダムのかさ上げといった治水インフラ対策に重点投資する。 外為特会からは約 1 兆円を捻出する。 国際協力銀行に海外 M & A (合併・買収)とインフラ投資の 2 つを促す枠組みを設け、海外市場の開拓を目指す日本企業を金融面で支える。

国が出す財投債を財源に産業分野にお金を投じる財政投融資の規模は 3 兆 - 4 兆円とする。 超低金利を生かし、インバウンド需要増や災害対策のため高速道路の車線を増やす。成田国際空港の滑走路整備にも 4 千億円強を貸す見込みだ。 現在の滑走路の延伸と、新たな滑走路の建設計画の財源に充てる。 返済期間は 40 年を想定している。 超高速通信規格 5G の次の世代にあたる「ポスト 5G」の技術開発、就職氷河期世代への支援など、単年度では効果を見込みにくい対策では基金を積極的につくる方向で調整する。 複数年にわたって確実に財政支援する体制を整える狙いだ。

政府は経済対策の策定に合わせて 19 年度補正予算案を編成している。 経済対策に必要なお金には赤字国債は発行せず、経費削減などで対応する。 一方、19 年度の税収が想定より落ち込む分を補う目的として補正予算で赤字国債を追加発行する。 19 年度予算の一般会計税収は当初想定していた 62.5 兆円から 2 兆円規模の落ち込みになりそう。 米中貿易戦争の影響で日本からの輸出が減速し、企業の業績悪化から法人税収が増えていない。  このため当てにしていた税収が減る分は赤字国債の発行で対応する。

安倍晋三首相は 8 日に経済対策の策定を指示した。 景気の下振れリスクを踏まえた生産性向上、東京五輪後を見据えた景気の下支えと成長分野への投資、自然災害への対応を柱に据えた。 消費増税による消費の冷え込み懸念、米中貿易摩擦や英国の欧州連合 (EU) 離脱といった国内外の不確実性が高まっている。 内外需ともにぱっとしないなか、リスクに先手を打ち、手厚い対策をとる。 (nikkei = 11-30-19)


江藤農相 赤字農水ファンドを年内に廃止か判断へ

農林水産省が所管し 90 億円もの累積赤字を抱える官民ファンドについて、江藤農林水産大臣は「廃止も含めしっかりと見直しを行いたい」と述べ、年内に官民ファンドを廃止するか判断する考えを示しました。 官民ファンドの「農林漁業成長産業化支援機構」は国と民間が出資して平成 25 年に設立され、農産物の販売や食品加工の企業などに投資を行ってきましたが、企業の破綻などで、ことし 3 月までの累積の赤字が 92 億円に上っています。

江藤農林水産大臣は 22 日の閣議のあとの記者会見で、このファンドについて「これまでの結果をみると、成績や効率であまりにも反省すべき点が多い。 廃止も含めた形でしっかりとした見直しを行いたい。」と述べました。 一方、農林水産省は赤字のファンドを廃止しても、食品の輸出拡大に取り組む企業などに、出資を続けられるよう代わりの組織を検討しています。

江藤大臣は「不安に思っている人もいるので年内に結論を出したい」と述べ、年内にファンドを廃止するかや今後の対応を決める考えを示しました。 国と民間が出資する官民ファンドは、出資した企業の経営が行き詰まり損失を出す事態が相次いでいて、最終的に国民の負担になることが懸念されています。 (NHK = 11-22-19)