埼玉・八潮の陥没事故、全面的な対策完了に「5 - 7 年」 県が見通し 埼玉県八潮市で 1 月に起きた道路陥没事故で、県は 23 日、現場周辺の下水道管の全面的な対策工事について「5 - 7 年を要する」との見方を明らかにした。 具体的な期間を県が示したのは初めて。 八潮市内で開かれた専門家による復旧工法検討委員会で、県が説明した。 既設の下水道管を復旧させたうえで、この管とは別に恒久的な新規の管を整備する「複線化」の工法案を示した。担当者によると、この工事の完了に5〜7年を要するという。複線化する区間は、破損箇所周辺の約2キロの範囲で、その後、下水処理場「中川水循環センター」まで延ばすことも検討する。新たな用地取得が必要となる可能性もあり、予算額は未定とした。 県は破損した下水道管(直径 4.75 メートル)の復旧について、破損部分を含む前後約 40 メートルにわたり、管の内側に直径 3メートルの別の管を入れる案を示した。 事故現場では現在、安否不明のトラック運転手の救出に向け、流れ込む下水をいったん迂回させるバイパス工事や、運転席に向けて掘削する工事が進む。 県は救出後に、既設の下水道管の復旧に取りかかる方針で、埋め戻しなども含め、早ければ年度内に終えたいとしている。 (中村瞬、asahi = 4-23-25) 八潮の陥没、住民から臭いや騒音の訴え相次ぐ「住める環境ではない」 埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故をめぐり、県による住民説明会が 22 日、市内で初めて開かれた。 一時は 185 人が自主避難した大規模陥没。 周辺住民 120 人が参加し、苦しみや不安を訴えた。 冒頭、大野元裕知事が事故について「心からおわびする」と述べた。 担当者から事故の概要や、下水道管を迂回させるバイパス(仮排水管)の供用開始を 5 月中に目指すことなどが説明された。 損害の補償については、災害救助法の適用が決まり、国や県などの支援制度が利用できることになったことが説明された。 質疑では延べ約 30 人が発言し、下水の臭いや昼夜にわたる工事の騒音や振動などを訴える意見が多く、「避難要請が解除されても、住める環境ではない」という人も。 県は地上では硫化水素が検出されていないことや騒音も基準内であることを説明し理解を求めたが、「数字で説明されても納得できない。 市民はとても不安を感じている。」との意見も出た。 ほかには、事故で破損した可能性がある住宅の家屋調査や、交通規制への改善を求める声、下水道点検を装った不審者事案などに不安が寄せられた。 大野知事は終了後、「目の前に穴があるなかで生活している住民の不安を痛切に感じた。 より丁寧に寄り添って対応したい。」と話した。 今後も節目ごとに説明会の開催を検討するという。 (伊藤悟、asahi = 2-23-25) 復旧は「年内完了目指す」と県、下水道使用制限を解除 道路陥没事故 埼玉県八潮市の道路陥没事故で、県は発生直後から県東部 12 市町の 120 万人に呼びかけていた下水道の使用自粛を 12 日正午で解除した。 上流部のバイパス(仮排水管)工事などで「節水と同程度の効果を得られる見通しとなった」ことを理由に挙げた。 大野元裕知事は 12 日午後、「協力はありがたかった。 一刻も早い救出、復旧に努めることでお礼とさせていただきたい。」と述べた。 自粛要請は 2 週間に及んだ。 八潮市役所の近くに住む女性 (78) は「下水道のことをこれまで考えたこともなかった。 使用自粛が求められた 2 週間は大変だった。 下水道のありがたみがよくわかった。」と振り返った。 食事ではラップを巻いた紙皿を使い、トイレの使用頻度を減らすため水を飲む回数をなるべく減らした。 「風呂に入らないわけにはいかなかったけど、救出されていない方がおられる以上、足だけ洗って寝ることも多かった。」 解除を受け「娘の夫が金沢市にいる。 能登半島地震や大雨被害も人ごとではなかったが、こんな身近な場所で災害が起こるとは考えもしなかった。 運転手の救出と下水道管の復旧が早く進んでほしい。」と話した。 埼玉県越谷市の会社員 (45) は、紙皿や紙コップを 11 日午後に買ったが、その直後に 12 日正午での自粛解除を知った。 「いつまで、どこまで、どうやって節水したらよいのか、県や市がもう少し具体的に言ってくれたら良かった」と語った。 県は、周辺流域から受水している 66 社に対する工業用水の利用制限も解除した。 陥没の事故現場付近を通る下水道管に排水を流している事業者が多いための措置だった。 八潮市、埼玉県草加市、東京都足立区などの生コンクリートメーカーで作る「東関東生コン協同組合」によると、製造に欠かせない水が必要量に足りず、受注した生コンが生産できなくなったという。 他のメーカーに生産を頼むなど組合として調整したが、担当者は「各メーカーも生産スケジュールを組んでおり、調整が大変だった」とこぼす。 陥没事故の現場近くにある企業への給水は停止されたまま。 このうち 1 社では、業務に使う水を浄水場までタンク車で取りに行っているといい、影響はまだ続く見通しだ。 一方で県は 12 日、下水道管や道路などの原状回復工事について「今年中の完了を目指す」と発表し、2024 年度補正予算案に復旧工事費 40 億円を計上した。 安否不明となっている運転手の救出作業後、早期の復旧を図りたい考えだ。 県は 11 11日に、下水道管内(直径4・75メートル)に取り残されたトラックの運転席部分に運転手がいる可能性があるとし、陥没現場に流れ込む汚水を迂回(うかい)させる大規模なバイパスを約3カ月で設置し、地上から掘削して救助する方針を示した。 県によると、救助後に破損した下水道管の応急復旧や陥没した道路の埋め戻し、舗装復旧などを行う予定。 下水道管の破損具合によっては、仮排水管をそのまま活用する可能性もあるという。 大野知事は 11 日の記者会見で「早期に着工し、影響を最小限にするよう全力を尽くす」と述べた。 (asahi = 2-12-25) 運転席で人とみられる姿を確認 陥没事故、県は救助に「3 カ月」見通し 埼玉県八潮市の道路陥没事故で、大野元裕知事は 11 日、下水道管(直径 4.75 メートル)内に取り残されているトラック運転席の中に、人とみられる姿が確認されたことを明らかにした。 県や消防は、行方不明となっているトラック運転手の 70 代男性の可能性が高いとみて、地上から掘削して救助する方針。 救助までに約 3 カ月はかかるという。 一方で県は、上流でのくみ取りや下水道のバイパス工事を進めた結果、汚水を一定量減らせたとして、東部 12 市町の 120 万人に要請していた下水道の使用自粛を 12 日正午で解除することを決めた。 県は現場近くのマンホールからドローンを使って下水道管内を調査。 陥没地点の下流部にトラックの運転席部分とみられるものを発見していた。 県によると、その後の確認作業で、下水道管内にあるのは転落したトラックの運転席部分で、陥没地点から 30 メートル下流にあると特定。 さらに運転席内に人影のようなものが確認されたため、法医学者など専門家に確認し、行方不明になっている男性の可能性が高いと判断したという。 ただ、運転席がある場所は汚水の流れが速く、高濃度の硫化水素が発生しているとみられ、救助活動が難航している。 そのため大野知事は、運転席付近に汚水が流れないよう、上流の下水道管の流れを止めて地上付近を通って下流に流す大規模なバイパス工事をするとした。 その上で、地上から掘削して救助する方針を示した。 掘り進めた穴から重機を使って運転席を引き上げることを想定している。 12 市町への下水道使用自粛については、これまで取り組んできた排水作業やバイパス工事の結果、節水と同じ効果が見込めるとして解除を決めた。 県は 11 日、今回の陥没事故について災害救助法が適用されると明らかにした。 現場の八潮市が対象で、避難所の設置にかかった経費などを国と県が負担するという。 (中村瞬、黒田壮吉、asahi = 2-11-25) 下水道管内の作業「至難の業」、阻む速い水流・硫化水素 陥没事故 埼玉県八潮市で県道が陥没してトラックが転落した事故で、安否不明となっているトラックの男性運転手の救助が難航している。 運転席部分とみられるものが見つかった下水道管内は、水流や硫化水素の影響で人が近づけない状況だからだ。 県や消防は陥没した穴側からの救助は断念。 新たな方法を模索するが、発生から 10 日以上過ぎても見通しは立っていない。 5 日に行われた県のドローンによる調査で、陥没地点の 100 - 200 メートル下流の下水道管(直径 4.75 メートル)内に、トラックの運転席部分とみられるものが確認された。 一部が流水につかり、男性の姿は確認できなかったが、県や消防は男性がこの周辺にいる可能性があるとみている。 さらに上流側ではがれきなどの堆積物が管を塞いでおり、陥没地点側は汚水であふれていた。 陥没が起きたのは 1 月 28 日。 当初は転落したトラックが見え、男性と会話もできる状態だったため、消防は穴の内部に隊員を入れたり、クレーンでトラックごと救助しようとしたりしたが、失敗。 何とか荷台部分は引き上げたものの現場周辺で崩落が相次いで穴が拡大し、運転席部分はがれきや土砂で見えなくなった。 二次災害の恐れもあり、穴の内部での救助活動が難しくなった。 穴からの救助断念も、有効な代替案は定まらず その後も県や消防は、陥没地点からの救助を目指したが、今度は下水道管の破損箇所から穴の中に汚水があふれ出してきた。 県は現場に流れる汚水を減らそうと、12 市町 120 万人に下水の利用自粛を要請したが、状況は改善しなかった。 穴の中のがれきはほぼ撤去されたものの、引き続き土砂崩れの危険があるとして消防は 9 日、穴からの救助活動を打ち切った。 現在代わりに検討しているのが、陥没地点から約 600 メートル離れた下流側のマンホールなどから下水道管内に下りての救助だ。 ただ、管内は汚水の流れが速く、高濃度の硫化水素が発生するなどの障害があり、八潮消防署の担当者によると「通常では人が入れない厳しい環境。」 同署は化学防護服を準備し、特殊な訓練を積んだ東京消防庁の部隊との協力も検討中という。 大野元裕知事は「消防庁、陸海空の自衛隊とレスキュー方法を検討している」とするが、県からも具体的な方策はあがっていない。救助活動に詳しい元東京消防庁警防部長の佐藤康雄さんは、マンホールからの救助について、距離や水流、硫化水素などの課題を挙げ、「不測の事態が起きたときにすぐに緊急脱出できない。 安全を担保しながらの作業は至難の業だ。」と指摘する。 堆積物でせき止められた汚水が鉄砲水となって流れる恐れもあり、「上流側の下水を抜くことができれば可能だが、そうでないとかなり難しい」とする。 第 3 の選択肢として、運転席部分があるとみられる場所の上部(市道)を重機で掘削し、地上から直接救助する方法も考えられるというが、「約 10 メートルの深さを土砂が崩れないように掘り進めることは難しく、下水道管に穴を開ければ、管全体が壊れてしまう可能性もある」との見方を示した。 (黒田壮吉、浅田朋範、asahi = 2-10-25) 「完全復旧に 2 - 3 年」 復旧工法検討委員長が見通し 道路陥没事故 埼玉県八潮市の道路陥没事故で、県の復旧工法検討委員会の委員長を務める日本大学の森田弘昭教授(下水道工学)が朝日新聞の取材に応じ、陥没で破損した下水道管の完全復旧について、「2 - 3 年はかかるだろう」との見通しを語った。 現場では 7 日も、行方不明となっている穴に転落したトラックの男性運転手の救助に向けた作業が続いている。 トラックの運転席部分とみられるものは陥没地点から 100 - 200 メートル下流の下水道管内で発見されたが、上流部は土砂でふさがれ、陥没地点では汚水があふれ出ている。 流れ込む汚水を減らそうと、県内 12 市町 120 万人に出されている下水の使用制限も続いている。 下水道管の破損の程度は不明だが、森田教授は「運転席が管の中に落ちているとすると、かなり大規模に壊れているだろう」と指摘。 現場周辺で部分的な補修をするだけでは復旧は難しいとみて、破損箇所の上流と下流をつなぐバイパスを造る必要などあると考えているという。 ただ、下水道管の直径は約 4.75 メートルと巨大で、埋設箇所も地下約 10 メートルと深いため、大規模な工事が必要になる。 軟弱な地盤のため補強工事が必須で、他の水道管などすでに地層に埋まっているものもある。 周辺の調査や設計にもかなりの時間がかかるとみられ、「下水道管の完全復旧には 2 - 3 年はかかるだろう」と話す。 一方で下水の使用制限については、「堆積物の撤去や、下水道管の破損箇所を樹脂で覆うなどの応急復旧が終われば、解除できるのではないか」との見通しを語った。 県は、救助活動の完了から 1 週間以内に下水道管の応急復旧を終えたい考えを示している。 (中村瞬、asahi = 2-7-25) 道路陥没 下水道管の中にトラック運転席部分か 埼玉・八潮市 先月 28 日、埼玉県八潮市で道路が陥没し、トラックが落下して男性運転手が取り残されている事故で、5 日、行われた水中ドローンによる下水道管の内部の調査で、現場の下流部分の下水道管の中にトラックの運転席部分とみられるものが見つかったことが分かりました。 午後 6 時から行われた、11 回目となる県の対策会議の冒頭で大野知事が明らかにしたもので、見つかった運転席とみられるものは、陥没現場から 100 - 200 メートルほどの箇所で、その際、巻き込まれた運転手は依然として見つかっていないということです。 県は自衛隊などとも協議しながら、今後救助活動について進めていく方針です。 (日テレ = 2-5-25) 埼玉の道路陥没、水流増し救出作業を中断 2 日朝の会議で再開判断 埼玉県八潮市で県道が陥没してトラックが転落した事故は 1 日、男性運転手の救助活動を進めるためのスロープ(傾斜路)が完成し、重機によるがれきなどの撤去作業が進んだ。 ただ、穴の内部で水の流れが強まり、崩落の危険性があることなどから 1 日夕で作業を一時中断した。 事故現場では 1 日朝、前々日から整備が続いていた、道路から穴へとつなぐスロープ(幅 4 メートル、長さ 30 メートル)が完成した。 県は当初、1 日夕の完成をめざしていたが前倒しされ、重機によるがれき除去作業が始まった。 埼玉県の大野元裕知事は 1 日正午前、現地を視察。 続く県対策会議の中で「救助の妨げである大きな土砂などを早急に取り除くとともに、救出活動が本格的に実施可能になる」と述べた。 現場では、消防や県が穴につながるスロープの先端に重機を置き、がれきや土砂の除去作業を進めた。 地中には土砂や岩のほか、陥没箇所の上にコンクリート製の箱形の構造物がある。 救助作業を進めるには、まずはこれらを取り除く必要があるという。 さらに、地下水などのしみ出しが止まらず、作業の妨げになっている。 水と土砂が混ざると崩落の危険性が高まるという。
作業を続ける中で水の勢いが強まり、消防は 1 日午後 5 時ごろ、当初は夜通し続ける想定だった重機による作業を中断した。 担当者は同日夜、「がれきをよけたことで水の動きがでてきた」と記者団に話した。 作業の再開については、2 日朝に県と協議し、天候などを踏まえて判断するという。 トラック運転手の救助の前提となる、がれき除去などに要する時間について、消防の担当者は「やってみないと分からないので、どのくらい時間がかかるかは断言できない」としている。 1 日午後 2 時現在で、土砂に埋もれたトラックの運転席は見えていないという。 県などは今後、がれきなどを一定程度撤去した後、穴の中に消防隊員を入れて男性の救助をめざす方針だ。 二次被害を防ぐため、土砂崩れを監視するセンサーを新たに設置し、慎重に作業を進めるという。 (恒川隼、浅田朋範、asahi = 2-1-25) 道路陥没、徐々に広がり作業難航 下水道の制限「中長期化の見通し」 埼玉県八潮市二丁目で 28 日午前、県道が陥没して2トントラックが転落した事故で、消防は 29 日も車内に閉じ込められた 70 代の男性運転手の救助活動を続けている。 下水道管が原因の陥没は都市部を中心に各地で相次いでおり、老朽化への対応が課題となっている。 県によると、地中に埋設された下水道管の破損が陥没の原因とみられるという。 新たに現場付近も陥没するなど、作業は難航している。 県は、県東部の 12 市町の約 120 万人に対して、風呂や洗濯などでの下水道の使用制限を通知しているが、大野元裕知事は同日、「影響が中長期化する見通し」と述べた。 県や消防によると、トラックが転落した現場では、道路が直径約 10 メートル、深さ約 10 メートルにわたり陥没。 さらに 29 日午前 1 時 10 分ごろ、クレーンでトラックの荷台を引き上げる作業中、現場近くの道路も激しい音を立てて陥没した。 当初は縦 10 メートル、横 7 メートルほどの規模だったが、地盤が緩んでいるとみられ、徐々に広がっているという。 二次被害のおそれがあることや、陥没した穴の内部にたまった水を抜くため、消防は同日未明以降、救助作業を一時中断した。 ドローンなどで陥没の空洞部分を確認し、バキュームカーで排水も実施した上で、夕方から救助活動を再開した。 陥没した当初は、破損した下水道管に土砂が詰まり水があふれ出ている状態だったが、29 日午前 0 時ごろに解消したとみられる。 ただ、その後は下水道管内の流量が増し、再びあふれるおそれがあることから、県は 29 日夜、下水処理場を通さずに最低限の処理後に汚水を、水道用水に利用しない河川に流す「緊急放流」を実施する。 八潮市は 29 日未明に現場の 200 メートル以内の住民に避難指示を出し、市役所に開設した避難所に 185 人が避難した。 午前 4 時ごろに夫と避難した 40 代のパート女性は「避難指示は初めて。 道路の陥没が起きるなんて、思っていなかった。」 自宅は陥没地点のすぐ近くという。 道路陥没、年間 2,600 件 国土交通省によると、下水道管が原因となる道路陥没(地震を除く)は、都市部を中心に 2022 年度は 2,607 件発生した。 9 割近くが深さ 50 センチ以下の小規模な陥没だが、1 メートルを超える規模も 2% あり、事故を受け、同省は全国の下水道管理者に緊急点検を要請した。 全国の下水道は 1970 年代から整備が加速し、総延長は約 49 万キロ(22 年度)。 道路陥没は 4 千件を超えた十数年前と比べて減少傾向だが、原因の 8 割以上は老朽化した下水道管の破損だ。 陥没は破損した下水道管に土壌が流れ込み、発生するケースが多い。 50 年の標準耐用年数を超える下水道管は 22 年度の約 3 万キロから、20 年後には約 20 万キロに急増すると見込まれ、老朽化への対応が課題となっている。 15 年には下水道法が改正され、腐食のおそれが高い下水道管を 5 年に 1 回以上点検することが義務化された。 ただ、ある政令指定都市の担当者は「下水道管は地面に埋まっており、点検で状態を十分に把握するのが難しい場合もある。 陥没して初めて異常があったと知ることもある。」と話す。 また、西村和夫・東京都立大名誉教授(地盤工学)によると、今回の現場周辺の地盤は地下水が高く、砂より細かいシルト層の軟弱な地盤という。西村氏は「下水道管の幹線で管も太いため、(地下水とともに)多くの土砂が流入し、大規模な陥没になったのではないか」と指摘する。 (東郷隆、宮島昌英、浅田朋範、黒田壮吉、asahi = 1-29-25) 道路陥没、下水管破損が原因か 埼玉 12 市町は「下水道使用抑えて」 埼玉県八潮市中心部の道路が陥没し、トラックが転落した事故について、埼玉県の大野元裕知事は 28 日の定例会見で、「下水道管の破損に起因すると思われる」と述べた。 現場の地中を通る下水道管はふさがっている可能性が高く、県はこの下水道管に汚水を排出している県東部の 12 市町に対し下水道の使用制限を通知。 この地域の約 120 万人に対し、下水道の使用を抑えるよう呼びかけている。 道路陥没、トラックが穴に転落 運転手の救助活動中 対象の 12 市町は、さいたま市岩槻区、川口市の一部(国道 122 号線の東側)、春日部市、草加市、越谷市、八潮市、蓮田市、幸手市、白岡市、伊奈町、宮代町、杉戸町。 県下水道事業課によると、この下水道管には 12 市町の下水が流れており、同県三郷市の下水処理場「中川水循環センター」に通じている。 県は 28 日午前 10 時すぎ、下水道法に基づき、12 市町に下水使用制限を通知。 同課によると、水道自体は使用できるが、排出される下水の量が多ければ、下水道管に滞留してあふれる恐れもあるという。 県は、下水道の使用について、トイレを流すなどの制限はないが、洗濯の回数を減らしたり、風呂で使う水量を少なくしたりするよう訴えている。「最低限の使い方にしてほしい」(下水道事業課)としており、シャワーを流しっぱなしにしない、お風呂の残り湯は流さない、などの対応を促している。 陥没現場の下水道管は直径 3 - 4.75 メートルで、1983 年から使われている。 埼玉県は 5 年ごとに下水道管の調査をしており、2021 年の調査時は、管の状態を示す A - C の 3 ランクの 2 番目で、「ただちに工事が必要な状況ではない」との判断だった。 一方で、陥没現場から 500 メートル上流の地点では、20 年の調査で最も状態が悪い A ランクだったという。 (中村瞬、asahi = 1-28-25) |