中国が国有企業改革で 3 カ年行動計画、20 年初め公表 - 中国証券報

国有企業の業績評価を強化、新たな指標に利益率や研究開発支出採用
中国は国有企業再編や混合所有制改革を来年加速 - チャイナ・デーリー

中国当局は 2020 年初めに国有企業改革に関する 3 カ年行動計画を発表すると中国証券報が 26 日報じた。 国有企業部門の業績向上と世界に通用する企業の創出が狙いだという。 同紙が国有資産監督管理委員会(国資委)の●(= 赤偏におおざと)鵬主任を引用して伝えたところによると、同計画では、国有企業の業績評価方法を強化するとともに、より戦略的な民間投資家を呼び込む「新たな打開策」を模索していく。

中国証券報によれば、●主任は今週の北京での会合で、国有企業の業績を評価する指標として、純利益と利益総額、資産・負債比率に加え、20 年から営業利益率と研究開発支出を採用すると説明。 国資委の研究員、周麗莎氏は新たな指標について、「業務効率改善を通じて経営者の収益能力」を高め、イノベーションを促すという意図があると分析した。

英字紙チャイナ・デーリーは 25 日、中国企業研究院の首席研究員、李錦氏を引用して中国が来年 1 - 3 月(第 1 四半期)に国有企業改革を巡る 3 カ年行動計画を発表する見込みだと報じていた。 同紙はさらに、中国が「世界に通用する企業」グループを創出するため、国有企業の再編・資産証券化に加え、混合所有制改革を 20 年に加速するとも伝えた。 (Bloomberg = 12-26-19)


中国鉱工業生産、11 月は 5 カ月ぶり大幅増 小売も予想上振れ

[北京] 中国国家統計局が発表した 11 月の鉱工業生産は前年比 6.2% 増加と、5 カ月ぶりの大幅な伸びとなった。 前月から伸びが加速し市場予想も大幅に上回った。 10 月は 4.7% 増、ロイターがまとめたアナリスト予想は 5.0% 増だった。 11 月の小売売上高は前年比 8.0% 増加。 こちらもアナリストの予想(7.6% 増)を上回った。 景気刺激策と「独身の日」の販売急増が寄与した。 一方、1 - 11 月の固定資産投資は、1 - 10 月と同じく前年比 5.2% 増でアナリスト予想と一致。 インフラ投資は 1 - 11 月に 4.0% 増と、1 - 10 月の 4,2% から伸びが鈍化する低調な結果となった。 総投資の 60% を占める民間部門の固定資産投資は 4.5% 増だった。

米国との貿易戦争は、13 日に「第 1 段階」の通商合意がまとまり、経済への圧力が幾分和らぐとみられる。 キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、マーティン・リンジ・ラスムセン氏は「11 月の経済活動と消費の指標は軒並み堅調となった。 ただ、この回復は短期に終わると我々は予想する。」と述べた。 「第 1 段階の米中通商合意が短期的に輸出と企業の投資を押し上げる可能性があるのは明らかだが、直近の数四半期で経済成長に寄与していた不動産は伸びが鈍る見込みだ。規制強化で不動産絡みの融資が絞られているからだ」とした。 鉱工業生産の品目別ではセメント、粗鋼、銑鉄が前年比で増加に転じ、鉄鋼、自動車、通信部門は伸びが加速した。

世界貿易の不透明感や国内経済への逆風を背景にアナリストは、経済成長が来年さらに減速すると予想。 中国政府は成長率目標を 6% 程度に引き下げるとみられている。 第 3・四半期の国内総生産 (GDP) は前年比 6.0% 増と約 30 年ぶりの低い伸びとなった。 習近平指導部は、前週開催した中央経済工作会議で、経済成長目標の達成に向け 2020 年は経済政策を安定的に保ちながら政策の効果を高めていく方針を決めたとされる。

ANZ の中国シニアエコノミスト、ベティ・ワン氏は、13 日付の顧客向けノートで、当局者は来年、特定のある政策オプションに依存するのでなく、複数の政策ツールを組み合わせて成長の維持を図る公算で、緩和政策は市場が予想するほどには積極的に実施されないとの見方を示した。 (Reuters = 12-16-19)

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中国の投資、過去最低の伸び - 10 月工業生産と小売売上高も低調

1 - 10 月の固定資産投資は 5.2% 増 - 98 年以降のデータで最低
減速に歯止めをかける当局の取り組みが後手に回っていることを示す

中国経済は 10 月に一段と減速した。 米国との貿易摩擦や内需低迷の中で、これまでの小出しの刺激策による生産や投資の押し上げ効果が乏しいことを示唆している。 国家統計局が 14 日発表した 10 月の工業生産は前年同月比 4.7% 増。 予想中央値の 5.4% 増を下回った。 小売売上高は同 7.2% 増加。 市場予想は 7.8% 増だった。 1 - 10 月の都市部固定資産投資は前年同期比 5.2% 増。 予想は 5.4% 増だった。 1998 年までさかのぼる比較可能なデータで最も低い伸びとなった。

中国は構造的な国内の下押し圧力と米国との貿易を巡る先行き不透明感に見舞われる中、10 月の経済指標は景気減速に歯止めをかけようとする中国当局の取り組みが後手に回っていることをあらためて示した。 オーストラリア・ニュージーランド銀行 (ANZ) の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏(香港在勤)は「今回のデータは景気が減速しているとの見方をさらに裏付けた」と指摘。現在の景気減速は内需低迷との関係がより強く、第1段階の貿易合意も助けにならないとの見方を示した。

国家統計局の劉愛華報道官は北京で開いた指標発表後の会見で、中国経済が直面する課題は過小評価すべきではないが、経済の全体的なモメンタムは変わっていないと述べた。 (Bloomberg = 11-14-19)

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中国経済の苦境、製造業など主要セクターで軒並み鮮明

製造業と不動産、サービス業がいずれも悪化 - 借り入れは高水準
製造業が大幅人員削減でもサービス業がそれを吸収する余裕ない

中国経済の7−9月(第3四半期)は年初来で最も低調が目立った。チャイナ・ベージュブックが指摘したもので、借り入れは増えているものの、製造業と不動産、サービス業が軒並み悪化した。 四半期ベースで公表される同リポートによると、製造業の売上高と利益、数量、販売価格は 4 - 6 月(第 2 四半期)から 2 桁のペースで減少。 一方、借り入れは引き続き高い水準を維持した。 現在の中国経済低迷は製造業が主因。 輸出減少が一因だが、その主な理由は「販売価格の大幅な伸び鈍化」によるものだと同リポートは指摘した。 6 月の生産者物価指数は前年同月比で横ばいにとどまった後、2 カ月連続で低下。 各社の利益が損なわれており、投資や債務返済能力が抑えられているという。

サービス業の低調も続いており、売上高と利益が共に前年同期から減少。 雇用も減速しているため、「製造業が大幅な人員削減を余儀なくされてもサービス業がそれを吸収する余地がないことを示している」とリポートは分析した。 7 - 9 月は借り入れが再び活発化した。 シャドーバンキング(影の銀行)はチャイナ・ベージュブック開始後の四半期ベースで最大の増加。 債券発行も 5 四半期連続で拡大し、融資も増えた。 中国経済で与信不足が起きていないことを示唆しているとリポートは記した。 チャイナ・ベージュブックは 8 月半ばから 9 月半ばにかけて中国国内の 3,300 社余りに対して実施した聞き取り調査に基づいている。 (Bloomberg = 9-25-19)

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中国経済、8 月さらに減速 - 工業生産の伸びが市場予想下回る

8 月の工業生産は前年同月比 4.4% 増 - 予想 5.2% 増
8 月の小売売上高と 1 - 8 月の固定資産投資も伸び鈍化

中国の経済は 8 月にさらに減速し、現行の景気刺激策では対米貿易戦争による悪影響から自国経済を守るのに十分でない可能性があることが示唆された。 8 月の工業生産は前年同月比 4.4% 増と、予想中央値の 5.2% 増を下回った。 小売売上高は同 7.5% 増加。 市場予想は 7.9% 増だった。 1 - 8 月の都市部固定資産投資は前年同期比 5.5% 増に伸びが鈍化。 予想は5.7%増だった。 工業生産は単月としては 2002 年以降で最も低い伸びを記録した。 中国は春節(旧正月)のために一部統計を 2 カ月分合算するが、これを含めても、今回を下回ったのは 09 年 1 - 2 月のみ。

今回のデータは、景気減速に歯止めをかけるための政策当局の取り組みが後手に回っていることを示唆している。 中国は国内の構造的な下方圧力と対米輸出で関税引き上げの可能性に直面している。 ナットウェスト・マーケッツの中国担当エコノミスト、劉培乾氏(シンガポール在勤)は「景気減速のペースは予想よりも急速だった」と指摘し、貿易戦争が中国の製造業に及ぼす影響が比較的大きかったと述べた。 (Bloomberg = 9-16-19)


中国、11 月輸出は予想外の減少 輸入は 4 月以来の増加

[北京] 中国税関総署が発表した 11 月の貿易統計によると、市場の予想に反して輸出が 4 カ月連続で減少した。 米中貿易摩擦による製造業への影響が根強いことが浮き彫りになった。 11 月の輸出は前年比 1.1% 減少。 エコノミスト予想は 1.0% 増、10 月は 0.9% 減だった。 輸入は前年比 0.3% 増加し、4 月以来のプラスとなった。 エコノミストは 1.8% の減少を予想。 10 月は 6.4% 減だった。 貿易収支は 387 億 3,000 万ドルの黒字。 エコノミスト予想は 463 億ドルの黒字、10 月は 428 億 1,000 万ドルの黒字だった。 (Reuters = 12-8-19)


中国 10 月の消費者物価、7 年ぶりの高い伸び - 豚肉価格の高騰で

CPI は 3.8% 上昇、PPI は 1.6% 低下 - 国家統計局
豚肉価格の高騰は一時的で短命に終わるとシティのエコノミスト

中国の消費者物価指数は 10 月、豚肉価格の上昇を背景に 7 年ぶりの高い伸びとなった。

・ 10 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 3.8% 上昇、前月は同 3% 上昇だった
・ 10 月の生産者物価指数 (PPI) は同 1.6% の低下 市場予想の中央値は同 1.5% 低下だった

主なポイント

国家統計局によると、豚肉価格は 101.3% 上昇

金融政策は供給ショックによって引き起こされた豚肉価格の上昇に対する解決策ではないが、中国人民銀行(中央銀行)は成長鈍化にもかかわらず他の主要な中央銀行と比べて比較的抑制された姿勢を維持している。 人民銀は今週、市中銀行に供給する 1 年物資金の金利を引き下げたが、全体的な流動性の供給は中立を維持している。

「豚肉価格の高騰は一時的なもので短命とみられることから、金融政策の優先順位は一時的な消費者物価のインフレよりも悪化するデフレリスクへの対処とするべきだ」 とシティグループの中国担当チーフエコノミスト、劉利剛氏(香港在勤)は最近のリポートに記述した。

ブルームバーグがまとめたデータによると、CPI は 2012 年 1 月以来の大きな伸び。

その他

一部のエコノミストは、豚肉価格の上昇で消費者物価の上昇率は間もなく 4% に達する可能性があると述べている。 (Bloomberg = 11-9-19)


中国の新築住宅価格、伸び鈍化続く - 9 月の上昇率は 7 カ月ぶり低水準

9 月の新築住宅価格(主要 70 都市)は前月比 0.53% 上昇
主要 70 都市に含まれない小規模都市の住宅相場も軟化か

中国では新築住宅価格の伸び鈍化が続いている。 資金繰りに苦しんでいる不動産開発会社が販売を急ぐため物件を値下げしており、9 月は 4 カ月連続で上昇率が低下、7 カ月ぶりの低水準にとどまった。 9 月の新築住宅価格(主要 70 都市、政府支援住宅は除く)は前月比 0.53% 上昇と、2 月以来の小幅な値上がり。 国家統計局が 21 日発表したデータが示した。 住宅価格の伸び鈍化がもっと広がっている可能性もある。 18 日に発表されたデータでは中国全土の住宅平均価格が先月 0.4% 下落し、主要 70 都市に含まれない小規模都市の相場軟化を示唆した。 (Bloomberg = 10-21-19)


中国、対米輸出 9 月 22% 減 リーマン以来の減少幅

【北京 = 原田逸策】 中国税関総署が 14 日発表した 2019 年 9 月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比 3% 減の 2,181 億ドル(約 23 兆円)、輸入は同 9% 減の 1,784 億ドルだった。 輸出・輸入がそろって前年同月の水準を下回るのは 2 カ月連続となる。 米国向け輸出が同 22% 減とリーマン・ショック直後以来の減少幅を記録するなど、貿易戦争で対米貿易が急速に縮小したのが主因だ。

14 日記者会見した税関総署の李魁文報道官は「国際的な経済貿易の伸びが鈍り、国際環境は複雑で厳しさを増している」と貿易戦争の打撃を認めた。 1 - 9 月の累計値でも輸出は前年同期比 0.1% 減、輸入は同 5% 減となり、前年同期の水準をそろって下回った。 輸出が前年同月の水準を下回るのは 2 カ月連続。 国別では米国のほか、デモで揺れる香港、日本、ドイツ、韓国と主要な貿易相手が軒並み前年割れだった。 品目別では主力の携帯電話とパソコンがいずれも前年割れ。 家具、紡績品、衣類など労働集約型の商品も不振だった。

輸入の前年割れは 5 カ月連続となる。 内需縮小を映している公算があり、減少幅も 5 月以来 4 カ月ぶりの大きさだった。 国別では米国が前年同月比 16% も減ったほか、韓国、ドイツ、日本など製造業の供給網(サプライチェーン)での結びつきが強い国からの輸入がそろって減った。 とくに韓国からの輸入は同 27% と大幅に減った。 品目別では最大の輸入品である半導体が同 10% 減っており、中国の電機産業の不振をうらづける。 サムスン電子が携帯電話の工場を閉鎖するなど外資企業の撤退が広がることが背景にありそうだ。

貿易不振の主因は貿易戦争だ。 米国向け輸出の減少幅は春節(旧正月)休暇の影響で統計が振れやすい 1、2 月を除くと 09 年 8 月以来の大きさだ。 9 月 1 日から米国が 1,100 億ドル分の中国製品に 15% の追加関税をかけたのが響いたとみられる。 米国からの輸入も 16% 減った。 春節の特殊要因を除けば、輸出の減少幅が初めて輸入の減少幅を上回った。 対米貿易黒字は 258 億ドルにとどまり、前年同月より 24% 縮小した。 昨年 7 月に貿易戦争が始まって以降、中国は国有企業が米国からの輸入を先行して減らし、対米輸出は堅調だった。 貿易戦争が長期化するにつれ、追加関税の打撃が輸出に及んできた格好だ。

一方、東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けの輸出は前年同月比 10% 増、ASEAN からの輸入は同 3% 増と輸出・輸入がそろって増えた。 外資にとどまらず中国企業がベトナムなどに生産拠点を移し、中国と製品や部材をやり取りしていることが背景にありそうだ。 米国の追加関税を避けるための迂回輸出も一部にありそうだ。 貿易低迷は中国の国内景気の低迷を裏づける。 製造業の投資は輸出の伸びと連動するが、足元の伸び率は過去最低水準で低迷する。 今後も回復は期待できなさそうで、政府が公共投資を増やして経済を下支えする以外に手がないのが実情だ。 (nikkei = 10-14-19)


中国、資金流出を警戒 急激な元安回避へ新規制

【上海 = 張勇祥】 中国政府が海外への資金流出を抑制する新規制を導入した。 資金流出が加速した場合、海外送金や外貨売却が多い銀行の評価を引き下げる新ルールを適用する。 不動産会社には借り換え目的以外の外債発行を禁じた。 米中貿易戦争が長期化するなか、人民元相場で 11 年ぶりとなる 1 ドル= 7 元を突破し、当局は当面この水準を容認しているが、元安に歯止めがかからない状況は回避したい考えだ。

海外送金多い銀行の評価下げ

中国政府は元安を容認して輸出企業への影響を緩和する方針だが、2015 年の人民元切り下げを機に起きた「人民元ショック」のような急激な元売り圧力に襲われることを警戒する。 このため導入したのが元売りが膨らまないよう銀行の海外送金などを制限する新しい規則だ。 金融システムの安定が損なわれかねないと判断した場合、国家外貨管理局は「非平常時」と認定する。 各行の元の海外送金、外貨売却の状況を全国平均と比べ、差が大きいほど評価を下げる。 低評価の銀行は業務に制限をかけられる可能性がある。

現在も当局は海外送金を制限するため、個人顧客に詳しい資料を提出させるよう銀行を厳格指導している。 留学費用なら入学許可書、仕送りでは相手先の在職証明などを求める。 「不動産や保険商品の購入目的での海外送金は認めていない。(準大手銀行の支店)」 元の海外送金と顧客への外貨売却は、元安や資金流出が止まらなかった 16 - 17 年にも外貨管理局が規制した。 このときは外国人が円換算で数十万円規模の送金をするのも難しくなった。 手段を選ばない規制に海外から批判を浴びたが、今回は直接的な資本規制は回避して批判をかわす狙いだ。 だが外貨管理局は平常時と非平常時の判断基準を示しておらず、当局のさじ加減で海外送金に支障が出る恐れがある。

不動産会社の外貨調達制限

不動産会社にはより厳しい規制を課した。 国家発展改革委員会は外債発行による調達資金の使途を「1 年以内に満期を迎える海外債務に限る」と通知し、借り換え以外の調達は認めない方針だ。 中国の不動産会社は元が高値で推移した 13 - 15 年にドル建て債務を膨らませた。 19 年 7 月時点の残高は 1,700 億ドル(18 兆円)との調査もある。 元安が進めば債務返済の負担はさらに重くなる。

ドルを調達すれば一時的に元高要因になる可能性はある。 だが信用の低下した不動産会社は 10% 前後の高利で借りている例もある。 これ以上の債務拡大は金融市場の不安定要因になりかねない。 中国政府は米国との摩擦の長期化を懸念する。 トランプ米大統領は 8 月 1 日、制裁関税の対象を中国からの輸入品ほぼすべてに広げる「第 4 弾」の発動を表明した。 5 日には元の対ドル相場が 08 年以来となる 1 ドル = 7 元台を付けた。 29 日には一時 1 ドル = 7.17 元まで下落し、月間の下落率は約 4% と「管理変動相場制」を導入した 05 年以降で最大になる見通しだ。 (nikkei = 8-29-19)


中国新築住宅価格、7 月は前月比 +0.6% 伸び率横ばい

[北京] 中国国家統計局が 15 日発表したデータに基づくロイターの算出によると、7 月の主要 70 都市の新築住宅価格は前月比 0.6% 上昇し、伸び率は前月から横ばいだった。 51 カ月連続の上昇となったが、当局の投機抑制策を背景にその勢いは一部の地域で弱まっている。 国家統計局によると、住宅価格は 70 都市のうち大部分で依然として上昇したが、その数は 60 都市と 6 6月の 63 都市から減少した。 中国の不動産セクターは国内の 40 以上の業界に直接影響を与えることから急激に悪化すれば、内需低迷や米国との貿易戦争激化ですでに減速している経済を一段と圧迫する可能性がある。

新築住宅価格は前年比では 9.7% 上昇と、伸び率は 6 月の 10.3% から鈍化し、年初来の低水準となった。 中国当局はあらゆる都市で不動産市場の投機抑制策を導入してきたが、価格のトレンドは地域によってまちまちとなっている。 北京、上海、広州、深センの 4 大都市は前月比 0.3% 上昇と 6 月(0.2% 上昇)を上回る伸びだった。 主要な省都が含まれる 2 級都市は 0.7% 上昇し、6 月(0.8% 上昇)から伸びが鈍化した。 3 級都市は 6 月と同じ 0.7% 上昇だった。 アナリストは、住宅価格の小幅な上昇について、市場が過熱していないことを示す良い兆候だと指摘。 中国株式市場の CSI300 不動産指数 も下げ渋る展開となった。

ナイト・フランクの大中華圏リサーチ & コンサルティング担当トップ、David Ji 氏は「かなり良い数字だった。 より厳しい当局のスタンスを反映している」と指摘。 「不動産市場がピークを過ぎたのは明らかだ」と述べた。 中国共産党中央政治局は 7 月、不動産市場を活用した短期的な刺激策は行わず、消費拡大や製造業分野の投資安定化を推進する考えを示した。 ギャブカル・ドラゴノミクスの中国投資担当アナリスト、Rosealea Yao 氏は、特に大都市の不動産価格が予想以上に持ちこたえているとの見方を示した。

ただ、エコノミストの間では、厳しさを増す中国政府のスタンスが不動産市場に及ぼす悪影響は今後 2 - 3 カ月で顕著になるとの懸念も出ている。 中国の 7 月の新規人民元建て融資は予想以上に減少。 需要の低迷が浮き彫りとなっている。 住宅ローンを中心とする家計向けの新規融資は 5,112 億元で、前月の 6,717 億元から減少した。 (Reuters = 8-15-19)

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中国不動産販売、5 月は 5.5% 減 17 年 10 月以降で最大の落ち込み

[北京] 中国国家統計局が 14 日に発表した統計を基にロイターが算出したところ、5 月の同国の不動産投資は、前年同月比 9.5% 増と、前月の 12% 増から鈍化した。 増加率は昨年 12 月以降で最低。 5 月の不動産販売(床面積ベース)は、前年同月比 5.5% 減と、2017 年 10 月以降で最大の落ち込みとなった。 前月は 1.3% 増だった。 中国では製造業が低迷し、貿易摩擦も拡大しているが、住宅市場で景気を下支えするのが難しくなっている可能性がある。

ANZ のエコノミストは「不動産セクターの減速は懸念要因だ。 経済成長への悪影響を注視する必要がある」とし、中国の国内総生産 (GDP) 予測を下方修正した。 一部の不動産開発業者は、販売促進のため、値引きしており、これも懸念要因という。 国内の不動産開発業者が 1 - 5 月に調達した資金は前年同期比 7.6% 増。 増加率は 1 - 4 月の 8.9% 増を下回った。 資金調達面の圧力が再び強まっている可能性がある。

中国住宅市場への 1 - 5 月の海外投資は 38.8% 増。 増加率は 1 - 4 月の 103.7% 増を下回った。 中国政府は住宅市場への海外資金流入を警戒している。 5 月の新規着工(床面積ベース)は前年同月比 4% 増。 前月は 15.5% 増だった。 1 - 5 月は 10.5% 増、1 - 4 月は 13.1% 増だった。 国家統計局が発表した 1 - 5 月の不動産投資は前年同期比 11.2% 増加し、11.9% 増だった 1 - 4 月から伸びが鈍化した。 伸び率は 2018 年以来の低水準となった。 18 年は1 - 12 月に 9.5% 増加していた。

統計局の発表によると、1 - 5 月の不動産販売(床面積ベース)は前年比 1.6% 減で、1 - 4 月の 0.3% 減よりも大幅な減少だった。 中国経済の成長の重要なけん引役である不動産市場は、一部の地方政府が投資規制を緩和したこともあって、ここ数カ月は持ち直しの兆しを示していた。 アナリストらも、景気浮揚に向けた中国当局の努力が引き続き市場を支援するとみていたが、今のところ回復はまだら模様だ。 (Reuters = 6-14-19)


貿易摩擦「中国生産を移管」 50 社超 アップルなど

米国が対中制裁関税を発動して 1 年が過ぎ、企業が生産拠点を中国外に移す動きが加速している。 米アップルが生産を委託する中国企業はベトナムでイヤホン生産に乗り出す。 米中摩擦が長期化する懸念が強まるなか、生産移管を検討する世界の主要企業は日本経済新聞の集計で 50 社を超えた。 外資企業は中国の輸出入の 4 割を占める。 生産移管が本格化すれば中国経済に打撃となる一方、企業も部品調達網の見直しなど負担が増す可能性がある。

アップルは中国生産の 15 - 30% を海外に分散するよう主要取引先に促している。 中国の電子機器大手、歌爾声学(ゴーテック)はベトナム北部でアップルのワイヤレスイヤホン「エアーポッズ」の生産を始める。 同製品の中国外での生産は初めて。 部品メーカーなど複数の関係者によると、数週間以内に最新モデルのテスト生産を始め量産につなげる。 ロイター通信などによると台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業は「iPhone」の最新モデルをインド南部で生産する見通しだ。

中国での人件費上昇という従来の要因に米中対立の長期化懸念が重なり、企業が生産拠点や供給網を再編する動きが本格化する。 日本経済新聞が企業への取材や現地報道をもとに集計したところ、50 社を超すグローバル企業が生産移管を表明・検討していることが分かった。 米 HP やデルは中国でのノートパソコン生産の最大 3 割を東南アジアなどに移管する検討に入った。 任天堂は主力の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の生産の一部を中国からベトナムに移す。 電子機器以外でもコマツが建機部品の一部を日本や米国に移管するなど、業種や移管先が広がる。

中国経済における外資企業の存在は大きい。 国家統計局によると外資のモノの輸出入額は 17 年に約 1 兆 8 千億ドル(200 兆円弱)と全体の 4 割を超えた。 17 年末時点で外資と、香港や台湾系企業を合計した都市部の雇用者数(登録ベース)は約 2,600 万人と全体の約 15% を占める。 中国政府は外資の中国離れによる雇用や投資への悪影響を懸念しており、規制緩和など優遇策を相次ぎ打ち出している。

関税がかかる米国向けの生産は海外に移管する一方、中国の消費者向けの製品は中国生産を維持する企業が多い。 サプライチェーンも含め、中国向けと海外向けに二重の生産・調達体制を敷くことになり、企業はコスト増や経営効率の低下に直面する可能性がある。 (nikkei = 7-18-19)

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恐れていた製造業の移転 = 「脱中国」の兆候 鴻海が表明

「世界の工場」として成長を遂げた中国が恐れるのは、「脱中国」の動きだ。 米国が 10 日に追加関税を引き上げた「第 3 弾」は 2 千億ドル分に達し、トランプ米大統領が示唆する「第 4 弾」まで広がると、すべての輸出品が網にかかる。 中国から米国に輸出すると割高になるため、製造業の国外移転を促す要因になる。 これまでは目立った動きになっていなかったが、その「兆候」が見え始めた。

「一部の製品は大陸(中国)でつくれなくなった。」 シャープの親会社で電子機器受託生産の世界大手、鴻海精密工業の郭台銘会長は 8 日までの台湾メディアの取材に、中国天津市と広東省深セン市の生産設備の一部を、台湾南部の高雄市に移転すると表明した。 貿易摩擦の影響を回避するためで、「サーバーや通信設備など高付加価値なものは台湾で生産する」と述べた。

台湾当局はこうした動きを歓迎する。 統一圧力を強める中国を牽制する好機とみるからだ。 蔡英文(ツァイインウェン)総統は 10 日の記者会見でさっそく、「台湾に戻ることを両手を広げて歓迎する」と呼びかけた。 優遇策も用意し、今年度に 5 千億台湾ドル(約 1 兆 8 千億円)の投資を呼び戻すという。 蔡氏は「中国と鎖でつながれた経済からようやく脱することができる。」と訴えた。

鴻海を始めとする台湾製造業は、同じ言語を話し、賃金が割安な中国に古くから進出し、中国の経済発展に貢献してきた。 追加関税を嫌って工場移転が相次げば、中国の産業政策は見直しを迫られるうえ、足元の雇用も揺らぎ、共産党政権への求心力低下に直結しかねない。 成長率の減速に歯止めがかかったばかりの中国経済の行方にも影を落とす。

野村国際は、今回の追加関税による中国の前年比の成長率低下は 0.2 ポイント程度とみる。 ただ、トランプ米大統領が予告通り「第 4 弾」として、残りの 3,250 億ドル分に 25% の追加関税をかければ、成長率はさらに 0.4 ポイント低下し、合計で 0.6% もの下押し圧力になる。 2019 年の年間成長率目標は 6.0% - 6.5% 。 報復関税がエスカレートすれば、成長率目標の未達という中国にとって最悪の事態も考えうる状況だ。 (北京 = 福田直之、台北 = 西本秀、asahi = 5-10-19)


中国製造業「米との取引打ち切りも」 貿易戦争が直撃

河北省の家具産業ルポ

中国の 2019 年 4 - 6 月期の実質成長率は 6.2% と 1992 年の統計開始以来、最低だった。 長引く貿易戦争で製造業が打撃を受けているのが一因だ。 米国の追加関税の対象となった家具を製造する河北省廊坊市を訪れた。 北京に隣接した河北省廊坊市はさまざまな工場が集まる工業の街だ。 なかでも家具産業の集積は中国北部で最大規模とされ、市内のあちこちに家具の卸売市場がある。

7 月上旬、勝芳地区にある「勝芳国際家具博覧城」を訪れると客が極端に少ない。 延べ床面積は 55 万平方メートルと巨大だが、所々に閉まった店舗があり、歯抜けのようになっている。 店舗を 1 軒 1 軒回って店員に貿易戦争の影響を聞いてみた。 家具は 18 年 9 月に 10% の追加関税がかかり、19 年 5 月に 25% に上がった。 「海外の取引はやっているけど米国はやっていない」、「追加関税のことはよくわからない。 本社に聞いてほしい。」 追加関税の話を持ち出すと店員はみな口が重くなった。 外国の仕入れ業者も来るというが、欧州や中東、韓国、マレーシアなどの客が多いという。

「取引打ち切った」

主に鉄製のイスを米国に輸出する店をみつけた。 店員の王さんは「米国が追加関税をかけてから影響は間違いなくある。 欧州や韓国と比べると米国のお客さんは多くなかったが、さらに減った。 注文単位も小規模になった。」と話してくれた。 廊坊市内で数多くの店舗を展開する中堅の家具メーカーを訪ね、貿易担当の責任者、黄さんに話を聞いた。 地元の家具メーカーの事情に通じている黄さんは「追加関税の発動以降、一部のメーカーは思い切って米国からの注文は受けていない。 米国の輸入業者が取引を打ち切った例もある。」と解説してくれた。

米国向けの輸出を続けるメーカーは「輸入業者と相談し、より安い原材料に替えたりしている。 関税を上乗せしても最終的な小売り価格が大幅に上がるのを防ぐためだ。」という。 もっとも追加関税の大半はメーカーではなく、やはり輸入業者が負担しているという。 一部のメーカーはベトナムに工場を移しているというが、黄さんは「ベトナム工場の多くの注文はいま止まっている」と明かす。 米国の政策が原因だ。 米商務省は今月、ベトナムで最終加工した韓国や台湾の鋼材に高関税をかけた。 米国はベトナム経由の迂回輸出に神経をとがらせており、中国の家具業界でも警戒が高まっているという。

製造業の不振鮮明

貿易戦争に翻弄された中国の製造業の不振は今回の国内総生産 (GDP) 統計でも鮮明だ。 製造業など第 2 次産業の成長率は 5.6% と 1 - 3 月より 0.5 ポイントも縮小した。 製造業の 1 - 6 月の投資の伸びは前年同期比 3% だった。 16 年 1 - 8 月以来の低水準だ。 なかでも外資製造業の不振は鮮明だ。 1 - 6 月の工業生産の伸びも全体は 6% なのに外資は 1.4% にとどまった。 多くの外資企業が生産拠点を東南アジアに移し始めており、中国商務省の高峰報道官も 11 日の記者会見で「貿易摩擦により、一部の在中国の外資企業は経営への自信が揺らぎ、一部は中国からの報復を恐れている」と認めた。

中国政府内からは「コストが合わずに工場が中国を出て行くのは『撤退』ではなく『産業のレベルアップ』だ(経済官庁幹部)」という強気の声も聞かれるが、農民工らの雇用には不安が残る。 1 - 6 月の都市部の新規雇用は 737 万人で前年同期比 2% 減り、新卒大学生が社会に出る 7 月以降に不安を残した。 民間企業の倒産も高水準で推移しており、米国の追加関税がボディブローのように効いている。 (河北省廊坊市 = 原田逸策、nikkei = 7-16-19)


中国経済、4 - 6 月は 6.2% 成長に減速 - 1992 年以降で最低

→ 貿易摩擦の継続響き、1 - 3 月の 6.4% 増を下回る
→ 6 月の工業生産と小売売上高の伸びは予想上回る

中国の経済成長は 4 - 6 月(第 2 四半期)に減速し、四半期データを開始した 1992 年以降で最も低い成長率となった。 米国との貿易摩擦の継続が響いた。 ただし、6 月の工業生産などの指標では景気が安定し始めている兆候が示された。 4 - 6 月の国内総生産 (GDP) は前年同期比 6.2% 増。 1 - 3 月(第 1 四半期)の 6.4% 増を下回った。 一方、6 月の工業生産と小売売上高の伸びが市場予想を上回ったほか、1 - 6 月の固定資産投資では景気減速に歯止めをかけるための刺激策が波及しつつあるさらなる兆候が示された。

中国経済は 2000 年代半ばの高成長からの長期的減速の中でさらに一歩後退する形となり、政策当局者が米国との貿易合意を目指す中で直面する圧力が浮き彫りになった。 米中の交渉担当者は協議を再開したものの、さらなる経済的打撃を受けないよう合意に早期到達できるかは不透明だ。 UBS グループの中国担当チーフエコノミスト、汪涛氏(香港在勤)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで「4 - 6 月に成長は引き続き減速しているが、安定化も見られつつあると考えている」と指摘。 追加関税が発動された場合、中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率の追加引き下げによって今後は「もう少し積極的に対応する必要がある」と述べた。

ブルームバーグ・エコノミクスの曲天石、万千の両氏は「世界的な成長減速や米中貿易戦争の継続を巡る懸念は、引き続き経済の先行きに影を落とすだろう。 国内市場では、小売売上高の伸び回復が持続可能かどうかは不透明だ。」と分析した。 (bloomberg = 7-15-19)

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中国、成長再び減速へ エコノミスト調査 4 - 6 月 6.2%

【香港 = 木原雄士】 日本経済新聞社と日経 QUICK ニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、中国の 4 - 6 月期の実質国内総生産 (GDP) 成長率の予測平均値は 6.2% だった。 1 - 3 月期は前の期から横ばいの 6.4% だったが、再び減速に転じる見通しだ。 米中は 6 月末に貿易協議の再開で合意したものの、貿易戦争が改善に向かうとの予想は前回調査より減った。

4 - 6 月期の成長率見通しは 6.1 - 6.4% だった。平均の 6.2% は四半期の成長率としては統計でさかのぼれる 1992 年以来、最低となる。 米国は 5 月に家具や家電など 2,000 億ドル(約 22 兆円)分の中国製品に対する制裁関税を 10% から 25% に引き上げ、華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸措置も打ち出した。 三井住友 DS アセットマネジメントの佐野鉄司氏は「景況感が悪化して、鉱工業生産が下振れした」として、6.2% への減速を予想した。 凱基証券の陳浩氏も「加工業や建設、不動産がふるわなかった」とした。

2019 年通年の成長率見通しは 6.2% と前回 3 月調査と比べて 0.1 ポイント低下した。 20 年 6.1%、21 年 6% と緩やかな減速が続くシナリオは変わっていない。 招商証券の謝亜軒氏は「貿易紛争が技術分野にまで及び、年後半にハイテク産業や雇用に悪影響が出る可能性がある」と指摘した。 三菱 UFJ 銀行の范小晨氏は「18 年後半に始まった財政・金融政策が実を結び始めた。 6% 以上の安定した成長水準を維持する。」と分析。 J サフラ・サラシンのデビッド・リーズ氏は「4 - 6 月は金融引き締めの影響が遅れて出るが、積極的な政策対応が下期に方向転換をもたらす」との見通しを示した。

中国政府は 19 年の成長率目標を 6 - 6.5% と決めており、減速が続けば追加対策を講じるとの見方は多い。 工銀国際の程實氏は「地方政府がインフラ建設にあてる債券の発行を増やしたり、自動車などの消費刺激策を導入したりする」と予想した。 「財政刺激策は 2 兆元(約 31 兆円)から 4 兆元に倍増する。 環境や交通関連の投資が中心になる。(ING 銀行の彭藹● = おんなへんに堯 = 氏)」との見方もある。

景気の下振れにつながりかねないリスクを聞いたところ、有効回答 15 人中 12 人が「米中貿易協議の結果」を1位にあげた。 光大新鴻基の温傑氏は「貿易交渉は下期の最大の変数だ」という。 米中が年末までに一定の合意に達する確率を 55% としつつ「交渉が決裂した場合、金融市場が大きく変動し、景気後退が加速する」と警戒感を示した。 みずほ銀行の細川美穂子氏は「交渉が長引くほど、見通しに対する不透明感が続き、消費や投資心理の改善が遅れる」と説明した。

トランプ政権はほぼすべての中国製品に制裁関税の対象を広げる「第 4 弾」をちらつかせている。 DWS のショーン・テイラー氏は話し合いが決裂するノーディール(取引なし)の場合「中国の輸出が縮小し、関連企業はより多くの従業員を解雇する。 成長率が 5% 前後の深刻な経済危機に陥る。」との見方を示した。 実際、今後 1 年の貿易戦争の見通しを聞いたところ「変わらない」が 47% だったのに対して「改善する」は 33% どまりだった。 前回調査では改善予想が約 7 割を占めており、先行きの楽観ムードはやや後退した。

バークレイズの朱懌氏は「20 カ国・地域首脳会議(G20 サミット)後も貿易の不透明感は根強い。 問題が悪化する恐れは減ったものの、合意の可能性が高まったとは言えない。」とみる。 「貿易交渉がまとまっても、技術の分野で戦略的な競争が続く(ABN アムロのアリエン・ファンダイクハウゼン氏)」との見方も根強い。 内モンゴル自治区の地方銀行、包商銀行の事実上の破綻を受け、金融リスクを懸念する声も出てきた。 中信銀行の廖群氏は「中小銀行のシステミックリスクが顕在化した。 金融機関の借り入れコストが上昇し、中小企業の資金調達を難しくしている」という。 京東数字科技の沈建光氏も「企業の資金繰り難が投資心理を冷やす可能性がある」と指摘した。 (nikkei = 7-8-19)


中国、米との火種を回避 = 対香港「一国」優先に誤算

【北京】 香港で拘束された容疑者の中国本土移送を可能にする「逃亡犯条例」改正の延期を香港政府が決断した背景には、貿易摩擦をめぐる交渉が難航する米国との間で、香港問題という新たな火種を抱えたくない中国政府の意向があったのは間違いない。 ただ、経済的な恩恵と引き換えに香港の自治を軽視する「一国」優先路線を採ってきた習近平指導部には大きな誤算となった。

改正延期を促す有効打になったのは、米上下両院の超党派議員が 13 日に提出した「香港人権・民主主義法案」だとみられる。 同法案は、「一国二制度」を前提に香港に認める関税や査証(ビザ)発給などの優遇措置継続の是非を判断するため、香港自治の現状に関する年次報告を米国務省に義務付ける内容。

中国政府はこれに直ちに反応。 楽玉成外務次官が 14 日、米国の駐中国臨時代理大使を呼び出し、「香港へのいかなる干渉もやめろ」と厳重抗議した。 共産党機関紙・人民日報系の環球時報は 15 日の社説で同法案について「米国は香港という子供を使って親(中国)を脅そうとしている」と評し、香港への優遇措置見直しが中国にとって大きな痛手になることを暗に認めた。

習主席は、28、29 日に大阪で開かれる 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議で、トランプ米大統領はじめ条例改正に懸念を示す欧米各国の首脳と顔を合わせる予定。 改正延期により習氏が大阪で釈明を求められる事態は避けられた。 ただ、「『一国』は根であり、幹である」として香港への政治的締め付けを強化してきた習指導部には痛手だ。 大規模抗議デモで示された香港市民の「二制度」への危機感は、中国側のこれまでの姿勢が火を付けた側面を否定できない。 中国の強国路線が米国の警戒心をあおって勃発した米中貿易戦争も着地点は見えず、今後、習氏の政権運営に対する党長老らの異論が大きくなることも予想される。 (jiji = 6-16-19)

〈編者注〉 この記事が指摘している通り、欧米諸国が「香港への優遇措置見直し」を行えば、中国経済に与える影響は決して小さなものではありません。 それに、中国は社会的にも、かような混乱が中国本土に飛び火することを極度に恐れているように思われます。