汚染進むニューヨーク港、カキ 10 億個で浄化の取り組み

ニューヨーク : ニューヨーク港は、長年の汚染により、生息する海洋生物が激減している。 しかし、ある非営利組織が濁った水を浄化し、長らく失われていた生態系を復活させようとしている。

米非営利組織ビリオン・オイスター・プロジェクト(カキ 10 億個再生プロジェクト : BOP)は、2014 年からニューヨーク港周辺の海でカキ礁の再生に取り組んでいる。 カキは天然の浄水器で、成体のカキ 1 つで 1 日あたり約 190 リットルの浄化が可能だ。 またカキ礁は、他の海洋生物の生息環境になり、さらに嵐の際にニューヨークの海岸を高潮から守る役割も果たす。 BOP は、これまでにニューヨーク港周辺の海に生息するカキの数を約 3,000 万個にまで回復させたが、かつてこの海に生息していた数に比べればほんのわずかだ。 (CNN = 7-20-19)


日本海側の大寒波「温暖化が影響」 三重大、今後も懸念

北日本から西日本にかけて日本海側で起きた 2018 年 2 月の大雪など 17 - 18 年の大寒波は、米アラスカ周辺に暖気が入ったために北極の寒波が押し出される形で日本などの上空を覆ったことが原因とする論文を、三重大などのチームが発表した。 「地球の温暖化によって気候の振れ幅が大きくなっている。 今後、超暖冬になったり、超寒波が来たりするかもしれない。」と指摘している。

三重大の立花義裕教授(気象学)らのチームは、17 - 18 年の大寒波の際、米国のアラスカ周辺で氷が減っていたことから気象データを確認。 ベーリング海峡に暖気が入り込み、通常は北極周辺にある寒気が南下し、アジアや北米を覆っていたことを突き止めた。 コンピューターによるシミュレーションでも状況を再現できたという。

「温暖化の影響でアラスカ周辺が暖かくなる反動で、北極の寒気が日本や北米を覆った」と立花教授。 今後、より強い寒波が来る可能性があるといい「温室効果ガスの削減といった温暖化対策は急務。 さらに、温暖化対策の一環として豪雪や寒波の対策も必要になる。」と話している。 論文は電子版の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。 ウェブサイト (https://www.nature.com/articles/s41598-019-41682-4) で論文を読むことができる。 (木村俊介、asahi = 7-10-19)


東京電力が卒 FIT 太陽光の買取価格を公表、電気の「預かり」プランも

東京電力エナジーパートナーは 2019 年 6 月、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度 (FIT)」が満了になる住宅太陽光発電ユーザー向けの買取単価を公表した。 買取単価は税込 8.50円/kWh。 契約期間は FIT 買取満了日の翌日から満了日の翌日が属する年度(4 月 1 日から翌年の 3 月 31 日まで)の末日まで。 以降、1 年ごとの自動更新となる。 対象エリアは栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都(島しょ部を除く)、神奈川県、山梨県および静岡県の富士川以東の地域。 なお、現在、同社に売電している家庭は新たな手続きは不要だ。

余剰電力の買取りに加え、家庭に蓄電池を設置しなくても、余剰電力を同社が預かり、他の時間帯に使用したものとみなす「電気のお預かりプラン(仮称)」の提供を予定している。 同プランでは蓄電池の設置にかかる初期費用やメンテナンスの負担が無く、余った電気で電気料金を節約できるなどのメリットがある。 プランの詳細、受付開始時期などは今後公表する予定。

この他、同社では、発電した電力の自家使用をサポートする各種サービスを展開している。 このうち子会社の TEPCO ホームテックでは、発電した電力の活用に役立つエコキュートや蓄電池などの機器を初期費用 0 円・月々定額料金で利用できる定額機器利用サービ「エネカリ」を提供中。 同サービスでは発電した電力で効率的に湯を溜めたり、蓄電池に電気を蓄えたりして、万が一の災害時に備えるなど上手な電気の活用方法も提案している。 (スマートジャパン = 7-2-19)


東芝が次世代太陽電池で成果、タンデム型で発電効率 23.8% を記録

東芝が透過型亜酸化銅 (Cu2O) を用いた低コストのタンデム型太陽電池で、現在広く普及している結晶シリコン (Si) 太陽電池単体での発電効率を上回る発電効率 23.8% を達成したと発表した。

東芝は 2019 年 6 月、開発した透過型亜酸化銅 (Cu2O) を用いた低コストのタンデム型太陽電池が、現在広く普及している結晶シリコン (Si) 太陽電池単体での発電効率を上回った発表した。 今後、蓄電池と組み合わせた自家発電システム、地域毎の分散電源、これらを統合し電力需給バランスを調整するエネルギーアグリゲーションなどの新たなグリーンエネルギー事業への活用が期待できるとしている。

タンデム型太陽電池は、異なる性質の太陽電池(セル)をボトムセルとトップセルとして重ね合わせ、両方のセルで発電することにより、全体としての発電効率を上げる。 東芝は 2019 年 1 月に、世界で初めてという地球上に豊富に存在する銅の酸化物で低コスト化が期待できる亜酸化銅 (Cu2O) を用いたセルの透明化に成功した。 この透過型 Cu2O 太陽電池をトップセルに用いたタンデム型太陽電池を合わせて開発し、Si 単体での発電効率と同等の 22% を達成したが、今回、効率さらに 1.8% 向上させ、Si 単体での発電効率を上回る 23.8% を達成することに成功した。

現在タンデム型としてはガリウムヒ素半導体などを用いた太陽電池が製品化され、市販の結晶 Si 太陽電池と比べて 1.5 倍から 2 倍高い 30% 台の発電効率が報告されている。 一方で、結晶 Si 単体の太陽電池と比べて製造コストが数百倍 - 数千倍と高く、低コスト化が望まれている。 今回開発した透過型 Cu2O 太陽電池は、短波長光を吸収して発電し、長波長光を約 80% 透過できる。 東芝は、Cu2O の透明化技術を開発することで、現在広く普及している結晶 Si 太陽電池と組合せて、短波長から長波長まで幅広い波長の光をエネルギーに変換することができる、 低コストで高効率なタンデム型太陽電池へ可能性を示した。

また、Cu2O の透明化に続き、タンデム型太陽電池の発電効率がボトムセル単体の効率よりも高くなるというタンデム型の最大の特徴を実現するために、透過型 Cu2O 太陽電池の高効率化に取り組んだ。 今年 1 月の開発時では、トップセルが 4.4%、ボトムセルが 17.6%、全体で 22% と、結晶 Si 単体と同等の効率だった。

透過型 Cu2O 太陽電池は、下から裏面電極、p 層、n 層、表面透明電極で構成されており、p 層に採用した Cu2O 薄膜で短波長光を吸収して、発生したプラスの電流を裏面電極から取出し、マイナスの電流は n 層を介して表面透明電極から取り出すことで、光を電気のエネルギーに変換している。 p 層と n 層の組み合わせによっては、2 つの層の界面に生じる電位差(2 つの層のエネルギーのズレ)が大きくなるため、ズレの分両方の電極から電気として取り出せる電圧が低下し、効率が低下する。

そこで東芝は、n 層の材料に着目し、従来に代わる新しい n 型酸化物半導体材料を適用することで、電位差を小さくすることに成功した。 同技術を採用したタンデム型太陽電池で、23.8% の発電効率を達成。 ボトムセルの結晶 Si 太陽電池単体の効率 22% よりも効率が 1.8% 高く、タンデム化による効率向上を確認した。 今後、n 層をさらに適正化し、エネルギーの損失を減らすことで、より高い効率が実現できると期待される。 東芝は、3 年後に透過型 Cu2O 太陽電池とそれを適用したタンデム型太陽電池の技術完成を目指し、効率 30% 台の実現に向けた研究開発を進める方針だ。 (スマートジャパン = 6-25-19)

タンデム とは、二つを直列に配置すること


京セラが次世代型リチウムイオン電池 原材料費 3 割減

京セラは従来よりも原材料費を約 3 割減らせる次世代型リチウムイオン電池を開発した。 年内に大阪府内の事業所に試験ラインを設け、早ければ 2020 年度中に住宅や工場向けの蓄電池の量産に乗り出す。 蓄電池普及の壁になってきたコスト低減につながれば、再生可能エネルギーの利用が増える可能性がある。 リチウムイオン電池はプラスとマイナスの電極の間をリチウムイオンが行き来することで充放電する。

従来は電極の間を電解液で満たしていたが、同社は電解液を電極に練り込んで粘土状にする技術を開発した。 電池内部の電極の層の数を少なくでき、電極を仕切るセパレーターや集電体も少なくて済むため原材料費を従来型よりも約 3 割減らすことに成功。 従来のリチウムイオン電池と材料は同じで製造工程を簡素化できる。 液体だと燃えやすい電解質を使わないため、電池の破損による発火や発煙などのリスクも低い。

年内に試作の生産ラインを京セラの大阪府内の事業所に設ける方針で、早ければ 20 年度中の量産開始を目指す。 まずは住宅や工場向けの蓄電池を生産する。 同社の主力事業である太陽光発電装置と組み合わせ、再生可能エネルギーの普及を促す。 新しい技術の開発を機に、蓄電池の部品も自社生産に切り替えていく。 住宅向けで一般的な蓄電池の価格は約 100 万円かかる。 現在は蓄電池を導入して太陽光パネルでつくった電力を自家消費しても、電力料金の削減で投資を回収するのは難しい。

再生可能エネルギーについては、固定価格買い取り制度 (FIT) の価格が下がり、売電するメリットも薄れている。 11 月には FIT の買い取り期間を終える「卒 FIT」の家庭が出てきて、自家消費も増える見込みで今年は「蓄電池元年」といわれている。 日本の電力に占める再生可能エネルギーの比率は 17 年度時点で約 16% だが政府が 18 年夏に決めたエネルギー基本計画では、30 年度に 22〜24% に引き上げる目標だ。

富士経済は 30 年には車載を除く定置型の蓄電池の国内市場は 1.2 兆円と、17 年の約 6.6 倍に拡大するとみている。 (nikkei = 6-21-19)


風力・水力・太陽光で充電可能な「コンテナ型蓄電池」、NTN が新開発

NTNは、貨物輸送用コンテナに風力・水力・太陽光の 3 種類の自然エネルギーによる発電装置と蓄電池を格納し、短時間で発電・電力供給が行えるコンテナ収納移動型の独立電源「N3 エヌキューブ」を開発した。 災害時に、電力供給が困難となった被災地などに複数の手段(トラック・貨物船・ヘリコプターなど)で移動し、迅速に少人数で設置できる。

近年、大規模災害が頻発し、非常時における電力確保の体制構築が社会課題のひとつとなっている。 また、防災や減災に対する意識が高まるなか、各都道府県においては防災備蓄倉庫の整備が進められているが、人口 1 万人当たりでわずか 3 台という水準に留まっているのが現状という。 今回開発した「N3 エヌキューブ」は、同社がこれまで開発してきたハイブリッド街路灯(風力と太陽光で発電)、マイクロ水車など自然エネルギー商品を組み合わせただけでなく、新たに「機動性」を加え、停電した被災地などに容易に移動・設置、電力供給を行うことを可能にした。

発電能力は風車 0.5kW、水車 1.0kW、太陽光 0.9kW、蓄電池の容量は 8.6kWh で、日常から各地域に設置しておくことで、被災時にいち早く発電し、USB ポートを利用したスマートフォンなどの充電や小型家電製品(AC100V 対応)の利用ができる。 また、非常用の発電機の多くは、カセットボンベやガソリンなどを用いるため、長時間使用するためには燃料補給が必要となるが、同製品は自然エネルギーを活用する独立電源のため、燃料補給が不要となる。

貨物輸送用コンテナ(12 フィートコンテナ)に装置一式をコンパクトに収納しており、トラック、貨物船、ヘリコプターなどさまざまな輸送形態や悪路輸送に対応する。 コンテナ内は備蓄資材を収納する棚を設けるだけでなく、休憩用のベンチや机を設置し、更衣室や授乳室、休憩スペースなどさまざまな用途で活用可能だ。 (スマートジャパン = 6-6-19)


日本の草地 100 年で 10 → 1% に急減 DNA から推定

日本の草地が過去 10 万年にわたって国土の 10% 以上を占めていたとみられることが、森林総合研究所や京都大などの研究でわかった。 オミナエシやワレモコウなどの DNA を解析して個体数や面積を推定した。 草地はこの 100 年で急激に減り、現在は 1% ほど。 草地にすむ生物もすみかを追われている。 研究者は「近年の減少が、数万年単位でも大きなできごととわかった」と警鐘を鳴らす。

森林総研の山浦悠一主任研究員らは、日本人になじみの深いセンブリやカワラナデシコ、オミナエシ、ワレモコウの 4 種の草の葉を北海道から九州まで全国 25 カ所で集め、DNA 配列の違いをもとに個体数などがどう変わったかを調べた。 4 種は寿命や草丈が異なるにもかかわらず、いずれも 10 万年にわたって個体数が維持されていた。 日本列島は約 1 万年前まで寒冷で森林が発達しにくかったほか、暖かくなってからも、人が森を切ったり野焼きをしたりして草地が保たれていたとみられる。 論文は29日、英科学誌バイオロジー・レターズに掲載される。この論文は サイト 上で読める。 (米山正寛、asahi = 5-29-19)


太陽光パネルの国内出荷量、4 年ぶり増加 18 年度

太陽光発電協会がまとめた 2018 年度の太陽光パネルの国内出荷量は約 550 万キロワットと、17 年度に比べて 5% 増えた。 増加は 14 年度以来、4 年ぶり。 住宅やメガソーラー(大規模太陽光発電施設)向けは減少したものの、空き地や工場の屋根などを活用した中小規模の発電施設向けパネルが伸びた。

用途別の出荷量をみると、非住宅用が 8% 増えた。 500 キロワット未満の中小規模の発電施設がけん引。 パネルの価格下落により工場やオフィスの屋根に設置し、自家消費する企業が増えている。 18 年末に経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度 (FIT) を見直し、稼働が遅れている発電施設は、買い取り価格が引き下げられる可能性がある。 そのため「急ピッチで工事し、稼働を急ぐ発電事業者が相次いでいる(設備施工会社)」という。

一方、住宅向けは 7% 減り、メガソーラーなど 500 キロワット以上の大規模案件向けは 1% 減少した。 FIT が導入された 12 年度以降、出荷量が急増し、ピークの 14 年度には 921 万キロワットに達した。 ただ FIT の価格が下がり、メガソーラーの適地の開発も一巡しており、「出荷量の増加は一時的(外資系パネルメーカー)」との声があった。 (nikkei = 5-28-19)


フロン製造、中国で続く? 全廃後も東部で放出量増 国際研究チーム調査

地球のオゾン層を破壊するフロンガスの放出が中国東部で増えていることを、国立環境研究所などが参加する国際研究チームが見つけた。 2010 年に全廃されて以降も、新たに製造されている可能性があるという。 論文が 23 日、英科学誌ネイチャーに掲載された。 断熱材用の発泡剤などとして使われるフロンガス「トリクロロフルオロメタン」はオゾン層への悪影響がとくに大きい。 1989 年に国際的な取り決めで生産が削減、10 年には世界的に全廃された。 大気中の濃度は 90 年代後半から減少していたが、10 年代に入って減り方が鈍っていた。

チームは、ガス濃度が高くなる現象が頻繁にみられた韓国・済州島と沖縄県波照間島の観測データから、放出源を推定。 13 年ごろから中国東部で放出量が増え、地球全体での増加量の少なくとも 4 - 6 割分にあたることを明らかにした。 全廃前に作られた断熱材などから漏れ出していることも考えられていた。 だが中国東部からの放出は、国連環境計画に報告済みの断熱材などの量では説明できないほど多かった。 全廃後も製造が続いている可能性が高いという。 オゾン層はこれまで、今世紀半ばごろには 80 年の水準に回復するとされてきたが、時期が遅れる可能性があるという。 (小宮山亮磨、asahi = 5-27-19)


太陽光の買い取り終了後は家で使う 蓄電池ビジネスに熱

自宅の太陽光パネルで発電した電気を有効に使うための蓄電池の売り込みに、大手メーカーが力を入れている。 これまでは余った電気は電力会社が高く買い取ってくれたが、まもなくそのメリットを受けられない家庭が出始めるためだ。

シャープは 22 日、蓄電池を設置する家庭向けの新サービスを発表した。 人工知能 (AI) が天気予報をもとに発電量を予測。 また、居住者の電気の使い方を学習して、必要な充電量をはじき出す。 太陽光の電気が効率的にためられ、日没後に電力会社から買う電気の量が減らせるため、電気代が節約できる。 シャープは新サービスとセットで、自社製の蓄電池を売ることを目指している。

電子部品大手のオムロンは、1 日に何回充放電しても劣化しにくい新型蓄電池を開発した。 太陽光だけでなく、安価な夜間電力もためやすい。 地震が起きても壊れにくく、屋内に設置できるため水害にも耐えられる。 停電時には即座に蓄電池からの供給に切り替わる。 6 月に発売する。 京セラは中国の電気自動車 (EV) 大手の BYD と組み、余った電気をバスの動力に使うためのシステム開発にかかる。

住宅用の太陽光発電システムは、余った電気を高額で買い取る制度が始まった 2009 年から本格的に普及してきた。 買い取り価格は 10 年固定で 1 キロワット時あたり最高 48 円。 それが今年 11 月から順次終了し、以後は 7 - 8 円に下がる見通し。 電力会社から買う電気料金は 20 - 30 円ほどのため、作った電気は自宅で使い切った方が得だ。

一方、昨年は西日本豪雨や北海道地震で大規模停電が頻発しており、蓄電池への関心が高まっている。 容量にもよるが、おおむね 100 万円を超える価格で高額のため、これまであまり普及していなかった。 シャープの試算では、18 年度の市場規模は 5 万 6 千台で、19 年度は 8 万 - 10 万台に伸びるとみる。 シャープの担当者は「蓄電池の普及が進めば、ためた電気をほかの世帯に融通するなど、新たなビジネスにもつなげられる」と期待する。 (米谷陽一、asahi = 5-23-19)


再生エネ機器、日本製急減 風力 9 割縮小、太陽光半分

再生可能エネルギー関連機器の国内生産が急減している。 風力関連の生産額は 2018 年度に 100 億円台に落ち込み、9 年間で 9 割減ったもようだ。 太陽光も同年度の生産額がピークから半減した。 日本企業は生産規模の拡大で出遅れ、欧米・中国勢の価格攻勢を受けている。 政府は再生エネを成長産業と位置づけて国民負担も膨らんでいるが、国内生産の空洞化が止まらない状況になっている。

日本産業機械工業会がまとめた 17 年度の風力発電関連機器の生産額は 265 億円と、16 年度の 3 分の 1 となった。 18 年度は統計がある 09 年度と比べて 9 割超の落ち込みとなったもようだ。 陸上に設置する風車では 15 年に三菱重工業が新規の製造をやめ、17 年 3 月末には日本製鋼所が風力発電機の最終出荷を終了した。 部品を手掛けるナブテスコや曙ブレーキ工業なども関連部品の生産を取りやめている。 日本の風力市場はデンマークのヴェスタスや米ゼネラル・エレクトリック、独シーメンス系が席巻。 三菱重工はヴェスタスと洋上風力の合弁会社を持つが、生産はデンマークなどで手掛ける。 小型の風車では中国勢が攻勢をかけている。

生産額が減少しているのは風力だけでない。 光産業技術振興協会によると、太陽光パネルやパワーコンディショナー(電力変換装置)などの国内生産額は 18 年度に 1 兆 7,322 億円となり、ピークだった 14 年度から半減した。 特に太陽光パネル関連の生産額は 13 年度からの 5 年で約 4 分の 1 に減った。 京セラは 17 年に伊勢工場(三重県伊勢市)で太陽光パネルの生産を中止。 三菱電機は太陽光パネルの中核部材であるセルの生産を 18 年 3 月でやめた。 パナソニックも 18 年に滋賀工場(大津市)を閉鎖し、マレーシア工場に移管した。 だが今月 9 日にはそのマレーシア工場を中国企業に売却すると発表した。

太陽光パネルではシャープが 06 年まで世界シェア首位で、風力発電機でも日立製作所や三菱重工が世界の大手に名を連ねていた。 ただ市場拡大を見越して生産規模の拡大に走る欧米や中国勢に対し、日本勢は設備投資に二の足を踏み価格競争力が低下した。 誤算だったのが 12 年に導入された再生エネの買い取り制度 (FIT) だ。 太陽光からつくる電力に高い価格がついたため、太陽光に投資が集中。 環境影響評価に 5 年ほどかかる風力への投資は敬遠され、日本勢の撤退が相次いだ。

投資が集中した太陽光も、国内製パネルでは国内需要をまかなえず、海外製パネルの流入を招いた。 17 年に京セラが国内シェア首位から転落し、中国や韓国企業が低価格で攻勢を掛けている。 FIT 費用の一部を電気代に上乗せする賦課金は 18 年度に 2.4 兆円に膨らみ、消費税 1% 分に相当する。 家計などの国民負担によって発電事業者は利益をあげる一方、機器メーカーは生産を縮小し続けている。

今後も国内生産の縮小傾向は続く見込みだ。 制御機器大手の IDEC は 18 年 9 月末で太陽光発電向けのパワコンから撤退。 日立は 19 年 1 月に風力設備の自社生産から撤退すると発表し、国内の風力発電機メーカーは事実上なくなる。 日立は 6 月には家庭向け太陽光のパワコン生産をやめる。 英国や台湾には洋上風力の入札時に機器の自国・地域からの調達を重視して落札者を決めるなど、FIT を産業振興に結びつける枠組みがある。

米国やインドでは、割安な中国製太陽光パネルを念頭に 18 年から輸入品に対するセーフガード(緊急輸入制限)を発動し、25 - 30% の関税を課した。 米国では米ファーストソーラーが 18 年 12 月期に最終黒字に転換し一定の成果があった。 だがインドでは中国企業が東南アジアで生産したパネルの流入を招き、国内産業を育成できていない。 産業振興で決定的な対策があるわけではない。

日本では風力の発電能力が 30 年度までに現状の 10 倍程度に膨らむ見込みだ。 外資に国内市場のハードを席巻されたなか、日本勢には「エネルギー管理などシステムに力を入れ、海外勢と違いを出す」との声もある。 国のエネルギー政策をにらみながら、新たな収益分野を確保できるかが課題となる。 (柴田奈々、花田幸典、nikkei = 5-11-19)


国産の「らせん水車」が国内初稼働、農業用水路の低落差でも発電

岩手県一関市に完成した農業用水路を活用した小水力発電所に、日本工営が開発した「らせん水車」が採用された。 国産の商用らせん水車が日本国内で導入された初の事例になるという。 日本工営(東京都千代田区)が自社開発・製造した「らせん水車」が岩手県一関市に完成した八幡沢発電所(岩手県一関市)に採用された。 国産の商用らせん水車が日本国内で導入された、初の事例になるという。 2019 年 4 月 10 日に運転を開始した。

八幡沢発電所は、地域の農業用水路の維持・管理を担う照井土地改良区が事業主体となって農業用水路を活用した小水力発電所で、発電電力は全て東北電力に売電し、建設コスト回収後は農業水利施設の維持管理に充て、農業者の負担の軽減を図る計画だ。

らせん水車は、低落差で発電でき、枯れ葉などのゴミが詰まりにくい特徴があるため、農業用水路を活用した小水力発電に適している。 同土地改良区では、その特徴に早くから着目し、同地区内にある小規模発電所で海外製のらせん水車を導入しており、今回が 2 例目となる。 既存の海外製に対して維持管理の改善が期待できることから、同発電所では日本工営が開発・製造した国産水車が採用された。

水車の寸法は直径 2.0m x 長さ 9.6m。 八幡沢発電所での最大落差は 2.51m、使用水量は最大 1.346m3/s で、発電出力は最大 19.9kW、常時 9.3kW となり、年間発電量は 11 万 2,759kWh に達する。 日本工営では、2015 年 6 月 - 2016 年 6 月に小鷹井堰地点(鹿児島県薩摩川内市)で、らせん水車発電(出力 30kW)の実証試験を実施。 また、2016 年 7 月 - 2017 年 6 月には商用国産らせん水車製造を目的とした模型実験などの研究開発を行い、2017 年 7 月に販売を開始した。 (スマートジャパン = 5-7-19)


中電が水素発電実用化へ NEDO と共同研究、脱化石燃料探る

天然ガスや石油などの化石燃料の代わりに水素を燃やして発電する「水素発電」の実用化に向け、中部電力が新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) と共同研究を進めている。 水素は燃焼時に二酸化炭素 (CO2) を排出しないため、導入できれば化石燃料を使った火力発電を抑制し、温暖化対策に役立てることができる。 水素発電は国が 2017 年に策定した水素基本戦略で、「低炭素化を図る最重要のアプリケーション(活用策)」として、30 年ごろの商用化を目指すと位置付けられている。

中電などの共同研究は 18 - 19 年度の 2 年間で、既存の火力発電所の設備を利用して水素発電が可能かを探る。 水素は天然ガスよりも燃焼時に高温になるため設備を損傷させる恐れがあるほか、燃焼が安定しないなどの課題がある。 このため、発電所の過去の運転データを使い、水素を導入した場合の発電性能や設備への影響などをコンピューター上でシミュレーションする。

NEDO がこれまで川崎重工業などと進めた研究では、18 年 4 月に 1,000 キロワット級の小型発電機で水素発電を行い、公共施設などに電力を供給する実証実験に成功した。 50 万キロワットの大型ガスタービン発電機を使った実験では、天然ガスに 20% の水素を混ぜた方式で安定的な発電ができたという。 水素は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくった電気で水を分解して生成することもできる。 NEDO の横本克巳主任研究員は「CO2 を出さずに生成した水素で発電ができれば、温暖化の原因になる化石燃料の使用量を減らせる」と意義を説く。

中電幹部は「水素発電が必要になったとき、慌てて対応しては手遅れになる」と話す。 2 年間の研究成果を踏まえ、火力発電所で水素とガスを混ぜた方式で発電する実験も検討する。

余剰再エネも活用

次世代の発電技術として水素発電が注目されるのは、化石燃料を使った火力発電の代替以外にも、余った再生可能エネルギーの電気で水素をつくって蓄えておき、必要な時に燃料としての活用もできるからだ。 再エネを使って水素をつくる技術は実証段階だが、実用化できれば出力が不安定な太陽光や風力発電の普及拡大を後押しできる。

太陽光発電の導入量が多い九州地方では昨年から、工場などが休止して電力需要が少ない休日を中心に、太陽光発電所の出力抑制が続いている。 電気は常に需要と供給が等しくなるよう調整する必要があり、バランスが崩れると、昨秋の北海道地震で起きた全域停電(ブラックアウト)につながる恐れがあるためだが、エネルギー関係者には「使えるエネルギーを捨てている。 非常にもったいない状況。」と残念がる声もある。

太陽光発電や風力発電で水を電気分解し、生成した水素を貯蔵できれば、発電量が増えすぎた時には電気をためることができる。 NEDO の横本克巳主任研究員は「水素発電は、再エネで発電した電気の安定化にもつながる」と期待する。 ただ、再エネ由来の水素を安定的につくるには、低コスト化が必須だ。 少なくとも生成費用を現状の二割以下に抑えなければ、商用ベースでは活用できないと政府は試算する。 低コスト化には効率的に大量生産する技術の確立や、燃料電池車の普及や都市ガスの代替といった発電以外の用途の拡大などが鍵となりそうだ。 (石原猛、中日新聞 = 5-5-19)


燃料電池 x CO2 回収で目指す "究極の石炭火力発電"、実証が第 3 フェーズに

コストが安い石炭を利用しながら、CO2 排出せず、発電効率も高い - -。 こうした究極の石炭火力発電技術の開発を目指す大崎クールジェンプロジェクトがまた一歩前進した。 プロジェクトの第 3 段階に当たる、分離・回収型石炭ガス化複合発電 (IGCC) 設備に燃料電池を組み込んだ、CO2 分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC) の実証事業に着手した。

中国電力と電源開発の共同出資会社である大崎クールジェンは NEDO (新エネルギー・産業技術総合開発機構)と「大崎クールジェンプロジェクト」の第 3 段階にあたる CO2 分離・回収型石炭ガス化複合発電 (IGCC) 設備に燃料電池を組み込んだ、CO2 分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC) の実証事業に着手した。

今回の第 3 段階では、2019 年度中に完成予定の第 2 段階で建設する CO2 分離・回収型酸素吹 IGCC 実証設備に燃料電池を組み合わせ、石炭ガス化ガスの燃料電池への適用性を確認し、最適な CO2 分離・回収型 IGFC システムの実現に向けた実証を行う。 500MW 級の商業機に適用した場合に、CO2 回収率 90% の条件で 47% 程度の送電端効率 (HHV) 達成の見通しを立てることを目標とする。

今後、高効率な石炭火力発電と CO2 分離・回収が両立する技術を確立し、国内外で本技術を普及させることで、世界的な CO2 排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指す。

石炭は、供給安定性が高く経済性にも優れることから、エネルギー自給率が極めて低い日本にとって重要な 1 次エネルギー源であり、発電分野においても石炭火力発電は発電電力量の約 3 割を占める。 一方で、石炭は他の化石燃料と比べると、燃焼時の単位発熱量当たりの二酸化炭素 (CO2) 排出量が多く、地球環境面での制約要因が多いという課題を抱えており、石炭火力発電についてもさらなる CO2 排出量の抑制が求められている。

そこで、石炭火力発電から排出される CO2 を大幅に削減するため、究極の高効率石炭火力発電技術である IGFC と CO2 分離・回収技術を組み合わせた革新的な低炭素石炭火力発電の実現を目指すのが大崎クールジェンプロジェクトだ。 IGFC 実証事業は、酸素吹 IGCC 実証(第 1 段階)、CO2 分離・回収型酸素吹 IGCC 実証(第 2 段階)、CO2 分離・回収型 IGFC 実証(第 3 段階)で構成し、中国電力の大崎発電所構内に建設した 17 万kW(キロワット)規模の実証試験設備で、システムの性能や運用性、信頼性、経済性について検証する。

2017 年 3 月から開始した第 1 段階の実証試験では、17 万 kW 規模の実証プラントとしては世界最高レベルの効率となる送電端効率 40.8% (HHV) を達成し、500MW 級の商業機での送電端効率約 46% の達成に見通しが立ったという。 また第 2 段階の実証のため、現在、CO2 分離・回収設備の建設工事を進めており、2019 年夏をめどに試運転を開始し、その後本格的な実証試験に乗り出す予定だ。

そして今回、第 3 段階の実証設備の設計作業を開始し、CO2 分離・回収型酸素吹 IGCC 設備に燃料電池を組み込んだ CO2 分離・回収型 IGFC の実証事業に着手した。 第 2 段階までで建設した CO2 分離・回収型酸素吹 IGCC 実証設備に燃料電池を組み合わせて石炭ガス化ガスの燃料電池への適用性を確認し、最適な CO2 分離・回収型 IGFC システムの実現に向けた実証を行う。 事業の総額は 73 億 3,000 万円で、期間は 2018 年度から 2022 年度まで。 (スマートジャパン = 4-26-19)


「ロンドン封鎖せよ」デモで逮捕 1 千人 温暖化対策訴え

「ロンドンを封鎖せよ」を合言葉に中心部で道路をふさいだり、列車によじ登って運行を妨害したりして地球温暖化対策を英政府に訴える抗議行動が 4 月半ばから 25 日まで続き、逮捕者は 1 千人を超える事態となった。 主催したのは、昨年 10 月にロンドンで発足した国際環境団体「エクスティンクション リベリオン(絶滅への反抗)」。 気候変動がまねく生態系の破壊や人類の絶滅といったリスクを抑えるため、根本的な改革を求める非暴力の抗議行動を各地で主導している。

25 日朝には、金融街シティーに約 300 人が集結。 一部は路上に寝転がり、隣の人と手をつないで、道路をブロックした。 手と手をほどけなくするために、金属などでできたギプスのようなもので手や腕を覆っていたが、警察官によって切断され、連行されていった。 抗議行動は 25 日でいったん収束の方向だが、参加したロンドンの学生イーデン・リックソンさん (18) は「道路を封鎖することで、みんなが力を合わせれば変化を起こせると示せた。 批判も理解しているが、いま日常生活を遮ってでも抗議しないと、いずれ日常生活自体が存在しなくなる。 政府が行動するまで活動を続ける。」と話した。

団体は英政府に対し、@ 気候変動について正確な情報の提供、A 二酸化炭素排出を 2025 年までに実質ゼロにする、B 進展を監視する市民議会の創設 - - といった要望をしている。 英 BBC によると、A の達成は極めて困難で、30 年までに二酸化炭素排出実質ゼロを達成するには、沖合に 1 万 3 千機の風力発電を追加で設置する必要があるという。 (ロンドン = 下司佳代子、asahi = 4-26-19)


ネットで売られる絶滅危惧種 少ない規制対象、乱獲懸念

淡水魚や両生類などがインターネットで買えるようになっている。 絶滅危惧種が売られているケースもある。 法令による規制対象でなければ違法ではないが、乱獲による生態系への悪影響が懸念され、保全関係者や研究者からは懸念の声が出ており、ネット企業も対応を検討している。 「ふざけんな。 この量の卵塊は採取した場所壊滅的やろ。」 3 月、あるネット販売のサイトに「出品」された大量のトウキョウサンショウウオの卵塊に、あるユーザーがこうツイートした。 このサンショウウオは環境省のレッドリストに掲載された絶滅危惧種で、里山などにすむ両生類だ。

このユーザーは朝日新聞に対し「自分の利益のため、絶滅危惧種を乱獲し、里山の生態系を破壊する人がいるのは残念で仕方ない」と語った。 このつぶやきは 9 千回以上リツイートされ、「度を越している」、「見てるだけでつらい」などの声が相次いだ。 保全活動や調査を続けるトウキョウサンショウウオ研究会事務局の川上洋一さんは「里山が使われなくなり、アライグマなどの外来種の天敵が広がって危機的な状況だ。 さらに乱獲されれば、とどめを刺される。」と指摘。 千葉県などでは、今でも卵塊の大量採取の被害が続いているという。

レッドリストに法的拘束力はなく、絶滅危惧種のうち、販売などが違法なのは、種の保存法で指定された国内希少野生動植物種(希少種)など一部だけだ。 地域の生態系や絶滅危惧種などに悪影響を及ぼす恐れがある外来種も、法律で売買禁止のものはまだ少ない。 川上さんが活動する東京都あきる野市の横沢入里山保全地域でも、10 年ほど前まで卵塊が大量に持ち去られることがたびたびあったという。 今は市民の手で環境が管理され、見回りもある。 罰則付きの条例で採取も禁止された。

川上さんは「行政や市民が連携する態勢ができ、卵が奪われる恐れは低くなった」と話す。 だが、こうした取り組みが進む地域はごくわずかだ。 売買が止まらなければ、種の存続や、生態系への脅威となる可能性がある。 すでに数が少ない種は、採取で絶滅しかねない。 普通種でも、大量に採取されれば地域から消える恐れがある。 特に卵塊などが一網打尽にされると悪影響が大きい。 また、地域ごとに遺伝的な違いが大きな生物は多い。 淡水魚のタイリクバラタナゴのように各地に広がる外来種も販売されている。 売買でこうした生きものが拡散し、逃げ出したり、放されたりすれば、地域の個体群や在来種と交雑するなどのリスクもある。

売買サイトを持つ大手の、ヤフー、楽天、アマゾン、メルカリの 4 社に生体販売の対応を聞いたところ、メルカリは全ての生体販売を禁止していた。 残りの 3 社は、哺乳類、鳥類、爬虫類や、法令で禁止された種の出品は禁止。だが、絶滅危惧種の両生類や外来種の淡水魚の出品が確認できた。 こうした出品への対応が変わる余地はあるのか。 ヤフーは「種の保存や生態系への影響なども鑑み、関係省庁などとも連携して対応を検討していく」と回答。 楽天も「(取り扱いの)ガイドラインなども含めて、様々な取り組みを検討していく」と答えた。 アマゾンは「生きている生物の大半は禁止」だという。

生物多様性の保全や国連の持続可能な開発目標 (SDGs) の推進は世界的にも重要な課題で、ネットでの生体販売には厳しい目も向けられている。 ポルトガルは 2017 年、野生動物のネット販売を禁止する法律を作った。 「ドジョウ博士」として知られ生物多様性保全に詳しい、福岡県保健環境研究所の中島淳研究員は「特に絶滅危惧種や侵略性のある外来種について、企業は取り扱いの自主規制などの方針を明確かつ積極的に示す必要がある」と指摘。 利用者にも「絶滅危惧種の安易な購入は生息地での乱獲につながり、保全やモラルの面からも望ましくない。 また、一度飼い始めたら最後まで飼育することが鉄則だ。」と呼びかける。 (小坪遊、asahi = 4-25-19)


水素製造コスト10分の1に 政府が温暖化対策長期戦略

政府は 23 日、日本が排出する温暖化ガスを今世紀後半の早い時期までに実質ゼロにする戦略をまとめた。 二酸化炭素 (CO2) を出さない水素エネルギーの製造コストを 2050 年までに 10 分の 1 以下に引き下げ、燃料電池自動車 (FCV) や水素発電を広く普及させる。 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、政府は戦略を 6 月中旬に国連に提出する方針だ。

同日午前に開いた自民党の環境部会と環境・温暖化対策調査会の合同会議で説明した。 午後に開く中央環境審議会で公表する。 水素は利用時に CO2 を出さないため、温暖化ガス排出ゼロに向けて重要なエネルギーとして位置づけた。 普及には安価で大量の水素供給が重要だとして、製造コストの達成目標を掲げた。 30 年には水素 1 立方メートルあたり 30 円に、50 年には同 20 円まで引き下げ、CO2 の排出ゼロを目指す。

FCV の普及と合わせて水素ステーションを増やす。 家庭用燃料電池(エネファーム)の利用も広げる。 水素製造に必要な水電解技術や、液化して運ぶ輸送技術なども開発を進める。 このほか、エネルギー収支ゼロの住宅、再生可能エネルギーの普及や、CO2 を資源として活用する研究開発なども加速する。 政府の有識者会議は4月2日に、戦略案を政府に提出した。政府案もほぼ同じ内容となった。

パリ協定は産業革命前より気温上昇を 2 度未満に抑える目標を掲げ、各国に戦略の策定と提出を求めている。 主要7カ国 (G7) で提出していないのは、日本とイタリアだけとなっている。 政府は戦略を 6 月に大阪で開く 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議前までに提出する方針だ。 (nikkei = 4-23-19)