返事遅れクビ、実習生に「日本語の壁」 立法で救えるか

日本で暮らす外国人の日本語習得を後押しする「日本語教育推進法案」が今国会で審議されています。 学校に通う外国人の子どもだけでなく、技能実習生のような働き手も日本語を学ぶ機会が得られるよう、外国人を雇う企業にも責務を担わせる法案です。 覚えるのがとても難しいとされる日本語。 外国人はどんな言葉の問題に直面しているのでしょうか。 新しい法律ができれば状況は改善されるのでしょうか。

30 代の中国人女性は数年前、技能実習生として茨城県の農家で働いていた。 ある日の午前中、経営者に声をかけられた。 ふだんの作業に関わる日本語ならわかるはずなのに、何を言っているのかわからない。 いつもと違うことを言っているようだった。 返事が少し遅れた。 その日の午後に突然、解雇を言い渡された。 あのとき、すぐに返事ができていれば解雇されなかったのではないか、と思う。 働き始めて 2 年目なのに作業が遅いと注意されたのだろうか。 中国人の後輩から質問されていたのがおしゃべりだと思われたのか - -。 解雇の理由は今もわからず、悔しさだけが残る。

当時の作業時間は毎日 10 時間を超えていた。 作業に最低限必要なこと以外に日本語を勉強するような余裕はなかった。 その後、いったん帰国した後、再来日して別の農家でも働いたが定着できず、いまは労働組合が営む岐阜県内のシェルターに身を寄せる。 中国から持ってきたテキストを広げ、日本語を独学する日々だ。 「仕事はしたいし、言葉はどんなところにいても必要なので」と女性は話す。

就職に「日本語の壁」

日本語ができないと就けない仕事も多い。 千葉市花見川区に住むパキスタン人のアルサラン・モハマッドさん (32) は 2018 年 7 月、日本人女性との結婚を機に来日した。 パキスタンで大学を卒業し、販売などで働いた後、マレーシアの商業施設で、英語でカスタマーサービスの仕事をした。 マレーシアのように、英語ができれば日本でも仕事は見つかるだろうと考えていた。 だが、日本語ができないと就職先が見つからない。 就いたのは、弁当のおかずを詰める時給千円のアルバイトだった。

「日本語を学んだ方がいい」と妻に勧められた。 NPO の青少年自立援助センターが東京都足立区で開いている日本語教室に週 5 日、通い始めた。 教室は期間限定で、料金は無料になっている。 「妻が日本にいたがっている。 日本語を学び、将来はビジネスを始めたい。」と、モハマッドさんは話す。

リーマン・ショックで顕在化

日本で働く外国人への日本語教育は長い間、雇う企業に任せきりだった。 その結果、特定の職場で作業するのに必要な最低限の日本語しか身につかないケースが多かった。 その問題が顕在化したのが、2008 年のリーマン・ショックだ。 自動車工場などで働いていた多くの日系ブラジル人らが「派遣切り」に遭ったが、工場以外で働けるだけの日本語が身についていなかったため再就職できず、多くは帰国を余儀なくされた。

そこで厚生労働省は、生活や就職に必要な日本語を学べるしくみづくりに着手した。 一般財団法人・日本国際協力センターに委託し、ハローワークに登録した外国人なら無料で日本語を学べるようにした。 ただ、その対象は日系人など定住者や永住者らに限られ、技能実習生などは対象にならなかった。 自治体や NPO などが開く日本語教室もあるが、地域によって取り組みの温度差がある。 技能実習生は地方で働くことが多く、日本語習得の機会は地域によってまちまちだ。 仕事が忙しくて教室に通う余裕がない実習生も多い。

宮城県内では、震災からの復興をめざす農業や漁業で実習生を多く受け入れており、日本語教室も新たにできている。 宮城県国際化協会の総括マネジャー、大泉貴広さんは「外国人が散在する地域ではそもそも日本語教室が少ない。 実習生らへの日本語指導は試行錯誤の段階です。」と話す。

雇う側の「日本語教育力」は?

こうした現状に、専門家は警鐘を鳴らす。 日本語教育学会の神吉宇一副会長(武蔵野大学准教授)は「これからはサービス業でも多くの外国人が働くようになる。 外国人にとっては工場で働く以上に日本語力が必要になるが、雇う側に経営体力や日本語教育のノウハウが十分にないケースも多い。」と指摘する。 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の鳥井一平代表理事は長年、職業訓練に日本語を入れてほしいと要望してきた一人だ。 「生活者として日本で暮らす以上、読み書きの力も必要になる。 仕事をしながら覚える口頭の日本語だけではなく、読み書きも必要だ。」と話す。

新たな法案で何が変わる?

今国会で審議中の「日本語教育推進法案」は、定住者らだけでなく実習生らを含む働く外国人、子どもを含む家族の日本語習得を支援しようというものだ。 超党派の日本語教育推進議連(会長・河村建夫元官房長官)が旗振り役となって議員立法をめざしてきた。 反対する政党はなく、法案は 28 日、衆院本会議で全会一致で可決された。 順調に審議が進めば今国会で成立しそうだ。 法律ができれば何が変わるのか。 法案では、外国人を雇う事業主に対し、働き手とその家族が日本語を学習できるよう努める責務を課した。 事業主の取り組みを国が支援するという。

ネットで日本語学習?

国が支援策の一つに挙げたのが、インターネットを活用した教材開発だ。 日本語教室に通えない実習生らであっても学べるようにすることなどが想定されている。 法案では、日本語教育を広めるために財政措置を講じるとしている。 ただ、雇う企業側にどんな取り組みを促し、国がどう支援するのか、といった具体策までは法案では踏み込んでいない。 制度設計はこれからだ。 人手不足が深刻になるなかで、実習生らを雇う企業に日本語教育を担わせるのは容易ではない。 どうすれば企業を動かせるのか。

17 年に施行された技能実習適正化法には、日本語教育を促すしくみもある。 同法に基づいて「優良団体」に認定された企業やその監理団体は、実習生の在留資格の取得手続きが簡素になる優遇措置が与えられる。 その認定で、日本語指導をしているかどうかが加味されるというものだ。

ただ、優良と認定されるポイント 120 点満点のうち、日本語指導で得られるポイントは 4 点にとどまる。 日本語教育学会の神吉副会長によると、企業自体が日本語を指導するのではなく、地域のボランティアの日本語教室などに丸投げしているケースもあるという。 「制度設計をちゃんとしないと、国も企業も、地方自治体や地域に丸投げという事態になりうる。 企業自らが取り組むような具体策が重要。」と、神吉副会長は指摘する。

技能実習生を受け入れる監理団体としての業務もおこなう「協同組合エヌ・ケー・ユー」は独自に日本語教育に取り組んできた。 又賀良子代表理事は日本語教育の重要性を実感し、こう主張する。 「仕事の時間内に日本語指導をすることを法制化したり、雇用保険で教育訓練を受けられるようなしくみを応用したりできないだろうか。」 企業が主体では心もとないという声も。 外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は「ドイツでは国がドイツ語コース 600 回とドイツ社会のオリエンテーションコース 100 回を提供している」とし、日本でも国の責任で外国人が無料か低額で日本語教育を受けられる制度をつくるべきだと主張する。

日本語学校をめぐる別の問題

日本語学校をめぐっては、別の問題も起きている。 日本語学校の中には、留学生を受け入れると言いながら、きちんとした日本語教育をせずに留学生を働きに出す「ブローカー」のような学校もあると指摘されている。 ところが、日本語学校の運営主体には、文部科学省が管轄する学校法人もあれば、企業の運営や個人の私塾もあり、形態や監督官庁はさまざま。 日本語教育の「質」に目配りできるような体制にはなっていなかった。 日本語検定試験も約 20 種類が乱立している。 働く外国人への日本語教育をどの省庁が責任をもって行うのかもはっきりしなかった。

そこで今回の法案では、縦割り行政の弊害をなくし、日本語学校の「教育の質」を担保する方向性も示された。 法案の付則には、日本語学校の「教育機関の類型化」をすすめ、教育水準向上のための評価制度をつくることも書き込まれた。 今後、日本語教育推進会議で具体策を検討する考えだ。 日本語教育の「責任省庁」については、国内は文部科学省、国外は外務省が中心となっていく方針も示された。

共生社会へ最初の一歩

政府はこの春、新たな在留資格「特定技能」を創設し、外国人労働者のさらなる受け入れ拡大にかじを切った。 だが、その足元では解決すべき課題が山積している。 法案は、働く外国人本人だけでなく、その子どもたち、難民なども日本語習得を支援する対象にした。 外国人の子どもを受け入れる学校現場をどう支援するのか、自治体の財政負担をどう緩和するのかなど、国や自治体の予算編成を通じて今後具体化してくる論点も少なくない。 今回の立法は、ゴールではなくスタートといえる。

明治大学の山脇啓造教授(多文化共生論)はこう話す。 「欧州や韓国などをみても、言語教育は多文化共生策における重要な柱だ。 外国人が社会の新しい構成員になるとき、日本人をふくめた構成員同志でコミュニケーションをとれることが大事だからだ。 言葉ができなければ、隔離につながったり、将来的な格差を生んだりしかねない。 今回の立法は、共生社会づくりの最初の一歩となる。」 (藤崎麻里、asahi = 5-29-19)

日本語教育推進法案のポイント
・国と地方の責務を初めて明記
・企業に責務を課し、国も支援
・支援対象は幼児、児童、生徒、留学生、働き手、難民ら
・文部科学省と外務省が中心となって政策をつくる
・日本語学校など教育機関と教員の質の向上をめざす


特定技能、宿泊業に 280 人合格 「夢は五つ星ホテル」

外国人材の受け入れ拡大に向けて新設された在留資格「特定技能」のうち、宿泊業の技能試験結果が 25 日に発表され、280 人が合格した。 資格を手にしたひとりは、自分が望む仕事に就けるか不安を抱きつつも、日本で働く夢を描く。 試験実施団体によると、4 月にあった宿泊業の試験の受験者は 391 人で、合格率は 71.6% だった。 試験に合格することは「特定技能」を得るために必要な条件の一つで、外食や介護の分野ではすでに合格発表があった。

「うれしい。 でも仕事を探すのは不安です。」 ベトナム人のトウロン・ティ・タムさん (30) は朝、ベトナム中部クイニョン市で合格を知った。 通知には求人検索ができるホームページも載っていたが、希望の神奈川県に求人はない。 今春まで住んだ愛知県に行くか迷っているという。 技能実習生として日本のプラスチック加工会社で働いた。 4 月末に在留資格が切れるため、母国へ帰ることに。 ベトナムの四つ星ホテルで働いた経験を生かしたい、と帰国間際に挑戦したのが「宿泊業」の試験だった。

ベトナムの大学時代に村上春樹の小説を読み、日本の文化も好き。 実習生として働いていた時は、目標を忘れないよう単語カードをいつも持ち歩いた。 好きな漢字は「幸」。 しばらくは、ホーチミン市で日系企業の仕事を探すという。 「時間がかかるかもしれませんが、日本に行きたい。 日本の五つ星ホテルで働くのが、私の夢です。」 (斉藤佑介、贄川俊、asahi = 5-25-19)


ベトナム籍の技能実習生 5 人逮捕 通帳など譲渡疑いで岡山東署

技能実習生の間で通帳やキャッシュカードを不正に授受したとして、岡山東署は 21 日、犯罪収益移転防止法違反の疑いで、岡山市東区、男 (27) ら、同市内で縫製工として働く実習生の男女 5 人 = いずれもベトナム国籍 = を逮捕した。

逮捕容疑は、容疑者男は昨年 4 月、同所で、女 (26) から通帳とキャッシュカードを譲り受け、暗証番号の提供も受けた疑い。 女 4 人 = 20 代 = は同 4 - 5 月、同所で、容疑者男に通帳やカードを譲り渡すなどした疑い。 5 人とも容疑を認めている。 同署によると、5 人は 2016 年 6 月に入国し、在留期限は今年 7 月まで。同所の共同住宅で暮らし、衣類製造会社で働いていた。 男が母国に不正送金していた可能性もあるとみて背景を調べる。 (山陽新聞 = 5-22-19)


賃金未払い疑いで社長逮捕 岐阜労基署、技能実習生に

岐阜労働基準監督署は 21 日までに、中国人技能実習生に未払い賃金があったなどとして、最低賃金法違反などの疑いで岐阜市の縫製業「ファッションナカムラ」社長、中村節子容疑者 (65) = 同市 = を逮捕した。 逮捕は 20 日。 逮捕容疑は昨年 1 - 7 月のうちの 5 カ月間、30 - 40 代の中国人技能実習生の女性 3 人に、岐阜県の当時の最低賃金を下回る給料しか支払わなかったなどの疑い。 3 人分で計 102 万円が未払いだった。

労基署によると、中村容疑者は「最低賃金で換算した給料を払った」と供述。 昨年 8 月に実習生 3 人から相談を受けた労基署は翌月、是正勧告をしたが、改善されなかった上、中村容疑者は正当な賃金を支払ったとの虚偽報告をしたという。 3 人は平成 29 年 7 月から勤務しており、ほかの期間でも賃金が正しく支払われていない可能性があるとみて捜査している。 (sankei = 5-21-19)


外国人の労災事故 2,847 人 最多更新、技能実習生も増加

厚生労働省は 18 日までに、2018 年に労働災害で死傷した外国人は 2,847 人だったと発表した。 7 年連続の増加で、過去最多を更新した。 このうち劣悪な労働環境が指摘されている技能実習生が 784 人を占めた。 4 月の出入国管理法改正により外国人労働者の一層の拡大が見込まれており、厚労省は「外国人の安全衛生確保を進める」としている。

厚労省によると、18 年の外国人の死傷者数は前年の 2,494 人から 14.2% 増えた。 10 年前(1,443 人)と比較するとほぼ倍増した。 この間、外国人労働者数は 3 倍に膨らみ、約 146 万人となっている。 死傷者のうち技能実習生が 784 人 (27.5%) で、過去最多を更新。 外国人労働者における技能実習生の割合(18 年は 21.1%)を上回る状態が続いている。

4 月に改正出入国管理法が施行され、新たな在留資格制度「特定技能」が始まった。 外食業や宿泊業など対象 14 業種について、技能と日本語の試験に受かるなどすれば、通算 5 年在留可能なビザを取得できる。 外国人の受け入れ拡大が加速する中、安全対策が課題だ。 日本人も含めた国内全体の労災事故では、死傷者数は前年比 5.7% 増の 12 万 7,329 人。 3 年連続で増えた。 一方、死亡事故に限れば同 7.1% 減の 909 人で過去最少だった。 (nikkei = 5-18-19)


外国人就労、技能実習に「宿泊」

出入国在留管理庁と厚生労働省は 16 日、3 年以上の技能実習を可能とする対象職種に「宿泊」を追加する省令案を明らかにした。 4 月 1 日開始の外国人就労拡大制度で新設された在留資格「特定技能 1 号」には宿泊業も入っており、3 年以上の「宿泊」の技能実習経験を経れば、無試験で移行できる。 パブリックコメント(意見公募)を経て、7 月ごろ施行する。

特定技能 1 号には農業や建設業など 14 業種ある。 ほとんどの業種は、技能実習生が同 1 号に移行できる体制が整っていたが、宿泊業は未整備だった。 宿泊業界は人手不足が深刻で、特定技能や技能実習の対象に、宿泊業を盛り込むよう求めていた。 (kyodo = 5-16-19)


外国人材 ベトナムから技能実習生 受け入れ本格化

(大分県)豊後高田市の製造業や建設業など 17 企業でつくる協同組合が、ベトナムからの技能実習生の受け入れを本格化させている。 14 日にはゴミの分別方法や交通事故防止に関する講習が行われ、実習生は日本での生活ルールやマナーなどを学んだ。 協同組合は「豊後高田 International Contribution 事業協同組合」。 地元企業の人手不足を解消しようと、市や豊後高田商工会議所の支援を受け、昨年 4 月に設立。 同年 7 月に、海外の送り出し機関と連携して技能実習生に職場を紹介する「監理団体」の許可を取得した。

協同組合は、実習生に対し、来日後の約 1 か月間、日本語や生活ルールを学ぶための講習などを行っており、これまでに 2 人を受け入れた。 現在は、今月 8 日に入国した男女 9 人(19 - 30 歳)に、市内の研修施設で平日の約 8 時間、日本語や買い物の仕方などを教えている。 14 日には、外部の講師を招いた初めての講習を実施した。 市環境課職員がベトナム語と日本語で書かれた資料を使いながら、新聞紙やペットボトルといった資源ごみの出し方などを説明。 豊後高田署員は道路標識や自転車に乗るときの交通ルールなどを教えていた。

9 人は来月上旬に研修を終え、市内の各企業に配属される。 市内の塗装会社で実習するタ・ティ・ヌー・イさん (30) は「ごみの分別や交通ルールが、ベトナムと違うので少し驚いた。 日本の文化をしっかり学んで、まじめに実習したい。」と話した。 同組合は今年度中に 30 人の実習生の受け入れを目指している。 (yomiuri = 5-15-19)


売上が大きい経営体が実習生受入れ 日本公庫調査

日本公庫(日本政策金融公庫)農林水産事業は、4 月 26 日、融資先の担い手農業者を対象に実施した「農業景況調査(平成 31 年 1 月調査)」で外国人技能実習生の受入状況調査の結果を発表した。 担い手農業者の 11.1% が外国人技能実習生を受け入れており、今後の受入希望については、「増やしたい」が 45.9%、「減らしたい」が 4.6% だった。

この調査結果を見ると、売上規模が大きい経営体ほど外国人技能実習生を受け入れている傾向があった。 「受け入れている」と回答した割合は全体の 11.1% で、「個人 (6,5%)」より「法人 (20.6%)」、「耕種 (8.4%)」より「畜産 (20.2%)」の割合が高い。 また、売上規模が大きい経営体ほど実習生を受け入れている傾向が見られる。 経営体あたりの受入人数も「個人」より「法人」が多く、売上規模が大きい経営体ほど多くの実習生を受け入れている傾向が見られる。  また、今後の実習生の受入れについては「増やしたい (45.9%)」が「減らしたい (4.6%)」を大きく上回っている。

実習生受入れの課題

課題については、「実習生の日本語能力 (64.3%)」が最多で、円滑な意思疎通が重要であることがうかがえる。 次いで「宿舎整備 (53.5%)」、「技術水準に応じた賃金水準の確保 (34.1%)」の順となっている。

実習生の国籍はベトナムが最多

担い手農業者が受け入れている実習生の国籍は、「ベトナム (38.9%)」が最多で、次いで「中国 (21.3%)」、「フィリピン (11.2%)」、「インドネシア (7.3%)」となっている。 農業以外の職種も含めた全職種における外国人技能実習生の国籍別の構成(法務省データ)では中国が 35.4% を占めるが、担い手農業者の受入れでは中国の割合は 21.3% と 14.1 ポイント低くなっている。 (JAcom = 5-8-19)


- プレスリリース -

凸版印刷、自治体や学校での多言語コミュニケーションを支援

凸版印刷株式会社

音声翻訳サービス「VoiceBiz(R)」が 8 つの自治体・学校に導入 外国人に対する窓口業務や面談に活用

凸版印刷株式会社(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 金子眞吾、以下 凸版印刷)は、急増する訪日外国人や外国人就労者などとの多言語コミュニケーションを支援するソリューションとして、音声翻訳サービス「VoiceBiz(R)」を、2018 年 6 月より提供開始しています。 このたび「VoiceBiz(R)」が、8 つの自治体・学校に採用され、2019 年 4 月より順次導入されています。

導入の背景

出入国管理及び難民認定法(入管法)が改正、2019 年 4 月より施行され外国人労働者の受け入れ拡大に伴って、在留外国人の更なる増加が見込まれています。 しかし、自治体窓口では様々な言語に対応するスキルやシステムが不足しており、また学校現場においては、保護者との面談や生徒とのコミュニケーションにおける言葉の壁が大きな問題になっています。

凸版印刷の音声翻訳サービス「VoiceBiz(R)」は、このような多言語コミュニケーションにおける課題を解決します。 自治体向けに作成した固有名詞、定型文には、国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長 : 徳田英幸、以下 NICT)の委託事業の成果を反映。 「外国人技能実習生総合保険」のような、専門用語も正しく翻訳することが可能です。 また学校向けには、宇都宮大学国際学部若林秀樹客員准教授の監修のもと、学校生活で使える固有名詞、定型文を登録。 家庭訪問や三者面談など、様々なシーンでのコミュニケーションに活用することが可能です。

サービス概要

「VoiceBiz(R)」は、急増する訪日外国人や外国人就労者などとの多言語コミュニケーションを支援する、音声翻訳サービスです。 スマートフォンやタブレット用の専用アプリに音声やテキストを入力すると、30 カ国語の中から選択した言語に自動で翻訳し、音声やテキストを出力します。 翻訳エンジン(日本語と英語の間)は、NICT が開発を進めている、深層学習を用いたニューラル機械翻訳 (NMT) 技術を採用。 翻訳精度の向上に向けて、今後は他の言語も NMT 対応を進めていきます。(2019 年 6 月上旬対応予定)

また、少人数からサービスの利用を可能にするため、ID とパスワードによる認証と台数管理機能を実施。 窓口での接客など、タブレットでも使用しやすい横向きのランドスケープモードや、翻訳された文字を大中小の 3 段階で表示する機能などで、ユーザビリティを高めています。 あらかじめ翻訳した観光名所、商品名、施設名などの固有名詞や、利用頻度の高い定型文は、翻訳サーバに登録することで、より使いやすいサービスにカスタマイズすることが可能です。 さらに、ユーザーからの要望に対応し、ログ削除機能もあることから個人情報保護など、よりセキュアな環境でのサービス利用も実現しています。

翻訳可能な言語

  • 音声翻訳で選択できる言語 : 11 1言語 日本語と、英語/中国語(普通話)/韓国語/インドネシア語/タイ語/ベトナム語/ミャンマー語/ポルトガル語(ブラジル) /フランス語/スペイン語(* フランス語・スペイン語は、音声での出力に対応していません。)
  • テキスト翻訳で選択できる言語 : 30 言語 日本語と、英語/中国語(簡体字)/韓国語/台湾華語(繁体字)/アラビア語/イタリア語/インドネシア語/オランダ語/スペイン語/タイ語/デンマーク語/ドイツ語/ヒンディ語/フィリピン語/フランス語/ベトナム語/ポルトガル語/ポルトガル語(ブラジル)/マレー語/ロシア語/ミャンマー語/ウルドゥ語/クメール語/シンハラ語/トルコ語/ネパール語/ハンガリー語/モンゴル語/ラーオ語

利用方法

専用アプリをストアからダウンロードし、ID とパスワードの入力で認証を行うだけで、サービスの利用が可能です。 認証後、翻訳する言語を選択し、スマートフォンやタブレットに向かって話しかけると、選択した言語で簡便に翻訳ができます。(音声翻訳で選択できる言語 : 11 言語、テキスト翻訳で選択できる言語 : 30 言語) また、定型文ボタンを押すことで、あらかじめ登録された利用頻度の高いフレーズを呼び出すことができ、音声やテキストで入力する手間が省けます。

仕様

  • OS : iOS 10 以降 Android 6 以降
  • アプリ入手方法 : App Store および Google Play よりダウンロード可能です。

* 本サービスを利用するには、別途契約が必要です。
* 全ての端末での動作を保証するものではありません。

標準価格

初期費 100,000 円、1 カ月 5,000 円/台

今後の取り組み

凸版印刷は、音声翻訳精度の向上に向け、自治体・学校に関わる用語を追加し様々なデバイスに対応することでサービスを拡充、2020 年度までに外国人比率 1% 以上の 600 自治体への展開を目指します。 同時に、学校現場へは今年度 200 校、2020 年度までに外国人児童在籍校 7,000 校へ展開。 多言語コミュニケーションサービスで地域活性化、地方創生を支援していきます。

外国人就労者や技能実習生の増加が見込まれる介護・農業等の分野においても、現場で使える固有名詞・定型文の整備を推進。 世界のあらゆる人々との円滑なコミュニケーションの実現に向けた環境整備を進め、2020 年度に 10 億円の売上を目指します。 (PR Times = 5-8-19)


外国人施設に対話なく「反対」 不安の正体、直視できず

「みる・きく・はなす」はいま 通わぬ言葉

住宅の軒先に、いくつもののぼりがはためく。 「住環境の破壊 ダメ! 絶対!」、「子ども達の安全・安心を守れ」。 昨年秋、大阪府摂津市にある住宅地の風景が変わった。 約 1,500 世帯が暮らすこの地区には、古くから代々続く家も多い。 そこに外国人技能実習生を受け入れる監理団体が研修施設を計画し、反対運動が巻き起こった。 計画によると来日直後の実習生に約 1 カ月間、日本語や生活習慣を教え、最大 60 人余りが暮らせる。

昨年秋から 6 回開かれた説明会では、分譲住宅にするための土地が転売された経緯への不満や、外国人への不安の声が続いた。 「地区の真ん中に外人がどんと来られたら困る。」 団体の担当者に「不法就労や犯罪に走る可能性はあるわけやな」と根拠がないまま迫る人もいた。

深刻な人手不足の解消を外国人に頼る改正入管法が 4 月に施行された。 政府の構想通りにいけば外国人労働者は大きく増えるが、実際に暮らすことになるコミュニティーで、合意の形成はそう簡単ではない。 摂津市の施設をめぐっては、市内外から反対の署名が 1 万筆近く集まった。 今も建設は見通せない。 反対する住民ばかりではない。 4 月まで自治会長だった男性 (67) は「海外から人が来る以上、どこかで受け入れなければいけない」と反対の署名はしていない。

地区では過去にも、地蔵の移転や寺の修繕の進め方をめぐって、住民の意見が割れることがあった。 しかし、話し合いで妥協点を探り、多数決は最後まで避けてきたという自負がある。  しかし、この件については対話の糸口を見いだせない。 「実習生と言葉が通じない」、「怖い」という漠然とした不安を聞き、「ならば、なぜ不安なのか、どうしたら解消するのか話し合えばいい」と思った。 しかし、「とにかく反対」、「なぜ、反対しないのか」とたたみかけられ、話を進められなかった。

反対運動について「地元住民が猛反発」などと複数の報道が批判的に取り上げたことも、人々の感情を複雑にした。 いまは、施設の立地条件や監理団体の計画の進め方などへの不満がより強く打ち出されている。反対運動を続ける住民の男性 (63) は取材に対し、「不特定多数が出入りする施設を、住宅街の真ん中に建てる必要があるのか」と憤った。 互いの不安の正体を直視しあえないまま、議論を深められずにいる。

背景の違う人々への理解はどうしたら進むのか。 日系 3 世で、各地の日系コミュニティーを研究する武蔵大教授のアンジェロ・イシさん (51) は壁を目の当たりにしてきた。 来日したのは 1990 年。 バブル景気のただ中のこの年、就労制限のない在留資格が与えられたのが日系人の 2 世、3 世だった。 製造業の労働者を中心に各地で急増した。 自治体やコミュニティーによっては共生する態勢が大きく進んだが道は平坦ではなかった。 ゴミ出しをめぐるトラブルや生活習慣の違いなど、日本人との差異ばかりに目が向けられてきたと指摘する。 「『トラブルを引き起こす存在』というイメージがつくられてしまった。」

イシさん自身は留学生として来日したが、引っ越しのたび「外国人だから」という理由で入居を拒まれることが続いた。 多くの労働者が職を失った 2008 年のリーマン・ショック後には、職を失い苦境に陥る日系人も出た。 政府は、当分日本に戻らないことを条件に、今度は帰国の費用を支給する施策を打ち出した。 「手切れ金か」と指摘され、日系人を労働力の調整弁に使う身勝手さへの批判は出たものの、社会に外国人労働者を位置づける議論はこのときも広がらなかったと、イシさんは残念に思っている。 「外国人の大多数は、目立たず、ごく普通に暮らしてきた。 そこに視線を向けて議論をしなければ、警戒感はなくならない。」 (asahi = 5-4-19)


新資格第 1 号、カンボジア女性 農業実習生の 2 人

外国人労働者の受け入れを拡大する新制度で、出入国在留管理庁は 26 日、カンボジア国籍で技能実習生の 20 代女性 2 人に、新たな在留資格「特定技能 1 号」への資格変更を許可する通知書を送ったと発表した。 業種は農業。 新資格の第 1 号取得者となる。 また、特定技能 1 号の外国人を支援する「登録支援機関」になることを希望する法人や個人から 19 日までに計 1,176 件の登録申請があり、ワークマネジメント(名古屋市)、ARMS (愛知県刈谷市)など 8 件を認めた。

入管庁によると、19 日までに、過去に技能実習生として日本で働き現在は海外在住の 23 人と、日本で実習中の 4 人から新資格取得の申請があった。 申請が認められたのは実習中の 2 人。 残る申請者についても順次判断していく。 2 人は大阪府に本社がある農業経営の会社で約 3 年の技能実習の経験を積んだ。 2 人は主に和歌山県御坊市などで働く予定だ。

入管庁は、技能実習終了後に特定技能 1 号の資格で働くことを希望する実習生のうち、支援機関の態勢が間に合わないなどの理由で、特定技能 1 号への変更申請ができない実習生に対する特例措置も明らかにした。 一時的に「特定活動」の在留資格を与え、実習生としての在留期限が来た後も、日本に在留できるようにするもので、19 日までに 18 人に付与を許可し、今後 45 人に許可する予定。 (中日新聞 = 4-27-19)


生徒の 9 割以上留学生、101 の専門学校で 文科省調査

文部科学省は 26 日、全国の私立専門学校の留学生受け入れ状況についての初めての調査結果を公表した。 生徒の 9 割以上を留学生が占める学校は 101 校あり、このうち 45 校は全員が留学生だった。 同省は今後、専門学校を所管する都道府県に、これらの学校の教育内容や中退者数などの情報を集めて報告するよう求める。 柴山昌彦文科相は 26 日の会見で専門学校の状況について「都道府県との連携を進めていくことが必要で、文科省としても実態の把握を深めていく」と述べた。

専門学校に通う留学生は急増しており、日本学生支援機構によると昨年 5 月に約 6 万 7 千人に達した。 一方、日中文化芸術専門学校(大阪市)でベトナム人留学生ら 160 人余りが退学になるなど、教育環境などをめぐる問題も起きており、文科省が実態を把握しようと、今年に入ってから調査をした。

それによると、昨年 5 月 1 日現在で私立の専門学校は 2,610 校あり、871 校が留学生を受け入れていた。 留学生の比率が 9 割以上の専門学校は東京都の 27 校を筆頭に、千葉県と神奈川県に各 8 校、広島県に 7 校など計 101 校あった。 文科省は近く、都道府県がこれらの学校について、@ 学校概要、A 入学に関すること、B 教育内容、C 卒業後の進路や中退者の数 - - などの情報を集め、報告するよう求める。

佐藤由利子・東京工業大准教授(留学生政策)は「101 校との数字は驚かない。 少子高齢化の中、生き残りをかけて留学生を増やそうという専門学校が出てくるのは当然だ。」と言う。 その上で、大学などと比べて専門学校は教育内容をチェックする態勢が不十分だと指摘し、「現状把握は第一歩。 教育の質をチェックする仕組みが必要だ。」と話す。 (増谷文生、山下知子、asahi = 4-27-19)


賃金未払い容疑で書類送検 技能実習生も被害、青森

中国人技能実習生 4 人を含む従業員らに対し賃金を支払わなかったとして、青森県のむつ労働基準監督署は 22 日、同県むつ市の水産加工会社「高橋産業」と男性社長 (77) を最低賃金法違反の疑いで書類送検した。 送検容疑は 2017 年 10 月分の賃金計約 195 万円を従業員 15 人に支払わなかった疑い。 社長は「会社の経営を優先してしまった」と話している。 同社は既に操業しておらず、事実上の倒産状態だという。 17 年 4 月に従業員から「賃金の支払いが遅れている」と同署に相談があり、一時は是正されたが、再度不払いが起きた。 (kyodo = 4-23-19)


福島廃炉に外国人労働者 東電「特定技能」受け入れへ

4 月から始まった新しい在留資格「特定技能」の外国人労働者について、東京電力が、廃炉作業の続く福島第一原発などの現場作業に受け入れることを決めたことが分かった。 3 月 28 日の会議で、元請けなど数十社に周知した。 東電などによると、ゼネコンなど協力会社数十社を対象とした会議「安全衛生推進協議会」で、特定技能の労働者の原発への受け入れについて説明。 「建設」、「産業機械製造業」、「電気・電子情報関連産業」、「自動車整備」、「ビルクリーニング」、「外食業」が該当すると示した。 廃炉作業にあたる「建設」が主になるとしている。

東電は、再稼働をめざす柏崎刈羽原発(新潟県)でも受け入れる方針。 東電は会議で、線量計の着用や特別教育が必要となる放射線管理対象区域では「放射線量の正確な理解、班長や同僚からの作業安全指示の理解が可能な日本語能力が必要と考えられる。 法令の趣旨にのっとってください。」と伝えたという。 法務省は、第一原発内で東電が発注する事業について「全て廃炉に関するもので、一般的に海外で発生しうるものではない」とし、技能実習生の受け入れは、「国際貢献」という趣旨から不可としてきた。

だが特定技能について東電は、法務省に問い合わせた結果、「新資格は受け入れ可能。 日本人が働いている場所は分け隔てなく働いてもらうことができる。(東電広報担当)」と判断した。 背景には、建設業全体の人手不足がある。 加えて、一定の被曝線量を超えれば作業が続けられないという原発特有の理由もあるとみられる。 東電によると、第一原発の構内では 1 日平均で約 4 千人が働く。 構内は現在、ほとんどが作業員の被曝線量の測定が必要な放射線管理対象区域だ。 ただ外食業は区域外にある食堂での作業になるという。

昨年 4 月から今年 2 月に第一原発で放射線業務に従事した作業者は 1 万 1,109 人。 同期間に 763 人が 10 - 20 ミリシーベルト、888 人が 5 - 10 ミリシーベルトの被曝をしている。 原発労働者の被曝線量の限度は、法令で 5 年で 100 ミリシーベルト、かつ年間 50 ミリシーベルトと定められている。 日本語能力も懸案の一つだ。 特定技能「1 号」で求められる日本語能力の水準は「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度(日本語能力試験 N4 以上)」とされる。 東電広報担当は「日本語能力の確認は元請けや雇用企業に求めている」という。

管理対象区域内での作業について、ゼネコンの 1 社は「下請け作業員として受け入れる可能性はある。 弊社でも日本語能力を直接確認する。」と取材に答えた。 一方、別のゼネコン広報は「現時点では、外国人労働者を就労させない方針」と回答した。 第一原発で働くゼネコン社員は、「第一原発の作業はルールが複雑。 放射線関連の教育が行き届くのかも心配だ。 意思の疎通が不十分で事故が起こると怖い。」と話す。

外国人労働者の安全どう確保

東京電力が、福島第一原発などの現場作業に、新しい在留資格「特定技能」の外国人労働者の受け入れを決めた背景には、人手不足がある。 識者は、国をまたいだ放射線の被曝線量の把握の難しさや、日本語による意思疎通の難しさから生じる労災を懸念する。 人手不足について、東電は 2 月、市民団体「東京電力と共に脱原発をめざす会」との会合で「これから労働環境も需給環境も厳しくなってくることがあるので、対応を考えなければならない」と説明していた。 ゼネコン社員の一人は「切羽詰まっているというほどではないが、東京五輪などに人がとられて集めにくくなっている」と話す。

東電などによると、外国人はこれまでも技術者や作業員として福島第一原発で働いてきた。 放射線業務従事者として登録している外国人は 2 月の時点で 29 人。 第一原発に関わるゼネコンは「これまでも日本語の能力を確認しながら外国人を受け入れてきた」という。 第一原発をめぐっては 18 年 5 月、敷地内の焼却炉工事に外国人技能実習生 6 人が従事していたと東電が発表した。 放射線管理対象区域外だったものの、確認が不十分だったという。 また、外国人技能実習生に必要な情報を与えないまま、除染作業に従事させた建設関連会社 4 社が法務省に処分されている。

東電によると、国外の原発で働いて被曝したことがある場合、被曝線量は労働者が自己申告することになっている。 2015 年まで廃炉作業に従事し、「福島原発作業員の記」の著書がある池田実さん (66) は「日本人ですら、被曝による労災申請の方法はよく分からず、ためらう。 外国人ではなおさらではないか。」という。 原発で働く労働者の被曝線量の管理は、海外でも問題になっている。

フランスで原発労働者の調査をした上智大の稲葉奈々子教授(国際社会学)によると、欧州連合 (EU) では加盟国間のデータを統合して被曝線量を一元管理することが定められているという。 だが外国人が多く働いているフランスの原発では、制度があっても一元管理がされていなかった事例があり、労働者から「知らずに線量限度を超えてしまう恐れがある」と声があがっていたという。 「日本で実効性のある、国境を越えた一元管理の制度を早急につくるべきだ」という。

原発労働者の労働実態を聞き取り調査してきた岐阜大の高木和美教授(社会福祉学)は、第一原発での作業について「防塵マスク以上の装備が必要な現場がほとんどだ。 小さなミスや突発的なトラブルの際に瞬時に言葉が理解できないと、大きな労災や事故になりかねない。 作業の大幅な遅れにもつながる。」と懸念する。 また「日本では被曝によるがんの労災が認められているケースがあるが、帰国後に発症した場合、その国で十分な医療が受けられるかどうかも心配している」と話す。(青木美希)

特定技能 : 外国人労働者の受け入れ拡大のために 4 月に始まった新しい在留資格。 人手不足が深刻な介護や建設など 14 業種が対象。 技能水準で 2 段階に分かれる。 「1 号」は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」に加え、日常会話レベルの日本語能力が必要。 家族帯同は認められず、在留期限は通算 5 年。 技能実習生として 3 年間の経験があれば、無試験で在留資格を変更できる。 「熟練した技能」が必要な「2 号」は、より高い水準の試験に合格する必要がある。 家族帯同が可能になり、在留も更新制となる。 当面は建設と造船・舶用工業のみで受け入れる。

モンゴルからも特定技能労働者

政府は 17 日、外国人労働者の受け入れを拡大する新たな在留資格「特定技能」に関し、モンゴルと協力覚書を結んだ。 悪質な仲介業者の摘発に向けた捜査情報の共有などが狙い。 覚書の締結はこれで 5 カ国目。 政府はこれまでに、主な送り出し国として想定されるフィリピン、カンボジア、ミャンマー、ネパールの 4 カ国と覚書を締結していた。 ベトナム、中国、インドネシア、タイの 4 カ国との締結を目指している。 (asahi = 4-18-19)