ポール・スミス、遊び心尽きぬ 50 年

英国のファッションデザイナー、ポール・スミスがノッティンガムにわずか 9 平方メートルのセレクトショップをオープンして来年で 50 年になる。 大資本の傘下に入ることなく、世紀をまたいで第一線に立ち続けている。

デザインは旅で着想

「本当に小さな店でキャリアをスタートさせた。 資金調達のために仕事を掛け持ちしていたため、週に 2 日しか営業していなかった。」 時折おどけた表情を見せながら、語り出した。 英国的なスーツにポップな色を合わせ、遊び心ある服づくりでテーラードとカジュアルの両面で広く支持された。 パリ・コレクションに初めて参加した 1976 年からは最低でも年に 2 度、新作発表を続けてきた。

デザインのアイデアは「尽きることはない」と断言。 「旅で目にした風景などから新たなデザインを思い浮かべるんだ」という。 大の親日家としても知られる。 「日本に初めて来たのは 82 年。 オリエンタルでエキゾチックな景色や、仕事に対する日本人の姿勢に心底ほれこんだ」と回想する。 初出店は 84 年の青山で、現在は日本だけで 150 店を超えるまでになった。 当初は単身で年 4 回、日本に来て、ジャーナリストや顧客と交流を深めたという。 今も年に 2 回は日本を訪れている。

独立性と意思、大切に

スミスがブランド運営にあたって、一番大切にしているのは「独立性と意思決定の自由」という。 「買収を持ちかけられたことは十数回ある。 けれども、そうすれば自由はなくなる。 だから 1 秒たりとも売却を考えたことはない。」と言う。 現在のファッション界について、「悲しいけれど、今の若いデザイナーたちは、まるで操り人形のようだね」と話す。 80 年代後半から 90 年代にかけて大資本によるブランドの買収が進んだ。 その結果、大きなグループの傘下にある有力ブランドでデザイナーに就くことが一つの到達点のようにも見える。

「(広告を出す)巨大ファッショングループが雑誌編集に介入し、トレンドに強い影響を与えている。 彼らが雑誌を所有していると言っても過言ではない。」 また、新興国で受けがよいことなどから、ブランドのロゴを前面に出す服が目立つが、「歴史あるブランドの創始者たちは、天国から自分のブランドの状況を見て涙しているだろう」と語った。 72 歳になり、自分が退任した後は若手を支援しているポール・スミス基金にブランドの運営を委ねることも考えていると明かした。 「僕の名前のブランドは続いてほしい。 そして、受け継ぐ人には、小さな店から始まったブランドの精神や、謙虚な気持ちを大切にしてもらいたい。」 (後藤洋平)

「意表突きたい」 19年秋冬

今年 1 月にパリで発表した 2019 年秋冬のメンズ・コレクションでは、赤や黄、青といったビビッドなカラーが目に焼き付いた。 先シーズンの 19 年春夏、昨年の秋冬シーズンでは落ち着いたトーンだっただけに、改めて振り幅の大きさを印象づけた。 「長年やっていると、『どんな服を作るか、見なくても分かっている』と思われている部分も出てくる。 だから意表を突きたいんだ。」とスミスは笑う。 このシーズンの、もう一つのテーマは英国文化のパンク。 ひざ下にファスナーが入った細身のボトムスなどに要素が盛り込まれている。 (asahi = 4-23-19)


MoMA の雑貨店、日本で拡大中 新たに銀座と関西にも

「モダンアートの殿堂」と呼ばれるニューヨーク近代美術館 (MoMA) が、日本国内での雑貨販売に力を入れている。 日本で 48 カ所目となる店を東京・銀座に今月オープンさせるほか、今秋に関西に大型店を開く。 場所は未定。 海外出店は今のところ日本だけだ。 店内には美術館の学芸員が選んだ色とりどりの雑貨が販売され、商品を通じて美術館の魅力を日本人にアピールする。

銀座の新店は今月 26 日に銀座ロフト内に開く。 営業面積 50 平方メートル余りの小規模なものだが、デンマークのモダニズムアーティストの絵画に着想を得た陶器や、MoMMA の永久収蔵品を元にしたバッジなど約 400 種類の品をそろえた。 MoMA は、ニューヨークに 3 カ所の直営店を持ち、米国外では 2007 年 11 月、東京・表参道に開いた店が初の販売店。その後ロフトと提携し、主にロフトの店舗内で展開している。 ただ、秋に開く関西の店は独立した大型店の計画。 日本での 18 年の売り上げは 10 億円超という。 香港にも今夏出店を予定している。

MoMA は、店から得た収入を美術館への投資に還元している。 来日した MoMA のグレン・ラウリー館長は「アートは美術館の中だけにあるのではない。 ストアもギャラリーの一つとして見てもらって、多くの日本人に MoMA の価値を分かってもらいたい。」と話した。 MoMA 本体は今年 10 月、ギャラリーが拡張し、約 4 千平方メートルの展示スペースが追加される。 (asahi = 4-19-19)


入学式ファッションの評価 小倉優子は好感度大、井川遥は?

4 月といえば、入学式の季節。 記念すべき我が子の門出を存分に祝いたいと思いつつも、これから長く続くママ友たちとの関係を気にして、「どんな服装で出席すればいいのだろう …」と悩むママたちも多いのではないだろうか。

それはおそらく "有名人ママたち" も同じことだろう。 NEWS ポストセブンでは有名人ママたちの入学式ファッションを紹介。 都内の某名門小学校の入学式に向かう小倉優子、井川遥、寺島しのぶ、丸川珠代、東尾理子の 5 人の姿は、あまり目立たぬようにとの気遣いからか、いずれもとてもシックな装いとなっていた。 (ポストセブン = 4-15-19)

そんな有名人ママたちの入学式ファッションの中で、特にネット上での評判が良かったのが小倉優子だ。 濃紺のセットアップに真珠のネックレスを合わせたスタイルについて、ネットユーザーたちは、
「小倉さんのは一見一般人かと思う様なノーマルな品のいいスーツ。 こういうのを選ぶあたりがしっかり者。」
「小倉優子、母親スタイルで可愛くて好感持てる。」
 などと絶賛。

さらには、
「小倉さんが 1 番素敵。 人気なのもわかる。 控えめな装いだから、美人なのが余計に際立つ。」
「小倉優子さん、服装は派手ではないけどやっぱり綺麗でかわいい。」
と、シンプルな服装だからこそ、美しさが際立つとの声も多かった。

しかし一方で、少々周囲の目を気にしすぎているのではないかとの印象もあったようで、
「入学式だしもうちょい華やかにコサージュつけるとか明るい色のスーツにすれば良いのになー。」
「お祝いの席では、少し華やかさも必要。 コサージュとかね。」
と、もうちょっと華やかであってもいいのではないかとの声もあった。

小倉優子を筆頭に基本的にはかなり地味めな服装で入学式に出席している有名人ママたち。 自身が手がけるブランドのスーツスタイルを着たのは井川遥。 スカートには深めのスリット。 寺島しのぶは個性的なピンストライプのセットアップスーツに、ケリーバッグを持った。 丸川珠代議員はパンツスーツに、切り返しのデザインが特徴的なノーカラーのコート。 レインコートに、レインブーツと雨対策バッチリの格好をしたのは東尾理子。

彼女たちにはネット上の声はさまざま。
「無難に目立たないようにしてるんだね。 顔とスタイルで際立っちゃうから服くらいはね。」
「みなさん、コンサバなんですね。」
「小倉優子さん、上品で素敵な装いです。 後の方は、ウーン、いまいちかな。」
などと、少々辛口な意見も散見された。


神戸ファッション美術館で、"ドレープの魔術師" デザイナー鳥丸軍雪の特別展 - ドレスなど約 80 点展示

神戸ファッション美術館は、特別展「伝説のファッションデザイナー 鳥丸軍雪(とりまる・ぐんゆき)展」を 2019 年 4 月 13 日(土)から 6 月 23 日(日)まで開催する。 鳥丸軍雪は、英国オートクチュール界に大きな影響を与えてきたトップデザイナー。

1937 年に宮崎県で生まれ、59 年に神戸港から世界へと旅立ち、ロンドンカレッジ・オブ・ファッションで学んだ後、パリでピエール・カルダンのアシスタントデザイナーに。 その後、独自のスタイルで作品を発表し、国際的な評価を獲得した鳥丸は、英国王室のダイアナ元皇太子妃やスウェーデン王国のシルビア王妃、日本では黒柳徹子ら多くの著名人の衣装を手掛けてきた。

そんな鳥丸の作品で、最も特徴的なのは、布を垂らせて流れるような優雅なひだを生む手法(ドレープ)や、独創的な布のカッティング。 女性らしさを最大限に引き出す、流れるように美しいラインを作るこれら手法から、鳥丸は「ドレープの魔術師」や「絹の彫刻家」とも呼ばれている。 特別展「伝説のファッションデザイナー 鳥丸軍雪展」では、神戸から渡英して 60 年、鳥丸が手掛けたプリーツやドレープを駆使した代表作を中心に、黒柳徹子所蔵のドレスなど約 80 点を一堂に展示。 鳥丸の歩みを展望する貴重な機会となる。

なお、コレクション展「5 つの時代衣装展 - - 華麗なる ロココから優美なベル・エポックまで -」が同時開催となる。 同展では、ジョルジュ・スーラの絵画作品「グランド・ジャット島の日曜日の午後(1884 - 87 年)」など 5 点の絵画に描かれた女性たちの装いを、神戸ファッション美術館所蔵の衣装で再現を試みる。 また、当時の着こなしや化粧などを現地で撮影した海外と同名の短編映画で紹介し、ロココ、エンパイア、クリノリン、バスル、アール・ヌーヴォーと変遷していった西洋の服飾スタイルを追う。 (FashionPress = 4-9-19)


AI がデザイナーを触発 東大でファッションショー

人工知能 (AI) は人間の知性を超えるのではないか。そんな不安が広がる中、AI の着想を生かして作ったドレスを披露するファッションショーが東京大で開催された。 人間ならではの創造性が求められるファッションの分野に、AI はどんな影響を及ぼしたのだろうか。

AI が競争して前衛的なデザイン創出

波打つような装飾や複雑で色鮮やかなプリントが施されたドレスに身を包んだモデルたちが、次々とランウェイに現れる。 学問の府たる東大のキャンパスにいることを忘れてしまいそうな光景が目前に広がった。

東大と理化学研究所の AI 研究者と、ファッションデザイナーのエマ理永(りえ)さんがコラボレーションして 3 月に開催されたショー。 披露されたドレスは、多くのデータから学習してパターンなどを見つけ出す「機械学習」や、学習結果から画像の雰囲気を変換する技術などを使って AI にデザインを提案させ、エマさんが作り上げたものだ。

まずエマさんがこれまでにデザインしたドレス 500 着の画像で AI を学習させた。 その上で「エマさん風のドレスの画像を作る AI」と、「本当にエマさんが作った画像なのかを判定する AI」との間でやりとりを繰り返して、新しいデザインを創出した。

この手法は、2 つの AI を戦わせる「敵対的生成ネットワーク (GAN)」と呼ばれる技術だ。 本物らしい画像を作ってだまそうとする AI と、それが本物か偽物かを判定しようとする AI が切磋琢磨(せっさたくま)して、より自然な画像を作り出す。

AI はエマさん風でありながら、今までにないデザインを生み出そうと、大量の画像を生成した。 エマさんは「100 枚に 1 枚くらいだが、はっとする、かわいいなと思うものがあった」と明かす。 AI が貝や植物など自然物の画像と、エマさんのドレスの画像を学習し、双方を混ぜて新しいデザインを提案する実験も行った。 ここから発想を得て、実際に人が着られるデザインにエマさんが落とし込んだ。

GAN を使って貝の形状を取り入れたデザインについて、エマさんは「自然界の形を取り入れることで、とてもすてきなものができた。 私が考えるよりアバンギャルド。 (AI に)負けないぞ、と思いながら立体に仕上げた」と語った。

人間の創造性を手助け

プロのデザイナーも驚く成果を出した AI だが、人間の脅威になり得るのだろうか。 理研・革新知能統合研究センターの杉山将センター長は「AI が怖いと思っている人は多いが、今の技術の延長上ではシンギュラリティー(AI が人間を超える転換点)は心配ないと思っている」と話す。 少ない試行で最適な組み合わせを発見できる AI の特性を活用できれば、人間のクリエーティブな活動を手助けするツールになるという。

今回の試みのまとめ役を務めた東大の合原一幸教授は、AI と人間の知能の相互作用を研究しており、AI と囲碁の棋士がペアとなって臨む対局を企画したこともある。 「AI はいろいろな分野にどんどん入ってくる。 どう使っていくか、共生の仕方を考えていく必要がある。」と指摘する。

AI は人の心を読むことはできない。 しかし、データに基づいて客観的な結果を見せてくれる。 人間なら誰しも多かれ少なかれ持っている偏向や先入観がない。 こうした AI の特性が、美意識やセンス、感情といった極めて人間的な部分が密接に関わるファッションのような分野で、新しい世界を切り開いてくれる日はそう遠くはなさそうだ。 (松田麻希、sankei = 3-31-19)


気鋭のデザイナーが集結! 伊勢丹新宿店「TOKYO 解放区」が注目する東京ブランドの POP UP SHOP を開催

伊勢丹新宿店の本館 2 階「TOKYO 解放区」で、注目のデザイナーの新作を一堂に紹介するイベント「TOKYO upcoming」の第 3 弾を 3 月 27 日(水)から開催。 TOKYO 解放区は、東京のファッションはもちろんのこと、カルチャー、ファッションカルチャー、アート、ライフスタイル、また今注目のニューカマーなどを発信し続けている。

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BELPER

シンプルでありながら、スタイリッシュかつウェアラブルな服作りが特徴の「BELPER (ベルパー)」は、ショートトップやカーディガンなどを、ワンピースに重ねたり、レイヤードしてみせるスタイリングを提案。

BRIAN HELLER

「BRIANHELLER (ブライアン・ヘラー)」は、概念を変えるをコンセプトに、カジュアルアイテムはエレガントに、ストリートなアイテムにはエレガントなニュアンスを加えるクリエーションが特徴。

RYOTA MURAKAMI

ガーリーなニュアンスの中に色気も感じられるようなワンピース、ドレスコートなどを展開する「RYOTAMURAKAMI (リョウタムラカミ)」は、伊勢丹新宿店限定のブラウスも登場。

梨凛花 〜rinrinka〜

日常で感じたことを少女性の高いクリエーションに落とし込む「梨凛花 〜rinrinka〜 (りんりんか)」は、2019 年春夏コレクションと合わせブラウスとトートバッグを先行販売。

TENDER PERSON

日常生活の物事をさまざまな角度から捉え、時代や空気感を独自に追求した自分たちらしいファッションを表現する「TENDER PERSON (テンダーパーソン)」は、春夏コレクションと合わせて、ワンピースとしても羽織としても着用出来るデニムシャツや、T シャツを限定で紹介。

mellow

樹脂に植物や景色を閉じ込めたかのようなデザインを考案するアクセサリーブランド「mellow (メロウ)」は、「clean」をテーマにした新作が登場。 金具造形にこだわり、様々なシーンに合わせられるよう取り外し可能にしてあるデザインのピアスやイヤリングなどを展開。

今の TOKYO の旬である新しい価値・事象を発信し続ける TOKYO 解放区で、最旬のブランドをチェックして。 (ASBS = 3-24-19)


タエ アシダ 2019 - 20 年秋冬コレクション - 多様性への順応を楽しむ

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タエ アシダの 2019 年秋冬コレクションが、3 月 20 日に東京・六本木のグランド ハイアット 東京にて発表された。 今季は、"多様性" をテーマの中心に据え、時代の変化に基づく社会の流れ、人そのものや行動の多様化にフレキシブルに順応できるファッションを表現している。

多様性に順応する "多様化されたファッション"

今シーズンのスタイリングは、アーバンティックなスタイリングがある一方で、エスニックなスタイリングもある。 ナチュラルな素材もあればハイテクな素材もある。 シルエット、素材、ディテール、どれをとっても多様性に溢れている。 そして、メンズルックの提案が、より一層 "多様性" を強調している。

メンズルックが登場

ファーストルックで登場したのもメンズルック。 パープルのフェイクファーを用いたオーバーコートに、デニムパンツ、そしてナイロンパーカーをあわせ、1 つのルックの中でカジュアルとラグジュアリーを交錯させた。 序盤を象徴するピクセル化されたボタニカル柄のグラフィックは、今季のキープリントのひとつで、ピンクとパープルまたはパープルとイエローの色合いで登場している。

今季はカラーパレットもベーシックからヴィヴィットまで様々だが、それよりもなおファブリックの多様性は心を躍らせる。 自然を象徴するアニマル柄は、"多様性" を表すために欠かせなかった。

中盤以降から展開されたヒョウ柄は、フェイクファーコートとして、あるいはシースルートップスへ落とし込んだ。 はたまた、シワ加工の民族調のメンズパンツにあわせたシャツには、ピーコックの羽根、可憐なスカーフ柄のワンピースには、自由に舞う蝶やトンボを描いている。 そして、ナイトシーンを想起させる黒いロングドレスにも、同じニュアンスを組み込み、フェザーをビジューとともにをあしらった。

ファブリックとスタイリングに見る自由な表現

ダマスク柄やベルベットは重厚感を与えるものとして、メンズ・ウィメンズともにアウターに採用。 特に、ベルベットのセンシュアルな光沢は、メンズジャケットに色気をも漂わせる。 これらはアニマルモチーフとは対照的に都会的な印象を与えるものだ。 ミラーボールのようなスパンコールのタイトドレス、アコーディオンプリーツがなびくトレーンを引くほどのロングドレスなど、その表現は多岐にわたる。

流れる時代に添うファッション

時代の多様性にも触れた今季のランウェイには、スポーティーなエッセンスを加えたモダンなスタイルもあれば、アーバンティックなジャケットスタイルもある。 そして後半を印象付けたドレス群はファッション史の銘品を顕著に受け継ぐものたち。 スタンドカラーのシースルーブラウスとハイウエストミニスカートまたはスラックスの組み合わせ、スパンコールで煌めくエンパイアラインのドレスなど、クラシックな装いにも目を向けている。 (FashionPress = 3-20-19)


世界40カ国からブランドが集結 「ファッション ワールド 東京 春」が3月27日開幕

リード エグジビション ジャパンは、「第 6 回 ファッション ワールド 東京 春」を 3 月 27 - 29 日に東京ビッグサイトで開催する。 同展は世界中からウィメンズやメンズのウエア、バッグからシューズ、アクセサリーが一堂に集まる日本最大級のファッション総合展。 6 回目を迎える今回は初出展 220 社を加え、世界 40 カ国から 750 社が参加し、秋冬の新作 4 万 9,000 点を出展する。

日本初上陸のブランドの中でも注目すべきは、メキシコのバッグブランド「ジュールス ドゥウィッジ」。 リサイクルレザーとコルクで作るサステイナブルなバッグはオールハンドメイドで、レーザーカットによる彫刻のような作りも特徴だ。 また、アルメニアのアクセサリーブランド「ファッションドラッグ」も見逃せない。 動物や花、昆虫などをモチーフにしたハンドメイドブローチは全て天然水晶で作られており、遊び心のあふれる独特な世界観。 その他にも欧米やアジア、中東など世界各国から最新ブランドが集結する。

60人の新進ブランドの中では、デザインシャツブランドの「キーコ」に注目だ。 受注生産を中心とし、袖を通すだけで絵になるようなデザイン性が高く、かつ飽きのこないシャツを作る。 そのほか、ボーダーが印象的な神戸発のアパレルブランド「ボーデ(掲載写真)」や、世界でも希少な吊り編み機で編み上げたジャケットブランド「チャート」など、さまざまな日本の若手デザイナー・新ブランドが出展する。 今季のトレンドを見極めるだけでなく、製品や OEM の選定、バイイングまでできるイベントとなっている。 公式ホームページで招待券の申し込みを受け付けており、当日の持参で無料となる。 (WWD = 3-12-19)


おしゃれ上級者の「サカイ(阿部千登勢)」の着こなし方 パリコレ会場で発見

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「サカイ (SACAI)」のファッションショーには、多くのファッショニスタが出席している。 2019 - 20 年秋冬のショー会場になった現代美術館のパレ・ド・トーキョーには、女性も男性ともにブランドのウエアの着用率が高かった。 「サカイ」の服は、異なる要素を掛け合わせるハイブリッドのテクニックを生かし、一目見るだけで「サカイ」と分かる "ブランドらしさ" を確立している。

従って 1 アイテムを取り入れるだけでその日のコーディネートの主役になる服が多いのが特徴だ。 フランス人モデルのカロリーヌ・ド・メグレは、ピンクのタンクトップとコーデュロイのパンツの上に、「サカイ」のデニムジャケットと MA-1 がハイブリッドされたアウターを羽織って来場。 また、普段はシックなスーツやドレスを着用していることが多いバーグドルフ・グッドマンの名物バイヤーであるリンダ・ファーゴは、「サカイ」 18 - 19 年秋冬の左右非対称にデニムジャケットとタキシードを融合したジャケットを着こなしていた。 (大杉 真心、WWD =3-10-19)


「ルイ・ヴィトン」 2019 - 20 年秋冬パリ・コレクション

「ルイ・ヴィトン」が 2019 - 20 年秋冬コレクションをパリで発表した。 (WWD = 3-6-19)


深田恭子は大胆ドレス! 豪華女優たちが彩り添える 第 42 回日本アカデミー賞

1 日、港区のグランドプリンスホテル新高輪で第 42 回日本アカデミー賞の授賞式が行われ、思い思いの衣装を身にまとった女優たちが参加し、会場を華やかに彩った。 昨年の日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞に輝いた蒼井優が、西田敏行とともに司会を務めた今年の日本アカデミー賞授賞式。 蒼井はレッドカーペットにぴったりの真っ赤な衣装を着用し、プレゼンターを務めた広瀬すずは袖のデザインが印象的な赤を基調にしたドレスで登場した。

『勝手にふるえてろ』で優秀主演女優賞を、『万引き家族』で優秀助演女優賞を獲得した松岡茉優は、白とグレーのキュートなドレスをセレクト。 『日日是好日』で優秀主演女優賞を受賞した黒木華は鮮やかな水色のドレスで魅了した。 『響 - HIBIKI -』に主演して新人俳優賞に選ばれた欅坂 46 の平手友梨奈はネクタイを締めて白の編み上げブーツを履きこなし、個性を放っていた。

『北の桜守』で優秀主演女優賞を手にした吉永小百合と、『孤狼の血』で優秀助演女優賞を獲得した真木よう子は和服で参加。 白を基調にした落ち着いた印象の着物を着た吉永はまさに「和服美人」といった出で立ちで、役柄を彷彿とさせる黒色の着物に袖を通した真木は妖艶な雰囲気を醸し出していた。

そんな中でもひときわ目を引いたのが、大きなスリットが入った真っ白のドレスを着用していた深田恭子。 『空飛ぶタイヤ』の演技で優秀助演女優賞に輝いた深田の美しさに、Twitter には「かわいいときれいの両立」、「セクシーで素敵」、「最強すぎやしないか」といった声が寄せられていた。 (海江田宗、シネマトゥデイ = 3-2-19)


こんまりがアカデミー賞に出席 「ドレスのたたみ方教えてほしい」とネットの声

近藤麻理恵さんの登場を、アカデミー賞公式 Twitter も「第一印象を良くしたいので、レッドカーペット汚さないでくださいね」と紹介した。

第 91 回アカデミー賞授賞式」が 2 月 24 日(日本時間 25 日)開かれ、「こんまり」の愛称で知られる片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんが授賞式に夫婦で出席した。 薄桃色のドレス姿を、ネットユーザーは「tidy (整頓された・小綺麗な)」などと賞賛。 「着ているドレスのたたみ方を教えて欲しい」などとのコメントもみられた。

アカデミー賞の公式 Twitter は、「アテンションプリーズ! アカデミー賞のゲストの皆さま、コンマリが到着しました。 第一印象を良くしたいので、レッドカーペット汚さないでくださいね」と、彼女のドレス姿を動画付きで投稿した。 この投稿を観た人からは、「アカデミー賞ほど整頓が必要な場所はない」、「メチャクチャな状態が好きだからコンマリは来たのね」などと、皮肉ともとれる反応も寄せられた。

近藤さんが 2010 年に出版した著書「人生がときめく片付けの魔法」は、アメリカでベストセラーとなった。 2015 年にはアメリカの雑誌・TIME の「世界で最も影響力のある 100 人」に選出されるなど、独自の片付けメソッドが「こんまり流」と呼ばれ、人気を博している。 (小笠原遥、HuffPost = 2-25-19)


写真で振り返る、カール・ラガーフェルドの軌跡

カール・ラガーフェルドは、存命のなかで世界一有名なデザイナーだった。 一目で彼だとわかるルックスと鋭い舌鋒で知られたラガーフェルドは、シャネルというメゾンを蘇らせたことはもちろん、ファッション・レジェンドと呼べる唯一のデザイナーだった。 よく使われる言い方でありながら、本当の意味でそう呼べる人は滅多にいない。 彼の卓越したキャリアを写真とともに振り返ってみよう。 (Bazaar = 2-19-19)

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1954年、当時まったく無名のデザイナーだったカール・ラガーフェルドとイブ・サン・ローランは国際羊毛事務局のデザイン・コンペ(現在はウールマーク・プライズと呼ばれる)に出品。 21 歳だったラガーフェルドが最優秀コート賞を受賞した一方、16 歳だったサン・ローランはドレス部門で一位になった。 ユベール・ド・ジバンシィとクリスチャン・ディオールも審査員を務めており、ディオールはその場でサン・ローランを雇った。

1960年、バルマンで 3 年間働いた後、ラガーフェルドはフランスのファッション・ハウス、ジャン・パトゥに入り、5 年間クチュールをデザイン。 彼が手がけたコレクションはミニスカートや大きく開いた胸元などクチュールに対して人が持つ先入観にチャレンジしたもので、保守的なファッションプレスからの評判は芳しくなかった。

1964年、フリーランスとしてクロエの仕事をはじめ、後にフルタイムで同ブランドに加わった。

1983年、ラガーフェルドは業績不振に陥っていたシャネルにクリエイティブディレクターとして加わった。 1984 年には、初のクチュールコレクションを発表。

2004年、ラガーフェルドは H & M と組んだ。 ハイストリートチェーン H & M 初のデザイナーコレクションで、発売 24 時間以内にコレクションはほぼソールドアウト。

2015年、ラガーフェルドは、パリの 2015 年春夏キャットウォークでフェミニストの抗議デモを開催。 ジゼル・ブンチェンやカーラ・デルヴィーニュをはじめとするモデルたちが政治的プラカードを掲げた。


バブル期から現在まで平成 30 年間のオフィスファッションを分析

働き方の多様化でカジュアルな着こなしが浸透

転職サービス「ドゥーダ (doda)」を運営するパーソルキャリアが、平成 30 年間におけるオフィスファッションの変化をまとめた。 バブル期に始まり現在に至るまで、職場環境や働き方が多様化したことに加え、街頭のトレンドの影響を受け、時代を追うごとにカジュアルなスタイルが浸透。 オフィスファッションのルールが緩くなっていると分析した。

今回の分析では、バブル期の平成元年(1989 年) - 平成 9 年(1997 年)、就職氷河期の平成 10 年(1998 年) - 平成 19 年(2007 年)、"人生 100 年時代" と称した平成 20 年(2008 年) - 平成 30 年(2018 年)の 3 つの時期に分けて特徴を解説。 「ストリートファッションの時代」、「ストリートファッション論」などの著者で共立女子短期大学の渡辺明日香教授が監修を担当した。

バブル期の初期は、オーバーサイズでルーズなシルエットのソフトスーツなどの特徴的なスタイルが流行。 1991 年のバブル崩壊以降は、街頭で 1980 年代末に登場した「渋カシ゛(渋谷カシ゛ュアル)」や「キ゛ャル系」、「裏原系」、「ストリート系」などのテイストが広く浸透したことで、オフィスにおける着こなしもカジュアルになり始めたという。 安室奈美恵やトレンディドラマの出演者たちの髪型を真似た女性の茶髪や男性のロングヘアーなど、ヘアスタイルの多様化もこの時期から見られるようになった。

就職氷河期は、カシ゛ュアルフライテ゛ーやクールヒ゛ス゛の促進なと゛、行政や企業側が働きやすい服装て゛勤務することを推奨したことに加え、2007 年の男女雇用機会均等法改正を機に女性社員の事務服の廃止が進んだ結果、女性のカーディガンスタイルやストッキングなしでのパンプスおよびミュールサンダルの着用といった着こなしが増加。 男性て゛は、スーツとネクタイのオーソドックスなスタイル以外のシ゛ャケットとハ゜ンツの組み合わせか゛一般化したほか、当時の「ディオール オム (Dior Homme)」が提唱したスリムなスタイルやお兄系ファッションなと゛街頭の流行の影響を受け、細身のスタイリングが台頭した。

人生 100 年時代においては、働き方の多様化や転職が一般化されつつある状況を受け、企業ごとの着用ルールがさらに緩やかになった。 スティーフ゛・シ゛ョフ゛ス゛やマーク・サ゛ッカーハ゛ーク゛なと゛名立たる企業のトップがハ゜ーカやテ゛ニムなどのカシ゛ュアルスタイルを好んで着用していることが影響し、IT やベンチャー系の企業を中心にラフなビジネススタイルが浸透。 デニムやリュック、スニーカーでの通勤も珍しくなくなった。 女性においては、ライダースジャケットやガウチョパンツといったトレンドを取り入れたスタイルが増加。 オフィスとオフスタイルの隔たり解消されつつあると分析した。 (FashionSnap = 2-14-19)


女性のジャケット、スーツ 「仕立て」を意識してシックに

女性の活躍がめざましくなるのに伴い、テーラードのジャケットやスーツを着る人が増えてきた。 高度経済成長期以降、女性服はカジュアル化が進み、着心地が楽なニットへと流れていったが、昭和の中ごろまでは、街なかでも仕立てたジャケットを普段から着る人が散見されたから、ある種の原点回帰が起こっているともいえそうだ。

女性服も元々は男性服と同じ素材で作ることが多かったが、軽く柔らかい生地が次々と開発され、女性服専門の工場が増えた。 だが、末永く愛用できるジャケットやスーツは、と考えると予想以上に少ない。 多くは、既製の限られたサイズの中から、フィッティングで体形をカバーするしかないうえ、製法もネックになるからだ。

考えるべきは服の中にある芯地。 表面に見えている生地をはりつける部材である。 上等な紳士服は、天然素材の毛芯地を縫い付けて作るが、女性のジャケットやスーツは、化学繊維の不織布で出来た芯地に、表生地をのりではった接着芯を使うのが一般的だ。 毛芯地よりはるかに安く早く作れるため、はやり廃りが激しい女性服にはこちらの方が適していると考えられたのである。

だが、接着芯は通気性が悪く形崩れしやすいデメリットがあり、何年も着られるものではない。 最近は接着芯以外の女性服も出始めており、もしジャケットやスーツを買われる際は、こうした仕立ての差をぜひ意識してほしいと思う。

一方、メディアに登場する女性政治家らのジャケットやスーツのスタイルについてはどうだろうか。 周りの女性たちに聞いてみると、「着丈が極端に短くお尻が隠れないスーツを着ている人が多い」、「場になじむような服を着るというより、色を奇抜にしたり、体のラインを強調したりと自分のために着飾っている人が目立つ気がする」という。 こうした意見に、私も深く共感する。

振り返れば、1940 年代や 50 年代のヨーロッパ映画や、モダニズム写真の木村伊兵衛(74 年没)が撮ったパリの街角スナップには、ジャケットやスーツ姿の女性が登場する。 今でも、ロンドンやパリの街角では、若い人もお年をめした人も、品よく着こなすのを見かける。 よそ行きというよりは、カーディガンを羽織るように、仕立てのいい上着を自然にシックに着ることが、現代まで続いているのだ。 国際通貨基金 (IMF) 専務理事のラガルド氏や英国のメイ首相の着こなしも、日本の女性政治家とはずいぶん違う。

日本ではある時代から分かれていった女性服と紳士服の境界が、再び無くなって欲しい。 こうした思いから、今年から私も女性のジャケットやスーツを手掛けるようになった。 性別を問わずアンダーステートメント(控えめ)でクラシックな着こなしが広まることを願っている。 (赤峰幸生 = ファッションディレクター、asahi = 2-8-19)


黒くなったり、透明になったり … ANREALAGE の色が変わる服

ジャラリ、ジャラリ。 歩みを進めるごとに音を立てる服。 そこには 1 着あたり 5,000 以上にのぼるという樹脂のパーツが、全体を覆うように縫い付けられています。 2018 年 9 月にパリコレで発表された、ANREALAGE (アンリアレイジ)の 2019 S/S コレクション「CLEAR」。 打楽器の音だけが流れる広い空間を淡々と歩く女性たち。 演出的な要素が抑えられたショーには、儀式のような緊張感が漂っていました。

今回のコレクションを象徴する、無数のパーツが縫い付けられた服。 その手仕事を想像するだけで圧倒されますが、実はパーツの一つひとつも、特殊な技術によって授かった特性があります。 ショーの最初に登場した 7 人が着る、黒い服。 よく見ると、それは時間とともに透けていきます。 この黒は「フォトクロミック分子」という物質が、紫外線に反応することで現れた色。 服にはバックステージで紫外線が照射されていたのです。 そしてショーのラストにも最初の 7 人と同じ服が登場。 すっかり透明に戻った姿は、まるで別の服のようです。

このフォトクロミック技術は、ANREALAGE のコレクションでこれまで 2 度使われています。 どちらも紫外線を受けて色が変わる現象を利用したものですが、透明にするのはかなり難易度が高かったようで、今回使われた素材は ANREALAGE が三井化学と共同で新たに開発したものです。 その変色は、太陽光など紫外線を含む光に反応して起こりますが、直射光だけでなく、窓のそばに近づいただけでも黒く変わるほどの反応を見せます。

そしてもう一つ目を引いたのが、裾に向かって上から下に、徐々に生地が透けていく服。 こちらは時間による変化ではなく、特殊な加工で作られた生地で、まるで服が途中で霧散してしまうかのよう。 その形はトレンチコートや G ジャン、ブルゾンなど、軍の服や作業着をルーツに持つものが選ばれていますが、下に向かって透けていくにつれ、形もドレスのように軽やかに広がります。 このように対極にある二つの要素をどちらも内包し、その間を移ろうような表現が印象的なコレクションです。

無数のパーツが縫い付けられた服を着て、淡々と歩く女性たち。 その様子はまるで SF のように未来的で、どこか異世界の儀式のようにも見えます。 しかし同時に、その姿にはどこかの先住民族の衣装のような、プリミティブな力強さも感じるのです。 気の遠くなるような手業を積み重ねることでしか到達できない造形。 染めやプリントといった技術を使わず、ただひたすら生地に素材を一つずつ止め付けていくことで生まれる模様。

実はそれが "透明なフォトクロミック" という、難しい材料を服に用いるための、数少ない方法の一つでもあるのですが、一方でそれはとても ANREALAGE らしい手法、ANREALAGE にしかできない服作りでもあります。 服の上できらめく、無数の樹脂のパーツ。 ミニマルでありながら装飾的でもあるその姿には、未来的な美しさを感じます。 同時に、膨大な手仕事を想像させるその異形の装飾を目の当たりにすると、この世界とは異なる文化や物語があるような気さえして、まるで別世界の衣装を見ているような、SF 的な感覚に包まれます。 それがこのショーに漂う、儀式のような雰囲気を醸し出していたのです。

そしてもう一つ、このコレクションには隠されたテーマがありました。 タイトルの「CLEAR」にはいくつかの意味が込められていますが、「晴らす」もその一つ。 実は 12 年前に発表された 2007 A/W のコレクション「遥か晴る(はるかはる)」と呼応しています。 当時コレクションの音楽を手がけていた杉原一平さんの同名の曲を、そのままタイトルに掲げたコレクション。 自分がたどってきた道のりを振り返った時、過去にいた場所が晴れ晴れしくあってほしい、という思いが込められていました。 それをまさに体現するような、今回のコレクション。

実はかつての「遥か晴る」では、ボタンを 2 万個も縫い付けた服が発表されました。 「神は細部に宿る」と信じ、神に祈りを捧げるように、膨大な手仕事によって作られた服です。 その後いくつかの転換点を経て、テクノロジーを味方につけた服作りへと到達した ANREALAGE。 12 年間にわたってつむがれたストーリーを込め、手仕事とテクノロジーをどちらも惜しみなく注いで表現されたのが、今回のコレクションなのです。 (千葉敬介、asahi = 2-7-19)