自動車、家電買い替えに補助 中国、消費てこ入れ

中国政府は 29 日、自動車や家電の買い替え補助を柱とする消費振興策を発表した。 米中貿易摩擦で株価が低迷し、自動車や高額家電の消費は不振で、中国の 2018 年の成長率は 28 年ぶりの低さとなった。 政府は産業の裾野が広い商品の購入を支援し、雇用への波及を防ごうと躍起だ。

以前の排ガス基準の車を廃棄して新車を購入した場合は補助を出す。 エンジン車を減らして電気自動車 (EV) などを広め、大気汚染改善に貢献があった地方には中央政府が財政支援を増やす。 節電効果が高いエコ家電やスマート家電の購入者にも補助を出す。 国家発展改革委員会の劉宇南氏は「自動車購入の冷え込みは、消費の伸びが鈍った主な要因だ」という。 18 年の小売総額の下落は前年比 1.2 ポイント。 このうち 0.8 ポイント分に、自動車の販売不振が影響した。 (北京 = 福田直之、東営 = 宮嶋加菜子、asahi = 1-30-19)


中国、対米貿易黒字ゼロを提案 24 年までに 米報道

米ブルームバーグ通信は 18 日、米中通商協議で中国側が、米国産品の輸入を大幅に増やし、2024 年までに対米貿易黒字をゼロにする案を示したと報じた。 米株式市場は好感しているものの、合意に向けた道筋はまだ見通せない段階だ。

ブルームバーグによると、7 - 9 日に北京で開かれた次官級協議で提案した。 19 年の輸入額を 2 千億ドル(約 22 兆円)とし、その後も輸入を増やし続けて、24 年には 6 千億ドルに到達させる案を示したという。 17 日には、米側のムニューシン財務長官が、対中制裁関税の一部か全てを取りやめる案を提起した、と米紙ウォールストリート・ジャーナルが報道。 匿名の当局者によるとされる前向きな報道が続き、米金融市場は上向いている。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 1-19-19)

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中国、19 年 1 月から一部品目で関税下げ

油の搾りかす・薬原料など

【北京 = 原田逸策】 中国政府は 24 日、2019 年 1 月 1 日から一部の商品の輸入関税を下げると発表した。 家畜の飼料になる植物の種子などの搾りかすや薬の原料などは関税をゼロに下げる。 綿花や一部の毛皮にかけている関税も下げる。 米国との貿易協議をにらみ、輸入拡大に前向きな姿勢を訴えるねらいがある。

約 700 品目に本来の関税率よりも低い暫定税率を適用する。 一部の商品は現在も暫定税率を適用しており、税率が変わらない商品もあるとみられる。 本来の税率より高い暫定関税をかけていたリチウムイオン電池などは本来の関税率に戻す。

関税をゼロにする種子などの油の搾りかすは豚のエサになる。 中国は 18 年 7 月から米国産大豆に 25% の追加関税をかけており、ブラジル産などで代替するものの平均輸入価格は上昇している。 大豆の搾りかすは中華料理に欠かせない豚の飼料だが、大豆の価格上昇で値上がり圧力がある。 大豆の搾りかすを代替できる商品の関税をゼロにすることで、豚肉価格の値上がりを防ぐねらいだ。

薬原料の関税下げは国内で高まる医療サービスへの不満を和らげる思惑がある。 中国の公的医療保険の保障は不十分で薬代の負担も重い。 綿花も米国産に 25% の追加関税をかけたことで、国内の紡績業者の原料仕入れコストが増加している。 関税下げで紡績業者の経営を支える狙いだ。 中国がまとまった規模で関税率を下げるのは 17 年 12 月から数えて 4 回目となる。 今回の発表とは別に、米国産自動車にかける 25% の追加関税を 19 年 1 - 3 月は課税しないことも発表済みだ。

19 年 3 月 1 日を期限とする米国との協議は貿易不均衡の是正が大きなテーマとなっている。 来年 1 月から協議が本格化するのを前に、貿易黒字を圧縮する姿勢をみせる。 (nikkei = 12-24-18)


中国の新築住宅価格、12 月も底堅く推移 大都市で上昇

[北京] 中国の新築住宅価格は、昨年 12 月も底堅く推移した。 政府が不動産価格の抑制策を導入しているものの、大都市で住宅価格が値上がりした。 中国当局は、預金準備率の引き下げなど、相次いで景気下支え策を打ち出しているが、これが不動産価格を下支えしている可能性がある。 中国国家統計局が発表したデータに基づくロイターの算出によると、12 月の中国主要 70 都市の新築住宅価格は平均で前月比 0.8% 上昇し、11 月(0.9% 上昇)から鈍化した。

前月比ベースでは 44 カ月連続の上昇。 70 都市の大半では前月比で新築住宅価格が上昇した。 ただ、価格が上昇した都市は 11 月の 63 都市から 59 都市に減少しており、伸びが鈍化する兆しも出ている。 前年比では 9.7% 上昇し、伸び率は 11 月の 9.3% を上回った。 2017 年 12 月の 5.4% 上昇を大幅に上回っている。 統計発表を受け、中国株式市場の不動産株指数は値上がりしている。 アナリストは、不動産購入規制の一部緩和が、急激な景気減速を回避する手段の 1 つとなるが、不動産バブルや家計債務拡大のリスクを踏まえると、全国的な規制緩和の可能性は低いと指摘している。

大都市で上昇

12 月は、中小都市との比較で、北京、上海、深セン、広州といった大都市の価格上昇が目立った。 大都市の住宅価格は前月比 1.3% 上昇。 11 月は 0.3% 上昇だった。 最も値上がりしたのは広州で、前月比で 3% 上昇した。 2 級都市と 3 級都市は、ともに前月比 0.7% 上昇。 12 月には山東省ホーツォー市が不動産販売規制を解除。 これを受け、景気減速を背景に他の都市でも不動産規制が緩和されるのではないかとの観測が浮上した。 国営メディアによると、地方政府は約 2 年前から高騰する住宅価格の抑制策を打ち出しているが、政策を転換したのは、ホーツォー市が初めてだった。

不動産開発大手の碧桂園、万科企業、中国恒大集団の販売は、ここ数カ月伸び悩んでいる。 中国人民銀行(中央銀行)の報道官によると、2018 年の新規不動産融資は 6 兆 4,500 億元で、新規融資全体の 39.9% を占めた。 2017 年の 41.1% からやや低下した。 主要都市の住宅価格はここ数カ月、規制強化の影響で横ばいもしくは下落していたが、一部の小規模都市では依然、かなり値上がりしていた。

今回の統計では、長期にわたる不動産市場のブームが落ち着き始めている兆しが見られた。 市場関係者は急激な値下がりは予想していないものの、不動産・建設業界の軟調は、経済全般の足かせになりつつある。 国家統計局は 21 日に不動産投資・販売統計を発表する。 (Reuters = 1-16-19)

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中国の住宅価格、10 月は前月比 +1.0% に伸び加速 今後鈍化も

[北京] 中国国家統計局が 15 日発表したデータに基づくロイターの算出によると、10 月の中国主要 70 都市の新築住宅価格は前月比 1.0% 上昇した。 中小規模都市が主導する形で伸びは前月から加速し、不動産市場がなお、中国経済のけん引役であることを示した。 住宅価格の堅調な伸びは政府が進める債務圧縮や米国との貿易摩擦激化による経済への悪影響を和らげる可能性があるが、行き過ぎた価格上昇はバブル懸念を強めることにもなる。

ロイターの算出によると、新築住宅価格は 42 カ月連続で上昇。 約 3 年前に始まった住宅ブームは大都市から内陸部へ波及し、中国当局が規制を強化しているものの、いまだに続いている。 前月から新築住宅価格が上昇した都市の数は 65 都市で、9 月の 64 都市を上回った。 全国の価格は前年同月比では 8.6% 上昇と、9 月の 7.9% 上昇から加速し、昨年 7 月以来の高い伸びを記録。

不動産規制が強化されるなか、多くの投資家は規制の抜け穴や規制が比較的緩い小規模都市に着目して購入を続けているため市場は底堅い状態が続いている。 三線都市」と呼ばれる地方の 35 都市の平均価格上昇率は前月比で 1.1% と、9 月の 0.9% から加速。 これより大規模な「二線都市」の 31 都市は 1.0% 上昇となった。 北京、上海、深セン、広州の 4 大都市は横ばいだった。 価格上昇率が最も高かったのは貴州省の省都、貴陽市で、前月比で 4.2% 上昇した。 (Reuters = 11-15-18)

中国、大都市 9 月の不動産価格が下降

中国国家統計局が発表した 9 月の 70 大・中都市の商品住宅販売価格データによると、「一級都市」の不動産価格が新築と中古のいずれも、前月比で下降した。 北京、天津、上海など 15 都市の中で、新築の商品住宅の販売価格が上昇した都市数が減り、上昇幅は縮小。 中でも、北京の新築商品住宅の価格は前月比横ばい、前年同期比で 0.4% 上昇、中古住宅の価格は前月比 0.2% 下降、前年同期比で 2.2% 下降となった。

国家統計局の劉建偉高級統計師によると、「9 月は、各地の不動産市場の抑制目標は変わらず、力を緩めることなく堅持され、各都市の状況に合わせ有効な策を講じ、不動産市場の安定的で健全な発展を保っている」という。 試算によると、前月比で見て、4 つの一級都市の新築商品住宅の販売価格が前月の 0.3% 上昇から 0.1% 下降へと変化し、中古住宅の販売価格が前月の横ばいから 0.1% 下降へと変化、その内、北京と上海は何れも 0.2% 下降、深センは横ばい、広州はわずかに上昇だった。

一級都市の新築商品住宅と中古住宅の販売価格は、前月比で下降し、二級都市、三級都市は上げ幅が縮小した。 データによると、31 の二級都市の新築と中古住宅の販売価格は、それぞれ 1.1% 上昇と 0.8% 上昇と上向きではあるものの、上げ幅は前月比でそれぞれ 0.2 ポイントと 0.5 ポイント下降した。 35 の三級都市の新築と中古住宅の販売価格はそれぞれ 0.9% 上昇と 0.8% 上昇で、上げ幅は前月比で 1.1 ポイントと 0.6 ポイント下降した。

第 3 四半期までの推移を見ると、一二三級都市の商品住宅の販売価格は、前年度の平均累計上げ幅に比べ、若干縮小。 その内、一級都市の新築住宅の販売価格は同期比でほぼ横ばい、前年同期比で 13.2% 上昇、中古住宅の販売価格は同期比 0.6% 上昇、上げ幅は前年同期比で 14.4 ポイント下降した。 二級都市と三級都市の新築住宅の販売価格は、それぞれ同期比で 6.4% 上昇と 7.0% 上昇、上げ幅は前年同期に比べ若干下落している状況だ。 (東方新報 = 11-3-18)

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環境激変、10 万社の中で生き残れるのは「適者」のみ - 中国不動産業界

→ 政府は今、膨れ上がっている企業債務の抑制に躍起
→ 住宅購入予定者から事前に資金を集める制度解体の動きも

中国海南省の省都、海口の沖合約 5 キロに浮かぶ「如意島」。 5 年前に建設が始まったこの人工島は富裕層向けのユートピアとなるはずだったが、まだ砂地ばかりだ。 資金が尽き、債務が膨れ上がった北京の不動産開発会社、中弘はこの 130 億元(約 2,100 億円)規模のプロジェクトを競合会社に売却する予定だ。 あるいは少なくとも売却を試みている。

中国ではここ数年、ほぼ無制限で安価に資金を借り入れることのできる環境が続いた。 飽くなき住宅需要と政府による業界に優しい政策に乗ろうと 10 万を超える不動産開発会社が先を競っていた。 だがそうした環境が一変してしまったことを象徴しているのが、この如意島だ。 政府は今、膨れ上がっている企業債務の抑制に躍起で、不動産業界が身をもって感じているのが大変革の初期段階に投げ出されているということだ。

さらに悪いことに、住宅建設のずっと前に不動産開発会社が購入予定者から資金を集める制度を解体しようしている地方当局もある。 そうなれば業界にとって重要な資金源が断たれてしまう。 招商証券の不動産アナリスト、チャオ・コ氏は「事前販売制度が廃止となれば、整理統合の波が加速するだろう。 適者しか生き残れなくなる。」と述べた。 (Bloomberg = 11-1-18)


中国、半導体育成に逆風強まる 台湾 UMC が協力縮小

米中摩擦、国際分業に影

中国の習近平(シー・ジンピン)最高指導部が推進する半導体産業育成への逆風が強まっている。 米国が台湾からの技術導入にくさびを打ち、台湾の聯華電子 (UMC) が中国の目玉プロジェクトへの支援縮小に動いた。 米中のハイテク覇権争いは両国以外の企業も巻き込み、最適な国際分業や企業間協力をゆがめる危うさも抱える。 「半導体はヒトでいえば心臓だ。 技術上の重大なブレークスルーを実現し、半導体のトップに向けてよじ登れ。 中華民族の偉大な復興に貢献しろ。」 習国家主席は昨年、湖北省武漢市の半導体工場視察で檄を飛ばした。

武漢市は中国のハイテク産業育成策「中国製造 2025」の実動部隊として立ち上げられた国策 3 社の一角、最先端の 3 次元 NAND フラッシュメモリーを手掛ける長江ストレージの本拠地だ。 ほかの 2 社であるモバイル向け DRAM のイノトロン、普及型 DRAM を手掛ける福建省晋華集成電路 (JHICC) を含め、習氏はプロジェクトを加速させる決意を示した。

しかし、それぞれが 5 千億円以上の巨額資金を投じる 3 大プロジェクトで先頭を走る JHICC の先行きに暗雲が垂れこめる。 米司法省が昨年、米半導体メーカーから企業秘密を盗み出した産業スパイの罪で、JHICC と台湾の UMC を連邦大陪審が起訴したと発表。 UMC は本業の受託生産事業への影響を懸念し、このほど大幅な協業の縮小に乗りだした。

JHICC は 19 年にも量産を始めるとみられていたが、極めて難しい情勢だ。 UMC からの技術導入が困難になったことで、進捗に影響が出るかどうかについては、JHICC から回答を得られなかった。 中国は半導体の国内自給率 70% を目標に掲げるが、足元では 1 - 2 割台にとどまるとされる。 中国の通信機器大手、中興通訊 (ZTE) は米国から半導体の供給を一時的に止められたことで経営難に陥り、経営陣の刷新に追い込まれた。

半導体育成が急務になるなか、台湾は最も重要な技術導入元と目されてきた。 高度な技術蓄積があるうえ、共通の言語や地理的、歴史的なつながりの深さもある。 台湾経済研究院の劉佩真氏は「既に台湾から大量の半導体技術者が中国に渡っている」と話す。 特に UMC は台湾大手で最も中国に協力的だった。 00 年代前半から関係者が中国に設立した和艦科技(蘇州)に技術移転や投資を実施。 技術流出に神経をとがらせる台湾当局から違法投資として訴追されたが、無罪を勝ち取り事業を継続した。

16 年には福建省アモイの地元政府などと共同で、総額 62 億ドル(約 6,700 億円)を投じた半導体工場を稼働。 18 年には中国子会社を現地で新規上場させると表明した。 だが、激しさを増す米中摩擦で、対中戦略の転換を余儀なくされた。 逆風は JHICC だけにとどまらない。 日米欧の製造装置大手が中国側と取引するリスクが高いと判断し、残りの 2 社への設備出荷などにも慎重になるとみられる。 中国は半導体製造装置を海外勢に依存し、国内技術者も不足。習指導部の長期計画への打撃は 必至だ。

中国製造 2025 では半導体のほかにも情報通信設備やロボット、航空宇宙、電気自動車、新素材、バイオなどを重点産業に指定し、国産比率の向上をめざす。 こうしたハイテク産業は国際的な分業が進んでいる。 補助金などで国産比率を高めようとする政策そのものに、最適な国際分業をゆがめるとの批判がある。 中国のハイテク産業の台頭を抑え込もうとする米国の行動も、日本や台湾など他の国・地域の企業による活動まで制約し始めた。 米中摩擦がハイテクの国際分業や技術進歩に落とす影は大きい。 (北京 = 多部田俊輔、台北 = 伊原健作、nikkei =1-4-19)


"起点の地" 深セン、逆風に直面 貿易戦争で富の流出続く 改革開放 40 年

中国が 40 年前に始めた改革開放政策の起点となったのが深センだ。 漁師や農民が住んでいた村がハイテク企業の集積する巨大都市へと変貌を遂げた。 その過程で多くのハイテク長者も生まれたが、貿易摩擦が拡大する中で新たな脅威に直面している。 香港に隣接する深センには、ブルームバーグ・ビリオネア指数に基づく世界の富豪上位 500 人に入る資産家が経営する企業 8 社が本拠を置く。 馬化騰氏の騰訊控股(テンセント)や王伝福氏の電気自動車 (EV) メーカー、比亜迪 (BYD) などだ。

だが、モーニングスター・インベストメント・サービスのアナリスト、チェルシー・タム氏は「トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争に伴い、中国インターネット株から 2018 年に『富の流出』が起き、既に深センでは多くの富豪が打撃を受けている」と話す。 インターネットビジネス向けの広告収入が減少し、経済成長鈍化への懸念が響いている。

中国株は低迷。 対イラン制裁違反を主張する米国の要請を受け中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者 (CFO) がカナダで 12 月 1 日に逮捕されたことでも売られた。 ハイテク銘柄の多い深セン総合指数は年初来で約 30% 下げており、11 年以来最悪の年間パフォーマンスに向かう。

北京にある長江商学院の劉勁教授(会計・財務)は「深センなど各地の企業家は今後数年、強い逆風に直面するだろう。 世界の市場はもはやオープンではなく、国内需要も十分ではないという可能性が目の前にある。」と述べる。 それでもこうした指摘は深センの繁栄が続かないということを意味するわけではない。 空調装置からスマートフォンに至るあらゆる製品を生産している深センの域内総生産 (GDP) は 18 年には 3,500 億ドル(約 39 兆 5,000 億円)に達すると見込まれている。

毛沢東初代国家主席が死去した後、文化大革命を生き延びたトウ小平氏は 1978 年 12 月 18 日、共産党中央委員会総会で自身の権力基盤を固めた。 深センを市場重視経済への移行を進める舞台に仕立て上げたのはトウ氏だ。 深センの人口は 40 年足らずの間に 3 万人程度から 1,200 万人以上へと急増し「新中国」建設に大きく寄与した。 BYD の王氏はインタビューで、「深センはイノベーションという点でわわわれを大きく後押しし、発展の大きな舞台を提供してくれた」と語っている。 (Blake Schmidt、Bloomberg = 12-30-18)


中国経済、12 月は 7 カ月連続の減速

→ ブルームバーグが企業信頼感と市場センチメントに関する指数を集計
→ 19 年初めに政府がどう対策を打つかに注目 - 曲天石エコノミスト

中国経済は 12 月も減速が続いていると早めに発表されるデータが示した。 貿易戦争や国内需要低迷、生産者インフレ鈍化を受け 7 カ月連続で成長が鈍っているもよう。 12 月の企業信頼感と市場センチメントに関する指数を集計したブルームバーグ・エコノミクスの指標は、政府の景気刺激的なアプローチと米国との貿易戦争「停戦」がまだ成長軌道に大きな効果をもたらしていないことを示唆している。

ブルームバーグ・エコノミクスの曲天石エコノミストは、世界貿易の不確実性と弱い景況感が引き続き主要な制約要因となる中で、中国の活動が鈍化し続けていることがデータから読み取れると指摘。 「商品市場に見られる最近の相場変動が製造業セクターの収益性をさらに損ねる可能性があり、19 年の早い時期に経済を安定化させるため政府が何をするか注視する」とコメントした。

英銀スタンダードチャータードが集計する中国中小企業の景況感を示す 12 月の指数は 54.7 と前月と変わらず。同行でこの調査を担当する申嵐エコノミスト(北京在勤)は下振れ圧力が高まり続けており、見通しは暗いと 12 月 24 日のリポートで指摘。 「12 月は中小企業にとって輸出需要が弱まり、内需も低迷したままだった」と記した。 (Bloomberg = 12-28-18)

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中国経済は 6 カ月連続で減速、11 月の先行指標示唆

→ 家計・民間企業への支援策、即座に景気を押し上げることできず
→ 株安はセンチメントだけでなく、企業の流動性抑制も - 舒暢氏

中国経済の 11 月の先行指標は 6 カ月連続で減速したことを示した。 米国との貿易摩擦が引き続き景気先行きの重しになっている。 ブルームバーグ・エコノミクスは業況や市場センチメントに関する先行指標をまとめ、独自に指標を作成している。 それによると、中国政府は家計・民間企業への支援策を講じているが、即座に景気を押し上げたり、成長軌道を巡る懸念を和らげたりするには十分ではないことを示唆している。

ブルームバーグのチーフアジアエコノミスト、舒暢氏は「先行指標は中国経済の一段の低迷を示している」と指摘。 「主要貿易相手国の経済は減速し続けている。 株安はセンチメントへの影響だけでなく、企業の流動性も抑制する可能性がある」とコメントした。 米国との貿易摩擦で中国を巡る先行き不透明感が続いている。 トランプ米大統領と習近平国家主席は今週、首脳会談を予定しているが、計画されている関税強化を阻止できるような打開に至る兆しは乏しい。 (Bloomberg = 11-28-18)


中国国家主席、改革実行呼び掛け 新たな具体策示さず

[北京] 中国の習近平国家主席は 18 日、改革開放政策の 40 周年記念にあたり北京の人民大会堂で演説し、改革の実行を呼び掛けたが、新たに具体的な措置を打ち出すには至らなかった。 習主席は 1 時間半近くに及んだ演説で、国家経済への支持とともに民間セクターの発展促進を呼び掛け、中国は市場開放への取り組みを強化し、大規模改革を確実に実施すると表明。

社会のあらゆる面において共産党が指導力を発揮すると改めて強調し、中国の特性を反映して社会主義制度を改良するという全般的な目標に沿った形で改革を進めると述べた。 「開放は進展をもたらし、閉鎖は後退につながる」と指摘した。 その上で「改革と開放は容易ではなく、今後あらゆる種類のリスクや課題、想像できない暴風雨にさえ直面することは避けられない」と述べた。

証券会社、光大新鴻基の中国支店を統括するジョナス・ショート氏は数日前に共産党の中央政治局会議で行った演説と内容が似ており新しい発表はほとんどなかったと指摘し、政策の方向性を探る上で今週予定される中央経済工作会議が注目されると述べた。 中国は、米国との貿易戦争に経済が圧迫されるなか、改革加速と一段の市場開放を求める圧力に直面している。

習主席はまた、中国が発展を遂げた分野を列挙し、「飢えの苦悩、食料・衣料不足など国民が何千年にもわたって直面してきた困難はほぼ過ぎ去り、もう戻らない」と語った。 演説では中国の経済改革に貢献した人物としてアリババ・グループ、騰訊控股(テンセント)、百度(バイドゥ)、吉利汽車のトップらを含む多数の出席者の名前が挙げられた。

北京で活動する政治評論家の章立凡氏は習主席の演説について、貿易戦争が既に中国経済に打撃を与えており、経済における国家の役割を大幅に低下させる意向はないことを示していると分析した。 強力な政府と大きく強大な国有企業、大規模な投資が必要との考えは変わっていないようだと述べた。 (Reuters = 12-18-18)


中国の対米輸出、11 月は 10% 増 追加関税で伸び率鈍化

【北京 = 原田逸策】 中国税関総署が 8 日発表した 2018 年 11 月の貿易統計(ドルベース)によると、中国の米国向けの輸出は前年同月比 10% 増の 462 億ドル(約 5 兆 2 千億円)だった。 8 カ月連続で前年同月の水準を上回ったが、伸び率は前月(13% 増)から鈍化した。 米国との貿易戦争による追加関税が影響し始めた可能性がある。

11 月の米国からの輸入は前年同月比 25% 減の 106 億ドルだった。 9 月から 3 カ月連続で前年同月の水準を下回り、減少幅も前月(2% 減)から大幅に広がった。 輸出から輸入を差し引いた対米黒字は同 28% 増の 355 億ドルになった。 米中は 7 - 9 月に最大 25% の追加関税を掛け合った。 輸出よりも輸入に追加関税の影響が強く出ているのは、輸入は中国共産党の意向に忠実な国有企業が主体となるためだ。

輸出は利益を優先する民間企業の比率が高く、関税引き上げ前の駆け込み輸出が続いているとみられる。 もともと米国は 2019 年 1 月 1 日に 2 千億ドル分の中国製品の追加関税をいまの 10% から 25% に引き上げる予定だったためだ。 ただ、米国向け輸出の新規受注は減少している。 中国企業の米国向け受注残高の水位も下がり、駆け込み輸出に陰りが出てきたようだ。 (nikkei = 12-8-18)

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中国の輸出、9 月は予想上回る伸び 対米貿易黒字は過去最高

[北京] 中国税関総署が 12 日発表した 9 月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年同月比 14.5% 増となった。 米国による関税拡大や中国企業の輸出受注減少の兆しにもかかわらず、市場予想を上回る堅調な伸びとなった。 ロイターがまとめたアナリストの予想は前年比 8.9% 増で、8 月(9.8% 増)から伸びが鈍化するとみられていた。 9 月の輸入は前年比 14.3% 増加。 市場予想(15.0% 増)をやや下回った。 8 月は 19.9% 増だった。

9 月の貿易収支は 316 億 9,000 万ドルの黒字で、黒字額は 8 月の 278 億 9,000 万ドルから拡大した。 市場予想は 194 億ドルの黒字だった。 中国の貿易は今年好調なスタートを切ったが、米国との貿易摩擦激化や内需の弱まりが経済見通しに影を落としている。

元安が輸出支援か、今後下振れリスクも

アナリストは、輸出の急増は長続きしないとの見方を示しているが、対米貿易黒字は過去最高となっており、トランプ政権の反発を招く可能性がある。 キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「貿易摩擦のエスカレートと世界経済の減速にもかかわらず、中国の輸出は非常に底堅く推移してきた。 これは、元安に伴う競争力向上が理由である可能性が高い。」と指摘。 「世界経済は今後数四半期で減速するとみられ、米国の関税も厳しさを増していく。 最近の輸出の底堅さは維持できない可能性が高い。」との見方を示した。

元は今年、対ドルで約 6% 下落している。 中国の輸出が予想以上に底堅いことについては、中国企業が、米国の関税発動を控えて、輸出を前倒しで増やしたのではないかとの見方も出ている。 関税の発動に伴い、今後、輸出が大幅に伸び悩む可能性も考えられる。 ANZ (香港)の中国担当シニアエコノミスト、ベティ・ワン氏によると、米国向けの最大の輸出品目である電気機器の輸出が急増しており、「前倒しの影響は非常に明らか」という。

電気機器の他にも、繊維・家具・半導体の輸出ペースが加速している。 ワン氏は「もしそうだとすれば、第 4・四半期の下振れリスクが予想できる」と述べた。 中国税関総署のスポークスマンも、第 4・四半期の貿易がやや減速するかもしれないとの見方を示している。

対米貿易黒字、過去最高

9 月の対米貿易黒字は 341 億 3,000 万ドルと、8 月の 310 億 5,000 万ドルから拡大し、過去最高となった。 9 月の世界全体との中国の貿易収支は 316 億 9,000 万ドルの黒字で、黒字額は対米の方が大きかった。 中国の 1 - 9 月の対米貿易黒字は 2,257 億 9,000 万ドル。 前年同期は約 1,960 億 1,000 万ドルだった。 中国の大幅な対米貿易黒字は、米中貿易摩擦を巡る議論の中心となっている。 (Reuters = 10-12-18)

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中国、輸出企業への税還付拡大 金属・半導体など 397 品目

【北京 = 原田逸策】 中国財政省は 7 日、輸出企業への税金の還付を拡大すると発表した。 金属や半導体関連など 397 品目を対象に還付額を上げる。 米国との貿易戦争で輸出企業が打撃を受けており、経営を下支えする狙いがある。 15 日から実施する。 企業が輸出する商品を製造する際などに負担した付加価値税や物品税を払い戻す。 中国では品目ごとに輸出価格に対してどれだけの税を払い戻すかが決まっており、この比率を上げる。

ねじ、金庫などは 5% を 9% に上げる。 いずれも米国が 7 月に公表した、追加関税 25% をかける 2 千億ドル(約 22 兆円)分の品目リストに含まれる。 集積回路や燃料電池は 15% を 16% に、発光ダイオード (LED) 電灯は 13% を 16% にそれぞれ上げる。 これらは追加関税の候補に入っていない。

米国は 7 月以降、計 500 億ドル分の中国製品に 25% の関税を上乗せした。 輸出企業が集中する中国南部の広東省では、製造業の景況感が大幅に悪化するなど影響が出始めている。 中国商務省は中国が米国製品にかけた追加関税の税収をもとに、輸出企業を支援する方針を示していた。 (nikkei = 9-7-18)


中国 10 月 PPI は 4 カ月連続で伸び鈍化、内需の弱まり反映

[北京] 中国国家統計局が 9 日発表した 10 月の生産者物価指数 (PPI) 上昇率は前年比 3.3% で、9 月の 3.6% から鈍化した。 鈍化は 4 カ月連続で、米国との貿易摩擦が経済を圧迫していることが浮き彫りになった。 原材料需要の弱まりや製造業の減速を反映した。 PPI はロイター調査のアナリスト予想と一致した。 前月比の上昇率は 0.4% となった。 10 月は原材料価格の上昇率が前年比 6.7% と、9 月の 7.3% から低下した。 消費者物価指数 (CPI) の上昇率は 9 月から横ばいの前年比 2.5% で、こちらも市場予想と一致。 前月比では 0.2% 上昇した。

中国では基調的な生産者物価の伸びがここ数カ月間鈍化している。 固定資産投資の伸びが過去最低付近となっているほか、工業部門の企業利益も減速している。 中国は 2018 年の CPI 上昇率目標を昨年と同じ 3% に設定している。 国家発展改革委員会 (NDRC) は先月、中国の消費者インフレに加速傾向はみられず、物価は引き続き妥当なレンジ内で推移するとの見方を示した。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、チャン・リュー氏は「輸入価格高は生産者物価への一定の上昇圧力になる可能性があるが、PPI の伸び鈍化を抑えるのには不十分だ」と指摘し、「政策当局者は、基調的な物価圧力が引き続き抑制されていることに一段と注意を払い、経済活動を下支えするため今後数カ月にわたり緩和策を続けるだろう」と指摘した。

中国経済の勢いはここ数カ月軟化しており、習近平国家主席は先週、国内経済は「下振れ圧力の高まり」に直面しているとの認識を示した。 継続的な人民元安が輸入価格へのある程度の上昇圧力となるが、国内経済の減速や商品価格の下落により、CPI と PPI は共に年内伸びが鈍化するとアナリストは予想している。 前出のリュー氏は「われわれの予想通りに人民元が今後数カ月一段安となれば、輸入コストは上昇を続ける。 ただ、それが国内の物価に及ぼす影響はさほど大きくない」と説明した。 (Reuters = 11-9-18)


中国、製造業の鈍化が鮮明に 党会議、景気対策を重視

中国の製造業で、景気の先行きに対する見方が厳しくなっている。 メーカーの購買状況から景気の先行きを占う指数が、市場の予想を超える幅で落ち込んだことで、本格的な景気減速が現実味を帯び始めた。 10 月末に開かれた中国共産党の会議では、指導部の看板政策だった構造改革の表現が消え、景気対策の重視が鮮明になっている。 中国政府は毎月、企業の資材購買担当者に購買状況を聞いて指数化した購買担当者指数 (PMI) を発表している。 10 月の製造業の PMI は 50.2 で、直近のピークだった 5 月からは 1.7 ポイント悪化した。

9 月から幅広い日用品に高関税がかかる前に米国への駆け込み輸出がなされたが、それが一服して新規受注、生産、原材料在庫、新規輸出受注など様々な項目がいっせいに下落した。 2019 年 1 月には、米国による高関税の税率が 10% から 25% に上がる予定。 トランプ米大統領は、中国産品すべてに高関税をかける可能性にも言及しており、米中貿易摩擦がさらにエスカレートすると予想して、メーカーが先行きに慎重な見方をしていると見られる。

1 日に公表された経済誌「財新」による製造業 PMI も 50.1 と、低い水準でほぼ横ばい。 市場でも「19 年の前半は厳しいものになる(野村証券の陸挺・中国首席エコノミスト)」といった見方に傾いている。 中国共産党は 10 月 31 日に開いた政治局会議で経済情勢について議論。 党機関紙の人民日報によると、インフラ投資に力を入れることを決めた 7 月末の会議でもあえて書き込んでいた「金融のリスク排除」が消えた。 構造改革から景気対策への政策変更を鮮明にしたといえる。

加えて、民間、中小企業がぶつかった困難の解決を研究する、と表明。 銀行融資が受けにくく、株を担保に証券会社などから金を借りるこれらの企業が、最近の株安で担保価値が減り、資金繰りに困るのを防ぐ狙いがあるとみられる。 (北京 = 福田直之、asahi = 11-5-18)

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中国工業部門企業利益、9 月は前年比 +4.1% 5 カ月連続で伸び鈍化

[北京] 中国国家統計局が発表した 9 月の中国工業部門企業利益は、前年比 4.1% 増の 5,455 億元(785 億 7,000 万ドル)となり、伸びが 5 カ月連続で鈍化し、3 月以来の低い伸びとなった。 原材料や製造品の販売が一段と低迷し、内需が冷え込んでいる可能性が示された。 米中貿易戦争の激化も生産全体を圧迫しており、今後数カ月の設備投資や企業収益に影響が及ぶ可能性がある。

先週発表された第 3・四半期の中国国内総生産 (GDP) 統計は、伸びが金融危機以来の低水準となった。 1 - 9 月の中国工業部門企業利益は、製鉄、建設資材、石油・石油化学部門の収益がけん引し、14.7% 増となった。 ただ、伸び率は 1 - 8 月の 16.2% から鈍化した。 工業部門の債務は、9 月末時点で前年比 6.1% 増の 63 兆 1,000 億元だった。 8 月末時点の債務は前年比 6.6% 増だった。 統計局のデータは、中核事業の年間売上高が 2,000 万元以上の大企業を対象としている。 (Reuters = 10-29-18)

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中国成長率 6.5% に減速 7 - 9 月、9 年ぶり低水準

【北京 = 西見由章】 中国国家統計局が 19 日発表した今年 7 - 9 月期の国内総生産(GDP、速報値)は物価変動の影響を除く実質で前年同期比 6.5% 増だった。 実質成長率は今年 4 - 6 月期から 0.2 ポイント下がって 2 期連続のマイナスとなり、減速傾向が顕著となった。 実質成長率はリーマン・ショック後に景気が落ち込んだ 2009 年 1 - 3 月期 (6.4%) 以来、約 9 年半ぶりの低水準。

地方政府や国有企業の債務削減方針を受けて固定資産投資の伸びが鈍化している上、10 月以降は米中貿易摩擦による対米輸出への悪影響が本格化し始めるとみられ、経済の先行き不透明感はさらに強まりそうだ。 1 - 9 月期の成長率は 6.7% で、18 年通年の政府目標である「6.5% 前後」は達成に近づいた。 ただ同期の主要指標は厳しい数字がそろった。 企業の設備投資を含む固定資産投資は前年同期比 5.4% 増で、伸び率は上期(1 - 6 月期)から 0.6 ポイント減速。 このうちインフラ(社会基盤)投資は 3.3% 増と上期に比べ 4.0 ポイント鈍化した。

貿易摩擦の泥沼化は消費マインドにも影響し始めており、消費動向を示す小売売上高は 9.3% 増と伸び悩んだ。 工業生産も 6.4% 増で上期から 0.3 ポイント下げた。 国家統計局の毛盛勇報道官は同日の記者会見で、「外部の困難な要素が明らかに増加し国内の構造調整の痛みも続いており、下押し圧力は強まっている」と述べた。 (sankei = 10-19-18)


中国上場企業の負債、530 兆円 5 年で 2 倍近く

【上海 = 張勇祥】 上場企業(金融除く)の負債総額は 2017 年末で 33 兆元(530 兆円)と 5 年間で 2 倍近くに膨れあがった。 地方政府による企業救済は問題の先送りにすぎず、モラルハザード(倫理の欠如)を招く懸念もある。 「地方政府が管理する基金などが企業の苦境を救うことを奨励する。」 上海株がほぼ 4 年ぶりの安値を付けた 10 月中旬。 証券監督当局トップの劉士余氏は新華社を通じ、こう表明した。 すでに 300 億元規模に達した民営企業への出資は、さらに増える見込みだ。

地元証券会社の推定では、株式を担保にした借り入れは 9 月末で 1 兆 5 千億元にのぼる。 上海株は年初から 2 割下落し、株主や経営陣は資金繰りに苦しむ。 地方政府による買い支えは投資を落ち込ませないための窮余の策でもある。 ただ、過大な投資は資産効率の悪化を招く。 安易な救済で淘汰を避けても企業が筋肉質になるわけではない。 もともと、習近平(シー・ジンピン)指導部は過剰債務の削減(デレバレッジ)を進める意向だった。 だが、想定を上回る貿易戦争の激化と景気の下押し圧力を受け、方針転換を余儀なくされている。 (nikkei = 10-31-18)

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中国の国有企業、民営株買い支え 「国進民退」懸念も

米中貿易紛争の影響を受けて株価が下落傾向にある中国で、国有企業が株価対策のために民営企業の株を買う例が相次いでいる。 苦境に立つ民営企業を支援するねらいがあるが、これをきっかけに、国有資本が躍進し、民営企業が衰退するという意味の「国進民退」観測が高まり、指導部を悩ませている。

中国株は今年初めから下がり続け、18 日に代表的指数の上海総合指数が 2,500 を割った。 この間、株価対策として動いたのは国有企業だった。 18 日の中国メディアの報道によると、今年 6 月以降、国有資本が民営企業の株式を買ったケースは 29 に上る。 民営企業は融資も受けにくくなっている。 金融リスクを減らす指導部の政策のもと、銀行融資は主に暗黙の政府保証がある国有企業に流れてきた。 民営企業への融資規模は 2015 - 17 年の間、4 分の 3 に減る一方、国有企業への融資は 3 倍に膨らんだという。

そこで、民営企業はリスクの高い株式を担保にお金を借りてしのいできたが、今回の株価の下落で金融機関に差し入れていた担保の価値が減少。 資金繰りが懸念されるに至り、22 日に国務院(政府)は常務会議を開いて民営企業の資金繰りを支援する方策を決めた。

株価の下落をきっかけに浮上した「国進民退」観測に対し、指導部は否定に躍起だ。 経済政策を仕切る劉鶴(リウホー)副首相は 19 日、新華社通信などの取材に応じて見解を表明。 「(国有企業の支援は)民営企業の困難克服を助けるためで、良いことだ。 民営企業の経営が良ければ撤退できる」、「国有企業への融資は安全だが、民営企業への融資は政治的リスクがあるという考えは間違っている」などと述べ、観測を打ち消そうとした。 (北京 = 福田直之、asahi = 10-23-18)