中国からの輸入肉 9 トンに「アフリカ豚コレラ」 … イタリアで発見

【ローマ = 笹子美奈子】 イタリアの財務警察は 22 日、中国から違法に輸入された豚肉から、家畜伝染病「ASF (アフリカ豚コレラ)」の感染が疑われる豚肉約 9 トンが見つかったと発表した。 豚肉は焼却処分された。 豚肉は中国からオランダのロッテルダム経由で違法に輸入され、伊北部パドバの検査で見つかった。 肉はコンテナの二重底に隠されていたという。 パドバ周辺の中国料理店で、中国の 1 月下旬の旧正月に合わせた祝賀料理用に大量に使用する目的で輸入されたという。 (yomiuri = 1-23-20)


中国から感染拡大、アフリカ豚コレラが世界の脅威に

[シカゴ] 米税関・国境警備局で働く探知犬、ビーグルの「ベティ」は、中国からシカゴのオヘア国際空港に到着した女性から、豚肉の匂いを嗅ぎ取った。 まもなく、探知犬担当者がハンドバッグのなかにハムサンドイッチが入っているのを発見し、押収した。 女性は上海発の中国東方航空機の乗客だった。 なぜハムサンドイッチが危険視されたのか。 ハムに用いられた豚肉がアフリカ豚コレラ (ASF) に感染しており、米国内に感染が拡がる可能性があるからだ。 中国はこの伝染病の流行により何百万頭もの豚を失っており、豚肉価格は記録的な水準に高騰した。 中国は割高な輸入肉を購入せざるをえず、グローバルな食肉市場を混乱させている。

「もっと警戒を強めないと、米国にも感染が広がる可能性は非常に高い。」 税関・国境警備局の農業専門家で、豚肉探知犬を担当するジェシカ・アンダーソン氏は言う。 「ベティ」は、米国の空港で専門的な訓練を受けた拡大チームの一員で、230 億ドル規模の米国豚肉産業を ASF から守るという大規模な取り組みの一翼を担っている。 この疾病は世界最大の中国養豚産業に大打撃を与えており、ロイターによる 9 カ国からの報道によれば、感染が中国国外へと広がるなかで、世界各国の政府は防御強化を急ぎつつある。

ASF はすでに東南アジア・欧州に拡大しており、症例はベトナム、カンボジア、ラオス、韓国、ミャンマー、フィリピン、ポーランド、ベルギー、ブルガリアで見つかっている。 こうした諸国はもとより、今のところ感染を免れている世界各国も、荷物検査の強化や肉類の持ち込み禁止など、旅行客に対する取り締まりを進めている。 豚肉生産国は、もしこの疾病が国内で広がった場合には数十億ドルの損失を被りかねない。 感染は畜産農家を壊滅させ、輸出市場を閉ざしてしまうからだ。 ASF は人間にとっては脅威ではないが、感染豚のためのワクチンや治療法は存在しない。

9 月に行われた 4 日間にわたる防疫訓練の参加者がロイターに語ったところでは、7,730 万頭の豚を飼養するトップクラスの豚肉輸出国である米国にこの疾病が持ち込まれれば、政府は養豚産業の保護に苦心することになろう。 全米養豚協会のデイブ・パイバーン上級副会長(科学・テクノロジー担当)は、「この病気が入ってきたら、我々が知るような豚肉産業は壊滅するだろう」と語る。 米農務省は、ミシシッピ州で ASF が発生し、ノースカロライナ、アイオワ、ミネソタなど主要な養豚州に拡大したというシミュレーションを行った。 獣医師、養豚農家、政府当局者は対策センターに集まり、感染発生後、どれだけ迅速に診断、感染防止、洗浄を行えるかを試した。

訓練に参加したパイバーン氏によれば、この訓練の経験から分かったのは、米国は、ASF 検査を迅速に行い、感染を拡大させずに当該個体を殺処分する能力を高める必要がある、ということだという。 世界で最も豚肉消費量が多い中国では、この疾病の影響は壊滅的である。 死亡した豚の正確な頭数は分からない。 ラボバンクでは、中国は昨年中に飼養していた豚の最大 55% を失ったと推測している。 だが、2018 年 8 月に最初の症例が発見されて以来、1 兆ドル規模の国内養豚セクターに関して中国政府が明らかにしたのは、より小さな損失だ。

グローバルな対応

米政府は空港や港湾に探知犬を配備し、感染対応訓練を実施、豚の検査体制を強化した。 フランス、ドイツでは感染を媒介する可能性のある数十万頭のイノシシを殺処分した。 またフランスはイノシシの侵入を防ぐために全長 132 キロ(82 マイル)にわたるフェンスを建設した他、豚の輸送に用いるトラックについて消毒を義務づけるなど、養豚農業の衛生規則を厳格化することを計画している。 タイでは、感染が確認されているミャンマーに近い県の豚を殺処分した。 韓国は北朝鮮との境界線に配備している兵士にイノシシの捕獲を命じ、ベトナムは感染した豚を確実に殺処分するために軍を動員している。

オーストラリアは、豚肉を密輸入した容疑でベトナムからの旅行者を強制送還し、豚肉製品の輸入を禁止した。 また、近隣国を ASF から守るため、太平洋島しょ諸国にアドバイザーを派遣している。 業界団体の豪州豚肉公社によれば、こうした取り組みが失敗すれば、同国は 5 年間で 20 億豪ドル(14 億米ドル)以上の損失が出る可能性があるという。 オーストラリアのマーク・シップ首席獣医官 (CVO) は、「商業養豚にとって、これまで見られたなかで最大の脅威であることは確かであり、あらゆる商業用家畜を含めても過去最大の脅威と言えるかもしれない」と語っている。

米当局者は、仮に ASF が検出された場合、農場間の移動や農場から食肉処理場への豚の国内輸送を停止することを計画している。 農務省と各州は、疾病を封じ込める手段として、一部地域の家畜の移動を停止する命令を出すことになるかもしれない。 農務省はロイターへの文書で、9 月の訓練では、豚の移動を制限するタイミングと方法に関して、農務省から各州への詳細な指導が不足していることが浮き彫りになったと述べている。 政府は、ASF を検査できる研究施設の数を増やしつつある。

9 月の訓練に参加した、ミネソタ州の豚肉生産者クリステンセン・ファームの動物福祉監査員アマンダ・ルイチェンス氏は、「不十分な点がいくつか確認できた」と話す。 「感染が米国内に及ぶことを考えるだけでゾッとする。」

「残飯給餌」を禁止

パイバーン氏によれば、ASF の米国内への感染拡大に関して、最大のリスクとなるのは、食肉を持ち込む旅行者である。 病原体は、豚肉製品に加工されても数週間は生き延びるからだ。 汚染された食品は、いわゆる「残飯給餌」と呼ばれる慣行により、野生化した豚や家畜の口に入る可能性がある。 農務省によれば、世界各地で、これが豚の疾病の発生原因になっているという。 米国の農家は、肉類を含む残飯を餌として豚に与える場合はライセンスを取得し、病原体を殺すために調理することになっている。

ASF は豚から豚への感染で、感染したダニに噛まれる、ウィルスに触れたトラックや衣類・靴などからの感染によって拡大する可能性がある。 中国は感染が見られた省や近隣地域からの生きた豚の輸送を禁止したが、感染拡大を防ぐ試みとしては失敗に終わった。 また、豚の殺処分や、残飯を豚の餌として与えることも非合法化されている。 ASF は、韓国、日本、オーストラリア、フィリピン、北アイルランドの空港で押収された食品からも検出されている。 フィリピンには、中国から密輸入された汚染豚肉を経由して ASF が入り込んだと考えられている。 フィリピンは現在、発生国から渡航した乗客の機内持ち込み手荷物の強制検査を行っている。

フィリピン中部のセブ州政府は、ASF を回避するため、輸入及びルソン島からの豚肉製品の持ち込みを禁止している。 ルソン島では、ASF のために 6 万頭以上の豚が死亡または殺処分となっている。 またフィリピン農務省では、空港、航空会社、港湾からの残飯を含む残飯給餌を禁止している。 米農務省は、ASF によるリスクに関する評価報告書のなかで、米国では通関手続地での検査率が低いため、違法な豚肉が検知されずに国内に入り込む可能性が増している、と述べている。 農務省は税関・国境警備局と協力し、新たに ASF 発生が確認された国が出るたびに、米国のすべての港湾・空港に警告を発し、旅行者や貨物の検査を強化するよう要請している。

だが税関・国境警備局では、空港などの入国地点に配置する農産物検査専門家が 3,148 人必要であると試算しているものの、現実には約 2,500 人しかいない。 米上院は昨年、要員不足が解消されるまでは、年 240 人の農業専門家を採用し、新たな探知犬チームを年 20 0チーム訓練・配備することを承認した。 農務省によれば、連邦政府は昨年、空港や港湾で働くビーグル犬チームを新たに 60 チーム承認したという。

他の議員とともに法案を提出したゲイリー・ピーターズ上院議員(ミネソタ州選出、民主党)によれば、こうしたチームは大きな課題に直面しているという。 「日々、何百万人もの旅行者、何万個もの貨物コンテナが食品を伴って我が国の国境を越えている」とピーターズ氏は言う。 「どの 1 人、どの 1 個をとっても、米国の食品供給と農業に大きな損害を与える可能性がある。」 (Tom Polansek、Reuters = 1-20-20)


中国で豚コレラ蔓延、マフィアが感染豚を転売し荒稼ぎ

中国ではアフリカ豚コレラ感染のまん延で、今年に入って飼育数の 3 分の 1 に当たる 2 億頭を超える豚が処分されるなど、食卓に欠かせない豚肉の価格が急騰しているが、これにいま、中国マフィアが目を付けているという。 アフリカ豚コレラに感染した豚を安く買い取って、他の省に運び、健全な豚の肉と偽って、高く売りつけたりして荒稼ぎしているというのだ。 中国国営新華社通信によると、中国の南西部、雲南省の警察当局は中国マフィアグループが他の省に移動させようとしたアフリカ豚コレラの感染豚 1 万頭以上を押収したという。

中国政府の通達により、感染豚は殺処分しなければならないが、同省の警察関係者は同省では一つのマフィアグループが 1 日に 4,000 頭もの感染豚を他の省に運んで、1 頭当たり 1,000 元(約 1 万 6,000 円)もの利益を上げているとみているという。 すでに、中国では感染豚が急増しており、豚肉の値段は 1 キロ当たり値段は従来の 20 元(約 320 円)からいまでは 53.3 元(約 853 円)と 3 倍近く跳ね上がっている。

マフィアグループは、これに目を付けて、感染、未感染に関わらず、豚舎から豚を盗み出して、他の地方に移動してから売り飛ばして荒稼ぎしているというのだ。 彼らの手口は巧妙で、感染豚の死骸を豚舎の近くに放置して、飼育者に対して「お宅の豚もアフリカ豚コレラにかかっているに違いない。 政府の通達で、もう、売れないだろうけれども、われわれが買い取ってもいいよ」などと声をかけて、安値で引き取るという。

また、河北省のあるマフィアグループは最近、感染した豚の一部を切り取って、ドローンで飛ばして、豚舎に投下。 多くの豚をアフリカ豚コレラに感染させて、引き取り交渉を行うというケースもあった。 中国の民間の経済研究機関は来年の春節(旧正月 = 1 月 25 日)の大型休暇中には品不足の豚肉が高騰し、従来の 5 倍の 1 キロ 1,000 円にも跳ね上がるとの予測を明らかにしており、豚肉をめぐって、ますますマフィアが暗躍することが予想される。 (Post/Seven = 12-28-19)


中国、豚肉高騰で飲食業界が窮地 代替メニューにも限界

[北京] 中国東部の青島市で「ポークリブご飯」を提供するレストランを経営する Cao Xianli さんは、この 10 年で最大の正念場を迎えている。 豚肉価格高騰で昨年の仕入れコストが 2 倍になっただけでなく、看板料理に必要な豚肉をこの先十分に確保できるかどうか分からなくなっているからだ。 Cao さんはロイターに「心配なのはいつまで豚肉を買うことができるかだ。 買えなくなれば、店を閉めざるを得ない。」と語った。

世界最大の豚肉消費国である中国は、アフリカ豚コレラ (ASF) の猛威に見舞われたため、豚肉を通常の 75% 程度しか供給できない状況。 つまり米国の全生産量に匹敵する約 1,350 万トンが市場から消えてしまった。 こうした豚肉の値上がりを受け、食品全体の価格までおよそ 8 年ぶりの高い上昇率を記録し、飲食業界とともにベテランエコノミストを驚かせている。 ノムラのルー・ティン氏らのアナリスト陣は 10 月のリポートに「過去 1 年でわれわれと市場は豚肉価格が跳ね上がるペースを過小評価していた」と記した上で、来年の物価上昇率を引き上げつつある。

鶏肉にも影響波及

豚肉価格高騰は、サプライチェーン全体に影響を及ぼしている。 割高な豚肉から鶏肉に仕入れを変更する動きが出たことから、鶏肉の卸売り価格は 1 年前に比べて 33% 上昇。 人気フライドチキンチェーンも蚊帳の外ではいられなくなった。 業界最大手 KFC は今のところ、鶏肉価格上昇に伴うコストの大半をサプライヤーに負担してもらうことで、コスト上昇を 10% 未満に抑え込み続けている。 親会社のヤム・チャイナ・ホールディングスの幹部は 10 月 28 日の電話会議でこう説明した。

KFC は、残りのコスト吸収のために鶏肉以外のメニュー数を増やし、鴨肉のサンドイッチやポルトベロマッシュルームのバーガーなども新規に投入している。 鴨肉は中国で最も価格が安い食肉だ。 また使用する鶏肉の部位をムネから手羽に変更してコスト圧縮を図っている。 同社は、来年も食品価格高騰という面で厳しい局面になると警鐘を鳴らしたが、消費者にコストの一部を転嫁することには「慎重になる」と表明した。

客離れの不安

数多くのより小規模な業者がひしめく食品出前セクターとなると、豚肉の値上がりや供給源に対処する方法はもっと少なくなる。 中国では今年になって豚肉輸入は確かに急増した。 だが 300 万トンと見込まれる輸入量では、国内需要を満たすことはできないし、中国政府の冷凍肉備蓄もごくわずかだ。 Cao さんは「われわれに及ぶ影響は極めて大きい。 売り物はポークリブ(の料理)だけだ。 品ぞろえを拡大する余地はない。」と話す。 もっとも Cao さんは約 10% の値上げで 1 皿 19 元にした後も、何とか客をつなぎとめられている。 「お客さんもほかに選択肢がないからやってくる。 豚肉を買いに市場にいったところで、もっと安い品は見つからないだろう。」と言う。

それでも販売価格引き上げによる客離れの不安を抱える業者もいる。 北京に拠点を置く中国式ハンバーガー専門チェーン会社 Xishaoye は、小幅値上げが事業に打撃を与えた結果、再値下げを強いられた。 HSBC の消費者アナリスト、リハ・ヤン氏は「非常に競争の激しい市場だ。 1 桁台前半を超える料金引き上げは無理だ」と指摘した。 Xishaoye は、豚肉の代わりに鶏肉や野菜を使った品の販売促進も再開することなどで、客足が遠のくのを食い止める努力をしている。 Meng Bing 最高経営責任者 (CEO) は、こうした取り組みのおかげで、傘下の 43 カ所のレストランの豚肉消費量は半減できたものの、今年の赤字はなお 600 万元強になるだろうと予測した。

Meng 氏は「総コストの 30 - 40% を原材料費が占める以上、原材料費が 20 - 30% 上がれば、赤字になる公算が極めて大きい」と説明する。 中国農業省は、来年終盤には豚肉生産が通常の 80% 程度まで戻るはずだとの見通しを示すが、他の多くの関係者によると、とりわけアフリカ豚コレラの感染がまだ広がっているだけに、農業省の考えは楽観的過ぎるという。 先月にいったん下落した豚肉価格は再び上げに転じており、高騰が早期に収まらなければ、もっと大きな企業でさえも重圧にさらされかねない。 (Sophie Yu & Dominique Patton、Reuters = 12-7-19)


アフリカ豚コレラの感染豚、死骸が台湾に漂着 FAO 報告書

【北京】 台湾で先週、アフリカ豚コレラ (ASF) に感染した豚の死骸が漂着していたことが分かった。 国連食糧農業機関 (FAO) が 14 日に発表した、最新の報告書で明らかになった。 中国政府は昨年 8 月、ASF の発生が国内で初めて確認されたと発表。 それ以降、中国本土では飼育豚に壊滅的な影響が出ている。 FAO によると、中国本土の福建省に近い、台湾の小金門島近海で今月 6 日、豚の死骸が浮いているのが見つかった。 死骸を検査した結果、中国本土に大打撃をもたらした ASF と同じ流行株の陽性反応を示したという。

FAO は、豚の死骸の漂着が報告されたのは今年 6 月以降で初めてとした上で、福建省における直近の ASF の発生は昨年 12 月だったと指摘した。 中国南西部の雲南省では今月、新たな ASF の流行が発生。 中国で確認された ASF の流行は、32 の省と地域で計 163 件となった。 公式統計は、昨年 8 月に ASF が最初に確認されて以来、100 万頭近くの豚が殺処分されたとしているが、実際よりも少なく見積もっていると広くみなされている。 先月 AFP の取材に応じた養豚業者によると、ASF の被害を受けた農家の中には、政府に申告せずに感染した豚をひそかに売却したり、死骸を廃棄したりする者もいるという。 (AFP = 11-16-19)


中国の米国産豚肉輸入、週間で過去最大に - アフリカ豚コレラで

10 月 3 日までの1週間の米国産豚肉輸入量が急増
中国ではアフリカ豚コレラで豚の飼育頭数が激減

中国は家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」で豚の飼育頭数が大幅に減ったことを受け米国産豚肉の輸入を増やしており、週間の輸入量は過去最大に達した。 10 日発表の米農務省データによると、10 月 3 日までの 1 週間の輸入量は 14 万 2,200 トンに急増した。 9 月全体の輸入量は 1 万 9,900 トンだった。 中国は国内の豚肉不足解消のため豚肉を最大 40 万トン輸入する可能性があると示唆している。 (Michael Hirtzer & Lydia Mulvany、Bloomberg = 10-11-19)


中国人旅客のソーセージから「豚コレラ」ウイルス遺伝子 那覇空港で 10 例も

沖縄県は 20 日、韓国で 17 日に家畜伝染病「アフリカ豚(とん)コレラ」の発生が確認されたことを受け、養豚業者などを集めた対策会議を那覇市内で開いた。 県は、中国などからの旅客が持ち込んだソーセージなどから、アフリカ豚コレラのウイルス遺伝子を検出した例がこれまで 10 例あると報告。 生きたウイルスではなかったため侵入の恐れはないが、養豚場でも衛生管理を徹底するよう呼び掛けた。 (沖縄タイムズ = 9-22-19)


中国、備蓄豚肉放出 1 万トン 豚コレラ流行受け

中国商務省は政府が今週、備蓄豚肉 1 万トンを競売にかけると発表した。 アフリカ豚コレラ発生の影響で豚肉の供給量が落ち込み、価格が高騰している状況に歯止めをかける構えだ。 備蓄豚肉を管理する国営企業は 17 日夜にウェブサイト上で、デンマーク、ドイツ、フランス、米国、英国などから輸入した冷凍豚肉を競売にかけると発表した。 ただし 1 入札者につき 300 トンの制限が付く。 この決定は 10 月 1 日に迎える 70 回目の建国記念日「国慶節」とそれに続く大型連休を控えて下された。

中国の巨大な養豚産業を襲った豚コレラは、これまでに 100 万頭以上の殺処分を余儀なくさせている。 中国で最もよく食べられる肉である豚肉の値段が高騰する中、当局は豚コレラの拡大を食い止めようと必死だ。 先週発表された公式統計によると、中国国内の 8 月の豚肉価格は前年比 46.7% 増と急上昇した。 これを受け、当局は戦略的備蓄肉に手を付けざるを得なくなった。 (AFP = 9-18-19)


アフリカ豚コレラで 1 億頭処分、緊急備蓄の放出も 中国

香港 : 中国で家畜の伝染病「アフリカ豚コレラ」が猛威を振るう中、これまでに処分された豚が国内の頭数の 3 分の 1 に上った。 中国政府や自治体は、豚肉市場を安定させるための対策を強化している。 中国の豚肉市場は世界で最も規模が大きく、中国での流通量は世界の半分を占める。 豚肉は中国の食事に欠かせない食材で、不足すれば社会的安定を脅かしかねず、世界の豚肉供給網が揺らぐ恐れもある。

政府は養豚場への補助金拠出や、豚肉価格の高騰にあえぐ消費者支援などの対策を打ち出しており、そうした取り組みに一層力を入れている。 政府の統計によれば、豚肉の小売価格は過去 1 年の間に 70% 近く高騰した。 卸売価格の平均は、8 月の最終週で前年同時期と比べて 90% 高となり、専門家はさらなる値上がりを予想する。 政府は 4 日、養豚場支援のための新たな対策として、豚の繁殖を奨励する措置を発表した。

これに先立ち商務省は、必要があれば非常用の冷凍豚肉の備蓄を放出すると表明していた。 放出するかどうかは市場の動向を見極めた上で決定する。 農務省が 3 日に発表した統計によると、7 月現在、中国で過去 1 年の間に処分された豚は 1 億頭を超えた。 一部の自治体は豚肉の購入に割当制を導入し、1 度に購入できる量に制限を設けている。 同時に豚肉を値下げして高騰分を相殺しようとする自治体もある。 例えば南部の南寧では今月、豚肉の値段が平均市場価格から少なくとも 10% 値下げされ、市民が購入できる上限は 1 日当たり 1 キロと決められている。 (CNN = 9-5-19)


中国の食卓も打撃 豚肉 5 割値上げ

米中の制裁関税合戦は、庶民の暮らしに影響を及ぼしている。 米国が一日発動した対中関税第 4 弾の対象品目は、生活必需品を多く含む。 中国ではこのところ家畜伝染病や天候不順などにより食品価格が高騰。 加えて米中貿易摩擦の激化が、価格高騰に拍車をかけるいきおいだ。 「今夜は水ギョーザなので豚のミンチ肉を買いにきたんだけど、こんなに高いんじゃ、少ししか買えないわね。」 北京市中心部の食肉青果市場。 買い物袋を提げた主婦が、店頭に並ぶ食肉をうらめしそうに眺めた。 豚肉 500 グラムが 23.5 元(約 360 円)。 数カ月前と比べ、すでに価格が 5 割ほど値上がりしている。

国家統計局が発表した 7 月の消費者物価指数は前年同期比で 2.8% の上昇だが、食品価格は同 9.1% も上昇した。 なかでも中国の食卓に欠かせない豚肉価格は同 27.0% の上昇だ。 中国政府によると、豚肉価格上昇の主な原因は、家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」のまん延による国内生産量の減少だ。 供給不足で米国などからの食肉輸入を増やしていたが、今後は関税引き上げが価格をさらに押し上げる。 加えて、米国産大豆など飼料作物の関税引き上げも、食肉価格に跳ね返る。

貿易戦争が庶民の生活を直撃するのは米国も同様だ。 制裁関税「第 4 弾」の対象は、トランプ米政権が国民生活への影響の大きさからこれまで避けていた、生活必需品を多く含む。 中でもスマートフォンやゲーム機などは中国からの輸入割合が高い。 特に消費者に影響が大きい品目は、クリスマス商戦後の 12 月 15 日まで発動が延期。 だがこのまま関税合戦が収束しなければ、米国の消費者への打撃は大きく、トランプ政権への支持率にも影響しかねない。

北京の市場を訪れた別の女性は「米中どちらに責任があるのか詳しいことは知らないけど、しわ寄せを受けるのは、結局いつも庶民なのよ」とため息をついた。 (坪井千隼 = 北京、東京新聞 = 9-2-19)