曽野氏コラムは「人種隔離容認」 南ア大使が産経に抗議 産経新聞社は 14 日、同紙の 11 日付朝刊に掲載された作家、曽野綾子氏のコラムについて、南アフリカのモハウ・ペコ駐日大使らから抗議を受けたことを明らかにした。 アパルトヘイト(人種隔離)政策を容認する内容だとして、インターネット上で批判を浴び、海外メディアも報じていた。 コラムは「労働力不足と移民」と題して、介護分野での外国人労働者の受け入れの必要性を指摘。 「居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい」と書き、人種差別の廃止後の南アで、生活習慣の違いから白人と黒人が分かれて住んだ例を紹介した。 産経新聞社広報部によると、大使からの抗議文は「アパルトヘイトを許容し、美化した。 行き過ぎた、恥ずべき提案。」との内容だった。 NPO 法人「アフリカ日本協議会(東京)」も産経新聞社と曽野氏に抗議したという。 コラムをめぐっては、掲載後からツイッターで「アパルトヘイト擁護だ」などと問題視する声が広がり、ロイター通信など海外メディアが「首相の元アドバイザーがアパルトヘイトを称賛」といった見出しで報じた。 産経新聞は「当該記事は曽野綾子氏の常設コラムで、曽野氏ご本人の意見として掲載しました。 コラムについてさまざまなご意見があるのは当然のことと考えております。 産経新聞は、一貫してアパルトヘイトはもとより、人種差別などあらゆる差別は許されるものではないとの考えです。」との小林毅・東京編集局長のコメントを出した。(斉藤佑介、asahi = 2-14-15) 外国人介護労働者受入れ OK だが - 楢原多計志 1 月 27 日、厚生労働省の検討会が外国人技能実習制度の対象職種に「介護」を追加することを容認する中間報告をまとめた。 安倍晋三首相の直言もあり、「先に結論ありき」の感は否めないが、中間報告を読むと、介護業界や経営団体、労働団体の間には埋めきれない溝が …。 ■ 消えない疑念 「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」 名称は長いが、7 回の討議で出した結論は「条件付き OK。」 どんな条件か。 検討会は具体的な論議に入る前には 3 つの基本姿勢を打ち出した。 少し長いが、今の技能実習制度に対する検討会構成員の思いがよく表れているので、紹介したい。
外国人介護労働者を歓迎する気がないように読める。 それでも、ゴーサインだ。 なぜ、歓迎できないのか。 厚労省は 2025 年までに約 30 万人の介護職員増員が必要と発表。 介護事業者はのどから手が出るほど介護人材が欲しがっている。 だが、今の外国人実習制度の枠内で受け入れた場合、介護職のイメージダウン、賃金低下など処遇悪化、利用者離れを誘発するのではないか -、という疑念が消えないからだ。 ■ 消えない悪評 1993 年かに始まった外国人技能実習制度は、発展途上国の外国人を労働者として 3 年間限定で「技能実習生」として受け入れる制度。 現在、農業、製造業など 68 業種が対象で、中国、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどアジア諸国を中心に約 15 万人が就労している。 制度の目的は「優れた日本の技能を海外に移転させるため」だが、多くの受入事業者からすれば、「日本人労働者が嫌がる仕事をやってくれる」というのが本音であり、技術移転の名を借りた外国人労働力確保というのが実態に近い。 しかも日本人労働者との賃金差別、賃金未払い、社会保険適用逃れ、劣悪な住居環境、集団離職(逃亡)、技能指導の欠落などがたびたび指摘され、2010 年にやっと最低賃金制の適用など雇用基本ルールが適用された。 背景には、人手不足に加え、「安い労働力」の獲得を目論んで外国人を受け入れてきた事業者の思惑と、技能習得より高い賃金を稼ぐために入国する多くの外国人労働者の存在がある。 どっちもどっちだが、技能移転に真摯に取り組む事業者や真剣に学んでいる実習生からみれば、こうした実態は不愉快極まりないないだろう。 介護が、これまでの実習職種と根本的に異なるのは、公的財源をベースにした対人サービスであることだ。 名ばかりの座学や単純労働ばかり繰り返すような実習は許されない。 最悪の場合、利用者の命や健康にも影響しかねないからだ。 また超高齢社会下での職務・職責の重大性からみても日本人介護職員同等の処遇は当然だ。 ■ 日本語能力「N4」 中間報告は 7 つの受入れ条件を示した。 (1) 技術移転の範囲を明確にする(食事や排せつなどの身体介護は必須)、(2) コミュニケーション力を確保する(入国時、基本的な日本語が理解できる「N4」程度を要件とするが、日常的に使う日本語を理解できる「N3」程度が望ましい)、(3) 評価システムを構築する(毎年修了時ごとにレベルを設定)、(4) 実習機関の範囲を設定する(居宅系サービスは除外)、(5) 実習体制を確保する(特養など常勤職員に応じて受け入れ)、(6) 日本人との同等処遇を担保する(賃金台帳の確認など)、(7) 監理を徹底する(実習実施機関を監督指導できる機関の設置)。 どれも当然と言えば、当然だが、この条件を完全にクリアできるのか。 (2) では日本語能力のレベルが論議の的となった。 「入国前なら日本語能力は N4 程度でもいい。 実習や生活を通じて言葉や会話は進歩する」と受け入れに積極的な介護施設団体や経済団体。 「最低でも日常会話ができなければ利用者と意思疎通ができない」と慎重な介護福祉士養成機関や学識経験者。 「だれがレベル到達を判定するのか」と受入れそのものに疑問視する労働団体。 はっきり温度差が出た。 検討会の中間報告などを受けて政府は、外国人技能実習制度の改正準備に入る。 16 年度から実習期間を 3 年から 5 年に延長し、介護の場合、介護福祉士資格を取得者には在留期間の延長を認める方針だ。 (楢原多計志 = 共同通信客員論説委員、BLOGOS = 2-3-15) 外国人の介護実習生、日本語条件は「小学校低学年程度」 厚生労働省は 26 日、外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度で受け入れる介護人材について、その条件とする日本語の能力を、入国時点で「基本的な日本語が理解できる」レベルにする方針を決めた。 小学校低学年程度にあたる能力という。 主な日本語の能力試験は読む力と聞く力を試し、5 段階で認定している。 厚労省の有識者検討会はこれまで、小学校高学年程度とされる第 3 段階の「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」レベルを軸に検討してきた。 ただ、介護業界の委員から、実習後に帰国する外国人にあらかじめ求める能力としては高すぎるとの意見が出ていた。 さらに実習 1 年目は指示された作業をその通りやることが中心と想定されることもふまえて再検討。 26 日の議論とりまとめの検討会で、入国時点では 1 段階レベルが低い小学校低学年程度の試験に合格すれば受け入れを認めることにした。 (蔭西晴子、asahi = 1-27-15) 介護職、外国人を拡大 厚労省素案、技能実習の対象に 厚生労働省は 23 日、介護現場で働く外国人の受け入れを増やす対策の素案をまとめた。 外国人が働きながら日本の技能を学ぶ「外国人技能実習制度」の対象職種を介護にも広げ、最長 5 年受け入れる。 一定の日本語能力がある人が条件で、設立から 3 年以上たった介護施設で働く。 技能実習制度は最長で 3 年間受け入れる仕組みだが、建設など他の対象職種も含めて期間を 5 年に延長する方針だ。 通常国会に関連法案を提出し、2015 年度中の施行を目指す。 16 年度には介護の実習生の第 1 陣が来日する見通し。 当初は中国やベトナムなどから数百人程度を受け入れる。 介護現場への受け入れでは外国人に一定の日本語能力を求める。 素案では日本語能力試験の中レベルで、日常会話や新聞の見出しが分かる「N3」程度を求めた。 介護の業界団体からは入国時は基準を緩め、基本的な文章やゆっくりした会話が分かる「N4」レベルも認めるべきだとの提案があり、26 日のとりまとめに向けて調整する。 介護現場には掃除や洗濯、事務など介護以外の仕事に携わる人も多いが、外国人実習生は介護職に限定する。 設立から 3 年以上経た特別養護老人ホームなどに限り、訪問介護は対象外とする。 介護福祉士が指導員として付くなど外国人をサポートする体制を求める。 法務省と連携して、介護分野にかかわる在留資格も拡充する。 大学など日本の養成施設で学んで介護福祉士の資格を取った人に、専門人材としての在留資格を新たに認める。 資格の更新回数に制限はなく長期にわたり働けるようになる。 出入国管理法を改正する方針。 (nikkei = 1-24-15) |