無税天国・ドバイのたそがれ時 駐在員、続々自国へ

砂漠の真ん中に華やかな高層ビルが初めて出現してからというもの、中東ドバイは急激な変化に順応してきた。 むろん、これまでも景気の浮き沈みとも無縁ではなかった。 だがここにきて様相は異なり、疲弊がじわじわと進行している。

駐在員、続々自国へ

この都市国家を象徴する建設業者は開発を推し進め、至る所でクレーンが稼働している。  だが、次々と出来上がるオフィス用スペースに入居者がいるのか、誰も定かでない。 ドバイの商業施設は以前より空き区画が目立つようになった。 この地で生活や事業を営むための費用が高騰する中、経済の活力源である海外駐在員は自国に帰り始めている。 エミレーツ航空からエマール不動産に至る主力企業が先ごろ発表した 2018 年第 3 四半期決算は期待外れに終わり、ドバイ株式相場は年間ベースで 08 年以来で最悪の下落へ向かっている。

企業の不安感は今年 4 月時点で既に明らかだった。 ドバイのムハンマド首長が宮殿に 100 人以上の経営者を招集した会合で、経営者らは無税天国ドバイの比較優位を脅かしている法外な政府手数料や、失職した外国人が帰国を余儀なくされる厳格なビザ取得要件などについて問題提起した。 だが、ドバイを疲弊させている問題の解決策は統治者一人では見いだせないかもしれない。 ムハンマド首長や歴代首長は漁村にすぎなかったドバイを中東の金融と貿易、観光の一大拠点へ変貌させたが、今やこの地域は常に変化している。

14 年以降の原油価格下落は、ドバイに巨額の投資を行っていた近隣のペルシャ湾岸産油国に打撃を与えた。 貿易拠点としてのドバイの機能も、世界的な関税戦争や米国の対イラン制裁発動などの影響で弱まりつつある。 より深刻な問題もある。 東のスイス的な位置付けで成長してきたドバイはこれまで、しばしば武力を伴う地域紛争からは遮断された事業展開が可能な場所だったと、ドバイに関する著作のあるジム・クレーン氏は分析する。

ドバイが属するアラブ首長国連邦 (UAE) は今や、地域紛争における活発なプレーヤーとしてリビアやイエメンの内戦に介入し、サウジ主導の対カタール断交にも参加している。 「この状況はドバイ自らの失策が招いたわけではないものの、近隣諸国と戦争を始めるか貿易を行うか二つに一つしかない。 両方を行うのは非常に困難だ。」とクレーン氏は語る。

"拠点" 競争が激化

一方で、戦略が奏功した結果の壁にも直面している。 ドバイは資源に乏しい故に脱・石油経済を構築する必要に迫られたが、その他の中東諸国も 14 年の原油暴落を受けて模倣し始めた。 各国が石油後の時代を見据え、中東の拠点となることを目指している。 ドバイはこの役割で依然として突出しているが、問題は高コスト構造だ。 米コンサルティング会社マーサーによれば、海外駐在員にとって最も生活費が高い都市のランキングにおいて、13 年の 90 位から今や 26 位にまで上昇した。

ドバイで 8 年間過ごした債券トレーダーのドノバン・シュラム氏は数カ月前、3 人の友人と同じく帰国を決めた。 「家族で暮らすには非常に高くつき、家賃から学費まで何でも前払いの文化がある」という。 金融から小売り、エネルギー分野に至る企業が収益悪化から 15、16 両年に「大量解雇」を行って以降、雇用は減る一方だとマーサーの中東部門責任者、ヌーノ・ゴメス氏は話す。 同社が今年 500 社を対象に行った調査では、半数が雇用を増やす計画がなく、成長率が 13 年の水準に回復するとは期待していないことが示された。

隣接するアブダビ首長国は過去 3 年で 140 億ドル(約 1 兆 5,828 億円)規模の景気刺激策を打ち出した。 ドバイのムハンマド首長は今年 4 月の企業トップたちとの会合後、授業料引き上げの凍結や外資規制緩和、政府手数料の減額など多くの支援策を進めている。 ビザ要件も緩和されつつあり、人口の 8 8割を占める海外駐在員はより長期間滞在しやすくなった。

政府が取り組んでいないのが建設の抑制だ。 米不動産ブローカーのジョーンズ・ラング・ラサールの中東調査責任者、クレイグ・プラム氏はこれを問題視し、エマールら政府系不動産開発大手に責任があると指摘する。 人口と消費支出の増加を上回るペースで新たな物件が建設される中、家賃や住宅価格は軒並み下落している。 土地売却収入を得るため、当局は建設を制限して市場安定化を図ることに消極的だ。

そうした中、政府や建設業者、企業は一様にあるイベントに希望を託している。 20 年のドバイ国際博覧会(ドバイ万博)だ。 将来の展望を示すことが万博本来の目的だが、開催に向けた設備の整備自体が目標のようになっている。 「最大の救いだ」と UAE の銀行最大手エミレーツ NBD の地域担当責任者、ハティージャ・ハーク氏は述べた。 (Zainab Fattah、Bloomberg = 12-15-18)


G20 の貿易制限、最大規模 WTO 調査、6 倍の 54 兆円

世界貿易機関 (WTO) は 22 日、世界貿易の大部分を担う 20 カ国・地域 (G20) が 5 - 10 月に取った追加関税などの貿易制限措置が 40 件で、対象額は 4,810 億ドル(約 54 兆円)に上ると発表した。 前回調査(2017 年 10 月 - 18 年 5 月)と比べ 6 倍を超える規模となり、12 年に統計を取り始めてから最大となった。 トランプ米政権による追加関税や各国の報復関税が含まれ、大きく膨らんだ。 WTO のアゼベド事務局長は「国際社会にとって深刻な懸念だ」と警告。 事態が悪化し経済成長や雇用に悪影響が及ぶ恐れがあるとして、G20 首脳に解決に向けた指導力発揮を求めた。

WTO によると、新たな追加関税や輸入禁止などの貿易制限措置は月平均 8 件で、前回の 6 件より増加した。 米国は中国からの計 2,500 億ドル分の輸入品に追加関税を課し、中国が報復。 欧州連合 (EU) やカナダなどは米国による鉄鋼輸入制限に対して報復措置を取った。 (kyodo = 11-23-18)


原油価格が急落、1 年ぶり安値 世界経済の減速に懸念

原油の価格が 2017 年 11 月以来、ほぼ 1 年ぶりの安値をつけた。 13 日のニューヨーク商業取引所で、指標となる「米国産 WTI 原油」の先物価格が急落し、前日比 4.24 ドル (7.1%) 安い 1 バレル = 55.69 ドルで取引を終えた。

世界経済の減速懸念が強まるなか、原油の需給が国際的に緩むとの見方から、史上最長の 12 営業日連続での下落となった。 影響は国内のガソリン価格にも及びそうだ。 石油輸出国機構 (OPEC) は、19 年の需要見通しを 13 日に引き下げた。 非加盟国による原油の増産ペースが需要の伸びを上回ると予測した。 原油がだぶつく、との見方が市場で強まった。

OPEC と非加盟国のロシアなどは、年末までの予定だった原油の協調減産を延長できないか模索している。 これに対し、米トランプ大統領は 12 日のツイートで「できれば減産してほしくない。 原油価格はもっと低いはずだ!」などとクギを刺した。 米国内のガソリン価格の動きに神経質になっているからだ。 OPEC などが協調減産に踏み込めるのか不透明感が強まった。

WTI 先物価格は 10 月に 1 バレル = 76 ドル台の高値をつけた。 ただ、対米貿易摩擦を抱える中国など新興国で成長鈍化の兆しが出てきたことを背景に、下落傾向に転じた。 米国のイラン制裁をめぐり、日本を含む一部の国が、イラン産原油の禁輸対象から一時的に外れたことも原油の需給が緩むとの観測を強めた。 国内のレギュラーガソリンの全国平均価格は、日本エネルギー経済研究所石油情報センターによると、11 月 5 日時点で 1 リットルあたり 158.7 円。 10 月下旬に 3 年 11 カ月ぶりの 160 円台をつけた後、2 週連続で値下がりしている。 (江渕崇 = ニューヨーク、桜井林太郎、asahi = 11-14-18)


ホンダ、米生産の高級車を中国移管 関税影響減らす

ホンダは高級車ブランド「アキュラ」の中国生産を増やす。 米国から輸入していた多目的スポーツ車 (SUV) の新型を中国生産に切り替えて 2018 年内に発売する。 米中摩擦の激化で米国からの輸入車には 40% の関税がかかる。 高関税の影響を減らすために生産車種を見直す動きが広がりそうだ。 ホンダは中国で広州汽車集団と東風汽車集団との合弁 2 社で四輪車を生産している。 18 年 3 月期の中国での新車販売台数は 145 万台と最大の米国(164 万台)に次ぎ、ホンダ全体の約 3 割を占める。

中国で 18 年内に発売するアキュラの中型 SUV 「RDX」の新モデルは合弁の 1 社、広汽ホンダの工場でこのほど生産を始めた。 従来は米国の工場から輸入販売していた。 米国からの移管は 18 年 7 月に米中が双方に追加関税を発動し、貿易戦争が本格化する前から検討してきた。 現地の需要を取り込むとともに、コスト競争力を高める狙いがある。

中国は市場開放策として、7 月から輸入車関税を 25% から 15% に引き下げたが、米国製の輸入車は 40% に引き上げている。 新型 RDX は一部の部品で引き続き米国製品を使うため、この部品に関税はかかるが、車両自体への高関税はなくなる。 従来モデルは 39 万 9,800 元(約 640 万円)からだった。 新型は 2 割ほど安くなる。

貿易戦争の影響で独 BMW やダイムラーは中国で輸入販売する米国製自動車を値上げしている。 新型 RDX は現地生産化で高級車の中でも比較的割安となる点を訴求ポイントに据える。 ホンダは中国で 06 年からアキュラの輸入販売を開始。 16 年からは広汽ホンダで現地生産に乗り出した。 新型 RDX は 3 つ目の現地生産車となる。 ホンダは大手自動車メーカーのなかで現地生産が進んでいる。 17 年の販売台数にしめる現地生産比率は米国は 74%、中国では 99% だった。

それでもホンダが中国での現地生産を増やすのは関税適応力を高めるためだ。 中国では米中の貿易戦争で米国製輸入車に追加関税が課せられる前も輸入車には 25% の高関税がかかっていた。 このため、中国における 17 年のアキュラ販売は 1 万 6,348 台と全体の 1% にとどまっている。 中国の消費者の高級志向で伸びしろは大きいとみており、新型 RDX は現地生産を機に販促活動も強化する。 従来モデルの 10 倍以上となる年 1 万台以上を目指す。

中国の新車市場は減速感が強まる。 10 月は前年同月比 11.7% 減(約 238 万台)で 4 カ月連続のマイナス。 1 - 10 月の累計販売台数がマイナスに転じた。 18 年通年でも 28 年ぶりにマイナス成長となる見通しだ。 景況感の悪化や貿易戦争による消費者心理の落ち込みで「踊り場に入った(ホンダの水野泰秀中国本部長)」との見方は強い。 (nikkei = 11-12-18)


東電がベトナムの水力発電事業に参画

東京電力ホールディングス (HD) は 9 日、ベトナムの水力発電事業に出資したと発表した。 東電が海外の水力発電事業に参画するのは初めて。 日本の水力発電事業で培った技術やノウハウを活用し、現地の発電所の効率化などに取り組む。 2016 年に運転を始めたベトナム北部ラオカイ省のコクサン水力発電所(2.97 万キロワット)に出資した。 発電所の施設を保有する現地の発電事業者に出資するシンガポール企業の株式を 36.38% 取得した。 投資額は公表していない。

東電は福島第一原発事故による巨額の廃炉・賠償費用を抱え、収益力の改善と企業価値の向上が大きな経営課題となっており、再生可能エネルギーの推進に力を入れる。 東電 HD の小早川智明社長は今年 6 月、グループ全体で海外の水力と国内外の洋上風力で計 600 万 - 700 万キロワット規模の開発を進め、年 1 千億円の利益増をめざす方針を示した。 その初めての案件となる。 今回はすでに稼働した小さい発電所への出資だが、ベトナムなど東南アジアは水力発電開発の潜在力が高い。 今後は発電所の建設も含めた事業参画をめざす。 (桜井林太郎、asahi = 11-9-18)


トランプ政権「米国第一」継続へ ねじれ議会と対立必至

トランプ米大統領の任期前半の信任が問われた中間選挙が 6 日に投開票され、連邦議会下院では野党・民主党が都市部や郊外の選挙区で票を伸ばし、8 年ぶりに過半数を奪還した。 一方で、上院は与党・共和党が現有よりも議席を伸ばす勢いで、上下院で多数派が異なる「ねじれ議会」となる。 トランプ氏はこれまで通り「米国第一」主義の政策を進めるとみられるが、下院と対立するのは必至だ。

下院(任期 2 年)の 435 議席すべてと、上院(任期 6 年、定数 100)のうち 35 議席が改選された。 トランプ氏が就任後初めて国民的な審判を受ける今回は、上下両院で共和党が過半数を維持できるかが最大の焦点だった。 下院は、民主が改選前の 193 議席から大幅に積み増し、過半数の 218 議席以上となった。 ABC の出口調査では、トランプ氏の支持は 44%、不支持は 55% で、この支持率が議席に反映された。

民主は女性や若者、黒人や移民、性的少数者らに訴え、「反トランプ氏票」を掘り起こし、党のイメージ色にちなんだ「ブルーウェーブ(青い波)」を起こす戦略をとった。 支持基盤の都市部に加え、バージニア州やペンシルベニア州、フロリダ州などの郊外の選挙区で、女性候補が共和党現職を破った。 民主が下院を奪還するのはオバマ政権の 2010 年以来となる。

民主党が下院で多数派となり、下院議長や外交、歳入など全委員長ポストを独占する。トランプ氏や側近のスキャンダル・疑惑を議会で追及できるほか、大統領には法案や予算の提出権限がないため、「ねじれ議会」でトランプ氏は民主党と対立する政策を実現しにくくなる。 民主下院トップのペロシ院内総務は、ワシントンの集会で「(今日の勝利は)民主党や共和党を超えたもの。 憲法を回復させ、トランプ政権の専制をチェックする。」と話した。

一方、共和党とトランプ氏は、劣勢だった下院よりも、過半数を維持しやすい上院の選挙区を重視する戦略をとった。 全 100 議席のうち今回選挙になったのは 35 議席(二つの補選を含む)。 共和は改選されない議席を 42 持っていたため、あと 8 議席を取れば、過半数を維持できるためだ。

トランプ氏は 16 年の大統領選当選の原動力となった中西部や南部の激戦州をまわり、好調な経済と株高、歴史的な失業率の低さを政権の成果としてアピールした。 選挙戦終盤には中米からの「移民キャラバン」を犯罪と結びつけて恐怖をあおる手法で保守的な支持層を固めた。 トランプ氏が指名した保守的な最高裁判事が承認されたことも、追い風になったとみられる。

共和党はインディアナ、ミズーリ、ノースダコタの各州で民主現職から議席を取り返した。 米 CNN によると、日本時間午後 7 時現在で、共和が 51、民主が 45 。 トランプ氏は大勢が判明した 6 日夜、「今夜はものすごい成功だ。 みんなありがとう!」とツイートした。 36 州であった知事選は、同時刻現在、民主が少なくとも 6 州で取り返した。 州知事は州の予算配分などに大きな権限を持ち、10 年ごとの下院の選挙区見直しなど、選挙行政にも影響力がある。 (ワシントン = 香取啓介、asahi = 11-7-18)


水の都ベネチアが冠水、観光客が孤立 欧州で悪天候

イタリアを暴風雨などの悪天候が襲い、30 日までに少なくとも 11 人が死亡した。 運河に囲まれ「水の都」と呼ばれる北部ベネチアは、街が冠水。 観光名所のサンマルコ広場が閉鎖された。 各地で多くの観光客が孤立しているという。 AFP 通信などが報じた。

欧州では 29 日から、南部や中部で大雨や暴風、大雪に見舞われた。 イタリアでは、落木に当たったり、高波に巻き込まれたりして、死者が相次いだ。 また、スイスとの国境沿いでは大雪のため、約 170 人の観光客やホテルの従業員が取り残された。 フランスでも 1 千台以上の車が立ち往生したという。 (高田正幸、asahi = 10-31-18)


日本のパスポートで自動化ゲート OK に 英国の空港

日本のパスポートを持つ人が英国を訪れる際、空港での入国検査の行列を回避できるようになりそうだ。 英国のハモンド財務相は 29 日の予算方針演説で、英国の空港で迅速に出入国の手続きができる「自動化ゲート」を日本や米国などのパスポートを持つ人にも使えるようにすると発表した。 英国の空港にある自動化ゲートは現在、欧州連合 (EU) 加盟 28 カ国にノルウェーなど 3 カ国を加えた欧州経済領域 (EEA) のパスポートを持つ人や、英政府から特別な許可を得た人らに限られている。

今回、その対象国を来年夏までに増やし、自動化ゲートの利用を日本、米国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアのパスポートを持つ人にも広げるという。 ロンドンの玄関口であるヒースロー空港は入国審査に長蛇の列ができることで知られる。 英 BBC によると、観光シーズンにあたる今年 7 月には、EEA 以外からの旅行者が入国審査に最大で 2 時間 38 分待つ日もあったという。 (ロンドン = 寺西和男、asahi = 10-30-18)


時間厳守のドイツ、サマータイムは「つらいよ」 廃止へ

欧州で実施されてきたサマータイム(夏時間)が、来年を最後に終わる見通しだ。 夏に 1 時間だけ時計を早める制度は、ドイツで特に嫌われていた。 それはなぜか。 会社員のルース・アファヤさん (52) にとって 3 月最終週の日曜日は憂鬱な季節の始まりだ。 研究施設の助手として働く。 朝 5 時過ぎには起床する。 それがこの日を境に 1 時間早まる。 「睡眠不足で頭がぼうっとする日が続く。 早く寝ようと思っても、なかなかリズムを変えられない。」

冬時間の間は午後 10 時ごろに寝て、目覚まし時計を使わずに起きる。 その生活が崩れ始める。 夏至に向けて日が長くなり、ドイツでは午後 10 時近くまで外が明るい。 ますます寝るのが難しくなる。 睡眠不足で、消化の具合も悪くなる。 そんな状態が 10 月最終日曜日に冬時間に戻るまで続く。 「もう誰か助けて、って感じです。」

野党の自由民主党 (FDP) で議員の政策スタッフを務めるローラント・フィンクさんも廃止論者。 やはり夏時間開始後の 1 週間は体がきつい。 地方選挙と重なった 2 年前は睡眠不足がこたえた。 「何か合理的な理由で、つらい思いをするなら納得できるのですが。」 FDP は今年 3 月、欧州連合 (EU) に夏時間廃止を求める動議を連邦議会に提出した。 (ベルリン = 高野弦、asahi = 10-27-18)

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EU が「夏時間やめます」市民の 84% 「廃止」

【ブリュッセル = 横堀裕也、ベルリン = 井口馨】 欧州連合 (EU) の執行機関・欧州委員会は 31 日、域内全域で導入しているサマータイムを廃止する方針を表明した。 今後、サマータイムの採用を義務づけた共通ルールの改正案を加盟各国と欧州議会に提案し、承認を得たい考えだ。 EU は現在、全 28 加盟国が 3 月の最終日曜日に時計を 1 時間早め、10 月の最終日曜日に元に戻している。 最近では健康被害などを懸念する声が強まり、欧州委はサマータイムの有効性について調査していた。

欧州委が7月から行っていた意見公募には 460 万件の回答があり、暫定結果によると、「健康への悪影響」や「省エネ効果がない」などの理由で、84% が「廃止」を求める意見だった。 欧州委のユンカー委員長は 31 日、独公共放送 ZDF のインタビューで「大多数の市民が時間変更を望まないと意思表示した。 市民の意見を尊重する。」と述べた。 (asahi = 9-1-18)


「安田さん解放に身代金」 = カタール支払いとシリア監視団

【カイロ】 シリア入国後に行方不明になり、解放情報が伝えられたフリージャーナリストの安田純平さん (44) について、在英のシリア人権監視団は 23 日、解放に際し「多額の身代金が支払われた」と主張した。 信ぴょう性は不明。

日本政府は、テロリストに身代金を払わないというのが公式の立場。 人権監視団のアブドルラフマン代表は「身代金は日本ではなく、カタールが支払った。 記者の生存や解放に尽力したという姿勢を国際的にアピールするためだ。」との見方を示した。 菅義偉官房長官は 23 日深夜(日本時間)の記者会見で、解放の情報はカタールから提供されたと述べていた。 人権監視団によれば、安田さんとみられる男性はシリア北西部イドリブ県の西部で拘束されていた。 4 日ほど前にシリア領内でトルコの仲介により、トルコと関係の深い非シリア人武装組織に引き渡されたという。 (jiji = 10-24-18)


世界の競争力、日本は 5 位 女性の労働参加では 64 位

世界経済フォーラム(WEF、本部スイス・ジュネーブ)は 17 日、今年の「国際競争力レポート」を発行した。 最新の世界競争力ランキングで、日本は 5 位となった。 研究費や特許出願の多さ、交通機関などのインフラの質の高さなどが評価された。

1 位には米国が入り、アジア・オセアニア地域ではシンガポールが 2 位、オーストラリアが 14 位、韓国が 15 位、中国が 28 位などとなった。 項目別では日本は「イノベーション力」で 6 位、「健康」が 1 位。 治安の良さや寿命の長さが評価される一方、起業にかかるコストや時間が課題とされた。 女性の労働参加の指標では 140 の国・地域で 64 位だった。 (ウィーン = 吉武祐、asahi = 10-17-18)


IMF、世界経済見通しを下方修正 背景に米中摩擦激化

国際通貨基金 (IMF) は 9 日、最新の世界経済見通しを発表した。 2018 年の世界全体の成長率は前年比 3.7% を見込み、前回 7 月時点の 3.9% から引き下げた。 米中通商紛争の激化などが背景にあり、見通しの下方修正は 2 年 3 カ月ぶりだ。 米国がリードしてきた経済成長の潮目が変わることへの懸念を強くにじませた。

IMF は「貿易を巡る緊張が高まり、多国間のルールに基づいた通商秩序から離反が進みかねないことが重要な脅威だ」と指摘。 米政権が 9 月、知的財産侵害を理由に中国への追加関税の「第 3 弾」に踏み切ったことに触れ、通商摩擦の激化が「企業心理の悪化や金融市場の不安定化を引き起こしたり、投資と貿易の伸びを遅らせたりしかねない」と強く警告した。

地域別では、米国はトランプ政権の減税による効果が引き続き底堅いとして、18 年は 2.9% と前回予想を据え置いたが、「第 3 弾」の発動を踏まえ、19 年は 0.2 ポイント引き下げて 2.5% と下方修正した。 中国も 18 年は 6.6% と据え置いたものの、19 年は 0.2 ポイントの悪化を見込み、6.2% と予測する。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 10-9-18)


サブプライムの悪夢もう一度? 米で膨らむ新たなローン

世界中を不況に陥れた 2008 年 9 月のリーマン・ショック。 米住宅バブル崩壊は金融商品を通じて世界に損失をまき散らした。 巨利をむさぼったウォール街は政府に救われ、不公正への怒りは社会に深く刻まれた。 バブル再燃が語られる今、当事者たちは何を思うのか。

異変、気づいた時は手遅れ

貸せば貸すほど大もうけ。 宴はずっと続くと信じ込んでいた。 異変に気づいたときには手遅れだった。 1995 年、米ロサンゼルス郊外でブラッド・モリス氏 (62) は仲間数人と「ニューセンチュリー・フィナンシャル」を立ち上げた。 信用度の低い人向けの住宅金融「サブプライムローン」に特化した貸付会社だった。 2001 年の米同時多発テロが、皮肉にも飛躍のきっかけになった。 景気を下支えしようと米連邦準備制度理事会 (FRB) が利下げを加速。 低金利の住宅ローンを貸せるようになり、住宅価格もうなぎ登りだった。

審査は 12 秒以内 - -。 効率的にローンをさばくため、借り手が自己申告したデータを入力すれば、自動的に融資を判断するプログラムをつくった。 住宅価格が上がる限り、もし返済に行き詰まっても家を売ってもらえばすむ。 後から思えば、審査は緩すぎた。 手がけたローンは 00 年の 40 億ドルから 06 年は 600 億ドル(約 7 兆円)に迫った。 従業員約 8 千人、200 カ所以上の事務所を持つ全米最大級のサブプライム会社になった。 「といっても、うちの役回りはただの導管。 すべてを振り付けたのは、ウォール街だ。」

米大手投資銀行はまず、ローンの元手をサブプライム会社に貸し付けた。 ローンが売れると、今度はそれをまとめて買い取って証券化。 世界中の投資家に売りまくった。 「どうしたらもっとローンを譲ってもらえますか?」 モリス氏がニューヨークに出張するたび、ゴールドマン・サックスなどの銀行家がせっついた。

住宅価格は 06 年を境に下落に転じる。 しかし貸し付けを減らす決断はできず、ウォール街も貪欲さを失わなかった。 宴のさなかで、「そこが頂点だとは確信できなかった。」 焦げ付きが増えると、投資銀行からローンの買い戻しを迫られた。 会社は 07 年春にあっけなく破産。 一連の金融破綻の先駆けとなった。 モリス氏は会社を追われ、米当局と投資家に罰金や賠償金を支払った。 「一番荒稼ぎしたウォール街は、あとで政府に救われた。 なんて皮肉だ。」 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 10-5-18)

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貿易戦争下の米株最高値 リーマン OB の警告届くか

「9.15」から約 1 週間が過ぎ、リーマン・ショック 10 年を回顧する世の中のムードも一巡したようだ。 市場の話題は、貿易戦争の激化にもかかわらず過去最高値を更新した米国株の力強さに集中している。 だが、そういう時だからこそ、改めて 10 年前の「9.15 後」の出来事に思いをはせてみたい。

破綻 1 週間後に届いたメモ

「ワシントン(米政府)は経済の安定と投資家の信頼回復に向け、市場の流動性を高めるための『ビッグバン』アプローチを採用するようだ。」 リーマンの株式調査部門から、こんなメモが電子メールで記者に届いたのは 2008 年 9 月 22 日のことだった。 米連邦破産法の適用申請から 1 週間後。リーマンは投資銀行としての活動をすぐに止めたわけではなく、顧客やメディアに向けた調査リポートなどの配信は細々と続けていた。 ただ、広報体制が混乱しており、20 日付のメモが届くまでに 2 日かかった。

メモにある「ビッグバン」とは、最大 7,000 億ドル(当時のレートで約 75 兆円)の不良資産の買い取りを柱とする米金融安定化法案を指す。 金融危機の拡大を食い止めるためにヘンリー・ポールソン長官(当時)率いる米財務省がとりまとめ、議会への根回しに動いていた。

皮肉というほかない。 金融安定化法は資金繰りに行き詰まった銀行や証券会社を救うのが目的。 しかしその法制定の進展を伝えたリーマンは、すでに潰れていた。 間に合わなかった公的支援。 「(法案は)超党派の合意で 10 月初めまでに成立するだろう。」 淡々とした文章に無念さがにじむ。 メモを書いたのは、ベテラン政治アナリストのキム・ウォレス氏。 周囲の同僚はリストラや転職先探しでリポートの執筆どころではなかったに違いない。 そんな状況で最後まで声をあげ続けたウォレス氏の胸の内にあったのは、アナリストとしての使命感だったろうか。

政治アナリストから米財務次官補に

結局、これがリーマンから受け取った最後のメールになった。 破綻前はメールに並ぶリポートやメモの見出しが数十本になる日もあったのに、最終日は 1 本だけだった。 後日談がある。 リーマンの北米事業を承継した英バークレイズでアナリストを続けていたウォレス氏は 09 年、オバマ大統領(当時)によって立法府担当の財務次官補に抜てきされる。 危機の象徴であるリーマンの OB が政府の要職に就き、「反ウォール街」の急先鋒だった米議会との間で景気対策作りの調整役を務める。 こんな展開は日本では考えにくい。

人材が官民を行き来する回転ドア社会の米国。 危機(失敗)を知る人にこそ危機対応を任せるという、あの国らしい考え方のおかげで、ウォレス氏は新しい働き場を得た。 年月がたっても、世間から称賛されなくても、地道に本分を果たし続ける人たちがいる。 今年 8 月。リーマン破綻後に清算会社が債権者に返済したお金の累計が当初計画の約 2 倍にあたる 1,246 億ドル(約 13 兆 8,000 億円)に達したというニュースが流れた。 清算会社には現在も 80 人近い従業員がおり、保有資産の売却などを通じて返済資金の捻出を続けていくという。,/p>

貿易摩擦にかぎ取る次の危機の芽

バンクオブアメリカ・メリルリンチでグローバルエコノミストを務めるイーサン・ハリス氏。 最近、口をついて出るのがトランプ政権の通商政策への懸念だ。 6 月のリポートでは、米中貿易摩擦が激化すれば「米国は完全な景気後退に陥る可能性がある」と警告。 今週はロイター通信の取材に答えて「足元の米株式市場は勢いと楽観論に満ちているが、(米中が)関税の引き上げを続ければ、いつか調整が訪れる」と述べた。

ハリス氏はリーマン破綻時のチーフエコノミストだった。 記者もニューヨークの旧本社で何度か取材したことがある。 危機前の 05 - 06 年ごろのことだったが、ハリス氏はすでに米住宅バブルに警鐘を鳴らし始めていた。 リーマンのモーゲージ(住宅ローン)部門が記録的な収益を稼ぎ出し、株価も高値を謳歌するなかで、勇気のある行動だったといえる。 そのときの記憶が、いまハリス氏の脳裏をかすめているかもしれない。

「金融システムの安全性は高まったが、まだ十分ではない。」 国際通貨基金 (IMF) トップのラガルド専務理事は 5 日に更新したブログで、金融危機後の 10 年をこう総括した。 「最も懸念すべき点かもしれないが、政策当局者は現在、危機後の(金融)規制の再緩和を求める業界からの猛烈な圧力にさらされている。」 米政権の保護主義や国際協調軽視の姿勢も暗に批判した。 ラガルド氏も、かつてフランスの経済閣僚としてリーマン危機やギリシャ危機の対応にあたった当事者だ。

国内世論向けに耳当たりのよい米国第一主義と、減税による強引な景気刺激で中間選挙の勝利をもくろむトランプ大統領。 ウォール街の熱狂をみる限り、マーケットもトランプ氏という「勝ち馬」に乗ろうとする雰囲気が感じられる。 しかし目先の利益追求が将来に大きな禍根を残すことを、世界はリーマン・ショックで思い知ったはずだ。 危機を知る人たちが語り継ぐ教訓は、いまの市場に届くだろうか。 (編集部次長・森安圭一郎、nikkei = 9-21-18)


三菱商事、カナダ西岸 LNG 基地計画に 2,250 億円投資

三菱商事は 2 日、カナダ西部のブリティッシュコロンビア州に液化天然ガス (LNG) 輸出基地を建設する「LNG カナダプロジェクト」への投資計画を発表した。 総建設費 1.5 兆円の 15% にあたる 2,250 億円を投資する。 2020 年代半ばに操業を開始し、日本などアジアへ供給する。 英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェル、マレーシア国有資源会社ペトロナス、中国ペトロチャイナ、韓国ガス公社 (KOGAS) との共同事業。 生産量は年 1,400 万トンで、うち 15% に相当する 210 万トンを三菱商事が子会社を通じて輸出する。

巨額の費用がかかる LNG 基地は、北米のシェールオイル・ガスの増産でエネルギー需給が緩んだため、採算が取りにくいとされてきた。 しかし、新たな基地はカナダ西岸にあり、アジアへの距離が比較的近いメリットがある。 北米のシェールガスを輸出する基地は米国メキシコ湾岸にもあるが、パナマ運河を通る必要があり、日本までは約 1 カ月かかる。 これに対し、カナダ西岸から日本へは 10 日と近い。 また、供給国としてカナダは「政治的に安定していることも利点だ(三菱商事)」という。 さらに、三菱商事は同じ州内にシェールガス田の権益を持ち、そこから原料の天然ガスの調達もできる。

今後は新興国の成長でエネルギー需要が高まり、LNG は大気汚染の懸念がある石炭よりも有利だ。 大気汚染が社会問題化する中国は、環境負荷の大きい石炭から天然ガスを使った火力発電への転換を進めており、世界 2 位の LNG 輸入国となった。 インド、パキスタン、タイ、ミャンマーなども経済成長に伴って需要が増える見通しで、三菱商事は、17 年に 2.9 億トンだった世界需要が 30 年には 5.3 億トンまで増えると予想する。

東日本大震災を受けて、当面は天然ガスを使った火力発電に大きく頼らざるを得ない日本は、世界最大の LNG 輸入国。 同社の担当者は「今後は新しく LNG の供給が増えても、それを上回る世界需要がのみ込んでいく状況になる。 調達先を多様化して、日本のエネルギー安全保障にも貢献したい。」と話す。 (鳴澤大、asahi = 10-3-18)


インドネシアで M7.5 最大 3 メートルの津波発生か

インドネシア中部スラウェシ島で 28 日午後 6 時(日本時間同 7 時)すぎ、マグニチュード (M)7,5 の大きな地震があった。 付近ではこの日、大きな地震が相次ぎ、国家防災庁 (BNPB) によると、少なくとも 1 人が死亡、5 人の行方が分からず、10 人以上が負傷した。 最大 3 メートルの津波が襲った恐れがあり、被害は拡大する可能性がある。 米地質調査所 (USGS) によると、M7.5 の震源は、島中部のドンガラから北東 27 キロで、震源の深さは 10 キロ。 この 3 時間前にも M6.1 の地震が近くであり、M5 を超える地震が十数回も相次いだ。

BNPB は、インドネシア気象庁の観測として、複数都市の沿岸部に津波が押し寄せ、家屋にも被害があったと発表。 ドンガラでは、最大 3 メートルの津波が襲った可能性があるという。 ネット上では、住宅が並ぶ海沿いに津波が一気に押し寄せ、建物を流し、街に海水が流れ込む映像が投稿されている。 住民たちは悲鳴を上げながら避難している。 BNPB の責任者は、地元メディアの取材に「出所不明だが映像は真実だ」と答えた。 在マカッサル領事事務所によると、邦人の被害は確認されていない。 同国では 7 月と 8 月にロンボク島で地震が相次ぎ、550 人以上が死亡した。 (ジャカルタ = 野上英文、asahi = 9-29-18)

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ロンボク島でまた M6.9、10 人死亡 … 火災も

【ジャカルタ = 一言剛之】 インドネシア国家防災庁などによると、中部ロンボク島で 19 日夜、マグニチュード (M) 6.9 の地震があり、少なくとも 10 人が死亡した。 ロンボク島東部にあるブンギン島などでは地震後に火災が発生し、多数の家屋が焼失した。 ロンボク島では 5 日に M6.9 の地震が起きた後、余震が続いている。 5 日以降の死者数は 472 人となった。 (yomiuri = 8-20-18)

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インドネシア・ロンボク島で再び地震 M6.3

インドネシア中部ロンボク島で 19 日午後 0 時 10 分(日本時間同 1 時 10 分)ごろ、マグニチュード (M) 6.3 の地震があった。 少なくとも 2 人が意識不明の重体で、1 人が負傷した。 同島では 2 週間前にも大きな地震があり、住民ら 460 人以上が死亡、約 35 万人が避難生活を送っている。 米地質調査所 (USGS) によると、震源は島の中心都市マタラムから北東に約 60 キロ付近で、 5 日の M6.9 の地震の震源にも近い。 震源の深さは 7.9 キロで津波の心配はないという。

国家防災庁 (BNPB) は「人的被害について確認中だ。 大勢の人がパニックになり、避難テントから飛び出した」と説明した。 同庁が公表した写真には、家屋が崩落した様子が映っている。 震源近くのリンジャニ山では地滑りが起きた。 ただ前回の大地震から閉鎖しているため「観光客らの被害はない」という。 (ジャカルタ = 野上英文、asahi = 8-19-18)

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インドネシア・ロンボク島で再び M6.2 死者 130 人超 15 万 6,000 人が避難

日本時間 9 日午後 2 時 25 分、インドネシアのロンボク島北部を震源とするマグニチュード (M) 6.2 の地震が発生した。 ロンボク島では今月 5 日にも M7 の巨大地震が起きたばかりだ。 インドネシア気象庁によると、地震が発生したのは現地時間 9 日午後 12 時 25 分、ロンボク島北部に位置する都市マタラムの北西 13 キロ付近で、震源の深さは約 12 キロ。 この地震による津波の心配はないという。

ロンボク島では、今月 5 日に発生した M7 の地震以降、これまでに 362 回の余震が観測されており、死者の数は 130 人を超え、15 万 6,000 人以上が避難している。 国家災害管理局のストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は「余震が多く、建物の倒壊が相次いでおり、被害は今後も拡大する可能性が高い」としている。 (HazardLab = 8-9-18)

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ロンボク島で再び地震、少なくとも 91 人死亡 インドネシア

インドネシアの観光地ロンボク島で 5 日、マグニチュード (M) 6.9 の強い地震が発生し、これまでに少なくとも 91 人の死亡が確認された。 国家防災庁によると、この地震で数百人が負傷している。 多くは震源に近い島の北部にいた。 震源の深さは 10 キロと浅いこの地震で、数千件の建物が倒壊し、停電も起きている。

揺れはロンボク島の隣のバリ島でも観測され、動画には住民が叫びながら家から逃げ出す様子が映っていた。 バリ島では少なくとも 1 人の死亡が確認された。 また、ロンボク島に近いギリ 3 島からは約 1,000 人の外国人観光客が避難している。 最初の地震発生から、これまでに 130 回以上の余震が観測されている。 津波警報も発令されたが、数時間後に解除された。 海岸やハイキングコースが人気のロンボク島では 7 月 29 日にも大きな地震が発生し、少なくとも 16 人が死亡した。

ロンボク島の面積はおよそ 4,500 平方キロメートルで、一回り大きいバリ島の西側に位置する。 ロンボク島の人口は約 300 万人、バリ島は約 400 万人だが、どちらも世界中から何百万人もの観光客が訪れる。 国家防災庁の報道官は AFP 通信の取材に対し、ロンボク島の主要都市マタラムで多くの建物が被害を受けたと説明した。 建物の大半はぜい弱な建材を使っていたという。 マタラムの住民は地震発生時の様子を、大きな揺れを受けて大勢が建物から逃げ出したと説明した。

ロンボク島とバリ島の空港は小規模の被害を受けたものの、共に通常通り営業している。 バリのデンパサール空港では、地震で天井のパネルが外れかかった。 インドネシアは環太平洋火山帯に位置する地震多発地帯。 地球上の活火山の半分以上がこの火山帯に位置している。 2016 年 12 月にスマトラ島北東沖で起きた M6.5 の地震では 100 人以上が死亡し、4 万人以上が家を失った。 (BBC = 8-6-18)


ボストン・パニック! 70 カ所超で次々に爆発や火災

アメリカ・ボストン近郊で火災やガス爆発が連続して起こり、1 人が死亡、12 人がけがをしました。 激しく立ち上る真っ赤な炎。 ボストン近郊の住宅街で複数の場所から炎や煙が上がっているのが確認できます。

13 日午後、天然ガスを供給するガス管が破裂し、少なくとも 70 カ所以上で火災や爆発が起きました。 消防当局によりますと、ガス管に高い圧力が掛かり、ガス漏れが起こったことが原因とみられていて、少なくとも男性 (18) 1 人が死亡、12 人がけがをしているということです。 周辺では電気とガスの供給がストップし、地元当局が住民らに避難を呼び掛けています。 (テレ朝 = 9-14-18)