来秋の賃上げ、"リーダー級" の介護福祉士がメイン 業界 10 年も対象 厚労省

勤続 10 年の介護福祉士を中心とした賃上げに向けて来年 10 月に新設する加算をめぐり、厚生労働省は 12 日、最も重視すべき人材の対象に "業界 10 年" の介護福祉士も加えられるようにする方針を決めた。 介護福祉士の資格を有することを要件とする一方で、「勤続 10 年」の考え方は事業所の裁量で定められる仕組みとする。 資格を取ってから 10 年経っていない、複数の法人を渡ってスキルを磨いてきた、ケアマネや相談員として活躍していた、障害福祉の世界で見識を深めていた 。

こうしたベテラン介護福祉士も、認められれば高い評価を受けられる。 描かれたのは現場を牽引する「リーダー級の介護職員」という人物像。 介護福祉士になってから同じ職場で 10 年以上働いた人のみ、という厳格なルールにはならない。 厚労省はこの日の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で提示、大筋で了承を得た。 19 日にもまとめる審議報告に盛り込む。

来秋の賃上げは介護職員の人手不足の解消が目的。 一定のキャリアを持つ人を優遇するのは、辞めずに長く頑張っても賃金が上がっていかない現状を改めるためだ。 厚労省は施策の効果が薄れないよう、新加算の算定で得られる原資を事業所内で配分する際の優先順位を、

  1. 経験・技能のある介護職員
  2. その他の介護職員
  3. その他の職種

とする考え。 "経験・技能のある介護職員" の定義が 1 つの焦点だったが、事業所が柔軟に設定できることとなった。 その現場に欠かせない優秀な人材が対象から外れないようにする狙いがある。 「裁量権を全て経営者に与えてしまうのも問題がある。」 審議会の委員からはそんな声もあがった。 厚労省は詳細を書き込んだ通知を年度内に出す予定。 柔軟な運用を認める方向を維持しつつ、一定の例外規定を設けたり相応しい人物像を例示したりする可能性もある。

この日の会合では、「勤続 10 年以上の介護福祉士が基本」と改めて明示。 加えて、「リーダー級の介護職員」の賃金を他の産業と比べて遜色ないレベルへ引き上げることが趣旨、と説明した。 このほか、"経験・技能のある介護職員" の中に月 8 万円の賃上げとなる人が 1 人はいなければいけない、との決まりを作る考えも示している。 (Joint = 12-13-18)


70 歳以上雇用、企業 3 割導入 「希望者全員」は 13%

70 歳以上で働ける制度のある(千葉)県内企業が 33% あり、前年から 3.3 ポイント上昇したことが千葉労働局の調査で分かった。 ただ希望者全員の雇用となると 13.3% にとどまり、大企業より中小企業が活用している実情がうかがえる。 同局が常勤雇用 31 人以上の 4,600 社を、6 月 1 日時点で調べた。 70 歳以上で働ける制度のある割合は、中小企業(31 - 300 人)が 1,422 社で 33.6%、大企業(301 人以上)は 95 社で 26.1% だった。

70 歳以上の定年や定年制の廃止などで希望者全員を雇用している企業は 610 社。 そのうち 301 人以上の企業は 18 社で雇用割合が 4.9% だったのに対し、31 - 50 人の企業では 325 社で 18.2% と 4 倍近かった。 中小企業の方が 70 歳以上の雇用が進んでいる状況について、同局の担当者は「若年労働者の獲得が難しいので、人手不足を高齢者で補っている上、高齢になっても仕事をそのまま続けやすい環境がある」とみている。

政府は 70 歳までの雇用延長に向けた議論を開始。 高齢者の働き方を柔軟にするほか、労働力確保や年金などの社会保障費抑制といった狙いがある。 他方で企業側には、人件費が高騰するとの懸念がある。 高年齢者の雇用状況では、31 人以上の企業で働く県内の常用労働者 74 万人のうち 60 歳以上は 11 万人で全体の 14.9% を占める。 年齢別では 60 - 64 歳が 6 万人で、65 - 69 歳が 33,000 人、70 歳以上が 16,000 人だった。 (村上豊、東京新聞 = 12-5-18)


大卒の初任給、過去最高 20 万 6,700 円 5 年連続増加

2018 年の大卒の初任給は前年より 0.3% 増の 20 万 6,700 円で、過去最高を更新した。 厚生労働省が 28 日、調査結果を公表した。 景気の緩やかな回復基調を受けて、5 年連続の増加となった。

賃金構造基本統計調査で回答を得た約 5 万 6 千事業所のうち、従業員 10 人以上で新卒の初任給が確定した 1 万 5,155 事業所の 6 月分の賃金を集計した。 大学院修士課程修了(23 万 8,700 円)、高専・短大卒(18 万 1,400 円)、高卒(16 万 5,100 円)もいずれも過去最高だった。 男女別では大卒の女性だけ 0.7% 減で前年を下回った。 厚労省の担当者は、前年が 2.1% 増と高い伸びだったことの反動とみており、「上昇傾向に変わりはない」としている。 (松浦祐子、asahi = 11-28-18)


冬のボーナス、過去最高の 95 万円 企業の好業績が反映

大企業の冬のボーナスについて、経団連は 16 日、妥結額が昨冬より 3.49% 多い 95 万 6,744 円となり、調査を 1959 年に始めて以来、過去最高だったと発表した。 4 年連続で 90 万円を超え、企業の好業績がボーナスに反映された。 東証 1 部に上場している 21 業種の 251 社のうち 12 業種の 75 社から届け出があり、第 1 回の集計結果として公表した。

業種別では 12 業種のうち 10 業種で昨冬を上回った。 大きく伸びたのは非鉄・金属や、機械金属だ。 非鉄・金属は 9.94% 増の 88 万 9,199 円、機械金属は 8.34% 増の 94 万 4,341 円だった。 金額ベースでは、自動車(99 万 9,968 円)の高さが目立った。 一方、紙・パルプは 4.53% 減の 65 万 6,044 円、セメントは 0.55% 減の 76 万 2,397 円だった。 この夏のボーナスの最終集計は 8.62% 増の 95 万 3,905 円だった。 (asahi = 11-16-18)


障害者雇用、法定率超え常勤増へ 水増し問題で厚労省

中央省庁が障害者の雇用数を水増ししていた問題を受けて、厚生労働省は 12 日、省内の障害者雇用を進めるための推進本部の初会合を開いた。 厚労省は障害者の雇用数の再点検後も法定雇用率は満たしており、今後は常勤雇用を増やしていくことを決めた。 省独自の採用を今年度中に実施する。 非常勤で働いている障害者に常勤に移ってもらうことも進めるという。 また、障害者の上司となる人には、障害者の特性などを学ぶ e-ラーニングによる研修を必修とするほか、部局ごとに職員の中から「障害者雇用推進支援員」を任命し、相談体制も整える。 厚労省はこれらの取り組みについて、ほかの省庁にも情報提供していくとしている。 (asahi = 11-12-18)

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障害者雇用問題、政府がメール通報窓口を設置

中央省庁が障害者の雇用数を水増ししていた問題で、原因究明を進める政府の検証委員会(委員長 = 松井巌〈がん〉・元福岡高検検事長)は 13 日、不適切に算入していた事例の情報をメールで寄せてもらう通報窓口 (tsuhomadoguchi@mhlw.go.jp) を設けた。 職員や退職者、障害者らから 28 日まで受け付ける。

検証委は 13 日、国の 33 行政機関を対象とした調査にも着手した。 昨年 6 月 1 日時点で水増しされていた計 3 千人超について、障害者手帳などによる確認の有無などについて、20 日までに回答するよう求めた。 その後、人事担当者らへのヒアリングなどを実施し、10 月中をめどに報告書をまとめる。 (asahi = 9-14-18)

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障害者水増し、省庁の 8 割 … 実際の雇用率半減 厚労省調査

中央省庁による障害者雇用の水増し問題で、厚生労働省は 28 日、国の 33 の行政機関のうち、障害者手帳などの証明書類を確認していない職員を雇用率に算入していたのは、昨年 6 月時点で 27 機関の計 3,460 人に上るとの調査結果を公表した。 雇用していたとする障害者約 6,900 人のうち、不適切な算入は半数に上り、この結果、平均雇用率は 2.49% から 1.19% に下がった。

厚労省のこれまでのまとめでは、個人情報保護委員会を除く 32 の行政機関で当時の法定雇用率 (2.3%) を満たしていたことになっていたが、実際に達成していたのは金融庁や警察庁など 6 機関だけだった。国税庁は 1,000 人超が不適切で、水増し分を除くと実際の雇用率は 2.47% から 0.67% に低下。 法務省は 2.44% から 0.80% に、国土交通省は 2.38% から 0.70% に下がるなど、17 機関が新たに 0% 台になった。

厚労省のガイドラインによると、雇用率に算入できるのは障害者手帳を持っている人か、医師の診断書で障害が認められた人に限られる。 しかし、国土交通省や総務省などで、手帳交付に至らない障害の程度の軽い職員も合算することが常態化してきた。 「制度に対する認識不足があった(気象庁関係者)」ことが要因の一つとされている。

一方で、これだけ多くの行政機関で不適切な算入が横行してきたことについて、厚労省による制度の周知が不十分だったとの声も同じ国の機関から出てきている。 また、障害者の算入をガイドラインに従って実施しているかどうかについて、企業には独立行政法人が 3 年に 1 度調査する制度があるが、国の行政機関にはないことも、水増しを見過ごしてきた背景にあるとの指摘もある。 (mainichi = 8-28-18)


働くシニアの年金減、見直せば就労支援? 国の部会議論

一定以上の給料をもらって働く高齢者の年金額を減らす今の仕組みは見直すべきか - -。 2 日の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会で、こんな議論があった。 政府が「生涯現役社会」を目指して高齢者雇用の促進に力を入れるなか、年金制度を見直す際の論点となりそうだ。 部会で議論されたのは、「在職老齢年金」のあり方だ。 現在は、60 - 64 歳の場合は給与と年金の合計額が月 28 万円以上、65 歳以上の場合は月 46 万円以上になると、年金額が減らされる。

特に課題となっているのが、65 歳以上への対応。 60 - 64 歳について、在職老齢年金の減額問題は 2030 年には消滅することが決まっているからだ。 2 日の部会では、複数の委員が 65 歳以上の減額ルール自体をなくしたり、収入の条件を引き上げたりすることを提案した。 「見直しはシニアの就労を後押しする政府の方向性に沿う」との考えからだ。

一方、厚労省は、減額をやめると年金の支払いが年約 4 千億円増えるとの試算を示した。 「将来世代の年金を取り崩すことになる」との慎重論を唱える委員もいて、結論は持ち越された。 厚労省は来年、年金財政の定期健診にあたる「財政検証」を行う。 その結果を踏まえて年金制度見直しの議論を本格化し、20 年にも制度変更の法案を国会に提出する考えだ。 (佐藤啓介、asahi = 11-3-18)


保育士の一斉退職、企業主導型で相次ぐ 世田谷で休園も

政府が待機児童対策の切り札として始めた企業主導型保育所をめぐって、待機児童が全国で 3 番目に多い東京都世田谷区で、保育士の一斉退職などのトラブルが相次いでいる。 企業主導型保育所は認可外のため設置の審査が緩く、トラブルの可能性が当初から指摘されていた。

企業主導型保育所は 2016 年度に創設。 保育士の配置基準や保育室の面積などは、認可より緩いが、一定の基準を満たせば、認可並みの助成金が出る。 審査や指導を担う公益財団法人「児童育成協会」によると、今年 3 月末の時点で、全国の 2,597 施設(定員 5 万 9,703 人分)に助成が決まっているという。

同協会によると、同区上北沢の保育所で 10 月末、保育士ら 7 人が一斉に退職し、1 日から休園。 同じ会社が運営する同区赤堤の園でも 11 人が退職した。 協会の調査に対し、職員らは「給与未払いがある」と話したという。 区の職員が 1 日に現地で確認したところ、臨時の職員が数人を預かっている状態だった。

赤堤の園に次女 (2) を預けていた会社員の男性 (48) によると、一斉退職について園から伝えられたのは 31 日夜のメール。 「なぜ急にこんな話に」と驚いた。 翌朝、園で対応した社長は「こちらも困っている」などと話すばかりで、安心して預けられないと判断し、次女は 1 日から欠席しているという。 男性は「これまでも保育士の入れ替わりが激しく、不信感を抱いていた」と話した。 (中井なつみ、仲村和代、asahi = 11-2-18)


9 月の有効求人倍率、1.64 倍 完全失業率は 2.3%

厚生労働省が 30 日発表した 9 月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より 0.01 ポイント高い 1.64 倍だった。 1974 年 1 月以来、44 年 8 カ月ぶりの高水準だ。 総務省が同日発表した 9 月の完全失業率(同)は前月より 0.1 ポイント低い 2.3% だった。 (asahi = 10-30-18)


企業の継続雇用「70 歳に引き上げ」首相が表明

安倍首相は 22 日、議長を務める未来投資会議で、高齢者が希望すればこれまでより長く働けるよう、企業の継続雇用年齢を 65 歳から 70 歳に引き上げる方針を表明した。 働く高齢者を増やすことで、人手不足を解消するとともに年金制度などの安定を図る。 政府は、関連法改正案を 2020 年の通常国会に提出する方針だ。

首相は「70 歳までの就業機会の確保を図り、高齢者の希望・特性に応じて多様な選択肢を許容する方向で検討したい」と述べ、関係閣僚に見直しを指示した。 高年齢者雇用安定法は、高齢者の職業安定などを目的とし、企業に対して、(1) 65 歳までの定年引き上げ、(2) 再雇用など 65 歳までの継続雇用、(3) 定年制の廃止 - - のいずれかを義務付けている。

企業側は「定年延長や定年制廃止は人件費増につながる」として、継続雇用制度を選ぶケースが大半だ。 体力の衰えで短時間勤務を望む高齢者も少なくない。 政府としては高齢者が個々の事情に応じ、多様な働き方の中から自分に合ったものを選べるようにしたい考えだ。 来夏に制度の方向性をまとめ、法改正を目指す。 (yomiuri = 10-23-18)


人手不足倒産が過去最多ペース 月内にも前年水準超え

深刻な人手不足を背景にした国内の企業倒産が件数・負債総額ともに過去最多ペースで増加していることが 14 日、分かった。 今年 1 - 9 月の合計は 299 件に上り、10 月中にも平成 29 年の年間水準(317 件)を上回りそうだ。 従業員が確保できず事業継続が困難になったり、社員を引き留めるため賃金を無理に引き上げたことで収支が悪化したりしたケースが目立つ。

東京商工リサーチによると 1 - 9 月の人手不足倒産は負債総額で 417 億円。 この勢いで増えれば件数は 400 件前後、負債総額も 550 億円前後まで伸びそうだ。 人手不足問題の表面化を受け集計を始めた 25 年以降、ピークは件数が 340 件(27 年)、負債総額が 541 億円(25 年)で、更新が視野に入った。

倒産理由でみると、従業員が集まらない求人難型が前年同期比 48.1% 増の 40 件と大きく増え、29 年の年間水準(35 件)を既に上回った。 太陽光発電システム設計・設置の「JIN テクニカル(東京都、負債額 2 億 3,000 万円)」は工事需要が増加したにもかかわらず人手不足で対応できなくなり、事業継続を断念した。 人件費高騰型も 41.6% 増の 17 件で増加が目立つ。 トラック運送の「誠梱包運輸(神奈川県、1 億 2,200 万円)」は、ドライバー不足を背景に人件費が上昇し、資金繰りが逼迫した。

資本金別では 1,000 万円未満の零細企業が 55.8% と過半数を占め、1,000 万円以上 1 億円未満の中小企業も 43.8% に上る。 経営体力がある大企業や中堅企業は人手不足に苦しめられていても、倒産まではめったに至らないことが分かる。 東京商工リサーチは「人手不足はブルーカラーの職種を中心に深刻化している。 倒産の原因の 8 割程度は後継者難で、一朝一夕には解消できない。」とみる。 (sankei = 10-14-18)


バイト不足に奇策! ファミマで働き家電 6 割引き

アルバイトやパートは特別価格で家電を購入できます。 コンビニエンスストア大手のファミリーマートは、全国 1 万 7,000 店で働く従業員 20 万人に対し、今月末からアイリスオーヤマの家電製品を最大 6 割引きで購入できる制度を導入します。 インターネット通販や家電量販店よりも安い水準になるということです。 コンビニ業界はアルバイトの人手不足が深刻化していて、ローソンは店員向けに DVD や書籍などを割引価格で買えるようにするなど福利厚生を手厚くすることで、従業員をつなぎとめる動きが広がっています。 (テレ朝 = 10-10-18)


小売業界の年収ランキング、セブンイレブン抑えドラッグストアがツートップ 薬剤師は 20 代後半で 600 万円

企業口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」は 9 月 26 日、「小売業界の年収ランキング」を発表した。 本ランキングは、「キャリコネ」のユーザーが投稿した情報をもとに、平均年収が高い小売業界に属する企業をまとめた。

1 位 : サンドラッグ(平均年収 449 万円)
効率的な店舗経営で拡大を図る。 10 年で急速に成長中。

効率的な店舗運営のため、医薬品専門スタッフと店舗運営スタッフに分ける 1 店舗 2 ライン制を導入している「サンドラッグ」。 売上高・経常利益は 10 年で約 3 倍となっている。

2 位 : スギ薬局(平均年収 433 万円)
採用時の職種を問わない柔軟なキャリア形成が可能。

職種に縛られず、さまざまなキャリア形成ができるジョブローテーション制度や自己申告制度などを導入しており、単に職位を上げるのみならず、店舗から本社スタッフなどへの異動例も多いようだ。

3 位 : セブン-イレブン・ジャパン(平均年収 430 万円)
小売業界店舗数世界 No. 1。1 成果主義に基づいた透明性の高い評価制度。

コンビニ業界最大手。 成果主義に基づいて公平な評価をする方針で、加盟店へ助言を行う OFC 職では担当店舗の売上・利益の伸びなどが評価基準となる。 (キャリコネ = 10-8-18)


資生堂、神田明神で「就活納めの儀」 就活アイテム奉納、おたき上げ

「就活納めの儀」が神田明神(千代田区外神田 2)で 10 月 3 日から開催される。 資生堂ジャパン(中央区)がスキンケアブランド「recipist (レシピスト)」の中で展開する、就職活動(以下、就活)を経て社会への一歩目を踏み出す 20 代女性を応援するキャンペーン「就活後夜祭」の一環として、多くの就活生が節目を迎える内定式後に合わせて開くイベント。

期間中、思い出の詰まったパンプスや SPI 対策本、自己分析シートなど就活アイテムを境内の奉納箱に納めた参加者に「レシピスト」スキンケアグッズを進呈する。 奉納後の就活アイテムは、後日おたき上げをする。 社会に出た時のアドバイスが載った運試しコーナー「チル結び」や、奉納前に「レシピスト」ハンドクリームでお清めできる手水(ちょうず)舎、就活生の生声を反映した「就活あるある」にちなんだ就活ワード立て札なども用意する。

同社広報担当者は「就活という人生の大きな経験をした女性たちに、その節目として思わず気持ちが上がるような時間をつくれないかという思いで企画した。 就職活動という人生にとって大切なイベントを共に歩んだアイテムを奉納し、これからの人生を前向きに歩む一助になれば幸い。」と話す。 開催時間は 10 時 - 17 時。 今月 6 日まで。 (アキバ経済新聞 = 10-2-18)


三菱電機、裁量労働制の 3 人労災 過労自殺も

三菱電機の男性社員 5 人が長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症して 2014 - 17 年に相次いで労災認定され、うち 2 人が過労自殺していたことがわかった。 5 人はシステム開発の技術者か研究職だった。 3 人に裁量労働制が適用されており、過労自殺した社員も含まれていた。 労災認定が直接のきっかけではないとしながらも、同社は今年 3 月、約 1 万人の社員を対象に適用していた裁量労働制を全社的に廃止した。

16 年 11 月、情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に勤めていた研究職の 30 代の男性社員が、長時間労働が原因で精神疾患を発症したとして労災認定され、本人がその事実を公表した。 柵山正樹社長(当時、現会長)は 17 年 1 月の記者会見で「二度とこのような事態が起こらないように取り組む」と陳謝し、労働時間の正確な把握に力を入れる考えを示していた。 朝日新聞の取材で、これ以前にも労災が 2 件、17 年にも 2 件認定されていたことが新たにわかった。

関係者によると、5 人のうち裁量労働制を適用されていたのは 3 人。 このうちコミュニケーション・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)に勤務していた 40 代の社員は、長時間労働が原因で精神障害を発症して自殺したとして 17 年 6 月に労災認定された。 若手のため裁量労働制を適用されていなかった名古屋製作所(名古屋市)勤務の社員(当時 28)も精神障害を発症し、14 年 12 月に過労自殺と認められており、4 年間に 2 人が過労自殺していた。

三田製作所(兵庫県三田市)に勤めていた 40 代の社員は 13 年に脳梗塞(こうそく)を発症。 東京・丸の内の本社勤務だった 40 代の社員も、16 年にくも膜下出血を発症した。 この 2 人も長時間労働が発症の原因だったとして、それぞれ 15 年 3 月と 17 年 8 月に労災を認められた。

裁量労働制は実際に働いた時間にかかわらず、一定時間を働いたとみなして残業代込みの賃金を払う制度。 労働時間管理が甘くなり、長時間労働を助長する危険性が指摘されてきた。 制度の廃止により、対象だった社員は原則として残業時間に基づいて残業代を受け取る働き方に変わった。 同社は多少の人件費の伸びを見込んでいるという。

三菱電機は朝日新聞の取材に対し、新たにわかった 4 件の労災認定の事実をすべて認めた。 4 件とも社内に周知していないという。 それぞれ「個別の事情がある(人事部)」として、労務管理に構造的な問題はないとしている。 (千葉卓朗、贄川俊、内藤尚志、asahi = 9-27-18)


企業の人手不足感、IT 業界は 7 割超 労働者派遣業者も人手不足で倒産

企業の過半数が正社員不足と回答するなか、労働者派遣業者も人手不足で倒産が増え、小規模事業者を中心に淘汰の動きがみられるようだ。

正社員不足を感じる企業は過去最高

帝国データバンクは全国の企業 2 万 3,112 社を対象に「人手不足に対する企業の動向調査」を実施し、その結果を 8 月 27 日に発表した。 調査期間は 7 月 18 日から 31 日で、9,979 社から有効回答を得た。 正社員の過不足状況は、「不足」と回答した企業は 50.9% で前年同期から 5.5 ポイント増加し、7 月として過去最高を更新した。

状況を「適正」とした企業は 41.3% で同 3.7 ポイント減少、「過剰」は7.8%で同 1.8 ポイント減少した。 「不足」と回答した企業が最も多かった業種はソフト受託開発などの「情報サービス」の 71.3% で、以下、「運輸・倉庫 (67.6%)」、「建設 (66.3%)」、「メンテナンス・警備・検査 (66.2%)」が続いた。 企業の規模別では、「大企業」が 58.5%、「中小企業」が 49.0%、「小規模企業」が 43.6% で、大企業の人手不足感が一段と強まるとともに、中小企業でも不足感が広がっている。

非正社員の過不足状況では、「不足」と回答した企業は 33.0% で前年同期から 3.6 ポイント増加、「適正」は 60.8% で同 2.7 ポイント減少、「過剰」は 6.2% で同 0.9 ポイント減少した。 「不足」と回答した企業が最も多かった業種は「飲食店」で、82.9% に達した。 以下、「メンテナンス・警備・検査 (65.1%)」、「人材派遣・紹介 (60.0%)」、「娯楽サービス (58.2%)」などが続いた。

労働者派遣事業者の倒産件数が増加

企業の人手不足感が強まる中、需要が多い労働者派遣事業者の倒産件数も増加している。 帝国データバンクが 9 月 10 日に発表した「労働者派遣事業者の倒産動向調査」の結果によると、2018 年の 1 - 8 月までに発生した労働者派遣業の倒産件数は、前年同期比 22% 増の 46 件で、前年を上回るペースで推移している。

一方、2018 年 1 - 8 月の負債総額は、前年同期比 49.6% 減の 21b億 5,600 万円で、大幅に減少。 「5,000 万円未満」の倒産が 32 件で全体の 69.6% を占め、「5,000 万円以上 1 億円未満」と「1 億円以上 5 億円未満」がそれぞれ 7 件だった。 企業は人手不足感を強めており、労働派遣業に対する需要が高まっている。 しかし、労働者派遣事業者も派遣スタッフの不足からコストが増加している可能性があり、中小・零細事業者を中心に倒産件数が増加しているようだ。 (サイトウ イサム、加藤 秀行、MONEYzine = 9-22-18)


就活指針、21 年春入社は現行ルール維持 大学側に配慮

現在の大学 2 年生が対象になる 2021 年春入社の新卒学生の就職活動について、政府と経団連などは現行の日程を維持し、会社説明会を大学 3 年生の 3 月以降、採用解禁を大学 4 年生の 6 月にする方向で調整に入った。 就活日程については、経団連の中西宏明会長が 21 年春採用から採用選考の指針の廃止をめざす考えを表明。 学生や大学側に不安が広がったため、政府が調整に乗り出した形だ。

就活の日程はこれまで、経団連が「指針」をまとめ、拘束力はないものの目安として機能してきた。 しかし、9 月 3 日の定例会見で中西会長が「終身雇用など基本的なところが成り立たなくなっている。 (活動を)一斉にやることもおかしな話だ。」と、今の仕組みについて疑問を投げかけた上で「21 年春についても出さない」と指針の廃止に言及した。

経団連はすでに、20 年春入社組に適用される指針を公表しており、21 年春入社組以降について、10 月 9 日の正副会長会議で経団連による指針の取りやめについて正式に決める方針だ。 これを受け、政府や大学が対応を検討。 大学側には解禁日程の廃止に反対の声が目立ち、現行ルールの維持を求める声が多かった。 特に今の大学 2 年生が対象になる 21 年春入社組は、日程が間近に迫っている。 政府内にも「学生への負担や影響を考えれば、現行の日程で行くしかない」との意見が強まったという。

22 年春入社組以降については、政府と経済界や大学が話し合いに入る方向だ。 ただ、政府が関与を強めることに対し、「公的機関がどこまで前に出ていいのか」、「やり方次第では、もっと形骸化が進むのでは」などと疑問視する声が出ている。 産業界には「どこがルールを作っても破るところは必ず出てくる」、「日本の雇用慣行全体から問い直すべきだ」といった指摘もある。 (asahi = 9-21-18)


未払い残業代 700 万円 裁量労働制不正適用で是正勧告

裁量労働制を社員に不正に適用して残業代を支払わなかったとして、建設事務所「プランテック総合計画事務所(東京)」が 6 日付で中央労働基準監督署(同)から是正勧告を受けた。 申立人の 20 代の女性社員と、女性が入る社外の労働組合が 18 日に記者会見して明かした。 労組によると、女性は 2015 年 4 月に入社。 実際に働いた時間に関わらずあらかじめ決めた「みなし労働時間」に基づき残業代込みの賃金を支払う裁量労働制を適用された。 みなし労働時間は 1 日 8 時間だが、残業が月 80 時間を超えることが大半だったという。

裁量労働制の導入には、会社側が労働組合か労働者の多数決などで選ばれた労働者代表と労使協定を結ぶ必要がある。 だが、同社は会社が指名した人を労働者代表とし、中央労基署はこの協定に基づく同制度の適用は無効と判断。 女性に違法な残業をさせ、残業代を支払わなかったとして是正勧告した。 労組によると、女性の未払い残業代は過去 2 年で約 700 万円で、同社には同じ労使協定で裁量労働制を適用された社員が約 80 人いるという。 会社側は「真摯に受け止めて改善を進める」としている。 (asahi = 9-18-18)


韓国人の日本就職急増 … 2 万人突破 雇用環境悪化で韓国政府も後押し、目標は「今後 5 年で 1 万人」

外交面では日韓関係の改善が進まないなか、日本企業への就職を目指す韓国の若者が急増している。 母国の雇用環境の悪化を背景に、韓国人留学生らの日本での就職者数は昨年、初めて計 2 万人を突破。 韓国政府も後押しし、日本での就職者数の目標を新たに「今後 5 年で 1 万人」に設定する支援策を打ち出している。

「韓国での就職活動は厳しい。 (日本で就職をするために)日本語を学んでいる学生も多かった。」 9 月から早稲田大学で留学生活を始める娘 (21) の渡航を控え、夫とともに同大を訪れていた李東教(イ・トンギョ)さん (55) は真剣な表情で語った。 李さんは昨年まで韓国南部・全羅南道の国立大付近でカフェを営み、就職難について愚痴をこぼす学生らに接していた。

法務省の統計によると、2017 年末時点で、大学での専攻などを生かして日本で業務にあたる「技術・人文知識・国際業務」ビザ(査証)を取得した "ホワイトカラー" の韓国人は 2 万 1,603 人。 前年末(1 万 8,936 人)比で約 14% 増加した。 日本留学を目指す若者も増えており、日本学生支援機構によると、外国人留学生が日本の大学受験の際に利用する「日本留学試験(6 月実施)」で、韓国での受験者数は 3,669 人に上った。過去 5 年間で 3 倍に増加し、国外受験者の約 6 割を占める。

日本への進学熱が高まっている背景には、日韓両国の対照的な雇用環境がある。 昨年の韓国教育省の発表によると、同国の大卒就職率は、67.7% にとどまった。 一方、帝国データバンクの今年 4 月の調査によると、正社員が不足する日本企業は全体の 49.2% (前年同期比 5.5 ポイント増)で、4 月としては過去最高を記録。 李さん夫婦は韓国人学生について「(これまでは)日韓の外交関係悪化で中国語を学習するのがブームとなっていたが、(今は)アベノミクスの影響で、再び日本語がブームになっている」と話す。

若者の雇用問題が内政面での最重要課題の一つとなっている韓国政府も、日本での就職を積極的に支援する。 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、韓国の雇用労働省と外務省は 6 月、今後 5 年間で韓国の若者 1 万人が新たに日本で就職することを目指す「韓日つなぎプロジェクト」を進めると発表。 外国人留学生を採用していない日本企業が 77.9% (就職情報会社マイナビの 16 年調査)に上るなか、韓国人留学生の能力をアピールし、求人先の発掘を本格化させる。

日韓社会保障制度や雇用政策に詳しいニッセイ基礎研究所の金明中(キム・ミョンジュン)准主任研究員は、両国の雇用環境の違いについて「少子高齢化で人手が不足する日本に比べ、韓国はいまだに人口が増加している」と強調。 「大企業への就職を望む傾向が強いことも若者の韓国国内での就職を困難にしている」とし、韓国人学生にとって日本での就職が有力な選択肢になっているとみる。 (門間圭祐、sankei = 9-7-18)


「夢の国」着ぐるみの内側は? 過労やパワハラ、社員訴え

東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で着ぐるみに入ってショーなどに出演する女性社員 2 人が、運営会社の労務管理に問題があるとして裁判を起こした。 テーマパークのキャラクターに扮して夢を売る働き手が、自らの労働環境について声を上げるのは異例だ。 何があったのか。 「憧れの仕事なので、ずっと我慢してきました。 でも耐えきれません。」 7 月 19 日に千葉地裁に提訴した原告の契約社員の女性 (38) は、そう打ち明けた。

5 年以上にわたり、上司からパワーハラスメントを受けていたと主張。 安全に働ける職場環境をつくる義務を会社が果たしていないとして裁判に踏み切った。 パワハラの背景に、過酷な労働環境によるゆとりの欠如があると訴えている。 訴状などによると、きっかけは 2013 年 1 月ごろ。着ぐるみのキャラクターに扮し、客にあいさつをして回る「グリーティング」業務の最中に、男性客に右手の薬指を無理やり曲げられ、けがをしたことだった。

労災申請をしようとすると、上司に「それくらい我慢しなきゃ」、「君は心が弱い」と返された。 役の変更を申し入れたが、「わがままには対応できない」と取り合ってもらえなかったという。 ぜんそくの症状が出るとして楽屋の環境改善を相談したときにも、「病気なのか、それなら死んじまえ」、「30 歳以上のババァはいらねーんだよ」と突き放されたとしている。

女性は 1 回約 30 分のショーに 1 日 5 回ほど出演し、半屋外のステージから楽屋に帰ってくるたびに水を飲む手が震えるほどの疲労を感じたという。 夏は酸素不足のサウナで踊り続けるような息苦しさだと訴える。 人員が少ないため、けがをしたり、体調を崩したりしても、容易に休みにくい雰囲気があると女性は思っている。 「無理なく働ける環境がパワハラを無くすためにも必要だと思います。」

もう一人の原告である契約社員の女性 (29) の訴えは、着ぐるみでの過重労働を続けた結果、日常生活に支障をきたす疾患になったのに、会社が責任を認めず、業務を改善していないというものだ。 訴状などによると、女性は 15 年 2 月に入社後、総重量 10 - 30 キロの着ぐるみを身につけ、屋外のパレードやショーに出演。 16 年 11 月ごろから左腕が重く感じ、手の震えが止まらなくなったが、休みを取りにくく、16 年 11 - 12 月のパレードの出演回数は計 50 回に上った。

17 年 1 月に症状が悪化し、腕をあげると激痛が走り、手の感覚がなくなったという。 病院で診察を受け、神経や血流の障害で痛みが出る「胸郭出口症候群」と診断された。 17 年 8 月には労災認定を受けた。 女性は今、休職中で復職を希望し、「会社側には業務の質や量を見直してもらいたい。 このままでは同じような症状に苦しむ人が出るかもしれない。」と話す。

運営企業のオリエンタルランド広報部は「訴状が届き次第、内容を確認し、対応していく」と回答。 着ぐるみで働く人たちの労働環境については「ブランド管理とも関係するので回答は差し控えるが、出演者のケアはしっかりやっている」と説明している。 (土屋亮、asahi = 9-1-18)


過労死対策、報道各社手探り NHK は一部の宿直廃止

過労死をなくすための施策の土台となる国の過労死防止大綱が 3 年ぶりに改定され、長時間労働が多いなどとして特別に調査する業種に「メディア」が追加された。 NHK 記者の過労死が労災認定されたことなどが背景にある。 報道各社は、早く正確な情報を伝える報道機関の役割と、記者の健康確保の両立に向けて取り組みを進めている。

先月 7 日土曜の午後 9 時前、千葉県で震度 5 弱を観測した地震を伝えた NHK の臨時ニュースが、ツイッターなどで話題になった。 千葉放送局のスタジオに画面が切り替わると、T シャツ姿の男性ディレクターが登場。 「地震発生当時、千葉局にはディレクターの私 1 人しかいませんでした」と話し始めたからだ。 NHK は「取材や夜間の態勢についてはお答えしていない」とするが、複数の関係者は「働き方改革の結果だ」と解説する。 千葉、神奈川、埼玉などの放送局で記者の泊まり勤務を廃止したという。

2014 年に女性記者(当時 31)の過労死が労災認定されたことなどから、「ここ数年で局内の雰囲気は劇的に変わった」と 30 代の男性記者は言う。 「迅速な報道には泊まり勤務が必要なはずだが、それでも地方では一部廃止した。 上層部の意思の強さを感じた。」 複数の記者が「週休 2 日が徹底されつつある」と話す。 だが「求められる成果は変わらないのでつらい面もある」との声もある。

TBS では昨年度、報道局の一般職員の平均労働時間が前年度より 8.7% 減った。 ▽ 休日出勤をしたら 1 週間以内に代休をとる、▽ 入社 1 年目の社員には週 1 日、残業ゼロの日を設ける、▽ 部署を越えた連携で泊まり勤務の人数を削減する - - などしているためだ。 昨年度は番組制作費を 15 億円 (1.5%) 増やし、派遣スタッフの増員などにも充てている。 広報部は「報道機関として法令に違反していては国民の信頼を得られない」としている。

共同通信社は今年から、社会部の記者が災害や事件に即応するために当番制で担当する宿直勤務の回数を減らすため、これまで宿直がなかった他部の記者をローテーションに加えた。 また、宿直明けの記者は午前 10 時帰宅を徹底。 帰らずに仕事をする場合は管理職に報告する仕組みを作った。 宿直明けの記者が帰っても仕事が回るよう、一部の職場は複数の記者をグループ化してカバーし合っている。 同社総務局は「定時帰宅率は向上した」とする。

日本経済新聞社は、「スマートジャーナリズム」を掲げて、記者の「働き方改革」に取り組む。 20 年にも記者を「完全週休 2 日制」にするとホームページで表明。 休日に仕事をしたら振り替え休日を取らせ、取れなかった場合は「休日出勤手当」を支給する仕組みを作った。 また記者が関係者宅を訪れる「夜回り」の取材などで深夜まで仕事をした場合は、翌朝の出勤を遅くして、休息時間を確保する取り組みも始めているという。

朝日新聞社の取り組みは

朝日新聞社は 2014 年から、裁量労働制を記者などに導入した。 実際に働いた時間に関わらず、一定時間働いたとみなして残業代込みの賃金を払う制度で、ほかの報道機関にも導入例がある。 記者の仕事は進め方を本人に大きく委ねる必要があり、労働時間を会社が厳密に管理するのは現実的ではないと判断した。 一方で、働き過ぎを助長するとの懸念も強い。 そのため労働時間のかわりに、出勤と退勤の時間を自己申告で記録し、その「出退勤時間」が一定の基準を超えたら医師の面接を受けることを義務づけるといった健康確保の仕組みを設けている。

本社は 17 年から「働き方改革」を経営の最重要課題と位置づけ、今春には 20 年度までに全職場で公休取得率 100%、1 人あたりの年間勤務時間 10% 削減などの目標を作って、意識改革と仕事の見直しに取り組んでいる。 職場ごとに見直すべき業務を挙げるなどの取り組みも進めつつある。 事件・事故や災害などの取材を担う東京社会部では 16 年から、部員約 120 人のうち主に本社に詰める約 45 人の記者を対象に、2 グループに分けて毎週交互に「ノー残業デー」を実施している。

対象者は限られる上、災害や事件が起きれば仕事を続けるケースも多いが、社会部に通算約 5 年在籍する記者 (40) は「以前は何となく会社に残ることが多かったが、今は仕事がなければ早く帰るという意識が定着してきた」と話す。 大阪社会部では昨年 3 月から、宿直明けの記者はそのまま 1 日休みをとるか、十分な休息時間をとることを原則とした。 今年 6 月からは、土日に勤務が入る場合、あらかじめ平日の代休日を決め、振り替え休日の取得を促している。

しかし、取材が重なったり、突発的な事件や事故、災害などが起きたりすると、休みを十分に取れないことがある。 6 月に大阪北部地震が起きたときは、記者の連続勤務が続き、7 月に西日本を襲った豪雨災害のときは、朝から勤務していた記者がその夜にそのまま現地に向かうこともあった。 その分、長期の夏休み取得を呼びかけるなどして試行錯誤を続けている。 (asahi = 8-17-18)

〈中村史郎・朝日新聞社ゼネラルマネジャー兼東京編集局長の話〉 過労死防止大綱の対象業種にメディアが加えられたことを重く受け止めています。 本社ではこれまでに過労死として労災認定された事案はありませんが、十分な対応ができているとは言えず、様々な試行をしています。 今後も働き方改革問題を手厚く報じるとともに、自らの働き方にも厳しく向き合っていきます。