中国から資本流出の兆し - 9 月の外貨需要、16 年 12 月以来の高水準

→ 本土の銀行による顧客との外貨売買は約 1 兆 7,800 億円の売り越し
→ 貿易摩擦が及ぼす越境資本動向への影響は抑制可能 - SAFE

中国の銀行による顧客への外貨売却額が 9 月に 2016 年 12 月以来の高水準となり、人民元が下落する中で資本流出の兆しがあらためて示された。 国家外為管理局 (SAFE) が 25 日発表したデータによれば、中国本土の銀行による企業や個人などの顧客との外貨売買は 1,103 億元(約 1 兆 7,800 億円)の売り越し。

みずほ銀行のシニア通貨ストラテジスト、張建泰氏は資本流出の圧力が強まっていると指摘し、「米中の貿易関係に大きな改善がなく、両国の金融政策の乖離が続く限り」こうした状況が持続すると予想。 中国人民銀行(中央銀行)は 1 ドル = 7 元を超える元安水準の阻止に向け継続的に取り組む必要があるだろうと述べた。 SAFE は同日の声明で、外国為替相場を安定的に維持するため中国は包括的な措置を講じると表明。 貿易摩擦が及ぼす越境資本動向への影響はコントロール可能だとも説明した。 (Tian Chen、Bloomberg = 10-26-18)

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新興国から 14 億ドル流出、トルコや中国巡る懸念で = IIF

[ロンドン] 国際金融協会 (IIF) が 16 日公表したリポートで、投資家が過去 1 週間に新興国から 14 億ドルの資金を引き揚げたことが分かった。 トルコや中国を巡る懸念が影響した。  新興国の株式からの流出額は 13 億ドル、債券からの流出額は 1 億ドルとなった。 8 月 9 日からの 1 週間は、世界的な貿易戦争やドル高、資金調達コストやエネルギー価格の上昇を巡る懸念に加え、トルコ情勢を巡る不安を背景に、新興国資産への売りが加速した。

国別では南アフリカと中国からの引き揚げが目立ち、流出額はそれぞれ 6 億ドルと 5 億ドルとなった。 インドが流出超に転じたほか、マレーシア、インドネシア、韓国、フィリピン、ベトナムからも資金が流出した。 IIF は「米国とトルコの間で緊張が高まる中、新興国資産への投資意欲が明らかに圧迫された」と分析した。

また、南アについて、多額の経常赤字の穴埋めを債券や株式への資金流入に依存しているため、影響が大きくなったと指摘。 「市場への圧迫の影響は対外債務依存が比較的高い国で最も顕著になる」との見方を示した。 調査対象国の中で流入超となったのはタイ、カタール、ブラジルのみだった。 (Reuters = 8-17-18)

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中国が資金流出の取り締まりを強化、海外投資が減速、不動産も買えず - 米華字メディア

8 月 2 日、米華字メディア・世界日報によると、中国の外貨管理機関・中国外匯管理局が、資金の海外流出を抑止することを目的に取り締まりを強化している。 家族の海外移住、闇銀行の利用、国内保証付の海外貸出、貿易取引や中継貿易でっち上げが不正な資金流出の主要手段となっており、中国外匯管理局は取り締まりを強化するとともに、27 件の典型的な手口を不正として通達した。

不動産専門家によると、中国政府が資金流出への規制を強化したことで、顧客の多くが不動産売買に必要な資金を確保できなくなっており、現地中国系の間で不満の声が高まっているという。 海外に移住した家族の口座には以前は 1 人につき年 5 万ドルまで送金でき、分散させれば相応の金額を送金できたが、現在ではその基準が厳しくなり、不正な送金でなくとも条件によって不正な送金と見なされやすくなり、摘発されてしまう可能性も大幅に高まったという。 (RecordChina = 8-4-18)


中国株急落 上海総合指数 2,500 割れ 14 年 11 月以来の安値

→ 上海総合指数は 2.9% 安 - 今年 1 月の高値から約 30% 下落
→ 深セン総合指数、2.7% 下落 - 「極端に悲観的な雰囲気」との指摘も

18 日の中国株式相場は下落。 上海総合指数が 2,500 を割り込んで引けた。 人民元もぼぼ 2 年ぶりの安値となるなど中国経済を巡るリスクが広がる中で、市場を落ち着かせる当局の力が試されている。 上海総合指数は前日比 2.9% 安の 2,486.42 と、終値としては 2014 年 11 月以来の安値。 今年 1 月の高値からの下落率は約 30% に達した。 深セン総合指数は前日比 2.7% 下落した。

北京トォンリンションタイ・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、トゥン・パオチェン氏は「極端に悲観的な雰囲気」があると指摘し、「国が介入していて当然の状況だ。 国営ファンドはただ傍観していることはできない」と述べた。 (Bloomberg = 10-18-18)

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上海総合指数が 2016 年以来の大幅安、本土市場で 1,000 社超がストップ安

→ 15、16 年の相場下落時でも割り込むことがなかった 2,600 割り込む
→ テクノロジー銘柄が下げ主導、香港でテンセントは 10 日続落

11 日の中国株式相場は大幅下落した。 世界的な株安が広がった。 中国本土株の指標、上海総合指数は前日比 5.2% 安の 2583.46 で取引を終了。 2016 年 2 月以来の大幅な下げとなった。 15、16 年の相場下落時でも割り込むことがなかった 2,600 を下回った。 深セン総合指数は 6.5% 下落し、2014 年 9 月以来の安値。 上海と深セン合わせ、上場銘柄の 4 分の 1 強に相当する 1,000 社以上がストップ安に沈んだ。 香港ハンセン指数も 3.5% 安で、過去 8 カ月で最大の下げ。 アジアで時価総額最大のテンセント・ホールディングスは 6.8% 安となり、10 営業日続落した。

本土株式市場では通信やテクノロジー企業が下げを主導。 中興通訊 (ZTE) と三六零安全科技(360 セキュリティー・テクノロジー)の下落率は 9% を超えた。 前日の米国市場でテクノロジー株が売られた流れを引き継ぎ、香港でも同業界が下落した。 ブルームバーグがまとめたデータによると、香港ハンセン指数、中国大型株で構成する CSI300 指数の出来高は 30 日平均を約 7 割上回る水準。 香港と本土の株式相互取り次ぎを通じ、外国人投資家は 36 億元(約 585 億円)の本土株を売却した。

VC アセット・マネジメントのマネジングディレクター、ルイス・ツェ氏(香港在勤)は「ポジティブな要素があっても、ネガティブ心理がそれを上回る状況だ。 反発すれば投資家は売りのチャンスと捉えるだろう」と指摘。 上海株が主要なサポート水準を割り込んだことで一段安となる可能性があるとコメントした。 (Kana Nishizawa、Bloomberg = 10-11-18)

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中国株 : 上海総合指数、週ベースで 2016 年以来の上昇率を記録

→ 上海総合指数は週初に 4 年ぶり安値を付けていた
→ 香港株も値上がり - 香港ドルは対米ドルで 15 年ぶり大幅上昇

21 日の中国株式相場は上昇。 上海総合指数は週初に約 4 年ぶり安値に沈んだが、今週終わって 1 週間を通してみれば 2016 年以来の上昇率を記録した。 同指数は前日比 2.5% 高の 2797.48 で終了。 銀行から証券、航空、酒類銘柄など満遍なく上げ、週ベースで 4.3% 上昇した。

減税で消費を押し上げようとする中国当局の計画が好感されたほか、政府系ファンドが株式を購入したとの臆測も浮上。 香港株も値上がりし、この日のハンセン指数は 1.7% 高。 香港ドルは対米ドルで 15 年ぶり大幅上昇となった。 KGI セキュリティーズのアナリスト、ケン・チェン氏(上海在勤)は「消費を押し上げ、金融セクターをさらに開放するという中国の方針が短期的な買いを幾分促した」と述べた上で、「上昇分が維持されるかは、誰もが期待している政策を中国が実現できるかどうかにかかっている」と付け加えた。 (Bloomberg = 9-21-18)

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中国株 : 上海総合指数、14 年以来の安値 - 米中通商協議に不透明感

→ 上海総合指数は 1.1% 安 - 1 月の高値から約 25% 下落
→ 中国政府の通商協議見送りを懸念しているもよう - 招銀国際証

17 日の中国株式相場は下落。 上海総合指数が 2014 年以来の安値で引けた。 米中間の通商問題や台風による影響で香港株も下げた。 上海総合指数は前週末比 1.1% 安の 2651.79 で取引を終了し、16 年の安値を割り込んだ。 中国経済や貿易戦争などを巡る懸念で今年 1 月の高値から約 25% 下落しており、世界でも下げが目立っている。 香港ハンセン指数は 1.3% 安で引けた。

招銀国際証券の蘇沛豊ストラテジスト(香港在勤)は、「中国政府が通商協議を見送るとの報道を幾分懸念しているようだ。 先週終盤の株高を受けて利益確定圧力もある」と指摘。 「米国の中間選挙を控えて先行き不透明感から投資家の慎重姿勢は続くだろう」とコメントした。 (Bloomberg = 9-17-18)


中国「一帯一路」に誤算 親中政権の敗北相次ぐ

【北京 = 永井央紀】 中国は広域経済圏構想「一帯一路」の沿線で相次ぐ親中政権の敗北に危機感を強めている。 各国で中国支援がもたらす汚職や債務の問題に懸念が高まったのが原因で、習近平(シー・ジンピン)国家主席は新政権との関係構築を急ぐとともに、経済支援の手法を見直すよう指示した。 米国との関係が悪化するなか、中国を支える「友好国」をつなぎ留めるのに必死だ。

「中国は双方にとって有益な協力をモルディブと進めたい。」 習氏は 9 月 30 日、モルディブの大統領選で勝利した野党モルディブ民主党 (MDP) のソリ氏に祝電を送った。 現職のヤミーン大統領は中国依存を深めて橋や住宅などの建設を推進。 巨額債務を負ったうえ、不透明な建設資金が汚職の源になっているとの批判が出て敗北した。 ソリ氏の盟友であるナシード元大統領は選挙後、「中国との契約事業は全て見直す」と表明した。

モルディブはインド洋の地政学的要衝なだけに、中国の危機感は強い。 選挙結果が判明した 9 月 25 日、中国外務省の華春瑩副報道局長は新政権に「政策の継続と安定を保ち、現地の中国企業に良好なビジネス環境をつくり出すよう望む」と注文を付けた。 インドと近い新政権と関係構築ができるか憂慮がにじむ。

マレーシアでは 5 月の総選挙で、中国との経済協力を進めてきたナジブ首相(当時)が敗北した。 後を継いだマハティール首相は中国企業が手掛ける鉄道建設などについて財政状況を理由に中止を通告。 8 月に訪中した際は「一帯一路」での協力を表明しつつ、「新たな植民地主義は望まない」と李克強(リー・クォーチャン)首相の目の前でクギを刺した。

スリランカでも 2015 年に親中派大統領が敗北。 新政権は中国の融資で建設した大規模港湾の採算がとれないとして、開発凍結を要請。 債務免除と引き換えに港湾を中国企業に 99 年間貸し出すことになった。 過剰債務で影響力を確保する「債務のワナ」だとして、中国への警戒が高まる端緒となった。 中国は一連の懸念を払拭する必要があると認識している。

習氏は 8 月、相手国の状況や庶民の利益に留意するよう協力手法の見直しを指示した。 習氏は「一帯一路は軍事同盟や中国クラブをつくるものではない」とも強調。 米国をなだめるためにも、周辺国との友好関係によって米国に対抗するためにも、警戒を和らげたい思惑がうかがえる。

ただ、親中派政権が倒れても「一帯一路」が頓挫するとは限らない。 パキスタンでは 7 月の総選挙で与党が敗北したが、新政権も中国との関係を維持する。 アジア各国はインフラ整備の資金需要が旺盛だ。 内政不干渉をかかげる中国の支援は魅力的に映り、安易には手放せない。 中国側も、習氏の肝煎り政策として共産党規約に明記までした「一帯一路」構想を守るため、今まで以上に巧妙な外交攻勢をかけるだろう。

中国の「一帯一路」沿線 64 カ国への直接投資は 2017 年に過去最高の 201 億ドル(約 2 兆 2 千億円)となり、18 年も記録更新ペースだ。 米海軍分析センターの研究員は米紙の取材に対し「小国にとって中国の経済支援は国内政治を超越しうるものだ」と述べ、警戒を緩めていない。 (nikkei = 10-7-18)

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中国のアフリカ支援「無駄遣いだ」 ネットで批判噴出

4 日に閉幕した中国アフリカ協力フォーラムで、アフリカのために習近平(シーチンピン)国家主席が打ち出した総額 600 億ドル(約 6 兆 6 千億円)の資金協力が中国国内で波紋を呼んでいる。 「無駄遣い」との批判がネット上で広まり、関連の書き込みが禁止された。 学者などからも同様の指摘があり、当局が神経をとがらせている模様だ。

600 億ドルの内訳は、150 億ドルの無償援助や無利子融資、中国企業による 100 億ドル以上の対アフリカ投資など。安倍晋三首相が一昨年のアフリカ開発会議で掲げた「日本の官民で総額 300 億ドルの投資」と比べても格段に多い。 中国版ツイッター「微博」では発表直後から「なぜ国内の人々の暮らしの改善に使わない」、「税金が増え続ける」などの書き込みが相次ぎ、貧困地域の子供たちが飢えに苦しむ動画なども拡散した。

対外支援の拡大については、許章潤・清華大教授が 7 月の論文で「過剰な援助が国民を締め付けている」と批判した。 8 月にも「ばらまき外交は無益だ」と語った孫文広・山東大元教授が一時拘束された。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 9-6-18)


中国、関税再び下げ 11 月に機械や紡績品など 1,585 品目

18 年、1 兆円負担減

【北京 = 原田逸策】 中国の国務院(政府)は 26 日の常務会議で、11 月から関税を引き下げることを決めた。 対象は機械類、紡績品、紙製品など 1,585 品目。 引き下げにより、平均関税率は 2017 年の 9.8% から 7.5% まで下がる。 関税下げは 18 年 7 月につづく措置。 米国が保護主義を強めるなか、中国は逆に関税を下げて自由貿易を守る姿勢を訴える。

関税下げの方針は李克強(リー・クォーチャン)首相が 9 月の夏季ダボス会議での講演で表明し、今回正式に決定した。 関税下げ対象の 1,585 品目のリストは公表していない。 主な分類ごとの平均関税率をみると、工作機械など機械類は 12.2% から 8.8% に、紡績品や建材は 11.5% から 8.4% に、紙製品などは 6.6% から 5.4% にそれぞれ下がる。

中国は 7 月にも日用品など 1,449 品目を対象に関税を下げており、大規模な引き下げは今年に入って 2 回目。 18 年の一連の引き下げにより、企業や消費者の関税負担は 600 億元(約 1 兆円)減るとしている。 中国は 17 年 12 月にも日用品などの関税を下げており、直近 1 年間で 3 度目の大規模な引き下げとなる。 中国が関税を下げるのは、保護主義を強める米国に対抗する狙いだ。 米中は 7 月以降、お互いに追加関税を発動しあっている。 現在までに米国は計 2,500 億ドル分、中国は計 1,100 億ドル分の製品に関税を上乗せした。

追加関税の応酬で打撃を受けた国内製造業などを支援する狙いもある。 米国以外からの設備輸入にかかる関税を下げ、負担を減らす。 トランプ米大統領は中国の平均関税率が米国よりも高い点を「不公平だ」と批判する。 積極的に関税率を下げて批判をかわす狙いもありそう。 自由貿易を守る姿勢をみせ、欧州連合 (EU) や日本が米国と結束して中国に圧力をかける事態を避けたい考えだ。

一連の関税引き下げでは紙おむつ、炊飯器、しょうゆ、化粧筆など日本企業が強みを持つ商品も対象になった。日本企業にとっても中国市場を開拓する機会が広がりそうだ。 (nikkei = 9-26-18)


トラックより鉄道と船を使え! 中国伝統のインフラを活かしたモーダルシフトが加速

長江と黄河という 2 つの大河の流域で発展してきた中国は、この大河を結び、北の北京から南の杭州をつなぐ京杭大運河を沿岸経済交通の要としてきた。 ところが、内陸部の発展とモータリゼーションで、瞬く間にトラック輸送が拡大し、現在、全国貨物輸送量に占める道路輸送の比率は 78% を占めるようになった。

中国の沿岸幹線物流をトラック輸送から鉄道や水上輸送に切り替える「モーダルシフト」が一段と推進される。 交通運輸部が策定した「運輸構造調整推進に関する 3 カ年行動計画」が国務院常務委員会の審議を通過し、近く公布される運びだ。 近年は環境保全の観点からも、一度により大量の荷物を運べる鉄道や水上輸送の活用が求められている。 モーダルシフトは、国務院が定めた 3 カ年大気汚染防止プロジェクト「藍天保衛戦(青空防衛線)」の重要施策にも盛り込まれた。

運輸構造調整推進に関する 3 カ年計画は、北京・天津・河北とその周辺エリア、長江デルタ地域、汾河と渭河の流域にある汾渭平原を主な対象に設定。 その上で、コモディティ貨物輸送の「道路→鉄道」、「道路→水運」を進める内容だ。 2020 年までに、全国の鉄道貨物量を 17 年比で 11 億トン (30%) 増やす。 北京・天津・河北で 40%、長江デルタで 10%、汾渭平原で 25% ずつ増量していく。 また、水運貨物量は 17 年比で 5 億トン (7.5%) の増加をめざす。 一方、沿海港湾のコモディティ貨物道路輸送量を 4 億 4,000 万トン減らすことが目標。

これらの目標を実現するために、今年から全国規模で、(1) 鉄道輸送能力の引き上げ、(2) 水運システムのレベルアップ、(3) 道路貨物輸送体制の見直し、(4) 複合一貫輸送(マルチモーダル)の導入、(5) 都市グリーン配送の推進、(6) 各輸送手段間の情報資源統合 - - の 6 大行動を展開する。

中国の物流システムは、足元で道路輸送の比率が極端に高い不均衡な構造だ。 全国貨物輸送量に占める道路輸送の比率は 08 年の 74% から 17 年に 78% へと拡大した。 半面、鉄道輸送比率は 13.2% から 7.8% に低下している。 17 年の鉄道貨物輸送量が 08 年比で 11% 増加したのに対し、道路貨物輸送量は 91% も拡大した。 道路貨物の輸送量の拡大には、中国で発展が著しい EC (電子商取引 = ネット通販)の拡大がある。

なお、日本の国内貨物の輸送比率は概ね、自動車が 50%、内航海運 45%、鉄道 5% という比率になっている。 EC 市場の拡大で宅配便の取扱量が大きく伸びているのは、日本にもあてはまる。 京杭大運河は、すでに水量が減少するなどによって北部では北京 - 天津の短い区間のみしか活用できないが、南は済寧から杭州まで利用可能。 これまで 2 つの大河の支流や黒龍江などの多くの河川や様々な運河によって水上輸送の動脈を作ってきた中国では、水上輸送の活用がもっと進んでもよいだろう。 (SearChina = 9-14-18)


中国の全国新築住宅価格、7 月は 2 年ぶりの高い伸び 中小都市でブーム

[北京] 中国国家統計局が 15 日発表したデータに基づくロイターの算出によると、7 月の中国主要 70 都市の新築住宅価格は前月比 1.1% 上昇した。 伸び率は 6 月の 1.0% から拡大し、2016 年 10 月以来、ほぼ 2 年ぶりの高水準となった。 価格の上昇は 39 カ月連続。 中・小規模都市が価格の上昇を主導。 不動産バブルを煽ることなく中国経済にテコ入れするという、政策担当者らが抱える課題の難しさを浮き彫りにした。

2016 年と 2013 年前半の住宅ブーム時を除くと、前月比の上昇率が 1% を上回るのは非常にまれ。 前年比では 5.8% 上昇。 6 月の 5.0% から伸びが加速した。 こちらは 2017 年 9 月以来の大幅な伸びだった。 2 年以上に及ぶ不動産ブームを抑えるため規制が強化されているにもかかわらず、中国の不動産市場は過熱している。 価格上昇率が大きかったのは「三線都市」と呼ばれる 35 都市。 北京、上海、深セン、広州の 4 大都市と「二線都市」と呼ばれる省都を含めた 31 都市の伸び率は、より控えめだった。

中国住宅価格の予想外の底堅さは、既存の購入規制をかいくぐる抜け穴の存在も示唆している。 中国は 6 月後半、年内に 30 の主要都市で不動産を巡る不正の取り締まりを再開すると表明。 複数の地方政府は企業による購入を制限する新ルールを発表した。 中国招商証券のアナリスト、Zhang Yiping 氏は住宅価格統計の発表後、「今は既存の規制を緩めるに適したときではない。 政策担当者は不動産規制の強化を続けるべきだ。」と述べた。

7 月は主要 70 都市中 65 都市で価格が前月から上昇。 6 月の 63 都市からさらに増えた。 西南証券のアナリスト、Yang Yewei 氏は、住宅在庫の減少と依然旺盛な需要が重なり、住宅の供給不足に拍車が掛かっていると指摘した。 アナリストの間では、中小企業の金融支援拡大に向けた中国政府の取り組みの余波で不動産セクターの需要が拡大し、住宅販売が加速しているのではないかとの声も出ている。

政府は不動産規制を維持する姿勢を変えていないものの、米国との貿易戦争の影響を抑えるために経済への資金供給を増やしており、不動産開発業者の資金調達環境も改善しているもようだ。 中国国家統計局の発表に基づくロイターの算出によると、7 月単月の中国不動産投資は前年同月比 13.2% 増と、2016 年 10 月以来の高い伸びとなった。

また、7 月単月の不動産販売(床面積ベース)は前年比 9.9% 増となり、6 月単月の 4.5% 増から伸びが大幅に加速した。 7 月は海南省のリゾート地三亜市(三線都市)の住宅価格上昇率が前月比 3.7% で全都市中最高だった。 三線都市全体の上昇率は前月比 1.5% で、6 月の 0.7% から倍以上に加速した。 (Reuters = 8-15-18)


続く人民元安、チャイナショック時に近づく 当局は静観

人民元の対ドル相場が下がり続けている。 3 日の上海外国為替市場では一時、1 ドル = 6.89 元と、事実上の元切り下げで起きた「チャイナ・ショック」の後、2016 年末から 17 年初につけた 1 ドル = 6.96 元に迫る低水準だ。現時点で、中国人民銀行は静観を続けている。

元の下落が始まったのは 6 月半ば。米国が減税による好景気で引き続き利上げが予想される一方、中国は預金準備率を引き下げ、財政出動を強化する緩和的政策をとり始めたためだ。 米中貿易摩擦の激化で、中国の貿易黒字が減るとみられることも一因だ。 6 月半ばからの対ドル相場の下落率は 8% 近くになった。

しかし、15 年 8 月にあった事実上の元切り下げを発端に、17 年初まで進んだ大幅な元安へ、大規模な為替介入で対抗した人民銀は今のところ、相場を市場の流れに任せている。 営業日ごとに設定する取引の基準となる中間値を調整し、元安に歯止めをかけることもしていない。 背景には、消費に支えられた経済の堅調さや、元安に伴う資本流出がみられないことがある。

15 - 17 年に進んだ元安は急激な資本流出を伴い、当局による元買いもあって、外貨準備が急激に減少。 中国経済への悲観的見方に拍車をかけた。 一方、今年 6 月の外貨準備は 3 兆 1,121 億ドル(約 347 兆 5 千億円)で、前月から 15 億ドル増えた。 企業の外国投資を規制していることが功を奏した形だ。 米中貿易摩擦で米国からかけられた、輸出への高関税の影響がそがれる効果も意識しているとみられる。 (北京 = 福田直之、asahi = 8-3-18)


中国は景気てこ入れに転換? インフラ加速で借金リスク

中国の習近平(シーチンピン)指導部が進めてきた経済政策が、米中貿易摩擦による景気後退リスクで曲がり角を迎えている。 31 日にあった下半期の経済政策を決める中国共産党政治局会議は、「内需拡大と構造調整で、財政政策により大きな作用を発揮させる」とし、「景気てこ入れ」モードへの転換を示唆した。 ただ、財政政策の主役となるインフラ投資は、地方政府の借金をまた膨らませるリスクもある。

中国では習氏が政治基盤を固め、2017 年春から金融に対する党の指導を強めた。 「去杠杆(チュイカンカン、過剰債務など金融リスクを削減する)」政策を進め、それまで放置されてきた地方政府や国有企業の債務対策を進めてきた。 その結果、各地で地下鉄などの建設計画が停止。 17 年に前年比 2 割増だったインフラ投資の伸び率は 18 年上半期、同 7.3% 増と鈍った。

習指導部が構造改革を進めて来られたのは、内外の好調な経済環境の支えがあったからだ。 だが 7 月に入って米中が互いに高関税を掛け合い、米中貿易摩擦が本格化。 政府が年 6.5% 前後に設定した成長率の達成が危うくなった。

党の会議に先立ち、7 月 23 日に開かれた国務院(政府)の常務会議で、李克強(リーコーチアン)首相は、財政・金融政策の役割をよりよく発揮させるよう指示。 会議では「積極的財政政策をより積極的に実施する」、「地方政府が借りたお金を加速して使い、建設中のインフラプロジェクトの効果を早めに出す」などと決定。 金融政策もこれまで通り「穏健」としたが、「中立」という表現は削除。 「適度な社会融資規模と合理的な流動性の余裕を維持する」としていた。

10 年前のリーマン・ショック後にとった景気対策により、地方政府や国有企業は大きな借金を抱えた。 交通網などインフラ整備はすでに進んでいて、新たな投資の経済効果を疑問視する声も。 景気のてこ入れと構造改革の間で、難しいかじ取りを迫られそうだ。 (北京 = 福田直之、asahi = 8-1-18)

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中国 6.7% 成長に減速 4 - 6 月、3 期ぶり

投資・消費振るわず 貿易戦争、先行きも不透明

【北京 = 原田逸策】 中国国家統計局が 16 日発表した 2018 年 4 - 6 月の国内総生産 (GDP) は物価の変動を除く実質で前年同期より 6.7% 増えた。 成長率は 1 - 3 月を 0.1 ポイント下回り、17 年 7 - 9 月から 3 期ぶりに減速した。 インフラ投資が振るわず、消費も伸び悩んだ。 堅調だった輸出も米国との貿易戦争で落ち込む恐れがあり、先行きは不透明感が強い。

成長率は 18 年の政府目標「6.5% 前後」を上回った。 日本経済新聞社と日経 QUICK ニュースが共同で実施した市場調査の平均 (6.7%) と同じだった。 前期比でみた成長率は 1.8% で 1 - 3 月 (1.4%) から加速した。 先進国のように前期比の伸び率を年率換算した成長率は 7% 台半ば。 景気の実感に近い名目成長率は前年同期比 9.8% 程度となり、1 - 3 月 (10.2%) から減速した。

GDP とは別に 16 日に発表した経済統計をみると、マンションや工場の建設など固定資産投資は 1 - 6 月に前年同期比 6.0% 増えた。 伸び率は 1 - 3 月(7.5% 増)から鈍化した。 道路や空港などインフラ投資の伸びが 1 - 3 月の 13% から 1 - 6 月は 7.3% に失速したことが原因だ。 個人消費は振るわなかった。 百貨店、スーパー、インターネット通販などを合計した社会消費品小売総額は 1 - 6 月に前年同期比 9.4% 増えた。 伸び率は 1 - 3 月(9.8% 増)から減速した。

1 - 6 月の工業生産は前年同期比 6.7% 増と底堅かった。 伸び率は 1 - 3 月から 0.1 ポイント縮小した。 半導体が好調だったほか、生産全体の動向を映す発電量も高めの伸びだった。 輸出は好調だった。 1 - 6 月の輸出額はドルベースで前年同期比 12.8% 増えた。 輸入は同 19.9% も拡大したため、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は縮小した。

下期は米国との貿易摩擦の影響が顕在化しそうだ。 米トランプ政権は 7 月 6 日から中国製品 340 億ドル相当を対象に 25% の追加関税をかけたほか、早ければ月内にも課税対象をさらに 160 億ドル相当も上積みする。 さらに 2 千億ドル相当の中国製品に 10% の追加関税をかける構えもみせる。 投資と消費に力強さがない中、外需も落ち込めば中国経済の減速傾向が鮮明になりそう。 思わぬ景気失速を招く恐れもあり、中国の金融市場は神経質になっている。 (nikkei = 7-16-18)

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中国経済、さらに減速 - 米中貿易摩擦や債務抑制策が足かせに

⇒ 規模が小さめの企業や貿易、株式・不動産投資家の心理が軒並み悪化
⇒ 米中の通商対立が深刻化、債務抑制策による与信の伸び悩みも響く

中国経済は 6 月に一段と減速したようだ。 米国による関税賦課が近づく中で、世界 2 位の経済大国の脆弱ぶりが浮き彫りになっている。 ブルームバーグ・エコノミクスのフィールディング・チェン氏は、複数のデータを一つの指標にまとめ、与信の伸びの急速な鈍化が中国経済の重しになっている可能性を指摘。 金融システム健全化に向けた政府の取り組みに伴う与信伸び悩みの影響に加え、米国との貿易摩擦の深刻化で、規模が比較的小さい企業や株式・不動産投資家の心理に影響が出ている。

完全版の「ダッシュボード」は、30 日に発表される中国の 6 月の購買担当者指数 (PMI) やその翌日に発表される韓国の輸出を盛り込んだ上で、ブルームバーグ・エコノミクスが来月の早い時期に公表する。 ブルームバーグのエコノミスト調査では政府発表の製造業・非製造業 PMI が共に前月から鈍化すると見込まれている。 米国との貿易摩擦や中国経済の一段の減速懸念から本土株は弱気相場入り。 人民元も下落が続き、昨年 12 月以来となる 1 ドル = 6.6 元台となった。

チェン氏は「中国当局は規模が小さめの企業を支援しているほか、景気下押し圧力への対処に十分な流動性を維持している」と指摘。 米国との通商対立が市場心理を損なっているものの、中国経済への影響はまだ表面化していないと話した。 (Bloomberg = 6-28-18)

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中国経済に減速の兆し - 5 月の工業生産や投資が伸び悩む

⇒ 1 - 5 月の固定資産投資は 6.1% 増、99 年以降で最も伸び小さく
⇒ GDP が 4 - 6 月に減速する可能性を示唆 - コワルツィク氏

中国経済は 5 月に減速の兆しを示した。 工業生産の伸びは予想外に鈍化し、小売売上高と固定資産投資も振るわなかった。 国家統計局が 14 日発表した 5 月の工業生産は前年同月比 6.8% 増。 ブルームバーグがまとめた市場予想は 7.0% 増、4 月も 7.0% 増だった。 5 月の小売売上高は前年同月比 8.5% 増加。 市場予想は 9.6% 増。 一方、1 - 5 月の都市部固定資産投資は前年同期比 6.1% 増で、予想は 7.0% 増だった。 1999 年以降で最も伸びが小さくなった。

与信の伸びが大幅に鈍化し、米国との貿易摩擦悪化も懸念される中、中国企業にとっては先行き不透明感が強まっている。 人民銀は流動性を拡大することで成長下支えを図ってきた。 大方のエコノミスト予想通り米利上げに追随する可能性は依然残っているものの、直ちに動かなかったのは景気に対する懸念の表れだと受け止められている。 中国人民銀行(中央銀行)は 14 日の公開市場操作(オペ)でリバースレポ金利の引き上げを見送った。

クレディ・アグリコルの新興国市場シニアストラテジスト、ダリウス・コワルツィク氏(香港在勤)は「今回の指標は 5 月の工業活動と需要の減速を確認する内容となり、国内総生産 (GDP) の伸びが 4 - 6 月(第 2 四半期)に減速する可能性を示唆している」と指摘。 「これは人民銀がきょう米利上げに追随しなかった理由を説明している」と述べた。 (Bloomberg = 6-14-18)

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中国 : 4 月の指標まちまち - 工業生産上振れも固定資産投資は減速

⇒ 4 月の工業生産は前年同月比 7.0% 増、予想 6.4% 増
⇒ 1 - 4 月の固定資産投資は前年同期比 7.0% 増、予想 7.4% 増を下回る

中国経済は 4 月に勢いをおおむね維持した。 工業生産は予想を上回ったものの、投資の伸びは鈍化し、今後数カ月に勢いが衰えることが示唆された。 国家統計局が 15 日発表した 4 月の工業生産は前年同月比 7.0% 増と、ブルームバーグがまとめた市場予想の 6.4% 増を上回った。 3 月は 6% 増だった。 4 月の小売売上高は前年同月比 9.4% 増。 市場予想は 10% 増だった。 1 - 4 月の都市部固定資産投資は前年同期比 7.0% 増で、予想は 7.4% 増だった。

今回のまちまちな統計内容から、米国との貿易面の緊張や当局の過剰債務抑制策といったリスクに直面している中国経済が、既に緩やかな循環的減速局面にあることが裏付けられた。 HSBC ホールディングスのアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は「当局による中国金融システムでの引き締めが成長の重しになり始めている」と指摘。 「特にシャドーバンキング(影の銀行)を巡る金融規制の厳格化が響き始めており、インフラを中心とする固定資産投資は向こう数カ月間にさらに鈍化する可能性がある」と予想した。 (Xiaoqing Pi、Bloomberg = 5-15-18)


中国の民間債務を警戒 GDP 比で上振れ 内閣府分析

内閣府は 26 日公表した「世界経済の潮流」で、主要国の民間債務が世界経済に与えるリスクを分析した。 国内総生産 (GDP) に対する債務残高の比率をみると、中国とカナダが高く「留意が必要だ」と警戒している。 中国をはじめ新興国企業の対外債務も増えており、急激な金利上昇などが世界経済を揺さぶりかねないとの見方を示した。

国際決済銀行 (BIS) の統計をもとに、家計や企業の債務残高を調べた。 2008 年のリーマン・ショック以降の GDP 比率をみると、主要国で二分される。 日米やユーロ圏は低下し、中国やカナダ、スイスは上昇した。 中国は企業部門での債務増加が目立つ。 リーマン・ショック後の 4 兆元の景気対策で実施した大規模なインフラ投資などで債務が急拡大。 企業債務の 8 割前後を国有企業が占めた。

鉄鋼といった金属や建材の生産体制が過剰な業種で負債が膨らんだ。 国内での債券発行の急拡大も影響している。 銀行を直接介さず資金を調達する「影の銀行」の広がりを指摘する向きもある。 家計部門では、カナダなどの債務が増加。 金融緩和に伴う住宅ローン金利の低下や移民の増加が住宅価格を押し上げ、家計の借り入れが増えた。 内閣府は、主要国の民間債務残高の GDP 比率が過去の長期的な傾向を示す数値(トレンド)からどのくらい乖離しているかを推計した。

この分析手法を開発した BIS は、トレンドから 9 ポイント超上振れすると「3 年以内に金融危機が起こる可能性に注意すべきだ」としている。 直近の 17 年 7 - 9 月時点でトレンドから 9 ポイント超上振れしていたのは中国(16.7 ポイント)とカナダ(9.6 ポイント)の 2 カ国。 ただ、過剰債務を圧縮する取り組みなどで、両国とも 16 年をピークに比率が下がりつつある。 内閣府は「世界的な金融危機の可能性が年々高まっている状況にはないが、中国やカナダの民間債務には留意が必要」とした。

日本は 7.7 ポイント上振れしたが、中国やカナダと状況が異なる。 長期的に債務残高比率を下げてきたため、基準となるトレンドも低下。 一方、足元の景気回復で企業が設備投資向けに債務を積み増す動きが出ており、トレンドから上振れする形となった。 米国やユーロ圏はトレンドを下回った。 民間債務とともに膨らんだ資産価格が下落に転じると、家計や企業の債務返済は厳しくなる。 この結果、消費や設備投資が一気に冷え込み、景気後退が深刻になりやすい。

内閣府は債務縮小や資産バブル崩壊が景気後退に与える影響も調べた。 経済協力開発機構 (OECD) 加盟国のうち 20 カ国で 1970 年以降に起きた 124 回の景気後退を分析。 31 回は民間債務の縮小と住宅価格の下落を伴った。 これらの後退局面での実質 GDP 減少率の中央値は 2.1%。 債務縮小や住宅価格下落と関係なかった 34 回の後退局面では 0.9% の減少にとどまった。 (nikkei = 7-26-18)

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中国の不動産関連の不良債権、18 年に 20% 増加へ

⇒ 不動産セクターでは不良債権比率は 1.5% に上昇へ
⇒ 住宅価格 20% 下落なら銀行に著しいストレスがかかると半数が回答

中国の不動産セクターの不良債権は今年、当局による不動産規制強化策を背景に 20% 以上増加する見通しであることが、金融機関と不良債権管理業者の調査で分かった。 中国東方資産管理の最新の年次調査によると、不動産市場は規制強化を受けて「一層の調整」が見込まれ、同セクターに関連する不良債権比率は約 1.5% に上昇していく見込み。 不動産業界の不良債権比率は低いものの、この水準は中国経済の平均である 1.75% に向かいつつあるという。

商業銀行や資産管理会社などの 391 人を対象とした同調査によると、不動産価格の 20% 以上の下落が銀行に著しいプレッシャーをかけると答えたのは約半数に上った。 30% 以上の値下がりでストレスがかかると回答したのは 3 分の 1 弱だった。 同調査によると、不動産関連の新規ローンは減少しているものの、これらのローンが貸出総額に占める割合は今年、56% 強を占める可能性がある。 これは昨年 1 - 3 月期に見られた水準とほぼ同じだという。 (Emma Dong、Jun Luo、Bloomberg = 7-4-18)


世界「急成長企業」ランキング、上位 5 社を中国企業が独占

中国企業はここ数年、米国企業を上回る成長スピードを達成しようとしてきたが、なかなか難しかったのも現実だ。 しかし、今年 1 月に転機が訪れた。 米トランプ政権は中国の半導体企業「NAURA (北方華創)」が、米国のソーラー機器メーカー「Akrion System」を買収することを承認した。 さらに 6 月には中国のコングロマリット「China Oceanwide Holdings Group (中国泛海控股集団)」が、アメリカの保険会社「Genworth Financial」を買収することを認めた。

フォーブスは毎年「世界の有力企業 2,000 社ランキング (Global 2000)」を公開している。 そこから特に成長度の高い企業を抽出したランキング「グロースチャンピオンリスト (Growth Champions list)」で今年は上位 10 社のうち 7 社が中国企業となった。 また、トップ 5 社が全て中国企業だった。 昨年は上位 10 社入りを果たした中国企業は、4 社にとどまっていた。 今回のグロースチャンピオンリストは、Global 2000 に選ばれた企業の 2014 年から 2017 年にかけての売上と利益を複合した成長率を比較し、上位 250 社を選出した。

今年 1 位に入ったのは中国の不動産開発企業の「Greenland Holdings Group (緑地控股集団)」で昨年の売上は 448 億ドル(約 5 兆円)、利益は 15 億ドルだった。 Greenland は先月、米国のインフラ企業「AECOM」と提携を結び注目を集めた。 Greenland と AECOM は、ロサンゼルスで過去最大規模のホテル建設プロジェクトを始動させようとしている。 Greenland の時価総額は 139 億ドルに達している。 上位 2 位から 5 位までの中国企業は順に、「HNA Technology」、「S.F. Holding」、「Hubei Biocause Pharmaceutical」、「Sumec Corporation」となっている。

また、10 位には韓国企業の SK ホールディングスが入った。 同社は通信キャリア事業や IT サービス、化学やエネルギー事業を手がけている。 SK は昨年、利益を倍増させ 2017 年の利益は 40 億ドルを計上していた。 (Kristin Stoller、Forbes = 7-15-18)