英で HV 新車販売の禁止を検討と現地報道 運輸省は否定

英政府が 2040 年までにハイブリッド車 (HV) の新車販売の禁止を検討していると、英紙フィナンシャル・タイムズなどが 5 日報じた。 トヨタ自動車のプリウスなども対象に含まれる可能性があり、実現すれば日本の自動車メーカーの戦略にも影響を及ぼしそうだ。 英政府は昨年 7 月、40 年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する方針を発表。 報道によると、禁止対象に HV も含める案が検討されている。 政府内では、電気だけで少なくとも 50 マイル(約 80 キロ)走れる車のみ販売を認める案などが出ているという。

ただ、運輸省の広報担当者は HV の販売禁止の計画報道を否定。 フィナンシャル・タイムズによると、ゴブ環境相らがこの案を支持しているが、グレイリング運輸相は反対しているといい、閣僚間で意見がまとまっていない模様だ。 報道された案が実現した場合、エンジンと電気モーターを併用するプリウスなど通常の HV は英国では売れなくなる見通し。 外部から充電して走れるプラグインハイブリッド車 (PHV) は認められる方向だが、トヨタが昨年売り出した「プリウス PHV」が電気だけで走れる距離は 68.2 キロで、電池性能を引き上げる必要に迫られそうだ。 (ロンドン = 寺西和男、asahi = 5-5-18)


IoT 家電・住宅設備のサイバーリスクを補償 損保ジャパン

損害保険ジャパン日本興亜は 8 月から、スマートハウスや ZEH (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)といった次世代型の省エネルギー住宅の普及を促進するため、業界で初めて「スマートハウス向け火災保険」の販売を始める。 新商品は個人向け火災保険の主力商品である「個人用火災総合保険」において「IoT 住宅費用『売電収入・サイバーリスク』特約」として販売するもの。

補償対象は、(1) IoT 機器・住宅設備などがサイバー攻撃を受け、不正アクセスや個人情報漏えいで生じた修理費用、情報漏えい対応費用、データ復旧費用、再発防止費用など、(2) 太陽光発電システムが火災、落雷、風災、ひょう災などの事故により損害を受けた結果、生じた売電収入の損失 - - となる。 (住宅新報 = 5-1-18)


豪、グレートバリアリーフの回復・保護に 413 億円 過去最大規模

シドニー : オーストラリアは 29 日、世界最大のサンゴ礁群であるグレートバリアリーフの回復と保護に 5 億豪ドル(約 413 億円)超を投じ、壊滅的な現状を転換する方針を表明した。 グレートバリアリーフは世界遺産に登録され、大勢の観光客が訪れる。 ただ、気候変動に伴う海水の温度上昇によってサンゴの白化が拡大し、打撃を受けている。

マルコム・ターンブル首相は、5 億豪ドル超を水質改善や、サンゴを食い荒らす生物の対策、回復への取り組みに充てる意向を表明。 「サンゴ礁を保護し、生存能力やサンゴ礁に頼っている 6 万 4,000 人の雇用を保全するための、過去最大規模の単独投資だ」と語った。 その上で、「オーストラリア国民全員、特に生活をサンゴ礁に依存している人々のために、サンゴ礁の将来に向けて万全の手を打ちたい」と付け加えた。 グレートバリアリーフはオーストラリアになくてはならない国家的資産であり、国内経済に年間 64 億豪ドル(約 5,300 億円)寄与している。 (AFP = 4-29-18)


欧米で「脱石炭」が加速 石炭火力に融資は反倫理的

地球温暖化を防ぐため、低炭素社会の実現に向けた動きが欧米で始まり、この 1 - 2 年は、金融市場と連動して「脱石炭」が加速しています。 英ロイズや仏アクサなどの大手保険会社が、二酸化炭素 (CO2) 排出が多い石炭火力発電や、石炭採掘などから投資を引き揚げ。 日本でも、北海道電力、四国電力、北陸電力、電源開発などの株式が売却されています。 ドイツ銀行や仏 BNP パリバ、US バンコープなどの銀行は、石炭関連ビジネスへの新たな融資を中止しました。 欧米では、脱石炭の流れをせき止めるような融資は、倫理に反すると見なされるようになっているのです。 (asahi = 4-21-18)


ごみや産廃が化学製品の主原料「エタノール」に変身!?

積水化学工業は、都市ごみや産業廃棄物を化学製品の主原料の一つであるエタノールに変える技術を開発した。 2,000 度の高温によって丸ごと溶かすことでガス化し、微生物により熱・圧力を用いることなくエタノールに変換する仕組みで、循環型のリサイクルシステムを構築できる点が売り物だ。 現在はオリックス資源循環の寄居工場(埼玉県寄居町)で実証を繰り返しており、平成 31 年の本格稼働を目指す。 R & D センターの岩佐航一郎・BR 事業化推進グループ長は「技術屋として後世に残す仕事ができた」と話す。

- - 今回の技術を開発した理由は

「日本で排出される可燃性のごみは年間で約 6,000 万トンに上る。 そのエネルギー量は約 200 兆キロカロリーに達する。 国内のプラスチック原料用ナフサ(約 3,000 万トン、約 150 兆キロカロリー)を大きく上回っており、ごみは重要な資源だといえる。 しかし、ほぼ全てが焼却され二酸化炭素 (CO2) となって排出されているのが現状。 この部分に着目して取り組んだ。」

- - ごみを工業原料に変えるに当たっての最大の課題は

「質の確保だ。 化学的組成が単一でなければ、工業製品に転換していくことは極めて難しいのに、ごみは種々雑多で不均質。 成分や組成が大きく変動するからだ。 この問題に対して挑戦し続け、7 年間かけて世界で初めて成功した。」

- - 具体的にはどういった形でエタノール化を図るのか

「収集したごみをガス化によって分子レベル(一酸化炭素、水素)にまで分解。 ごみが持つ豊富なエネルギーを損なうことなく、特性を均質化する。 ただ、このガスには余計な成分が混入している。 このためガスに含まれる約 400 種の不純物質の特定と精製などを行う技術を開発した。 その過程を経て、米バイオベンチャーのランザテックが提供する微生物を活用する。 天然から抽出されたこの微生物はパン酵母と同様の安全性を備え、原生微生物の 10 倍以上もの反応速度で、一酸化炭素と水素をエタノールに変えていく。 エタノールの生産量は寄居工場の全てのガスを活用した場合、数万キロリットル。 工業プラントに資するレベルの量だ。」

- - 今後の研究の課題は

「今回開発した技術をどのように広げられるかだ。 その一環として考えているのが、タイヤの主原料であるブタジエンの生産。 シェールガスの中に含まれていないので、これから確実に不足することになるからだ。」

- - 自治体の反応は

「全国には約 1,200 カ所のごみ焼却施設がある。 施設の寿命は約 40 年だが、老朽化して建て替えるときが導入する契機となる。 既に約 20 の自治体が見学しており、われわれの考え方に賛同するケースが多い。」

- - ビジネス面での展開は

「エンジニアリング会社と協業して、完成させたプラントを納入することなどを検討している。 また、全国各地での新たな産業創出にもつながる。 ケミカル関連は海外から輸入する石油に頼らなければならないので、海に面したコンビナートで作られていた。 しかし今回の技術が普及すれば、従来の大規模集約型に代わり焼却場に隣接した工場が誕生。 地方分散型の化学産業が生まれていくことになる。 また、雇用創出だけでなく、ブタジエンを作るための新たなプラントを設置するといったように、広がりを見せることに期待を寄せている。」 (伊藤俊祐、sankei = 4-15-18)


日本の温室効果ガス削減目標「不十分」 OECD 指摘

日本政府が国際約束している 2030 年度までの温室効果ガス削減目標に対し、経済協力開発機構 (OECD) が「不十分だ」と指摘し、対策強化を求める報告書案をまとめた。 再生可能エネルギーについて、太陽光だけでなく風力や地熱なども展開を加速するよう促している。 グリア事務総長が近く来日するのに合わせ、日本の政策への提言の一つとして言及する。

16 年に発効した地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」で、日本は 30 年度までに温室効果ガス排出を 13 年度比で 26% 削減するとした目標を提出した。 これに対し、報告書案では、「日本経済のグリーン化」と題した項目の中で、「日本は OECD 加盟国で温室効果ガス排出が最も大きい国の一つで、削減目標の達成のための努力を加速する必要がある。 現在の目標はまだ不十分だと考えられ、それを上回るもっと野心的なものに強化すべきだ。」と求めた。

再生エネについて、日本政府は 30 年度までに全電力に占める割合を 22 - 24% にする目標を掲げているが、「ほかの多くの OECD 加盟国の目標値に及ばない」と指摘。 16 年実績では、OECD 平均の 23% に対し日本は 16% で、「固定価格買い取り制度の導入で再生エネは増えたが、太陽光に集中しており、風力や地熱などはとても小さい。 再生エネの種類をもっと多様に展開できるよう努力すべきだ。」としている。 電力改革や革新的な技術開発などにも力を入れ、50 年までの長期目標に向けた道筋を確立するように求めている。 (桜井林太郎、asahi = 4-8-18)


地球温暖化を 2 度未満に抑制しても、北極海の無氷状態は防げない 研究

【パリ】 もし人類が地球温暖化を、長年ボーダーラインとされてきた「19 世紀半ばより 2 度未満の上昇」に抑制することができたとしても、北極海が無氷状態になる可能性があると、科学者らが警鐘を鳴らした。 無氷状態は、海氷域が 100 万平方キロメートル未満になることを意味する。 ただ上昇値を 1.5 度以下に抑制できれば、非常に大きな違いを生じさせることができると、2 日に英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに掲載された個別の論文 2 件は述べている。

2 度上昇の場合、北極海がおおよそ 4 年に 1 回、夏に無氷状態になる恐れがあるが、上昇値が 1.5 度を超えなければ、その可能性は 40 年に 1 回の可能性まで低下するという。 論文 2 件のうち 1 件の執筆者である米コロラド大学ボルダー校のアレクサンドラ・ヤーン助教授は、「0.5 度が大きな違いを生むことを発見するとは予想もしなかったが、本当だ」と述べた。

世界 197 か国が参加した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、世界の平均気温上昇が 19 世紀半ばの水準よりも 2 度を「十分に下回る」ようにし、さらには1.5 度以下に抑制するよう「努力する」ことが求められている。 地球上の平均気温はこれまでに 1 度上昇しており、すでに干ばつや熱波、海面上昇により多発する暴風雨などが徐々に激しさを増してきている。 (Marlowe Hood、AFP = 4-3-18)


ソフトバンク、サウジで太陽光発電事業 21 兆円規模

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長とサウジアラビアのムハンマド皇太子が、滞在先の米ニューヨークで 27 日夜(日本時間 28 日)に記者団と会見し、世界最大となる計 200 ギガワットの太陽光発電事業をサウジで始めると明らかにした。 太陽光パネルの工場も同国内に設けるといい、2030 年までの総事業費は計 2 千億ドル(約 21 兆円)規模にのぼる。

ソフトバンクがサウジ政府系ファンドなどと設立した 10 兆円規模のファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が資金を拠出。 まず約 50 億ドルを投じ、19 年までに二つの太陽光発電所(計 7.2 ギガワット)をつくるという。 パネルなどの発電設備の生産は、順次サウジ国内での生産に切り替える。 エンジニアの教育・訓練施設も設けて、30 年に向けて徐々に規模を拡大する。 サウジに 10 万人の雇用を生み、同国の国内総生産 (GDP) も 120 億ドル増える効果があるという。

サウジは脱石油依存を進めており、ムハンマド皇太子は「人類史にとって大きな一歩だ」と述べた。 孫氏は「サウジには強い日光、広大な土地、優れたエンジニアと労働力、将来のビジョンのすべてがある」と語った。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 3-28-18)


省エネ機器を購入せずにレンタルできる料金プラン TEPCO ホームテックが提供

TEPCO ホームテックは、電気料金と省エネ機器の工事費・利用料をパッケージとしたエネルギー利用サービス「エネカリ」を発表した。 省エネ機器所有モデルの価値転換を行い、既存住宅のさらなる省エネ化を図る。

TEPCO ホームテックは、省エネ機器の設置工事費および利用料をパッケージとした電気料金プラン「エネカリ」の提供を 2018 年 4 月から開始すると発表した。 ユーザーは省エネ機器を購入(所有)せずにレンタルできるのが特徴のプランで、省エネ機器購入の初期費用を削減しながら、自宅の電力費を削減できるという。 同社社長の岩崎辰之氏は発表会で「エネルギー価格の高騰は、住宅ローン返済に次ぐ、住宅維持コストとして認識している。 消費者も省エネに対する意識は高まっているが、消費者が積極的に省エネを行うには光熱費の削減額が大きいだけでなく、初期投資負担を減らすことも課題だ。」と指摘する。

そのうえで同サービスを「今回のサービスは初期費用をゼロとし、電気料金と機器の利用料をパックで支払う。 省エネを実現するために省エネ機器を所有するという発想から離れて、利用料を得るというサービスに転換するというのが大きな特長(岩崎氏)」と紹介した。

同社は 2017 年 8 月に設立し、既存住宅の省エネリフォームを主な事業とする。 各家庭で省エネ機器に交換した場合の省エネ量を診断できる同社独自のサービス「省エネ診断」は開始から 6 カ月で約 1,300 件の申込みがあったとし、「生活者の省エネニーズは高いと捉えている」とする一方で、生活者からは省エネ診断を通じて「リフォーム工事代の負担が大きく、(省エネリフォームの実施に)ためらいがある」との声が多く寄せられたとした。

エネカリは、こういった生活者の意見に対応したサービスとなる。 従来の省エネリフォームにおいて一般的であった「省エネ機器を購入」という所有モデルから、「省エネ機器をレンタル」という利用モデルへ移行する新しいエネルギー利用サービスとしている。

同サービスでは初期費用を無料とし、電気料金と省エネ機器の利用料金がパッケージとして毎月請求される。 生活者はイニシャルコストを抑えながらも、省エネ化による光熱費の低減と最新機器による利便性向上を実感できるサービスとしている。 契約満了時(省エネ機器のレンタル契約期間は 10 年間)には省エネ機器を無償譲渡または、最新機種に交換して契約を更新することも可能で、「省エネ効果保証」・「工事 10 年保証」・「住宅設備修理サービス」の保証が付帯するなどアフターサービス面も手厚くした。

最新機器を利用できる利便性と節約の両立が可能に

同社が行ったエネカリによる節約額の試算では、省エネリフォーム前に電気とガスを合計した光熱費の支払額が 2 万 6,700 円(月平均)のモデルケースの場合、エネカリの利用によって月間消費電力量が 660kWh、機器使用料(同モデルでは 8,900 円)を含めた毎月の利用料金は 2 万 6,300 円(月平均)になるとする。 毎月の光熱費節約に加え、エネカリでは「最新機器が利用できることで快適性も高まり、経年劣化による給湯器や電子レンジの交換費用の約 30 万円程度発生することを考えてもおトク感を提供できる(岩崎氏)」と、省エネ・節約を行いつつも生活の質の向上を実現するという点を訴求する。

今回レンタルの対象となる省エネ機器は、IH クッキングヒーターと給湯器「エコキュート」。 今後も対象機器を広げる方針として、岩崎氏は「太陽光発電設備、LED 照明器具、エアコン、EV (電気自動車)充電器、食洗機など家庭の省エネ機器をエネカリの商品群に広げていく」とした。 また、契約する電力会社についても「東京電力がファースト(第一)だが、オンリーではない(岩崎氏)」とする。

同社では、2018 年度の省エネリフォーム受注件数について目標を 1 万件と設定しているが、「この半数をエネカリが占めるようにしたい(岩崎氏)」と同サービスへの期待を見せる。 また、同サービスの営業範囲はまず東京電力管内で開始し、軌道に乗れば他の電力会社の管内でも営業を行う計画としている。 (長町基、Smart Japan = 3-27-18)


掘割にニホンウナギ復活を 柳川市で 6 月、円卓会議発足

柳川市の掘割にかつて生息した絶滅危惧種のニホンウナギ復活を目指す「ウナギ円卓会議」が 6 月にも発足する。 有明海再生を目指す柳川市の NPO 法人「SPERA 森里海・時代を拓(ひら)く」が企画。 市立図書館あめんぼセンターで開かれた設立準備会には研究者や高校生、市民計約 20 人が参加し、意見を交わした。 柳川には約 400 年前に造られた掘割が残り、多くのウナギが捕れたが、河川の護岸整備などで昭和 30 年代ごろから激減した。 現在、地元の伝習館高生物部がニホンウナギをよみがえらせようと、稚魚のシラスウナギを矢部川で捕獲して飼育。 標識を付けて掘割に放流している。

準備会は 15 日にあり、伝習館高生物部員が活動を報告し、九州大大学院の望岡典隆准教授(水産増殖学)が近年のシラスウナギの漁獲動向を説明した。 総合地球環境学研究所(京都市)の田村典江上級研究員(自然資源管理)は「水産庁は年間 3 億円の予算でウナギの完全養殖に取り組んでいるが、河川の自然度を高めるなどより安価な解決策があるのではないか」と述べた。 会議の運営費は三井物産環境基金の助成金などで賄う予定。 法人理事長代行の田中克・京都大名誉教授は「ウナギをよみがえらせることは水辺環境の再生、食文化の継承、観光振興などにつながる」として、多くの参加を呼び掛けている。 (西日本新聞 = 3-20-18)


省エネ法を一部改正、複数事業者が取り組んだ成果の分配認める

政府はエネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)の一部を改正する法案を閣議決定した。 2015 年に策定した長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)で掲げる省エネ見通し実現に向けて、現行法が直面する課題に対応するのが目的。 省エネ法は産業・業務・運輸(貨物輸送事業者、荷主)を対象に省エネ取り組みの判断基準を示し、一定規模以上の事業者にはエネルギー使用の状況を報告させ、必要に応じ指導する。 家電や自動車などを対象に機器効率の目標を設定している。 家庭部門や運輸の旅客分野は、家電や乗用車の効率向上によって省エネが進展している。

今回、エネルギーミックスの実現に向け、産業・業務部門と運輸の貨物分野について省エネ法の見直しと支援策(税・補助金)のパッケージで取り組みを強化する。 具体的には、産業部門、業務部門、運輸部門での省エネを促進するため、複数事業者が連携する省エネ取り組みを認定し、省エネ量を事業者間で分配して報告することを認めることとする。 省エネに取り組んだ各事業者が適切に評価される制度を創設する。

また、貨物輸送の省エネを促進するため、現行法の「荷主」の定義を見直し、貨物の所有権を問わず、契約で貨物の輸送方法を決定する事業者を荷主とする。 これによってネット小売事業者を法律の規制対象に確実に位置づけ、省エネ取り組みを促す。 さらに到着日時を適切に指示することのできる貨物の荷受側を「準荷主」と位置づけ、「荷主」の省エネ取り組みへの協力を求める。 (Response = 3-12-18)


中部電、尾鷲火力 18 年度廃止 跡地で再生エネ発電検討

中部電力は、尾鷲三田火力発電所の 2018 年度中の廃止を決め、地元の三重県尾鷲市に伝えた。 火力発電事業は来春、東京電力フュエル & パワー (FP) と完全統合させるが、その対象から外す。 尾鷲三田火力には現在、1964 年に運転を始めた 1 号機と、87 年の 3 号機がある。 出力は計 87 万 千キロワットで、燃料は石油。 液化天然ガス (LNG) より効率が悪く二酸化炭素もたくさん出すため、近年はほとんど使っていなかった。

中部電の伴鋼造専務執行役員がこの日、尾鷲市役所に加藤千速市長を訪ね、廃止を伝えた。 跡地をめぐってはすでに、小さな木質バイオマス発電施設や、ごみ処理施設の建設を念頭に協議に入っている。 加藤市長は取材に「再生可能エネルギーで発電を継続してほしいという要望は引き続き伝えている。 これからどうするかが重要。」と話した。 中部電と東電 FP は、それぞれの火力発電所を折半出資の JERA (ジェラ)に来年 4 月に移管すると発表した。 東電 FP が 15 カ所計 4,296 万キロワットをすべて移すのに対し、中部電は尾鷲三田を除く 10 カ所計 2,341 万キロワットを移す。

四日市火力は 4 号系列を JERA に移す一方、3 号機は 18 年度中に廃止するとして除いた。 移す資産の価値が東電 FP より小さい中部電は、折半出資を維持するために現金 3,350 億円を JERA に拠出する。 中部電アライアンス推進室の奥田久栄室長は「JERA が軌道にのると、中部電の連結利益を年 300 億円押し上げる。 十分意味のある 3,350 億円だ。」と強調した。 (細見るい、岡本真幸、asahi = 3-1-18)


ドイツで市ごとのディーゼル車走行禁止が可能に 連邦裁判決

ドイツ東部ライプチヒの連邦行政裁判所は 27 日、国内各市は大気汚染対策のためディーゼル車の走行を禁じることができるとする判決を下した。 数百万人のディーゼル車所有者に影響し得る大きな判断となった。 判決によれば、市などの地方当局は大気の質を改善する取り組みの一環として、排ガスに汚染物質を多く含む旧式のディーゼル車の走行を所定の区域で禁止する法令を定めることができる。 都市交通の姿を一変させ、自動車産業に転換を迫る可能性のある大きな動き。

この訴訟は、大気汚染を抱えるシュツットガルトとデュッセルドルフの 2 市を相手取り、環境保護団体が起こしたものだったが、今回の判決により、欧州最大の規模を誇るドイツ経済に広範な影響が及ぶ可能性がある。 同裁判所は禁止措置を課さず、市などの地方当局に実際の規制を委ねる一方、バランスの取れた措置を取ることや、規制を導入する場合は段階的に施行し、一定の例外を認めることを求めている。

環境保護団体のドイツ環境支援協会 (DUH) は、シュツットガルト、デュッセルドルフ両市を相手取り、旧式のディーゼルエンジンから排出される窒素酸化物や粒子状物質への対策を求めて訴訟を起こしていた。 走行禁止措置が取られればディーゼル車の価値が急落しかねず、所有者からの強い反発を恐れるドイツ政府や同国の大手自動車メーカーは、そうした措置にかねて反対してきた。 今回の判決は政府とメーカーにとって大きな打撃となる。 政府は、変化はすぐに起こるものではなく、禁止措置は避けられないものでもないと強調し、不安の沈静化に努めた。 (AFPBB/時事通信 = 2-28-18)


砂漠をジャングルに変える ソニーが取り組む「協生農法」とは?

「協生農法」で生態系をよみがえらせるソニー CSL の取り組みを紹介

ソニーが農業に携わっていると聞いて、何が想像できるだろうか? 情報通信技術を活用して農地を管理するというのはよく聞く話だが、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニー CSL)の舩橋真俊が目指しているのは、従来の農業で単一の植物の生産量を上げようとすることではない。 従来の農業自体を転換し、そこから地球の環境問題を解決しようとする試みだという。 舩橋が農業を通じて環境問題というグローバルアジェンダへの挑戦を収めた動画が公開された。 新しい農業が生み出す驚くべき成果とは - -。

動画で最初に登場するのは、東京都内の住宅地にある "実験農園"。 一見すると雑草が好き放題に伸びた空き地のように見えるが、約 1,000 種類の動植物が投入され、協生農法の研究が行われている。 食用になる花を試食したり、カエルに話しかけたりするワイルドな風貌の男性が、舩橋真俊その人だ。 東京大学で生物学や数理科学を修めた後、仏エコールポリテクニク大学院にて物理学博士を取得した経歴の持ち主でもある。

この農園では、土を耕すことはしないし、肥料や農薬も使用しない。 一つの作物だけでなく、雑草や自然に生えてくる木、昆虫や動物も総合的に活用して、生態系本来の強さを引き出そうという、「協生農法」である。 「地球環境は確かに人間活動によって後戻りできないところまで確実に来ています。 環境負荷を生んでいる大本の要因、農業自体を転換しない限り、有限な地球の上では生きていけなくなってしまう。」と舩橋は話す。 現在のペースで人間活動が拡張しつづけると、数百年で地球上の生物の 75% が絶滅するという。 その最大の要因が従来型の農業であり、草原や森林を伐採し、生態系を破壊しつづけている。

自然保護か、人間活動か。その二者択一ではなく、人間も他の生き物も両方増やそうと発想を転換したのが、舩橋の提唱する協生農法だ。 単一の作物の生産性を追求するために不必要な生物を排除するのではなく、多様な生物を共生させて生産性と環境負荷低減の両立を図る。 多様な生物に関する情報や知見をデータベース化し、それをいかに組み合わせて使うかに、情報処理などに関するソニーの技術が活用されている。

砂漠化が進む西アフリカの内陸国ブルキナファソに飛んだ舩橋は協生農法で驚異的な成果を残した。 わずか 1 年で砂漠から植生を復元したのだ。 持続可能な食糧生産システムが実現すれば、環境、貧困、食の安全などさまざまな問題を解決に導くだろう。 農業で世界を変えようとする舩橋の挑戦は続く。 (Sony PR、asahi = 2-27-18)

ソニーグループのポータルサイト内の「Stories」のページでは、商品やサービスを通じて多様なイノベーションと新しい挑戦のストーリーをムービーで紹介している。テーマは、ロボティクスを活用した義足に関するプロジェクト、電子ペーパーを採用したディスプレイウォッチ、イメージセンサーと AI が導く未来の可能性など。それぞれ開発者や研究者のインタビューを交え、興味深い内容となっている。


洋上風力、促進区域 5 カ所 青森・秋田・長崎が有力

政府は洋上風力発電の普及に向け、2030 年までに全国 5 カ所に「促進区域」を設ける。 今国会に提出する新法案の成立後に選定に入るが、強い風が吹き適地の青森、秋田、長崎 3 県の沖合が有力だ。 最長 30 年間にわたって認定業者が事業を続けられる環境を整え、再生エネルギーの柱として市場を育成する。 洋上風力は、海底に固定した基礎の上に建てたり、海上に浮かせたりした風車で発電し、海底ケーブルで電力を届ける仕組みだ。

欧州ではすでに 3 千基以上の洋上風力が稼働する一方、日本での稼働は 17 年 3 月時点でわずか 6 基。いずれも国の実証試験段階だ。 民間による計画はあるものの環境アセスメント(影響評価)の途中が多く、本格稼働に至っていない。 港湾内での発電に関しては、自治体が事業者を公募する手順を定めている。 一方で沖合など一般海域を利用する場合の統一ルールはなく、都道府県が条例で独自に定めていた。

政府は一般海域の中に洋上風力の促進区域を設けて国が統一ルールを定める新法案を今国会に出し、早期成立をめざす。 同区域は経済産業相と国土交通相が他省庁などと調整した上で指定。 参入を希望する事業者は発電計画や終了時の撤去方法などを盛り込んだ計画を提出する。 認定されれば 30 年間事業を続けることができる。 いまは管轄する自治体によって 3 - 10 年と幅があり、更新できるものの、事業者からは長期的な事業計画をつくりにくく、銀行の融資を受けづらいといった不満が強い。

青森や秋田、長崎沖は強い風が安定的に吹き、いずれも風力発電計画が相次ぐ地域だ。 青森と秋田は比較的遠浅で、海底に風車を建てやすい利点があるという。 再生エネの普及には発電設備の拡充に加え、送電網に十分な受け入れ容量を確保することも欠かせない。

経産省や電力各社は送電網の増強に努める一方、従来の保守的な運用を改めて「空き」を生み出す「日本版コネクト & マネージ」と呼ばれる手法の導入を検討中だ。 18 年度から順次始める。 政府は風力発電の規模を 16 年の約 3 倍の 1 千万キロワットに拡大する目標を掲げる。 陸地よりも制約の少ない洋上での建設を促進し、太陽光発電に比べて遅れ気味の風力の普及拡大につなげたい考えだ。 (nikkei = 2-23-18)


スイッチ ON だと、ギョロッと見つめてくる! 「ついつい省エネしたくなる」スイッチ

読者の皆様、まず写真をご覧いただきたい。 どこにでもある照明用のスイッチが ON になった状態のようだが、なんとなく落ち着かない。 何か妙な模様がある。模様というか、そう、顔のイラストだ。 顔が横向きに描かれていて、目玉がギョロっと見える。 このギョロメが、落ち着かない原因ではないか。 そこで、ついつい …。

スイッチを OFF にすると、スマイル!

手を伸ばしてスイッチを切ると、ギョロメが消えて、笑顔に変わる。 これでようやく落ち着いた。 これは「思わず消しちゃう照明スイッチ」という、環境省主催「クールチョイスリーダーズアワード」で入賞したアイデアだ。 地球温暖化対策につながる「賢い選択(クールチョイス)」に選ばれた。 このアイデアを考案したのは、宇都宮大学地域デザイン科学部の糸井川高穂(いといがわ・たかほ)助教だ。 J タウンネット編集部は糸井川さんに電話で話を聞いてみた。

「私は以前から、『省エネ』がテーマでした。 大学では、照明器具で省エネ行動を促せる方法や装置を研究してきました。 ただ省エネの意義や必要性を呼びかけても、なかなか行動には結びつきません。」と糸井川さんは語る。 「そこでたどりついたのが、このスイッチです。 スイッチを押したいから押す、その結果として節電につながるというアプローチです。 またデザインには、認知心理学や行動経済学といった学術的な理論を採用しています。」

スイッチが OFF の状態では、指と指を結ぶ「赤い糸」が描かれている。 なんとも微笑ましいデザインではないか。 若い女性なら思わずキュンとするかもしれない。 ところが …。 スイッチを ON にすると、ハサミが現れてバッサリ切ってしまう。 なんとも残念な結末になってしまう。 「糸」を結んだままにしたいなら、おいそれと ON にしてはいけない。 なるべく OFF のままで …、そう思わせてくれるデザインだ。 これも認知心理学や行動経済学の理論に基づいているようだ。

「つまりエコ意識がそれほど高くない人でも、ついついスイッチを OFF にしたくなる。 それが結果として省エネにつながる、というわけです。」と糸井川さん。 スイッチにシールを貼るだけなので、手間も費用もそれほどかからない。 普及しやすいのでは、と糸井川さんは期待する。 「実はいま、栃木県内のあるキャラクターとのコラボの企画もあるんですよ。 子どもが喜んでスイッチを OFF にしたくなる、環境教育にも役立つデザイン、それが実現できるといいですね。」 糸井川さんのアイデアが具体的に実を結ぶ日も、近いかもしれない。 (Jタウンネット = 2-17-18)


鉄道、高速道路で導入相次ぐ「省エネ型」除雪対策

CO2 排出、腐食削減など期待

鉄道会社や高速道路会社が降雪対策でも環境負荷低減に向けた取り組みを強めている。 JR 東日本は新幹線の高架に温水をまいて積雪を防止する際のエネルギー効率を高める省エネ型散水消雪設備制御システムの開発に成功、豪雪地帯を運行する上越新幹線の一部で採用した。 同社によると、同システムの導入により、従来に比べ二酸化炭素 (CO2) 排出量の 10% 削減効果が期待できるという。

JR 東日本が取り組んだのは、新幹線の散水消雪設備の省エネ化だ。 同設備は河川などから取り入れた水を温めて、新幹線の高架上にスプリンクラーで散水して積雪を防止するもの。 雪を溶かすには水温を 8 - 12 度程度まで温める必要があり、同社はこれを熱源機で温めていた。 現在、上毛高原駅(群馬県) - 新潟駅(新潟市)の 32 カ所の消雪基地のうち 29 カ所で熱源機が稼働しており、平成 28 年度は熱源機の稼働のため約 7,000 キロリットルの灯油を消費した。

折しも JR 東日本は、28 年 11 月に策定した「技術革新中長期ビジョン」に基づき、「エネルギー・環境」の分野において省エネ技術の実現に向けた研究開発を推進していた。 このため、研究開発センター環境技術研究所の八木秀隆主幹研究員は「(一義的には)安全安定輸送、高速走行の維持のための設備だが、一方で、これだけのエネルギー消費量なら環境負荷低減のため省エネ化を検討する意義があると考えた」と振り返る。

散水消雪設備での運用状況を検証した結果、複数台設置した熱源機の稼働にばらつきがあること、熱源機の出力調整機能が 3 段階のため熱を作りすぎていることが分かったという。 散水温度は気温と降雪量、回収水温を基に調整するが、不要の高温になってしまっていたのだ。 このため、メーカーと共同で新型の高出力型熱源機を開発し、中島消雪基地(新潟県長岡市)に 29 年 11 月に配備した。 新システムでは、これまで捨てていた余熱も有効活用するために、真空式温水機では初めて、複数ある熱源機の運転効率を比較し、運転の優先順位を決定する機能を採用した。

同時に、出力を 25% 向上させつつ、既存熱源機の設置スペースで置き換えが可能な省スペース型とした。 さらに、状況に柔軟に対応して適正量の熱をつくることができるよう、熱源機の出力を 33 - 100% の間で任意に制御可能(既存熱源機の出力は停止・50%・100% の 3 段階)にした。 この新たなシステムによって、燃料消費量と CO2 排出量の 10% 削減が期待できるという。 中島消雪基地での運用結果を踏まえ、設備更新時に他基地での置き換えを進める方針。

一方、高速道路会社の NEXCO 中日本は、富山県立大学などと共同で橋梁鉄筋などの金属腐食を減らすため、食品保存料に使われるプロピオン酸ナトリウムを用いた凍結防止剤を開発した。 従来は凍結防止効果や価格面などから塩化ナトリウム (NaCl) を使ってきたが、コンクリート製橋梁で塩害劣化が相次ぎ、代替品の検討が必要となったためだ。 NEXCO 中日本では 3 - 4 月に、東海北陸自動車道白川郷インターチェンジ (IC) - 五箇山 IC 間で、NaCl にプロピオン酸ナトリウムを 1 割混合した凍結防止剤を試行導入し、作業性や路面の滑り抵抗性、金属腐食抑制効果などを検証することにしている。 (日野稚子、sankei = 2-11-18)


東レ、8 割省エネの下水汚泥除去システム

東レは 6 日、下水汚泥を膜で除去するシステムで省エネ性能を大幅に高めた技術を開発したと発表した。 除去モジュールに設ける膜の配置や汚泥を落とす空気の当て方を改良。 エネルギーを最大 8 割減らすことに成功した。 設備を大規模化し 2021 年の実用化を目指す。

汚泥処理には微生物を使って有機物を分解する方法と、膜ろ過で汚泥をこしとって剥がす膜分離活性汚泥法 (MBR) がある。 東レが手掛ける MBR は逆浸透膜で水を再利用できる特徴がある。 MBR の場合、膜に付着した汚泥を空気を送り込むことで分離させるが、空気を送るエネルギー効率が悪かった。 東レは空気の気泡と膜の接触率を向上させるモジュールを開発。 エネルギーを洗浄力に変える変換効率を 3 倍に高めた。 除去能力も高め、汚泥の付着量を従来比 65% 減らした。 (nikkei = 2-6-18)


21 世紀末には平均気温が 4.5℃ 上昇 温暖化発生のメカニズム

21 世紀末(2076 - 2095 年)の年平均気温が、20 世紀末(1980 - 1999 年)と比べて、全国平均で 4.5℃ 上昇すると予測されている。(2017 年 3 月、気象庁発表『地球温暖化予測情報 第 9 巻』による)

「今、地球は温暖化の真っただ中。 じわじわと気候が変わりつつあります。」 東京大学大気海洋研究所副所長で教授の木本昌秀さんはそう話す。 地球温暖化が問題になって久しいが、そもそも温暖化はなぜ起こるのだろうか? 「18 世紀半ばに起こった産業革命以降、人間は石油や石炭などの化石燃料を地中から掘り出し、燃料にしてきました。 これらを燃やすと大量の二酸化炭素が排出され、大気中の二酸化炭素が増えるため、気温が上昇します。(木本さん)」

地球の表面は太陽の光を受けて温められるが、同時に、その熱は赤外線で宇宙に放出されている。 地表から出た赤外線の一部は、そのまま宇宙空間に放出されるが、一部は大気(= 空気)中にある二酸化炭素やメタン、フロンガスなどの温室効果ガスに吸収された後、再び地球の表面に戻ってくる。 これが「温室効果」と呼ばれる現象だ。 大気中の二酸化炭素の排出量が増えすぎたことで地球の熱のバランスが崩れ、今まで以上の温室効果が生じ、地球温暖化が進んでいるのだ。

「もしも温室効果ガスがなかったら地球全体の平均気温は - 18℃ くらいになります。 しかし、二酸化炭素の排出量が増えすぎると温室効果が強まって、地球の気温が上昇する。 それが地球温暖化です。(木本さん)」 気象庁地球環境・海洋部気候情報課調査官の田中昌太郎さんによると、「過去 100 年で世界の平均気温は約 0.7℃、日本の平均気温は約 1.2℃ 上昇している」と言う。 たかが 1℃ といえども、「2010 年は日本の観測史上 1 位となる猛暑(岐阜県多治見市で 39.4℃ を記録)で、熱中症で 1,731 人が亡くなりました。 あの記録的な猛暑でさえ、普段の夏と比べて平均 1.5℃ 程度気温が高かっただけなのです。(木本さん)」

予測通り、平均気温が 4.5℃ 上昇したら、いまだ経験したことのない異常気象が起こるのは想像に難くない。 また、日本はもともと雨が多い国であるため、想像を絶する大雨が頻繁に起こる可能性や、大雨によって土砂災害などのリスクも高まる。 当然、防災面でも影響が考えられる。 「これまでの経験が通じないという意識を持って、地域のハザードマップを確認するなど対策を考えておくことも大切です。(田中さん)」

今回の大雪が異常気象の一端なのかはわからないが、肝心なのは、二酸化炭素の排出量を減らすことだ。 『パリ協定(2015 年)』で、世界の平均気温の上昇幅を、21 世紀末時点で産業革命前から 2℃ 未満に抑えるという目標が定められている。 (PostSeven = 2-2-18)


地球環境保全協定を更新 伊那市と新宿区

友好都市提携を結ぶ伊那市と東京都新宿区は 22 日、2008 年に締結した「地球環境保全協定」を更新した。 伊那市役所で調印式を開き、白鳥孝市長と吉住健一区長が協定書を取り交わした。 市有林の間伐整備の一部を区が担い、二酸化炭素 (CO2) 排出量の削減につなげる「カーボンオフセット」をさらに推進。 住民交流も深めながら、地球環境への関心を高める。

新宿区は 09 年度からの事業費合計で 1 億 6,709 万円をかけ、伊那市長谷の鹿嶺高原を中心に 234 ヘクタールの間伐を実施。 今までにトータルで約 3,000 トンの CO2 削減効果が県により認められている。 19 年度からは新たに長谷の伊那富士、向山、田城原の 3 カ所で間伐整備を始める。 ますみケ丘平地林内に開設した「新宿の森」は環境学習の場として、今までに小学生や親子ら約 1,600 人の区民が訪れて森林作業などを体験しており、今後も継続的に活用していく。

13 年に続き 2 度目の協定更新に、吉住区長は「新宿区はエネルギーの大消費地であり、伊那市と連携して少しでも地球環境に貢献していく。 概念上のカーボンオフセットで済ますのではなく、市民と区民が実際に行動に移す事業として拡充できれば」とあいさつ。 白鳥市長は「伊那にある広大な森林で、新宿区の替わりに CO2 を吸収する事業。 全国に先駆け、都市と地方の連携による二酸化炭素削減に向けた取り組みと交流を進めたい。」と今後の展開にも期待した。

式では、協定締結 10 周年と森林整備の感謝を込めて、伊那市から新宿区へ地域産材 10 種を使った積み木がプレゼントされた。区立の保育園・こども園計 22 施設に各 2 セット贈る。 (長野日報 = 1-23-18)