2018 年の世界 10 大リスク、首位は「中国の影響力拡大」

【ニューヨーク = 稲井創一】 米調査会社ユーラシア・グループは 2 日、2018 年の世界における「10 大リスク」を発表し、中国の影響力拡大を首位に挙げた。 人工知能 (AI) )などの最新テクノロジー分野で、中国が世界的に影響力を行使する機会が増えると予測した。 北朝鮮やシリアなどで偶発的な衝突が起きるリスクも指摘した。

同調査会社は年頭に、その年の世界の政治・経済に大きな影響を与えそうな事象を予測している。 17 年の 10 大リスク首位は「独立した米国」だった。 「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領の登場で、米国が世界の諸問題解決でのリーダーシップをとらなくなり、世界が不安定化するリスクを的中させた。

18 年は国際的に中国の影響力が強まるとみる。 中国は広域経済圏構想「一帯一路」やインフラ投資などを通じて、関係国への影響力を強めると予測。 存在感の低下する米国の間隙(= 真空状態)を突くように中国が台頭する状況を、ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は「中国は真空状態を愛す」と独特の表現で評した。

テクノロジー面でも AI やスーパーコンピューターの分野で中国の技術力が高まり、IT 技術を独占してきた米国とのあつれきが強まるという。 2 位は「偶発的なアクシデント」。 米欧など先進国の影響力が弱まっていることから、北朝鮮やシリアなどで国際的な紛争が起きるリスクが高まっていると指摘した。

日本企業に関係が深い項目として、4 位に「メキシコ」が挙げられた。 18 年に予定される大統領選で反米を掲げる候補が当選すれば、外資導入など従来の経済重視路線が変更を迫られ、進出する日本企業も影響を受けかねないと指摘した。 このほか、5 位には核合意を巡って関係悪化が進む「米国・イラン関係」を、8 位に欧州連合 (EU) 離脱の実質的な交渉期限が迫る「英国」などを挙げた。 (nikkei = 1-2-18)


「人類と世界の繁栄に貢献する国」ランキング Top5! 日本は何位?

地球ならびに人類に対する世界各国の貢献度を測る、「Good Country Index (良い国指数)」の 2017 年度版が発表されました。 これは「サイエンス & テクノロジー」、「文化」、「国際的平和」、「世界秩序」、「気候への貢献」。「繁栄と平等」、「健康と豊かさ」という 7 分野の点数をつけ、163 か国を順位付けしたランキングです。 そのうちの上位 5 か国をご紹介いたします。 一体、どんな国がランクインしているのでしょう?

第 5 位 : ドイツ

163 か国の 5 位になったのは、欧州の大国ドイツ。 「世界秩序への貢献 (World Order Global Contribution)」という分野が 163 か国中 2 位と高く評価され、全体の順位を引き上げました。 さすが大国だけあり、「外交行動と平和的紛争解決の代理人として署名された(2014 年までの)国連条約の数」などで存在感を示したことが要因となったようです。 そして意外なことに一番評価が低かったのが「国際的平和と安全への貢献(International Peace & Security Global Contribution)」の 37 位。 武器の輸出量などが低評価の原因になりました。

第 4 位 : フィンランド

良い国ランキングの第 4 位は、北欧フィンランド。 さすが「森と湖の国」と言われるだけあり、イメージ通り「地球と気候への貢献(Planet & Climate Global Contribution)」が 6 位と好評価。 経済規模と比較した際のオゾン層破壊物質の消費量などが、他国に比べて少なかったようです。 そして意外なことに、低評価だったのもドイツと同じ「国際的平和と安全への貢献」の 52 位でした。

第 3 位 : デンマーク

良い国ランキング第 3 位は、デンマーク。 アンデルセン童話の「人魚姫」像があることでも知られ、高福祉国家であることから「国民の幸福度 No. 1」との呼び声も高い北欧の国です。 そんなデンマークが高評価を受けたのは、「繁栄と平等(Prosperity & Equality Global Contribution)」分野の 2 位。 外国への開発援助などが功を奏したようです。 更に僅差で、「健康と豊かさ(Health & Wellbeing Global Contribution)」分野も 3 位につけています。

デンマークも前述のドイツ、フィンランドと同様に低評価だったのは「国際的平和と安全への貢献」の 64 位だったのですが、その次に低評価だったのは「地球と気候への貢献」の 14 位。 エコ国家のイメージもあるので意外ですが、「有害な農薬を輸出している」という部分にマイナス評価が入ってしまったようです。

第 2 位 : スイス

全体での第 2 位は、アルプス山脈をはじめとする豊かな自然に恵まれたスイス。 そのイメージ通り、一番評価されたのは「地球と気候への貢献」分野の 2 位でした。 1992 年以来の植林量や、二酸化炭素排出量の少なさが高く評価されています。 また、やはり低評価は「国際的平和と安全への貢献」の 44 位。 2 番目に低評価だったのは「科学技術への貢献(Science & Technology Global Contribution)」ですが、それでも全体の 11 位。 163 か国中の 11 番目なので、他の国と比べれば十分高評価ですよね。

第 1 位 : オランダ

堂々第 1 位に輝いたのは、風車やチューリップで有名なオランダ。 日本の九州ほどの国土しか持たない小国ですが、「文化貢献」分野が 2 位と高く評価されました。 報道の自由度や、独創的なサービスを生み出していることが注目されたようです。 やはり小国だけあり、柔軟性があるのでしょうね。 オランダで 1 番低評価なのも、またまた「国際的平和と安全への貢献」 27 位。そして 2 番目に低評価だったのは「地球と気候への貢献」 19 位。 風力発電に力を入れたり環境意識の高い国なので意外でしたが、「有害な農薬の輸出」が足を引っ張ったようです。

「良い国ランキング」 Best5 のご紹介、いかがでしたでしょうか。 上位 5 か国は、すべて欧州からのランクインでしたね。 ちなみにアジア最上位はシンガポールの 15 位。それに日本(21 位)、韓国(29 位)、タイ(55 位)と続きます。日本が一番評価されたのが「国際的平和と安全への貢献」分野の 18 位で、低評価が「科学技術への貢献」分野の 61 位でした。 留学生の少なさなどがマイナス要因だったようです。 (Tabizine = 1-1-18)


中国、外国政界や世論への工作活発化 … 各国警戒

【北京 = 東慶一郎】 中国による外国政界や世論への工作が活発化していることが相次いで明らかになり、各国が警戒を強めている。 習近平(シージンピン)政権は、世界第 2 の経済力を背景に自国に有利な政治行動を取る国を増やし、中国主導の国際秩序を浸透させようとしており、そうした活動の一環とみられる。

「外国勢力が、(オーストラリアの)政治プロセスに影響を与えるため、前例がなく、ますます巧妙な工作をしている。」 豪 ABC 放送(電子版)によると、オーストラリアのターンブル首相は 5 日、海外からの献金を禁止する法案を議会に提出し、背景をこう説明した。 同国では、野党・労働党のサム・ダスチャリ上院議員(当時)が、中国人企業家から多額の献金を受け取り、南シナ海問題で党の方針に反して中国の領有権主張を支持したことが政治問題になっていた。

ターンブル氏は、中国を標的にした法案ではないと強調しつつ、「ダスチャリ氏はオーストラリアを売り渡した」とも述べた。 中国外務省の耿爽(グォンシュアン)副報道局長は定例記者会見で、法案について「中国に対する偏見に満ちている」と反発した。 工作活動の一端は、ほかでも明るみに出ている。 ニュージーランドでは 9 月、中国出身の国会議員を巡る「中国のスパイ」疑惑が取りざたされた。 議員は「スパイではない」と否定した。

シンガポールでも 8 月、政府が、リー・クアンユー公共政策大学院の中国系の教授(現在は米国籍)が「外国の情報機関と連携してシンガポールの外交政策や世論に影響を与えた」として、妻とともに国外追放したと発表した。 地元メディアなどは、この情報機関を中国とみている。 (yomiuri = 12-25-17)


EU、中国の「市場歪曲」認定 ダンピング阻止へ新ルール

[ブリュッセル] 欧州連合 (EU) は 20 日、不当に安価な輸入品を制限する新たな貿易ルールを発表した。 合わせて公表したリポートでは、中国が市場経済を歪曲しているとの判断を示した。 EU 加盟 28 カ国の貿易政策を管轄する欧州委員会が作成したリポートでは、中国政府が土地や資本などの資源分配に決定的な影響力を行使し、さまざまな製品の価格に影響を与えているとした。

EU は過去 2 年にわたる検討の結果、中国を含む世界貿易機関 (WTO) 加盟国が国内価格より安い価格で輸出品を販売する場合にダンピング(不当廉売)と認定することで合意した。 ただ「著しい市場の歪曲」が認められる場合は、製品の公正な価格の算出に国際的な指標を使用し、中国企業の多くがこのケースに当てはまる見込み。 欧州委は今回、新たな規則導入に当たり、中国のリポートを公表したが、ロシアについても公表の可能性があるとした。 (Reuters = 12-21-17)

◇ ◇ ◇

フィリピン、サイバーセキュリティー対策強化 中国電信の参入控え

[マニラ] フィリピンは、国内通信業界への中国電信(チャイナ・テレコム)など中国企業の参入が見込まれるなか、サイバーセキュリティー対策を強化している。 大統領の報道官が 21 日、明らかにした。 ドゥテルテ大統領は先月、PLDT とグローブ・テレコムの 2 社がほぼ独占している国内通信業界について、中国企業が参入することで寡占状態が崩れ、サービスの質が改善されることに期待を表明した。

一方、南シナ海の領有権問題を巡る中国との関係などを踏まえ、中国国有企業にインターネットや通信システムの構築・管理を依頼すること懸念を示す議員も複数いる。 大統領の報道官は、政府も同じように懸念していると述べた上で、中国電信の参入を想定し、サイバーセキュリティー対策を強化するよう関連部門に指示していると明らかにした。 フィリピン情報通信省のエリセオ・リオ次官は 10 日、中国政府が中国電信をフィリピンへの進出企業に選定したと明らかにした。 (Reuters = 12-21-17)


ワインやチーズ … 関税撤廃・削減へ 日欧 EPA 交渉妥結

日本と欧州連合 (EU) の経済連携協定 (EPA) 交渉が 8 日、妥結した。 安倍晋三首相と欧州委員会のユンケル委員長が電話で首脳会談し、合意を確認した。 2019 年の発効を目指す。 発効すれば、双方で輸入品にかける関税が幅広く撤廃・引き下げられ、世界の国内総生産の 28% を占める巨大な自由貿易圏が誕生することになる。

安倍首相は電話会談後の 8 日夜、報道陣に交渉が妥結したことを明らかにし、「日本と EU が手を携えて、自由で公正なルールに基づく経済圏をつくる」と力を込めた。 EU との EPA は、日本がこれまでに結んだ経済自由化の協定では最大規模。 欧州から輸入されるチーズやワイン、豚肉、革製品など消費者になじみの深い幅広い分野で関税が撤廃・削減され、国内での価格が下がる可能性がある。 (asahi = 12-8-17)


富士通が途上国・新興国に「世界最小・最高効率の AC アダプター」を供与するワケ

SDGs

記事コピー (7-8-17〜12-2-17)


バリ島の国際空港が閉鎖 噴火警戒レベル最高に

インドネシア・バリ島のアグン山が噴火したことを受けて、同島の国際空港が 27 日午前 7 時(日本時間同 8 時)に閉鎖された。 空港当局によると、約 60 キロ離れた空港で火山灰が積もっているのが確認された。 閉鎖は 28 日午前 7 時までの予定だという。 アグン山は 21 日に半世紀ぶりに噴火した後、25 - 26 日に複数回噴火。 噴火が続いているとみられ、27 日も噴煙が上がっている。 空港では 25 日以降欠航が相次いでいたが、27 日の空港閉鎖により約 400 以上の便がキャンセルされ、乗客約 5 万 9 千人に影響が出た。 運輸当局は約 100 台のバスを用意し、ジャワ島など近隣の島へ船で移動する人々を運んでいる。

休暇で滞在し、27 日夜の便で成田空港へ向かう予定だった会社員柴田珠実さん (27) は空港で「噴火の恐れがあるのは知っていたが、今起きるとは思わなかった。 母からの連絡で閉鎖を知った。 代わりの便はまだ見つかっていない。」と話した。 バリ島は世界的な観光地として知られ、昨年は約 490 万人の外国人が訪れ、うち日本人は 23 万人に上る。 火山活動はさらに活発化すると懸念されており、観光業に影響が出そうだ。

国家防災庁は 27 日朝、噴火の警戒レベルを最も高い「4」に引き上げ、半径 8 - 10 キロ圏の住民約 10 万人に避難を勧告。 避難所には 27 日午前の時点で約 4 万人が避難している。 同島は今は雨期にあたり、雨水を含んだ火山灰の泥流がふもとの村などに押し寄せる懸念が高まっている。 (ジャカルタ = 古谷祐伸、asahi = 11-27-17)


北朝鮮船、相次ぐ漂着 日本海での漁でトラブルも

北朝鮮から漂着したとみられる木造船が 24 日、秋田県由利本荘市の海岸で見つかり、男性 8 人が保護された。 日本海側に北朝鮮船が漂着するケースは過去にも相次いでおり、政府は今後、8 人の状況を聞き取り、出国や引き渡しの手続きを進めるとみられる。 日本海側では北朝鮮のイカ釣り漁船が活発に活動し、日本側の漁船とトラブルになる事例も起きている。

過去、北朝鮮から漂着したとみられる船の多くは木造の小型船。 漁業中に船が故障し、流れ着くケースが目立つ。 船から白骨化した遺体が見つかった事例や、脱北して自力でたどり着いたとみられるケースもある。 2012 年 1 月、島根県隠岐の島町で発見された船に乗っていた北朝鮮籍の男性 3 人は帰国を望み、中国経由で北朝鮮へ戻った。 同年 11 月には新潟県佐渡市の海岸でハングルの書かれた木造船が打ち上げられ、北朝鮮の漁民とみられる 5 人の遺体が収容された。

青森県深浦町に 07 年 6 月、脱北した男女 4 人が漂着したケースでは 4 人が韓国行きを希望。 政府は韓国と協議の上で移送の手続きをとった。 最近では今月 15 日、石川県能登半島沖で海上保安庁の巡視船が転覆した木造の小型船を発見。 北朝鮮籍の 3 人を保護している。

今回の由利本荘市の事例でも、乗員とみられる男性は「船が故障した」と説明しており、何らかのトラブルで漂着した可能性がある。 8 人に脱北目的や難民申請などの意思がなく、北朝鮮への帰国を希望した場合、入管当局は 8 人に入管難民法に基づく遭難上陸許可を与えた上で、出国手続きに入るとみられる。 一方で近年、北朝鮮籍とみられる漁船団による日本海沖の排他的経済水域 (EEZ) 内での違法漁業が問題化。 日本の漁船の中には、船同士の衝突などの危険性から漁場を変えざるをえないケースも生じており、漁協関係者は対応に苦慮している。

石川県漁業協同組合によると、昨年の 10 月ごろから数百隻の北朝鮮籍とみられるイカ釣り漁船が日本海沖で操業。 イカ釣りは夜間に行われるため衝突の恐れがある。 また違法船の定置網が船のスクリューに絡まる危険もあり、北朝鮮船がいる漁場には出漁できない状況に追い込まれている。 県漁協関係者は「水揚げの 3 分の 1 から半分ほどは日本海沖での漁獲。 被害はとても深刻だ。」と憤る。 現在は北海道沖に場所を変えて漁をしているという。 海上保安庁の取り締まりで、一時的に違法操業がなくなることはあるが、根本的な解決にはつながっていない。 (nikkei = 11-24-17)


米商務省、中国製合板への相殺関税を最終決定 中国は反発

[ワシントン/北京] 米商務省は 13 日、中国が硬質合板に輸出補助金を支給し、米国に不当に安い価格で輸出しているとし、相殺関税などを適用する方針を最終決定した。 反ダンピング(不当廉売)関税の税率は 183.6%、補助金に対する相殺関税は最大 194.9% とした。 米国による 2016 年の中国製硬質合板の輸入額は 11 億 2,000 万ドルに上った。 中国商務省は 14 日、米国の決定に対して「強い不満」を表明。 ウェブサイトに掲載した声明で、米国の不当な措置や決定は中国の硬質合板輸出に深刻な影響を与え、中国企業の利益を損なうことになると批判した。 (Reuters = 11-14-17)

◇ ◇ ◇

中国、米の反ダンピング課税に反発 中国製アルミホイル巡り

[北京] 中国商務省は、米国が中国製アルミホイルに対する反ダンピング(不当廉売)関税の適用を仮決定したことに「強い不満」を表明するとともに、「誤った措置」を是正するよう求めた。 米商務省が仮決定した反ダンピング関税率は 97 - 162%。 中国商務省の王賀軍・貿易救済調査局長は 28 日遅くに出した声明で、米国はいまだに「差別的な」代替国制度を関税算定に用い、高率関税を中国製品に適用していると指摘。 米国は中国企業の利益だけでなく多国間の貿易協定の効力を損ねていると非難した。

「われわれは米国に対し、真剣に国際的な義務を果たし、誤った措置の是正に向け行動するよう求める」とした。 また、中国政府は国内企業の権利を守るための措置を講じるとした。 中国政府は、2001 年の世界貿易機関 (WTO) 加盟時の取り決めに盛り込まれたがすでに失効している規定を米国がいまだに用いていると批判。 中国は加盟時に 15 年間は「非市場経済国」の地位を受け入れることに合意したため、貿易相手国は第 3 国からの輸入価格に基づき中国によるダンピングの有無を判断することができた。 米商務省は、「非市場経済国」に用いる標準的手法に基づいて中国製アルミホイルへの反ダンピング関税を決定したと説明している。 (Reuters = 10-30-17)


中国、韓国・日本製の合成ゴムを反ダンピングで調査

[北京] 中国商務省は 9 日、韓国と日本から輸入しているニトリルゴムと呼ばれる合成ゴムについて反ダンピング(不当廉売)調査を行うと発表した。 同製品はアクリロニトリル・ブタジエン・ゴム (NBR) としても知られる。 通常なら 2018 年 11 月 9 日までに調査終了となるが、特別な事態があれば 19 年 5 月 9 日まで延長される可能性がある。 (Reuters = 11-9-17)


クールジャパン、戦略なき膨張 投資ありきの危うさ

官民ファンドの実像

国の成長戦略の一つ、日本文化の輸出を支援する官民ファンドのクールジャパン (CJ) 機構が振るわない。 発足から丸 4 年の投資 24 件中、決定後 1 年を超す事業の過半が収益などの計画を達成できていないことが日本経済新聞の調べで分かった。 経営陣の強い意向から慎重論を退けて投資した結果、損失リスクを抱える事例が相次ぐ。 「まず投資ありき」の姿勢がクールジャパンの戦略なき膨張を招いている。

9 月 27 日、マレーシアの首都クアラルンプールの繁華街にある百貨店「イセタン・ザ・ジャパンストア」。 「本物の日本」を旗印に伝統工芸の食器や衣類、食品までこだわりの品々を集めるが、来店客はまばらだ。 男子学生のティムさん (21) は「日本の服は好き。 でも高すぎて何も買えなかった。」 三越伊勢丹ホールディングスによる既存店改装に CJ 機構が半分弱の 10 億円を出した。 2016 年 10 月に開業したが、計画と実績の差は広がり、17 年 4 - 6 月の営業赤字は計画の 3 倍強に膨らんだ。 ある商社の駐在員は「これが日本だ、と押し売りしている」と見る。

松屋の役員から CJ 機構社長に転じた太田伸之氏は、三越伊勢丹社長(当時)だった大西洋氏と懇意な間柄。 13 年秋の機構発足直後に打診した。 両社の調整はなかなか前に進まなかったが、最後は「両トップの仲で実現した。(関係者)」 だが大西氏は今春に退任。 太田氏は日経新聞に苦戦を認め「いま立て直そうとしている」と釈明した。

アニメや食などを輸出するクールジャパン戦略。 政府は 17 年度の関連予算を 459 億円と前年度比 22% 増やした。 中核が「海外需要開拓支援機構」という正式名称の CJ 機構だ。 運営期間 20 年。 出資金約 700 億円の 8 割超は財政投融資で賄う。 国を挙げた自国文化の輸出では韓国が先を行く。 たとえば放送コンテンツの 15 年の輸出は 387 億円と日本を 3 割強上回る。 ドラマに登場する韓国製の化粧品や家電をアジアで拡販する好循環も生まれた。

対抗策の柱が CJ 機構だが、計 24 件、500 億円規模(決定額)の投資の成果は十分でない。 内部資料や関係者の証言を検証すると、決定後 1 年以上の 18 件中、出店や収益が計画を下回る案件が少なくとも 10 件あった。 官民ファンドは民業圧迫を避けるため難しい投資が多い。 だが不振が目立つのは経営陣と個人的なつながりのある案件だ。 「早くやってほしい。」 CJ 機構の社外取締役のひとりが機構内部でこう働きかけた案件がある。 老舗カステラ店や十八銀行など長崎が地盤の企業連合と組む米国での日本茶カフェ事業。 15 年 4 月に 5 割弱、2.5 億円を投じた。

この社外取締役は長崎にゆかりがあり、長崎連合の中心人物と旧知の仲。 機構の元社員は「相手の計画や経営能力に疑問があり、一度は断った」と明かすが、復活した。 社外取締役は客観的に投資の是非を判断するのが本分だ。 日経新聞記者はこの社外取締役と会い、関与の度合いについて聞いたが、回答を避けた。

OB を含む複数の関係者によると、CJ 機構では実績作りを急ぐあまり、経営陣の案件持ち込みが常態化していた。 日本茶カフェ事業は大苦戦だ。 1 号店は 16 年夏に開いたが、店内飲食の認可が下りず持ち帰り専門に。 2 号店も出店計画が宙に浮き、賃料トラブルを抱える。 長崎連合は 9 月に共同出資解消を求める民事調停を申し立てた。 「機構が過剰に経営に干渉してきた」と主張。 信頼関係は崩れている。

スカパー JSAT が 66 億円、CJ 機構が 44 億円出資し、日本のテレビ番組を海外で放送する WAKUWAKU JAPAN。 機構の飯島一暢会長はスカパーの持ち株会社の社外取締役だ。 複数の関係者は「飯島会長の持ち込み案件」と明かす。 これも拡大路線がつまずく。 需要が見込める国を絞り込まず、20 年度までに 22 カ国・地域で放送する計画を策定。 今は 8 カ国・地域だが視聴率は伸びず、番組提供収入が振るわない。 過去 2 年間の最終赤字は計 40 億円に迫り、減損リスクを抱える。 人員や宣伝費を削らねばならず、番組を自国製品の輸出拡大の起爆剤にする思惑は外れた。

CJ 機構は「公正かつ中立な意思決定をしている」と主張する。 投資先と利害関係にある役員は最終決定の場から外す。 だが、検討過程での経営陣の不透明な関与は防げていない。 最高投資責任者 (CIO) のポストも前任が突如辞めたあと 8 カ月間も空席だった。 世耕弘成経済産業相も問題視しており「CJ 機構の抜本的な見直しを指示した」と 5 月の国会で答弁した。緻密な戦略や投資規律を欠いたままでは、日本文化を広げる前に国の資金を浪費するだけに終わりかねない。 (斉藤雄太、nikkei = 11-6-17)


セクハラ被害「Me too」 ハリウッドの疑惑契機に

ハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑報道をきっかけに、セクハラ被害に声を上げる人たちの輪が世界中に広がっている。 ツイッターでは「#MeToo (私も)」が合言葉になっている。 きっかけは米国の俳優アリッサ・ミラノさんが 15 日に書き込んだツイッターの投稿だった。 「セクハラを受けたことのある女性たちが『Me too (私も)』と書けば、この問題の大きさをわかってもらえるのではないか。」 これがツイッターなどで一気に広がった。 ソーシャルメディアの分析会社「トークウォーカー」によると、ミラノさんの呼びかけに応じた「Me too」ツイートは、17 日までに約 140 万回に達した。

「みな仕事を失うことを恐れて声が上げられないでいる」、「いままで忘れようとしてきた」という女性の訴えのほか、「女性だけ(が被害者)ではない」といった男性の反応もある。 ワインスタイン氏からセクハラを受けたという俳優の告発は、グウィネス・パルトローさんやアンジェリーナ・ジョリーさんの他に、ケイト・ベッキンセールさん、アシュレイ・ジャッドさん、ヘザー・グラハムさん、ミラ・ソルビーノさんら続々と続いている。 バニティー・フェア誌によると、これまでに 47 人の俳優らが実名で同氏からのセクハラ被害を訴えているという。 (サンフランシスコ = 宮地ゆう、asahi = 10-18-17)

◇ ◇ ◇

ハリウッド大物プロデューサーを除名 セクハラ疑惑報道

米アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーは 14 日、緊急の会合を開き、多数の女性からセクハラ行為を訴えられているハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏 (65) を除名する決定をした。 ワインスタイン氏は 1999 年、「恋におちたシェイクスピア」でプロデューサーとしてアカデミー賞を受賞。 兄弟で映画会社を経営し、多くの有名作品を手がけるなど、ハリウッドに大きな影響力を持ってきた。

しかし、ニューヨーク・タイムズ紙が 5 日、同氏の 20 年以上にわたるセクハラ疑惑を報道すると、被害を訴える俳優が次々と名乗り出た。 グウィネス・パルトローさんは「22 歳の時に(同氏から)ホテルに呼ばれ、マッサージするように迫られた。 拒否したが、役を降ろされるのではと思った。」などと証言。 アンジェリーナ・ジョリーさんもセクハラを受け「二度と一緒に仕事はしなかった」という。 ワインスタイン氏は 8 日、自ら創業し、会長を務めていた映画会社を解雇された。 代理人は「同意のない性的関係を持ったことはない」とのコメントを発表している。

被害を訴えた俳優たちは当時、駆け出しだった人が多く、配役などを握る立場を利用したセクハラは、ハリウッドの問題として指摘する声も上がっている。 同氏は熱心な民主党支持者でオバマ前大統領やヒラリー・クリントン元国務長官などに献金してきた。 オバマ氏は「女性をおとしめるこのような行為は、批判されるべきであり、責任を取るべきだ」とのコメントを発表。 オバマ氏の長女マリアさんはワインスタイン氏の会社で今年初め、インターンとして働いていたという。 (サンフランシスコ = 宮地ゆう、asahi = 10-15-17)


世界の主要都市ランキング 東京 3 位、経済は順位下げる

都市問題を研究する森記念財団(東京)は 12 日、2017 年の世界主要 44 都市の総合力ランキングを発表した。 東京は 2 年連続で 3 位だった。 ただ、「経済」の分野では、円安の影響や法人税率の相対的な高さを理由に、過去 6 年 1 位だった順位が 4 位に下がった。 一方で、訪日外国人の増加や交通の利便性では、評価が高まった。 2020 年の東京五輪・パラリンピックを控え、都市開発が進み、今後順位を上げる可能性もあるという。

17 年の総合力ランキングは、1 位は 6 年連続でロンドン、2 位はニューヨークだった。 ランキングは「経済」、「文化・交流」などの 6 分野のほか、経営者やアーティスト、観光客などの視点に基づき評価される。 4 位はパリ、5 位はシンガポール、6 位はソウル。大阪は 26 位、福岡は 37 位だった。 森記念財団によるランキングは 08 年に始まり、今年で 10 回目。 財団の担当者は「欧州に代わり、アジアの都市の成長が著しく、順位を上げている」と指摘した。 (sankei = 10-12-17)


外務省、2 日後に「喜ばしい」 核廃絶 ICAN に平和賞

外務省は 8 日夜、核兵器禁止条約の採択に貢献した核兵器廃絶国際キャンペーン (ICAN) が 6 日にノーベル平和賞の受賞が決定したことについて、「国際社会で核軍縮・不拡散に向けた認識が広がることを喜ばしく思う」との外務報道官談話を発表した。

談話は「核兵器廃絶に向けた被爆者・被爆地の長年の努力に対し、改めて敬意を表したい」と受賞決定を歓迎しつつ、「ICAN の行ってきた活動は日本政府のアプローチとは異なる」とも指摘。 ノーベル委員会が受賞発表で北朝鮮の核開発に言及したことについて触れ、「あらゆる手段により圧力を最大限まで高める必要がある」と日本政府の立場を改めて強調した。 コメント発表は 8 日午後 11 時 32 分。2 日遅れになった理由について、外務省関係者は「省内の調整に時間がかかった。」と説明した。 (asahi = 10-9-17)


特殊装置禁止に積極的、米与党議員でも続出 ラスベガス銃乱射事件受け

米西部ラスベガスの銃乱射事件で、銃が連射できるようにして殺傷能力を高めるためスティーブン・パドック容疑者が取り付けていた特殊装置「バンプ・ストック」について、与党共和党で 4 日、禁止に積極的な意見が有力議員から相次いだ。 米主要メディアが伝えた。 米史上最悪の犠牲者を出した事件を受け、銃規制に慎重な意見が多い共和党でも一定の規制の必要性を認める動きが出てきた。

野党民主党議員団は 4 日、銃の殺傷能力を高める部品の製造や販売、所持を禁止する規制強化法案を提出したが、共和党で支持が広がるかが成否の鍵を握っている。 特殊装置について共和党上院ナンバー 2 のコーニン院内幹事は「合法性に疑問がある」として、司法委員会のグラスリー委員長に議論するよう求めたと明らかにした。 米国で出回っている銃の多くは引き金を引くたびに 1 発しか銃弾が出ないが、特殊装置を付けると簡単に連射できるようになる。 (kyodo = 10-5-17)


国際競争力、スイスが 9 年連続首位 日本 1 ランク後退 9 位 = WEF

[ジュネーブ] 世界経済フォーラム (WEF) が 27 日発表した国際競争力ランキングによると、スイスが 9 年連続で首位を維持した。 日本は前年の 8 位から 9 位に後退した。 WEF のエコノミスト、Thierry Geiger 氏は、スイスではインフラや教育の好循環がみられるとした上で、同国の人材の創出と活用が大きな効果をみせていると指摘。 「技術革新を進める能力があり、様々な要素がそれを支援している」と述べた。

トップ 10 の国・地域は前年と変わらなかった。 前年 3 位だった米国はシンガポールを抜いて 2 位に浮上。 香港は順位を 3 つ上げて 6 位となった。 英国は 8 位と、順位を 1 つ落とした。 中国は順位を 1 つ上げて、27 位。 ロシアとインドはそれぞれ 38 位と 40 位だった。 最下位はイエメンで 137 位となった。 (Reuters = 9-27-17)


輝きを失った香港、中国人から見た「返還後 20 年」の変遷

イギリスの植民地だった香港が、中国に返還されて 20 年が経った。 香港と中国の関係はどう変わったのだろうか。 北京在住の 37 歳の弁護士エバ・トンは、子どものころ、テレビで見る香港に強いあこがれを抱いていた。 しかし、今はその香港がすっかり色あせて見える。 「香港は面積が狭いなかに人が多すぎる。 旅行ですら行こうと思わない。 上海の成長で金融のハブとしての地位も失いつつある。」

トンと同様の考えを抱く中国人は少なくない。 香港は多くの課題に直面している。 中国が成長するにつれ、香港は中国本土に対する優位性を失い始めた。 例えば 2003 年、香港は世界で最も取扱量の多いコンテナターミナルだった。 しかし、今は中国本土の上海、深セン、寧波舟山、そしてシンガポールに追い抜かれ 5 位に甘んじている。

世界の金融センターとしてのポジションは健在だが、中国の支配下に置かれていることに変わりはない。 全体の時価総額ベースで、香港証券取引所は上海証券取引所に 9 兆元(約 150 兆円)以上水をあけられ、深セン証券取引所とも差が小さくなった。 世界最大の消費者向けドローンメーカー DJI やテンセントのような巨人が上場する深センは、テクノロジー関連のイノベーションの中心地となっている。

中国経済における香港の重要性は急速に低下している。 返還当時、香港の GDP は中国全体の 20% 近くを占めていたが、今では 3% に満たない。 北京大学 HSBC ビジネススクールで、政治経済を専門とする准教授クリストファー・ボールディングは「香港と中国のつながりは、劇的に薄れつつある」と語った。 しかし、一方で香港は中国の西側諸国に対する重要な玄関口だ。 テンセントや Meitu (美図)のような海外志向の企業は、資本規制が厳しい中国本土を避け、香港で上場している。 香港浸会大学の准教授ビリー・マクスイ-チョイは「香港は、現時点では他に置き替えられない独自の機能を持つ」と話す。

独自の道を歩む香港

中国は昨年、香港、上海、深センの取引所で相互取引を開始した。 香港と珠海、マカオを結ぶ橋の建設プロジェクトも進んでいる。 中国政府は香港、マカオ、広東省を含むテクノロジーゾーン構想も描いている。 一方、中国の経済的な影響力が高まり、香港の人々は中国の干渉が強まることを恐れている。 中国政府が香港の選挙を制限し、何万人ものデモ隊が 3 カ月にわたって街の金融地区を麻痺させた事件も起きた。

若い香港人は中国への拒否感を強めている。 香港大学の最近の調査によると、香港戸籍を持つ 18 歳から 29 歳の間では、自分を広義の「中国人」と考える割合は 3.1% にとどまり、1997 年時の 31% から大きく減った。 中国本土に住む人にとっても、それは驚くことではない。 「中国本土は、香港を追い抜いてしまったから」と、海外ファッションブランドの中国地区のマネジャー、サブリナ・リウは言う。 「彼らは優越感を失ってしまったから、我々に属したくないのだろう」とリウは述べた。 (Yue Wang、Forbes = 9-24-17)


メキシコの大地震、死者 225 人 学校で児童ら生き埋め

メキシコで 19 日午後 1 時 14 分(日本時間 20 日午前 3 時 14 分)ごろ、中部を震源とする強い地震があった。 米地質調査所 (USGS) によると、地震の規模を示すマグニチュード (M) は 7.1 で、震源の深さは約 51 キロ。 AP 通信によると、メキシコ政府は少なくとも 225 人の死亡を確認した。 メキシコでは今月 7 日、98 人が死亡した M8.1 の地震が起きたばかり。 今回の地震は、人口が密集する首都メキシコ市の都市圏を直撃。 建物が多数倒壊し、市内の小学校では多くの子どもらが生き埋めになり、救助活動が夜通し続いた。 (メキシコ市 = 田村剛、asahi = 9-20-17)


飢餓人口、8 億 1,500 万人 減少傾向から増加へ

最低限の体重を維持し、軽度の活動を行うのに必要なカロリーを摂取できない「飢餓人口」が、2016 年、8 億 1,500 万人に達し、05 年から続いていた減少傾向から明確に増加に転じた。 国連世界食糧計画 (WFP) などが 15 日、報告書で発表した。 最大の原因は中東やアフリカで続く紛争の影響だとしている。

報告書は国連の持続可能な開発目標 (SDGs) の達成に向けて、WFP や世界保健機関 (WHO) など国連関連 5 機関が 16 年のデータを共同でまとめた。 報告書によると、飢餓人口は 05 年から減少傾向が続いていたが、16 年は対前年比で 3,800 万人の増加になった。 飢餓人口が全人口に占める割合も対前年比 0.4 ポイント増の 11%。 また飢餓に苦しむ子どもも多く、身長が年齢平均を著しく下回る 5 歳未満の子は 1 億 5,500 万人に上った。

飢餓人口が増加に転じた要因は紛争だとしている。 特に、シリアやイエメンで内戦が続く中東や、南スーダンなどで内戦が続くサハラ砂漠以南のアフリカで増加が目立っている。 WFP のラミロ・ロペス・ダ・シルバ事務局次長は朝日新聞の取材に「紛争の長期化に自然災害などが重なり、飢餓の悪循環をもたらしている」と説明。 SDGs が掲げる「30 年までの飢餓と栄養不良の撲滅」に向けて「国際社会は人道支援、開発支援、紛争の和平実現など、複数の解決策を同時に講じる必要がある」と指摘した。 (平井良和、asahi = 9-16-17)

◇ ◇ ◇

国連 WFP、8 億人、飢餓陥る恐れ 温暖化も要因

世界食糧計画 (WFP) は 21 日までに、内戦や自然災害によりアフリカを中心に食料不足が深刻になっており、世界人口の 9 分の 1 に当たる約 8 億人が飢餓に陥る恐れがあるとする報告書を発表した。 干ばつなど災害を引き起こす地球温暖化も大きな要因だとしている。 国際的な食料援助も拡大傾向にあり、WFP による直接支援額は 2009 年の 22 億ドル(約 2,500 億円)から 16 年には 53 億ドルに膨らんだ。 報告書は「援助増額だけでなく、内戦解決など根本的な原因への対策が求められる」と指摘した。

報告書によると、食料援助は今や人道支援全体の 40% に及ぶ。 17 年には 1 億 800 万人が飢餓に直面し、特にアフリカ中・東部と中東・北アフリカの状況が厳しく援助総額の 70% を占める。 内戦中の南スーダンやイエメンでそれぞれ数百万人を超える人が飢えに苦しむほか、アフリカ東部のソマリアやエチオピアなども干ばつ被害からの回復がみえないとした。

報告書は援助資金の調達について先進国の拠出に頼るだけでなく「中所得国や企業の支援も不可欠だ」とした。 また各国政府の自助努力も重要だと指摘。 その一例として WFP の「学校での食事配給プログラム」を挙げ、WFP の技術支援だけで 4,500 万人の子どもへの配食が実現できたとした。 (kyodo = 7-21-17)


ロシア全土で謎の脅迫電話 公明・山口氏も巻き込まれる

ロシア全土で 10 日ごろから、学校や駅、商業施設などに「爆発物を仕掛けた」と脅迫する電話が相次ぎ、連日、数万人規模で避難する騒ぎとなっている。 13 日にはロシアを訪問中の公明党の山口那津男代表も巻き込まれた。 2001 年 9 月 11 日に起きた米同時多発テロにちなんだ当局の訓練だとの情報もあるが、今のところロシア政府は表立った反応を示していない。

山口氏はモスクワ国際関係大学を訪れた際、学生らとともに避難した。 タス通信によると、13 日はモスクワだけでも 100 件以上の脅迫電話があり、爆発の恐れがあるとして 5 万人以上が避難した。 いずれも爆発物は見つかっていない。 一部について、当局は「電話は同時にかかってきた」と、組織的な犯行の可能性を示唆した。

脅迫電話は 10 日ごろから始まり、極東から西部まで全国に広がった。 12 日も全国 22 都市の 205 施設で 4 万 5 千人以上が避難していた。 ロシア・メディアによると脅迫電話の多くが国外からで、自動のシステムでかけているようだ。 対立するウクライナからだとするうわさも出ているという。 ただ、何らかの要求があったのか分からないうえ、これだけの規模の事件としては政府の反応も鈍い。 ネットメディアでは「ロシア内務省の職員が、米同時多発テロにちなんだ大規模訓練だと話した」という情報も流れている。 (モスクワ = 中川仁樹、asahi = 9-14-17)