雇用新ルール、期待と不安 賃金や待遇 改善なるか

勤続 5 年で無期契約に 2018 年春始動

労働契約法の改正を受け、来春から契約社員やパートの有期契約で 5 年を超えて働く人が無期雇用への転換を申し込める新ルールが本格的に始まる。 雇用の安定が目的だが、対象者の間では「生活が安定する」との期待の一方、雇用主による "駆け込み" の雇い止めを懸念する声も上がる。 22 日投開票の衆院選でも各党は雇用対策の充実を訴えており、生活の不安定な非正規労働者らは政策の中身を注視している。

「来年から 1 年間お休みしてほしい。」 関西地方の大学で非常勤助手を務める 30 代女性は 4 月、大学から 2018 年度の雇用契約を結ばない方針を告げられた。 音楽の授業でのピアノ伴奏が主な業務。 05 年から 1 年単位の有期契約を更新しており、18 年度の契約で「改正法施行後に勤続 5 年超」という条件を満たす。 19 年度から無期契約への切り替えを申し出るつもりだったが、今も大学側と話し合いが続く。

「新ルールを見越した雇い止めでは」という懸念は消えず、衆院選では有権者として各党の雇用政策に注目している。 しかし、政党や各候補の主張に耳を傾けても「どうやって実現するのかが見えない。」 女性は「非正規労働者は職場の穴埋め要員と見なされがち。 正当に評価する仕組みを整えてほしい。」と訴える。 厚生労働省によると、約 1,400 万人の有期雇用者のうち 3 割の約 450 万人が同じ職場で 5 年を超えて働く。 新ルールの導入後丸 5 年が経過する 18 年 4 月以降、多くの労働者が事業主に無期雇用への転換を申し込めるようになるとみられているが、その前に雇い止めされれば権利を失う。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(東京・練馬)が約 4,900 社を対象に実施した調査によると、6 割は「何らかの形で無期契約にしていく」と答えた。 人材確保の狙いもあり、大企業を中心に雇用形態を見直す動きが広がっており、東京都のコールセンター大手は 10 月から勤続 6 カ月を超えた非正規社員のうち希望者を無期雇用にした。 女性社員 (39) は「職探しの心配をせず安心して働ける」と話す。

一方、調査では「雇用期間が 5 年を超えないよう運用する」と雇い止めを示唆するような回答も 8% あった。 無期転換について企業の相談に応じる大阪府内の社会保険労務士は「制度の中身を知らない経営者も多い。 雇用の安定を目指す法の趣旨が浸透しているとは言いがたい。」と指摘する。 厚労省は 10 月末までの 2 カ月間を新ルールを広めるキャンペーンを展開している。 大阪労働局も 9 月に開設した相談窓口で事業者らに「転換を避ける目的で雇い止めするのは望ましくない」と周知しており、担当者は「無期雇用を希望する人らの契約見直しがスムーズに進むよう力を入れていきたい」と話している。 (nikkei = 10-21-17)


グーグル、雇用支援に 1,100 億円 「反 AI」に備え

【シリコンバレー = 兼松雄一郎】 米グーグルは雇用創出を促進する世界の NPO などに今後 5 年間で 10 億ドル(約 1,100 億円)を提供する。 米国では職業教育や起業支援の無料訓練プログラムを創設する。 人工知能 (AI) の普及により仕事の内容が激変し失職者が増えるとの懸念が高まる中、大規模な雇用支援に乗り出すことで批判をかわす狙いがあるとみられる。 1 億ドルは雇用創出のための教育などに使う。 2 千万ドルは教育機会の平等のために活動する団体に使うほか、1 千万ドルを米職業訓練 NPO のグッドウィル・インダストリーズ・インターナショナルに提供する。

米国では、休職者、教員、自営業者、ソフト開発者などがオンラインで職業訓練を受けられる無料サービスを始める。 1 年程度で IT 関連の職に就くための基礎的な技術を身につけられるオンライン講座向けの奨学金も用意する。 就業や起業に助言するイベントを全米を巡回しながら開催していく。 また、グーグルの従業員が NPO で 5 年間で 100 万時間ボランティアとして働く。 グーグルは 2005 年から収益の 1% 相当を NPO への寄付、ツール提供、ボランティア活動などに費やしている。 最近は雇用関連の支援を強化している。 (nikkei = 10-14-17)


「バスの降車ボタンは早めに押して欲しい」というつぶやきから見えてきた運転士達の苦悩

バスや電車に乗っていると、運転士さんのハンドル捌きや車掌さんの安全確認の所作などがカッコよく目に映ります。 その仕事ぶりを見て憧れる人も多いと思います。 筆者も鉄道好きな一面があり、女性車掌さんのカッコよさに憧れた事があります。 しかし、そんな旅客業、日々多くの人の命を預かりながらの業務であり激務である事も知られている事と思います。 先日も「バスの降車ボタンは早めに押して欲しい」といった内容のつぶやきがツイッター内に投稿され、大きな反響を呼んでいました。

安全第一のお仕事、車内事故を防止するために知ってもらいたいという思いで投稿された言葉です。 降車目的地のバス停に着くギリギリで降車ボタンを押されると急ブレーキをかける事になりかねず、結果としてバス停に停車する事ができない、ブレーキによる車内事故の発生などのトラブルが起こりえます。 この投稿に対しての反響は大きく、多くの方が共感する一方で「バスの運転士の態度が悪い」、「運転が荒かった」などの声も届いていました。 そんな中、あるバス会社の運転士から話を聞く事ができました。

モラルを失った乗客

話を聞いたバスの運転士も、この話題について「バス業界共通の問題と思いました。」と語っています。 民間の旅客業でありながら公共交通機関であり、モラルのない乗客に起因するクレームや事故報告なども全てバス会社がその責任を負う事になります。 こういったクレームや事故は自治体や国土交通省にも報告が入るため、たとえ運転士の言動などに非がなくても始末書や事故報告書を書かされる事を余儀なくされ、運転士のストレスの蓄積や過労による事故、不当な扱いへの不満からの人員不足と繋がっていきます。

また、近年バス業界では赤字路線が多いといい、それを理由に「赤字だから、低賃金」と話を聞いたバス運転手は言われているそうです。 さらに赤字路線であるにも関わらず、乗客に強く言えない状況がゆえ「運賃を誤魔化す乗客を容認しなければならないのは負の連鎖であります」と、会社のみならず乗客側のモラルも指摘しています。 適正な運賃を払い利用し続けなければ赤字路線は廃止されます。 そうなると困るのはバスを利用している私たちです。

会社のパワハラ 酷使される運転士

「低賃金で待遇の悪さから人員不足であり、減便をすれば良いという風習さえなっている」というバス業界。 他にもこんな問題も抱えているのだとか。 「それと、我々はかなり不満抱えてますが、会社がかなりパワハラであり、納得いかないことも、高圧的に顧客本位だろ? みたいに言われ始末書まで書く状態。 (事故を起こしたのが)私と特定されたら、会社から辞めさせられかねず小心者に教育させられるのが現状。 私の身の回りも、そういう人ばかりです。」と前出の運転士談。 会社自体が抱えるストレスの大きさも垣間見えます。

会社側からの不当といえる扱いを受けているのはこの運転士に限った事ではありません。 筆者の知人にも元バスの運転士がいます。 元が付いている理由は、乗務中に乗客側の行動に起因する車内事故。 バス業務自体は好きで天職とさえ思っていたそうですが乗務中に乗客に注意したにもかかわらず車内で転倒した事でクレームとなり、遠まわしに退職へと追いやられてしまったそうです。 今は他の運輸業へと転職していますが、今でも思い出すと悔しいと語っていました。

ツイッターで話題の発端となった運転士さんも最長 10 日以上の連続勤務もこなしているという話ですが、「乗客の皆さんに支えられて会社が存続でき、お客様に利用して頂き運賃を払って頂けるから私は給料もらい生活できることを忘れず安心安全運転でこれからも仕事したいです」と仰っていました。 狭い業界故に一度事故で失職となってしまうと同じ業種に就くのはなかなか難しいとの話。 筆者の知り合いもそれでバス業界から離れた職についています。

一番身近であるバスの仕事を守り、適切に利用するためには利用している人それぞれの理解とマナー、モラルが必要となります。 少しでも多くの人がマナーとモラルを守った行動で利用し続けていくのが大切であると、関係者の皆さんからお話を伺って痛切に感じました。 自分たちが必要としている交通機関。 自分たちが困らない為にも、適切な行動とモラルを持って利用していきましょう。 ちなみに、バスの降車ボタンは次のバス停の案内アナウンスが流れ始めてから押すのが良さそうです。 (梓川みいな、おたくま経済新聞 = 10-9-17)


NHK の 31 歳女性記者が過労死 長時間労働で労災認定

日本放送協会 (NHK) の記者だった女性(当時 31)が 2013 年 7 月に心不全で死亡したのは過重労働が原因だったとして、14 年に渋谷労働基準監督署が労災を認定していたことが分かった。 NHK が 4 日、発表した。 ピーク時の時間外労働は月 150 時間を超えていた。 職員が労災認定を受けてから 3 年余り、NHK は局内で起きた過労死を公表していなかった。 この間、電通の過労自殺事件をはじめ、過労死問題を手厚く報道しており、公共放送としての報道姿勢が問われそうだ。

NHK や遺族の説明によると、亡くなったのは、入局 9 年目だった佐戸未和(さど・みわ)さん。 05 年 3 月に一橋大法学部を卒業後、同年 4 月に記者職として NHK に入局。 鹿児島放送局で 5 年間勤めた後、10 年 7 月から東京・渋谷の首都圏放送センターで勤務していた。 同センターでは、主に東京都政の取材を担当。 都庁の記者クラブに所属していた。 亡くなる直前は、13 年 6 月の都議選、同 7 月の参院選の報道にかかわった。 参院選の投開票から 4 日後の 7 月 25 日、都内の自宅のベッドで倒れているのを親しい友人が発見した。 前日の未明に帰宅した後、うっ血性心不全を起こして急死した。

渋谷労基署によると、亡くなる直前の 13 年 6 月下旬から 7 月下旬まで 1 カ月間の時間外労働(残業)は 159 時間 37 分。 5 月下旬からの 1 カ月間も 146 時間 57 分にのぼった。 労基署は都議選と参院選の取材で「深夜に及ぶ業務や十分な休日の確保もできない状況にあった」と認定。 「相当の疲労の蓄積、恒常的な睡眠不足の状態であったことが推測される」とした。 遺族は 13 年 10 月に労災を申請し、翌年 4 月に認められた。 遺族が業務用のパソコンや携帯電話の使用履歴などを調べたところ、労基署が認定した残業(6 月下旬からの 1 カ月で約 159 時間)を上回る長時間労働が判明したという。

佐戸さんの父は「適切な労務管理が行われず、長時間労働が放置されていた。 NHK は未和の死を忘れず、全社員で未和の死を受けとめ、再発防止に力を尽くしてほしい。」と話している。 NHK 広報は朝日新聞の取材に対し、「当初は遺族側から公表を望まないとの意向を示されていたので、公表を控えていた。 佐戸さんの死をきっかけにした働き方改革を進める上で、外部への公表が必要だと判断した。」としている。 (牧内昇平、asahi = 10-4-17)


自動化進展でも人手不足解消しない 労働経済白書が指摘

人工知能 (AI) やロボットによる自動化が進んでも、人手不足は解消しない - -。 厚生労働省が 29 日発表した 2017 年版「労働経済の分析(労働経済白書)」で、こんな見方が示された。 自動化で働き口は減るが、それ以上に労働力人口が減るためだという。

白書は、自動化の進展で 30 年に就業者が今より 161 万人減るとする経済産業省の試算を紹介。 そのうえで、技術者や介護職など専門技能やコミュニケーション能力が求められる仕事は増えるが、工場のラインでの仕事や単純な事務作業は大幅に減るという。 一方、少子高齢化が進み、労働力人口は 225 万人減ると分析。 「失業は増えないが、(経済成長には) AI を使いこなす理系人材の育成が欠かせない」とする。

白書は、技術革新の進展が雇用に与える影響も分析した。 15 年時点の IT 関連産業の就業者数が 20 年前よりどの程度増えたかを日米で比べたところ、日本は 1.4 倍の 85.6 万人だったのに対し、米国は 2 倍の 436.9 万人に増えていた。 この間、日本では人件費の削減が進み、非正社員が大幅に増加した。 白書は「IT 革命の流れに乗り遅れ、情報産業で雇用が伸びなかった影響もありうる」と指摘した。 (米谷陽一、asahi = 9-29-17)


完全失業率、8 月は横ばいの 2.8% 有効求人倍率 1.52 倍で変わらず

[東京] 総務省が 29 日発表した 8 月の完全失業率(季節調整値)は 2.8% で、前月から横ばいだった。 3% を下回るのは 3 カ月連続。 厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は 1.52 倍で 1974 年 2 月以来、43 年 5 カ月ぶりの高水準となった前月と変わらずだった。 完全失業率はロイターの事前予測調査で 2.8% と予想されており、結果はこれと同じだった。

季節調整値でみた 8 月の就業者は前月比 20 万人増の 6,565 万人。 完全失業者は同 4 万人減の 186 万人。 非労働力人口は同 16 万人減の 4,351 万人となった。 この結果、完全失業率は 2.8% と前月から横ばい。 1994 年以来、23 年ぶりの低水準での推移が続いており、総務省では「雇用情勢は着実に改善している」と判断している。 有効求人倍率(季節調整値)は 1.52 倍と前月と同水準。 ロイターの事前予測調査では 1.53 倍が見込まれていたが、結果はこれを下回った。 有効求人数は前月比 0.5% 増、有効求職者数は同 0.5% 増だった。 新規求人倍率は 2.21 倍と前月から低下した。 (Reuters = 9-29-17)

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有効求人倍率、5 カ月連続上昇 7 月は 43 年ぶり高水準

厚生労働省が 29 日発表した 7 月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より 0.01 ポイント高い 1.52 倍だった。 上昇は 5 カ月連続で、1974 年 2 月以来、43 年 5 カ月ぶりの高水準。 仕事を探す人が減っているためで、人手不足を背景に雇用情勢の改善が続いている。

有効求人倍率は、求職者 1 人あたりに何件の求人があるかを示す。 7 月の有効求人数は 269 万 12 人と前月並みだったが、有効求職者数は前月より 0.4% 少ない 177 万 2,978 人だったため、有効求人倍率が上昇した。 正社員に限った有効求人倍率は前月と同じ 1.01 倍だった。 総務省が 29 日発表した 7 月の完全失業率(季節調整値)は前月と同じ 2.8%。 完全失業者数は前月より 1 万人 (0.5%) 多い 190 万人だった。 (asahi = 8-29-17)

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4 月の求人倍率 1.48 倍、43 年ぶり高水準

厚生労働省が 30 日発表した 4 月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より 0.03 ポイント高い 1.48 倍だった。 第 1 次オイルショックの直後で、雇用情勢がまだ安定していた 1974 年 2 月以来、43 年 2 カ月ぶりの高水準となった。 職探しをする人が減っていることが主因で、人手不足が鮮明になってきた。

有効求人倍率は、求職者 1 人あたりに何件の求人があるかを示す。 リーマン・ショック後の 2009 年 8 月に過去最低の 0.42 倍を記録した後、上昇傾向が続く。 12 年 12 月の第 2 次安倍政権の発足以降、毎月の有効求人倍率は前月を下回ったことがなく、横ばいか上昇が続いており、ついにバブル期の 90 年 7 月に記録した 80 年代以降のピーク(1.46 倍)を超えた。 求人が増える一方、職を求める人が減り続けており、労働市場の需給は逼迫している。

4 月は、有効求人数が 265 万 4,429 人と前月比 0.7% 増加した一方、有効求職者数が 179 万 4,430 人と同 1.6% 減り、有効求人倍率を押し上げた。 上昇は 2 カ月連続。 (千葉卓朗、asahi = 5-30-17)


正規と非正規、年間給与に 315 万円の差 4 年連続拡大

企業の正規雇用と非正規雇用の人が 2016 年に受け取った平均給与の差は 315 万円で、4 年連続で差が広がっていることが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。 人手不足などを背景に賃金水準が上がる中、正規と非正規の格差は拡大している。 約 2 万 1 千カ所の事業所を抽出調査した。 平均給与(平均年齢 46.0 歳)は 422 万円で、4 年連続で上昇したが、正規(役員らを除く)の 487 万円に対し、非正規は 172 万円で、315 万円の開きがあった。

正規と非正規を分けて統計を取り始めた 12 年は、差が 300 万円だった。 その後、4 年間で正規の平均給与が 19 万円上昇したのに、非正規は 4 万円の上昇にとどまり、差が広がった。 業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が 769 万円で最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」が 234 万円で最も低かった。 (asahi = 9-28-17)


「三菱につぶされました」新入社員自殺で両親提訴 三菱電機、いじめ原因か

三菱電機(東京)の新入社員の男性 = 当時 (25) = が昨年自殺したのは、職場の上司や先輩から受けたいじめや嫌がらせが原因として、男性の両親が 27 日、会社に約 1 億 1,800 万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。 遺書にはいじめがあったとの主張とともに「私は自殺をします。 私は三菱につぶされました。」と記されていた。 訴状や遺族の代理人弁護士によると、男性は大学院の博士前期課程を経て昨年 4 月に入社。 研修後の同 6 月、同社の通信機製作所(兵庫県尼崎市)に配属されたが、同 11 月中旬、兵庫県内で自ら命を絶った。

男性が配属された部署では高いプログラミング技術が求められたが、上司や先輩に質問しても教えてもらえず、非難されたりばかにされたりしたとしている。 両親は近く労災申請もする方針。 両親は男性の自殺の原因究明や謝罪を求めたが、同社は「人格否定やいじめのような発言をした事実はなかった」などと回答した。 (sankei = 9-27-17)


年金機構、対応遅れ露呈 = 支給漏れで閉会中審査 - 衆参委

衆参両院の厚生労働委員会は 20 日、元公務員の配偶者ら 10 万人超に計約 598 億円の年金支給漏れがあった問題をめぐり閉会中審査を行った。 日本年金機構の水島藤一郎理事長は昨年 11 月に支給漏れを把握していたが、加藤勝信厚労相に全容が報告されたのは今年 8 月 24 日だったことが判明。 年金機構の対応の遅さが露呈した。

支給漏れは、「振替加算」という基礎年金の上乗せ部分で発生。 対象者の大半が夫婦のどちらかが共済年金を受給する元公務員だった。 一度に発覚した支給漏れでは人数・額ともに過去最大で、厚労省が 9 月 13 日に公表した。 両委員会の冒頭、加藤厚労相は「ご迷惑をお掛けし、誠に遺憾」と陳謝し、再発防止策に取り組む考えを強調した。

質疑では、水島理事長が支給漏れ問題の端緒について「昨年 11 月ごろ、部下から報告を受け、厚労省にも連絡した」と述べた。 しかし、厚労相らの答弁で、同相が全容の報告を受けたのは公表の 3 週間前だった。 同相は「総点検する(昨年 12 月の)段階で(当時の)大臣に連絡した方がよかった」と指摘。 これに民進党の委員らは「公表を遅らせようとしたのではないか」などと批判した。 (jiji = 9-20-17)

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年金支給漏れ、600 億円 = 過去最大、10 万人超に - 元公務員の配偶者ら・厚労省

厚生労働省は 13 日、元公務員らが対象の共済年金を受給中の配偶者ら計 10 万 5,963 人に「振替加算」と呼ばれる加算額の支給漏れがあったと発表した。 未払い総額は約 598 億円に上る。 支給漏れとしては、人数・額ともに過去最大。 同省は日本年金機構を通じて対象者に通知し、11 月中旬に未払い分を支給する。 年金機構と共済組合の連携不足が主な原因で、同省はシステム改修などの再発防止策を講じる。 同日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金事業管理部会に報告した。 (jiji = 9-13-17)


正社員との待遇差「一部不合理」認定 日本郵便巡る訴訟

正社員と同じ仕事をしているのに、各種手当や休暇などの労働条件に格差があるのは労働契約法などに違反しているとして、日本郵便の時間給の契約社員 3 人が正社員と同じ扱いを受けられる地位の確認と、計約 1,500 万円の支払いを求めた訴訟の判決が 14 日、東京地裁であった。 春名茂裁判長は日本郵便に対し、原告側に住居手当など一部の手当を支払うよう命じた。 判決などによると、原告はそれぞれ東京、千葉、名古屋の郵便局で、郵便物の配達や窓口業務などに従事。 年末年始に正社員に支払われる 1 日 4 千 - 5 千円の年末年始手当など、待遇に差がある八つの手当と、病気休暇など三つの休暇制度について、原告側は格差解消を求めていた。

春名裁判長は、年賀状配達などの繁忙期に支払われる年末年始の手当や、賃貸住宅で暮らす社員への住居手当について、「不合理な差異に当たる」と認定。 また、夏や冬の休暇、有給の病気休暇についても認め、計約 90 万円の支払いを命じた。 早出勤務や夜間特別勤務などの手当は認めなかった。 日本郵便では全社員の半分の 18 万人超が有期契約社員として働く。 正社員と契約社員の待遇を巡って不合理な差別を禁止する「労働契約法 20 条」に違反するかが訴訟の焦点だった。 (後藤遼太、asahi = 9-14-17)


待機児童 2.6 万人 3 年連続の増加 厚労省公表

認可保育施設に入れない子どもたち(待機児童)が 4 月 1 日時点で 2 万 6,081 人いた。 前年の同時期より 2,528 人多く、3 年連続で増加した。 認可施設に入れなかったのに数字に含まれない「隠れ待機児童」も 6 万 9,224 人いて、前年から増えた。 働く女性が増えて若い世代が多い都市部を中心に需要の伸びが加速し、政府が目指す「待機児童ゼロ」が遠のいている。

厚生労働省が 1 日、公表した。 保育の受け皿の整備は進み、4 月 1 日時点の認可保育施設の定員は計 273 万 5,238 人で前年より 10 万 728 人増えた。 一方、利用希望者も 9 万 635 人増え、過去最高の 265 万 100 人になった。 利用希望者を満たす定員数があるが、ミスマッチが起きている。 年齢では 0 - 2 歳児を受け入れる施設が特に足りず、待機児童の 88.6% がこの年齢に集中。 また、厚労省の担当者は「地域によって希望者が偏っていることも待機児童の増加につながった」と分析する。

都道府県別では東京の 8,586 人が最多で、全体の 32.9% を占めた。 沖縄 2,247 人、千葉 1,787 人、兵庫 1,572 人、福岡 1,297 人が続いた。 沖縄が多いのは、元々受け皿整備が遅れているうえ、出生率が国内で高いことが要因だ。 待機児童を抱える市区町村は 420 で、前年より 34 増えた。 東京都世田谷区が 5 年連続で最も多く、前年から 337 人減の 861 人だった。

厚労省は待機児童の定義について、「実態とかけ離れている」との批判を受け、今年度から育児休業中でも復職の意思がある場合などにも拡大した。 ただ、全面適用は来年 4 月からで、今回は全国 1,741 市区町村のうち 168 が旧来の定義で数えた。 「隠れ待機児童」は、@ 自治体が独自で補助する認可外施設に入った、A 親が育児休業中、B 特定の保育所のみを希望した、C 求職活動をやめた - - の四つの理由で待機児童から除かれた子どもの数を集計した。 今回は初めて公表した前年を 1,870 人上回った。

政府は 2013 年度からの「待機児童解消加速化プラン」で、今年度末までに待機児童をゼロにする目標を掲げ、受け皿の整備を計画以上に進めてきた。 だが、女性(25 - 44 歳)の就業率が想定以上に伸びて利用希望者が急増。 6 月に目標達成時期を 20 年度末まで 3 年間先延ばしし、この間に 22 万人分の受け皿を追加で増やす新計画を打ち出している。 (西村圭史、asahi = 9-1-17)

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認可保育園、入りにくい自治体は 待機児童の実態を調査

この春、認可保育施設に入りにくかったまちはどこだったのでしょう。 「待機児童ゼロ」と発表していても、認可保育施設に落ちた子どもが数千人いる自治体もあり、様々な理由で待機児童から除かれています。 そこで朝日新聞は、申し込んでも入れなかった子どもの数について、ある指標を使って調べ、表にまとめました。 ⇒ クリック

今年 4 月入園をめざして認可保育施設に申し込んだ子どものうち、入園が決まった割合(入園が決まった数/申込数)を「入園率」として計算したものです。 まず東京 23 区を見てみましょう。 最も入りにくかったのは港区で、入園率は 48.4%。 目黒区 (50.3%) や渋谷区 (51.2%)、台東区 (54.1%) など、都心部では軒並み「狭き門」となりました。 最も入りやすかったのは豊島区 (91.9%) です。 豊島区は毎年、数園ずつ認可保育施設をつくってきましたが、昨年の春から 2 年続けて新たに 10 園ずつ設けました。 来年も 13 園を増やす予定です。

一方、最も入りにくかった港区がこの春に開いた認可保育施設は 1 園のみです。 都心部では新しい施設の用地を確保することが追いついていないことに加え、保育士が不足していることも子どもの受け入れ枠を増やせない要因となっています。 東京都内の 23 区以外は、23 区内よりは少し高い水準でした。 入園率が低かったのは、小金井市 (61.0%)、府中市 (62.3%)、日野市 (62.8%) の順です。 最も高かったのは八王子市の 91.22% でした。

政令指定市で入りにくかったのは、北九州市 (67.4%)、岡山市 (69.1%)、川崎市 (71.0%) の順となりました。 新潟市は 97.8% で、全国で最も入りやすい都市です。 ほかに静岡市 (93.3%) や熊本市 (90.7%) も 9 割を超え、高い水準でした。 ほかの自治体では、沖縄県うるま市 (42.5%)、福島市 (51.3%)、沖縄県沖縄市 (58.1%) が低い水準です。 今回の調査は、東京 23 区と政令指定市に加えて、昨年 4 月時点で待機児童が 100 人以上いたほかの 41 市区町の合わせて 84 市区町を対象にアンケートをしました。 入園率に関して回答があったのは 72 市区町です。

各自治体は 4 月入園に向けて申し込んで認可保育施設に入れなかった子どもの数を待機児童として発表しています。 ただ、兄や姉と同じ園に入ることを希望して自治体から紹介された認可保育施設に入るのを断ったり、東京都の認証保育所のような認可外でも補助金を受けている施設に入ったりした場合は、待機児童には含まれません。 そのため、入りにくさの指標としては、待機児童の数よりも入園率の方が実態に近いものになりそうです。

待機児童数が今回の調査で最も多い 861 人だった東京都世田谷区の入園率は 69.0%。 2 番目に多い 849 人だった岡山市は 69.1% でした。 待機児童数をゼロと発表した自治体でも、東京都千代田区 (64.8%) や北九州市 (67.4%) は比較的入るのが難しかったようです。 (足立朋子、田渕紫織、asahi = 7-3-17)

* 認可保育施設には、認可保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育、へき地保育などを含みます。


厚労省の概算要求、実質過去最大に 「働き方改革」重点

厚生労働省は 25 日、2018 年度予算の概算要求を公表した。 一般会計の総額は 31 兆 4,298 億円で、今年度当初予算額を 2.4% 上回って実質的に過去最大の要求額となった。 医療や介護などの社会保障費のうち、高齢化に伴って自然に膨らむ額は 6,491 億円となり、増加額の約 9 割を占めた。 重点分野の一つが、安倍政権の目玉施策「働き方改革」関連で、今年度当初予算額より 4 割多い計約 2,800 億円を求めた。 そのうち企業の長時間労働に対する監督指導の強化には 20 億円を計上。 全国の労働基準監督署の非常勤職員を約 80 人増やす。

20 年度末までの「待機児童ゼロ」の目標に向けては、9 万人分の保育所の整備費の補助として 944 億円を要求した。 企業などがつくる「企業主導型保育所」の増加分や 19 年度予算での対応とあわせ、計 22 万人分の保育の受け皿を新たに確保する計画。 新設する保育所の運営費は別途、内閣府の予算として確保する必要があり、年末までの検討課題となる。

増え続ける社会保障費の抑制策も盛り込んだ。 生活保護の受給者が無料で医療を受けられる「医療扶助」の不適切な利用を減らすため、41 億円を計上。 同じ診療科に月 15 日以上通う人のうち、過剰な受診と認められる人をリスト化して指導する態勢をつくった自治体に補助を出すとしている。 厚労省の概算要求額は、15 年度予算の 31 兆 6,688 億円が過去最高。 同年度から保育所の運営費などが内閣府に移ったため 16 年度の要求額は減ったが、実質的には毎年増え続けている。 (asahi = 8-25-17)


退職後の中高年、介護職の担い手に 厚労省が新研修制度

人手不足が深刻な介護職員を増やすため、厚生労働省は未経験者を対象とした新たな研修制度を創設する。 退職後の中高年が現場に入ってきやすくするのが狙いだ。 2018 年度の導入を目指す。 25 日に公表した来年度予算の概算要求に、研修実施費用などの事項を盛り込んだ。 現在、介護分野の最も初歩的な研修制度は「介護職員初任者研修」で、130 時間の研修を修了すると訪問介護ができる。 新制度は訪問介護はできないが、その半分程度の時間で修了できるようになる見通し。 受講者には介護保険制度や認知症の基礎知識のほか、移動や着替えなど基本的な身体介護の仕方などを学んでもらう方向だ。

施設での介護なら資格や研修は今も不要だが、厚労省は簡単な研修で不安をなくせば介護の世界に入りやすくなると期待する。 介護職員やボランティアとして活動できるよう、施設とのマッチングもする。 ただ、修了しても給与面などで優遇されるとは限らず、どこまで人手不足解消につながるかは見通せない。 高齢化で介護職員の需要が高まる一方、賃金の低さなどから慢性的な人手不足で、20 年代初頭には約 25 万人の介護人材が不足するとされており、確保策が急務になっている。

厚労省はまた、原発事故に伴う避難指示が解除された福島県相双地域にある介護施設への就職希望者に貸し付ける「就職準備金」の額を、18 年度から現行の 30 万円から 50 万円に引き上げることを決め、概算要求に入れた。 対象は県外在住者と地域に戻ってくる避難者で、1 年間働けば返済は免除される。 (松川希実、asahi = 8-25-17)


福祉拠点に「空き家」活用 固定資産税減免で所有者にメリット

人口減少や高齢化社会を背景に空き家の増加が全国的な課題となる中、会津若松市と同市社会福祉協議会(武藤淳一会長)は空き家を地域の高齢者や子育て世代が集う福祉拠点「ふれあい・いきいきサロン」として有効活用できるよう、固定資産税の減免や改修費用の助成を始める。 同社協などによると、空き家の活用による固定資産税の減免は全国的にも珍しい取り組みで、成果が注目される。

市社協によると、空き家や空き店舗の所有者が建物をサロンとして同社協に貸し出す際、同社協が建物を「ささえあい拠点」として認定する。 市は認定の建物について固定資産税減免の申請を受け付け、空き家などの活用を後押しする。 同社協も 30 万円を上限に、建物の段差解消などバリアフリー化の工事費を助成するなど支援する。 固定資産税が減免されるなど空き家などの所有者にメリットがある取り組みのため、同社協はサロンに適当な物件を見つけやすくなるとみている。防災面や生活環境保全に課題の多い空き家利活用の促進の効果も期待される。

国土交通省によると、地域の活動拠点についての税減免は広島市が実施している。 会津若松市によると、市内に約 1,460 カ所の空き家があるという。 同社協は 9 月から本格的な周知に取り組み、申請の受け付けに入る考え。既に空き家をサロンに活用しているケースも含め、初年度は 3 件(改修費助成額計 90 万円)の申請を予定している。 同社協の森正孝副会長は 9 日、同市役所で記者会見し、「今後も増えると見込まれる空き家を福祉活動の拠点に活用できないか検討してきた。 地域にサロンが広がる呼び水になれば。」と話した。 (福島民友 = 8-10-17)


ハローワークでパワハラ、国など提訴 相談窓口の職員

静岡労働局管内のハローワークで仕事中に上司から暴力を受けたとして、窓口を担当する 40 代の女性職員が 10 日、国と当時の上司に対し、慰謝料など計約 630 万円の損害賠償を求めて静岡地裁に提訴した。

訴状によると、女性職員は窓口で求職者の相談に応じる非常勤職員。 2015 年 1 月の勤務時間中、この女性職員と窓口を統括する 50 代の課長職の男性が、他の職員の勤務態度について話している時に、男性が突然激高。 背後から大声で怒鳴りながら女性の左腕を拳で 3 回たたくなどした。 男性は日頃も他の職員に威圧的な態度を取ることがあったという。 労働局はパワーハラスメントのない職場環境を整える義務を怠り、女性の被害の申告を受けても速やかな調査や処分を行わず、女性に精神的な苦痛を負わせたとしている。

静岡労働局は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。 だが、朝日新聞のこれまでの取材に対し、労働局総務課は「パワーハラスメントと思われる行為があった」と認め、「男性を処分する方針だが、処分の程度について現在も協議している」と説明している。 (asahi = 8-10-17)


15 年度の社会保障給付費 114 兆円超 過去最高を更新

年金や医療、介護などに使われた 2015 年度の社会保障給付費は、114 兆 8,596 億円で過去最高を更新した。 高額薬の増加で医療費の伸びが目立ち、前年度より 2 兆 6,924 億円 (2.4%) 増えた。 国立社会保障・人口問題研究所が 1 日、公表した。 社会保障給付費は税金や社会保険料が財源で、サービス利用時の自己負担額は含まない。 国民 1 人当たりに換算すると 90 万 3,700 円で、前年度より 2 万 2,200 円増えた。 総額の国内総生産 (GDP) 比は 21.58%。 GDP が伸びたため、3 年連続で下がった。

伸び率が大きかったのは医療費で、3.8% 増えた。 12 - 14 年度の伸びは 2% 前後で、C 型肝炎薬のソバルディやハーボニーといった高額薬の登場が背景にあるとみられている。 介護費は伸び率は過去最低の 2.3% で、高齢人口の増加率 2.6% を下回った。 9 年ぶりのマイナスとなった 15 年度の介護報酬改定が影響した。 社会保障給付費に施設整備費なども加えた「社会支出」を分野別に対 GDP 比でみると、子育てに使う「家族」向けは 1.31%。 主要国の 13 年度の統計と比べると米国の 0.69% より高いが、英国の 3.79%、フランスの 2.92% を大幅に下回る水準だった。 (水戸部六美、asahi = 8-1-17)


「残業代ゼロ」容認、連合見送りへ 批判受け方針再転換

専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を条件付きで容認する方針転換をめぐって混乱していた連合の執行部が、高プロの政府案の修正に関する「政労使合意」を見送る方針を固めたことが、関係者への取材でわかった。 条件付きの容認から従来の反対に立場を戻す。

唐突な方針転換に対する組織内外からの反対の声が強いことなどを勘案し、政府、経団連と合意を結ぶ方針を撤回してでも混乱を早く収拾すべきだと判断した模様だ。 傘下の主要産別の幹部でつくる三役会、地方組織の幹部も入る意思決定機関の中央執行委員会(中執委)を 26 - 27 日に札幌市で臨時に開いて撤回の方針を諮り、正式に決める方向だ。

連合は高プロを「残業代ゼロ法案」と強く批判してきたが、執行部の一部が主導して条件付きの容認に転じた。 神津里季生(こうづりきお)会長が 13 日に安倍晋三首相と会談し、正式に修正を要請。 21 日の中執委で組織内の了解が得られれば、27 日にも「政労使合意」を結ぶ予定だった。 ところが、21 日の中執委で傘下の産別や地方組織から異論が噴出し、了解の取り付けに至らなかった。 神津氏は中執委の後の記者会見で、「政労使合意について文言を含めて見極める必要がある」などと述べ、合意に至らない可能性を示唆していた。 (asahi = 7-26-17)

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「残業代ゼロ」容認に「唐突感」の声 連合の地方会議で

連合の逢見(おうみ)直人事務局長は 17 日、大阪市で開かれた近畿地方の組織の幹部を集めた会議に出席し、記者会見した。 専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を「残業代ゼロ法案」と強く批判してきた連合が条件付きで容認に転じたことが組織内に波紋を広げているが、逢見氏は、この日の会議でも「唐突感がある」といった意見が出席者から出たことを明らかにした。

今回の「方針転換」は、連合のナンバー 2 の逢見氏らが主導してきた。 政府は連合の修正要求を受け入れ、19 日までに経団連も交えた 3 者で「政労使合意」を結ぶ見通し。 高プロは導入に向けて、大きく動き出すことになりそうだ。

出席した幹部によると、この日の会議は高プロへの対応に議論が集中したという。 逢見氏は高プロについて、「基本的に反対という態度は変わらないが、(今秋の臨時国会で審議入りする見通しの)労働基準法改正案から外せということは非常に難しい」、「法案についての懸念点を、修正の要望という形で政府に伝えたというのが今回の経緯。 そういう経緯について説明をして、いろんな意見をいただいた。」などと釈明した。 (asahi = 7-18-17)

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「残業代ゼロ」政府案修正へ 連合の要請を反映

政府は、専門職で年収の高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を盛り込んだ労働基準法改正案を、連合の要請を受けて修正する方針を固めた。 働き過ぎを防ぐ対策の強化を求める連合の要請を受け入れ、月内にも政府、経団連、連合が「政労使合意」を結んだうえで、今秋の臨時国会に改正案を出し直す見通しだ。

政府は同制度の導入を盛り込んだ労基法改正案を 2015 年 4 月に国会に提出済み。 経済界が強く導入を求める一方、野党や連合が「残業代ゼロ法案」、「長時間労働を助長する」などと強硬に反対し、一度も審議されていない。 3 月にまとまった「働き方改革実行計画」は、改正案の早期成立を目指すと明記。 政府は今秋の臨時国会で審議する方針を示していた。 政府は、民進党の最大の支持母体である連合の修正案を取り込むことで、臨時国会での成立を目指す。 ただ、連合執行部の突然の方針変更に対し、組織内や民進党から異論が噴出している。

連合の神津里季生(こうづりきお)会長は近く、安倍晋三首相と会談し、同制度の健康確保措置を手厚くするよう政府に要請する。 具体的には、▽ 年 104 日以上の休日取得を企業に義務づけることに加え、労働時間の上限設定、▽ 終業から始業まで一定の休息を確保する「勤務間インターバル制度」の導入、▽ 2 週間連続の休日取得 - - といった働き過ぎ防止策の中から複数の実施を求める。 同じく改正案に盛り込まれている裁量労働制の法人営業などへの拡大についても、商品を販売する一般の営業職は明確に対象外にするよう修正を求める。

厚生労働省は現在、「働き方改革実行計画」に盛り込んだ、残業時間の罰則付き上限規制などの法制化に向けて、労基法改正案の策定作業を進めている。 高度プロフェッショナル制度や裁量労働制に関する修正作業も同時に進め、ひとまとめにした法案の要綱を今秋までに労働政策審議会に示したうえで、改正案を臨時国会に提出する方針だ。 (千葉卓朗、贄川俊、asahi = 7-12-17)

高度プロフェッショナル制度〉 専門職で年収の高い人を労働時間の規制の対象から外す新たな仕組み。 年収1075万円以上のアナリストなどの専門職が対象。 労働基準法は法定労働時間を超えて働かせる場合、割増賃金の支払いを義務づけているが、対象となる働き手は残業や深夜・休日労働をしても割増賃金が一切支払われなくなる。 野党や連合は、長時間労働を助長する「残業代ゼロ法案」だと批判してきた。