途上国への省エネ型水処理輸出 国内施設更新の契機に

ベトナムやフィリピンなどの途上国が、日本企業が開発した省エネ型の水処理技術を積極的に導入している。 下水道整備がこれから本格化する途上国は最新技術への関心も強く、日本政府もインフラ輸出拡大の一環として後押ししている。 一方、日本は「水処理の先進国」と言われてきたが、施設の老朽化が目立ってきた。 新技術の海外展開を機に国内施設の更新も真剣に考えるときだ。

ベトナム中部の港町ホイアン市。 17 - 18 世紀の古い建物が残り、ユネスコの世界文化遺産にも登録された地区の近くで、最先端技術を使った下水処理場の建設が進んでいる。 市当局が日本の政府開発援助 (ODA) を受けて計画。 メタウォーターと月島機械が受注し、今年 3 月に着工した。 同市は観光名所の旧市街に生活排水が流れ込み、環境悪化に悩んでいた。 処理場が完成すれば 1 日当たり 2 千立方メートルの下水を処理でき、観光資源の保全に役立つと期待されている。

ここで採用されたのが、メタウォーターが開発した「前ろ過散水ろ床法」と呼ばれる新技術だ。 通常の下水処理施設では汚水を沈殿槽にためて空気を送り、微生物を活性化して汚物を分解する。 だが送風機で空気を送るのに大量の電気を使う。 日本の水処理施設全体の消費電力は国内の総電力需要の 0.7% に相当し、温暖化ガスの排出量も 0.5% を占めることが問題になってきた。

一方、前ろ過方式は沈殿槽を使わず、汚水を最初にろ過槽に通して汚物をこしとる。 ろ過槽には一辺数ミリメートルの樹脂製のろ材を浮かべ、汚泥などをくっつける。 ろ過した汚水は水槽の上部からシャワーのように散水し、その勢いで酸素を取り込んで微生物を活性化させる。 送風機で空気を送る必要がなく、消費電力をほぼ半減できるという。

国土交通省の「下水道革新的技術実証事業 (B-DASH)」の対象になり、国の補助金を受けて実用化。 2014 年度には高知市の下水処理場で実証試験し、性能を確かめた。 経済成長で工場・生活排水が増え、下水道整備を急ぐアジアの途上国は、同時に電力不足にも直面している。 メタウォーターは「省電力性を兼ね備えた新技術はベトナム以外の国でも潜在需要が大きい(寒川博之海外営業部マネージャー)」とみて、途上国市場の開拓に力を入れる考えだ。

日本政府もインフラ輸出拡大に向け、ビジネス環境づくりを後押ししている。 政府間協議で日本の技術を PR したり、関連企業のほか下水道の運営ノウハウをもつ自治体が集まる「下水道グローバルセンター」を通じて途上国との協力を強めたりしてきた。 これらの活動でフィリピンやインドネシア、スリランカなどでも日本企業が水処理関連事業を相次ぎ受注。 官民連携が功を奏しつつあるようだ。

一方、新技術を足元の国内で普及させるには課題が多い。 国内に下水処理施設は約 2,000 カ所あるが、多くは高度経済成長期に建てられ老朽化が進んでいる。 11 年の東日本大震災では宮城、岩手両県の沿岸部の処理場が津波で被災し、機能を停止。 耐震性の強化や河川の中流域への処理場の再配置が課題として浮上した。

しかし、多くの自治体が財源難に直面し、老朽化した処理場の更新はなかなか進まない。 「東日本大震災から 6 年たち、国内の水処理を根本から見直そうという機運の低下も心配(京都大学の田中宏明教授)」との声もあがる。 途上国への輸出が軌道に乗り始めたのを機に、省電力や防災を考慮した水処理のあり方を官民で議論すべきときだ。 (編集委員 久保田啓介、日経産業新聞 = 7-13-17)


2 個以上の白熱電球、LED に無償交換 都が事業 PR

東京都内の家庭で使っている 2 個以上の白熱電球を、LED 電球 1 個と無償交換する都の事業が 10 日から始まった。 省エネ推進を目的として、事業費は 18 億円。 都が用意した LED 電球 100 万個がなくなるまで交換に応じる。 10 日午前、東京・新宿の都庁で事業開始のイベントがあり、小池百合子知事や、都の広報動画に出演しているタレントのピコ太郎さんらが出席。 小池知事は「(エネルギーの)最大消費地である東京が意識を変えることで、地球温暖化対策などが進むことを期待する」と述べた。 ピコ太郎さんは「これを機に自宅の裸電球を LED に替えたい」と話した。

この事業は、18 歳以上の都民が 1 人 1 回のみ、家庭で使用中の白熱電球 2 個以上(消費電力 36 ワット以上、一つは口金が E26 サイズ)を都指定の家電店 831 店舗に持参すると LED 電球 1 個と交換できる。 複数回交換の不正を防ぐために、運転免許証や健康保険証などで本人確認し、交換済みの人の氏名は都が記録する。 100 万個の白熱電球(60 ワット想定)が同数の LED 電球に置き換わった場合、電気料金を年約 23 億 4 千万円、二酸化炭素排出量を年約 4.4 万トン減らせるという。(伊藤あずさ、asahi = 7-10-17)

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白熱電球、ただで LED と交換します 東京都が 7 月から

東京都は 26 日、都民を対象に 7 月 10 日から、家庭で使っている複数の白熱電球と LED 電球 1 個を無償で交換すると発表した。 都が交換用に用意するのは LED 電球 100 万個。 その全てが白熱電球(60 ワット)と置き換えられた場合は、電気料金を年約 23 億 4 千万円、二酸化炭素排出量を年約 4.4 万トン減らせるという。

都によると、事業費は 18 億円。 都指定の家電店で、白熱電球 2 個以上(口金が「E26」サイズの電球を含むことが条件)を LED 電球 1 個と交換する。 交換は 1 人 1 回限りで、白熱電球は都が回収する。 複数回の交換などの不正を防ぐため、交換時には身分証明書の提示などを求める。 交換は LED 電球がなくなり次第終了する。 都庁内には高額な事業費などを懸念する声もあったが、小池百合子都知事の判断で実施が決まった。 都は 26 日から動画投稿サイトのユーチューブで、知事とタレントのピコ太郎さんが出演する PR 動画の配信を始めた。 (伊藤あずさ、asahi = 5-28-17)


イネ、エタノールで塩害に強くなる 理化学研究所が発表

消毒にも使われるエタノールを薄めて土に混ぜると、イネが塩害に強くなったと理化学研究所や農業・食品産業技術総合研究機構などの研究チームが発表した。 国際植物科学誌の電子版に論文が掲載された。

エタノールは酸素の薄い状況で、植物が呼吸したときに作られる物質でもある。 理研の関原明(せきもとあき)チームリーダーによると、発芽から 2 週間後のイネを、濃度 0.3% のエタノールを与えた土とエタノールを与えない土で、それぞれ 4 日間育てた後、土に塩分を加えて成長を比べた。 すると、エタノールを与えたものは枯れずに、葉の色も緑のまま生き残った。 塩分を加えた土でイネを育てると、イネに活性酸素が蓄積していたが、エタノールを土に混ぜると活性酸素を無毒化する酵素が増えていたという。

シロイヌナズナでも同様の効果が見られ、乾燥や高温に強くなることも期待できるという。 世界の灌漑(かんがい)農地の約 2 割で塩害が起きているといい、関さんは「今回の成果を応用すれば農作物の収量を増やせる可能性がある」と話している。 (杉本崇、asahi = 7-5-17)


地球の海面上昇、90 年代以降加速を確認 = 調査

[オスロ] 科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに掲載された米・豪・中国の科学者チームの研究論文で、地球の海面上昇が 1990 年代以後加速していることが確認された。 気温上昇に伴い、グリーンランドの氷床が融けて水が海に放出され続けているという。 2014 年の海面上昇は 3.3 ミリで、同じペースが続くと 100 年で 33 センチ上昇する。 1993 年には、上昇は 2.2 ミリだった。 14 年のグリーンランド氷床融解が海面上昇に占めた割合は 25% 超で、93 年の 5% から大きく上昇した。

海面は過去 100 年で約 20 センチ上昇しており、多くの研究は、人間が作り出した温暖化物質により陸地の氷がさらに融け、今世紀には海面上昇が着実に加速すると予想している。 グリーンランドの氷床融解のほかに大きな要因として、ヒマラヤやアンデス地域の氷河消失、南極の氷床融解に加え、海水が密度の最も濃い 4 度上回って自然に広がる現象などが挙げられるという。 これまでは海面上昇ペースが 90 年代以降加速したのか横ばいだったのか、あるいは減速したのかが判然としなかった。 だが今回の研究で、衛星データに基づく 1990 年代の海面上昇幅は誇張され、上昇ペースが近年加速していることが分かった。

科学者らは研究結果を評価。 英インペリアル・カレッジのブライアン・ホスキンス氏は「海面上昇が加速しているかどうかは大きな問題だった。 今回、実際に加速していることを示す強い根拠が出された。」と述べた。 海面上昇により、マイアミやバングラデシュなど低地の海岸のほか、サンフランシスコや上海などの都市、ツバルなど太平洋の島国が脅威にさらされる。 (asahi = 6-27-17)


スパコン省エネ性能、世界ランキングで日本が上位独占

1 位東工大、2 位ヤフー … 計算速度は譲るけど実用性で存在感

スーパーコンピューター(スパコン)の省エネ性能を競う世界ランキング「グリーン 500」で、東京工業大学が 8 月に稼働する予定のスパコン「TSUBAME (ツバメ) 3.0」が世界一に輝いた。 2 位はヤフー、3 位は産業技術総合研究所となり、日本のスパコンの省エネ性能の高さを改めて世界に示した。 これからの人工知能 (AI) やビッグデータ(大量データ)分野の研究をけん引する、より実用的なスパコンとなる。

ランキングは、ドイツで開催中のスパコンの国際会議 (ISC) で発表された。 ツバメ 3.0 は、1 ワット当たり 14.11 ギガフロップス(ギガは 10 億、フロップスは 1 秒間当たりの浮動小数点演算)の性能を達成した。 米エヌビディアの最新グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU、画像処理用半導体)を搭載し、外気に近い温度の冷却水を使って直接冷却するなどして高い省エネ性を実現したのが特徴。 「冷却効率が高く、より少ない電力で計算が可能。(東工大)」 AI やビッグデータの計算処理に強い。

ヤフーの「kukai (クウカイ)」は、深層学習(ディープラーニング)に特化したスパコン。 一般的な空冷ではなく、電気を通さない特殊な液体に、直接ハードウエアを漬け込む「液浸」手法を採用して冷却効率を向上した。 東京大学と協力して機械学習によるチューニングで計算速度をさらに高めることに成功した。 4 月に稼働した産総研のスパコン「産総研 AI クラウド」は、AI 研究向けの共用計算プラットフォーム。 空冷方式では世界一の省エネ性能を持つ。 理研が富士通と運用する「RAIDEN (ライデン)」も AI 研究用スパコンで、「研究の利便性と効率性を最重要視した(理研)」という。 共同研究者にも開放する。 (日刊工業新聞 = 6-23-17)


EV、世界で 200 万台販売 中国がシェアトップに

国際エネルギー機関 (IEA) は 7 日、電気自動車 (EV) などの世界累計販売台数が 2016 年に約 200 万台に達したと発表した。 政府が環境規制を強化している中国の伸びが大きく、米国を抜いて EV の世界シェアトップに躍り出た。 自動車全体の中での EV のシェアは 0.2% にすぎないが、20 年には累計 2,000 万台に増えるとの予想もあり急速に市場が拡大している。

中国 16 年倍増、世界シェア 3 割

IEA が EV の国際的な普及団体などと組み、世界の EV とプラグインハイブリッド車 (PHV) の台数を集計した。 16 年の累計台数は前年比 6 割増えて過去最高を更新。 世界の中でも中国は 65 万台と倍増し、米国の 56 万台を追い抜いた。 中国の世界シェアは前年の 25% から 32% に上昇した。

中国政府は大気汚染への対応などから EV などの普及に力を入れる。 EV などの「新エネルギー車」の販売義務付けも始める計画だ。 日産自動車の中国合弁である東風日産乗用車が中国専用 EV を発売するなど、各国のメーカーが販売競争にしのぎを削る。 11 年には中国の EV 台数はわずか 7,000 台だったが、14 年以降急速に拡大。 中国政府は 20 年まで EV 支援策を続ける方針で、普及の勢いは今後も続きそうだ。

自動車登録に全体に占める EV のシェアが高い国は欧州に集中する。 首位はノルウェーで 28.8%。 次いでオランダの 6.4%、スウェーデンの 3.4%、フランスの 1.5%、英国の 1.4% などと続く。 自動車大手が集まる国では、米国 0.9%、ドイツ 0.7%、日本は 0.6% とまだ低い。 主要国での最低はインドでほぼゼロだった。

ちなみにノルウェーとオランダでは、25 年からガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する動きがある。 ノルウェーは国内に発電コストの安い水力発電所を多く抱えており、内燃機関の車と比べても通常のコストは安くなるのが特長。 国産の原油・天然ガスを国内輸送用燃料に使う比率を下げ、輸出による外貨獲得を図るユニークな国だ。 オランダも沖合の洋上風力発電設備の整備を進める。 発電段階からの温暖化ガス削減に取り組む。

20 年に累計 2,000 万台の予測も

EV や PHV の開発を巡っては、三菱自動車が世界初の量産電気自動車 (EV) 「アイ・ミーブ」を発売するなど当初は日本勢が先導してきた。 足元では海外勢の存在感を高めている。 米 EV メーカーのテスラが急成長し、ゼネラル・モーターズ (GM) の「ボルト」などの販売も伸びている。 EV で出遅れていたトヨタ自動車は 20 年までに EV の量産体制を整えて本格参入する方針を示した。 フォルクスワーゲン (VW)、BMW、ダイムラーのドイツ勢は 25 年時点で新車販売の最大 25% を EV にする計画。 自動車大手だけでなく、部品や電池大手を巻き込んだ競争は激しくなる。

IEA が調査会社の予測をまとめると、20 年時点で累計 900 万 - 2,000 万台まで増えるという。 最も保守的な予測でも今の 4 倍以上と成長率は高い。 大きな課題は急速充電設備の整備だ。 先行するノルウェーでは EV の台数が急拡大したのに、充電拠点が追い付いていない地域もある。 電力は貯蔵が難しいのも難点だ。 IT (情報技術)による需給予測や分散型の風力・太陽光発電を組み合わせ、効率的に電力を供給する体制を築くかも課題になる。 EV 開発の裏側で、EV 向け電力供給を巡るビジネスも成長しそうだ。 (栗原健太、加藤貴行、nikkei = 6-8-17)


パリ協定の重要性、改めて強調 環境白書が閣議決定

政府は 6 日、2017 年版「環境・循環型社会・生物多様性白書」を閣議決定した。 昨年発効した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」について、トランプ米大統領が離脱を表明したが、「世界全体で脱炭素社会に向けて走り出している」として、改めて重要性を強調した。 日本は 50 年までに温室効果ガスを 80% 削減する低炭素社会を目指している。 白書では「カーボンバジェット(炭素予算)」という考え方を取り上げ、世界の気温上昇を産業革命前から 2 度以内に抑えるというパリ協定の目標を達成するには、人類が排出できる二酸化炭素 (CO2) を「残りは約 1 兆トン」と明記した。

さらに、CO2 の排出に価格を付けて削減を促す「カーボンプライシング(炭素の価格化)」の役割が増していくと指摘、温暖化対策への政府の基本的な考えとした。 導入して得られる収入は「環境以外の側面に貢献できる可能性がある」とし、社会保障やインフラ投資などに使う国があることを紹介した。 温室効果ガス排出量を少なくし、製品やサービスに高い付加価値を生む「炭素生産性」という考え方も盛り込み、排出削減と経済成長を続けるために「炭素生産性を大幅に向上させることが不可欠」とした。

また、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) を初めて取り上げた。 貧困や教育といった世界の課題と、それを解決しようとする取り組みを紹介している。 (戸田政考、asahi = 6-6-17)


国内 CO2 濃度、過去最高を更新 エルニーニョ影響か

気象庁は 31 日、2016 年の国内の二酸化炭素 (CO2) 濃度が、観測している 3 地点すべてで過去最高を更新したと発表した。 14 年夏 - 16 年春に発生したエルニーニョ現象の影響が大きいとみている。

同庁は 1987 年から観測を開始。 市街地の影響を受けにくい岩手県大船渡市、東京都・南鳥島、沖縄県・与那国島で定点観測を続けている。 16 年のそれぞれの年平均値は、407.2ppm、404.9ppm、407.1ppm で、いずれの CO2 濃度も過去最高だった。 また、前年からの増加量も、3 地点で過去 10 年の平均増加量(2.1 - 2.2ppm 増)を上回り、南鳥島は 3.4ppm 増、大船渡市は 3.8ppm 増とこれまでで最も増加した。 国連の気候変動に関する政府間パネルは、産業革命前からの気温上昇を 2 度未満に抑えるためには CO2 を含む温暖化ガス濃度を 450ppm 程度に抑える必要があるとしている。 (asahi = 5-31-17)


エネルギー「店じまい」日欧で本格化 原発廃炉や油田閉鎖

日立製作所が中部電力・浜岡原子力発電所の廃炉事業に参画することが明らかになった。 日本は原発の運転期間が原則 40 年となり、ドイツは脱原発に突き進む。 これから日欧で廃炉ビジネスは広がりそうだ。 一方、欧州の北海では油田の閉鎖という難作業も本格化する。 日欧は人口減や省エネの進展でエネルギー需要が増えることが見込みにくく、エネルギーの「店じまい」が一大ビジネスになる。

廃炉費用、日本 3 兆円・独 2.9 兆円

日本では 1970 - 80 年代に運転を始めた原発の廃炉がこれから本格化する。 電力各社が引当金として計上してきたり、今後の費用として見積もったりしている分をあわせると 3 兆円規模にもなる。 息の長い作業になるが、新設原発が期待できない日本では、プラント大手などが新たな商機として期待を寄せる。

同じ傾向はドイツでも起きている。 ドイツは 2011 年の福島第 1 原発の事故後、22 年までの段階的な脱原発を決めた。 独政府は昨年末、電力会社の廃炉などにかかる費用の総額を 235 億 5,600 万ユーロ(約 2 兆 9,000 億円)とすることを閣議決定済み。 国の設立する基金に民間が資金を拠出し、核燃料廃棄物の処理などの費用に充てる。 スイスも今月に国民投票で脱原発を決めた。 こうした廃炉ビジネスは広がりそうだ。

日本は日立のほか東芝や三菱重工業が原発を手がけており、廃炉ビジネスを国内企業が手がけることができる。 ただドイツの場合、シーメンスが原子力合弁の株式を仏アレバに売却し、一足先に「脱原発」を果たした。 アレバには商機だが、独国内には「独企業が国内の廃炉に責任を持てない」との不満もある。 ドイツの研究機関などが先端の廃炉技術を集め、世界への技術の輸出を狙っているのが現状だ。 廃炉は英語でデコミッション (decommission)。 退役などという意味もあるが、エネルギー業界で「デコミ」というと、油田やガス田の閉鎖を指す場合もある。 実はここにも「40 年」という時代が影響している。

西欧の老朽油田の費用は 11 兆円

焦点は英領北海だ。 1970 年代には産業が衰退していた英国の「希望の星」と呼ばれた北海油田だが、近年は生産量が減り続け 10 年で半減した。 生産ができなくなっても、海洋の生態系に悪影響を与えないように閉鎖する義務がある。

英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは 2 月、国際指標の名前としても知られるブレント油田の「デコミ」計画を英政府に申請した。 ブレントは一時は英国の原油生産の 1 割を生産したが、これからは洋上の原油生産プラットフォームや海底パイプラインを効率的に除去する作業が始まる。 英国全体では海底に固定したプラットフォームなどが 250 以上あり、パイプラインは 3,000、油井は 5,000 にのぼるという。 調査会社のダグラス・ウエストウッド・リサーチによると、西欧全体で油田やガス田の「デコミ」にかかる費用は 17 - 40 年の間で 1,050 億ドル(約 11 兆 6,400 億円)にのぼるという。 これもプラント大手などにとっては大きな商機だ。

太陽光パネル、風車にも寿命

今や世界的にエネルギーの新規投資は化石燃料から再生可能エネルギーにシフトしている。 これからやってくるのが太陽光パネルや風力発電機の風車の「デコミ」だ。 再生エネ普及で先行した欧州では、14 年からメーカーによる太陽光パネルを回収・リサイクルが義務化された。

日本もひとごとではない。 12 年度に導入された再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、太陽光発電設備が急速に普及した。 環境省の推計によると、太陽光パネルの寿命を 25 年とした場合の廃棄量は 20 年度に約 3,000 トンとなる見通し。 30 年度には約 3 万トン、40 年度は約 80 万トンまで急拡大する。 太陽光発電が普及する九州や関東地方を中心に発生するとみられ、40 年度には産業廃棄物の最終処分量の 6% に相当する廃棄パネルが発生する。

太陽光パネルは産業廃棄物として処理することができる。 ただ、大量に発生するパネルをそのまま処理すれば、すぐに処分場の埋め立て容量の上限に達してしまいかねない。 欧州ではメーカーにパネルの回収・リサイクルを義務付けている。 環境省は昨年、処分方法などをまとめたガイドラインを公表し、パネルのリサイクルを促している。 (加藤貴行、池田将、nikkei = 5-30-17)


アモルファス合金を採用した変圧器、高い省エネ性を実現

総合展示会「JECA FAIR 2017 〜 第 65 回電設工業展 〜」が 5 月 17 - 19 日の 3 日間、東京ビッグサイトで開催された。 日立産機システムは高効率変圧器「Super アモルファス Zero」や監視制御装置、保護継電器、キュービクル一体型太陽光発電用パワーコンディショナシステム「BUY 電ゲートウェイ」などの製品を紹介した。

Super アモルファス Zero シリーズは、他社に先駆けていち早くアモルファス変圧器を開発した日立産機システムの主力製品である。 鉄心素材に最新のアモルファス合金を採用し、無負荷損(待機電力)を大幅に低減するなど高効率を実現したことで、高い省エネ性を発揮する。 通常の金属や合金では原子が規則的に配列した結晶構造を持つのに対して、アモルファス合金はランダムな原子配列構造となっている。

そのため変圧器の鉄心にアモルファス合金を使った場合、ヒステリシス損(磁束が変化することで分子相互間に発生する摩擦損)と渦電流損(磁束の変化で鉄心内に発生する電流の抵抗損失)が少なくなることで電力変換のロスを抑えるという。

バリエーションも豊富で油入変圧器が 3 タイプ、モールド変圧器で 2 タイプをラインアップした。 顧客のニーズに合わせて、22kV 特別高圧アモルファス油入変圧器や灯動共用油入・モールド変圧器、H 乾式モールド変圧器、スコットモールド変圧器、生分解性絶縁油を採用した環境調和型油入変圧器など、さまざまなシリーズを取りそろえている。 (長町基、SmartJapan = 5-25-17)


温暖化防止に新たな難敵 車から排出の酸化鉄が影響

大気中の微小粒子状物質 PM2.5 に含まれる黒色の酸化鉄の粒が、太陽光を吸収して地球温暖化に関わっていることが、東京大や気象庁気象研究所などの研究でわかった。 自動車などから排出されているとみられ、今後規制などの議論につながる可能性がある。 研究は 16 日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された。

酸化鉄は、砂に含まれているほか、高温になる自動車のエンジンやブレーキ、製鉄の工程など人為的にも発生すると考えられている。 茂木信宏・東大助教(大気環境科学)らのチームは、日本周辺の上空で中国大陸から流れてくる空気を採取して調べたところ、小さな粒が集まって人為的に生じたとみられる 200 - 2 千ナノメートル(ナノは 10 億分の 1)の酸化鉄粒子が多量に含まれていることがわかった。

この粒子の構造から、太陽光の吸収量を計算すると、温暖化物質のうち、二酸化炭素など気体を除く微粒子では最も大きく影響する黒色炭素(すす)の 4 - 7% に相当する大気加熱率があることもわかったという。 茂木さんは「人間の活動から出る酸化鉄も、温暖化に影響を与えうる粒子として、研究や排出抑制の議論を進める必要がある」と話している。 (竹野内崇宏、asahi = 5-17-17)


いまさら聞けない「地球温暖化」はなぜ起きるの?

世界の平均気温が少しずつ上がっている。 それは温室効果ガスと関係があるようだ。 いったいどんなものだろう? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員の石井徹先生の解説を紹介しよう。

温暖化を止めるカギは化石燃料利用の削減

地球の平均気温は約 14 度だ。 大気中の CO2 などの温室効果ガスが、太陽からの熱を地表にとどめてくれるからだ。 もしなくなると、地上はマイナス 19 度になる。 でも、今は逆に増えすぎたので、温暖化が心配されている。 温室効果の約 5 割は水蒸気で、約 2 割が CO2 だ。 水蒸気を減らすのは難しいが、CO2 なら可能だ。 CO2 は人間の活動から排出される温室効果ガスのうちの多くを占めていて、化石燃料の使用を減らせばいいからだ。

18 世紀半ばの産業革命から地球の平均気温はすでに 1 度上がっている。 空気中の CO2 濃度は、280ppm (0.028%) から 400ppm (0.04%) に上がった。 400ppm を超えたのは 400 万年ぶりのことだ。

パリ協定では、温暖化の深刻な被害を避けるために、世界の気温上昇を 2 度未満にする、と決めた。 温暖化の科学的な根拠となっている国連の気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の報告書では、2 度未満にする目標を 66% 以上の確率で達成するには、430 - 480ppm にする必要があるとしている。 毎年 2ppm ほど上がっている CO2 濃度の増加を、40 年後までにゼロにしなければならない。 そうすると、地中で確認されている石炭や石油などの化石燃料のうち 8 割は燃やせない可能性がある。 化石燃料を扱う会社にお金を投資しないようにする動きも出てきている。

日本の CO2 排出量は年間約 12 億トン。 国別では中国、アメリカ、インド、ロシアに次ぐ 5 番目で、世界全体の約 4% を占める。 部門別(直接排出量)でみると、電力会社などが 40%、メーカーなどが 27%、自動車や電車などが 16%、オフィスなどが 6%、家庭が 4% などとなっている。 私たちは、それぞれの場所で省エネルギーや自然エネルギーの活用に努める必要がある。 (dot. = 5-6-17)

地球温暖化のしくみ> 地球は、太陽の光で暖められ、同時に、地表からその熱を宇宙に放出している。 そして、地球の大気中に含まれる CO2 やメタンなどの温室効果ガスは、地表から出された熱の一部を吸収し、ふたたび地表に戻ってくる。 これを「温室効果」といい、そのおかげで地球の平均気温は約 14 度に保たれ、生物のすみやすい環境となっていた。 しかし、産業革命以来、温室効果ガスが増加。 温室効果が高まることで、気温がどんどん上がり、温暖化が問題視されている。

平均気温が 1 度上昇する怖さ> 1 万 5 千年前の氷期の平均気温は 10 度前後。 地球の平均気温より 4 度平均気温が低いだけで、氷期だったような大きな差だ。 けれどこの変化は 1 万年以上もかかっている。 現在の平均気温の上昇は、たった 100 年間で約 1 度も上がってしまうくらい急だ。 このまま温暖化対策をしないでいると、2100 年には 4 度も気温が上がる可能性がある。

【キーワード : 気候変動に関する政府間パネル (IPCC)】 国連環境計画と世界気象機関により、1988 年に設置された機関。 各国の専門家が集まり、地球温暖化に関する研究の収集と整理を行い、数年ごとに報告書を出す。


クールビズも 13 年目 官公庁などで今年もスタート

冷房の設定温度を上げても快適に過ごせるよう、軽装を促す「クールビズ」が 1 日、スタートした。 9 月末まで。 地球温暖化防止のために 2005 年に官公庁や企業などで始まり、今年で 13 年目。

この日の東京は、朝から晴れて予想最高気温は 26 度。 旗振り役の環境省がある霞が関周辺では、上着やネクタイなしで通勤する人が多く見られた。 ブルーのアロハシャツ姿で出勤した自然環境整備課の清水昭史さん (42) は「日差しが強く、暑くなってきたのでありがたい」と話していた。 環境省は「冷房時の室温を 28 度に」と呼びかける。 地球温暖化対策の国民運動「クールチョイス」のホームページでは、涼しく過ごすヒントなどを紹介する動画も公開する。 また、クールチョイスのアプリも作った。 温暖化の現状や、年代別の温暖化対策の取り組みを学べる。 (戸田政考、asahi = 5-1-17)


リコー、再生エネ 100% へ 2050 年までに

事務機器大手のリコーは 21 日、2050 年までに工場や事業所などで使う電力をすべて再生可能エネルギーでまかなうと発表した。 アップルやマイクロソフトなど、同様の目標を掲げる企業の国際的な取り組み「RE100」に日本企業として初めて参加した。 温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」が昨年発効したのを受け、今回の目標を設定。 太陽光パネルの増設やバイオマス発電などの導入で、自家発電を増やす。 購入する電力も再エネに切り替え、50 年に社内で排出する温室効果ガスをゼロにすることを目指す。

山下良則社長は同日、山本公一環境相と面談し「目標値設定をすると課題が出てくるが、そこでイノベーションが起こる。 必ず環境は変わるし、自ら変えていくということも含め、意思表示をした。」と語った。 また、同社やアップル、富士通、ソニー、ソフトバンクグループなど国内外の 10 社は地球環境のことを考える「アースデイ」の 22 日、自然エネルギー財団と共同で、企業の再生エネ活用を促す提案を発表する。 今年度に導入が予定されている化石燃料を使わない電力の市場で、原発と再生可能エネルギーを区分することなどを求めている。 (戸田政考、asahi = 4-22-17)


ほぼ 100% の変換効率へ、省エネかつ長寿命なディスプレイ、ケンブリッジ大学が発見

3 月 30 日、ケンブリッジ大学はイースト・アングリア大学、東フィンランド大学とのチームにおいて、変換効率がほぼ 100% のディスプレイを開発したと発表しました。 分子を回転させるこの新技術により、これまでより明るく・省エネでかつ長寿命なポテンシャルを実現します。

これまでの OELD、25% のみが明るい状態に変換

世界の電力の 5 分の 1 は光を発生させるために使用されており、ディスプレイや照明の省エネは大きな研究テーマの一つです。 そうした中、ケンブリッジ大学、イースト・アングリア大学、東フィンランド大学のチームは、数十年にわたりディスプレイの性能向上を阻害してきた悩みを解決する材料を発見しました。 研究チームが開発した技術は、分子を利用することで光を生み出す OLED (有機 EL)に関するものです。 この OLED は1980 年代に発明され、現在ではテレビや PC などのディスプレイに広く使われていますが、現状では光への変換効率が十分ではないという問題を抱えています。

OLED の分子に電流を通すと、それらは活動状態になりますが、その内の 25% だけが光を急速に発する「明るい」状態となります。 残りの 75% は暗い状態のままであり、電力が明かりではなく熱に変換されるので、エネルギーの無駄につながります。 この暗い状態の分子が生み出す熱量は、旧式のフィラメントを使う白熱電球より大きくなります。

銅と金を使うことで、分子を回転

OELD において明かりを生み出すうえで、暗い状態の部分は望ましい状態ではありません。 この問題を解決する手法の一つとして、レアメタルであるイリジウムルを用いて分子の回転を変え、光の放出を促すようなアプローチも取られました。 しかし、この方法では分子の回転に時間がかかるため、OLED に損害を与えるので、結果として不安定になります。

一方でイースト・アングリア大学の研究者らは、2 つの異なる有機分子を、銅や金の原子で接合するという新しい技術を開発しました。 接合された 2 つの分子はプロペラのような形状となっており、このプロペラを回転することで、暗い状態の分子がねじれ、光を生み出すことが可能となります。 イリジウムを利用していた時は、暗い状態を明るく変換することが可能でしたが、OLED へダメージが残るという問題がありました。 しかし、今回の新しい技術では OLED にダメージを与えることなく、ほぼ 100% の変換効率を達成することができます。

今後の展望として、東フィンランド大学の Mikko Linnolahti 教授は「次のステップは、このメカニズムを最大限に活用する新しい分子を設計することであり、レアメタルの必要性を完全に排除するといった目標があります。 これは、効率と安定性を両立した OLED をいかにして作るかといったものであり、この分野における長年の問題を解決することに繋がる。」とコメントしています。 (新電力ネット = 4-19-17)


温室ガス排出、前年度比 2.9% 減 原発再稼働も一因

環境省は 13 日、2015 年度の温室効果ガスの排出量が前年度比 2.9% 減の 13 億 2,500 万トン(二酸化炭素換算)だったと発表した。 冷夏や暖冬、再生可能エネルギーの導入拡大に加え、原発の再稼働も一因という。 環境省によると、15 年度は西日本で冷夏、全国的に暖冬だったため、冷暖房のエネルギー消費量が抑えられた一方、太陽光や風力などの再生エネが伸びた。 また、九州電力川内原発が再稼働し、約 410 万トンの CO>sub>2 削減になったと試算した。

排出量の減少は 2 年連続で、05 年度比では 5.3% 減。 政府が掲げる 20 年度に 05 年度比 3.8% 減とする目標を、森林吸収分なしで達成した。 一方、CO>sub>2 排出量の多い石炭火力発電所の建設計画が相次いでいることから、環境省の担当者は「先の見通しは何とも言えない状況。 30 年度の 26% 削減(13 年度比)という目標に向けて着実にやっていきたい。」と話した。 (戸田政考、asahi = 4-13-17)


PM2.5 関連死、年 117 万人推計 貿易・越境汚染で

微小粒子状物質 PM2.5 による健康被害のうち年約 117 万人が、貿易や越境汚染などの国際的な影響を受けて死亡していると、中国や米国などの研究チームが推計し、英科学誌ネイチャーに発表した。 PM2.5 は大気中を浮遊する微小な汚染物質。 大きさは髪の毛の太さの 20 分の 1 から 30 分の 1 ほどで、肺の奥深くまで入り込みやすい。 肺がんや循環器系疾患などのリスクを高めるとされ、大気汚染による死亡者の 90% 以上を占めるとみられている。

発生源は自動車や工場、火山など様々だが、世界的な影響はよくわかっていなかった。 研究チームは今回、228 カ国・地域の 2007 年のデータを分析、計約 345 万人が pm2.5 に関連した健康被害で死亡していると推計した。 このうち 22% にあたる約 76 万人は国外で使われる製品やサービスのために排出される PM2.5 によって死亡したと推計。 大気汚染が海外移転された格好で、欧米向けの輸出製品のために死亡した人は中国で約 11 万人に上るという。

一方、12% にあたる約 41 万人は PM2.5 が発生地域以外へ風で運ばれる越境汚染によると分析。 中国で生じた PM2.5 で、中国以外で約 6 万 5 千人が死亡、うち日本や韓国など東アジアで約 3 万 1 千人を占めるとした。 (小堀龍之、asahi = 4-10-17)


「宅配便、1 回で受け取りを」 再配達抑制へ国呼びかけ

政府と宅配業界などが宅配便の荷物を 1 回で受け取るよう呼びかけるキャンペーンを始めた。 留守による再配達に伴うドライバーの長時間労働を抑えるだけでなく、地球温暖化の原因となる二酸化炭素 CO2 の排出の増加に歯止めをかけるのがねらいだ。 環境、国土交通、経済産業の各省と、宅配や通販、コンビニエンスストア、鉄道、住宅など業界の垣根を越えた約 100 社・団体が、配達日時の指定サービスの利用や、宅配ボックスやコンビニ、宅配業者の営業所での受け取りを呼びかけている。 環境省はネット通販をよく利用する若者向けに、萌(も)えキャラによる啓発動画を公開した。

環境省が 2014 年度、佐川急便が福岡県や東京都内で宅配した荷物の一部を GPS を使って追跡した結果、走行距離の 25% が再配達によるものだった。 年間の宅配便の荷物 35 億 7 千万個と走行距離、自動車の排出する CO2 から、再配達に伴う CO2 の発生は年間に約 42 万トンに上ると試算する。 国交省が再配達になった理由を利用者に尋ねたところ、約 4 割が「配達が来るのを知らなかった」と答えた。 宅配業者のコミュニケーション不足も再配達の理由のひとつになっていた。 (小堀龍之、asahi = 4-4-17)


屋内でも発電、太陽光いらずの太陽電池 積水化学

太陽光が届かない屋内などでも発電できる太陽電池を積水化学工業がつくった。 発電量は多くないが、フィルム状で薄くて軽いため、曲げたりテープに加工して貼り付けたりできるのが特長だ。 2017 年度から売り込み、25 年度には売上高 100 億円規模を目指すという。

スーパーの店内や大型駅の待合室などの照明の光でも発電できる。 店舗やオフィス内、駅構内などで使う温度センサーや人感センサー、電子看板などへの電力供給を想定している。 ガラス基板からつくる既存の太陽電池と異なり、光を電気に変える半導体の膜をフィルムの上に載せる生産技術を開発。 大規模な設備が無くても、安くつくれるようになったという。 (asahi = 4-2-17)


東京五輪メダル、あなたの携帯で 4 月から金属回収

2020 年東京五輪・パラリンピックで授与するメダルを携帯電話などのリサイクル金属でつくるプロジェクトが 4 月から本格スタートする。 NTT ドコモの全国の「ドコモショップ」で 4 月 1 日から使用済み携帯電話の回収を受け付けるほか、全国 47 都道府県の各自治体でも 4 月上旬から順次、パソコンやデジタルカメラなどを集める。 大会組織委員会が 24 日、概要を発表した。

メダルの一部にリサイクル金属を使う試みは 12 年ロンドン五輪や 16 年リオデジャネイロ五輪でも行われたが、20 年の東京ではメダルのほぼ全ての原料をリサイクル金属でまかなう予定だ。 組織委は、提供者に QR コード入りのお礼カードを渡し、読み取るとメダルの製造過程を紹介する仕組みなどを検討している。 五輪とパラリンピックで必要な金銀銅のメダル数は約 5 千個で、作製に必要な金属量は金 10 キロ、銀 1,230 キロ、銅 736 キロの計約 2 トン。 製造工程のロスを考慮すると 4 倍の 8 トンが必要だという。 詳しくはプロジェクトの ホームページ へ。 (asahi = 3-26-17)