過剰な景気刺激? 中国、22 年ぶり財政赤字 1 - 3 月期

中国の 1 - 3 月期の財政支出が収入を上回り、第 1 四半期としては 1995 年以来の赤字になった。 経済成長をてこ入れするため、インフラ投資を増やすなど財政出動で景気を刺激した結果だ。 ただ、経済安定を好感した民間企業が投資を増やしたことから、「景気刺激策はいらなかったのでは」との見方も出ている。

財政赤字額は 1,551 億元(約 2 兆 5 千億円)で、年初から財政赤字になるのは珍しい。 3 月に日本の国会に当たる全国人民代表大会で、李克強(リーコーチアン)首相は今年の財政政策を「より積極的にする」と表明。 企業減税やインフラ投資などを念頭に年間の赤字額を前年から 2 千億元増やし、2 兆 3,800 億元にするとしていた。

ところが、1 - 3 月期の国内総生産 (GDP) は実質で前年比 6.9% 増と年間目標の 6.5% 前後を大幅に上回った。 民間企業による投資が戻ってきたため、政府のインフラ投資が景気を想定以上に良くした。 中国の成長は鈍化しつつあるが、景気が良すぎると、鉄鋼や石炭産業など過剰生産業種での整理が進まなくなる懸念がある。 李首相自身、財政政策について「決して大量の水を流し込むような刺激策はとらない」と説明しており、さじ加減が課題になりそうだ。 (北京 = 福田直之、asahi = 4-24-17)


中国の 3 月粗鋼生産は前年比 1.8% 増、過去最高を更新

[北京] 中国国家統計局が発表した 3 月の粗鋼生産は前年同月比 1.8% 増の 7,200 万トンとなり、過去最高を更新した。 供給過剰懸念が強まる可能性がある。 これまでの過去最高は 2016 年 3 月に記録した 7,065 万トンだった。 第 1・四半期の粗鋼生産は前年同期比 4.6% 増の 2 億 0,110 万トンだった。

鉄鋼業界の効率化や大気汚染対策を目指す政府による過剰供給能力削減の取り組みにもかかわらず、中国鉄鋼メーカーは昨年から今年にかけての価格上昇を背景に増産を進めてきた。 ただ、在庫の積み上がりや足元の価格下落を踏まえると、中国国内の実需を上回るペースで生産が増加した可能性がある。 (Reuters = 4-17-17)

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中国遼寧省、鉄鋼生産能力を 6 月まで 1,000 万トン削減へ

[上海] 中国北東部の遼寧省は、低級品を対象に鉄鋼生産能力を 6 月末までに 1,000 万トン以上削減すると確約した。 鉄鋼部門の過剰能力削減に向けた取り組みの一環。 公式メディアの遼寧日報が 28 日報じた。 同省は重工業を主要産業としており、経営難に陥っている複数の国有製鉄所を抱えている。

中央政府が石炭、鉄鋼部門の過剰能力削減に取り組むなか、同省は新たな成長源となる産業を見いだせておらず、昨年の省単位での成長率はマイナス 2.5% と、国内全ての省で唯一マイナス成長となった。 報道によると、遼寧省はまた、年間生産能力が 9 万トンを下回る炭鉱を年末までにすべて閉鎖する方針。 省全体の生産能力が 959 万トン減ることになる。 同省は 2016 - 20 年に 3,040 万トンの石炭生産能力を削減するように命じられており、昨年は 44 の炭鉱を閉鎖、生産能力を 1,360 万トン削減した。 (Reuters = 3-28-17)


中国が 3 年ぶり貿易赤字に - 中国メディア

中国税関総署が 8 日に発表したデータによると、人民元建てで計算した場合、2 月の輸入額は前年同期比 44.7% 増加し、予測値の 23.1% を上回り、前回予測値の 25.2% も上回った。 輸出は同 4.2% 増加で、予測値の 14.6% および前回予測値の 15.9% を上回った。 輸入が予想外に増加したため、2 月の輸出から輸入を差し引いた貿易収支は 603 億 6 千万元(1 元は約 114.7 円)の赤字になり、2014 年 2 月以来、3 年ぶりの貿易赤字となった。

分析によると、今回の貿易赤字出現には 3 つの原因がある。 内需の旺盛さ、春節(旧正月)要因、大口商品の価格上昇だ。 中国民生銀行研究院の王静文マクロアナリストは、「2 月の輸入が予想を上回った原因の 1 つは、中国経済がいまなお復興の過程にあることで、PMI (製造業購買担当者指数)、大型トラック、ショベルカー、貨物輸送量などの先行指標からみて景気活性度は持続的に上昇しており、内需の旺盛さを示している」と指摘する。

中国国際経済交流センターの張永軍研究員は、「2 月の貿易赤字出現は、国際市場の大口商品の価格上昇がもたらした輸入額の大幅増加と関係がある。 今年 1 - 2 月には、砂鉄鉱の輸入価格は同 83.7% 上昇し、原油は同 60.5% 上昇、石炭は 2.1 倍に上昇、石油製品は同 48.6% 上昇した。 九州証券股フン有限公司の■(登におおざと)海清チーフエコノミストは、「中国企業は春節前に輸出を前倒しして行い、在庫保管コストを引き下げるので、輸出が春節前に急増し、春節後に急減することになる」と分析する。

■エコノミストは、「春節要因がなくなると、貿易赤字は正常な状態に戻るだろう。 3 月にはかなりの確率で貿易黒字が出現するとみられる。」と予測し、これは米金融グループのゴールドマン・サックスの予測とも基本的に一致する。 貿易赤字が人民元相場に悪材料をもたらすという見方について、専門家は、「貿易赤字に持続可能性はなく、よって人民元相場に対する影響は限定的といえる。 外貨準備データと結びつけて考えると、人民元切り下げ圧力が完全に解き放たれるという結論を導き出すことができる」と指摘する。 (RecordChina = 3-22-17)


中国不動産投資、1 - 3 月は前年比 +9.1% へ加速 新築着工が増加

[北京] 中国国家統計局が 17 日に発表した 1 - 3 月の不動産投資は前年比 9.1% 増と、1 - 2 月の 8.9% 増から加速した。 政府による市場過熱化の抑制策にもかかわらず、新築着工のペースが速まっている。 統計局のデータを基にロイターが算出した 3 月単月の不動産投資は 9.4% 増加。 ただ、ロイターの算出によると、伸びは 2016 年第 4・四半期の 10.0% からは鈍化したもようだ。 新築着工(床面積ベース)は 1 - 3 月に前年比 11.6% 増となり、1 - 2 月の 10.4% を上回る伸びとなった。

1 - 3 月の不動産販売(床面積ベース)は 19.5% 増と、伸びは 1 - 2 月の 25.1% から鈍化したものの、引き続き高水準にある。 不動産投資は中国国内の約 40 セクターに直接的な影響を及ぼし、同国経済にとって重要な推進力とされる。 ただ一部のアナリストからは、政府の抑制策がしだいに不動産投資や建設活動を沈静化させていくとの見方も出ている。 統計局の報道官は「最も最近の一連の加熱抑制策は 3 月 17 日以降に導入されたことから、住宅価格など経済全体への影響が現れるのは 4 月以降になる可能性がある」と述べた。 (Reuters = 4-17-17)

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「中国人は 1 人も助からない」 不動産バブルがもし崩壊したら? = 中国報道

日本の「失われた 20 年」という言葉は中国でも広く知られているが、これは日本がバブル崩壊によって経済成長を失ってしまったことを指す言葉だ。 不良債権の処理など、バブルの清算には非常に長い年月と労力を費やすこととなったが、不動産バブルの存在が指摘されて久しい中国において、もしバブルが破裂したらどのような事態が起きるのだろうか。

中国メディアの新浪は 4 日付で、中国不動産バブルが崩壊した場合の結果について考察する記事を掲載し、もしそうした事態が生じれば「中国人は 1 人も助からない」と論じている。 中国では不動産価格が高騰しており、一般庶民にはなかなか手が出せない価格となっているが、記事は「中国不動産バブルが崩壊すれば、家が安く買えると喜ぶ人もいるかもしれない」と主張する一方、バブル崩壊による影響を受けない中国人は 1 人もいないと説明した。

またその崩壊の恐ろしい結果として、まず失業率が大きく上昇することがあると説明。 失業者が街にあふれれば社会不安につながるであろうことは容易に想像がつく。 また不動産業には鉄鋼、セメント、コンクリート、ガラス、家電、家具、内装など様々な産業が直接的あるいは間接的に関わっており、不動産バブルが崩壊すれば多岐にわたる産業において給与の減少あるいは解雇が起きる可能性があることを指摘した。

また中国も日本のように長年にわたる景気後退を迎えることにもなると説明、先進国である日本でさえその影響が長期間に及んだのであれば、都市化が 40% に満たない段階の中国は「中所得国の罠」に陥り、不況は数十年に及ぶだろうと指摘した。 さらに記事は、不動産バブル崩壊のあおりを受け、給与が減少あるいはリストラされる人が増えれば、住宅ローンが払えなくなる人も増え、結果的に不良債権が増加、そして株価も暴落することになると指摘し、結果として「われわれ中国人は 1 人も助からない」と結論付けた。

北京などの都市部には不動産市場に関する「伝説」がある。 過去に 80 万元(約 1,288 万円)で買ったマンションがその後 800 万元(約 1 億 2,880 万円)になったという話や、商売に失敗して 200 万元(約 3,221 万円)もの資金を失ったものの、かつて 100 万元(約 1,610 万円)で購入していた不動産に 1,000 万元(約 1 億 6,100 万円)以上の値が付いたためにビジネス上の損失を埋め合わせることができたという話だ。 確かに中国の不動産バブルの恩恵を受けた人も数多く存在するであろうが、仮に中国の不動産バブルが崩壊することになれば、これとは全く違う種類の伝説が世界中で語り継がれることになるだろう。 (SearChina = 4-5-17)

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中国の不動産バブルは終了か、「多くの都市でもう値上がりしない」と専門家 - 中国

3 月 25 日、中国メディアの財経網が、国家金融・発展実験室の李揚(リー・ヤン)理事長が、中国の多くの都市で不動産がこれ以上値上がりすることはあり得ないとの見方を示したことを伝えた。 李揚理事長は、「中国では現在、十数カ所の都市で住宅価格が上昇しているが、大部分の都市ではもうこれ以上値上がりすることはあり得ない。 現在の都市ごとの規制政策は不動産リスクに対応する効果的な方法だ。 銀行の観点から見てもこれは良いことだ。」と述べたという。

さらに李揚理事長は、「多くの事柄をさらに研究する必要があり、中国の不動産はもうすぐ崩壊して、中国経済の崩壊につながるというというのは言い過ぎだ」と主張した。 これに対し、中国のネットユーザーから「値上がりするはずないのになぜ規制するんだよ」、「そうだな、短期的には価格が安定するが長期的には値上がりするな」、「なんてこった! つまりもっと値上がりするということじゃないか!」など、まだまだ値上がりするとの意見が多く寄せられた。

また、「不動産価格が上昇しているのではなく、貨幣価値が下がっているのだろうが」との指摘や、「俺もちょっと言い過ぎだと思う。 経済が崩壊するだって? 政権が崩壊するに決まっているだろ。」というコメントもあった。 (RecordChina = 3-26-17)

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中国の住宅価格 上昇の都市数が 6 か月ぶり増加

中国の先月の新築住宅の販売価格は、前の月より上昇した都市の数が 6 か月ぶりに増加に転じ、大都市の住宅バブルを抑える政府の対応が一段と難しさを増しています。

中国国家統計局によりますと、中国の主な 70 の都市で取り引きされた先月の新築住宅の販売価格は、前の月と比べて上昇した都市の数が 56、横ばいが 2、下落が 12 となりました。 上昇の数は 6 か月ぶりに増加に転じて前の月より 11 増え、全体の 8 割の都市で住宅価格が値上がりしたことになります。 都市別では、上海が 0.2% の上昇と 4 か月ぶりに値上がりに転じたほか、南部の広州でも 0.9% 上昇しました。 さらに、北京では、新築住宅の価格は 0.1% 下落したものの、中古住宅の販売価格は 1.3% 上昇しました。

中国では、景気の足かせとなっている膨大なマンションの売れ残りを解消しようと、政府が住宅ローンを借りやすくするなどの販売刺激策を続けた結果、投資マネーが入り込んで大都市で価格が急騰し、住宅バブルの様相を見せています。 去年の秋以降は多くの都市で今度は販売を抑える対策を打ち出し、北京や広州では、18 日から 2 軒目の住宅ローンの貸し出し条件を厳しくしました。 しかし、国民の間に不動産の値上がり期待は根強く、中国政府が経済運営の課題と認める住宅バブルへの対応は一段と難しさを増しています。 (NHK = 3-18-17)


中国、地方政府の債務上限を厳格に管理へ

[北京] 中国の肖捷財政相は 7 日、中国政府は地方政府の債務上限を厳格に管理し、違法な債務保証へのチェックを強化すると語った。 同相は全国人民代表大会(全人代)の記者会見で、政府の債務リスクはおおむね制御されていると発言。 「(今回の措置で)既存の地方政府債務をかなり管理できるようになり、債務リスクが抑えられるだろう」と述べた。

また、中国政府は債務リスクを抑制するため、地方政府向けの債務交換プログラムを継続する方針を示した。 中国は今年の成長率目標を 6.5% に引き下げており、政策担当者にとっては痛みを伴う改革を推進する余地が生まれる。 中国政府はここ数年、地方政府の新規借り入れに対するコントロールを厳格化してきた。 2016 年は地方政府の債務残高の上限額を 17 兆 2,000 億元(2 兆 4,900 億ドル)に設定した。

5 日発表された予算報告によると、2017 年の上限は 18 兆 8,000 億元(2 兆 7,200 億ドル)。 財政相は、政府は資金調達環境の改善と官民パートナーシップ (PPP) )プロジェクトの標準化を継続していくと表明。 2016 年末までに合計 1,351 件、総額 2 兆 2,000 億元の PPP プロジェクトが締結されたと述べた。 (Reuters = 3-7-17)


中国全人代開幕、17 年成長率目標 6.5% に下げ 改革を推進

[北京] 中国で 5 日、第 12 期全国人民代表大会(全人代)第 5 回会議が開幕した。 李克強首相は政府活動報告で、2017 年の国内総生産 (GDP) 成長率を 6.5% 前後を目指すとし、前年の 6.5 - 7% から引き下げた。 改革を推進して債務問題や金融リスクの抑制に取り組む。 中国指導部は、貸し出し増加や政府支出の拡大を受けて債務の増加や住宅市場過熱への懸念を強めている。

17 年のマネーサプライ M2 伸び率目標は 12% 前後とし、前年の約 13% から引き下げた。 財政赤字の目標は、GDP 比 3% に据え置き。 消費者物価指数 (CPI) 上昇率目標も 3% 前後に維持した。 李首相は、引き続き積極的な財政政策を実施し、穏健な金融政策を維持するとしたうえで、供給側の改革を推し進め、リスクを管理し金融セクターの安全を確保する措置を講じていくと述べた。

コメルツ銀行(シンガポール)のエコノミスト、 周浩氏は「概して中国の政策スタンスはリスク管理とバブル阻止に転換している。 したがって金融政策は徐々に引き締められることになる。」と指摘した。

リスク警戒

李首相は、「現在、システミックリスクは総じて制御されている。 しかしリスクの蓄積を厳重に警戒しなければならない。」と述べた。 不良資産、債務不履行、シャドーバンキング、ネットでの資金調達に起因するリスクに対し警戒を高めるべきと指摘。 「金融セクターの秩序を万全にし、金融リスクに対する防火壁を構築する」と述べ、主に非金融企業セクターで負債の圧縮(デレバレッジ)を着実に進める方針を示した。 財政省もこの日発表した報告書で地方政府の債務リスク抑止に取り組む方針を示した。

最近の UBS のリポートによると、16 年末時点の中国の債務は GDP 比 277%。 15 年末の 254% から上昇するとともに、返済コストをまかなうための新規借り入れの割合が拡大している。 2016 年の新規融資は 12 兆 6,500 億元(1 兆 8,300 億ドル)で過去最高。 今年 1 月は 2 兆 0,300 億元と過去 2 番目の多さとされる。 中国人民銀行(中央銀行)は前月公表した報告書で、デレバレッジのプロセスは慎重に進めて流動性の危機や資産バブルを回避すべきと指摘している。

李首相は、「さまざまな金融政策措置を活用して流動性の基本的安定を維持するとともに、市場金利を引き続き適切な水準とし、金融政策の伝達メカニズムを改善していく」と述べた。 中国は今年、資産の証券化や債務の株式転換も推し進める方針。 李首相は、主に 3 級、4 級都市で不動産の在庫を圧縮するための都市別政策を継続するとした。

生産能力縮小、人員削減

李首相は、今年は国有企業・資産の改革を推し進めると述べた。 中国は、非効率で債務に苦しむゾンビ企業の一段の整理も目指している。 国家発展改革委員会(NDRC、発改委)はこの日発表した報告書で、5,000 万キロワット以上の発電能力を持つ石炭火力発電所を閉鎖ないし建設をストップする方針を示したほか、鉄鋼生産能力や石炭生産能力の削減計画も示した。

今年の固定資産投資伸び率目標は 9.0% 前後と、前年の 10.5% から引き下げた。 李首相は、「設備過剰を削減するに伴い、レイオフされた労働者への支援も必要」と述べた。 政府は、今年都市部で新たに 1,100 万人以上の雇用創出を目指す。 李首相は、今年の都市部雇用創出目標は雇用重視の姿勢の表れと述べた。 (Reuters = 3-5-17)


中国の 16 年粗鋼生産能力、6,500 万トン削減 目標 4 割上回る

【北京 = 多部田俊輔】 中国の苗●(つちへんに于)・工業情報化相は 17 日、2016 年に中国の粗鋼生産能力を 6,500 万トン削減したと発表した。 当初目標の 4,500 万トンから 4 割上積みし、日米欧からの削減要請にも応えた。 トランプ米大統領が企業に米国への工場移転の圧力をかけていることに関し「工場の立地はコストの安さ、市場の大きさ、サプライチェーンによって企業が決めることで、政府が決めることではない」と皮肉った。

中国の 15 年末の粗鋼の年産能力は約 12 億トンで、16 年の削減幅は中国全体の約 5% に相当する規模に達する。 習近平最高指導部が能力削減を優先課題に位置づけ、地方政府トップが評価を得るために地元企業に強く削減を指導した。 鉄鋼業が盛んな河北省で 3,300 万トン、遼寧省で 600 万トン削減したという。 業界再編による設備統合も進めた。 政府の強い後押しで、国有大手の宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)が経営統合し、旧型設備の廃棄を加速。 この結果、建設に使う代表的な鋼材の価格は 16 年末に 1 年前の 7 - 8 割の水準まで上昇し、16 年の鉄鋼メーカーの利益総額は 15 年の 3 倍に増えた。

国内の鉄鋼大手の業績改善につながっただけでなく、国際的な鋼材価格も上昇して世界からの削減要請にも応える格好となった。 中国政府は今後も能力削減を加速する方針だ。 20 年までの削減幅はこれまで 1 億 - 1 億 5,000 万トンと幅を持たせていたが、上限に近い 1 億 4,000 万トンに明確に設定した。 トランプ米大統領が打ち出した経済政策について、苗工業情報化相は「注視しているが、中国の製造業の発展には影響はない。 工場の立地はわずかな人の考え方で変わるものではない。」と指摘。 さらに「中国の開放政策は不変で、多くの外資企業が中国で事業を伸ばすことを奨励していく」と強調した。 (nikkei = 2-17-17)

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鉄鋼生産の削減方針に逆らい増産 中国の複数企業

中国の複数の企業が、鉄鋼の過剰な生産能力を削減するという国の方針に逆らって、勝手に増産を図ったりしていたことがわかり、国際的な公約でもある構造改革が地方の抵抗や怠慢で順調に進んでいない実態が浮かび上がりました。

中国政府は経済の安定成長に必要な構造改革の柱として、鉄鋼の過剰な生産能力の削減に取り組んでいます。 ところが、江蘇省で質の悪い鉄鋼製品を生産・販売した企業が見つかったほか、河北省の企業も新しい生産設備を許可なく建設していたことがわかりました。 中国政府は 26 日、いずれの事例も悪質で、行政の監督不行き届きも甚だしいとして、2 つの省の副省長に警告などの処分を行うとともに、関係者 130 人以上の責任も問うことにしたと発表しました。

この問題は先週開かれた政府の会議で取り上げられ、李克強首相は「一部の地方では、生産設備の取り壊しを全くせず、製品価格が少し上がるとすぐに生産を再開する」と指摘し、「典型的な事例をとらえて見せしめにする」と厳しい口調で述べたということです。 中国の鉄鋼の過剰生産は各国に影響を与えていて、構造改革は国際的な公約でもありますが、地方の抵抗や怠慢で順調に進んでいない実態が浮かび上がりました。 (NHK = 12-27-16)

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中国 鉄鋼の生産能力 削減目標を前倒しで達成と発表

中国政府は構造改革の柱としている鉄鋼と石炭の過剰な生産能力の削減のうち、鉄鋼について、ことしの削減目標を前倒しで達成したと発表しましたが、国際社会からはさらなる削減を求める声が強まることも予想されます。 中国は経済の安定成長のために、鉄鋼と石炭の過剰な生産能力の削減を構造改革の柱に据え、ことしの削減目標として、鉄鋼は 4,500 万トン、石炭は 2 億 5,000 万トンと定めています。

これについて中国の国営メディアは、中国政府で経済政策を統括する国家発展改革委員会の李朴民秘書長が 11 日の記者会見で、「鉄鋼については先月末までに、ことしの削減目標を前倒しで達成し、石炭も目標を達成できる見込みだ」と述べたと伝えました。 中国政府は、ことし 7 月時点の削減実績は、鉄鋼が目標の 47%、石炭が目標の 38% にとどまっていたと説明しており、目標の達成に向けて政府が対策を強化したことをアピールした形です。<.p>

ただ、中国では依然として数億トンの鉄鋼の生産能力が過剰で、膨大な能力削減が必要な状況に変わりがないうえに、政府の景気下支え策などを受けて、鋼材や石炭が値上がりする中、生産を増やす動きが広がっているとの指摘もあり、国際社会からさらなる削減を求める声が強まることも予想されます。 (NHK = 11-12-16)


中国 CPI、1 月は 14 年 5 月以来の高い伸び

[北京] 中国国家統計局が発表した 1 月の消費者物価指数 (CPI) は前年比 2.5% 上昇し、14 年 5 月以来の高い伸びとなった。 上昇率は市場予想の 2.4% を上回り、12 月の 2.1% から加速した。 国家統計局によると、CPI の上昇は春節(旧正月)の連休を控えた食料品や交通費の上昇が要因とみられる。 1 月の生産者物価指数 (PPI) も前年比 6.9% 上昇し、2011 年 8 月以来の高い伸びとなった。 鉄鋼やその他の原材料価格が大幅に上昇し、世界の生産活動が勢いづいていることが示された。

PPI は 12 月の 5.5% から伸びが加速し、市場予想の 6.3% を上回った。 石炭価格が上昇する中、採炭費が 31% 上昇し。 2010 年初め以来の大幅な伸びとなった。 CPI の構成品目の中で最も大きな割合を占める食料品の価格は 1 月に 2.7% 上昇。 豚肉価格が 7.1% と上昇が目立った。 燃料価格は 16.5% 上昇した。 ただ、比較対象となる前年同月に燃料価格が値下がりしたことが要因とみられる。 交通費と通信費は 2.3% 上昇で、伸び率は 12 月の 0.9% を上回った。

中国や多くの先進国経済で価格圧力が高まっていることを受け、今年は金融政策引き締めに関する議論も浮上している。 中国人民銀行は今月、短期金利を引き上げる措置を取った。 一方、中国による石炭、原油、鉄鉱石、工業原料などの輸入はこの数カ月、資源価格の急回復を支えており、生産業者や精製業者の利益を押し上げている。

同国の鉄鉱石先物は 13 日に 3 年超ぶりの高値を付け、ロンドン金属取引所 (LME) の銅先物も 20 カ月ぶり高値に上昇した。 こうした上昇は、政府が一部セクターで取り組む過剰生産能力の解消によって増幅されているが、特に鉄鉱石などの先物価格急騰は投機的なバブルの懸念も生んでいる。

アナリストは、人民銀が最近引き締めバイアスに傾いているのは、インフレ抑制のためではなく、投機的取引や債務リスクに対する警戒感が背景にあると指摘。 キャピタル・エコノミクスのエバンズ・プリチャード氏は「現時点でインフレは金融政策を最も左右する要因ではない。 中銀は今年さらに引き締めに動くと予想している。」と述べ、ただ、信用リスクやレバレッジの状況、不動産市場動向などが今後の金融政策に影響を与える、との見方を示した。 (Reuters = 2-14-17)

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中国 PPI、12 月は前年比 +5.5% に加速 5 年超ぶりの高い伸び

[北京] 中国国家統計局が 10 日発表した 2016 年 12 月の消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比 2.1% 上昇した。 上昇率は、11 月実績と、ロイターがまとめたアナリスト予想である 2.3% を下回った。 食品価格が前年比 2.4% 上昇とより小幅な伸びにとどまった。

一方、12 月の生産者物価指数 (PPI) は前年同月比 5.5% 上昇し、上昇率は 11 月の 3.3% から加速、2011 年 9 月以来の高水準だった。 ロイターがまとめたアナリスト予想の 4.5% も上回った。 PPI 加速は、石炭などの原材料価格が急上昇したことが背景。 PPI が上向いたことで、貸し出しの増加や建設ブームを受けて製造業や内需が回復、中国経済が安定しつつあることが裏付けられた。 中国国家統計局は、PPI の上昇が加速したことについて、為替のボラティリティーが理由の 1 つとの見方を示している。人民元は昨年、対米ドルで 6.5% 下落、コモディティーの輸入価格が上昇した。

ただ、PPI の急速な上昇はまだ CPI を大きく押し上げるには至っておらず、アナリストらは、中国人民銀行(中央銀行)が目先、金融政策引き締めへの強い圧力を受けることはないと指摘している。 一方、一部のアナリストは、PPI の急上昇の背景には、商品先物市場での投機的取引拡大があるかもしれないとし、銀行が膨らむ企業債務の抑制に取り組んでいるにも関わらず、資産バブルのリスクがあるとの懸念を示した。

コメルツ銀行(シンガポール)の新興国担当のシニアエコノミスト、Zhou Hao 氏は、問題はインフレではなく資産バブルだと述べた。 その上で、コモディティのバブルは、経済成長が鈍化し、ある程度の金融緩和が必要になった場合、当局の政策決定を複雑にする可能性がある、との見方を示した。 (Reuters = 1-10-17)

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中国 11 月 PPI は前年比 +3.3%、5 年ぶり高い伸び CPI も加速

[北京] 中国国家統計局が 9 日発表した 11 月の生産者物価指数 (PPI) は前年比 3.3% 上昇し、2011 年 10 月以来約 5 年ぶりの高い伸びを記録した。 消費者物価指数 (CPI) も 2.3% 上昇し、4 月以来の高い上昇率となった。 11 月の PPI はアナリスト予想の 2.2% 上昇を上回った。 石炭や鉄鋼など原材料価格の上昇が押し上げ要因だった。 10 月の 1.2% から伸びが加速した。 CPI もアナリスト予想の 2.2% 上昇を上回り、前月の 2.1% から伸びが加速。 食品価格の上昇が全体を押し上げた。 (Reuters = 12-9-16)


中国外貨準備高、1 月末は 2.998 兆ドル 約 6 年ぶりに 3 兆ドル割れ

[北京] 1 月末の中国外貨準備高は 2 兆 9,980 億ドルとなり、12 月末から 123 億ドル減少し、2011 年 2 月以降初めて 3 兆ドルを割り込んだ。 ロイターがまとめたエコノミスト予想は 105 億ドルの減少だった。 2016 年通年では、外貨準備は 3,200 億ドル近く減少。 2015 年も 5,130 億ドル減と過去最大の落ち込みを記録しており、資本流出懸念が高まっている。 中国人民銀行が公表したデータによると、1 月末時点の金準備は 712 億 9,200 万ドルと、12 月末の 678 億 7,800 万ドルから増加した。

3 兆ドルを割り込んだことで、外貨準備の減少ペースに対する懸念が広がり、当局が今後、どの程度の期間、通貨と外貨準備の両方を支えることができるかについて疑問が生じている。 一部のアナリストは、外貨準備の大幅な減少と、大幅減の継続により、中国が 2015 年と同様に通貨切り下げを行う可能性を懸念している。 切り下げがあれば世界の金融市場に混乱が生じ、米国の新政権との政治的緊張感が高まることもあり得る。 ただ、1 月の減少幅は 12 月の減少幅(410 億ドル)と比べて大幅に少なく、7 カ月ぶりの低水準となった。 資本流出に対する当局の取り組みが、少なくとも現時点では奏功していることが示唆された。

エコノミストらは、今回の外貨準備減少を受けて当局が規制強化を強める可能性があるとみている。 フォーキャスト(シンガポール)のエコノミスト、チェスター・リアウ氏は「外貨準備が 3 兆ドルを下回ったことを受け、資本規制と人民元の流動性の引き締めが続くことが予想される」と述べた。 複数のアナリストは、1 月にドルの上昇基調が続いていたら、中国の外貨準備の落ち込みはさらに激しかった可能性があると指摘。 ドルの軟化が外貨準備の下支え要因になった。

一部アナリストは、国際通貨基金 (IMF) の指針に基づくと、中国の外貨準備の必要水準は最低で 2 兆 6,000 億 - 2 兆 8,000 億ドルになるとみている。 コメルツ銀行(シンガポール)の新興国市場担当シニアエコノミスト、周浩氏は「外貨準備が 3 兆ドルを割り込んだことは、中国が介入戦略を見直す必要があることを意味している」と指摘。 人民元の軟化が続くとの市場の見方が変わる可能性が低ければ、外貨準備を減らし続けることは大きな意味をなさない、との見方を示した。 (Reuters = 2-7-17)

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中国、為替介入中止し外貨準備維持すべき = 人民銀元委員

[北京] 中国人民銀行(中央銀行)の元金融政策委員の余永定氏は、人民銀行が人民元の下落幅の下限を 25% に設定し、これを超えない限りは外貨準備を維持するために為替介入をやめるべきだとの見解を示した。 金融メディアの財新が 12 日報じた。 政府系シンクタンク、中国社会科学院 (CASS) でエコノミストを務める余氏は「介入の継続により『適切で均衡のとれた水準』に元を緩やかに下落させるのは非常に良くない政策だ」と指摘した。

オンショアとオフショアの両市場での介入は元の安定化につながっているものの、余氏は「外為市場で介入をやめることは、外貨準備の不必要な減少を回避できるだけでなく、資本流出の阻止に向けた資本規制の必要性を大幅に低下させる」と指摘。 介入は元売りを促すだけだとした。 余氏は、人民元が一段と下落するとの市場の見通しは変わっていないとの見方を示した。 人民銀行は為替介入の中止を発表する「良い機会」を模索すべきだとし、元の下落率が 25% を超えた場合にのみ介入を再開すべきだと指摘した。

中国の外貨準備高は 12 月末時点で 3 兆 0,110 億ドルで、約 6 年ぶりの低水準となった。 2016 年、年間では 3,200 億ドル減少。 12 月の減少幅は 410 億ドルだった。 (Reuters = 1-12-17)


中国の資本純流出、16 年は 7,250 億ドルと過去最高 = IIF

[ロンドン] 国際金融協会 (IIF) は 2 日、中国からの資本純流出額は 2016 年は 7,250 億ドルと前年からネットで 500 億ドル増加し、過去最高を記録したと発表した。  米企業に対し利益の本国へのリパトリエーションに向けた圧力がかかれば流出は一段と加速する可能性があるとしている。 中国の純流出額は 14 年は 1,600 億ドルに過ぎなかったが、その後、人民元が対ドルで下落するとの観測が一部要因となり、国内の企業や個人の間で資金を海外に逃避させる動きが加速。

16 年は流出により中国の外貨準備は 3,200 億ドル減少し、当局による資本規制の強化につながった。 人民元相場 CNY = 相場は同年は対ドルで 6.5% 下落。 年間の下落としては過去最大となった。 IIF は 16 年について、12 月だけで 950 億ドルが流出したと推計。 「米国に本拠を置く多国籍企業が利益を中国から本国にリパトリし始めれば、流出額は 17 年は一段と増加する可能性がある」とし、特にトランプ政権下の米国で保護主義が高まれば流出が加速する恐れがあるとした。 ただ、中国を除く新興国には資金が流入。 16 年は 1,920 億ドルの純流入となり、前年の 1,230 億ドルから増加した。 (Reuters = 2-3-17)


中国の「海外不動産投資」が最高額 3.7 兆円に 前年比 53% 増

中国の海外不動産投資額が過去最高額を記録した。 調査企業 JLL のデータによると昨年の投資額は 330 億ドル(約 3.7 兆円)を記録。 前年度から 53% の増加となった。 投資先のトップは米国で投資額は 143 億ドルに及んだ。 続いて香港、マレーシア、オーストラリアといった国々が上位に並んだ。 英国は 5 位で前年度から一つランクを下げた。

JLL は 2017 年の投資額については、中国政府の引き締め政策により前年度を下回ると見ている。 政府は元の下落を招く資金流出に懸念を高めており、100 億ドル以上の海外投資案件を原則として認めない方針も打ち出した。 さらに、国有企業による 10 億ドル以上の不動産購入に制限を加えている。

市場関係者らは今後、政府はさらに規制を強めると見ている。 米国の不動産開発関係者の中には、規制の影響で中国との不動産取引に遅れが出始めていると述べる者もいる。 しかし、JLL によると中国人の投資意欲は依然として活発で、人民元が下落する中で海外での投資機会を積極的に模索しているという。 「今後数年の間、世界の不動産市場において中国人投資家は主要な勢力であり続けると見ています」と JLL のグローバル担当者は述べた。 「ただし、2017 年に関しては規制の影響で、減速を予測します。」

米国でも昨年、最も注目を集めた中国からの投資案件のいくつかは不動産買収だった。 9 月には安邦保険集団が、フォーシーズンズやリッツカールトンなど高級ホテル 16 軒を 65 億ドル(約 7,500 億円)で買収した。 また、10 月には富豪の陳峰氏が率いる海航集団(HNA グループ)が、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスの株式約 25% をブラックストーン・グループから約 65 億ドル(約 6,760 億円)で取得すると発表した。

中国マネーの行き先は建物だけでなく、土地にも及んでいる。 投資先は香港やオーストラリア、マレーシアに広がっており、土地の購入額は昨年 44% の上昇を遂げた。 昨年、中国の Boyuan Holdings はシドニー西部の 40.5 ヘクタールの土地を 7,000 万豪ドルで購入した。 また、中国五鉱集団公司 (Minmetals) は 8 月に香港の土地を 40 億香港ドル(約 584 億円)で購入した。 (Ellen Sheng、Forbes = 2-2-17)


突然の変調、中国の不動産買いあさりにブレーキ−世界の市場揺らす

中国が資本流出規制を強化していることで、世界の不動産市場が揺れている。 ロンドンでは 3 カ月前に市内の最高層タワーマンションの部屋の購入を強く求めた中国人が、今では頭金の口座振替に苦労している。 不動産会社ケラー・ウィリアムズ・リアルティーによると、米シリコンバレーでは物件に関する中国からの問い合わせが年明けから急減。 オーストラリアのシドニーでも中国の買い手が撤退して開発業者が「大きな問題」に直面していると、コンサルティング会社ベーシス・ポイントが報告している。

ケラー・ウィリアムズのブローカーアソシエート、ココ・タン氏(カリフォルニア州クパチーノ在勤)は、中国の本土外への送金が一段と困難になったとし、「全てが変わってしまった」と話す。 中国が資本流出抑制のための新たな措置を発表して 1 カ月足らずで不動産会社や住宅所有者、開発業者からこうした報告が相次いでいることは、規制が中国勢の不動産購入熱に既に影響を及ぼしつつあることを示唆する。 中国の需要が近いうちに消えると予想する声は聞かれないが、締め付け強化によって、本土外に資産を持たず資本規制回避の専門知識に欠ける住宅一次取得者による購入は抑えられている。

中国の国家外為管理局は昨年 12 月 31 日、人民元を外貨に両替する全ての国民に対し、年間両替枠の 5 万ドル(約 570 万円)を本土外での不動産投資に使わないとの誓約書に署名することなどを義務付けた。 違反者については当局の監視リストに追加し、外貨両替を 3 年間禁止するほか、マネーロンダリング(資金洗浄)調査の対象にするとした。 (Bloomberg = 1-30-17)

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中国の対外直接投資、16 年は 1,610 億ドル超える見通し = 商務省

[北京] 中国商務省は、2016 年の非金融対外直接投資について 1 兆 1,200 億元(1,611 億 9,000 万ドル)になるとの見通しを示した。 16 年の対内直接投資は 7,850 億元になる見込み。 同省は、2017 年に対外・対内直接投資の健全で秩序ある発展を促す方針を示した。 (Reuters = 12-26-16)

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中国の海外不動産「爆買い」 4 兆円突破 最高額記録を更新へ

不動産サービス会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、中国人の今年 1 - 8 月の海外商業不動産投資額は 235 億ドル(約 2 兆 7,130 億円)だった。 同社は中国の今年の海外不動産投資額が昨年の 257 億ドルを上回り、前年比 37% 増の 350 億ドル(約 4 兆 410 億円)に達すると予測している。 人気投資先はこれまでと変わらず米国、オーストラリア、英国、ドイツ、フランスで、トップの米国への投資が全体の 57% を占めた。 投資物件としてはオフィス物件のほか、ホテル、敷地開発も人気を集めた。 中国資本の大量流出の背景には、中国政府による海外投資の奨励がある。

中国の直接投資をウォッチしているクッシュマン社のシンイー・マッキニーは「中国の国内経済の減速により、海外投資の魅力が増した。 中国企業の体力に政策支援が加わり、"走出去" (中国政府の海外進出戦略)が不動産企業の共通トレンドになっている。」と述べる。 また、「人民元安への懸念と米英のマーケットでの低金利が投資を加速させている」と指摘する。

高級ホテル 16 軒を 7,500 億円で買収の事例も

今年目を引いた M & A には、資産運用規模 5,000 億ドル(約 58 兆円)の中国政府系ファンド、中国投資がブルックフィールド・プロパティ・パートナーズと組み、1ニューヨーク・プラザの株式の 49% を 7 億ドル(約 808 億円)で取得したケースがある。 またマンハッタンでは、中国人寿保険が RXR Realty と共同でオフィスビルを 16 億 5,000 万ドル(約 1,900 億円)で購入した。

かつてニューヨークの名門ホテル、ウォルドーフ・アストリア・ニューヨークを 19 億 5,000 万ドル(約 2,250 億円)で買収した安邦保険集団は 5 月、フォーシーズンズやリッツカールトンなど高級ホテル 16 軒を保有するストラテジック・ホテルズ・アンド・リゾーツを 65 億ドル(約 7,500 億円)で取得することにブラックストーン・グループと合意した。

米国とオーストラリアは中国の商業不動産投資先トップ 2 だが、ロンドンの人気も衰えていない。 むしろ EU 離脱によって関心が増しているようだ。 中国人の英国での商業不動産投資のほとんどはロンドンに集中している。 投資家たちは英ポンドの変動も好機ととらえ、投資を急いでいる。 中国人投資家は、今後マーケットを拡大していくだろう。 彼らはこれまで米国でニューヨークやロサンゼルスのような沿岸部の大都市に狙いを集中させていたが、ダラスやオースティンのような内陸部にも手を伸ばし始めた。 ファンドや現地企業とのジョイントベンチャー等の投資も模索するようになるだろう。 (Ellen Sheng、Forbes = 12-23-16)