中国企業、外国土地を次々「借り上げ」 治外法権要請も

インド洋に浮かぶ島国スリランカ。 その主要な港や周辺の土地を、中国の国有企業が借り上げることになった。 期間は 99 年間。 似た例は周辺各国でも相次ぐ。 帝国主義の時代、日本や欧州の列強に租借地を供出させられた中国が 1 世紀を経た今、反対の動きをしているかのように見える。 スリランカ最大の都市コロンボの海沿いを埋め立て、国際金融センターをつくろうという「コロンボ・ポート・シティー (CPC)」プロジェクト。 開発を一手に担う中国の国有企業「中国港湾 (CHEC)」の子会社の事務所は、英領時代の歴史的建造物「旧中央銀行」の上層階にある。

取材に応じた営業担当幹部リャン・ゾウ・ミン氏が言った。 「我々が投資しなければ、何の価値もない海だった。 ただ魚がいるだけ。 そこを埋め立て、都市をつくる。 14 億ドル(約 1,600 億円)の資金も用意する。 すべてこちらの負担だ。 スリランカ政府単独ではできない。」 力関係はスリランカ政府との合意にも表れている。 開発用地のうち、116 ヘクタールを同社が 99 年間保有するため、政府が受け取るのは 62 ヘクタールにとどまる。

完成は埋め立てが終わってから 30 年後。 8 万人が居住し、通勤者も含め 25 万人が活動すると見込む。 周辺のインドやパキスタン、バングラデシュの富裕層を呼び込む考えだ。 リャン氏は「ここではスリランカ国内とは異なる税制、法体系が適用され、裁判所も別の、いわば中国の香港のようになるかもしれない」と指摘。 「スリランカ側が決めること」としながらも、何らかの治外法権を求める構えを示した。 一方、投資を認可したスリランカ投資庁は「詳細は未定」と言葉を濁す。 (コロンボ = 武石英史郎、asahi = 2-1-17)


中国の GDP 成長率目標は「6.5% 以上」を続けられるか? = 大和総研

大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は 1 月 27 日、「中国経済:成長率目標、6.5% 以上への拘泥は不要」と題したレポート(全 1 ページ)を発表した。 レポートの要旨は以下のとおり。

中国では 3 月の全国人民代表大会(全人代)で、主要な経済・社会目標が発表される。 今年は 3 月 5 日に全人代が開幕するが、それを前に、2017 年の政府経済成長率目標に関する議論が活発化している。

例えば、中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員会委員(日本銀行の政策委員会審議委員に相当)である黄益平氏は、「2017 年はサプライサイドの構造改革を深掘りしていく上で、新旧牽引役の転換促進に力を入れ、市場メカニズムが資源配分で決定的な役割を果たすようにしなければならない。 2017 年の経済成長率目標を 2016 年の前年比 6.5% - 同 7% から同 6% - 同 7% にレンジを広げることで改革を推進する余地を広げることが可能である。」旨を主張した。

痛みを伴う改革を推進するには、成長鈍化はやむを得ない、との立場である。 これに対しては、「2016 年 - 2020 年に年平均で 6.5% 以上の成長を実現するには、2017 年も安定成長が望まれ、下振れ余地を大きくすることは得策ではない」といった批判も聞かれる。

「年平均 6.5% 以上」は、2016 年にスタートした第 13 次 5 ヵ年計画の成長率目標であり、具体的には、「小康(衣食住が足りた上でややゆとりのある)社会の全面的完成という目標を達成し、2020 年までに GDP と都市・農村一人当たりの所得を 2010 年比で倍増させるには、今後 5 年間の実質経済成長率は年平均 6.5% 以上を維持しなければならない」とされた。

そもそも「10 年で倍増」目標は、2012 年 11 月の第 18 回党大会で打ち出された長期目標であり、胡錦濤政権の置き土産である(習近平氏は直後に開催された一中全会で総書記に選出)。 そして、「6.5% 以上」の根拠は、2011 年 - 2015 年の実績を踏まえて、残り 5 年間で計算上何 % の成長が必要かという観点から導き出された、やや乱暴なものであった。 逆算の結果導き出された「6.5% 以上」に拘泥する必要はないように思われる。

昨年 5 月に共産党機関紙である人民日報に掲載された権威筋へのロングインタビューは、構造改革の重要性を繰り返し指摘した。 実はこの権威筋へのインタビューは、昨年 5 月が 3 回目であり、成長重視なのか、改革重視なのか、習近平政権の軸足がなかなか定まらないことが示されている。 繰り返しになるが、痛みを伴う改革を重視し断行するのであれば、「6.5% 以上」の成長に拘る必要はない。 その前段階として 2017 年の成長率目標は 6.5% 前後と、若干の下振れを容認すると見ているが、果たしてどうなるであろうか? (情報提供 : 大和総研、SearChina = 1-27-17)

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中国の実質経済成長率、6.7% 6 年連続で減速

中国の国家統計局が 20 日発表した 2016 年の中国の国内総生産 (GDP) 成長率は、物価上昇分を除いた実質で 6.7% になった。 成長率は前年から 0.2 ポイント下がって 6 年連続で減速し、1990 年の 3.9% 以来、26 年ぶりの低い水準だったが、政府の年間目標は達成した。

中国の経済成長率は過去 2 年、政府目標の目安を下回っていたが、16 年は目標とした「6.5 - 7.0%」の範囲内に収まった。 16 年 10 - 12 月期の成長率は 6.8% で、8 四半期ぶりに成長が加速した。 同時に発表された 16 年の主要な経済統計によると、建物や工場などへの固定資産投資は 8.1% 増にとどまり、今世紀に入って初めて 10% を割り込んだ。 特に、民間企業による投資が 3.2% 増と大幅に減速し、企業が先行きに不安を抱いている様子が浮かぶ。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 1-20-17)

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中国の 2016 年成長率、6.7% に達したと確信 = 財政次官

[上海] 中国の朱光耀財政次官は 8 日、2016 年の中国経済成長率は 6.7% に達したとの見方を示した。 中国の 2016 年第 1 - 第 3・四半期の成長率は 6.7% を記録。 同次官は清華大学の会合で、第 4・四半期も同水準、もしくはそれ以上になったと確信していると述べた。 中国政府の 2016 年成長率目標は 6.5 - 7%。 多くのアナリストは、成長率は当局データよりも低い可能性があるとの見方を示しているが、建設ブームが経済をかなり下支えしていると認識している。 政府系シンクタンクは今月初め、2017 年の成長率は 2016 年の約 6.7% から 6.5% に鈍化するとの見通しを示した。 (Reuters = 1-9-17)

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来年の中国成長目標、6.5% に設定すべき = 政府系シンクタンク

[上海] 中国の政府系シンクタンク、国家情報センターは 12 日、中国は 2017 年の経済成長率目標を 6.5% 程度に設定すべきだとの見解を示した。 中国証券報が報じた。 国家情報センターは、2017 年の経済運営では構造問題の緩和などに向けて取り組みを強化する必要があるとし、住宅市場、社会資本、地方の金融リスクを懸念事項として挙げた。 今年第 3・四半期の成長率は 6.7% だった。 政府は通年の成長率目標を 6.5 - 7% としている。 中国では今月、来年の経済運営方針を決める中央経済工作会議が開かれる。 (Reuters = 12-12-16)


中国の貿易額、2 年連続で減 輸出入合計 6.8% 減る

中国の税関総署が 13 日発表した 2016 年の貿易統計によると、輸出入の合計が前年比 6.8% 減の 3 兆 6,849 億ドル(約 424 兆円)となり、2 年続けて前年を下回った。 中国の貿易額が連続して減るのは経済成長が本格化してからは初めてで、世界の貿易の低迷を映し出している。 中国の貿易額は 1990 年代以降、アジア通貨危機に見舞われた 98 年とリーマン・ショック後の 09 年を除いて増え続け、世界最大に成長したが、15 年から減少に転じていた。

輸出は 7.7% 減の 2 兆 974 億ドル(約 241 兆円)で、前年に続いて減った。 最大の輸出先の米国向けが 5.9% 減となったほか、日本向けと欧州連合 (EU) 向けがいずれも 4.7% 減った。 世界経済の回復が遅れ、外需が伸び悩んでいることが、減速する中国経済にとって一層の足かせになっている。 輸入も 5.5% 減の 1 兆 5,875 億ドル(約 183 兆円)だった。 大量の原材料を輸入してきた中国の需要が鈍ったことで国際的な商品価格が低迷し、資源国などの経済へ深刻な影響を与えている。 日本からの輸入は 1.9% 増えた。

同時に発表された 12 月の輸出入は、輸出が前年同月比 6.1% 減、輸入は同 3.1% 増だった。 鉄鋼や石炭などの過剰生産能力を抱える中国は、製品を不当に安く輸出しているとの批判を国際社会から浴びている。 今月就任するトランプ次期米大統領は、対中貿易で強硬な政策をとることを主張。 中国の貿易を取り巻く状況は厳しさを増している。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 1-13-17)

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中国貿易統計、11 月は輸入が約 2 年ぶりの高い伸び 資源需要が寄与

[北京] 中国税関総署が発表した 11 月の輸入は 6.7% 増と、前年比で 2014 年 9 月以来の高い伸びとなった。 鉄鉱石や石炭など資源への旺盛な需要が押し上げ要因となった。 国内外の需要回復を受け、輸出も予想外に増加した。 11 月の輸出は前年比 0.1% 増。 ロイター調査のアナリスト予想は輸入が 1.3% 減、輸出は 5.0% 減だった。 貿易収支は 446 億 1,000 万ドルの黒字。 アナリスト予想は 463 億ドルの黒字、10 月は 490 億 6,000 万ドルの黒字だった。

キャピタル・エコノミクス(シンガポール)の中国担当エコノミスト、ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏は「(貿易統計の)改善は世界的な需要の高まりを反映している。 最近の企業調査は年末にかけて先進国経済が好調となることを示唆している。」と指摘した。 11 月は鉄鉱石や原油、石炭、銅、大豆など主要商品の輸入が数量ベースで大きく増加した。 鉄鉱石輸入が前月比 13.8% 増加し過去 3 番目の高水準となったほか、石炭輸入も 1 年半ぶりの高水準を記録、銅輸入は前月比 31% 急増した。

コモンウェルス銀行(メルボルン)の商品アナリスト、ビベク・ダール氏は「市場では、来年も成長が持続するか、横ばいになるかで見方が分かれているが、現時点では不透明だ」と述べた。 11 月単月の貿易統計は力強い内容となったが、1 - 11 月の輸出は前年同期比 7.5% 減、輸入は同 6.2% 減少し、年間ではさえない結果になるとみられている。 (Reuters = 12-18-16)

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中国貿易統計、10 月は輸出入ともに予想下回る

[北京] 中国税関総署が公表した 10 月の中国輸出(ドル建て)は前年同月比 7.3% 減、輸入は 1.4% 減でともに予想を下回った。 最近の景気改善の持続性に疑問符が付く格好となった。 貿易収支は 490 億 6,000 万ドルの黒字で、9 月の 419 億 9,000 万ドルから拡大した。 予想は 517 億ドルの黒字だった。 1 - 10 月の輸出は前年同期比 7.7% 減、輸入は 7.5% 減だった。 ロイターがまとめたアナリスト予想は、10 月輸出が前年比 6.0% 減、輸入は 1.0% 減。 9 月は輸出が 10% 減、輸入は 1.9% 減だった。

キャピタル・エコノミクスの中国担当アナリスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏は「中国経済は現在拡大期にあり、もう 1、2 四半期は輸入を支えるとみられる。 だが、これまでの刺激策の効果が薄らぐため、景気拡大はそれほど長くは続かないだろう。」と分析した。 商品(コモディティ)の輸入は減速し、10 月の鉄鉱石輸入は 2 月以来の低水準を記録。 銅の輸入は 21 カ月ぶり低水準となった。 石炭輸入は 9 月から約 12% 減少した。

米国向け輸出は 5.6% 減少。 9 月は 8.1% 減だった。 欧州連合 (EU) 向けは 8.7% 減となり、前月から若干改善した。 東南アジアからの輸入は 18.4% 増加、オーストラリアからの輸入も 16.3% 増加し、ここ数カ月の水準から大幅に改善した。 (Reuters = 11-8-16)


中国国有銀行、資産運用会社の資金繰り支援 = 関係筋

[上海] 関係筋によると、中国の国有銀行少なくとも 1 行が 21 日、債券レポ取引を通じて複数の資産運用会社に数十億元の流動性を支援した。 市場では、資産運用会社や証券会社など、ノンバンクの資金繰りが改善するとの見方が出ている。

中国ではこの日、国海証券が「偽装された債券取引」の債務を履行すると表明。 これを受けて金融市場の不安が和らぎ、債券価格が上昇した。 同社は、元従業員 2 人が会社の印鑑を偽造したと説明している。 コメルツ銀行のエコノミスト、Zhou Hao 氏は、国海証券がカウンタパーティー(取引相手)に対する債務不履行を回避したことで、市場の流動性がやや改善したが、「債券のデレバレッジ・リスクはすぐには消滅しない」と指摘した。 (Reuters = 12-21-16)


中国不動産販売、11 月は前年比 +7.9% 1 年ぶりの低い伸び

中国国家統計局が 13 日に発表した 11 月の不動産販売(床面積ベース)は前年比 7.9% 増に鈍化した。 2015 年 11 月以来の低い伸びで、10 月の 26.4% 増を大きく下回った。 1 - 11 月の不動産販売は 24.3% 増となった。 1 - 11 月の不動産投資は前年比 6.5% 増。 ここ数カ月、住宅価格と販売に弱含みの兆しが見える中、不動産投資も先月までの 6.6% 増からやや鈍化した。 (Reuters = 12-13-16)


中国外準、11 月末は 3.052 兆ドルで 11 年以来の低水準 5 カ月連続減

[北京] 中国人民銀行(中央銀行)が 7 日発表した11月末時点の中国外貨準備高は市場予想を下回る 3 兆 0,520 億ドルと、5 カ月連続で減少した。 2011 年 3 月以来の低水準。 減少幅は 690 億 6,000 万ドルと、1 月以来の大きさだった。 ドルが上昇する中、当局が人民元の下支えに苦慮していることが示唆された。 ロイターがまとめたエコノミスト予想は、300 億ドル減の 3 兆 0,910 億ドルだった。 (Reuters = 12-7-16)

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中国の資本流出、見掛けより深刻か - ゴールドマンが警告

中国の資本流出は見掛けよりも大きくなっている可能性がある。 米ゴールドマン・サックス・グループは、ドルではなく人民元のまま越境する資本が増えていると警告した。

中国の外貨準備高が安定化し、銀行による顧客向け外貨買越額も 1 年ぶり低水準近くまで減少しているが、8 月の公式統計では元決済を通じ 277 億ドル(約 2 兆 8,800 億円)が中国から流出した。 この流出額は、2014 年までの 5 年間の月平均では 44 億ドル。 ゴールドマンの中国担当シニアエコノミスト、ケ敏強氏(香港在勤)によれば、越境資本がこれほどの規模になる理由をマーケット要因で説明することはできず、通貨流出を測る際にはこの点を考慮する必要がある。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの大中華圏担当チーフエコノミスト、胡志鵬氏(シンガポール在勤)は「中国人民銀行(中央銀行)からは企業が本土でドルに換金する動きを制限する窓口指導が出ており、海外に人民元のまま資金を移す必要がある」と説明。 「企業は元安期待があるため元保有の意欲は強くなく、オフショアの銀行に元を売っている。 これがオフショア元相場の重しになっている。」と分析した。

元資本の越境で実態が覆い隠されていることを認識したゴールドマンは、7 月に人民元資金を含めた流出分析を始めた。 7 月の流出分の 56% がオフショア元市場経由で、8 月にはその割合が 87% に達したと同行は推定している。

ゴールドマンのケ氏は人民銀と国家外為管理局 (SAFE) のデータに基づき、「昨年 10 月から今年 8 月までに人民元の貿易決済が主因で元の純流出額が 2,650 億ドル相当に達した」と指摘。 「このフローは中国が直面する全体の流出圧力の緩和に役立っている。 輸入代金の支払いで業者がそれほど外貨を買う必要がなかったことを意味するためだ。」と話した。 11 日の本土市場で人民元は下落。 1 ドル = 6.7154 元と 10 年 9 月以来の安値を付けている。 (Bloomberg = 10-11-16)

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中国外貨準備、9 月末は 3.166 兆ドル 予想以上に減少

[北京] 中国人民銀行(中央銀行)が 7 日発表した 9 月末時点の外貨準備高は 3 兆 1,660 億ドルで、8 月末の 3 兆 1,850 億ドルから減少した。 ロイターがまとめたエコノミスト予想は 3 兆 1,800 億ドルで、小幅ながらも予想以上の減少となった。 減少は 3 カ月連続。 8 月末の外貨準備は 2011 年以来の低水準だった。

8 月からの減少幅(188 億ドル)は 8 月の減少幅(158 億 9,000 万ドル)を上回り、過去 4 カ月で最大となった。 中国の外貨準備は世界最大。 昨年は 8 月の元切り下げを受け、過去最大の落ち込み(5,130 億ドル)を記録していた。 9 月末の金準備高は 781 億 6,900 万ドルで前月の 771 億 8,000 万ドルから増加した。 (Reuters = 10-7-16)


中国経済は 11 月も安定、発表早い民間指標が示す - 不動産市場抑制でも

中国で不動産価格の抑制策が講じられているにもかかわらず、景気は 11 月に入っても安定を維持している。 最も早く発表される民間の中国経済指標で明らかとなった。 衛星画像を使った中国の製造業指数は 5 年ぶりの高水準を付けたほか、大企業の景況感が改善し、鉄鋼メーカーの受注も増えた。 一方、不動産市場の沈静化策や過剰生産能力の削減が響き、中小企業の先行き期待は前月から悪化した。

サンフランシスコに拠点を置き、商業衛星の画像を使って数千に上る生産施設の動向を観察しているスペースノウによれば、11 月の中国サテライト製造業指数は 51.4 に上昇、2011 年半ば以来の高水準を付けた。 中国当局が発表する製造業購買担当者指数 (PMI) と同じく、50 が活動拡大・縮小の境目になる。

11 月の S & P グローバル・プラッツ・チャイナ・スチール・センチメント指数は 59.37 と前月の 48.92 から大幅上昇した。 鉄鋼価格の上昇や受注の伸びが寄与した。 同指数は中国が拠点のトレーダーや製鋼所など約 75 - 90 の市場参加者を対象とする調査が基になっている。 マーケット・ニュース・インターナショナル (MNI) が発表した 11 月の中国景況感指数は 53.1 と、10 月の 52.2 から上昇。 大企業の状況は底堅く推移していることを示唆した。 同指数は上海・深センの証券取引所に上場する企業幹部に対する調査に基づいている。

一方、11月のスタンダードチャータード中小企業景況感指数は 55 に低下。 10 月は 56.1 だった。 北京在勤の中国担当エコノミスト、申嵐氏はリポートで、現況指数はやや改善したが、期待指数が 57 と 10 カ月ぶりの低水準を付けたと説明。 規模が小さめの企業への銀行融資も減速したと指摘した。 (Bloomberg = 11-25-16)


中国大都市、バブル懸念 住宅価格が上昇

【北京 = 原田逸策】 中国の一部の大都市で不動産バブルへの懸念が強まっている。 国家統計局が 21 日発表した 9 月の主要 70 都市の新築住宅価格動向によると、台湾対岸のアモイは前年同月比 47%、上海は同 39% 上昇した。 価格高騰を抑えようと北京や天津など 20 超の地方政府が 9 月末から相次いで不動産購入を制限する措置を導入したが、どこまで効果が上がるかは不透明だ。

前年比でみた上昇幅は上海近郊の合肥が 47%、深センが 34%、北京が 30%。 前月比の上昇幅も北京 (4.9%) や上海 (3.2%) のほか、無錫 (8.2%)、鄭州 (7.6%)、杭州 (5.5%) などが大きく値上がりした。 北京中心部では面積 80 平方メートルで 1 千万元(約 1 億 5 千万円)のマンションは珍しくない。 米調査会社によると、深センのマンションの平均価格は住民の平均年収の 70 倍。 3 - 6 倍が正常とされ、庶民にはとても手が届かない。 中国の不動産大手、大連万達集団の王健林董事長は 9 月、米 CNN の取材で「中国の不動産は人類市場最大のバブル」と語った。

高騰に危機感を募らせた地方政府は 9 月末から建国を祝う 10 月初めの連休にかけて相次いで不動産の購入制限策を導入。 不動産を購入する際の頭金比率の引き上げが柱だ。 特に 2 軒目以降の購入は同比率を 4 - 5 割超に上げた。 統計局の盛来運報道官は「不動産投資や投機に狙いを絞った抑制策」とみる。

統計局は今回、通常は出さない 10 月中旬の価格をわざわざ公表した。 前月比の上昇幅は北京で 1.2%、上海で 0.7%、無錫で 4.4% と 9 月より縮まり、深センや成都はわずかに下落した。 不動産仲介大手、中原地産の張大偉首席アナリストは「抑制策で不動産取引が減少した。 今後は政府のコントロールの下で値上がり幅が縮小していく」と分析する。 上海、深セン、南京などは今春にも住宅購入を制限する政策を打ち出した。 一時的に価格上昇のペースが鈍ったが、8 月になると再び上昇幅が拡大し、9 月には過熱気味になった。 今回の措置も効果が出るかどうかはまだわからない。

不動産が高騰しやすいのは中国人の資産運用手段が限られるためだ。 中国人民銀行(中央銀行)が預金金利を昨年自由化したが、銀行経営を支えるため金利規制を事実上復活した。 海外の株式も買えない。国内の株式も昨年夏の上海市場の暴落で多くの個人が痛手を受けた。 不動産以外にめぼしい投資先が見当たらない中、景気下支えを狙った金融緩和であふれたマネーが不動産に流れ込む。

北京の不動産投資会社の社長は「北京中心部のマンションは以前は台湾や香港の人が買っていたが、彼らは昨年ほとんどの物件を売った」と話す。 大都市の不動産価格が下落すれば住宅を担保に融資する銀行の財務も傷みかねない。 中国銀行業監督管理委員会の王勝邦副主任は「北京や上海では銀行に融資審査の証拠書類を多く集めさせるなどしてリスクを注視している」と語る。

中国国内で不動産が高騰するのは沿岸部などの 20 余りの大都市。 主要な 70 都市の中でも北朝鮮国境に近い丹東やウイグル族が暮らすウルムチなど 6 都市は前月比で下落した。 「中国のほとんどの地方都市の課題はいまだに大量のマンション在庫をどう減らすか(統計局の盛氏)」という。 不動産市場の激しい二極化も問題になっている。 (nikkei = 10-22-16)

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中国不動産投資、1 - 9 月は前年比 +5.8% に加速 新築着工は大幅減

[北京] 中国国家統計局が発表した 1 - 9 月の中国不動産投資は前年同期比 5.8% 増加した。 政府は不動産への過剰な投資抑制を目指しているが、1 - 8 月の 5.4% 増から伸びが加速する結果となった。 統計局のデータを基にロイターが算出したところでは、9 月単月の不動産投資は 7.8% 増と、8 月の 6.2% 増から伸びが加速した。

9 月の新築着工(床面積ベース)は 19.4% 減。 8 月は 3.3% 増だった。 抑制策が新規開発に影響した可能性を示唆している。 1 - 9 月の不動産販売(床面積ベース)も前年比 26.9% 増と伸び率が 1 - 8 月の 25.5% を上回った。 ロイターの算出によると、9 月単月の不動産販売は 34% 増加した。 9 月の在庫(床面積ベース)は前年同月比 4.7% 増。 8 月は 6.9% 増だった。 (Reuters = 10-19-16)

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1 - 9 月の中国新規住宅ローン、5,390 億ドルに増加 = 人民銀

[北京] 中国人民銀行が 18 日発表したデータによると、1 - 9 月の中国新規住宅ローンは 3 兆 6,300 億元(5,386 億 9,000 万ドル)に増加し、同期間の新規融資の 35.7% に達した。 人民銀行当局者によると、9 月単月では新規住宅ローンは 4,759 億元(706 億 2,000 万ドル)となり、前年同期から 2,055 億元(305 億ドル)増加した。 同当局者によると、大都市および、それに次ぐ規模の都市で住宅取引が増加していることから住宅ローンが比較的急速に増加した。 (Reuters = 10-18-16)

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中国、不動産開発会社の不正取り締まりへ 虚偽広告など = 新華社

[北京] 中国国営の新華社によると、中国住宅都市農村建設省は、不動産開発会社による 9 つのタイプの不正行為を取り締まる方針を明らかにした。 対象となる不正行為には虚偽広告、うわさを広める行為、認可なしでの事前販売の実施、売れ残り物件の報告を怠る、住宅購入時の頭金の違法請求などが含まれる。

違反の重大性に応じて企業を罰する方針で、ブラックリストへの掲載などの措置を取る可能性がある。 また違法行為が疑われる企業を警察に通報するという。 中国の不動産市場はここ数カ月にわたって過熱しており、政策当局者の懸念材料になっている。 不動産バブルの一段の深刻化につながりかねない投機的な動きを防ぐため、国内の 20 都市以上がこれまでに住宅購入抑制策を導入している。 (Reuters = 10-17-16)

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中国主要都市、バブル警戒 投資目的の不動産購入を制限

中国の主要都市が、不動産の購入規制強化を相次いで打ち出している。 国慶節(建国記念日)に伴う大型連休中に政策を導入する異例の措置で、過熱する不動産市場がバブルを生むことへの当局の強い警戒がにじむ。 中国では 1 日夜から 2 日にかけて、成都(四川省)や合肥(安徽省)など 5 都市が、次々と不動産購入に関する新しい規制を発表。 いずれも、住宅を買う際に必要な頭金の比率を引き上げたり、すでに住宅を持っている人のさらなる購入を制限したりする内容で、投資目的の購入にブレーキをかける狙いがある。

1 日から始まった 1 週間の国慶節連休では、住宅販売も活況が見込まれる。 中国メディアによると、連休直前の 9 月 30 日に規制を発表した北京や天津などと合わせ、10 月 2 日までの 3 日間で 9 都市が同様の規制を打ち出したという。 国家統計局によると、中国の新築住宅価格は、8 月に主要 70 都市のうち 64 都市で前月より値上がり。 合肥で 1 年間に 4 割上昇するなど、地方でも急な値上がりが目立っている。 実体経済や株式市況が振るわないなか、お金の流れが不動産に集中し、バブルにつながることが懸念されている。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 10-6-16)


中国の輸出、急ブレーキ 9 月は 1 割減、7 カ月ぶり水準

中国の税関総署が 13 日発表した 9 月の貿易統計によると、輸出が前年同月比 10.0% 減の 1,845 億ドル(約 19.1 兆円)と大きく減った。 輸出の前年割れは 6 カ月連続で、減少幅が 10% 以上になるのは 7 カ月ぶり。 世界的な貿易の低迷が、中国経済に重くのしかかっている。

9 月は最大の貿易相手の欧州連合 (EU) 向けが約 10% 減るなど、米国や日本、東南アジア諸国連合 (ASEAN) など主要な貿易相手向けの輸出が軒並み 5% を超える大きな落ち込みを示した。 一方、9 月の輸入は同 1.9% 減の 1,425 億ドル(約 14.8 兆円)で、2 カ月ぶりの前年割れとなった。 輸出が落ちこんだことで今後、中国の輸入にも影響が出る可能性がある。 (杭州 = 斎藤徳彦、asahi = 10-13-16)

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中国 8 月輸出、減少率が予想下回る 輸入ほぼ 2 年ぶりプラス

[北京] 中国税関総署が公表したデータによると、8 月の中国の輸出は前年同月比 2.8% 減、輸入は同 1.5% 増だった。 輸出の減少率は、ロイターがまとめた市場予想の 4.0% 減を下回った。 7 月は 4.4% 減だった。 税関総署は、輸出に対する圧力は第 4・四半期に一段と弱まるとの見通しを示した。 輸入は 22 カ月ぶりにプラスに転じた。 市場予想は 4.9% 減だった。 コモディティー相場の上昇と共に内需が上向きつつあることが示唆された。 7 月は 12.5% 減だった。

回復が持続可能であることが証明されれば、中国経済が不均衡に陥っているとの懸念が後退し、世界成長の支援要因となる。 8 月の貿易収支は 520 億 5,000 万ドルの黒字。 市場予想は 580 億ドルの黒字だった。 7 月は 523 億 1,000 万ドルの黒字だった。 中国政府が重工業や鉱業で過剰設備の削減を進める中、コモディティー価格が上昇したことも貿易統計を下支えし、企業信頼感を押し上げている。 (Reuters = 9-8-16)

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中国 7 月貿易統計、輸出・輸入ともに予想より大幅な減少

[北京] 中国税関総署が公表したデータによると、7 月の中国輸出は前年同月比 4.4% 減少、輸入は 12.5% 減少した。 ともに予想よりも大幅な落ち込みとなり、英国の欧州連合 (EU) 離脱決定を受け、世界的に需要の弱い状況が続いたことが示された。 輸入の減少率は 2 月以来の大きさを記録。 一連の景気刺激策にもかかわらず、国内需要もなお低迷しているようだ。

ロイター調査のアナリスト予想は輸出が 3.0% 減、輸入が 7.0% 減だった。 6 月は輸出が 4.8% 減、輸入が 8.4% 減だった。 貿易収支は 523 億 1,000 万ドルの黒字。 予想は 476 億ドルの黒字、6 月は 481 億 1,000 万ドルの黒字だった。 税関総署はデータ公表後、輸出に対する圧力は第 4・四半期初めに弱まるとの見通しを示した。 (Reuters = 8-8-16)

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中国の輸出、上半期 7.7% 減 景気回復の重し

中国の税関総署が 13 日発表した今年上半期(1 - 6 月)の貿易統計によると、輸出は前年同期比 7.7% 減の 9,855 億ドル(約 103 兆円)だった。 世界的な貿易の低迷を受けて輸出の減少傾向に歯止めがかからず、中国の景気回復の重しとなっている。 6 月単月の輸出は前年同月比 4.8% 減の 1,804 億ドル(約 18.8 兆円)で、3 カ月連続で前年同月を割り込んだ。 3 月に前年同月を上回った後、再び減少傾向に転じている。

上半期の国・地域別では、米国向けが前年同期と比べて 9.9% 減ったほか、欧州連合 (EU) 向けが同 4.4% 減、日本向けの同 6.1% 減と、主要な貿易相手への輸出が軒並み減少した。 人民元相場は元安傾向で推移しているが、輸出を押し上げるにはつながっていない模様だ。 ブラジル向けが同 36.8% 減るなど、新興国経済の変調による影響も大きい。 一方、輸入は上半期に同 10.2% 減の 7,272 億ドル(約 76 兆円)と、輸出よりも大きな減少が続いている。 中国の内需の弱さを映し出し、日本から中国への輸出も同 4.2% 減。 6 月単月では前年同月比 8.4% 減で、20 カ月連続で前年同月を割り込んでいる。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 7-13-16)

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中国の輸出、4 月は 2 カ月ぶり減 日本向けは 12% 減

中国の税関総署が 8 日発表した 4 月の貿易統計によると、輸出は前年比 1.8% 減の 1,728 億ドル(約 18.5 兆円)となった。 輸出が減るのは 2 カ月ぶり。 外需の低迷が続いており、中国の景気回復の足を引っ張りそうだ。

中国の輸出は 3 月に 9 カ月ぶりに前年を上回ったが、今年は 2 月の旧正月連休の反動で増えた部分が大きかった。 4 月は日本向けが約 12% 減、米国向けも約 9% 減と不振で、全体でも再び前年水準を下回った。 1 - 4 月の累計でも前年同期比 7.6% 減で、製造業を中心とした輸出業種に厳しい状況が続いている。 輸入は 1,272 億ドル(約 13.6 兆円)で 10.9% 減った。 18 カ月連続の前年割れで、下落幅も 2 カ月ぶりに 10% を超え、中国の内需も力強さに欠けることを表している。 日本からの中国への輸出も約 7% 減でマイナスが続いている。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 5-8-16)


中国の国有特殊鋼大手が経営破綻 債務不履行 9 回

【上海 = 小高航】 中国の国有鉄鋼大手、東北特殊鋼集団(遼寧省)が経営破綻した。 国営新華社によると、大連市の中級人民法院(地裁)は 10 日、東北特殊鋼の債権団が提出していた同社の破産申請を受理した。 東北特殊鋼は鉄鋼需要の減少やリストラの遅れから経営難に陥り、今年に入り 9 回の債務不履行(デフォルト)を起こしていた。

東北特殊鋼は遼寧省政府が約 70% の株式を保有する国有会社で、非上場。中国メディアによると、9 回のデフォルトで支払えなかった負債の合計は計 40 億元(約 600 億円)前後。 債権回収を求める債権者やサプライヤーが 9 月下旬、中級人民法院に対し破産処理を申請していた。 今回の申請受理により正式な破産処理に入り、破産管理人を中心に 9 カ月以内に具体的な債権の回収策や処理方法を取りまとめる。 地元メディアによると東北特殊鋼の負債総額は 500 億元を超え債務超過に陥っていた。

中国企業のデフォルトは急増している。 今年 1 月から 8 月中旬にかけて企業が約束通りに返済できなかった社債の総額は約 250 億元と、昨年通年の約 2 倍に膨らんだ。 中国では鉄鋼や石炭、セメントなど幅広い産業で過剰設備問題が深刻化している。 中国政府は不採算が続く「ゾンビ企業」の淘汰を訴えており、今後、企業の破綻が増える見通しだ。 (nikkei = 10-10-16)


変わる中国のものづくり 加速する技術向上の好循環

中国・広東省を中心とする華南地方が「世界の工場」と言われ始めたのは 2,000 年代初めのこと。 地元企業は外資の下請けとして技術を習得し、電気・電子分野を中心とする部品産業が集積されていきました。 やがて、その産業基盤を生かして独自の製品をつくる動きが始まります。 たとえばドローン(無人機)では中国勢が世界をリードし、最大手の DJI は世界シェア 7 割を占めます。 単なるコピー品ではなく、中国企業が世界をリードする分野が出てきたのです。

日本企業のお家芸であった重厚長大分野でも、中国企業は世界のレベルに達しつつあります。 たとえば発電プラントでも中国企業は日本勢をしのぐ製品をつくり始めました。 石炭火力で最高の省エネ効率を誇る「超々臨界圧発電」では、中国企業の技術の方がむしろ上だという評価が、日本の電力業界から聞かれます。 原子力発電でも抜かれる日はそう遠くないとの見方もあります。

国土が広いだけに、中国ではインフラ、重厚長大分野でのものづくりのチャンスは豊富。 日本とはケタ違いです。 年間 700 万人もの大学卒業生がいるだけに、エンジニアの供給もふんだん。 こうして技術向上のための好循環が形成されているのです。 中国政府は現在、景気対策も兼ねてインフラ投資を加速させていますので、この流れはまだ続くでしょう。 いつまでも「安かろう、悪かろう」のステレオタイプで中国企業を見ていると足をすくわれることになりそうです。 (週刊東洋経済 = 10-8-16)


中国経済のファンダメンタルズ堅調、世界成長に寄与 = 商務省

[北京] 世界貿易機関 (WTO) が 2016 年の世界貿易の伸び率予想を下方修正したことを受けて、中国商務省は 1 日、中国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は堅調で世界の成長に寄与していると表明した。 WTO は中国経済の減速や米国の輸入減などを理由に、今年の世界貿易の伸び率予想を 4 月時点の 2.8% から 1.7% に引き下げた。

中国商務省は WTO の予想を受け、同国が世界経済危機以降、世界の成長と通商の回復に対しプラスの寄与をしてきたと強調。 「全般的に見て、中国の経済成長の基盤は変わっていない」との認識を示した。 中国政府は今年、6.5 - 7% 成長を目標にしている。 公式データによると、第 2・四半期の中国の成長率は前年同期比 6.7% だった。 中国商務省は、国際的な需要減退に伴い加工品の貿易は弱いと認めたが、コモディティー輸入が伸びるなど明るい材料もあると指摘した。 (Reuters = 10-3-16)


中国鉄鋼大手 2 社が統合 それでも「過剰生産」是正は不透明

中国の国有鉄鋼大手、宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)が経営統合し、世界第 2 位の鉄鋼メーカーが誕生することになった。 両社は中国の国有企業で、中国政府が 2016 年 9 月末に統合を承認した。 宝鋼集団が中国宝武鋼鉄集団に社名を変え、その傘下に武漢鋼鉄集団が入る。 統合の時期などは明らかにしていない。

2015 年の粗鋼生産量は、宝鋼集団が世界 5 位の約 3,490 万トン、武漢鋼鉄集団が世界 11 位の約 2,580 万トンで、統合すると約 6,000 万トンに達することになる。 世界 2 位の中国の河鋼集団(河北省)や世界 3 位の新日鉄住金を抜き、世界トップの欧州アルセロール・ミタルに次ぐ巨大鉄鋼メーカーとなる。

中国の格安鉄鋼輸出の余波

世界の粗鋼生産量は約 16 億トンで、そのうち半分を中国が生産している。 しかし、中国経済の減速で鉄鋼需要は急減し、過剰に生産されて中国国内で消費しきれない鉄鋼が安値で輸出されて国際市況は悪化。 アルセロール・ミタルが 2015 年 12 月期決算で巨額赤字に転落するなどライバルメーカーの経営を直撃している。

日本の鉄鋼業も例外ではない。 2015 年の中国の輸出量は約 1 億トンに上り、日本勢の生産量に匹敵する規模だ。 中国の格安な鉄鋼が輸出されたあおりで、新日鉄住金、JFE ホールディングス、神戸製鋼所の大手 3 社は 2016 年 4 - 6 月期にいずれも赤字に転落した。 中国の過剰生産は各国の鉄鋼業に打撃を与えており、国際的な批判を浴びている。 そのため、中国政府も過剰生産の解消に向けて設備の削減を促し、国有の鉄鋼大手の統合を進める方針を示してきた。 今回の宝鋼集団と武漢鋼鉄集団の統合は政府主導だったとみられ、今後も業界再編が続くとみられる。

中央政府の影響が及びにくい地方の中小メーカーの存在

ただ、中国の過剰生産が解消に向かうかは予断を許さない。 今回の合併について、日本の鉄鋼業界からは「実のある形で成功させてほしい(日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長)」、「第一歩を踏み出した(新日鉄住金の宗岡正二会長)」などと一定の評価をするコメントが出ている。

しかし、中国には中央政府の影響が及びにくい地方の中小メーカーが数多く存在する。 大手が減産すると中小が増産するという構造になっているとされ、「大手の業界再編が進んでも過剰生産がどこまで是正されるかは不透明(日本の鉄鋼大手)」な状況だ。 また、再編は雇用問題へと発展する可能性が高く、中国国内での反発が予想されるだけに、どこまで実効性を伴った再編が進むか、期待しつつも半信半疑というのが日本の業界の大方の見方のようだ。 (J-cast = 10-2-16)

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中国、景気支援へ広範な企業コスト削減指針を公表

[北京] 中国国務院(内閣に相当)は、今後数年で企業の借り入れコストを効果的に引き下げるための指針を発表した。 景気減速による企業への打撃を緩和するための一連の措置のひとつ。 国務院が発表した声明によると、今後数年で企業の年間の税負担や、資金調達、労働コスト、エネルギー、物流管理コストを削減する。 3 年程度で実体経済にかかわる総企業コストを妥当な水準で削減し、「景気下振れ圧力への効果的な対応」を支援する。

声明ではまた、中央銀行は銀行システムの流動性を潤沢にし、適切な金融環境を維持するとともに準備率に差を設けることで中小企業支援を拡大するとしている。 また融資債権への妥当なプライシングを銀行に求めるほか、融資申請の際の協力預金や「非正規」の手数料徴求を禁じる。 このほかエクイティファイナンスの開発、社債発行規模の適切な拡大、一定の企業にデットエクイティスワップを認める方針だ。 一部のセクターには需給に応じてエネルギー価格の統制を緩和する。 声明によると、今後 1 - 2 年で企業の年間の税負担は 5,000 億元(751 億 6,000 万ドル)以上軽減する。 (Reuters = 8-22-16)

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中国政府系企業、鉄鋼・石炭の生産能力を 10% 削減へ = 国務院

[北京] 中国国務院は 18 日、中央政府傘下の企業が 2016 - 17 年に鉄鋼および石炭の生産能力を 10% 削減すると表明した。 2016 - 17 年という期間について、具体的な説明はない。 国務院は、政府系企業の効率性を高める措置を講じる方針も示した。 具体的には、政府系企業は向こう 3 年で、幹部の階層を現在の 5 - 9 から 3 - 4 レベルに減らすとした他、今後 2 年で 1,000 億元以上のコストを削減する方針を明らかにした。 (Reuters = 5-19-16)