中東・ドバイで集中豪雨 空港が水没 「人工雨が原因?」と疑う声も ドバイなどの観光地がある中東のアラブ首長国連邦 (UAE) で 16 日、記録的な集中豪雨により世界有数のハブ(拠点)空港であるドバイ国際空港が水没するなど大きな被害が出た。 SNS 上では近年行われている人工雨が原因だと疑う声も出たが、専門家の多くが否定している。 UAE の英字紙ザ・ナショナル(電子版)によると、国立気象センターは、現地時間の 16 日午後 9 時までの 24 時間に、同国東部アルアインで 254 ミリの降雨を観測。 UAE の平均降雨量の 2 年分が降り注いだといい、「(独立前に英保護領だった 1949 年以降)記録がある範囲で史上最高」の集中豪雨だったとした。 AP 通信によると、15 日から降り始めた雨が 16 日午前 9 時ごろに強くなり、ドバイでは 16 日の 24 時間に 142 ミリが降り、年間降雨量の 94.7 ミリを上回った。 ドバイ国際空港では滑走路の誘導路が水につかり、同日夜には到着便の受け入れが不可能に。 欠航や遅延が相次いだほか、周辺道路も冠水して陸路で空港にたどりつけなくなった。 ドバイ国際空港は X (旧ツイッター)で状況を伝え、徐々に復旧しているが、18 日午前も通常運航には戻っていないとしている。 また、公務員は在宅勤務に、学校がリモート授業にそれぞれ切り替え、プロサッカーの試合が延期されるなど、UAE の社会全体への影響が報じられた。 砂漠地帯にある UAE は本来降雨量が少なく、政府は近年、人工雨で補おうと試みている。 「クラウド・シーディング」と呼ばれ、航空機で雲の中に二酸化炭素などを入れ、化学反応によって降雨量を増やす手法だ。 SNS 上では、今回の豪雨の原因はこの人工雨だと指摘する声が上がったが、ドバイの地元紙ガルフニュース(電子版)によると、国立気象センターの専門家が「今回の豪雨の期間にクラウド・シーディングは一度も行っていない」と否定した。 AP 通信は、人工雨が豪雨につながることは考えにくく、地球温暖化による異常気象を疑うべきだとする専門家の話を伝えている。 (吉武祐、asahi = 4-18-24) 2023 年の世界平均気温、観測史上最高 24 年はさらに暑い可能性 世界気象機関 (WMO) は 12 日、2023 年の世界の平均気温が観測史上最も高かったと発表した。 太平洋の東側の海面水温が平年よりも高くなる「エルニーニョ現象」と気候変動が組み合わさって、同年後半に気温が上昇し、平均気温を押し上げたという。 23 年が年間の世界平均気温の記録を更新したことは、すでに欧州連合 (EU) のコペルニクス気候変動サービスが 9 日に発表している。 WMO はこれも含め、国際的な六つの気象データを検証した。 1850 - 1900 年に比べ、23 年の世界平均気温は 1.45 度前後(1.33 - 1.57 度)上昇した。 23 年 6 - 12 月はすべての月で月間の最高平均気温を更新した。 世界の平均気温は1850 - 1900 年と比べると、16 年は 1.29 度前後、20 年は 1.27 度前後高かった。 23 年は大幅に記録を更新した。 温暖化の国際ルール「パリ協定」では、温暖化による危険な影響を減らすため、今世紀末時点での気温上昇を産業革命前と比べて 2 度よりかなり低く、できれば 1.5 度に抑える目標を掲げる。 23 年の世界平均気温について、WMO は「世界はパリ協定で定められた限界にますます近づいている」と評価した。 これまでの予測では、27 年までに世界平均気温が一時的に 1.5 度を超えてしまう確率が 66% あるとされている。 WMO のセレステ・サウロ事務局長は「エルニーニョ現象は通常、ピークを迎えた後に世界の気温に最も大きな影響を与えるため、24 年はさらに暑くなる可能性がある」とする声明を出した。 (ワシントン = 合田禄、asahi = 1-13-24) ◇ ◇ ◇ 23 年の世界平均気温は産業革命前より 1.48 度上昇 史上最高に 2023 年は世界の平均気温が産業革命前から 1.48 度上昇し、観測史上最も暑い 1年だった。 欧州連合 (EU) のコペルニクス気候変動サービスが 9 日、発表した。 温暖化対策の国際ルール「パリ協定」のもとで抑えようとしている 1.5 度の上昇に近い世界を迎えつつある。 23 年の世界の平均気温は 14.98 度。 過去最高だった 16 年よりも 0.17 度高かった。 6 - 12 月のすべての月で前年を上回っていたという。 すでに世界気象機関 (WMO) などが、23 年が過去最高になる見込みを発表していたが、決定的となった。 温暖化の進行と、海面水温が上昇するエルニーニョ現象が背景にあるとしている。 温暖化の原因となる二酸化炭素濃度は 23 年に 419ppm (ppm は 100 万分の 1)、メタン濃度は 1,902ppb (ppb は 10 億分の 1)でいずれも過去最高。 二酸化炭素濃度の増加率に変化はないが、メタンの増加率は過去 3 年よりも小さいと分析している。 23 年は半数程度の日の気温が産業革命前と比べて 1.5 度以上高かったという。 単年で 1.5 度を上回ったとしても、すぐには世界が目指す 1.5 度目標の未達成にはならないが、熱波や洪水、干ばつのリスクが高い危険な状態にさらされたことになる。 コペルニクス気候変動サービスのサマンサ・バージェス副所長は「23 年は、気候に関する記録がドミノ倒しのように広がる異常な年だった」とした。 (市野塊、asahi = 1-10-24) ◇ ◇ ◇ 今年は史上最も暑い年、気温上昇 1.4 度に 12 万 5 千年前以来 世界気象機関 (WHO) は 30 日、2023 年は史上最も暑い 1 年になるとの見通しを発表した。 10 月末までの記録では、産業革命前よりも世界の平均気温は 1.4 度上昇しており、約 12 万 5 千年前以来とされる。 この日、国連気候変動枠組み条約の第 28 回締約国会議 (COP28) が、アラブ首長国連邦 (UAE) のドバイで始まった。 原因となる二酸化炭素の濃度は産業革命前より 1.5 倍に増え、2015 - 23 年の過去 9 年間は観測史上最も暑い年の上位を占める。 平均気温は 16 年に 1.29 度、20 年に 1.27 度上昇。 23 年は、イタリアで 48.2 度、モロッコで 50.4 度など記録的な高温も観測された。 深刻な温暖化はすでに地球に変化を引き起こしている。 国際ルール「パリ協定」の下で気温上昇を 1.5 度に抑えようとする中、人類は気候危機が現実化した未来を垣間見ている。 気温上昇を受けた世界の平均海面水温は、7 - 9 月に約 0.21 - 0.27 度上昇し、記録を大きく更新。 メキシコ湾、カリブ海など広い範囲で海洋熱波が発生した。 南極の海氷面積はフランスとドイツを合わせた面積以上の 100 万平方キロメートル減少。 氷が溶けたことに加え、海水の膨張によって、22 年までの 10 年間の海面の上昇率は、02 年までの 10 年間の 2 倍以上だった。 過去同程度に暑かったのは最終間氷期の 12 万 5 千年前ごろまでさかのぼる。 現生人類がアフリカからユーラシアに渡ったころで、地球が 0.5 - 1.5 度暑かった。 数百 - 数千年かけて約 5 - 10 メートルの海面上昇が引き起こされた。 WMO のペッテリ・ターラス事務局長は「我々は 20 世紀の気候に戻ることはできないが、これからさらに人が住みにくい気候になるリスクを抑えるために行動しなければならない」と訴えた。 (ドバイ = 市野塊、竹野内崇宏、asahi = 11-30-23) 7、8 月に続き … 9 月も最も暑かった 平均 24.91 度、記録大更新 やっぱり 9 月も過去最も暑かった - -。 気象庁データの分析から、今年 9 月は 126 年の観測史上で最も暑く、平均気温はこれまで最高だった 2012 年の記録を 1 度以上も上回る異常な暑さだったことがわかった。 気象庁は「地球温暖化の影響に加え、太平洋高気圧の勢力がまだまだ強い。 10 月も高温の傾向は続く。」としている。 千葉県銚子市や滋賀県彦根市など、気象庁が日本の平均気温を算出する際に基準としている都市化の影響を受けにくい 15 観測所のデータを、気象庁の専門家の監修を受けながら、朝日新聞が調べた。 今年の 9 月は真夏並みの気温が半ばまで続き、中旬にはいったん涼しくなったが、月末に再び暑さがぶり返した。 データが残る 1898 年以降の 126 年分について、9 月 1 - 30 日の気温の平均値をとると、今年は24・91度だった。 これまで最も暑かったのは 2012 年の 23.76 度、次いで 1999 年の 23.68 度だった。 今年は 7、8 月の平均気温も過去最高だったため、3 カ月続けて記録を更新したことになる。 都市部も暑かった。 東京都千代田区と名古屋市千種区、大阪市中央区、福岡市中央区の今年 9 月の平均気温は 27.23 度。 これまで最も暑かった 07 年の 26.36 度を 0.9 度近く上回った。 (小宮山亮磨、asahi = 10-1-23) この夏の猛暑、「温暖化がなければあり得なかった」 線状降水帯は? 今年 7、8 月の記録的な日本の猛暑は、地球温暖化がなければ起こりえなかった - -。 そんな研究結果を、東京大学大気海洋研究所の今田由紀子准教授(気候力学)らのチームが 19 日、発表した。 線状降水帯も、温暖化によって 1.5 倍発生しやすくなっていたという。 7、8 月の日本の平均気温は、観測史上最も高かった。 研究チームは、温暖化している場合と温暖化していない場合のシミュレーションを繰り返して比較する「イベント・アトリビューション」の手法で、温暖化の影響を定量化した。 今回は海面水温などは気象庁の予測値を用い、速報の形で公表した。 その結果、この春に発生した、日本に冷夏をもたらしやすいエルニーニョ現象などを考慮すると、7 月 21 日 - 8 月 10 日の記録的高温が起きる確率は、1.65% だった。 台風 6 号の発生などの影響を受け、60 年に一度の非常にまれな現象だったと考えられるという。 一方で、温暖化がなかったと仮定した気候で計算したところ、様々な偶然が重なったとしても、今回のような高温になる確率はほぼ 0% だった。 また、6 月 - 7 月上旬に日本各地で発生した線状降水帯への影響を調べたところ、温暖化していなかった場合と比べて発生数が約 1.5 倍に増えていたという結果が出た。 7 月 9、10 日の九州北部の豪雨は、温暖化の影響で総雨量が 16% 増えていたことも分かったという。 温暖化によって、大気中の水蒸気量が増えたことなどが影響したと考えられる。 今田さんは「温暖化が異常気象に与える影響の大きさを実感してもらい、高温対策や温暖化防止の取り組みへの理解につなげてほしい」と話している。 温暖化がさらに進めばどうなる? 別の研究チームは温暖化がさらに進んだ場合に、大雨の降り方がどう変わるかを調べた。 国連気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の報告書では、対策が行われず最も温暖化が進んだ場合、地球の平均気温は産業革命前と比べ、今世紀半ばに 2 度、今世紀末に 4 度上昇すると予測している。 日本全国を網羅し、従来よりも網目の細かいシミュレーションを実施したところ、国内で線状降水帯の発生頻度はこれまで(1951 年 - 2010 年の)と比べ、平均気温が 2 度上昇した場合は 1.3 倍、4 度上昇した場合は 1.6 倍になるという予測結果が出た。 また、梅雨の後半にあたる 7 月上旬は、温暖化の影響で雨が降る日は減る一方、数十年に 1 度クラスの豪雨は全国的に増加すると見られるという。 気象庁気象研究所の川瀬宏明主任研究員(気象学)は、「これまでよりも現実に近い将来予測ができた。 河川の流量がどう変化するかなどの予測にも使えるので、防災にも役立てられれば。」と話した。 (佐々木凌、asahi = 9-19-23) 8 月も最も暑かった 観測データ分析、平均 27.48 度 観測史上最も暑かった今年 7 月に続き、8 月もここ 126 年で最も暑かったことが、気象庁データの分析からわかった。 これまでの記録だった 2010 年 8 月の平均気温を約 0.4 度上回り、平均気温が最も高い 1 カ月ともなった。 9 月も猛暑が続くとみられ、気象庁は引き続き体調管理に注意を呼びかけている。 平均気温は、気象庁が日本の平均気温の基準としている千葉県銚子市など 15 の観測所について、データが残る 1898 年以降の 126 年分の 8 月 1 - 31 日の気温を、気象庁の専門家の監修を受けながら朝日新聞が独自に分析した。 その結果、今年 8 月の平均気温は 27.48 度で、これまでで最も暑かった 2010 年の 27.07 度や、2 位だった 1994 年の 26.72 度を大きく上回った。 富山県高岡市伏木では、31 日間すべてが最高気温 30 度以上となる真夏日を記録した。 15 観測所以外でも、ヒートアイランド現象の影響が加わる都市部の暑さは激しかった。 東京都千代田区と名古屋市千種区、大阪市中央区、福岡市中央区の 4 観測所は、8 月の平均気温が史上 5 位の 29.58 度となった。 千代田区も 31 日間すべてが真夏日となり、気象庁によると、記録が残る 1875 年以降初めてという。 気象庁は 1 日、6 - 8 月の平均気温が観測史上最も高くなり、「最も暑い夏」だったと発表。 平井雅之・気候情報調整官は「地球温暖化に加え、太平洋高気圧の勢力が強かったことなど、気温を上げる多数の現象が 6 - 8 月に切れ間なく続き、記録的な暑さになった」と説明した。 (小宮山亮磨、大山稜、asahi = 9-2-23) ◇ ◇ ◇ 1898 年以降で最も暑い夏 気象庁分析 気象庁の異常気象分析検討会は 28 日、この夏(6 - 8 月)の平均気温が統計を開始した 1898 年以降で最も高くなるとの見込みを発表した。 これまでは 2010 年が過去最高。 会長の中村尚・東京大先端科学技術研究センター教授は「今年の暑さは夏全体を見ても異常だ」と話した。 検討会によると、7 月 16 日 - 8 月 23 日の日中の最高気温は全国 915 観測地点のうち 106 地点で観測史上 1 位を記録。 月ごとの平均気温でも 6 月が歴代 2 位、7 月が 1 位で 8 月も暑さが続いている。 要因として、7 月後半以降に本州付近へ太平洋高気圧の張り出しが強まり、8 月に台風が日本付近をゆっくりと北上して南から暖かい空気が流れ込む状況が続いたことなどを挙げた。 (宮野拓也、asahi = 8-29-23) カナダの大規模な山火事、気候変動で起きやすさ 2 倍 国際研究チーム カナダ東部で今年 5 - 7 月に多発した山火事について、異常気象を分析する国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション (WWA)」は 22 日、気候変動との関係を調べた結果を発表した。 今回カナダでみられたような火災が起きやすい気象条件になる確率が、地球温暖化がない場合に比べて2 倍以上になっているという。 カナダでは今年、山火事で 15 万平方キロが焼け、これまでで最も焼失面積が大きかった 1989 年の 2 倍以上となっている。 6 月には煙が米東海岸に流れ、ニューヨークなどの都市で大気汚染度が深刻化して空がオレンジ色に染まった。 今月にはカナダ西部のブリティッシュコロンビア州が約 3 万 5 千人に避難命令を出している。 WWA は今年 5 - 7 月の東部ケベック州の気象条件について、気候変動の影響を受けてどれくらい山火事が起きやすい状況になっていたかを分析した。 山火事が発生する直接的な原因は雷やたき火などだが、山火事の起きやすさを評価するため、気温や風速、湿度、降水量を組み合わせた「火災気象指数」に注目し、コンピューターでの気象モデルを使って調べた。 現在はケベック州では、今回のような気象条件が 25 年に 1 度発生すると予測され「もはや、極めて珍しいわけではない」という。 産業革命前の気温と、温暖化によってそれ以降に 1.2 度気温が上昇した現状を比べると、今年の気象条件の発生確率は少なくとも 2 倍以上で、火災気象指数は 2 - 5 割高まっているという。 現在はカナダ西部での山火事が深刻化しているが、WWA の分析はまだ西部にまで至っていない。 研究グループの一人で、カナダ天然資源省の研究者ヤン・ブーランジェ氏は「気候変動は山火事が広がるのに必要な『燃料』の可燃性を大幅に高めている。 火種が一つあるだけで、その原因にかかわらず、大火へ急に変わる可能性があるということだ。」と指摘している。 (ワシントン = 合田禄、asahi =8-23-23) "家屋崩落" アラスカで非常事態宣言 氷河崩れ洪水 … 川や湖の水位急上昇 アメリカのアラスカ州でとけた氷河が崩れ落ちた勢いで川や湖の水位が急上昇。 洪水が発生し、住宅が崩れ、流される事態となりました。 ■ "家屋崩壊" アラスカで非常事態宣言 岸辺の白い家がまるで川に吸い込まれるように崩れ落ちたのです。 突然、河川が増水し、流された崖の上の家。 原因は氷河の融解。 場所はアメリカ最北端アラスカ州。 氾濫した川はメンデンホール湖から流れていますが、湖と隣接する氷河の氷が大量に流れ込み、急激に水位が上昇。 世界で最も市街地に近い氷河と呼ばれ、川沿いに住宅があり、街の中心部まで 20 キロほどしか離れていません。 川は氾濫し、流される木々。 白い家が崩落する前、川まで数メートルの緑がありましたが、濁流で地面は削り取られ崖っぷちに追い込まれ、土台の土砂がなくなり崩落したのです。 ■ "まるでお風呂" 海水温が 38.4℃ アメリカ各地を襲った猛烈な嵐。 「この時間の速報です。 アメリカ東海岸が深刻な悪天候に見舞われています。 (CNN)」 8 月としては異例の強力な嵐がアメリカ東部を襲い、竜巻も発生。 「1 億 2,000 万人以上が悪天候のリスクにさらされています。 (CNN)」 また、海が異常な高温になっていることが判明。 アメリカ海洋気象庁によると、フロリダ州南部のマナティー湾では先月 24 日、水深 1.5 メートルの場所で 38.4℃ を記録。 お風呂とほぼ変わらない暑さにまで水温が上昇。 AP 通信は専門家の話として海水温の世界記録を更新する可能性があると報じてます。 (テレ朝 = 8-8-23) 7 月の気温、125 年で最も高く 温暖化の影響で 45 年ぶり記録更新 今年の 7 月は日本の観測史上、最も平均気温が高かったことが、気象庁の観測データの分析から分かった。 19 世紀末に近代的な観測が始まって以降、最も暑かったのは 1978 年だったが、45 年ぶりに記録を更新した。 地球温暖化の影響で気温が上がりやすくなっていたことに加え、7 月下旬にフィリピン周辺を台風が立て続けに通過し、太平洋高気圧の勢力が強まって気温が上がったとみられる。 気象庁は全国各地で観測した 1 時間ごとの気温を平均し、その日の平均気温として公開している。 朝日新聞はこのうち、気象庁が国内の平均気温の基準としている 15 の観測所について、気象庁の専門家の監修を受けながら、データがある 1898 年以降の 7 月 1 - 31 日の平均気温から、各年の 7 月の平均気温を出した。 その結果、今年 7 月の平均気温は 25.96 度だった。 7 月上旬は 24 度前後でそこまで暑くなかったが、10 日ごろから 26 度を超える日が相次ぐように。 雨もほとんど降らず、25 日以降は 1 日の平均気温が 28 度を上回る例のない暑さが続いた。 これまでで最も暑かった 1978 年 7 月の平均気温は 25.58 度。 この年は梅雨明けが異常に早く、日照りが続いて全国的に気温が上がったほか、水不足もあって稲作に被害が出た。 だが、今年はそれを上回る記録になった。 熱中症の救急搬送も急増している。 総務省消防庁の速報値では、7月 3 - 30 日の 4 週間で、全国の搬送数は 3 万 3 千人に達した。 この 126 年で、7 月の平均気温は 1.5 度ほど上がった。 地球温暖化の影響とみられ、特に 2000 年以降は気温の上がり方が急激になっている。 最高気温が 35 度以上の猛暑日は、1920 年ごろまではゼロの年もあったが、2000 年ごろから急に増え始めた。 都市部はさらに激しい。 15 観測所は千葉県銚子市や長野県飯田市、沖縄県石垣島など、都市化の影響を受けにくい地域が選ばれている。 そこで、東京都千代田区と名古屋市千種区、大阪市中央区、福岡市中央区の 4 観測所を調べたところ、今年 7 月の平均気温は 28.84 度で、1994 年の 29.18 度、18 年の 28.92 度に続く 3 位だった。 この 126 年で 2.3 度上がった。 気象庁の平井雅之・気候情報調整官は「地球温暖化の進行で、記録的な暑さになりやすくなっている。 日本では 8 月が 1 年間で最も暑く、今年は平年と比べても高温になる予報だ。 例年以上に熱中症に注意する必要がある。」と語った。 (小宮山亮磨、asahi = 8-1-23) 7 月の世界平均気温、過去最高更新の見通し … 新疆ウイグル自治区で 52.2 度 【ジュネーブ = 森井雄一、ワシントン = 田島大志】 世界気象機関 (WMO) は 27 日、今年 7 月の世界の月間平均気温が過去最高を更新する見通しだと発表した。 WMO によると、5 月から各地で海面水温が高い状態が続き、7 月の異例の高温をもたらした。 6 日には世界の平均気温が過去最高となるなど記録的な暑さが続き、月間で過去最高だった 2019 年 7 月を上回る見込みだという。 中国・新疆ウイグル自治区のトルファン市内では 16 日の気温が過去最高の 52.2 度まで上昇したほか、イタリア西部サルデーニャ島では 24 日に 48.2 度、チュニジアの首都チュニスでは 23 日に 49 度を観測した。 ペッテリ・ターラス事務局長は「7 月の異常気象は気候変動の厳しい現実であり、未来の予兆だ。 温室効果ガス削減の必要性はかつてないほど緊急性を増している」と述べた。 米国のバイデン大統領は 27 日、米国でも記録的な猛暑が続いていることを受けてホワイトハウスで演説した。 バイデン氏は「気候変動の影響を否定できない」と対策の必要性を訴え、野党の共和党にも協力を呼びかけた。 政府に熱中症警報を出すよう指示したことも明らかにした。 熱波による山火事が続くギリシャでは 27 日、中部ネアアンヒアロスにある空軍の弾薬庫に火災が広がり、爆発が起きた。 地元紙カシメリニなどによると、弾薬庫は空軍基地近くにあり、F16 戦闘機の弾薬や爆弾などが保管されていたという。爆発によるけが人はいない。 (yomiuri = 7-28-23) 欧州でも熱波 … ローマで過去最高 41℃ ギリシャ・ロードス島で山火事発生 45℃予想も 熱波の影響を受け、イタリアの首都・ローマでは 18 日に過去最高となる気温 41℃ を記録しました。 その一方で、北部・ミラノ周辺では天候が急変して竜巻が発生し、氷の塊や大粒のひょうが降りました。地元メディアによりますと、住宅が倒壊するなどの被害が出て、これまでに少なくとも 110 人がけがをしているといいます。 一方、エーゲ海に浮かぶギリシャのロードス島でも、熱波の影響で 18 日に山火事が発生しました。 炎が強風にあおられて、各地に広がっています。 現在も消火活動が続けられているということです。 地元当局は 22 日、観光客を含む 2,000 人以上が沿岸警備隊の船や 30 隻以上の民間ボートで避難したと発表しました。 ロイター通信によりますと、その後、避難民は 1 万 9,000 人に達したと報じられています。 また現地では一時、気温が 45℃ にまで上昇すると予想されたことから、ロードス島やギリシャの他の多くの地域で、山火事が発生する危険性が非常に高いと警告されているということです。 (テレ朝 = 7-24-23) 世界の平均気温、3 日連続で史上最高か 7 月 3 日から初の 17 度超え 今月 3 - 5 日の世界の平均気温が観測史上初めて17 度を超えた暑さだったことが、米メーン大学のチームの分析でわかった。 これまでの最高は 2016 年 8 月と 22 年 7 月に観測された 16.92 度だった。 深刻化する地球温暖化に加え、太平洋の東側の海面水温が平年よりも高い状態が続く「エルニーニョ現象」が 4 年ぶりに発生していることが影響しているとみられる。 研究チームは、米国立環境予測センター (NCEP) のデータを元に分析。 極域も含めた 3 日の世界平均気温は 17.01 度、4、5 日は 17.18 度だったという。 過去の傾向では、7 月末から 8 月にかけて 1 年で最も気温が高くなるため、今後も更新される可能性がある。 米海洋大気局 (NOAA) や世界気象機関 (WMO) などの公式な記録ではない。 今年は世界各地で熱波被害や記録的な暑さが確認されている。 カナダでは高温と乾燥が引き金となり、森林火災が頻発。 6 月には煙が米ニューヨークの空を黄色に染めた。 英国でも今年 6 月の平均気温は観測史上最も高かった。 中国では記録的な猛暑が続き、北京市では 6 月、初めて 3 日連続で最高気温が 40 度を超えた。 南極でも、海氷の面積は過去最小を更新し続けている。 日本でも気象庁が 6 月末に発表した 3 カ月予報によると、今夏の気温は、東日本では平年並みか高く、西日本や沖縄・奄美では高くなる見込み。 猛暑日が増える可能性を指摘している。 分析結果は クライメート・リアナライザーのホームページ から見ることができる。 (市野塊、asahi = 7-6-23) 北大西洋で異常な海洋熱波、「前代未聞」と専門家 北大西洋の一部で、海水温が急激に上昇している。 英国とアイルランドの沖合では異常な海洋熱波が観測され、海洋生物に与える影響が懸念されている。 米海洋大気局 (NOAA) によると、北海はカテゴリー 4 (極度)の海洋熱波に見舞われており、所によっては海水温が通常よりも最大で 5 度高くなっている。 海面温度は世界的に上昇しており、4 月と 5 月の海面温度は 1850 年に観測が始まって以来、最高を記録した。 英気象庁によれば、北大西洋の 5 月の温度は平均を約 1.25 度上回った。 英スウォンジー大学のリチャード・アンズワース准教授は今回の大西洋の海洋熱波を「前代未聞」の現象と位置付け、「この地域の気候変動に関する最悪の予測をはるかに超えている。 この海域のこれほど急激な変化は本当に恐ろしい。」と CNN に語った。 魚類やサンゴ、海草といった海洋生物にとってのリスクは大きい。 こうした生物は特定の範囲内の温度での生息に適応しており、水温が上昇すればストレスを受けて死ぬこともある。
米テキサス州の湾岸地域には今月、何千匹もの魚の死骸が漂着した。 海水温が上がると酸素の含有量が減ることから、専門家はこの大量死について、海水温の上昇と関係があると見ている。 2021 年にはカナダの西海岸で甲殻類およそ 10 億匹が極端な熱波のために死んだ。 極端な海洋熱波の背後にはさまざまな要因がある。 英気象庁は「人間が引き起こした気候変動の上に、気候の自然な変動が重なるという昔からの現象。」と解説している。 (CNN = 6-21-23) 異常熱波で 1 週間に 96 人死亡 インド北部と東部 2 州に集中 バリア、インド : 熱波に見舞われたインド北部と東部で、過去 1 週間に 96 人が死亡した。 保健当局が 6 月 18 日、明らかにした。 大量の死者が出たのは北部ウッタルプラデシュ州と東部のビハール州で、当局は 60 歳以上や病気の住民に、日中外出を控えるよう呼び掛けていた。 ウッタルプラデシュ州のバリアでは 18 日の最高気温が、平年より 5 度高い 43 度を記録したが、この暑さのため 54 人が死亡した。 当局の調べでは、死者のほとんどが 60 歳以上で、持病があり、それが猛暑で悪化した可能性があるとのことだが、同地では過去 3 日に約 300 人が、熱波による体調不良を訴えて病院に収容されたという。 東部ビハール州では過去 2 日間で、42 人の死亡が確認された。 死者のうち 35 人は、州都パトナの 2 つの病院で死亡し、下痢や嘔吐を訴える患者が 200 人以上治療を受けた。 インドではモンスーンの雨で気温が下がるまでの 4 月と 5 月、6 月の短い夏の間、ほとんどの地域で気温が最も高くなるのが一般的だが、この 10 年で気温はより厳しくなっているという。 (AP = 6-19-23) 今夏はスーパーエルニーニョが発生か 専門家「気温が未知の領域に」 山火事の煙で赤く染まった空、記録的な高温 - -。 世界で続く異常気象は、人間の活動による温暖化により、起こりやすくなっている。 今年は世界的な異常気象の原因とされる「エルニーニョ現象」が 4 年ぶりに発生した。 地球規模で気温を上げ、気候変動を加速しうる。 45 度を超す熱波 多発する山火事 高層ビルが連なるニューヨークの空が今月 7 日、赤く染まった。 原因は 500 キロ以上離れた隣国カナダの山火事だ。 今春に高温と乾燥が続き、制御不能な火災が 200 近くの場所で広がった。 風によって米国の各都市にも煙が広がった。 流れ込んだ煙の粒子が一部の光の波長を遮り、赤く照らした。 街中は大気汚染レベルが上がり、新型コロナの全盛期のように、マスクをつけて歩く人も増えた。 欠航する飛行機や休校になる学校もあった。 ニューヨーク市のアダムス市長は 7 日の会見で「前例のない出来事だ。 はっきりさせたいのはこれが最後ではないということだ。 気候変動はこの状況を加速させている。」と語った。 今回の山火事と気候変動を直接結びつける研究はまだない。 ただ、カナダでは 2017 年にも山火事が多発。 同様の山火事が温暖化の影響で 2 - 4 倍起きやすくなっているという研究もある。 今年は世界各地で熱波や山火事が相次いでいる。 イスラエルでは 6 月上旬に熱波が発生。 地元メディアによると、ヨルダン渓谷では 45 度を記録し、200 件を超える山火事が発生した。 ロシア国営タス通信によると、シベリアでも 4 月以降、山火事が広がり、死者も出ている。 4 月以降、バングラデシュやインド、ラオス、タイやその周辺国を熱波が襲い、タイでは観測史上最高の 45 度を超える都市もあった。 4 月下旬には、欧州南西部や北アフリカの国々でも、この時期の平年の気温より 20 度高くなった。 異常気象を分析する国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」がアジアや欧州南西部の熱波を分析したところ、地球温暖化によって大幅に起きやすくなっているという結果が出た。 日本では平年より大幅にサクラの開花が早まり、5 月には 35 度を超える猛暑日となった地点もあった。 気象庁は 3 - 5 月の気温が平年より 1.59 度高くなり、観測史上最も暑い春だったとしている。 産業革命以降、化石燃料を燃やしたことで、地球の気温は約 1.1 度上がっている。 国連の気候変動に関する政府間パネル (IPCC) は、「10 年に 1 度」の熱波や干ばつの起こりやすさがそれぞれ 2.8 倍、1.7 倍になっていると指摘する。 さらに、気候変動を悪化させる事態が起きつつある。 専門家「数年は温暖化が加速したような状態に」 気象庁異常気象情報センターの楳田貴郁(うめだたかふみ)所長が指すモニターは赤く染まっていた。 太平洋東部の海面水温が平年より高いことを示している。 「エルニーニョ現象が発生しているとみられます。」 前回は 2018 年秋 - 19 年冬で、約 4 年ぶりだ。 エルニーニョ現象は、世界各国の気象機関が監視する。 異常気象のきっかけにもなると考えられているからだ。 「長期的な気温や降水量の傾向に影響を与える」と楳田さんは話す。 気象庁は 1992 年からエルニーニョ現象の監視を始め、「監視速報」を毎月発表しており、「日本の季節予報にとって重要な現象だ」と楳田所長は説明する。 エルニーニョ現象が発生すると、海流や気流が平常時と変わるため、干ばつになりやすくなる場所もあれば、豪雨が起きやすくなる場所もある。 また、世界全体の海面水温や気温が上がる。 世界の平均気温が史上最高だった 2016 年は春まで強いエルニーニョ現象が続いていた。 一方で近年は、地球の気温を下げるラニーニャ現象が続いて発生していた。 温暖化による気温上昇がラニーニャにより抑えられてきたと考えられている。
世界気象機関 (WMO) のターラス事務局長はそう警告する。 予測では、今後 5 年間、世界平均気温が過去最高レベルになる可能性が高い。 地球温暖化の国際ルール「パリ協定」では産業革命からの気温上昇を 1.5 度に抑えることを目指すが、一時的に 1.5 度を超えてしまう確率が 66% あるという。 「今夏以降は世界中で想定外の異常気象が起こる可能性」 「この夏は、普段のエルニーニョよりも強い、いわゆるスーパーエルニーニョになるだろう。」 東京大大気海洋研究所の渡部雅浩教授(気候力学)は警戒を強める。 通常のエルニーニョ現象の時のペルー沖の海水温上昇は 1 度ほどだ。 気象庁は、今夏から秋にかけて 2 度以上上昇する可能性があると予測している。 また、太平洋の赤道域全体に蓄えられた熱の平年との差は、既に 4 月の時点でエルニーニョ現象が過去最も強かった 97 - 98 年と同程度に達していた。 今回も発達のポテンシャルが高いと考えられる。 渡部さんは、「今後数年は温暖化が加速したような状態になるかもしれない。 強いエルニーニョの影響と、地球温暖化が重なり、今夏以降は世界中で想定外の異常気象が起こる可能性がある。」 三重大大学院の立花義裕教授(気象学)によると、温暖化がエルニーニョ現象、ラニーニャ現象の発生頻度に影響を与えるかは分かっていない。 だが、仮にエルニーニョ現象が起きやすくなれば、それ自体が温暖化を加速させる可能性もある。 海水の温度が上がると、海が吸収できる二酸化炭素の量が減るからだ。 また、近年は世界的にエルニーニョ現象・ラニーニャ現象が発生しても、典型的な気候にならないことも多い。 立花さんは地球温暖化による偏西風の蛇行が影響しているとみている。 「温暖化が進めば、異常気象が通常気象になってしまう。 すでにそうなりつつある。」と警鐘を鳴らす。 砂糖・コーヒー高騰 経済に大きな影響 エルニーニョ現象は、各地の食料生産や経済にも大きな影響を与える。 ロイター通信によると、米海洋大気局 (NOAA) が 8 日、エルニーニョの発生を発表すると、砂糖とコーヒーの先物価格が急騰した。 砂糖の生産地であるインドやタイ、ブラジル、コーヒーの生産が世界 2 位のベトナムに大きな影響があると予測されたためだという。 オーストラリアの穀物やインドネシアやマレーシアでのパーム油や米の生産も減少する可能性がある。 国連食糧農業機関によると 2015 - 16 年にはアフリカを中心に約 6 千万人以上が食料不安に陥ったという。 また、ペルーでは、豪雨によりデング熱を媒介する蚊が大量発生し、流行が拡大する恐れがあるという。 英ダートマス大学の研究者らが今年 5 月に米科学誌サイエンスで発表した論文では、エルニーニョが発生した 1982 - 83 年と 97 - 98 年のそれぞれによるその後数十年間の経済的影響を調査。 それぞれ世界で 4.1 兆ドル(約 570 兆円)、5.7 兆ドル(約 795 兆円)の損失となった。 特に大きな影響を受けたのは熱帯地方の低所得国だったという。 論文著者のジャスティン・マンキン助教授は「エルニーニョは気候変動による不平等を増幅させる」と指摘している。 (佐々木凌、ワシントン = 合田禄、asahi = 6-13-23) |