クルーズ船で入国、中国人は姿を消した キノコ園に潜伏

大型クルーズ船の客として入国した外国人がこつぜんと姿を消す - -。 そんなケースが相次いでいる。 博多港に上陸した中国人は、失踪後、兵庫県の山あいの農園で働いていた。 国は昨年、訪日外国人を増やそうとクルーズ船客の入国審査を簡略化しており、そこが狙われた可能性がある。 兵庫県篠山市の山あいにあるキノコ園。 兵庫県警が 11 月 30 日、中国人の男女 7 人を出入国管理法違反(不法残留)の疑いで現行犯逮捕し、身柄を大阪入国管理局に引き渡した。

捜査関係者によると、うち 4 人が 10 - 11 月に博多港(福岡市)に入港したクルーズ船の乗客だった。 篠山市まで約 470 キロ。 栽培ハウスで朝から晩まで働き、2、3 畳ごとにベニヤ板で仕切られた居住棟で寝泊まりした。 収入は月 20 万円ほどだった。 「不法就労の外国人がいる。」 匿名の通報が大阪入国管理局にあり、係官が県警の捜査員と踏み込んだ。 「4 人はほとんど日本語を話せない。 自力でキノコ園にたどり着くことは不可能で、裏で手引きした人物がいるはずだ。」と捜査関係者は指摘する。

捜査関係者によると、4 人のうち遼寧省出身で、夫とともに逮捕された 30 代の女は、キノコ園での仕事を中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の書き込みで知ったと供述。 子どもの学費を稼ぐため青島発のクルーズ船(定員約 900 人)に乗って 11 月 4 日に入国。 博多から新大阪まで行くと「車で迎えに来てくれた」という。 山東省出身の 30 代と 50 代の男は、上海発のクルーズ船(定員約 3,500 人)で 10 月 17 日に博多港へ。 調べに「篠山で働かないか、と港で声をかけられた」と説明しているという。

キノコ園の近隣住民によると、園は 10 年ほど前からあり、経営者は次々に変わってきた。 知人を介し、8 月から園を借りていたという大阪府豊中市の会社代表の男性は取材に対し、「運営は中国人の『工場長』に任せていたのでわからない。 事件後、工場長とは連絡がとれない。」と話した。 (asahi = 12-16-16)


技能実習生の待遇差別禁止へ 「日本人と同等以上に」

外国人技能実習制度適正化法が 11 月に成立したのを受けて、実習生の人権を守る具体策の原案を政府がまとめた。 日本人との待遇格差や違法な長時間労働を禁止すると基本方針に掲げた。 新設する「外国人技能実習機構」が監督して不適切と判断した受け入れ先には、実習生の受け入れを認めないことも盛り込んだ。 政府は実習生の受け入れ拡大を進めており、現在の実習生は約 21 万人で、劣悪な労働環境を改善することが同法の目的。

今回の案は、そうした問題に対する具体策を明文化したものだ。 法務省と厚生労働省は共同でまとめたこの案を近く公表し、パブリックコメントを募集したうえで、同法が全面施行される来年度に実施する見通し。

基本方針では、これまでの問題点を踏まえ、@ 日本人との待遇格差の禁止、A 違法な長時間労働の禁止、B 報酬からの不当な経費天引きの禁止、C 実習生の意に反して実習期間中に帰国させることの禁止 - - などを掲げた。 受け入れ企業は、報酬が「日本人と同等以上」であることを示す資料とともに実習計画を機構に提出し、認定を受けなければ受け入れができない。 実習生が負担する食費などの必要経費も、本人が同意していることを機構が確認する。 (金子元希、asahi = 12-15-16)


失踪する技能実習生、その大半が中国人「不法滞在者の働き口が増えた」 = 中国報道

厚生労働省によれば、日本の技能実習制度は、「技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力すること」が目的であり、中国からも多くの人が技能実習生として来日し、日本で技術を学んでいる。 だが、中国メディアの中華網は 7 日、中国やベトナム、インドネシアなどから日本に来ている技能実習生の失踪が年々増加していると伝えた。

記事は、日本が受け入れている技能実習生の多くは中国人であることを紹介しつつ、失踪する技能実習生についても「その大半が中国人だ」と指摘した。 また、2011 年から 15 年までの 5 年間で失踪した中国人技能実習生の数は約 1 万人に達すると伝えつつ、「中国経済の発展により、中国人の所得も徐々に伸びてきているものの、それでも失踪して不法滞在する中国人にとって日本の給与水準は依然として魅力的なのだ」と主張した。

さらに、不法滞在の中国人にとって、以前は「不法滞在であることを知っている」中華料理店などでしか働き口がなかったとしながらも、日本が 2015 年 4 月に外国人が日本で起業する際の制限を撤廃したことで、不法滞在者の働き口が増えたと主張。 多くの中国人が経営管理ビザを取得して日本で会社を設立するようになったことで、こうした会社では「人件費を抑えるために不法滞在者を雇用している」と伝えている。 (SearChina = 12-8-16)

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消えた中国人 5 年間で 1 万人超 昨年の失踪外国人が最多 治安に影響も

技能実習制度に盲点

働きながら技術を学ぶ「技能実習制度」で来日した外国人の失踪が昨年 5,800 人を超え、過去最多に上ったことが 30 日、法務省への取材で分かった。 全体の約半分が中国人で、現行制度成立後の統計によると、平成 23 年からの 5 年間で計 1 万人超が失踪している。 多くが不法滞在となっているとみられ、国内の治安にも影響を与えかねないことから、捜査当局は警戒を強めている。 (sankei = 10-31-16)


人手不足の介護、頼みは外国人 待遇・言葉の習得に課題

外国人が日本で働きながら技術を学ぶ「技能実習」の対象を介護職にも広げることが今国会で決まった。 2025 年に 38 万人の人材不足を見込む介護現場では来年以降、外国人が確実に増えていく。 介護分野には、これまでも、経済連携協定 (EPA) などで働くことが認められてきた一部の外国人がいる。 その現場から、高まる期待と、待遇や言葉の壁などの課題を考えた。

大阪府北部、池田市の山際に立つ瀟洒な有料老人ホーム。 24 人が入居する 3 階部分で、フィリピン人のマリシェル・オルカさん (37) は、リーダーとして日本人職員 15 人を束ねる。 外国人の介護職での受け入れは 08 年にインドネシアとの EPA で始まった。 09 年フィリピン、14 年ベトナムと加わって計 2,777 人が来日。 オルカさんはフィリピンからの第 1 陣だ。 12 年に EPA 初の介護福祉士試験の合格者(36 人)の一人となり、ずっと日本で働く資格を得た。

食事の時間、関西弁で入居者に語りかけつつ、同僚に目配せして指示を出す。 入居者の都賀谷千代子さん (97) は「マリさん」と呼ぶ。 「ええ人や。 誰の話にものってくれる。 外国人でも全然気にならへんよ。」 フィリピンの大学で理学療法を学び、06 年に日本に留学した。 帰国後に理学療法士の仕事がなく、来日。 悩みの種だった関西弁にも慣れた。 「人の命のかかった仕事。 プライドを持ってやってる。」 故郷の母親には月 6 万円を送金する。

17 施設を経営する社会福祉法人・池田さつき会は 09 年以降、EPA の枠組みでフィリピン人 13 人を雇い、3 人がすでに介護福祉士資格を取った。 生活面をケアする担当者をおき、来年から帰国休暇や往復の旅費負担の制度も設ける。 伊丹谷(いたみや)五郎理事長 (72) は「受け入れに 1 人 100 万円近くかかった。 それでも外国人職員はもっと必要になる。」と言い切る。 来年には技能実習生も約 20 人受け入れ、オルカさんを指導役にする構想を描く。 (asahi = 12-4-16)

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介護、外国人受け入れ拡大へ 法案、今国会成立の見通し

外国人技能実習生の受け入れ先への監督を強化する技能実習制度適正化法案と、外国人の在留資格に「介護」を新設する出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正法案が 17 日、参院法務委員会で賛成多数で可決された。 両法案とも今国会で成立し、来年から新たな制度が始まる見通し。 人材不足に悩む介護現場で、外国人の受け入れが広がる見込みだ。

適正化法案では、違法な低賃金で実習生を長時間働かせている現場があることを踏まえ、本国との窓口になる監理団体や、受け入れ先となる企業への監督を強化。 企業は、新設する認可法人「外国人技能実習機構」に実習計画を提出し、認定を受けた上で実習生を受け入れる。 パスポートを取り上げるなどの人権侵害行為への罰則も設けた。 また、現在は最長 3 年となっている実習期間を、優良な受け入れ先については最長 5 年に延長し、実習生の受け入れを拡大する。

一方、政府はこれまで経済連携協定 (EPA) に基づく特例でしか認めてこなかった外国人の介護職での受け入れを広げる。 適正化法案の施行に合わせ、対象職種に新たに介護の分野を加えるうえ、入管法の改正案でも在留資格に「介護」を加える。 「留学」の在留資格で来日した人が国内の専門学校などで学び、介護福祉士の国家資格を取った場合、「介護」の在留資格に切り替えたうえで介護現場で働けるようになる。 さらに、入管法の改正案では、在留資格を偽装する外国人の取り締まりも強化。 懲役や罰金を科せるようにする。 (金子元希、asahi = 11-18-16)


中国人実習生に月最大 139 時間法定時間外労働

福井の縫製会社、労基法違反疑いで書類送検

福井労働局大野労働基準監督署は 29 日、中国人技能実習生に最大で月 139 時間の法定時間外労働をさせたとして、労働基準法違反の疑いで、福井県勝山市の縫製会社「ラコーム」と関連 5 社、実質的経営者 (68) を書類送検した。 書類送検容疑は昨年 10 月 - 今年 2 月、労使協定で定めた月 50 時間の残業時間を超え、工場で縫製業務に従事する中国人技能実習生 32 人に 100 時間以上の時間外労働をさせたとしている。

福井労働局が 6 月、違法な残業をさせた疑いがあるとしてラコームや関連会社の 6 社を家宅捜索していた。 労使協定を超えた時間外労働は別の帳簿で管理していたという。 経営者の男性は弁護士を通じて「改善するべき点は改善した。 今後も適正に業務を行いたい。」とのコメントを出した。 ラコームや関連 5 社は女性用のスラックスなどの製造を手掛ける。 (sankei = 11-29-16)


外国実習生を国別に採点 受け入れ団体 HP 「差別的」批判受け削除

外国人技能実習生の受け入れ監理団体「国際事業研究協同組合(本部・高松市)」が「国別の介護技能実習生のポテンシャル」と題して、東南アジア 6 カ国の実習生の学習能力や親日度などを国ごとに評価し、介護への適性を採点した表をホームページに公開していたことが 26 日、分かった。 専門家は「個人の資質は国別に決まるものではない。 先入観で点数を付けるのは差別的だ。」と批判。 介護現場で働く外国人の大幅増につながる二つの法律が成立したが、実習生を受け入れる側の意識や目的が問われそうだ。

組合は同日までに共同通信の取材に応じ「差別と言われて思い当たることがあった」として表を削除した。 表では、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、ミャンマーの 6 カ国について「介護への適性」など 8 項目を設け、計百点満点で評価。 「◎」、「△」などと優劣を示す記号を併記し、総合点の高い順に並べていた。 「介護への適性」の項目では、判断基準を「心から弱者をいたわる奉仕の気持ちがあるか。 年長者を尊重する国民性か。」と説明。 点数の低い国を「△(あまり適していない)」と評価した。

他にも「学習能力が高いか」、「仕事を投げ出さないか」、「日本に強い憧れがあるか」、「真面目で純粋な人材が海外に流出し、枯渇していないか」といった基準を記載していた。 実習生の問題に詳しい指宿昭一(いぶすきしょういち)弁護士は「採点基準が介護とほとんど関係ない。 外国人をいかに安価な労働力として使うかという考え方が透けて見える。」と話す。

法人登記によると、この組合はほぼ全国を事業エリアとし、実習生の受け入れや職業紹介などを展開。 HP では元駐カナダ大使らを顧問として紹介している。 担当者は取材に、評価は現地調査などに基づくとした上で「介護施設が受け入れの際に慎重に判断するため、国ごとの特徴を理解してもらう目的だった」と説明した。

介護現場の外国人増につながる二つの法律は、改正入管難民法と技能実習適正化法で、18 日に参院本会議で成立。 施行後には実習生が介護の仕事に就けるほか、外国人が介護福祉士の資格を取れば日本での在留資格を取得できるようになる。 実習生への人権侵害を防ぐため、受け入れ先の監視機関を設置し、罰則も設けている。 (東京新聞 = 11-26-16)

<外国人技能実習制度> 途上国の経済発展を担う人材を育てるため、外国人を日本国内の企業や農家などで受け入れて技術を習得してもらう制度。 1993 年に導入された。 期間は最長 3 年。 今年 6 月末時点の実習生は約 21 万人で中国人が最も多く、近年はベトナム人が急増。 国内外から「低賃金労働者の確保に利用している」との批判を受け、違法な時間外労働や賃金不払いの人権侵害も指摘されている。 4 月 1 日時点で、対象は農業や機械加工、自動車整備など 74 職種。


中国の SNS で口座不正入手 … 「日本帝国洗黒群」の実態

中国本土で最も利用者が多いとされるメッセンジャーサービス「テンセント QQ」を使い、日本にいる中国人技能実習生らに呼びかけて銀行口座や住民票を不正入手し、不正送金などの犯罪ツールに使う - -。 そんなマネーロンダリング(資金洗浄)組織の存在が、愛知県警の捜査で明らかになった。 組織が自らつけた、QQ におけるグループ名は「日本帝国洗黒群(日本帝国マネロングループ)」。 彼らが関与したとみられる不正送金の被害額は、昨年 7 月 - 今年 4 月で計約 2 億 1 千万円にのぼるという。

QQ には SNS 機能もあり、「LINE」のようにグループを作ることができる。 捜査関係者によると、マネロングループ内では日本にいる中国人実習生らに向けて、銀行口座や携帯電話の契約に必要な身分証や住民票の買い取りを持ちかけるメッセージがあった。 実習生らがグループに売却した事例も確認された。 県警は昨年 7 月 - 今年 10 月、口座の不正譲渡やインターネットの不正契約などの疑いで、このグループなどに参加していた実習生を含む中国人男女 12 人を逮捕。 2 人を書類送検した。 QQ 内で広告を出し、1 口座あたり 5 万 - 20 万円ほどで買い取っていたとされる。

県警は、これらの口座が不正送金の振込先や携帯電話の不正契約に使われたとみている。 指示役とみられる中国人の男の逮捕状をとったが、すでに帰国したとみられるという。 サイバー犯罪対策課によると、QQ 内にはほかに、銀行口座を買い取る「名古屋研修生黒工交流(名古屋研修生不法仕事グループ)」や、保険証や住民票などを買い取る「名古屋手機業務弁理(名古屋携帯等不正契約グループ)」というグループがあったという。 同課は主犯格の男らに気付かれないよう、これらのグループ内のやりとりを監視。 マネロングループの存在が明らかになったという。

「5 万円で売った」実習生逮捕

マネロングループ摘発の端緒となった不正送金事件では、実際に口座を売った実習生も逮捕されている。 昨年 7 月、東京都内に住む女性の口座から 300 万円が不正に引き出され、愛知県田原市の実習生の女名義の口座に移されていた。 県警はこの口座を不正に譲渡したとして、犯罪収益移転防止法違反(口座譲渡)容疑で女を逮捕した。 女は「交際中だった中国人実習生の男に 5 万円で売った」と供述したという。

QQ を使った犯罪に巻き込まれないよう、中国でも注意を促す動きがある。 2 年前に来日した名古屋市の男性実習生 (25) は来日前、通っていた中国・湖北省の日本語学校で「犯罪になるので、決して自分のキャッシュカードを第三者に渡したりしないように」と釘を刺されたという。 県警幹部は「日本の口座が不要になる、帰国が近い実習生が狙われやすい」と指摘する。 (大野晴香、asahi = 11-22-16)


14 時間労働、無休で月 15 万円 … 技能実習、過酷な現実

17 日に参院法務委員会で可決された技能実習制度適正化法案の主な狙いは、外国人技能実習生の保護だ。 日本の技術を伝える国際貢献の制度なのに、実習生が安い労働力として使われている現実がある。 不当な低賃金や長時間労働の事例も後を絶たず、関係者は法案の効果をはかりかねている。

残業 141 時間、手帳に記録

今年 2 月、技能実習生のベトナム人女性 (29) の手帳には「8→10h」の文字がびっしりと並んだ。 岐阜県の零細縫製業者での労働時間を記録したものだ。 月曜から土曜までは午前 8 時 - 午後 10 時、日曜日は午前 8 時 - 午後 6 時。 休日はなかった。 余白にメモした「141」は、月の残業が 141 時間だったことを示している。 仕事は婦人服の縫製で、基本給は約 11 万 8 千円。 日々の残業代は 1 時間目のみ 905 円。 2 時間目以降は 1 時間あたり 550 円で、最低賃金を下回っていた。 休みなしで働いても月収は約 15 万円だった。

9 月、実習生を支援する愛知県労働組合総連合(愛労連、名古屋市)に SNS でメッセージを送った。 「私たちを救って下さい。 疲れ切っています。」 一緒に働く5 人のベトナム人実習生と共にベトナム語で状況を伝え、労働時間を記録した手帳や給与明細の写真を送った。 労働基準法で通常賃金から割り増すよう定めている残業代は逆に割り引かれ、土曜日分の賃金の不払いが強く疑われた。 愛労連が 10 月、労働基準監督署に申告したところ、今月、業者から実習生 6 人に解雇通知書が届いた。 「業務継続の見通しが立たず、本日をもって廃業します」とあった。

岐阜労働局によると、岐阜県内の労基署が昨年 4 - 12 月、実習生を受け入れている「繊維製品製造業」の一部にあたる 38 事業場を監督指導した結果、35 事業場で法令違反が確認された。 違反内容は残業の割増賃金違反、最低賃金法違反、長時間労働の順に多かった。

工賃下がり、下請け苦境

背景にあるのが縫製業界の工賃の低さだ。 ある業者から愛労連に届いた文書には「1 日の仕事量、経費を考え、適正な工賃でなかった場合、メーカーに工賃の見直しをお願いしていました」などと下請けの苦境ぶりがつづられていた。 法務省の在留外国人統計によると、岐阜県内の実習生は全国 4 位の 1 万 395 人。 実習生の受け入れ先に助言、指導する公益財団法人「国際研修協力機構」の統計では、うち 4 割が縫製業で働く。 榑松(くれまつ)佐一・愛労連議長は「外国製品との激しい価格競争で工賃は下がり、安い賃金では日本人も集まらない。 岐阜の縫製業は実習生抜きには成り立たない。」とみる。

法案には、受け入れ業者や監理団体を監督する機構の新設が盛られている。 榑松議長は「限られた人員で、悪質な業者や団体を抜き打ちでチェックできるのか、新法では担保されていない」と疑問を持つ。 神戸大大学院の斉藤善久准教授(日越労働法)は、違法な業者や団体を減らす効果は期待できるとみるが、「規制の厳格化や手続きの煩雑化に対処する経費が、実習生に転嫁される恐れがある」と心配する。

また、斉藤准教授は日本と送り出し国との間で規制に矛盾があるとして「一体的な法整備が必要だ」と指摘する。 例えば、日本は、送り出し機関が失踪を防ぐために実習生に保証金を求めることを禁じているが、ベトナムは 3 千ドルを上限に許可しているという。 (増田勇介、諸星晃一、asahi = 11-18-16)


技能実習生を月 131 時間働かせた外衣下着製造業者を送検 鳥取労基署

鳥取労働基準監督署は、技能実習生に違法な時間外・休日労働をさせたとして、外衣下着製造業のシバ・ガーメント(鳥取県八頭郡)と同社代表取締役を労働基準法第 32 条(労働時間)違反の疑いで鳥取地検に書類送検した。

同社は平成 28 年 4 月、中国人 5 人とカンボジア人 3 人計 8 人の技能実習生に対し、時間外労働に関する労使協定(36 協定)で定めた 1 日 2 時間、1 カ月 30 時間の限度時間を超えて違法な時間外労働をさせた疑い。 1 人 1 日当たり 2 時間 15 分 - 3 時間 45 分の時間外労働を延べ 112 回行わせていた。 1 カ月当たり最長 131 時間 25 分、法定労働時間を含む総労働時間は最長約 302 時間だった。

違法な休日労働は、延べ 28 回に及んだ。 なお、日本人労働者に対しては、違法な時間外、休日労働はなかったという。 さらに、同社は 28 年 4 月 21 日 - 5 月 20 日の間、割増賃金も払っていなかった。 違法な労働時間の実態は、同労働局が定期監督をした際に発覚した。 何度か指導したものの改善がみられなかったことから、書類送検に踏み切っている。 「少しでも経費を削減したかった(同社)」と述べており、現在、未払い賃金は支払ったという。 (労働新聞 = 11-15-16)


外国人差別、国が実態調査へ 11 月から 1 万 8 千人対象

特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチなど、外国人への差別的な言動が各地で起きていることから、法務省は国内に住む外国人を対象に、差別に関する初めての実態調査を 11 月から始める。

3 カ月を超える在留資格を持つ人など 18 歳以上の 1 万 8,500 人が対象。 外国籍の住民が多い札幌市、東京都港区、名古屋市、大阪市、福岡市など全国 37 の自治体を通じ、調査票を送る。 日本語、英語のほか、中国語、韓国語、ベトナム語、ポルトガル語など計 13 の言語に対応。 「外国人であることを理由に差別を受けたことがあるか」や「外国人に対する差別を見聞きしたことはあるか」などを聞くほか、具体例を尋ねる質問もある。

回答は民間の公益財団法人に分析を委託し、年度内に結果を公表。 今後の人権政策に反映させる考えだ。 日本で 3 カ月を超えて暮らす外国人や特別永住者は、今年 6 月末で 230 万人を超えて過去最多。 同省はポスターの配布などを通じて外国人の人権尊重を促す啓発活動をしてきたが、差別はなくなっていない。

これまでは各地の法務局が窓口になって被害の相談を受け付けてきた。 昨年受理した外国人の差別に関する「人権侵犯事件」は 85 件。 「ビジネスホテルに宿泊の予約をしようと電話したら、外国人であることを理由に拒否された」などの被害の相談が寄せられた。 過去には「アパートの入居を拒否された」、「子どもが学校でいじめられた」、「外国人客を一切受けない方針の理容店があった」などの相談もあったという。

数年前からは、ヘイトスピーチも各地で相次いでいる。 同省の調査では、12 年 4 月から 15 年 9 月までの 3 年半で、ヘイトスピーチのデモや街宣が全国で 1,152 件確認された。 同省はデモの主催者らに人権侵害があったとして勧告をしてきた。 ヘイトスピーチの解消に向けた取り組みを国や自治体に求める対策法も、今年 6 月に施行された。 こうした現状を踏まえ、同省はさらに効果的な啓発活動などの施策に結びつけるためには、差別がどのようなときに起きているのかなど、実態を明らかにする必要があると判断した。 (金子元希、asahi = 10-30-16)

調査の質問例

  • 日常の生活で差別を受けたことがあるか
  • 外国人に対する差別的なデモなどを見たことがあるか
  • インターネットで国内の外国人に対する差別的な表現を見たことがあるか
  • 外国人であることを理由に仕事で不利な扱いを受けたことがあるか
  • 差別をなくすため、行政にどんな取り組みを求めるか

外国人差別をめぐる近年の出来事

  • ヘイトスピーチに賠償判決 : 2013 年 10 月、京都地裁が「在日特権を許さない市民の会」による朝鮮学校付近での街宣活動を「侮辱的、差別的で人種差別に該当」と認め、同会などに損害賠償を命令。 14 年に最高裁で確定した。
  • J1 浦和レッズ横断幕騒動 : 14 年 3 月、埼玉スタジアムで開かれたサッカー J1 浦和 - 鳥栖戦で、「JAPANESE ONLY」との横断幕が掲げられた。 J リーグは浦和に史上初の無観客試合開催の処分を科した。
  • 「お遍路」貼り紙騒動 : 14 年 4 月、四国霊場八十八カ所を巡る参拝者らが休憩する徳島県内の小屋に「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」などと記された紙が貼られていることが発覚。 香川、愛媛両県でも同様の貼り紙が見つかる。
  • ヘイトスピーチのデモ差し止め : 16 年 6 月、ヘイトスピーチを繰り返す団体の主催者の男性が予定したデモについて、横浜地裁川崎支部がデモを禁止する仮処分決定。 ヘイトスピーチ対策法を受けての初の司法判断。

外国人技能実習の適正化法案、可決 監督強化へ 衆院委

政府が受け入れ拡大を進めている外国人技能実習生について、衆院法務委員会は 21 日、受け入れ先への監督を強化する技能実習制度適正化法案と、出入国管理および難民認定法(入管法)の改正法案を可決した。 いずれも昨年の通常国会で継続審議となっており、政府は今国会での成立を目指す。 「外国人技能実習制度」は海外に日本の技術を伝える国際貢献を目的として、1993 年に始まった。 安倍政権は製造業などでの人手不足を補うために受け入れをすすめており、5 年ほど前は 15 万人程度だったが、今年 6 月末時点では過去最多の 21 万人に達した。

だが、実態は低賃金で長時間労働を強いる「安価な労働力」となっているとして、内外から批判もあった。 厚生労働省などのまとめでは、長時間労働など労働基準法に違反する職場や、労災事故が増加しており、待遇改善が課題となっていた。 厚労省と法務省が共同で提案した今回の法案では、受け入れ先の企業や団体を監督する「外国人技能実習機構」を新設。 受け入れ先は機構に実習計画を示し、認定を受けることが求められる。 また、暴行や脅迫によって無理に働かせることや、パスポートを取り上げるといった人権侵害行為に対し、懲役や罰金などの罰則も設ける。

違法行為に厳しく臨む一方で、実習生の受け入れを進めるため、これまで「最長 3 年間」だった実習期間を最長 5 年に延長。 人手不足が深刻な介護の分野が対象職種に加わる予定だ。 一方、技能実習生として入国してまもなく実習先から逃亡し不法滞在する事例も増えている。 このため、入管法を改正し、在留資格の偽装の取り締まり策を強化する。 懲役や罰金を科せるようにする。 これとは別に、入管法の改正では、介護の現場で外国人がより多く働けるようにするため、「介護」の在留資格を新たに設ける。 日本で介護福祉士の資格を得た人が対象となる。 (金子元希、asahi = 10-21-16)

法案のポイント

技能実習制度の適正化法案

  • 実習生の受け入れ先を監督する外国人技能実習機構を新設
  • 実習生ごとに実習計画をつくり、機構が内容をチェックする
  • 実習生の人権を侵害する行為への罰則を設ける
  • 実習生の受け入れ期間を最長 3 年から 5 年に延長

入管法の改正法案

  • 在留資格に介護を新設
  • 在留資格を偽装する外国人への罰則を設ける

フィリピン人実習生の過労死認定 岐阜労基署が申請促す

外国人技能実習生として岐阜県の鋳造会社に勤務し、2014 年に死亡したフィリピン国籍のジョーイ・トクナンさん(当時 27)について、岐阜労働基準監督署が 8 月、長時間労働が原因の過労死として労災認定していたことが 18 日までに、労基署への取材で分かった。

労基署が昨年、遺族に書類を送り労災申請を促していた。 外国人技能実習生権利ネットワーク(東京)によると、人手不足で低賃金の労働力としての実習生受け入れが拡大し、労働災害が増加している。 実習生の過労死は 10 年に茨城県潮来市の金属加工会社で中国人実習生が労災認定された事例があり、同ネットワークによると全国 2 例目とみられる。

岐阜労基署によると、鋳造会社の実習生としてジョーイさんは 11 年 8 月に来日し、鉄を切断したり鋳型に薬剤を塗ったりする作業に従事。 14 年 4 月に心疾患のため従業員寮で死亡した。 同年 1 月末から 3 カ月間で、1 カ月に 96 - 115 時間の時間外労働(残業)をしていた。

労基署はジョーイさんが死亡したとの情報を受け、同年 5 月から鋳造会社に立ち入り調査を実施。 労災に当たると判断し、昨年からフィリピンに住む遺族へ申請書類の送付や通訳の手配などの支援を続けていた。 遺族には特別支給金 300 万円が支払われるほか、遺族年金が毎年約 200 万円給付される。 厚生労働省と法務省によると、今年 6 月末の外国人実習生数は過去最大の約 21 万人。 15 年に法令違反を指摘された事業所数も 3,695 カ所と過去最多を更新した。 (kyodo = 10-18-16)


宿泊料代わりに外国人客働かせた疑い ホステル社長逮捕

札幌市のホステル(宿泊施設)で外国人客 2 人が無料宿泊の代わりに不法就労したとされる事件で、北海道警は 12 日、ホステル運営会社「万両(東京都台東区)」の社長小沢弘視(こざわひろし)容疑者 (45) = 東京都墨田区横網 1 丁目 = ら 3 人を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕し、発表した。

ほかに逮捕されたのは、ホステル責任者の野浪迪子(みちこ)容疑者 (34) = 札幌市中央区南4条西 13 丁目 = と、夫でホステル従業員のルクセンブルク国籍・バルタザール・スベン容疑者 (32) = 同。小沢容疑者は「自分が指示してやったが、ボランティアで清掃してもらう見返りだった」、野浪容疑者は「現金を渡してはいないのでいいと思った」と容疑を一部否認しているという。

道警によると、小沢容疑者ら 3 人は 11 日、観光ビザで滞在中のマレーシア人の女 (30) = 出入国管理法違反容疑で現行犯逮捕 = と中国人の女 (19) = 同 = の宿泊代 2 千円を免除する代わりに、就労資格がないのにベッドメイキングや清掃などをさせた疑いがある。 小沢容疑者らは働くことに同意する契約書を作成し、女 2 人を 1 日 3 時間働かせていたという。 (asahi = 10-12-16)

〈編者注〉 日本人学生には、働きながら観光旅行する、いわゆる "ワーキングビザ" を発行する国もあるのではないかと思われます。 しかし、かようなシステムは日本に無いはずで、金銭の受け渡しが無くとも、明らかに法律違反になります。 3 時間の無償就労とのことですが、もし残りの時間を他の場所で就労していたとなれば、新手の "ノービザ就労" の為の入国となり、事態は深刻です。


移民国家化する日本 「外国人労働者受け入れ」がもたらす悲惨な未来 = 三橋貴明

ドイツ事例に見る移民国家化の弊害とは

安倍政権は外国移民について、「働き方改革実現会議」を活用し、技能実習制度から「外国人労働プログラム」制度に移行しようとしています。 さらに、国家戦略特区「から」農業分野に外国移民を流入させようとしているのです。 国家戦略特区の政策は、最終的には「全国化」されるという仕組みです。

安倍晋三首相は 4 日開いた国家戦略特区諮問会議で、農業分野で特区への外国人労働者の受け入れを検討する方針を示した。 厚生労働省の有識者検討会はインドネシアなどの外国人介護福祉士の就労を、平成 29 年度にも訪問介護サービスに拡大する方針を決定。 人口減少や高齢化で深刻な担い手不足に悩む現場の労働力を確保しやすくする狙いだ。

現行制度では外国人労働者が農業に従事することは認められていない

安倍首相は諮問会議で農業分野への外国人受け入れは特区の重点課題だと強調。 法改正も視野に「実現に向けた議論を加速する」と述べた。 特区の場所を含め、制度の詳細は今後検討する。

「技能実習制度」と、土木・建設、介護、農業で推進されている「外国人労働プログラム」の何が違うのか

技能実習制度は、表向きは数年間(産業によって違います)技能実習生として外国人が労働に従事し、その後は「帰国する」という制度なのです。 もちろん、「実習期間」終了後に失踪する外国人が少なくなく、問題になっていますが、「表向き」は実習期間終了後に外国人に帰国してもらう仕組みです。 また、何しろ「実習生」であるため、最低賃金以下で働かせるケースが頻発し、問題化しています。 技能実習生は外国人労働者ではなく、あくまで「実習生」なのです。

産経の記事に「外国人労働者が農業に従事することは認められていない」とありますが、技能実習生は OK です。 というわけで、現実に農業の現場では「主に中国人を中心とする」外国人が実習生として働いています。 技能実習生に中国人が占める割合は、およそ 7 割です。 さて、上記の「理屈」で外国人労働者を受け入れると、何が起きるのか。 雇用者側(実習生受け入れ側)が、「せっかく外国人を雇用し、仕事を覚えてもらったにも関わらず、なぜ帰国させなければならないんだ! 政府は何とかしろ!」という声が「必ず」出てくるのです。 と言いますか、経営者であれば、この気持ちが分かるはずです。

ドイツでは 1950 年代以降の高度成長期、西ドイツが超人手不足に陥り、労働力が必要になりました。 当初は南欧(イタリア、ギリシャ、スペインなど)から労働者を呼び寄せたのですが、ご存じの通りトルコからの流入も始まります。 当初は、トルコ人男性が単身で来独し、簡易宿舎や寮に寝泊まりし、工場や建設現場で働きました。 トルコ人労働者はゲストアルバイター(出稼ぎ労働者)と呼ばれ、1 - 2 年間で入れ替わる「ローテーション制」であるとされていましたし、考えられていました。

ところが、外国人労働者を受け入れた企業側は、仕事を覚えた労働者を手放したくはありませんでした。 さらに、外国人労働者側は、人間として当たり前の感覚として「家族」を呼び寄せようとします。 結果的に、外国人労働者はドイツに居残り、家族を呼び寄せ、集住化し、「国の中の国」が次々に作られていきます。 第二次世界大戦後にドイツが受けれた外国移民の数は、5 千万人を数え、現在は住民の 8 人に 1 人は外国生まれです。

ドイツは「経済界」の要望により、移民国家化したのです

昨年、ドイツに流入した移民・難民の数は 110 万人。 当初、ドイツの財界は移民について「優秀な(安い)労働者」ということで歓迎しました。 「ドイツ経済は人手不足に苦しんでいる。 優秀なシリア難民の流入は、ドイツの人手不足を解消する」といった、どこかで聞いたようなレトリックが使われていたのです。 とはいえ、現実には難民の雇用は遅々として進みません。 15 年秋にコンチネンタル(自動車部品大手)が難民を対象に、インターンシッププログラムに参加する 50 人を募集しました。 ところが、1 年経ったにも関わらず、募集枠は 30 人しか埋まりませんでした。

16 年 6 月時点で給与を得られる職に就いている移民・難民は、前年同月比で 2 万 5 千人、増えただけでした。 6 月前の一年間で、ドイツに流入した移民・難民数は 73 万 6 千人です。 結局、移民・難民はドイツ財界が望む「安い賃金で働く優秀な労働者」にはならなかったのです。 彼ら、彼女らの生活は、ドイツ国民の負担によって支えられることになります。 このドイツの事例を見ていながら、日本では「外国人労働者で、人手不足を解消を!」と、安倍政権が推進する。 同時に、反対側で「生産性向上のための技術投資、設備投資で人手不足を埋める」と、正しい政策もやっています。

完全に、政策分裂症に陥っています

結局、安倍総理が根本を理解していないか、もしくは「正しい政策(生産性向上)を理解しつつ、構造改革派(竹中氏ら)の意向に沿った政策を推進するため、真逆の政策を推進している」のいずれかだと思います。 わたくしとしては、「いや、安倍総理は外国移民政策の問題点は理解してくれてるよ!」とか、勝手に総理の意向を忖度するのではなく(どうせ「真実」は分かりませんし、分かったところで意味もありません)、後者(構造改革派の言いなり)という前提で批判をしていく必要があると確信しているのです。 (三橋貴明の「新」日本経済新聞 = 10-9-16)

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農業・訪問介護に外国人 担い手不足を解消

安倍晋三首相は 4 日開いた国家戦略特区諮問会議で、農業分野で特区への外国人労働者の受け入れを検討する方針を示した。 厚生労働省の有識者検討会はインドネシアなどの外国人介護福祉士の就労を、2017 年度にも訪問介護サービスに拡大する方針を決定。 人口減少や高齢化で深刻な担い手不足に悩む現場の労働力を確保しやすくする狙いだ。

政府はこれまで原則として、高度で専門的な分野に限定して外国人労働者の就労を認めてきた。 一方で外国人労働力が不可欠となっている分野もある。 法的に活動の場を広げ、足踏みする日本経済を底上げする。 現行制度では外国人労働者が農業に従事することは認められていない。 安倍首相は諮問会議で農業分野への外国人受け入れは特区の重点課題だと強調。 法改正も視野に「実現に向けた議論を加速する」と述べた。

特区の場所を含め、制度の詳細は今後検討する。 農林水産省によると、16 年 2 月時点の農業就業人口は前年比 8.3% 減の 192 万 2,200 人で、1990 年の 4 割程度にまで落ち込んでいる。 外国人の活用に向けた新制度では、日本人と同等以上の報酬を支払うことを義務付け、入管難民法の特例を活用することなどを想定している。 途上国の外国人を実習生として農家などで受け入れ、技術を習得するために働いてもらう既存の「外国人技能実習制度」は維持する方向だ。 一定期間、実習を受ければ、特区で働ける仕組みも検討する。 (中国新聞 = 10-5-16)


経済視察でベトナム派遣 (福島)県が 11 月、企業の参加募集

(福島)県は 11 月 17、18 の両日、県内企業関係者らによる「経済ミッション」を 9 年ぶりにベトナムへ派遣する。 日本貿易振興機構福島貿易情報センター(ジェトロ福島)や東邦銀行と連携し、ベトナム進出を検討している企業に参加を呼び掛け、首都ハノイの工業団地や県内からの現地進出企業を視察する。 4 日の 9 月定例県議会の一般質問で佐藤雅裕議員(自民、福島市)の質問に内堀雅雄知事が答えた。

ベトナムへの経済ミッションは平成 19 年 11 月以来となる。 10 人程度で訪問団を編成する計画で近く募集を開始する。 工業団地を視察し、現地の投資環境や企業活動の現状、従業員の働きぶりなどについて理解を深める。 県商工総務課は「現地への進出だけではなく、技能実習生の受け入れなど人的交流を考えている会社にも関心を持ってほしい」としている。

ベトナムは ASEAN (東南アジア諸国連合)各国の中でも近年経済成長が著しい。 人件費が安く、勤勉な国民性、外資系企業誘致に対する政府の積極姿勢などから、中国に代わる進出先として注目が高まっている。 県によると、県内に本社を置く企業も製造業を中心に十数社が進出している。 (福島民報 = 10-5-16)