トヨタ HV、欧州で絶好調 ディーゼル不正で人気移行?

トヨタ自動車が強いハイブリッド車 (HV) の売れ行きが、欧州と北米で明暗を分けている。 ディーゼル車の不正があった独フォルクスワーゲン (VW) の地元、欧州では絶好調。 一方の北米では原油安が HV の燃費性能を埋もれさせ、苦戦を強いられている。 トヨタは 27 日、HV の欧州での 1 - 8 月の販売が前年同期より 45% 多かったと発表した。 販売台数は 17 万 9 千台で北米とほぼ並び、通年で北米を初めて上回る可能性も出てきた。

欧州の 1 - 8 月では、新型を出したプリウスが昨年の 2 倍の 1 万 2 千台超の売れ行き。 小型車オーリスや SUV の RAV4 も、HV タイプが最も人気だった。 トヨタ幹部が「急に HV が伸びた理由はよく分からない」と話すのに対し、ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹氏は「昨年発覚した VW の不正の影響で、欧州で主流のディーゼルの競争力が落ちたのが一因」と分析する。 (友田雄大、asahi = 9-29-16)


歩行者対応の自動ブレーキ搭載 マツダ、アテンザを改良

マツダは中型車「アテンザ」を改良して売り出した。 エンジン出力を細かく制御して、カーブなどを滑らかに曲がれる新技術を搭載した。 ディーゼル車は音を抑え、室内を静かに保つ工夫もした。 自動ブレーキは、車だけでなく歩行者も作動対象にした。 ガソリン車が消費税込み 276 万 4,800 円から、ディーゼル車が同 317 万 5,200 円から。 (asahi = 9-27-16)


車のライト、夜間の自動点灯を義務化へ 20 年 4 月から

国土交通省は、暗くなると車のヘッドライトが自動で点灯する「オートライト」の搭載を、2020 年 4 月以降に売り出される新型車からメーカーに義務づけることを決めた。 日没前後の「薄暮」の時間帯に多発する高齢の歩行者らの事故を減らす狙い。 10 月に、道路運送車両法に基づく車の保安基準を改正する方針だ。

オートライトは、車に搭載されたセンサーが明るさを感知し、自動で点灯、消灯をするもの。日本自動車連盟 (JAF) の調査によると、国内ではすでに約 3 割(14 年 8 月時点)の車にオートライトが搭載されている。 ただこれらはドライバーが手動で点灯・消灯を選択もできる。 新基準では、昼間や停車中は手動で点灯・消灯できるが、夜間走行中は強制的に自動点灯され、自分で消すことはできなくなる。 これにより、暗くて視界が悪くなっているのに、ドライバーが「まだよく見える」と思い込み、点灯が遅れて事故につながるのを防ぐ狙いがある。

国交省は、晴天の日の日没 15 分ほど前の明るさにあたる 1 千ルクス未満になると、2 秒以内に点灯するように義務づける方針。 国際的にも安全運転に十分な明るさとされる 7 千ルクスを超えたら、5 分以内に消灯する。 1 千 - 7 千ルクスで点灯するかどうかはメーカー各社の判断に任せるという。 詳細は 10 月に改正する車の保安基準で規定する方針だ。 20 年 4 月より前に発売された型式の車には適用されない。 (伊藤嘉孝、asahi = 9-22-16)

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ハイビーム使用を … 横断死亡 96% が「下向き」

歩行者が夜間に道路を横断中、車にはねられた昨年 1 年間の全国の死亡事故 625 件のうち、96% の車のライトがロービームだったことが警察庁の調査でわかった。 同庁はハイビームを使っていれば防げた事故もあるとみており、21 日から始まる秋の全国交通安全運動の重点項目としてハイビーム使用を呼びかける。

近年、交通事故による死者は減少傾向にあり、昨年の交通事故の死者は 4,117 人。 このうち、自動車や自転車などに乗っていた死者は 2,571 人で、過去 10 年で 46% 減少した。 一方、歩行中の死亡者は 1,534 人で 28% 減にとどまるため、同庁が歩行者の横断中の事故に絞って初めて集計、分析した。 夜間の死亡事故 625 件では、ロービームが 597 件を占め、残りはハイビーム 9 件、補助灯 6 件、無灯火 13 件だった。

ロービームは 40 メートル先までしか照らせないため、歩行者に接近するまで気付かないことが多い。 日本自動車連盟 (JAF) の実験では、5 人のドライバーが夜間に障害物のあるコースを時速 80 キロで走行したところ、障害物に気付いて停止できた場所は、100 メートル先まで照らせるハイビームが平均 82 メートル手前だったのに対し、ロービームは平均 5 メートル手前だった。

昨年の死亡事故が 213 件と、都道府県別で最多だった愛知県では、夜間の歩行中の死亡事故 50 件のうち、ハイビームは 1 件だけで、残りはロービームや消灯だった。 同県警の検証では、このうち 26 件でハイビームを使っていれば、ドライバーも歩行者も互いに早く気付き、命が助かった可能性が高いという。 警察庁の担当者は「ハイビームが目に入るとまぶしいため、ロービームで走行する人が多いとみられる。 その遠慮が死亡事故につながってしまっている」と分析する。

ヘッドライトの使い分け方について、道交法 52 条は、対向車や前を走る車があり、そのドライバーにハイビームの光がまぶしく安全な交通を妨げる恐れのある時は、ロービームを義務づけているが、同庁の担当者は「歩行者を早く発見するために原則ハイビームで運転し、明るく対向車が多い市街地では、状況に応じて切り替えてほしい」と話す。 普段はハイビームを使い、歩行者に気付いた瞬間にロービームにすることで、歩行者の目に入る光量が変わり、車の接近を早めに知らせる効果も期待できるという。 (yomiuri = 9-21-16)

〈編者注〉 ハイビームにすることにより防げる事故も当然あるでしょうが、ハイビームにすることにより増える事故も多いのではと憂慮します。 先ずは、反射光ギラツキ防止のバックミラー装着を義務付けなければいけませんし、カーブしている道路には、中央分離帯に遮光壁を設けなければいけません。 トータルで事故を減らす工夫をすることが大前提になります。


「ドラえもんジェット」、日航が導入 中国路線に特別機

日本航空は 21 日、特別塗装機「ドラえもんジェット」を羽田空港(大田区)で発表した。 同社の機体にドラえもんが描かれるのは 2012 年以来 3 度目で、今回は主に中国路線での就航。 国際線は初めてとなる。 ドラえもんジェットに使用されるのはボーイング 767-300 型で、機体前方にタケコプターを身に着けた縦 4.6 メートル、横 5.9 メートルのドラえもんが描かれている。 後方は東京スカイツリーなどの街並みや、出入り口が「どこでもドア」の塗装がされている。 機内では搭乗客に対し、オリジナルポストカードや特製の紙コップで飲み物が提供されるという。

過去 2 度はアニメ映画とのタイアップで特別塗装がされたが、今回は中国でも人気が高いドラえもんを前面に出し、訪日客の増加や日航の知名度向上を図るという。 また、上海と北京でドラえもんをテーマにしたイベント開催や、中国語でのキャンペーンサイトを設ける予定。 (辻健治、asahi = 9-22-16)


ホンダ「フリード」全面改良 「シエンタ」がライバルか

ホンダは 16 日、小型ミニバン「フリード」を全面改良し、売り出した。 小型車の運転のしやすさと、ミニバンの使い勝手のよさの両立をめざした。 子育て世代だけでなく、子供が手を離れた「子離れ層」も有望な売り先として想定する。 3 列シートで 6 - 7 人が乗れるが、小型車「フィット」がベースのため小回りがきく。 車内でくつろげるよう、1 列目から 3 列目までの距離は先代に比べ 9 センチのゆとりを持たせた。 シートの厚みを薄く削るなどの工夫で、車体全長は 5 センチの拡大にとどめた。 床は低くし、乗り降りや荷物の積み下ろしを楽にした。

ミニバンは 2000 年代初めに子育て世代の人気を集めた。 ホンダの寺谷公良日本本部長は「3 列シートの便利さを知った人は、子離れ後も、いざという時は多人数で乗れる車を求めた」という。 08 年発売の先代は「子離れ層」の買い替えにも支えられ、累計 58 万台を販売。 新型もこの成功モデルを踏襲し、既に月の販売計画の 2 倍超の 1 万 3 千台の予約を集めている。

しかし、市場環境は厳しい。 3 列シートの小型ミニバンでは、昨年 7 月にトヨタ自動車が 12 年ぶりに全面改良した「シエンタ」の売れ行きが好調だ。 燃料 1 リットルあたり 27.2 キロという低燃費ハイブリッド車 (HV) モデルや、個性的な外観が支持され、今年上半期の販売は前年同期の 8 倍に達した。 新型フリードの HV の燃費はシエンタと全く同じ値まで向上させており、激しい販売合戦が繰り広げられそうだ。 フリードの価格は消費税込み 188 万円から。 2 列シートの「フリード + (プラス、定員 5 人)」は 190 万円から。 (榊原謙、asahi = 9-17-16)


JR 九州が上場へ、売出規模は約 3,920 億円

[東京] 九州旅客鉄道(JR 九州)は 15 日、新規株式公開 (IPO) を決議した。 東京証券取引所への上場は 10 月 25 日。 株式の売り出し規模は約 3,920 億円となり、LINE を上回る今年最大の IPO となる見通し。 JR 九州の株主、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有する 1 億 6,000 万株をすべて売り出す。 想定売り出し価格(2,450 円)で試算すると、売り出しの規模は約 3,920 億円。

株式は 10 月 26 日に福岡証券取引所にも上場する予定。 株式売出しのグローバルコーディネーターは野村証券、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券、JP モルガン証券。 政府は鉄道事業の民営化に伴って段階的に株式を売り出し、完全民営化を進めてきた。 今回の株式の売り出しは、1993 年から順次始まった東日本旅客鉄道(JR 東日本)、西日本旅客鉄道(JR 西日本)、東海旅客鉄道(JR 東海)に続き、JR では 4 社目。 (Reuters = 9-15-16)


テスラ、日本市場に新型 SUV 投入 来年から低価格車も

電気自動車 (EV) 専業の米テスラ・モーターズが 12 日、新型のスポーツ用多目的車 (SUV) を日本でも売り出した。 従来モデルも含め、高級車路線で一定の成功を収めてきたが、EV をつくる他社と同じく販売台数はまだ少ない。

普及をめざし、来年からは低価格車も出す。 発売した「モデル X」は、後部座席のドアが上方に開き、翼のように広がるデザインなどが特徴だ。 7 人乗りで消費税込み 895 万円から。 日本法人のニコラ・ビレジェ社長は「盛り上がる SUV 市場に、唯一無二の EV で乗り込む」と話した。

1 回の充電で走れる航続距離は最長 542 キロで一般的なガソリン車並みだが、高速道路での車線変更など最先端の自動運転機能も備える。 ハンドル操作に伴う車の曲がり具合の調整なども、ネットを通じてできるという。 テスラは、起業家イーロン・マスク氏らが 2003 年に設立した。 工場は、かつて米ゼネラル・モーターズとトヨタ自動車の合弁会社が運営していた跡地を利用。 搭載する大容量のリチウムイオン電池は、パナソニック製だ。

ただ、いまのところ電池は高価で、航続距離を伸ばそうとすると EV の価格を押し上げてしまう。 そこで主力セダン「モデル S」をはじめ、大型で内装にもこだわった高級車路線をとったところ、目新しい高級 EV を買ってくれる富裕層の支持を得た。 それでも 16 年の生産能力は 8 万 - 9 万台で、年 1 千万台を売るトヨタなど大手とは競争の次元が異なるとされてきた。

テスラはいま、状況を変えて EV をもっと普及させようとしている。 電池のコストダウンなどを通じ、価格を 500 万円前後に抑えた新型「モデル 3」の販売を 17 年から順次始める。 計画を発表した今年 3 月末からの予約は、テスラがこれまで世界で売った 14 万台を超え、37 万台に達した。 (榊原謙、青山直篤、asahi = 9-13-16)


地下鉄で宅配、実験開始 有楽町線に貨物列車走る

東京メトロやヤマト運輸などの大手物流会社が 9 日、東京都心の地下鉄・有楽町線に貨物列車を走らせる実証実験を始めた。 2020 年東京五輪も念頭に、トラックに代わる都心の渋滞の影響を受けない新たな物流網の構築を目指す。 午前 10 時すぎ、東京都江東区の新木場車両基地。 ヤマトの配送員 5 人が、普段は人が乗る 10 両編成の列車に、宅配物を模した段ボール箱入りのケース五つを積み込んだ。

計画では、ヤマトと佐川急便、日本郵便の 3 社の荷物を有楽町線などで運ぶ。 荷物は都心の有楽町駅などで下ろし、配達員がオフィスビルへ届ける。渋滞に左右されず、二酸化炭素の排出削減も期待される。 ただ、駅構内では作業場所の確保が難しいなど課題もある。 9、10 月の金、土曜に計 10 日行う実験で課題を洗い出し、乗客への影響も調べる。 (伊藤嘉孝、asahi = 9-9-16)


北極海にクルーズ大型客船、史上初 温暖化で可能に

米旅客船会社の大型客船が、北極圏を通過して太平洋から大西洋に抜けるツアーを航海中だ。 乗客約 1 千人を乗せ、米アラスカ州から出発し、約 1 カ月でニューヨークを目指している。 地球温暖化の影響で北極海の氷が減り、夏場は通常の船舶でも航行できるようになったためで、大型客船の航行は史上初という。

米クリスタル・クルーズ社(本社・ロサンゼルス)の所有するクリスタル・セレニティ号(6 万 8,870 トン)。 8 月 16 日にアラスカ州スワードを出港し、米大陸北岸に沿って太平洋から大西洋に抜ける「北西航路」を通過する。 9 月 1 日現在、カナダ北方の北極諸島からグリーンランドに向かっている。 その後、北大西洋を南下して 16 日にニューヨークに到着する。

クリスタル・クルーズ社によると、乗客約 1 千人、乗員約 660 人が搭乗。 費用は 1 人最低 2 万 2 千ドル(約 220 万円)で、上級客室は 12 万ドル。 氷河に覆われた景色を楽しみながら、ホッキョクグマなど野生動物を観察したり、少数民族の集落を訪問したりできるという。 (ワシントン = 小林哲、asahi = 9-2-16)


キャップなし、手間いらず給油口 日産セレナに初採用

セルフ式のガソリンスタンドで給油する時に手間がかからず、手も汚れにくい「キャップレス給油口」が普及し始めた。 豊田合成は 30 日、自社製のキャップレス給油口が国内販売車で初めて、日産自動車のミニバン「セレナ」に採用されたと発表した。 手で開け閉めするキャップはなく、給油ノズルを差し込むだけで、二重のふたがバネ仕掛けで開く。 ガソリンスタンドの多くがセルフ式の米国などではすでに広まっている。 豊田合成は「セルフ式のスタンドは日本でも増えており、需要は高まっていく(広報)」とみている。 (asahi = 8-31-16)


三菱重工の客船建造、岐路に 客室デジタル化遅れ大赤字

三菱重工業の客船建造が、事業をやめるかどうかの瀬戸際に追い込まれている。 造船は創業時からの「本業」で、中でも客船は花形事業だったが、約 10 年ぶりに受注した超大型客船で大赤字を出したためだ。 ただ、日本で豪華客船をつくれるのは三菱重工だけ。 日本の造船業の将来もかかって、板挟み状態だ。 三菱重工の客船の歴史は古い。 創立 3 年後の 1887 (明治 20)年に 1 隻目を完成させて以来、130 年近くで約 100 隻をつくった。

旅客機の旅が広がった戦後の 40 年以上は客船をつくらなかったが、1990 年、日本郵船向けの「クリスタル・ハーモニー(現飛鳥 II)」で復活。 造船業界では中国や韓国が台頭し始めていたが、客室など細かく様々な作業が必要な客船は中韓勢がまだ手がけておらず、差別化の切り札にする狙いがあった。 狙い通り、英国の海運会社向けの超大型客船「ダイヤモンド・プリンセス(サファイア・プリンセスに改名)」などを受注したが、長崎造船所で建造中の 2002 年に同船で火災が発生するトラブルに見舞われた。 三菱重工はその後 10 年近くの間、客船造りを控えた。

次の受注は 11 年。 ドイツのアイーダ・クルーズに納入する大型客船 2 隻を受注した。 ところが、客船造りを休んでいた 10 年近くの間に世の中はデジタル化が進み、客室すべてにネット設備を設けるのが当たり前に。 ノウハウがない三菱重工は手間取り、設計遅れや建設やり直しで大赤字になった。 5 月 7 日、ドイツ・ハンブルクで開かれた開港祭に、その大型客船アイーダ・プリマが登場。 12 万 5 千総トンの世界最大級の船の後ろから花火が上がった。 しかし、三菱重工は現在、「客船事業評価委員会」で、アイーダ向けの次の建造でどう採算をとるかの検討を始めている。 16 年 3 月期までに約 2,300 億円超の損失を計上、1 千億円とされる受注額を大きく上回る大赤字をだしたためだ。

日本郵船「飛鳥 II」後継に影響も

国産旅客機「MRJ」の開発費がかさむ三菱重工にとって、客船の大赤字は見逃せなかった。 収益の柱の火力発電システム事業も海外メーカーとの競争が激化。 2013 年に就任した宮永俊一社長は、収益力向上のため不採算事業の見直しを進めており、祖業の花形事業といえども撤退もふくめて議論している。 ただ、思わぬあおりをうけたのが海運大手の日本郵船だ。 三菱重工が客船事業をやめると、「クリスタル・ハーモニー(現飛鳥 II)」の後継船を、三菱重工以外のメーカーに発注しなければいけない。 建造から約 30 年を迎える 2020 年をめどに新しい船をつくって就航したい考えだ。

貨物船とちがって超大型豪華客船をつくれるのは、国内で三菱重工だけ。 海外でも一部の欧州メーカーに限られる。 日本郵船の内藤忠顕社長は 6 月に株主総会で「できれば日本の造船所にお願いしたい」と語り、三菱重工が結論を出すのを待っている状態だ。 収益力の強化か、メイド・イン・ジャパンの客船の維持か。 三菱重工は難しい判断を迫られている。 (南日慶子、asahi = 8-28-16)

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建造中に 3 度火災 三菱重工の大型客船、やっとお披露目

三菱重工業は 29 日、ドイツのクルーズ会社に引き渡した大型客船「アイーダ・プリマ」の現地で披露した。 建造中に 3 度火災が起きるなどして納入が 1 年遅れたが、30 日から初のクルーズに出る。

ハンブルク港内に停泊した客船で開かれた式典には、三菱重工の取引先ら約 300 人が参加した。 宮永俊一社長は「長崎でつくられたアイーダ・プリマの出発を祝えることを光栄に思う」とあいさつした。 発注元企業の親会社であるクルーズ客船会社カーニバル・グループのアーノルド・ドナルド最高経営責任者 (CEO) は「すばらしい船を三菱重工と一緒につくれたことを誇りに思う」と述べた。

客船は全長約 300 メートル、客室は 1,643 室あり、約 3,200 人の乗客が乗ることができる。 船内にはウォータースライダー付きのプールやアイススケートリンクなどもある。 船底から噴き出す泡の力で船体と水の抵抗を減らす、三菱重工の独自技術を導入し、燃費性能を向上させたという。 三菱重工は 2011 年に 2 隻の大型客船を 11 年ぶりに受注。 2 隻目も現在、建造を進めている。 (ハンブルク = 寺西和男、asahi = 4-29-16)


新型プリウス PHV、何が違う? 記者が乗ってみた

トヨタ自動車が次世代エコカーの普及役として、今冬に発売する新型「プリウス PHV」。 ベースは昨年末に投入したハイブリッド車 (HV) の 4 代目プリウスだが、プラグインハイブリッド車 (PHV) は、どう違うのか。 記者が千葉県内で試乗した。 サーキットに並ぶ新型車。 一見して、通常の HV タイプより精悍な印象だ。 シルエットは似ているが、ヘッドランプを細くし、エンブレム周りに透明な樹脂を使うなど、目立つパーツを採用した。 現行のプリウス PHV はベースの 3 代目プリウスと見た目がほぼ同じだが、「差別化できなかったことを教訓に、デザインにもこだわった(トヨタの技術者)」という。

アクセルを踏むと、スーッと静かに動き出す。 聞こえるのはエアコンやタイヤがこすれる音ぐらい。 音や振動が大きいエンジンが動いていないためだ。 PHV は、充電した電気がなくなるまではモーター中心で走る点が、エンジンをこまめに併用する HV との違い。 それでも、時速 100 キロ前後になるとエンジンに頼る場面があるが、新型は電池などの工夫で、モーターだけで走る範囲を現行型より大きく広げた。

最も印象的だったのは加速力。 HV タイプはアクセルを踏み込んだ時、速度が上がり始めるまでに一瞬間が空くが、PHV だと、踏んだ瞬間に跳ね上がるように感じる。 発電機がモーターとしても働くよう改良したことも、加速の向上につながったという。 短時間の試乗では体感できなかったが、使い勝手の面では電池の性能が大きな改善点だ。 1 回の充電でモーターだけで走れる距離が現行型の 2 倍超の「60 キロ以上」になり、トヨタはこの点を強くアピールする。

ただ、気になる値段は未公表。 プリウス PHV の現行型は 294 万円(消費税込み)から。 ベースの HV タイプは代替わりで 20 万円ほど値上がりした。 PHV の新型は高級感を強調していることもあり、業界内では、最低価格が 300 万円台前半から半ばになるとの見方が多い。 (友田雄大、asahi = 8-27-16)

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トヨタの新型プリウス PHV、今冬に国内発売延期 生産に遅れ

[東京] トヨタ自動車は 3 日、家庭で充電できるプラグインハイブリッド車 (PHV) の新型「プリウス PHV」の国内発売時期を、当初予定していた今秋から今冬に延期すると発表した。 想定以上に生産に時間がかかり、販売に必要な台数が確保できないため。 トヨタ広報は技術的な問題ではなく、「立ち上がりの生産台数を抑えてより良い車を着実にお届けする」としている。 (Reuters = 8-3-16)


或る列車、九州を快走中 スイーツ満喫、予約好調

特製スイーツが車内で味わえる JR 九州の「或(あ)る列車」の運行開始 1 周年記念行事が 7 日、佐世保駅であった。 一日駅長のたすきをつけた保育園児 2 人と西島義久駅長が、午前 9 時 50 分発の列車に出発の合図を送った。

「或る列車」は、100 年以上前に造られたものの、ほとんど営業運転されなかった幻の客車がモデル。 車体にまつわる逸話と、九州産食材を使ったスイーツを売りにした観光列車として、昨年 8 月 8 日大分 - 日田で運行を始めた。 2 両編成で、16 テーブル、36 席。 佐世保 - 長崎は、昨年 11 月 - 今年 3 月に続いて、7 月 15 日から運行中。 JR 九州によると、この日の佐世保―長崎往復を含め、1 年間で 351 便を運行した。 平均利用客は 31 人と、人気が高い。 佐世保 - 長崎は来年 3 月までの予定で、9 月末まで予約でほぼ満席という。 (福岡泰雄、asahi = 8-24-16)

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トロピカルな夏演出「或る列車」 佐世保 - 長崎で運行

JR 九州は、スイーツが楽しめる観光列車「或る列車」を、先月までの日田 - 大分からコースを変えて、15 日から佐世保 - 長崎のルートで運行を始める。 来年 3 月末までの予定。 7 月のメインスイーツは「トロピカル」。 鹿児島県産のパッションフルーツとパイナップルのソースをかけたココナツのムース、ライチのアイスが載っている。 これを含め計 4 皿のスイーツと弁当、スープが提供される。 穏やかな波が打ち寄せる大村湾を眺めながら、約 2 時間半の列車の旅を楽しむことができる。 メニューは月ごとに替わる。 全席指定で、9 月まではほぼ満席。 10 月から来年 3 月までの分は、8 月 1 日に一般発売する。 問い合わせは或る列車ツアーデスク (092・289・1537)。 (asahi = 7-15-16)

前 報 (7-17-15)


テスラ、EV で航続距離 500 キロ超 普及目安上回る

【シリコンバレー = 兼松雄一郎】 米電気自動車 (EV) メーカー、テスラモーターズは 23 日、航続距離が EV として初めて 500 キロメートルを超えるセダン「モデル S」の新モデルを発売すると発表した。 価格は 13 万 4,500 ドル(約 1,350 万円)から。 独アウディなど欧州勢も航続距離 500 キロメートルの EV の投入方針を表明しているが、実用化でテスラが先行する。 蓄電容量を 100 キロワット時とした新モデルの航続距離は、従来の最高値より 7% 伸びて 315 マイル(米環境保護局基準、約 505 キロメートル)となった。 一度完全に充電すれば、東京・大阪間を追加充電なしで走れる計算だ。

米国では航続距離「300 マイル(約 480 キロメートル)超え」が EV 普及の一つの目安とされてきた。 多目的スポーツ車 (SUV) 「モデル X」にも、航続距離を 289 マイル(約 460 キロメートル)まで伸ばしたモデルを加える。 電池の大きさは変えずに、現行の蓄電池の素材の構成と配置で理論上の限界に近い性能を引き出したという。 来年にも生産に入る予定の小型量産セダン「モデル 3」向け蓄電池では、素材や構成を変えて性能を高める。

EV の航続距離の計測基準は米国と欧州とでは異なり、長距離走行を想定した米国基準のほうが航続距離は短くなるとされる。 モデル S の場合、時速 96 キロメートルまでの加速時間は 2.5 秒と、現行の最速モデルより 0.3 秒縮めた。 電話会見でイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) は「生産中の車として加速は世界最速だ。 EV こそが未来だ。」と自信を見せた。 (nikkei = 8-24-16)


ホンダ、中大型車 HV 用モーター生産能力拡大 3 本目のライン導入

[浜松市(静岡県)] ホンダは 23 日、中大型のハイブリッド車 (HV) 用モーターの生産能力を増やす計画を明らかにした。 静岡県浜松市のトランスミッション工場では 10 月に、2 つのモーターを搭載した HV 用モーターの生産ライン 1 本を新たに導入する。 5 月から埼玉県の狭山工場で北米向け中型 HV セダン「アコード」の生産も始まっており、モーター需要に対応する。

浜松の工場では、中型 HV ミニバン「オデッセイ」に搭載するため昨年 11 月に 2 つのモーターからなる HV 用モーターの生産ライン 1 本を立ち上げた。 7 月に国内向け HV セダン「アコード」のために 2 本目を導入し、10 月には 3 本目を新設する予定。 主に北米向けアコード搭載用に増やす。 能力増強に伴う投資額や詳細な生産数量は公表していない。 また三重県鈴鹿市の鈴鹿製作所では、大同特殊鋼と共同開発したレアアース(希土類)の一種で中国に依存する「重希土類」を使わない磁石を用いたモーターの生産を 23 日から開始した。 世界初の実用化で、まずは 9 月 16 日に国内発売する小型 HV ミニバン「フリード」で初搭載する。

ホンダの 2015 年度の世界販売に占める HV 比率は 5% にとどまるが、国内での HV 販売は好調。 日本でガソリンエンジンと HV の 2 タイプを設定した新型オデッセイは 2 月の発売以来、約 7 割が HV だったという。 将来的には HV 用モーターの海外展開も検討するが、当面は国内生産が中心。 「いつ海外展開するかはマーケットの動向を見極めながら考える(山根庸史専務執行役員・生産本部長)」としている。 ホンダは今後も電動化技術を強化し、30 年をめどに 4 輪車販売の 3 分の 2 をプラグインハイブリッド車 (PHV) などの環境対応車にする方針を表明している。 (白木真紀、Reuters = 8-23-16)


独 VW、主要工場で 1 万人超の勤務短縮を検討 部品不足に対応

[ハンブルク/ベルリン] ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン (VW) が、同社の主要工場であるウォルフスブルク工場で働く 1 万人超の勤務時間を短縮することを検討していると、関係筋が 18 日明らかにした。 部品メーカーとの対立によって部品不足の影響が出ていることが背景。 その他、カッセルにある変速機生産施設とツヴィッカウの組み立て工場でも生産能力を削減する考えという。

VW は 17 日、部品メーカーの ES オートモビルガスが変速機の生産に必要な部品の納入を凍結したことを受け、ウォルフスブルク工場で主力の「ゴルフ」の生産が影響を受けていることを明らかにした。 ES オートモビルガスの広報担当は電子メールで、同社を率いる企業連合と VW の間で法的な争いが生じていることに言及した。 ただ、それ以上の詳細には踏み込まなかった。 VW の広報は、従業員の勤務時間短縮によって、部品不足の問題に対処する可能性はあるとしつつも、決定には至っていないことを明らかにした。 Reuters = 8-19-16)


EV 「日産ブレードグライダー」のプロトタイプを公開

日産自動車は 8 月 4 日、コンセプトカー「ブレードグライダー」のプロトタイプモデルを、ブラジル・リオデジャネイロで世界初公開した。

レーシングカー並みにエキサイティング

今回お披露目されたブレードグライダーは、2013 年の東京モーターショーで発表されたコンセプトモデルの進化版。 「最先端の EV 性能の可能性を持つ、エキサイティングなクルマ」とうたわれる。 ボディーサイズは全長 x 全幅 x 全高 = 4,300 x 1,850 x 1,300mm で、ホイールベースは 2,800mm。前後のトレッドが異なっているのが特徴で、幅の狭いフロントトレッドと、幅広いリアトレッドの採用により、高い空力性能と安定したハンドリングを両立させているという。 車重は 1,300kg。

ドアは後ろヒンジで、斜め上方に向かって開く個性的なもの。 ドラマチックな乗り降りを演出しながらも、転倒時に乗員を守るロールオーバープロテクション構造が採用されている。 「クーペの安全性を確保しつつ、オープントップレーシングカーの高揚感を与える」と日産はアピールする。 シートレイアウトは、ドライバーが中央に、2 人のパッセンジャーがその左右後方に座る 3 人掛け。 シート地はブラックがベースで、「サイバーグリーン」または「ステルスオレンジ」のトリムで飾られる。

また、継ぎ目のないウインドスクリーンを採用することで、どのシートでもパノラミックな視界を確保したという。 ステアリングホイールの中央には、バッテリー残量、速度、回生モード、トルクマップなどの情報を表示するディスプレイを装備。 インストゥルメントパネルの左右にひとつずつスクリーンが設置され、ドアミラーに代えてカメラを介した、斜め後方の映像を映し出す。

完璧といえる EV

ブレードグライダーは、左右後輪のインホイールモーターにより走行する。 最高速度は 190km/h で、0 - 100km 加速は 5 秒以下と公表される。 駆動輪に伝わるトルクをコントロールすることでコーナリング中の姿勢制御を行うシステムも搭載。 好みに応じて、「オフ」、「アジャイル」、「ドリフト」の 3 つのモードが選択できる。

日産のカルロス・ゴーン社長は発表に際して、「このプロトタイプモデルは、運転の楽しさを追求すると同時に環境に対する責任を果たす『日産インテリジェント・モビリティ』の拡充を目指す日産の意気込みを表している。 ゼロ・エミッションの将来を待望しているクルマ好きのお客さまにとって、完璧な電気自動車であると確信しています。」などとコメントした。 今回公開されたブレードグライダーは 2 台。 1 台はリオデジャネイロのオリンピック・パーク内に常設展示され、もう 1 台はメディアや VIP の試乗用に供される見通しだ。 (webCG = 8-18-16)


寝台列車「瑞風」先頭と最後尾車両が完成

来春運行を始める JR 西日本の寝台列車「トワイライトエクスプレス 瑞風(みずかぜ、10 両、定員約 30 人)」の先頭と最後尾車両が完成し、15 日、大阪市内の車両基地に搬入された。 車体保護のため黒色のシートで包まれ、緑色のデザインは見ることができず、JR 西は「お披露目までもう少しご辛抱を」としている。 搬入されたのは大きな窓の展望室を備え付けた計 2 両。屋外に出て景色を楽しめるデッキもある。 (asahi = 8-16-16)

前 報 (6-19-15)


日産、車載用の電池事業から撤退検討 コスト低減狙いか

日産自動車が、NEC と共同出資する車載用リチウムイオン電池の子会社株を売却し、電池事業から撤退する検討をしていることがわかった。 外部調達に切り替え、コスト低減を図る狙いがあるとみられる。 売却先としてパナソニックなど複数の候補から絞り込んでいる模様だ。 対象は、2007 年設立の「オートモーティブエナジーサプライ(神奈川県座間市)」。

日産が 51%、NEC グループが 49% を出資し、日産の電気自動車 (EV) 「リーフ」やハイブリッド車 (HV) 向け電池を生産している。 16 年 3 月期の売上高は 366 億円。 車載用リチウムイオン電池のシェアは世界 2 位で、パナソニックに次ぐ。 日産が EV 量産を検討し始めた 00 年代は、車載用大型電池を供給するメーカーが少なく、自前で生産体制を整える必要があった。 だが、HV や EV の普及が進んで調達ルートが多様化し、外部から安定して安く買える見通しが立ったと判断したようだ。 カルロス・ゴーン社長はこれまでも、自社生産にこだわらず競争力がある電池を採用する姿勢を示していた。 (asahi = 8-6-16)


ベビーカー事故で脱「早さ優先」 東京メトロが駅停車 5 - 10 秒延長

東京メトロ半蔵門線九段下駅(千代田区)で 4 月、ベビーカーをドアに挟んだまま電車が発車した事故を受け、同社は 4 日、車掌の安全確認作業に余裕を持たせるため、来春以降、一部駅での停車時間を 5 - 10 秒程度延長すると発表した。 対象はホームドアのない 5 路線の駅の約半数に及び、始点から終点までの所要時間は 1 分程度延びるとみられる。 輸送能力優先ではなく、安全性を重視した大規模なダイヤ改正は同社としては初めてとなる。

東京メトロの山村明義鉄道本部長らが 4 日、国土交通省で会見し発表した。 対象は、半蔵門、銀座、日比谷、東西、千代田の各路線で、半蔵門線は来年 4 月に、他の路線も数年以内にダイヤを改正する。 駅により停車時間は異なるが、現在 25 秒未満の駅は 25 秒以上停車させる方針で、計 97 駅の約半数で延長されることになる。 今回の事故では、女性車掌 (23) が、ベビーカーの左前輪の挟み込みに気づかず発車。 車内とホームで非常ボタンが押されたが走行を続け、電車に引きずられたベビーカーは、時速約 50 キロでホーム上の柵に衝突した。 ベビーカーに子どもは乗っておらず、けが人はなかった。

九段下駅の現在の停車時間は 20 秒。 この間に、車掌は停止位置の確認やドア開閉など 10 項目にわたる作業を終えねばならず、「熟練していない乗務員には余裕がないのが現状(同社)」という。 同社は再発防止策としてほかに、車掌が車両とホームの間の安全確認をしやすくするための緑色の板を、九段下駅を含む 3 駅のホームの端に設置しており、効果があれば今後拡大していくという。

多様な利用者に向き合う

ダイヤ改正は、都市の発展に歩調を合わせ「より早く、より多く」と輸送能力向上を長く目指してきた。 1990 年代にその傾向は一段落し、運輸白書に安全を強調する傾向が見られるようになった。 2005 年に起きた JR 福知山線脱線事故でその流れは加速した。 14 年 3 月、国交省が「電車に乗るときはベビーカーをたたまなくてもよい」と指針を示し、乳幼児を連れての電車の利用がしやすくなる中、その安全性に新たな課題を投げ掛けたのが九段下駅での事故だった。

横浜市営地下鉄でも昨年、駅の停車時間を延ばすダイヤ改正を実施している。 社会が成熟し、バリアフリー化が進む中、効率よりも多様な利用者の安全性に配慮した視点が公共交通機関には求められている。 (皆川剛、東京新聞 = 8-5-16)

再発防止の主な追加対策

  1. ホームドアがなく、停車時間が 25 秒未満だった駅での停車時間を 5 - 10 秒延ばし 25 秒以上にする。
  2. ホームの狭い場所に乗客がとどまらないように構内放送やポスターで誘導する。
  3. 車両の後方部にいる車掌は、トンネルの暗闇が背景となり車両付近に異常があっても見えにくいため、明るい緑色の板をホーム最前方に設置して安全確認しやすくする。
  4. 非常停止合図確認灯を見えにくくしている案内看板を移設する。
  5. 停車時や異常時の車掌の確認事項を分かりやすくマニュアル化。 異常時の対応は時系列で表記する。

【ダイヤ改正対象路線】 半蔵門線、銀座線、日比谷線、東西線、千代田線


カローラ、走り続けて半世紀 大衆車から世界戦略車へ

日本のモータリゼーションを切り開いたトヨタ自動車「カローラ」が今秋、発売から半世紀を迎える。 かつての大衆車は国内では主役の座を降りたが、海外では世界戦略車として活躍している。 「初代カローラは『80 点主義 + α』の思想のもとに開発を進め、大衆車の地位を築き上げた。」 5 日、千葉市の幕張メッセで、国内外の往年の車を集めた催し「オートモビルカウンシル 2016」が始まり、トヨタの安井慎一常務理事がそう話した。

「花の冠」という意味のカローラは 1966 年 11 月発売。 先行の「パブリカ」が質素すぎて売れなかった反省も踏まえ「プラス 100cc の余裕」を持たせた。 ライバルの日産サニーより一回り大きい 1.1 リットルエンジンを搭載。 内外装のスポーティーさも売りに発売 3 年後に国内新車販売(軽自動車除く)で首位に立ち、2001 年まで守った。 あらゆる点で合格点をとる「80 0点主義」。付け加えた「+α」は、時代にあわせてスポーツ性だったり、省エネだったり、高級感だったりした。

主な高速道路が整いつつあった 72 年、スポーツクーペの初代カローラレビンを発売。 石油ショックさなかの 74 年に出した 3 代目カローラは、燃費向上と排ガス対策で改良を加えていった。 バブル期に開発し 91 年に発売した 7 代目は、「高級・感動」をうたった。 (高橋諒子、鈴木毅、asahi = 8-5-16)