覚醒剤 48 億円分を密輸か 中国人留学生ら逮捕

大阪府警は 28 日、覚醒剤とみられる薬物計約 60 キロ(末端価格約 48 億円)を営利目的で密輸したとして、共に中国籍で、留学生の曹鋭 (32) = 京都市右京区 = と会社員曹春輝 (35) = 同市下京区 = の両容疑者を麻薬特例法違反(業としての不法輸入)の疑いで大阪地検に送検し、発表した。 容疑を認めているという。 薬物対策課によると薬物は 1 - 6 月、10 回にわたって香港発関西空港行きの国際貨物郵便で密輸された疑いがある。 円柱形の鉄製容器(直径 14 センチ、長さ 51 センチ)に 1.5 キロずつ分け、木箱に詰められていたという。

府警や大阪税関関西空港税関支署が、税関検査や 2 人の京都市内のアパートで見つけた 95 個の鉄製容器のうち、四つの容器に入った覚醒剤約 6 キロを押収。 ほかに空の容器 36 個で覚醒剤反応が検出されたため、それぞれに 1.5 キロずつ入っていたとして薬物は約 60 キロと計算した。 2 人は香港から覚醒剤約 12 キロを密輸したとして覚醒剤取締法違反容疑で逮捕・起訴されていた。 (asahi = 9-28-16)


在留外国人が過去最多の 230 万 7,388 人に

ベトナム・ネパールが増加

法務省は 26 日、永住や留学などで 3 か月以上日本に暮らす在留外国人が今年6月末現在で 230 万 7,388 人(前年末比 7 万 5,199 人増)となり、過去最多を更新したと発表した。

発表によると、国籍別では中国の 67 万 7,571 人が最多で、韓国の 45 万 6,917 人、フィリピンの 23 万 7,103 人などが続いた。 背景には技能実習生や留学生の増加がある。 ベトナムは 17 万 5,744 人(同 2 万 8,788 人増)、ネパールは 6 万 689 人(同 5,914 人増)と特に増加が目立った。 在留資格別では「永住者」が 71 万 3,604 人で最も多く、全体の約 3 割を占めた。

在留外国人は 2008 年末に 214 万人を超えたが、リーマン・ショックや東日本大震災の影響で、12 年末には 203 万人に減少していた。 その後、景気回復などを背景に増加に転じた。 一方、不法残留者は今年 7 月 1 日現在で 6 万 3,492 人で、前回調査の今年 1 月 1 日に比べ、674 人増えた。 このうち 4,120 人に、国外退去を求める退去強制令書などが発付されている。 (yomiuri = 9-27-16)


日系企業、アジア人留学生の受け入れ増加 海外展開の主戦力期待

中国や東南アジアからの技能実習生や留学生を積極的に受け入れる中堅・中小企業が増えている。 しかも労働人口の減少による働き手不足を補うための安価な労働力としてではなく、今後の海外展開に不可欠な現地の中核人材に育てるのが狙いだ。 日本での就職を希望する実習生・留学生も、日本の生産方式や経営手法を学んで将来の起業に備えるという高いモチベーションの持ち主が多く、両者の思惑が一致する。 企業の外国人採用支援に特化した紹介ビジネスを展開する企業も現れた。

清掃 FC 展開に布石

「日本で学んだことを帰国して母国で生かしてほしい。」 ビルメンテナンスなど環境衛生事業を手掛けるアイ・ビー・エス(川崎市中原区)の矢野智之社長は、来年 4 月採用予定のミャンマー人実習生にこんな期待を寄せている。

ラストフロンティアといわれるミャンマーのヤンゴンに今年 6 月、市場開拓を狙って現地法人を設立した。 まずは現地に進出した日系企業に清掃サービスを提供するが、将来のフランチャイズ展開などを踏まえ清掃員への教育を開始。 同時に実習生を受け入れ、「においや細菌といった『目に見えない』ものまで取り除く」同社独自のノウハウを習得させ、現地で環境衛生ビジネスを任せられる人材に育て上げる。

同社が実習生を受け入れるのは初めて。 思い通りの人材を採用できるか不安の中、選考を任せているのがアジア人材を日本企業に紹介する People Worldwide (東京都港区)だ。 2014 年 6 月創業の若い企業だが、松崎みさ社長は「人口減少と高齢化で外国から働き手を連れてくるしかない。 市場性があると判断して立ち上げた。」 折しも 15 年から弁当などの総菜製造業、16 年からビルメンテナンス業と自動車整備業が実習生の受け入れ先職種として追加され、顧客が増加。 ミャンマーやフィリピン、ベトナムを中心に 100 人強の人材を約 20 社に送り込んだ。

人材マッチングを成功に導いているのが同社の研修制度。 採用が決まってからビザ取得までの間、日常会話はもちろん、受け入れ先の職場で使う専門用語やビジネスマナーを学ばせ、即戦力として送り出す。 実習生はもともと、「家族を支えるため」、「将来起業するため」など働く目的をもって来日する。 このため「仕事が合わないからといって辞めることはない」と小松原亮マネージャーは指摘する。 しかも 3K (危険、きつい、汚い)職場を嫌うこともなく、深夜勤務も苦にしないという。

埼玉県の大手ハウスメーカーで昨夏から働くミャンマーからの実習生は「手取り 10 万円強の月給のうち、8 万円を家族の生活の足しと母国で将来、ビジネスを起こすために送っている」と話す。 起業を目指し「親切に教えてくれる仕事を覚える」毎日だが、同時に実感した「日本人はよく働くし、時間などルールに厳しい」ことを母国でのビジネス展開に生かすという。

留学生を新卒採用

新卒採用の一環として留学生をターゲットに据える企業も出てきた。 機能性フィルムや粘着シールなどを生産するコスモテック(東京都立川市)は必要に応じて留学生を採用している。 高見沢友伸社長は「日本文化や習慣をよく知っているので、会社にも仕事にもなじみやすい」と指摘する。 その上で「海外進出先の文化・商習慣を知り、ビジネス言語も翻訳できる」と受け入れメリットを強調。 留学生を海外進出には欠かせない戦力と位置づける。

同社は顧客の中国進出に伴い 02 年 11 月に江蘇省蘇州に工場を設立した。 それに先立って採用した中国人留学生が日本人責任者の右腕となって動き回った。 その後も中国人脈を構築し現地メーカーの開拓に成功した。 その活躍ぶりが認められ蘇州工場の総経理(社長)に抜擢(ばってき)され、コスモテックでは唯一、社員から取締役にまで上り詰めた。

今では売り上げの 75% を中国が占めるため、中国人留学生を 13 年、14 年と続けて採用した。 このときに利用したのが留学生専用の人材紹介を手掛ける ASIA Link (東京都小平市、11 年 10 月開業)。 同社主催の合同就職マッチング会「社長 LIVE」に参加して採用を決めた。 今年は 3 月 4 日に開催、留学生の採用に意欲的な企業 12 社と日本で働きたい留学生 95 人が参加した。 採用にかける熱い思いを語る社長に対し、留学生はキャリアパスや待遇などについて質問。 9 社・15 人が意気投合し内定が決まったという。

企業と学生の交流をみながら小野朋江社長は「海外に拠点を持つ中堅・中小企業が人手不足というより、海外事業を拡大するため留学生を求めている」と話す。 このため日本の企業文化を数年学ばせた後、現地拠点のリーダーとして派遣。 将来は中核人材として活躍を期待する。 一方で、留学生の多くは日本で働きながら、日本の先進的な生産方式などジャパンクオリティーを身につけ、「故郷に錦を飾る」考えだ。 同社に登録する留学生は 2,300 人に達する。

活躍サポート必要

人口減少による内需縮小をにらみ海外を目指す中堅・中小企業は増えている。 しかし言葉の壁、商習慣の違いなどから現地事情に詳しい人材の確保が不可欠。 このため留学生や実習生を求めるようになった。 ジャパンクオリティーを習得させて現地に派遣すれば課題は一気に解決する。

ただ出世に限界を感じたり、異文化を受け入れられず離職したりする外国人もいる。 実習生を受け入れる企業の中には、賃金や労働時間について労働基準関係の法令が適用されることを知らないところもあるという。 松崎氏は「最低賃金や残業代の支払いなどで『外国人だから』は認められない。 紹介する企業には労働コンプライアンスを求める」と言い切る。 外国人採用がダイバーシティ(多様性)に有効なことも踏まえ、小野社長は「外国人が活躍できるように日本企業も変わるべきだ」と強調する。 (sankei = 9-23-16)


外国人看護師・介護士、難しい定着「もう疲れ果てた」

経済連携協定 (EPA) で外国人の看護師や介護福祉士を受け入れて 8 年。 インドネシア、フィリピン、ベトナムから計 4 千人近くが来日し、600 人余が国家試験に合格した。 労働力として期待される一方、合格者の 3 割以上は帰国など EPA の枠組みから離れた。 「定着」はなぜ難しいのか - -。

8 月下旬、介護福祉士のインドネシア人女性 (31) が 6 年半暮らした日本を離れ、母国に帰った。 大きな段ボール箱一つ分は、介護と日本語の勉強の本で埋まった。 「もう疲れ果ててしまった。」 来日前はインドネシアで小児科の看護師として働いていた。 EPA の募集を知ると、アニメで憧れた日本に行けると夢が膨らみ、2009 年に応募した。

来日後、4 年間は施設で働きながら研修をする。 仕事は楽しく、覚えた日本語で利用者と冗談を言い合った。 夕方には自習時間があり、月 2 回は日本語教室に通わせてもらった。 日本の制度や専門用語は難しかったが、過去の問題を頭にたたき込み、14 年に介護福祉士の試験に合格した。 ところが、合格後に生活は変わった。 国が補助金をつけて施設に研修を義務付けているのは合格するまで。 勉強の時間はなくなり、家賃の補助も出なくなった。 合格しても給料はほとんど上がらず、長期休暇も取りづらかった。

昨年末から夜勤リーダーの見習いが始まった。 最初ははりきったが、期待はすぐにしぼんだ。 日勤への申し送りは、15 分間で入所者 42 人分の夜間の状況を口頭で伝える。 「失禁があって全更衣しました」など日常会話では使わない言葉を早口で言う。 発音が悪いと、「何を言っているか分からない」とダメ出しされた。 毎晩残って練習し、3 カ月間の見習い期間の最後に臨んだ試験。 5 人分の状況を伝えるのに 10 分かかったところで、打ち切られた。

このころ、日本の受け入れ機関である国際厚生事業団にメールで送ろうと、書き留めた文章がある。 「ずっと我慢して仕事をしながら、申し送りの勉強をしていましたが、やはり疲れました。」 追い詰められて笑顔をなくし、帰り道に何度も涙を流した。 上司に「辞めたい」とこぼすと、「今の状態じゃどこも雇ってくれない」と返された。 たまたま母国で結婚話が持ち上がり、帰国を即決した。 「頑張って頑張って合格したけど、もっと高い壁がある。 私は日本人と同じようにはなれない。」

別のインドネシア人女性の看護師 (32) も帰国を考えている。 08 年に来日し、12 年に国家試験に合格。 一緒に来日したインドネシア人の男性看護師と結婚し、2 人の子どもを授かった。 弟や妹を大学へ行かせるため、故郷へ仕送りを続ける。 月 6 万円の保育料は高かったが、共働きで生活費をやりくり。 困るのは、子どもが病気になった時だ。

せき込む娘を腕に抱き、勤め先の病院に「今日も休ませてください」と連絡するのが心苦しい。 合格すれば両親を呼び寄せて子育てを手伝ってもらえると期待していたが、制度上、配偶者と子どもしか呼び寄せられないことを知った。 仕事は忙しく、このまま夫婦 2 人だけで子育てをすることに限界を感じる。 「日本の子育てや保険の制度は外国人には難しい。 日本は私たちの将来まで考えてくれているのか。」

悩み共有、支え合うコミュニティー

国際厚生事業団は受け入れた外国人が働く施設を巡回し、週に 2 回の電話相談を行っている。 ただ、合格者の悩みは子育てや転職など複雑になっている。 こうした悩みを共有して情報を交換しようと、インドネシアから来日した合格者は昨年 12 月に「インドネシア人看護師・介護福祉士協会」を立ち上げた。 断食月中の 6 月、横浜市内の団地の一室で開いた集会に約 40 人が集まった。 「入浴介助では暑いからベールを外すようにと上司に言われた」と女性介護福祉士が訴えると、「気持ちを伝えた方がいい。 1 人で難しいなら説明を手伝う。」と他の女性が応じた。

まとめ役の男性看護師モハマド・ユスプさん (35) は「これまでは合格するのに一生懸命だったが、生活するには、みんなで支え合って問題を解決でき、孤独にさせないコミュニティーが必要」と言う。 関西や四国には支部ができた。 ユスプさんは第一陣で来日して 8 年。 12 年に合格してインドネシアから妻を呼び寄せ、小学 5 年と 3 歳の息子 2 人を育てている。

東京都杉並区の河北総合病院の整形外科病棟。 ユスプさんが骨折して入院中の高齢女性の足先に触れ、「指は動かせますか」と尋ねると、「動かすと前より痛い。」 「少し腫れてますね。 冷やしましょう。」と笑顔で応じ、病室を出た。 電子カルテには「体動時疼痛(とうつう)増強」と素早く打ち込んだ。 「ここまでできるのに合格して 3 年かかった。 同僚が理解し、助けてくれたからここまで来られた。」

7 月中旬には都内で研修中の介護福祉士候補者を訪ね、「日本には『出る杭は打たれる』という習慣がある」などと助言。 「いつでも相談して。 支え合える仲間がいる。」と声をかけた。 EPA が始まった当初から日本語教育などを支援してきた名古屋市の平井辰也さん (52) は昨年 7 月、相談窓口として「EPA 看護師介護福祉士ネットワーク」を発足させた。 労使トラブルから税金や年金の手続き、家族の呼び寄せといった相談が寄せられる。

フィリピン人の女性看護師 (30) は頼りにしていた上司が退職し、働き続けることが不安になった。 「帰国したい」と相談すると、平井さんは転職の道もあることを教え、外国人看護師などの専門転職サイトを教えた。 「相談できて助かった。 合格した後の日本政府のサポートは十分ではない」と女性看護師。 平井さんは「EPA は国と国の協定だからこそ、国が関与して法的な権限でトラブルの解決や未然防止、監視ができる第三者機関が必要ではないか」と主張する。

長崎大大学院の平野裕子教授(保健医療社会学)は昨年 12 月、インドネシアの日本大使館が EPA を離れた帰国者を集めた就職説明会で調査をした。 回答した帰国者 29 人のうち、13 人が「日本で仕事をする生活に疲れた」と答えた。 そのうち 8 人は合格者だった。 平野教授は「看護や介護は日本人にとっても楽な仕事ではない。 言葉の問題をクリアした先には、多忙や子育ての難しさといった日本人にも共通する悩みを抱える人がいる。 根本の問題が解消されない限り、日本人と同じように外国人も疲弊する。 日本の働き方自体を見直す時だ。」と訴える。 (松川希実、森本美紀、asahi = 9-18-16)

〈経済連携協定に基づく外国人の受け入れ〉 2008 年に始まり、インドネシア、フィリピン、ベトナムの 3 カ国と協定を結んでいる。 経済上の連携を強めるため、日本で看護師や介護福祉士の国家資格を取って長く働いてもらう狙い。 国内の労働市場に影響しないよう受け入れの上限があり、16 年度は各国とも看護師が 200 人、介護福祉士が 300 人。 国家試験は看護師が原則 3 年で毎年受けられ、介護福祉士は原則 4 年で 1 回の受験。 合格すれば在留が認められ、合格しなければ帰国しなければならない。 15 年度の合格率は看護師が 11%、介護福祉士は 50% を超えた。


話と違う! 工場で搾取される出稼ぎ外国人たち HONZ 特選本『ルポ ニッポン絶望工場』

世の中には「知っておくべきだが、知らされていない事実」がたくさんある。 本書が伝えるのは、日本で過酷な労働を強いられている「留学生」や「実習生」の実態である。 出稼ぎベトナム人と、彼らを食い物にする日本語学校、低コストで彼らを雇う企業という三すくみの構図がメインだ。 また、中国人や日系ブラジル人が減少している理由や、外国人介護士が定着しない理由についても書かれている。

本書に書かれていることは、日本人として「知っておくべきこと」の一つだと私は強く感じた。 本書によると、日本で暮らす外国人の数は、昨年 1 年間で約 11 万人増え、過去最高の約 223 万人に達した。 こうして増加した外国人の半分以上は「実習生」と「留学生」として日本にやってきているそうだ。

実習生・実習生とも、前年比 15 パーセントの増加。 まさに、急増である。 なぜ、そうなったのか。 本書によると、その答えは出稼ぎである。 日本の労働人口は減り続けており、とりわけ体力が必要な仕事は働き手が不足している。 「実習生」と「留学生」として来日し、単純労働の担い手になっているそうなのだ。 (吉村博光、JB Press = 9-13-16)

続きは、JB Press


ネット口座、被害 8.9 億円 … 上半期、不正送金 857 件

警察庁は 8 日、今年上半期(1 - 6 月)に把握したインターネットバンキングの口座からの不正送金が 857 件で、約 8 億 9,800 万円の被害が出たと発表した。 前年同期より 117 件増えたが、被害額は約 6 億 3,200 万円減少した。 不正送金対策を強化した信用金庫・信用組合の被害が減ったのが主な理由。 警察庁は「不正対策の効果が出つつあるが、依然として被害は高水準で警戒を続けたい」としている。

金融機関別にみると、都市銀行などの被害額は約 6 億 8,200 万円で前年同期の約 7 億 3,900 万円から微減。 信金・信組の被害額は約 5 億 3,200 万円から約 2,700 万円に大幅減。 ネットワークシステムのウイルス対策を強化したことが功を奏したという。

警察当局が今年上半期に検挙したのは 39 事件 58 人。 事件数は前年同期より 19 件少なく、検挙人数も 30 人減った。 国籍別では中国人が最も多く 33 人で、日本人は 15 人だった。 不正送金先の名義人は 60.9% が中国人で、ベトナム人 (16.7%)、日本人 (11.3%) と続く。 海外からの留学生や研修生が帰国する直前、ソーシャルメディアなどを通じて犯人グループに口座を売るケースが多く、警察当局は警戒を強めている。 (川上晃弘、mainichi = 9-8-16)

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ネット不正送金 振込先に中国人実習生 口座売買「違法」認識薄く

インターネットバンキングを悪用した不正送金事件に絡み、送金先に中国人技能実習生名義の口座が使われるケースが多いことが、愛知県警などの調べで分かった。 実習生たちは口座の売買が違法との認識が薄く、安易な気持ちで犯罪グループなどに譲渡しているとみられる。 県警は取り締まりを強化するとともに、受け入れ先の企業などと協力し、実習生への注意喚起に力を入れる。

「自分の口座を人にあげることは犯罪。 売ったりするのはやめてください。」 名古屋市内で 6 月、来日間もない中国人技能実習生ら 17 人に、愛知県警サイバー犯罪対策課員が説明した。 県内でとび職に就く山東省の男性 (27) は「口座の売買が犯罪だとは初めて知った」と驚いた様子だった。

警察庁によると、昨年の不正送金事件による被害額は約 30 億 7,300 万円(前年比約 1 億 6,300 万円増)と過去最悪を記録。 送金先は中国人名義の口座が 57% を占めた。 愛知県警の調べでは、昨年の県内の被害額は約 2 億 0,140 万円(同約 2,030 万円増)。 送金先口座の名義人の住所が県内にあった 110 人のうち、中国人は 100 人で 93 人は技能実習生だった。 大半が譲渡後に帰国していた。

県警によると、口座の多くは中国語の会員制交流サイト (SNS) の「QQ」で取引されている。 県警はサイバーパトロールを強化し、今年 4 月には「QQ」を通じて銀行口座のキャッシュカードの買い取りを呼びかけたとして、中国人技能実習生の 20 代の男女 2 人を犯罪収益移転防止法違反容疑で逮捕した。 動機について「小遣い稼ぎでやった」と話したという。

同県三河地方の製造会社は数年前、帰国した中国人技能実習生が 5 万円程度で銀行のキャッシュカード 1 枚を他人に売却した疑いがあると警察から連絡を受けた。 実習担当社員は「プライバシーの問題もあって徹底的に管理するわけにもいかず、繰り返し指導するしかない」とこぼす。 県警サイバー犯罪対策課の小竹一則次長は「送金先の口座がなければ、不正送金事件は起こらない。 粘り強く注意喚起していきたい。」と話している。 (加藤沙波、mainichi = 7-28-16)


輸出に戦力、中国人の通訳採用 大船渡の鎌田水産

大船渡市赤崎町の鎌田水産(鎌田仁社長)は、海外への輸出業務と外国人技能実習生の通訳のため、中国・山東省出身の張斌(ちょうひん)さん (29) を採用した。 同社初で、三陸沿岸の水産加工業としても珍しい取り組み。 貿易業務の円滑化と、実習生とのコミュニケーションの充実を図る。 同社は中国・大連に駐在員を置き、中国や東南アジアなどに魚を輸出。 海外で魚食文化が普及することで、今後事業拡大が見込まれる中、張さんの語学力などを生かしながら、迅速で円滑な取引につなげる。

実習生事業は 20 年ほど前から始まり、現在は毎年 10 人を受け入れる。 張さんは仕事内容を説明したり、座学の通訳を担当する。 鎌田社長は「海外業務は今後重要となる。 通訳としては中国の文化を把握して対応できるので、市内の他社の実習生で何か困ったことがあれば力になりたい。」と強調する。 (岩手日報 = 8-31-16)


外国人実習生の技能検定 日本語研修で「合格」後押しへ

静岡県は 9 月から、県内企業が受け入れている外国人技能実習生を対象にした日本語研修を始める。 最長 3 年の滞在が認められる指標になる「技能検定」の合格率が近年低下傾向にあるため。 不合格の一因でもある語学力不足を補い、実習生が技能習得の途中で帰国せざるを得ない状況を改善する。

県によると、県内の技能実習生は中小製造業、建設業などに中国、フィリピン、ベトナムなど 6,924 人(2015 年 10 月末現在)。 1 年目の実習終了前には成果を評価する「技能検定(基礎 2 級)」が課され、2 年目以降の在留可否の判断材料になる。 本県の 15 年度の受検者は 1,956 人、合格率は 87.0% で、全国平均を 5.9 ポイント下回った。 ここ数年 80% 台が続き、全国値を下回る状況は 4 年続いている。 入国前後や受け入れ先企業などで日本語を身につける機会はあるが、実習生によって習熟度に差があり、検定の学科試験の日本語が理解できずに合格に至らない例もあるという。

9 月上旬から始める日本語研修は、基礎 2 級の受検予定者が対象。 県内 3 地区で、1 クール 10 講座(定員 20 人)を 3 クールずつ開催する。 業務委託した日本語教育機関が、1 年目に受ける検定レベルの基礎的な日本語を無料で指導する。 8 月から始めた受講生募集では、20 代を中心に申し込みが多い。 県は日本語研修に加え、帰国前の実習生向けに、海外に進出している県内企業とのマッチングも行いたい考え。 職業能力開発課は「帰国後も本県産業に関わる人材として活躍してほしい」と話す。 (静岡新聞 = 8-30-16)

<メモ> 外国人技能実習制度 国際貢献の目的で、企業で開発途上国からの実習生を最長 3 年間受け入れる。 身につけた技術や知識を母国の経済発展に生かしてもらう。 長時間労働などの管理監督体制強化のほか、期間延長といった受け入れ拡充を柱にした制度の見直しも進む。


優秀で前向きな技能実習生を支援! 「ヤマトデータベース協同組合」とは

優秀な実習生を探す時に役立つ「ヤマトデータベース協同組合」

ヤマトデータベース協同組合は日本企業で技能実習を経験したい前向きで優秀なミャンマー人と受け入れ企業をサポートする、「外国人技能実習生受け入れ事業」を行っている。 ミャンマー関連企業や、外国人技能実習生の受け入れに関心のある企業は検討してみてはいかがだろうか。

組合の体制や工夫

組合では日本語スキル向上の為の独自プランにより、入国前の現地講習や入国後の集合講習、さらに現地送出機関との協力でヒアリングや抜き打ちテストなど、高度な日本語能力を身につけさせる為の指導を実施している。 また実習生の日本語レベルはさまざまなので、中国、ミャンマーおよびベトナムなど、その国のレベルに応じた同社独自のテキストを採用している。 さらに企業や実習生とのトラブルが生じないように、経験豊かなスタッフが 2 人体制で日々 24 時間対処する体制を整えている。 そのうえ日本語能力試験上位レベルの合格者や、組合独自の日本語能力模擬試験による成績上位者には奨励金を贈るなど、実習生の熱意を保ちかつ向上させる工夫も行っている。 (Myanmar News = 8-27-16)


日本では多くの外国人実習生が「搾取」されている、注意喚起が必要 = 中国

国際研修協力機構によれば、外国人技能実習制度とは「最長 3 年の期間において、技能実習生が雇用関係の下、日本の産業・職業上の技能等の修得・習熟をすることを内容とするもの」だが、最低賃金法を遵守しない受け入れ先企業が存在するなどの問題が指摘されてきた。 これまで 20 年あまりにわたって日本で活用されてきた外国人技能実習制度だが、一部では労働力確保が目的の制度であるとの批判もあるのが事実だ。 中国メディアの新華社はこのほど、厚生労働省が発表した調査結果を引用し、日本では多くの外国人実習生が「搾取」されていると伝えた。

厚生労働省は技能実習生として外国人を受け入れている事業所に対する 2015 年の監督指導状況を発表し、3,695 事業所で労働基準法の違反があったことを発表した。 違反事業所の数は過去最多となったが、記事は「日本では 3,000 を超える事業所で外国人実習生を不法に働かせ、権利を侵害した」と主張した。 さらに、労働基準法違反の内容としては、もっとも多かったのが長時間労働で、残業代の不払いもあったと紹介。 日本は「外国人実習生を搾取している」としたうえで、「日本で実習生として働く外国人に対し、事前に注意喚起が必要だ」と論じた。

記事は、外国人技能実習制度の趣旨を説明する一方で、「技能実習の中身は辛い仕事であり、一部の実習生からは技術を教えてもらえず、単なる労働者として扱われている」と主張。 さらに、日本は少子高齢化によって労働力不足にあえいでおり、安い賃金で労働力を確保できることが外国人実習生の受け入れの動機となっていると主張した。 (SearChina = 8-23-16)


英語や中国語で避難誘導 富岡製糸場で外国人実習生ら訓練 群馬

2020 年東京五輪の開催で訪日外国人の増加が見込まれる中、大規模災害発生時に的確に外国人を避難させようと、富岡署などは 18 日、富岡製糸場で避難誘導訓練を行い、製糸場職員約 50 人と外国人技能実習生などが参加した。 訓練では震度 6 の揺れが襲い、製糸場敷地内北側で火災が発生したことを想定。 消火できず、西置繭所に取り残された外国人約 10 人を、「落ち着いて行動してください」などと英語や中国語で書かれたパネルを使って誘導した。

参加した中国出身、康健(こうけん)さん (24) は、「地震は怖い。 助けてほしいと思っているところに、警察官が来てくれて無事に避難できた。 パネルも役に立った。」と訓練に参加し、安心した表情を浮かべた。 富岡署の坂本龍二署長は、「この地域にも活断層が近くを通っている。 (震災時に)迅速に安全に避難させるため、今後も連携し、訓練を重ねていく必要がある。」と総括した。 製糸場の世界遺産部、金井幹夫部長は「全体的にはよかった。 今回は警察がパネルを持ってきてくれたが、自分たちで作って常備しておきたい。」と話した。 製糸場には昨年度は約 3 千人の外国人が訪れた。 (sankei = 8-19-16)


外国人技能実習生受け入れ、違反が過去最多 死亡事故も

日本で働きながら技術を学んでもらう外国人技能実習生の受け入れ企業で、昨年 1 年間に違法な時間外労働や賃金不払いなどの労働基準関係法令の違反が見つかったのは 3,695 事業場で、前年より 718 カ所増えた。 増加は 2 年連続で、記録をさかのぼれる 2003 年以降では最多だった。 厚生労働省が 16 日に発表した。 労働局や労働基準監督署が、監督指導に入った事業場は前年より約 1.3 倍増の 5,173 カ所で、うち 7 割以上で違反が見つかった。 違法に残業をさせるなど労働時間に関わる違反が 1,169 件、安全措置が講じられていない機械を使わせたなどの違反が 1,076 件と多かった。

指導をしても改善が見られなかったり、死亡事故が起きたりしたため企業を送検した件数は同約 1.8 倍増の 46 件で、こちらも 03 年以降で最多だった。 中には事業主が監督指導に対し虚偽の賃金台帳を示して割増賃金の不払いを隠したり、フォークリフトを無資格で運転させて死亡させたりする悪質な事例もあった。 来日する実習生の数は 15 年末で約 19 万 2 千人と増加傾向にある。 実習生に不当な労働条件を課すケースも増えている実態が浮き彫りになった。 (河合達郎、asahi = 8-16-16)


日本は人口統計学的危機に瀕しているのか?

高齢化と少子化が現代日本の主要な問題となっている。 独立行政法人経済産業研究所の調べによると、現在 1 億 2,800 万人の人口は 2046 年には 1 億人に減少し、2105 年には 4,500 万に落ち込む恐れがある。 難民や移民がこの恐ろしいシナリオを防ぐ役に立つか? 日本における移民に対する関係性と人口減少の現実性について、スプートニクは、高等経済学院人口統計研究所の副所長で人口統計学部長のミハイル・デニセンコ氏に話を聞いた。

「2105 年のことについて語ることは控えたい。 それは非常に遠い先のことだ。 より近いところを見るなら、2050 年までに日本の人口は 1 億 500 万から 1 億 1,000 万まで落ち込むとは言えるだろう。 これはより蓋然性の高い予測だ。 なぜなら 2050 年に生きているであろう人々のほとんどは既に生まれているから。 人口の高齢化が続いているということも不可避の事実だ。」

質問 : 移民を誘致することにより人口統計学の問題を解決することはできるか?

「日本は平均で約 83 年を生きる平均寿命が最も高く、同時に、出生率が最低である国の一つ。 移民が人口減少と高齢化の問題を解決することはできない、なぜなら彼らもまた高齢化していくからだ、という意見がある。 しかし、移民が、出生率の面でより好適な時期まで問題を先延ばしする可能性はある。 20 世紀末以来、日本その他の国は、移民政策に異なるアプローチを取るようになった。 日本はこの点で、より開かれた国となっている。」

日本の法務省のサイトで公表されたデータによると、2015 年、日本に居住する(90 日以上日本に滞在している)外国人の数は、223 万 2,000 人に達した。 これは引揚者、外国人労働者、外国人学生だ。 「日本では 21 世紀の初めには高齢者のケアを担う看護師のためフィリピンの労働力を誘致するプログラムが策定されており、結果、このカテゴリーは、日本への長期居住の権利を受けるようになった。 労働力不足は経済の様々な部門で感じられている。 2012 年には有資格者選抜のポイント制が導入された」と日本の移民政策の傾向について、ミハイル・デニセンコ氏。

建設部門とサービス業では、中国、ベトナム、ラオス、ネパール、インドネシア、トルコ他、多くの国の外国人労働者が働いている。 彼らは日本の労働力不足の問題を解消すると同時に、比較的安定した収入で家族を養っている。 シリアとトルコからの多くの移民が難民認定を申請している。  2015 年には、日本の難民認定申請数は 7,000 を超えたが、認定は 27 にとどまった。 日本における難民問題の受容について、ミハイル・デニセンコ氏は次のように述べる。

「難民問題においては日本は長期にわたる閉鎖性の伝統で他の国と異なっている。 文化的にも心理的にもこの閉鎖性から日本が脱却することは困難だ。 しかも、到着する難民たちはたしかに日本人と異なっている。 ヨーロッパは既にシリアからの難民に精通している。 シリアとトルコに関しては、一部の地域ではほぼ同一の人たちが住んでいる。 日本にはより多くの困難な課題がある。 外の世界からの孤立という歴史的な感覚を克服する必要があるのだ。」

日本は、今後、経済のいくつかの部門はますます外国人労働者に依存することになる、ということを理解している。 日本の外務省は毎年 30 万人の留学生や研修生を日本の大学で勉強させる誘致プログラムを行っている。 日本は年ごとにより広く外国人に門戸を開いているように見える。 しかし、多くの日本人は、元の伝統を維持しようとし、今日すでに自分の国に多数の移民が住みつくことに反対の声を挙げている。 (Yoshikazu TSUNO、Sputnik = 8-14-16)


島根県立大留学生ら浴衣着付け体験 浜っ子夏まつりへ

島根県立大の留学生や水産加工会社の技能実習生が浴衣の着付けを体験するイベントがこのほど、浜田市原井町のサンマリン浜田であり、参加した中国や台湾、韓国の男女 12 人がカラフルな浴衣を身にまとい、日本の文化に触れた。 浜田国際交流協会が初めて企画し、市の広報誌などを通じた呼び掛けで市民から寄贈された浴衣約 20 着を使用した。

京都きもの学院の仲麻武子教授 (65) = 江津市渡津町 = が指導に当たり、襟合わせや帯の締め方など着付けの手順を説明。 「裾を巻き込みすぎると、歩く時に転ぶ原因になってしまう」などと注意点をアドバイスした。 希望者は、6 日に同市原井町の浜田漁港周辺である「浜っ子夏まつり」に浴衣を着て出掛けることにしている。 県立大で学ぶ台湾からの交換留学生、盧唯嘉さん (22) は「正しい着方を教わることができて良かった。 お祭りに着て行くのが楽しみ。」と話した。 (山陰中央新報 = 8-4-16)


低い賃金水準こそが日本経済のリスク 奥田宏二氏 Blog

外国人労働者の「日本離れ」が静かに進んでいる。 韓国や台湾などが受け入れを進め、獲得競争が激しくなっているためだ。 日本で働く魅力だった給与などの待遇面も、差は急速に縮まる。 日本の外国人労働者は今年中に 100 万人の大台を突破する見通しだが、今後、より一層の受け入れ拡大にカジを切っても外国人が来てくれない懸念が強まってきた。

「月給 30 万円なんて出せない。」 東京・赤坂にある老舗の中国料理店の店主は嘆く。 アルバイトを募集したところ、それまでの 2 倍の給料を中国出身の若者に要求された。 これまでの給料だと「中国で働くのと変わらない」と相手にされない。 店主は「年中無休」の看板を下ろし、店も早く閉めるようになった。 上海市の平均月収は 2014 年の統計でも 5,451 元(約 9 万円)に達し、その後も上昇を続ける。 アジア域内での経済力の盛衰は労働人口の減少に悩む日本の地方にも及ぶ。

外国人労働者のうち中国人が 7 割を超えていた愛媛県。 同県中小企業団体中央会は今年 1 月、ミャンマー政府と技能実習生の受け入れ協定を結んだ。 愛媛県の最低賃金でフルタイムで働いた場合の月収は約 11 万円で中国の都市部と大差ない。 中央会の担当者は「日本に来るメリットがなくなっている」と分析する。

(中略)

技能実習生として、縫製工場で働く 20 代のベトナム人女性は言葉少なだった。 残業代は最低賃金の半分以下しかもらっていない。 労働契約の中身も「知らない」ので、そうした待遇が違法かどうかもわからない。 出国するために 100 万円以上を支払っており「働き続けるしかない。」 潜在成長力低下を補うための移民受け入れ論もくすぶるが「日本は海外から見たときの魅力がなくなっている(日本総研の山田久チーフエコノミスト)」のが実情だ。

ちょっと引用が長くなりましたが、要するに日本の賃金水準はアジア諸国から見て魅力的なものではなくなってきているわけです。 「賃金を引き上がれば失業が増える」という実体を伴わない空理空論が支配的な我が国の経済界では、専ら利益の最大化よりも働く人の取り分の最小化を追求しているかのような動きも目立つところですが、その結果はどうしたものでしょうか。 日本の会社は狙い通りに人件費の抑制にこそ成功している一方で、世界経済に占める日本の地位は着々と低下を続けてもいます。

僅かに景気が上向くように見えても専ら非正規の求人ばかりが増える、賃上げ幅が微増したかに見えても非正規率の高さで労働者全体の平均賃金は必ずしも上がらなかったりするなど、とにかく日本は給料の上がらない「人を安く雇える国」へと突き進んでいるわけです。 プランテーション経営でもやるなら、それは目的に適った変化と言えるのかも知れませんけれど、上述の「世界経済に占める日本の地位」を鑑みれば、やはり日本経済は全体としてグローバル時代には通用しないやり方を追い求めているとしか言いようがありませんね。

結局のところ「低い賃金水準こそが日本経済のリスク」にすらなっているのかも知れません。 本当の意味で日本が労働力不足になるには相当な長い年月を要するように思われるところですが、いざ労働力不足が現実のものになったとき「日本は海外から見たときの魅力がなくなっている」のですから。 今は現地の親日派ブローカーと組んで中国農村部の人やヴェトナム人を騙しては実習生に仕立て上げるなどしているわけですけれど、そうしたブローカーだって「韓国や中国都市部に売った方が儲かる」と判断するようにもなることでしょう。

以前に介護現場へのロボット導入の話を書いたりもしましたが、「ロボットが高い = 人にやらせた方が安い」ために導入が進んでいないという実態があります。 ここで日本とは違って人件費の高騰する国であれば、いずれはロボットの方が安くなる、好むと好まざると機械化を進めるというイノベーションにも繋がるわけです。 逆に賃金の抑制が容易で、非正規化を進めることでさらなる人件費カットが可能な日本では、ロボットを導入するのではなく給料をカットする、安い外国人を買ってくることの方が解決策になってしまいます。 「人を安く働かせれば済む」国では、イノベーションは阻害されるのです。

現政権下ではことあるごとに、政府が財界に賃上げを要請しています。 その辺、何もしなかった前政権よりはマシ、特定政党への支援しか頭にない大手労組よりはマシではあるのでしょう。 しかし、口先だけの賃上げ要請がもたらしたのは、「お茶を濁す」レベルの微々たるものでしかありません。

確かに個々の企業からすれば、自社の賃金を低く押さえ込んでおくことこそが利益の元であり、株主への説明も付きやすいものなのかも知れません。 とはいえ、社会全体で賃金が低いまま据え置かれれば個人消費は冷え込み、それが経済成長を押しとどめる要因ともなっているわけです。 もうちょっと政府を危機感を持って、企業に対して強い姿勢を見せるべき段階に来ているのではないでしょうかね。 (奥田宏二 Blog 非国民通信 = 7-29-16)