大企業製造業 7 - 9 月期は +2.9、3 期ぶり改善 = 法人企業景気予測調査

[東京] 財務省と内閣府が 13 日発表した 7 - 9 月期法人企業景気予測調査によると、企業の景況感を示す景況判断指数 (BSI) は、大企業製造業でプラス 2.9 となり、3 期ぶりに改善した。 非製造業はプラス 1.4 となり、3 期ぶりに改善した。 先行き 10 - 12 月期は大企業製造業でプラス 8.6 となった。 非製造業ではプラス 3.0 となった。

全産業ベースの 2016 年度の設備投資計画(ソフトウエア投資を含む、土地購入額を除く)は前年比 4.9% 増となり、前回調査から上方修正された。 法人企業景気予測調査の景況判断 BSI は前期に比べて景況感が「上昇」との回答構成比から「下降」との回答構成比を引き算したもの。 日銀短観の DI が「良い」、「悪い」といった水準を聞いているのに対し、この調査は景況感の変化の方向を聞く。 調査対象は資本金 1,000 万円以上の法人企業。 (Reuters = 9-13-16)

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企業の設備投資、4 - 6 月期 3.1% 増 収益には陰りも

財務省が 1 日に発表した 4 - 6 月期の法人企業統計で、企業の国内設備投資額(金融・保険業をのぞく)は前年同期比 3.1% 増の 9 兆 3,145 億円だった。 13 四半期連続の増加だが、円高や原油安の影響で売上高や経常利益は 3 期連続で減り、企業収益に陰りも見え始めている。 設備投資額を業種別にみると、製造業は 11.1% 増。 新型車やスマートフォンの生産増強の投資などが増えた。 非製造業は 1.3% 減で、サービス業などが全体を押し下げた。

一方、売上高は 3.5% 減の 307 兆 3,674 億円、経常利益は 10.0% 減の 18 兆 2,639 億円で、ともに 3 期連続の減少。 下落幅は前期より拡大した。 原油価格下落や円高に加え、熊本地震も影響した。 ただ、経常利益は過去最高だった昨年同期に次ぐ水準を維持している。 企業の減収・減益が 3 期続くのは、東日本大震災後の 2011 年 4 - 6 月期からの 3 期以来だ。 (asahi = 9-1-16)


7 月の実質賃金、2.0% 増 6 カ月連続プラス

厚生労働省が 5 日発表した 7 月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数は前年同月比 2.0% 増で、6 カ月連続で前年同月を上回った。 実質賃金が 6 カ月連続で増えるのは、13 カ月続けて増えた 2010 年 3 月 - 11 年 3 月以来。

 消費者物価指数の下落傾向が、実質賃金を押し上げている。  名目賃金に当たる「現金給与総額」は同 1.4% 増の 37 万 3,808 円で 2 カ月連続の増加。 基本給などの「所定内給与」が同 0.4% 増えたほか、夏のボーナスなどの「特別に支払われた給与」が同 4.2% 伸びた。 現金給与総額は 5 月に同 0.1% 減となったものの、「この半年ほどは緩やかな上昇基調が続いている(厚労省の担当者)」という。 (asahi = 9-5-16)

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実質賃金、3 カ月連続プラス 4 月の毎月勤労統計

厚生労働省が 3 日発表した 4 月の毎月勤労統計(速報)で、労働者 1 人平均の賃金が物価の伸びを超えて上がっているかを示す「実質賃金指数」は前年同月より 0.6% 増えた。 1.6% 増だった 3 月より上げ幅は縮まったものの、3 カ月連続でプラスとなった。

名目賃金にあたる「現金給与総額」は 0.3% 増の 27 万 4,984 円。 パートタイム労働者は労働時間が減って 0.8% 減の 9 万 7,580 円と 3 カ月ぶりのマイナスだったが、フルタイムは春闘の影響で基本給などが上がり、0.7% 増の 35 万 2,029 円だった。 このフルタイムの伸びや、ボーナスなど特別給与の上昇が全体の名目賃金を押し上げた。 4 月の消費者物価がエネルギー価格の下落で 0.3% 下がったことも、実質賃金にとってはプラスに働いた。 (asahi = 6-3-16)

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実質賃金、5 年連続マイナス 前年度比 0.1% 減

厚生労働省が 20 日発表した 2015 年度の毎月勤労統計で、物価の伸びを超えて賃金が上がっているかを示す実質賃金指数が前年度より 0.1% 減った。 14 年 4 月の消費増税の影響が薄まり、下げ幅は前年度の 3.0% より縮んだが、5 年連続のマイナスとなった。 1 人平均の月間の現金給与総額は、前年度比 0.2% 増の 31 万 4,089 円。 業績が好転した企業でベアが相次ぎ、基本給などは 0.3% 増と 10 年ぶりにプラスに転じた。 ただボーナスなどが 0.5% 減ったほか、賃金が低いパートタイム労働者の比率も上がったため、現金給与総額の上げ幅は前年度の 0.5% 増より縮んだ。

実質賃金の算出に用いる消費者物価指数は前年度より 0.3% 上昇で、上げ幅は消費税率が 5% から 8% に上がった 14 年度の 3.5% よりも縮んだ。 それでも現金給与総額の伸びを上回り、実質賃金はマイナスとなった。 フルタイムとパートの労働者の現金給与総額はそれぞれ前年度より 0.5% 増え、実質賃金も 0.2% 増えた。 しかし、賃金が低いパート労働者の数が大きく伸びたことが、全体の現金給与総額と実質賃金を押し下げた。 (末崎毅、asahi = 5-20-16)


17 年度予算要求額、3 年連続で 100 兆円突破 遠のく財政改善目標

[東京] アベノミクス 5 年目の成長と財政再建を目指す 2017 年度予算の概算要求額は、3 年続きで 100 兆円を超す見通しとなり、財政健全化に一段の逆風が吹いている。 政府は 18 年度に基礎的財政赤字を国内総生産 (GDP) の 1% を目安に改善させる目標を掲げているが、実質 2%、名目 3% という期待通りの成長シナリオが実現できても、目標達成に 5 兆円不足する。 安倍晋三政権下の財政再建は、一段ときしみを生じかねない情勢だ。

政府は 8 月 2 日に閣議了解した概算要求基準で、成長戦略などに予算を重点配分する 4 兆円の「特別枠」を設定し、国債の利払いや元本返済を除く歳出に上限を設けなかった。 そのため 17 年度予算要求では、インフラ整備や「1 億総活躍プラン」などの看板政策の経費が積み上がる結果となった。 さらに高齢化に伴う医療、介護費の膨張も止まらない。 一般会計予算の 3 分の 1 を占める社会保障費は要求ベースで 31 兆円を超え、公共事業などへの支出を含めた政策経費は、77 兆円程度に膨らむ見込みだ。

政府関係者のひとりは「アベノミクスの効果が着実に実現したケース(成長率実質 2%、名目 3%)でも、18 年度の目標に 5.1 兆円足りない。 17 年度予算から歳出にメスを入れなければ目標の後ずれは不可避」と指摘する。 財務省は各省庁からの要求を踏まえ、年末に向けて予算要求の査定に着手する。 政府は、社会保障費の伸びを「高齢化による増加分の範囲内(5,000 億円程度)」に抑える方針を掲げており、財政規律を維持できるかどうかは、要求額をどこまで削りこめるかにかかっている。

16 年度と異なり、17 年度予算編成では 2 年に 1 度の薬価改定といった大幅な抑制要因がないため、高額療養費制度の見直しなどの構造改革がカギとなる。 大胆な削減に踏み切れなければ「政府の財政運営に市場の疑いの目が向けられかねない(別の政府関係者)」との懸念も漏れてくる。 日銀のマイナス金利政策に伴い、17 年度予算要求では、国債利払い負担の計算根拠となる積算金利が引き下げられるという恩恵もあり、国債費の要求額は 24 兆 6,174 億円(要求ベース)と 5 年ぶりの減額となる。

ただ、利払い費が軽くなっても国債残高そのものは増え続け、予算の 4 分の 1 を債務償還などに充てる厳しい財政構造は変わらない。 14 年度以降、バブル期に迫る税収を確保する一方、歳入を補う国債発行を減らしてきた。 しかし、今年初めからの円高で企業収益が圧迫され、法人税収は伸び悩みの動きをみせている。 15 年度の税収は 56 兆 2,854 億円と、年度途中の想定税収額(56 兆 4,000 億円)を割り込んでおり、市場では「成長率が伸びていなければ、20 年度に基礎的財政収支を黒字化する目標は難しい(大和総研・シニアエコノミストの神田慶司氏)」との見方が強まっている。 (横田浩熙、Reuters = 8-31-16)


7 月の消費者物価指数、0.5% 下落 下落幅 3 年 4 カ月ぶり大きさ

総務省が 26 日発表した 7 月の消費者物価指数(CPI、2015 年 = 100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合が 99.6 と前年同月に比べて 0.5% 下落した。 5 カ月連続で前年実績を下回り、下落幅は 2013 年 3 月(0.5% 下落)以来、3 年 4 カ月ぶりの大きさ。 QUICK が事前にまとめた市場予想の中央値は 0.4% 下落だった。 原油価格の低迷を背景に電気代やガソリン代などが下落。 新製品の端境期にあるスマートフォンの価格も落ち込んだ。

315 の品目が上昇し、157 が下落。 横ばいは 51 品で、上昇品目の割合は 60.2% だった。 生鮮食品を含む総合は 99.6 と前年同月比 0.4% 下落した。 食料・エネルギーを除く「コアコア」の指数は 100.3 と 0.3% 上昇した。 東京都区部の 8 月の CPI (中旬速報値、15 年 = 100)は、生鮮食品を除く総合が 99.7 と 0.4% 下落した。 電気代やガソリン代の下落が影響した。 総務省は 5 年ごとにCPIの基準改定を実施している。今回の発表から、これまでの「2010年基準」から「2015年基準」に切り替わった。(nikkei = 8-26-16)

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コア CPI、5 月は -0.4%、食品価格上昇鈍化でマイナス幅拡大

総務省が 1 日公表した 5 月の全国消費者物価指数 (CPI) は、指標となるコア CPI (除く生鮮)が前年比 0.4% 低下した。 前年比でのマイナスは 3 カ月連続で、マイナス幅は 4 月の 0.3% から拡大した。 ロイターがまとめた民間予測も 0.4% の低下だった。 これまで同様、ガソリンなどエネルギー価格が下落するなか、食品価格の上昇率鈍化が響いた。 このため物価の基調的な動きを示すコアコア CPI (除く食料・エネルギー)は前年比 0.6% 上昇したものの、プラス幅は 4 月から 0.1 ポイント縮小した。 先行指数とされる 6 月の東京都区部のコアコア CPI も前年比 0.4% の上昇となり、プラス幅が 0.1 ポイント縮小した。

インスタントコーヒーや牛乳など食品値上げ一巡

5 月の全国消費者物価は、ガソリンが前年比 16.1%、電気代が同 9.6%、都市ガス代が同 16.6%、それぞれ下落した。 ただ、エネルギー全体の下落幅は 4 月と変わらず、指数を押し下げたのは食品や耐久財。 生鮮食品を除く食料は前年比 1.3% 上昇したが、プラス幅は 4 月の 1.5% から縮小した。 「インスタントコーヒーや牛乳など、昨年来の値上げが一巡した。(総務省)」 テレビも同 5.2% 上昇した。 昨年同時期に新製品投入で値上がりした反動で、プラス幅は 4 月の 13.3% から大幅に縮小した。 このため全国のコアコア CPI は昨年 11 月に前年比 0.9% 上昇したのをピークに緩やかな鈍化傾向が続いている。

6 月都区部、エネルギーのマイナス幅縮小もテレビが下落

6 月東京都区部では、エネルギーの前年比マイナス幅が 5 月より縮小した。 一方、テレビは前年比下落に転じた。 生鮮食品を除く食料は 5 月と同じプラス幅だった。 焼肉や寿司、乳酸飲料が値上がりしたが、総務省では「特異な動きか全国に波及するか、今後見極めたい」としている。 (Reuters = 7-1-16)

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4 月の消費者物価指数、0.3% 下落 2 カ月連続

総務省が 27 日発表した 4 月の全国の消費者物価指数(2010 年 = 100)は、価格の変動の大きい生鮮食品を除く指数が 102.9 となり、前年同月と比べ 0.3% 下落した。 下落は 2 カ月連続。 原油安の影響でガソリンや電気代などエネルギー価格が下落して全体を押し下げた。 内訳をみると、ガソリンは前年同月比で 16.0% 下がり、電気代も 9.9% 下落した。 一方、食料品は原材料費の上昇などに伴い、菓子類や調理食品を中心に価格が 1.5% 上がった。 衣服や靴も 2.3% 上昇した。 (asahi = 5-27-16)


円、一時 100 円台前半 約 1 カ月半ぶりの高値水準に

16 日の東京外国為替市場の円相場は一時、1 ドル = 100 円 10 銭台まで円高が進んだ。 東京市場では英国の欧州連合 (EU) 離脱が決まった 6 月 24 日以来約 1 カ月半ぶりの高値水準だ。 午後 5 時時点では、前日同時刻より 76 銭円高ドル安の 100 円 31 - 33 銭。

前日のニューヨーク市場でダウ工業株平均が過去最高値を更新したのを受け、朝方はドルが買われた。 だが、昼ごろからは一転、円買いが進んで円高が急速に進んだ。 夏休みで市場参加者が少ないなか、「短期的な利益を狙う投機筋が円買いを仕掛けた(三井住友銀行の宇野大介氏)」とみられる。 円高で投資家心理は悪化し、東京株式市場では日経平均株価が 2 営業日連続で値下がりした。 幅広い銘柄で売り注文が膨らみ、終値は 273 円 05 銭 (1.62%) 安い 1 万 6,596 円 51 銭。 東京証券取引所第 1 部全体の値動きを示す TOPIX (東証株価指数)は、同 18.16 ポイント (1.38%) 低い 1,298.47 だった。 (asahi = 8-16-16)

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企業に円高直撃、減益幅は震災直後並み 4 - 6 月期決算

東京証券取引所に上場する企業の 2016 年 4 - 6 月期決算は、5 日までに約 3 分の 2 が発表を終えた。 円高で業績が伸び悩み、1 部上場企業の経常利益と純利益は、いずれも合計が前年同期を約 20% 下回った。 2 ケタの減益幅は東日本大震災直後の 11 年 4 - 6 月期以来 5 年ぶり。 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券が 4 日までに発表した東証 1 部の 3 月期決算企業 762 社(対象の 58.7%、金融など除く)を集計。 売上高は 6.4% 減の 77 兆 8,273 億円、営業利益は 9.2% 減の 6 兆 1,718 億円、純利益は 23.5% 減の 4 兆 1,803 億円だった。

悪化の主因は円高だ。 米国の早期利上げ観測の後退、英国の欧州連合 (EU) 離脱決定などで不透明感が高まり、安全資産とされる円を買う動きが加速した。 4 - 6 月期の為替相場は 1 ドル = 108 円前後で、前年より 10 円以上の円高となった。 自動車や電機といった製造業が不振で、営業減益だった日産自動車の田川丈二常務執行役員は「実態としての業績は改善しているが、為替のマイナスを相殺しきれていない」という。

業種別では鉄鋼業の営業利益が 76.0% 減で落ち込みが目立った。 中国の生産増に伴う鋼材市況の低迷が一因で、新日鉄住金の栄敏治副社長は「一朝一夕に鋼材の需要環境が改善するとは考えていない。」 17 年 3 月期の企業業績は売上高が前年より 2.6% 減、営業利益は 9.5% 減、経常利益は 4.4% 減となる見通しだ。 同証券の渡辺篤氏は「中国や新興国の景気減速も懸念される。 企業にとって厳しい環境が続きそうだ。」と話す。 (下山祐治、asahi = 8-6-16)


街の景気実感、4 カ月ぶり改善 婦人服や海外旅行が好調

内閣府が 8 日発表した全国の商店主やタクシー運転手らに景気の実感を聞いた 7 月の景気ウォッチャー調査は、景気の現状を示す指数が前月より 3.9 ポイント上昇して 45.1 となった。 改善は 4 カ月ぶり。 基調判断は 16 カ月ぶりに上方修正し、「持ち直しの兆しがみられる」とした。 内閣府は、英国の欧州連合 (EU) 離脱問題で乱高下した為替や株価が落ち着いた影響も大きいとみている。 改善が目立ったのは家計関連で、百貨店で婦人服の販売が好調だったほか、円高で海外旅行の売れ行きもいいという。 (asahi = 8-8-16)

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大企業・製造業の景況感、前回 3 月から横ばい 日銀短観

日本銀行が 1 日発表した 6 月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標である大企業・製造業の業況判断指数 (DI) がプラス 6 で、前回 3 月調査から横ばいだった。 急激に進んだ円高で輸出企業の景況感が悪化する一方、資源価格の持ち直しなどで改善した業種もあった。

短観は、日銀が 3 カ月ごとに全国の企業約 1 万 1 千社に景況感を尋ねている。 DI は景気を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数。 今回の調査期間は 5 月 30 日 - 6 月 30 日で、6 月 13 日までに約 7 割、英国が欧州連合 (EU) からの離脱を決めた 24 日までに 9 割以上の企業が回答を終え、EU 離脱決定の影響はほとんど反映されていないとみられる。

大企業・製造業では、輸出関連業種を中心に景況感が悪化し、自動車はマイナス 2 で前回から 7 ポイント悪化。 燃費不正問題による軽自動車の生産減、熊本地震で一部の工場の操業が止まったことも響いた。 生産用機械は 2 ポイント、業務用機械は 4 ポイントそれぞれ悪化した。 (真海喬生、asahi = 7-1-16)

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国内景気「足踏み状態」 78 社に増加 主要 100 社調査

主要企業 100 社を対象に朝日新聞が実施した景気アンケートで、国内の景気が「足踏み状態」にあるとみている企業が 78 社にのぼった。 昨年 11 月の前回調査から 20 社増え、前回に続いて第 2 次安倍政権下の最多を更新した。 年始から進む円高や海外経済の減速の影響で、景気の停滞感が一段と強まってきた。 (中村靖三郎、asahi = 6-20-16)

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大企業の景況感、2 四半期連続マイナス 4 - 6 月期

内閣府と財務省が 13 日発表した今年 4 - 6 月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を示す指数は全産業でマイナス 7.9 となり、2 四半期連続でマイナスになった。 熊本地震による工場停止や最近の円高で、1 - 3 月期よりマイナス幅は拡大した。

大企業のうち、製造業の景況感はマイナス 11.1 と大幅に悪化。 自動車やスマートフォンなど情報通信機器などで落ち込んだ。 中小企業は全産業でマイナス 16.9 と、9 四半期連続でマイナスになった。 7 - 9 月期の大企業はプラス 5.8 を見込んでいる。 指数は、景況感が「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた数字で、四半期ごとに調査している。 (asahi = 6-13-16)


低所得者 2 千万人に 1 万 5 千円給付方針 政府の経済対策

政府は 28 日、低所得者を対象に 1 人あたり 1 万 5 千円を配る「簡素な給付措置」の拡充を、経済対策に盛り込む方針を決めた。 住民税が非課税の低所得者約 2,200 万人を対象とする予定で、低迷する個人消費の底上げにつなげたい考えだ。 ただ、給付の時期は来夏ごろになる見通しで、足もとの景気を下支えする効果は限定的になりそうだ。

同日の自民・公明両党の会議に示した。 8 月 2 日に閣議決定する。 事務費を含めて約 3,700 億円を秋の臨時国会に提出する今年度補正予算案に計上する。 簡素な給付措置は、消費税率を 8% に引き上げた 2014 年度から低所得者対策として始まった。 今年度は、1 人あたり年 6 千円が配られる。 税率 10% への引き上げが 19 年 10 月に再延期されたことから、来年 4 月から約 2 年半分を前倒しして、まとめて配る。 給付措置は軽減税率を導入する 10% 時に終了する方向だ。 (大津智義、asahi = 7-28-16)


企業向けサービス価格指数、6 月も前年上回る

日本銀行が 26 日発表した 6 月の企業向けサービス価格指数(2010 年平均 = 100)の速報値は 103.0 となり、前年同月より 0.2% 上がった。 前年同月を上回るのは 36 カ月連続。 熊本地震の影響で 5 月に落ち込んだ訪日外国人数が回復し、「宿泊サービス」の価格が上昇したことや、人手不足が続く自動車やソフトウェア開発向けの「労働者派遣サービス」の価格が上がり、全体を押し上げたという。 (asahi = 7-26-16)


近畿のマンション価格、バブル期並み 人気はタワマン

近畿のマンション価格が上昇している。 不動産経済研究所によると、近畿 2 府 4 県で今年上半期(1 - 6 月)に発売された新築マンションの 1 戸あたりの平均価格は前年同期より 4.8% 上がり、3,810 万円だった。 1993 年上半期以来の高値となっている。 1 平方メートルあたりの単価も 10.9% 増の 62.3 万円で、バブル期の 91 年上半期以来の高水準だった。

値上がりは主要都市の中心部で目立っていて、タワーマンションが人気だという。 1 平方メートルあたりの単価をみると、京都市は 79.1 万円(前年同期比 28.8% 増)、神戸市は 62.4 万円(13.2% 増)、大阪市は 66.6 万円(10.3% 増)。 建築費が高止まりしていることに加え、都市部の地価が上昇傾向にあることも背景にある。 値上がりを受けて、発売戸数は減っている。 近畿の上半期は 8,941 戸で前年同期比 11.5% 減。 価格の安い物件を求めるファミリー層が、買い控えているという。 来年 4 月に予定されていた消費増税が延期されたことで、急いで買わずに様子見をしている世帯も多いという。 (岩沢志気、asahi = 7-15-16)

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首都圏の新築マンション、契約率 7 割切る 割高感で

首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)で今年上期(1 - 6 月)に売り出された新築マンションは 1 万 4,454 戸で、前年同期より 2 割減った。 上期では、1992 年の 1 万 959 戸以来の低水準。 契約率は 68.4% で、7 年ぶりに好調の目安とされる 7 割を切った。 不動産経済研究所が 14 日に発表した。 1 平方メートル当たりの価格は 81.7 万円となり、前年より約 7 万円高かった。 4 年連続で値上がりしており、割高感から消費者の動きが鈍くなり、開発業者が売り出し戸数を絞っているという。 (asahi = 7-14-16)


5 月景気動向一致指数 3 カ月ぶりマイナス、自動車・医薬品減 = 内閣府

[東京] 内閣府が 7 日発表した 5 月景気動向指数 CI (コンポジット・インデックス)一致指数の速報値は、前月比 1.5 ポイント低下の 110.5 となり、3 カ月ぶりのマイナスとなった。 軽自動車の生産・販売減や携帯電話などの需要減、医薬品・化粧品関連の生産・販売減が響いた。 先行指数は前月比横ばいの 100.0 だった。 雇用関連指標が改善したが軽自動車など小型車の在庫増や中小企業のマインド悪化が影響した。 CI 一致指数を踏まえた基調判断は「足踏みを示している」との従来表現を据え置いた。 (Reuters = 7-7-16)


日経平均、3 日連続の値下がり 終値 102 円安

7 日の東京株式市場は、日経平均株価が 3 日続けて値下がりした。 終値は、前日より 102 円 75 銭 (0.67%) 安い 1 万 5,276 円 24 銭。 東京証券取引所第 1 部全体の値動きを示す TOPIX (東証株価指数)は同 8.11 ポイント (0.66%) 低い 1,226.09。 出来高は 18 億 3 千万株。 英国の欧州連合 (EU) からの離脱決定に伴う欧州経済の先行き不透明感がくすぶり、外国為替市場で円相場が主に 1 ドル = 100 円台後半の円高水準で推移。 株式市場では、円高による企業業績の下ぶれを懸念した売りが膨らんだ。 (asahi = 7-7-16)

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日経平均、600 円超下落 円高が加速

週明け 2 日の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日の終値より 308 円 95 銭安い 1 万 6,357 円 10 銭で取引が始まった。 その後、全面安となり、日経平均株価は前営業日(4 月 28 日)の終値より 600 円超値下がりした。

4 月末に日本銀行が追加の金融緩和を見送ったことで、外国為替市場で円を売ってドルを買う流れが進行。 1 ドル = 106 円台まで円高に振れた。 米政府が日本の為替政策を監視対象にしたこともあって、日本が今後、円売り介入するのは困難になった、との見方も円高を加速させた。 このため、輸出関連企業の採算悪化につながるとの思惑が広がり、取引開始直後から売りに拍車がかかった。 (asahi = 5-2-16)


企業の物価見通し、1 年後は +0.7% インフレ期待の鈍化続く

日銀が 4 日に発表した 6 月調査の日銀短観における「 企業の物価見通し」によると、企業が想定する消費者物価 (CPI) の前年比上昇率は、 全規模・全産業の平均で 1 年後が 0.7% 上昇となり、前回 3 月調査から 0.1% ポイン ト低下した。 低下は 4 四半期連続で、企業のインフレ期待の鈍化傾向が続いている。 3 年後は同 1.1% 上昇で前回と変わらず。 5 年後は同 1.1% 上昇となり、前回か ら 0.1% ポイント低下した。 5 年後が低下するのは、5 四半期連続となる。

前年同月の調査では 1 年後が同 1.4% 上昇、3 年後が同 1.5% 上昇、5 年後が同 1.6% 上昇となっており、原油価格の下落で実際の消費者物価(生鮮食品除く、コア CPI)が低迷する中、企業のインフレ期待も低下が鮮明になっている。 1% ごとに示している選択肢別の社数構成比をみると、1 年後は 0% 程度との見方が 41% と最も高く、前回の 35% から拡大した。 3 年後と 5 年後は 1% 程度上昇がそれぞ れ 27%、20% で最高となっており、日銀が目指す 2% 程度の物価上昇率を見込む企業 はすべての期間で 10% 強にとどまっている。

日銀は目標とする物価上昇率 2% の早期実現に向け、現行のマイナス金利付き量的・ 質的金融緩和(マイナス金利付き QQE)の推進で 2017 年度中にはコア CPI の上昇 率が 2% に達すると見通している。 そのためにはインフレ期待の上昇が不可欠だが、企業 の物価見通しからは高まりはうかがえない。 同時に公表した各企業の主要な製品・サービスの販売価格見通しも、現在と比べて平 均で 1 年後に 0.2% 上昇(前回 0.3% 上昇)、3 年後に 0.8% 上昇(同 1.0% 上 昇)、5 年後に 1.1% 上昇(同 1.3% 上昇)と、すべての期間で低下した。 (伊藤純夫、Reuters = 7-4-16)


法人税収、6 年ぶり減 15 年度、円高で伸び悩み

財務省は 1 日、2015 年度の国の決算見通しを発表した。 一般会計の税収は前年度より 2.3 兆円多い 56 兆 2,854 億円で、24 年ぶりの高水準となった。 ただ、法人税は年明けから円高が加速したことで、自動車など大企業からの税収が想定を下回り、6 年ぶりに前年度より減った。

これまでは、主に大企業の業績改善が経済政策「アベノミクス」を牽引してきたが、英国の欧州連合 (EU) 離脱決定をきっかけに円高はさらに進んでおり、法人税収は今後、伸び悩む可能性がある。 15 年度の法人税収は 10.8 兆円となり、前年度を 2 千億円下回った。 昨年 4 - 12 月の税収実績から、今年 1 月時点では 11.7 兆円の税収を見込んでいたが、円高などの影響で年明け以降の税収が急減速した。 (奈良部健、大津智義、asahi = 7-2-16)


「路線価」全国平均が 8 年ぶりに上昇

相続税などの計算の基準となる「路線価」が 1 日公表され、全国平均が 8 年ぶりに上昇に転じました。 外国人旅行者によるいわゆるインバウンド消費が大都市だけでなく地方にも波及したことなどが背景にあるとみられています。 路線価は、主な道路に面した土地の 1 平方メートル当たりの評価額を国税庁が 1 月 1 日の時点で算定したもので、相続税や贈与税を計算する基準になります。

1 日公表されたことしの路線価は、全国平均で去年を 0.2% 上回り、リーマンショック以降続いていた下落傾向が、8 年ぶりに上昇に転じました。 これは外国人旅行者によるいわゆるインバウンド消費が地方にも波及したことなどが背景にあるとみられ、上昇傾向は東京や大阪、愛知の大都市だけでなく北海道や広島などの地方都市にも広がり、14 の都道府県で去年を上回りました。 個別の地点では東京の銀座 5 丁目の銀座中央通りが去年よりも 18.7% 上昇し、3,200 万円で、31 年連続で日本一となりました。 また、大阪市の阪急百貨店前の御堂筋は、去年より 22.1% 上昇して 1,016 万円、名古屋市の JR 名古屋駅前の名駅通りは、去年を 14.1% 上回り、840 万円になりました。

熊本地震への対応

公表された路線価は、ことし 1 月 1 日時点の評価額を算定したもので、ことし 4 月に起きた熊本地震の影響は考慮されていません。 熊本県などでは地震による土地の陥没や土砂崩れなどで評価額が低くなる地域もあります。 このため国税庁は、熊本地震の発生後に相続や贈与によって被災地で土地を取得した場合、被害状況に応じて個別に評価額を定める措置を取り、実情よりも税負担が増えないようにすることにしています。

「地方でも需要高まる」

路線価の全国平均が上昇したことについて不動産調査会社「東京カンテイ」の高橋雅之主任研究員は「地方の中枢都市においてもオフィス需要が旺盛になっているうえ、最近は来日する外国人の増加にともなって店舗やホテルといった宿泊施設のニーズが高まっていることが路線価を引き上げる結果になった。 ただ最近は円高が進んでいるので今後の為替の変動によっては外国人の需要が薄まる可能性もある。」と分析しています。 (NHK = 7-1-16)


GDP 600 兆円「達成困難」 51 社 主要 100 社調査

主要企業 100 社への景気アンケートで、2020 年ごろに「名目 GDP (国内総生産) 600 兆円」を達成するという安倍政権の目標の実現可能性を聞いたところ、51 社が「達成は難しい」と回答。 「達成できる」は 7 社にとどまった。 目標達成には年率 3% 超の成長を続ける必要がある。

「現時点では実現できそうな根拠が見えない(旭硝子の島村琢哉社長)」、「今の水準の維持も大変(大日本印刷の北島義俊社長)」などと否定的な見方が多かった。 「GDP は結果の話で、目的化するのは本末転倒ではないか(ミズノの水野明人社長)」との指摘もあった。 新日鉄住金の栄敏治副社長は「足もとはほぼゼロ成長。 円高傾向や世界経済の下ぶれリスクもあり、達成は難しいのではないか。」との見方を示した。 「達成には、移民受け入れなど新しい政策が必要(オリックスの井上亮社長)」と大胆な政策転換を求める声もあった。

大企業や富裕層が豊かになれば、中小企業や地方に恩恵が波及する「トリクルダウン」が起きていると思うかどうかも聞いた。 「あまり起きていない」が 48 社、「全く起きていない(2 社)」とあわせて半数を占め、「十分ではないが起きている(26 社)」の約 2 倍にのぼった。 「起きている」はゼロだった。 「起きていない」と思う理由は、「トリクルダウンの考え方自体が現実的でない(18 社)」が最も多く、「大企業の設備投資が不十分(13 社)」が続いた。

セコムの中山泰男社長は「目に見えて恩恵が行き渡っている状況とは言い難い。」 ダイキン工業の宮住(みやずみ)光太執行役員は「日本の製造業は海外に投資する企業が多いため、国内での波及は少ない」と話す。 「円安の影響があまりなく、アベノミクスの恩恵を受けていない企業も多い。

賃金を上げられるところまでいっていないと思う。(東洋紡の大田康雄執行役員)」という意見もあった。 ロイヤルホールディングスの黒須康宏社長は、むしろ格差が広がっているとみる。 「二極化がより進んでいる印象。 富裕層はより裕福になり、それ以外の層は実質的な賃金がなかなか上がらず苦労している。」 清水建設の黒沢成吉副社長は「中小企業や地方の活性化には、大胆な規制緩和などによる産業構造の変革が不可欠だ」と指摘する。

マイナス金利、効果疑問視も

日本銀行が導入したマイナス金利政策の評価について聞いたところ、「どちらともいえない」が 46 社で最も多く、「大いに評価できる」は 1 社、「一定の評価はできる」は 25 社。 「全く評価できない」はなかったが、13 社が「あまり評価できない」と答えた。 日本で初めて導入された金融緩和手法への評価は、まだ定まっていないようだ。

「資金需要がもともとある企業にとって今の金利環境は良い環境だ(DMG 森精機の森雅彦社長)」、「金融政策の自由度も広がった(東京海上日動火災保険の岩崎賢二専務)」と評価する声がある一方、「設備投資に向かえば良いが、向かっていない。 需要が拡大しないのに、借金してまで投資はしない(東京製鉄の西本利一社長)」などと効果を疑問視する意見もあった。

経営への影響も、プラスマイナスの両面があるようだ。 低利で長期の社債発行が可能になるなど資金調達の選択肢が広がったことを歓迎する声が目立つ一方、退職金や年金の運用利回り低下による負担増を指摘する意見も多かった。 「2017 年度中に物価上昇率を前年比 2% にする」という日銀の目標が「実現できる」と答えたのは 7 社。 「当分は実現できない」は 19 社だった。 東レの日覚昭広社長は「他の先進国でも物価が上がりにくくなっており、目標を 2% に設定すること自体に無理が生じている」と指摘する。 (津阪直樹、中村靖三郎、米谷陽一、asahi = 6-20-16)


長期金利、過去最低を更新 一時マイナス 0.155% に

10 日の東京債券市場で、長期金利の指標となる満期 10 年の新発国債の流通利回りが低下し(価格は上昇)、一時、マイナス 0.155% をつけた。 3 月と 4 月につけたマイナス 0.135% を下回り、過去最低を更新した。 英国の欧州連合からの離脱を問う国民投票を 23 日に控え、投資家の間でリスクを回避する姿勢が強まり、9 日の欧州市場ではドイツなどの 10 年物国債の利回りが過去最低を更新。 米国でも 10 年物国債が買われて金利が下がった。 東京市場でも「海外投資家が海外市場の動きにつられる形で国債を買っている(大手証券)」という。 (asahi = 6-10-16)


機械受注は堅調、1 - 3 月上振れ後の反動減小幅 下振れリスクも

[東京] 内閣府が 19 日に発表した 3 月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は予想を上回り、前月比 5.5% 増となった。 1 - 3 月は当初見通しを上回る前期比 6.7% 増。 大型案件が押し上げた面もあり、円高の下でも機械関連の投資姿勢は腰折れしていない。 4 - 6 月の見通しは減少となったが、同 3.5% 減と反動減の範囲にとどまった。

3 月実績値は前月比 5.5% 増の 8,951 億円となった。 2 カ月ぶりの増加。 ロイターの事前予測調査では 0.5% 増と予想されていたが、これを大きく上回った。 前年比では 3.2% 増だった。 大型案件が 4 件あり、非鉄金属からの原子力関連原動機のほか、化学工業や造船業、通信業からの受注が押し上げた。 製造業は前月比 19.7% と大幅に増加、非製造業は同 6.9% 減となり前月の 2 桁増の反動が表れた。

1 - 3 月の前期比は前期比 6.7% 増と高めの伸びとなった。 2 四半期連続の増加。 特に鉄鋼業から 1 月に大型受注が入り、全体を押し上げた。 製造業は同 13.7% 増と 3 四半期ぶりに増加。 非製造業も 3.5% 増と 2 四半期連続で増加した。 セキュリティー需要の高まりなどから、情報サービス業や通信業からの受注が寄与した。 4 - 6 月の見通しは前期比 3.5% 減。 製造業・非製造業ともに減少が見込まれている。 もっとも、減少幅は 2 四半期連続の増加の後にしては小幅なものにとどまった。

ただ、市場関係者からは「外部環境も勘案すると、製造業からの受注は内閣府の見通しからさらに下振れするリスクが存在する(SMBC 日興証券・チーフマーケットエコノミスト丸山義正氏)」との見方も聞かれ、円高に伴って企業の設備投資姿勢が慎重化していくリスクがありそうだ。 機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。 設備投資の先行指標として注目されている。 (中川泉、Reuters = 5-19-16)

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製造業の伸びが過去最低に、2 月機械受注 鉄鋼受注の反動減

[東京] 2 月の機械受注統計は、設備投資の先行指標となる船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)が前月比 9.2% 減の 8,487 億円となった。 マイナスとなるのは昨年 11 月以来 3 カ月ぶりで、世界経済の減速懸念や円高に伴うセンチメントの悪化を浮き彫りにした格好だ。 内閣府が 11 日、発表した。 2 月の製造業からの受注は 30.6% 減と、過去最低の伸びだった。 火水力原動機や化学機械など鉄鋼業からの 1 月の大型受注の反動減が響いた。

運輸業・郵便業や情報サービス業などの非製造業は 10.2% 増えたが、全体の落ち込みをカバーできなかった。 船舶・電力除く民需受注額は、ロイターが調査機関に対して事前に実施した予測中央値(12.4% 減)そのものは上回った。 内閣府は「持ち直しの動きがみられる」とする昨年 10 月以降の判断を、今回も据え置いた。 機械受注統計は先行きの設備投資の動向を占ううえで注目度が高い。 今回の指標を受けて、市場では「GDP ベースの設備投資は 1 - 3 月期、4 - 6 月期と減少が続く可能性がある(SMBC 日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト)」との見方が出ている。 (Reuters = 4-11-16)


GDP、年率 1.7% 増 2 期ぶりプラス 1 - 3 月期

内閣府が 18 日発表した 2016 年 1 - 3 月期の国内総生産 (GDP) の 1 次速報は、物価の変動の影響を除いた実質成長率が、前期(15 年 10 - 12 月期)に比べて 0.4% 増だった。 この状況が 1 年続いた場合の年率に換算すると 1.7% 増。 2 四半期ぶりのプラス成長となった。 ただ、民間エコノミストの間には、うるう年で2月が1日多かった影響を除けば、実質的にほぼゼロ成長にとどまったとの見方が出ている。 安倍晋三首相は 1 - 3 月期の GDP の速報値も踏まえて、来年 4 月の消費増税の是非を検討するとみられる。

DP の 6 割を占める個人消費が前期比で 0.5% 増えた。 テレビの売れ行きや外食などが前期から持ち直したこともあって、2 四半期ぶりに増加した。 ただ、「うるう年効果」で押し上げられている面もある。 年初からの株安の影響で、堅調だった百貨店の売り上げも落ちており、内閣府幹部は「消費は引き続き力強さを欠いている状態」とみている。

輸出も 0.6% 増と、2 四半期ぶりのプラスとなった。 石油製品や船舶などが伸びたほか、訪日中国客の「爆買い」など外国人観光客の好調な国内消費が押し上げた面もある。 一方、企業の設備投資は 1.4% 減で、3 四半期ぶりに減った。 船舶や電子通信機器などで減少が目立った。 住宅投資も 2 四半期連続でマイナスとなった。 (中村靖三郎、asahi = 5-18-16)


大手銀に逆風、2 年連続の減益 金利低下・海外事業陰り

大手銀行 7 グループの 2016 年 3 月期決算が 16 日出そろった。 最終的なもうけを示す純利益の合計は前年比 5.5% 減の 2 兆 7,242 億円で 2 年連続の減益。  日本銀行の大規模緩和や競争激化による金利低下で、国内の貸し出しから得られる収益が減っている。 好調だった海外事業にも陰りが見え始めている。 2 年連続の減益となった三井住友フィナンシャルグループ (FG) は、利ざやの縮小で貸し出しから得られる収益が前年に比べて 822 億円減った。 国内向けの貸出残高は 1 年で 1% 以上増えたが、貸出利ざやは平均で 0.08% 幅下がり、1.21% となった。 3 年前の 1.49% からは 0.3% 幅近い低下だ。

貸し出しが増えても収益につながらないのは各銀行共通の課題。 国内の貸し出しで得られる収益は、新生銀行を除く 6 グループの合計でもこの 1 年間で 5% ほど減った。 みずほ FG の佐藤康博社長は「残念だが、利ざやが縮小する傾向は間違いなく続く」と話す。 各行とも金利収入に左右されないよう、国内では投資商品の販売や富裕層向けの資産運用など手数料ビジネスを強化していく方針だ。 (久保智、asahi = 5-16-16)