人民元、5 年半ぶり安値水準 英国情勢受け基準値下げる 中国の中央銀行、中国人民銀行は 27 日、為替取引の目安となる人民元レートの基準値を、前営業日より約 0.9% 元安ドル高となる 1 ドル = 6.6375 元に設定した。 英国の欧州連合 (EU) 離脱決定の影響を受け、2010 年 12 月以来、5 年半ぶりの元安水準をつけた。 市場が混乱に見舞われる中で「安全通貨」とみなされるドルや円が買われ、それ以外の通貨が大きく下落。 人民元基準値も昨年 8 月以来の大幅な下げ幅となった。 中国の李克強(リーコーチアン)首相は 27 日午前、天津市内での講演で、「人民元は長期的に値下がりする根拠はない」と発言。 中国の実体経済は安定的に推移していると強調し、市場が過度に反応することを牽制した。 人民銀の周小川総裁は 24 日、「事態を注視し、各国の中央銀行とともに金融市場の安定を保証する」と述べ、相場の過度の変動に対しては、各国と協調介入に踏み切ってでも抑え込む姿勢を強調していた。(天津 = 斎藤徳彦、asahi = 6-27-16) 債務の株式化、「ゾンビ企業」は対象外 = 中国当局者 [北京] 中国当局者は 23 日、債務の株式化プログラムについて、赤字を計上し続けながらも存続しているいわゆる「ゾンビ企業」は対象外になる、との認識を示した。 また、債務の株式化計画はまだ最終決定はしていない、としたほか、市場や法律上の原理を順守する必要があると述べた。 別の銀行規制関連の高官は、中国の銀行の不良債権比率は上昇しているが、相対的にはなお低水準と指摘した。 銀行は過去 3 年間に、2 兆元(約 3,040 億ドル)相当の不良債権を償却した、とも付け加えた。 (Reuters = 6-23-16) ◇ ◇ ◇ 中国「ゾンビ」製鉄所が復活、過剰生産やまず [上海/マニラ] 中国鉄鋼メーカーによる輸出攻勢が世界的な供給過剰を引き起こしたとして、国際社会は中国政府に余剰生産能力を減らすよう迫っているが、中国の鉄鋼都市では逆の現象が起きている。 今年に入って国内の鉄鋼価格が急上昇したため、中国政府が掲げる方針とは裏腹に、製鉄所は生産を加速させている。 生産停止に追い込まれて閉鎖寸前だった「ゾンビ」製鉄所も息を吹き返しつつある。 中国の鉄鋼(鉄筋)価格は、年初から 77% 上昇。 昨年相次いだ工場閉鎖で需給が引き締まり、消費側の在庫補充や、春節(旧正月)休暇後の需要の高まりなど、いくつかの国内の要因が重なったとみられる。 鉄鋼生産が盛んな河北省唐山市では今月 29 日、10 月までの予定で世界園芸博覧会が開幕する。 一定期間中は製鉄所の稼働を縮小して排気を半減させるよう求められており、それを前に一部で生産を加速させる動きが出ている。 中国は、世界の鉄鋼生産の半分を占め、その余剰生産能力は米国の生産量の 4 倍に達している。 しかし過剰生産解消の掛け声をよそに、鉄鋼情報サイトの中国聯合鋼鉄網によると、68 カ所の溶鉱炉(推定生産能力 5,000 万トン)が生産を再開したという。 また我的鉄鋼網の調べでは、小規模な鉄工所の 1 月の設備稼働率は 51% から 58% に、大手では 84% から 87% にそれぞれ上昇した。 <次々と生産を再開> 鉄鋼価格の回復は「ゾンビ」製鉄所に命綱を投げ込んだ。 そのため「生産能力の削減はもはや考えられない」と、マッコーリーのアナリスト、イアン・ローパー氏は話す。 年間 300 万トンあった鉄鋼生産を昨年 8 月に停止した山西文水海威鋼鉄の幹部は、近く生産を再開すると語った。 同程度の規模の江蘇申特鋼鉄も、昨年 12 月に生産を停止したが、価格の上昇を受けて今年 3 月に生産を再開したという。 中国聯合鋼鉄網の Hu Yanping 氏によると、鉄鋼生産の利益率は平均で 1 トンあたり 500 - 600 元(77 - 93 ドル)と約 2 年ぶりの高水準にある。 Hu 氏は「政府は景気を浮揚させ、鉱工業セクターの需要を押し上げる一方で、供給サイドの改革も推進したいという、ジレンマに陥っている」と述べた。 <重要なのは輸出量> 中国など主要な鉄鋼生産国は 18 日、世界的な供給過剰の解消に向けて協議したが、具体的な対策での合意に至らなかった。 米国や欧州連合 (EU) などは 19 日、合意できなかった責任は中国政府にあるとし、緊急に対策を講じることを求めた。 英国は、インド鉄鋼大手タタ・スチールが、中国製を含む安い輸入品の大量流入が原因で英事業の一部売却を決めたことで、1 万 5,000 人の雇用が危機に瀕している。 ドイツでは 4 万人を超える鉄鋼労働者が、中国からの輸入製品安売りなどに抗議する街頭デモを行った。 ただ、昨年は中国の鉄鋼輸出が過去最高の 1 億 1,200 万トンに達したことで、中国に対する怒りが高まったが、今年は国内価格の上昇によって、海外への輸出が抑えられる可能性がある。 BMI リサーチの商品ストラテジスト、ミッチェル・ヒューガース氏は、中国の鉄鋼生産が 2011 年の水準を回復しても、生産と消費の差である過剰生産量が当時のように低水準にとどまれば、世界は恩恵を受けるはずだと指摘する。 「重要なのは生産能力の削減ではなく、輸出される量なのだ」と同氏は話す。 (Ruby Lian、Manolo Serapio Jr.、Reuters = 4-22-16) 中国の 1 - 5 月固定資産投資は 9.6% 増、16 年ぶり低い伸び [北京/香港] 中国国家統計局 (NBS) が 13 日に発表した 1 - 5 月の中国固定資産投資は前年比 9.6% 増加した。 予想(10.5% 増)を下回り、1 - 5 月として 2000 年以来初めて 2 ケタを割り込んだ。 1 - 5 月の民間部門の固定資産投資は前年比 3.9% 増にとどまり、1 - 4 月の 5.2% 増から鈍化した。 年初からの民間部門投資は、2012 年の統計公表以来の低水準となっている。 コメルツ銀行の新興国市場担当エコノミスト Zhou Hao 氏は「第 2・四半期末までに預金準備率が引き下げられる確率が高まった。 政策金利が引き下げられる可能性もある」との見方を示した。 また、この日発表された他の指標はまちまちだった。 5 月の中国鉱工業生産は、前年比 6.0% 増加。 予想は 5.9% 増だった。 前月比では 0.45% 増加した。 アナリストは、政府のインフラ整備が鉱工業生産を支えたと指摘している。 5 月の中国小売売上高は前年比 10.0% 増加し、予想の 10.1% 増を下回った。 前月比では 0.76% 増加した。 1 - 5 月の不動産投資は前年比 7.0% 増加し、1 - 4 月の 7.2% 増から伸びがやや鈍化した。 1 - 5 月の不動産販売(床面積ベース)は前年同期比 33.2% 増となり、1 - 4 月の 36.5% 増から伸びが鈍化した。 ロイターの算出によると、5 月単月の不動産投資は前年比 6.6% 増となり、4 月の同 9.7% 増から鈍化した。 大都市の不動産規制の影響などで昨年 12 月以降初めて減速した。 5 月の不動産販売(床面積ベース)は、前年比 24.3% 増加。 4 月の 44.1% 増から大幅に鈍化。 建設着工(床面積ベース)も前年比 10.6% 増と、4 月の 25.9% 増から鈍化した。 不動産投資は中国ビジネス分野の約 40% に直接影響を与え、国内経済の大きなけん引役だが、昨年は 25 年ぶりに低い伸びとなった。 (Reuters = 6-13-16) ◇ ◇ ◇ 中国の経済指標が悪化 投資鈍化、生産頭打ち 4 月 中国の国家統計局が 14 日発表した 4 月の主要経済統計によると、鉱工業生産は前年同月比 6.0% 増となり、伸び率は 3 月より 0.8 ポイント減速した。 投資や消費の指標も減速を示しており、中国の景気は楽観を許さない状況が続いている。 工場や建物などへの固定資産投資は、1 - 4 月の累計で前年同期比 10.5% 増。 1 - 3 月と比べ、伸び率は 0.2 ポイント鈍化した。 4 月の小売り売上高も前年同月比 10.1% 増と前月から 0.4 ポイント減速し、11 カ月ぶりの低い伸びだった。 4 月の経済指標からは、投資が再び鈍化したことで、生産が頭打ちになった状況がうかがえる。 製造業では、経営が苦しくなった企業が雇用を減らして収益改善を図っているとされ、消費に悪影響を及ぼしている可能性がある。 昨年以降、中国政府がインフラ建設などの公共事業を繰り返してきたことで 3 月の各指標は改善を示していたが、経済対策の効果には息切れも見える。 今月に入り、政府は停滞気味の民間投資を拡大させるための指示を次々と出し、景気悪化の食い止めに躍起だ。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 5-15-16) 中国、改革後退なら「非常に悪い結果に」 = ルー米財務長官 [ソウル] ルー米財務長官は 3 日、中国が市場開放や経済改革という目標を後退させれば、中国経済や米国との二国間関係において「非常に悪い結果」が生じるとの認識を示した。 ソウルでロイターのインタビューに応じた。 長官は、北京で 5 月 6 - 7 日に開く米中戦略・経済対話について、改革や過剰設備の削減に取り組むよう、中国に圧力をかけると述べた。 「中国が改革を止めたり、後退させたりすれば、中国経済にとって非常に悪い結果になる。 二国間の経済関係にも良くない。」と強調した。 長官は、通貨安競争を回避するという G20 のコミットメントを、中国は概ね守っていると指摘。 中国が最近、外貨準備を使って人民元を支援していることについて、コミットメントに合致していると述べた。 長官は「この 1 年の中国の介入は、元を切り下げるためではなく、支援するためだ」とし「中国が市場主導の相場を本当に志向しているのかどうかは、両方向の動きを許容するかどうかで試される」と述べた。 (Reuters = 6-3-16) 米、中国鉄鋼 40 社を調査 企業秘密不正使用の疑い 【ワシントン】 米国際貿易委員会 (ITC) は 26 日、中国の鉄鋼大手 40 社を対象に輸入と米国内の販売差し止めを求めた米企業の訴えを受け、関税法 337 条に基づく調査開始を決めたと発表した。 企業秘密の不正使用や談合による価格操作の疑いがあるという。 調査対象は、宝鋼集団、河北鋼鉄集団、鞍山鋼鉄集団といった大手メーカーやそのグループ会社など。 訴えが認められれば、中国からの対米輸出が全面停止となる可能性もある。 中国商務省は 27 日、ITC の調査開始について「強く反対する」との声明を発表した。 米鉄鋼大手の US スチール(ペンシルベニア州)が 4 月に提訴し、機械部品などに用いる炭素鋼と合金鋼を巡り、自社の企業秘密を中国各社がサイバー攻撃を通じて盗んでいると主張。 製品の価格や生産量、輸出量について共謀しているほか、原産地を偽って関税を逃れていると訴えた。 米政府は、国内で不当に安い価格で売られているとして中国製の鉄鋼製品に対し反ダンピング(不当廉売)関税を課す方針を相次いで決めている。 中国側は反発し、対抗策も検討。 鉄鋼製品を巡る米中間の通商摩擦が激しさを増している。 (kyodo = 5-27-16) 中国商業銀行の不良債権比率、3 月末は 1.75% に上昇 [北京] 中国銀行業監督管理委員会(銀監会)によると、中国の商業銀行の不良債権比率は、3 月末時点で 1.75% と、2015 年末時点の 1.67% から上昇した。 銀行セクターの不良債権は、3 月末時点で 1 兆 3,900 億元(2,135 億 5,000 万ドル)と、昨年 12 月末時点の 1 兆 2,700 億元から増加した。 3 月末時点の商業銀行の自己資本比率は、13.37% だった。 (Reuters = 5-12-16) 中国 CPI、4 月は食品主導で前年比 +2.3% 予想下回り前月比は低下 [北京] 中国国家統計局が 10 日発表した 4 月の中国消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比 2.3% 上昇した。 伸び率は 3 月から横ばい。 ロイターがまとめたエコノミスト事前予想(2.4% 上昇)は小幅に下回った。 前月比では 0.2% 低下した。 物価上昇は、景気改善よりも食品の上昇が主導した。 豚肉価格は前年比 33.5% 上昇、前月のプラス 28.4% から加速した。 食品は前月比では 1.4% 低下し、最近のインフレ上昇は一時的なものとなる可能性を示している。 生産者物価指数 (PPI) は前年比 3.4% 低下した。 4.3% 低下していた 3 月から低下幅が縮小、下落度合いの鈍化が継続していることを示した。 予想は 3.8% 低下だった。 (Reuters = 5-10-16) ◇ ◇ ◇ 中国 CPI、3 月は前年比 +2.3% で横ばい PPI 低下続く [北京] 中国国家統計局が 11 日発表した 3 月の中国消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比 2.3% 上昇し、上昇率は 2 月と同じだった。 ロイターがまとめた調査によると、アナリストは 2.5% 上昇を予想していた。 CPI の前年比上昇率は 2 月までの 4 カ月は、加速が続いていた。 2.3% という数字は、1 年超ぶりの高い伸びだが、冬季の天候が予想外に厳しかったことを背景に食品価格が急上昇した影響が大きい。 エコノミストらは、2014 年末から始まった中国人民銀行(中央銀行)の金融緩和を受けたインフレの動向を注視している。 金融緩和の影響でクレジットは押し上げられたが、インフレ率は 2014 年末以降、1.5% 近辺で推移しており、大幅な物価上昇にはつながっていない。 消費者物価は主に、中国の労働市場が相対的に強いことに支えられている。 しかし、労働市場をめぐる指標は最近、強弱まちまちとなっている。 中国国家統計局が発表した 3 月の製造業購買担当者景気指数 (PMI) では、人員削減ペースの鈍化が示される一方、財新/マークイットがまとめた PMI 指数では製造業とサービスともに雇用が悪化した。 <PPI、4 年間マイナス> 生産者物価指数 (PPI) は、前年同月比 4.3% 低下した。 2 月は 4.9% 低下していた。 アナリストは 4.6% 低下を予想していた。 コモディティー(商品)価格の下落や主要産業セクターの設備過剰を背景に、PPI はすでに 4 年間、前年比マイナスの状態が続いている。 (Reuters = 4-11-16) ◇ ◇ ◇ 中国 CPI、2 月は前年比 +2.3% に加速 2014 年 7 月以来の高水準 [北京] 中国国家統計局が 10 日発表した 2 月の中国消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 2.3% 上昇し、上昇率は予想の 1.9% を上回った。 2014 年 7 月以来の高い伸びとなった。 1 月の 1.8% から加速した。 一方、生産者物価指数 (PPI) はデフレが続いた。 2 月は前年同月比 4.9% 低下し、市場予想と一致。 1 月は 5.3% 低下していた。 (Reuters = 3-10-16) ◇ ◇ ◇ 中国物価上昇率が 1.4% 6 年ぶり低水準、減速が鮮明 中国の国家統計局が 9 日発表した 2015 年の消費者物価指数 (CPI) 上昇率は前年比 1.4% となった。 上昇率は前年を 0.6 ポイント下回り、リーマン・ショック後にマイナスとなった 09 年以来 6 年ぶりの低水準となった。 経済の減速ぶりが、「景気の体温」と言われる物価にも表れている。 上昇率は中国政府の 15 年の年間物価抑制目標 3% を大きく下回った。原油安や景気の減速が、工業製品の価格を押し下げた。 一方、企業同士がやり取りする生産者物価指数 (PPI) は前年比 5.2% の下落となった。 下落幅は 6 年ぶりの大きさ。 昨年 12 月まで 46 カ月連続で下がり続けており、企業間の価格は既に「デフレ」状態にあるとも言える。 製品の値下がりが続いているために実質的な金利負担が高まり、企業が借金をして投資することに及び腰になっている。 物価上昇が鈍いため、中央銀行の中国人民銀行はさらなる金融緩和をしやすくなっている。 ただ、昨年だけで 5 回実施した利下げで金利は既に最低水準にあり、緩和策による景気対策には手詰まり感も漂う。(北京 = 斎藤徳彦、asahi = 1-9-16) ◇ ◇ ◇ 中国 11 月 CPI、前年比上昇率 1.5% に拡大、45 カ月連続 PPI 低下 [北京] 中国国家統計局が 9 日発表した 11 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 1.5% 上昇となり、上昇率は前月の 1.3% からやや拡大した。 ロイターが集計した市場予想は 1.4% 上昇だった。 生産者物価指数 (PPI) は前年同月比 5.9% 低下。 低下幅は前月と同水準だったほか、市場予想とも一致した。 マイナスは 45 カ月連続となった。 前月比ベースでみると、CPI は横ばい。 10 月は 0.3% 低下だった。 中国の製造業界は多数の小規模企業が赤字を逃れようとする努力するなかで卸売物価の下落基調が継続しており、3 年以上にわたって低迷している。 中国政府はこの 1 年にわたり緩和政策を続けているが、いまだに苦境からの脱却には至っていない。 (Reuters = 12-9-15) ◇ ◇ ◇ 中国 10 月 CPI、前年比 +1.3% に鈍化 PPI は 44 カ月連続低下 [北京/上海] 中国国家統計局が 10 日発表した 10 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 1.3% 上昇となり、9 月の 1.6% 上昇から鈍化した。 ロイターが集計したエコノミスト予想の 1.5% 上昇にも届かなかった。 生産者物価指数 (PPI) は前年同月比 5.9% 低下と、44 カ月連続で低下した。 低下幅は 9 月と同水準だった。 予想は 5.8% 低下。 コモディティー(商品)価格の下落や需要の伸び悩みを背景に、中国では CPI の伸び鈍化、PPI 低下というトレンドが続いている。 CPI は前月比で 0.3% 低下した。 9 月は 0.1% 上昇だった。 <アナリスト、追加刺激策を予想> アナリストらは、インフレ統計の弱さを踏まえて、一段の刺激策が打ち出される可能性が高まったことでは一致しているが、追加利下げなのか、財政出動なのか、もしくはその両方なのか、刺激策の手法については見解が分かれている。 コメルツ銀行の新興市場担当シニアエコノミスト、チョウ・ハオ氏は「金融政策を一段と緩和すべきとの主張は理にかなっているが、中国政府は積極的な財政政策を通じ需要を刺激する方針のようだ」と指摘。 「米連邦準備理事会 (FRB) の利上げが見込まれるなかで、中国が年内に追加利下げするのは難しいかもしれない」との見方を示した。 申銀万国証券のエコノミスト、李慧勇氏は「PPI 統計は、内需の弱さと、実体経済の過剰生産能力問題を浮き彫りにした」とし「経済の先行きが楽観視できないなか、政府は介入して支援する必要がある。 数カ月以内に利下げと預金準備率引き下げがあると予想する。」と述べた。 (Reuters = 11-10-15) 輸出市場の中国シェア、過去 50 年で最大 貿易摩擦悪化も [上海] 世界的に需要が低迷する中、中国の輸出がシェアを伸ばしている。 価格の安さよりも製品の信頼性が評価され始めるなど中国にとっては朗報だが、他国との貿易摩擦の悪化にもつながっている。 国連の貿易開発会議 (UNCTAD) のデータによると、世界の輸出市場における中国のシェアは 2015 年に 13.8% と 14 年の 12.3% から拡大。 1968 年に米国が記録した水準以来で最大となった。 労働コストの上昇や人民元が過去 10 年間に対ドルで 20% 近く値上がりしたことを踏まえ、同国がより安価な国にシェアを奪われるとの見方が一般的となっているが、データはこうした見方に反する結果となった。 実際、過去数十年にわたる産業の発展期に構築された中国製造業のインフラは、引き続き好調な輸出を可能にし、価値の高い製品の供給に向けた基礎を企業に提供している。 デンマークの銀製品メーカーで中国担当ゼネラルマネジャーを務めていたフレデリック・ギトマン氏は「中国は代替できない」と指摘。 価格よりも納期の信頼性が重要だとし、「彼らが 45 日と言えば、(納期は) 45 日だ」と語った。 ただ、中国は鉄鋼など過剰生産能力に直面する産業の過剰在庫を出荷しており、貿易摩擦にもつながっている。 米国や日本など 8 カ国・地域は今週、鉄鋼の世界的な供給過剰に対する早急な行動を呼びかけた。 また中国の輸入は 15 年に 14% 超減少しており、エコノミストの間では、中国が国内市場から海外ブランドを締め出す「輸入代替」戦略を展開しているとの見方が出ている。 <強み> 海外市場での中国企業の強さは、大規模で統合されたサプライチェーンのインフラに投資していることが大きく関わっている。 これにより、中国は生産の一部やすべてをアウトソースしている海外企業に迅速に対応することができ、高い信用も得られている。 ギトマン氏は「信頼性とスピードは価格より重要だ」と指摘。 「品切れは、少しの価格上昇よりも大きな打撃となる」と語った。 ドローン(無人機)や風力発電機器のメーカーなど中国の中堅企業の多くは、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)のようなインターネットサービス企業が持つブランド力に欠けるものの、海外のライバル企業にとってより大きな脅威になるとアナリストらは指摘する。 オッペンハイマーによると、良い例がドローンメーカーの SZ DJI テクノロジーで、同社は深センにあるスマートフォン(スマホ)部品製造のエコシステムを利用し、米国で市場シェア 70% を獲得している。 <課題> ただ中国の輸出市場シェアは拡大したものの、輸出全体は減少しており、中国企業は米アップルのようなブランド力もまだ持ち合わせていない。 中国の生産者の価格決定力は過去 4 年間低下しており、中国政府も厳しい見通しを示す。 商務省の沈丹陽報道官は 19 日、「今年の対外貿易を取り巻く環境は引き続き複雑で悲観的だ」と指摘した。 (Elias Glenn、Pete Sweeney、Reuters = 4-22-16) ◇ ◇ ◇ 中国輸出、3 月は前年比 +11.5% 15 年 6 月以来のプラス [北京/上海] 中国税関総署が公表したデータによると、3 月の輸出はドル建てで前年同月比 11.5% 増と市場予想(2.5% 増)を大幅に上回り、2015 年 6 月以来のプラスに転じた。 伸び率は 15 年 2 月以降で最大。 輸入は前年比 7.6% 減少。 市場予想(10.2% 減)を下回る落ち込みにとどまった。 貿易収支は 298 億 6,000 万ドルの黒字。市場予想は 308 億 5,000 万ドルの黒字だった。 1 - 3 月の輸出は前年比 9.6% 減、輸入は 13.5% 減だった。 また、人民元建てでは 3 月の輸出は前年比 18.7% 増、輸入は 1.7% 減、貿易収支は 1,946 億元の黒字となった。 税関当局の報道官は、中国の対外貿易は今年もなお比較的大きな下向きの圧力に直面しているとの見解を示した。 また、3 月の輸出の伸びについて比較対象となる前年の水準が低かったことと、政策措置が一因と指摘した。 (Reuters = 4-13-16) 中国成長率、6.7% 1 - 3 月期、7 年ぶり低水準 中国の 2016 年 1 - 3 月期の国内総生産 (GDP) は、物価の変動の影響をのぞいた実質で、前年の同じ時期と比べて 6.7% 増となった。 7.4% 増だった 14 年 4 - 6 月期のあと、7 四半期続けて減速または横ばいが続く。 国家統計局が 15 日発表した。 政府が今年の成長率目標とする「6.5 - 7.0%」の範囲内だが、伸び幅は 15 年 10 - 12 月期より 0.1 ポイント減速。 リーマン・ショックの影響が強かった 09 年 1 - 3 月期以来、7 年ぶりの低い水準となった。 市場は 6.7% 程度への減速を予想していた。 同時に発表された 1 - 3 月期の主要統計からは、内外需ともに不透明感が強い様子が浮かぶ。 鉱工業生産は前年同期比で 5.8% 増となり、前年 1 年間の 6.1% 増から減速した。 小売り売上高も 10.3% 増で、昨年から 0.4 ポイント伸びが鈍った。 このため、政府は公共工事や不動産市場の活性化策などの経済対策を相次いで繰り出している。 工場や建物への固定資産投資は 10.7% 増で、伸び率は前年より 0.7 ポイント拡大した。 このうち不動産開発投資は 6.2% 増で、5.2 ポイントの拡大だった。 また、輸出はドル建てで 9.6% 減っていた。 世界的な貿易の不振で輸出が回復しないことが、「世界の工場」中国にとって重くのしかかる。 15 年 1 - 3 月期は、中国の株価が急騰して株取引が急に増え、この分だけ金融部門の GDO が増えていた。 しかし、今年は反動で株の取引量が落ちこんだことも、成長率を押し下げる要因となった。 中国政府は今年、「供給側(サプライサイド)構造改革」を掲げ、鉄鋼や石炭といった産業で多すぎる生産能力の整理を進める姿勢だ。 ただ、こうした改革は短期的には失業者を増やし、景気をさらに冷やす可能性もある。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 4-15-16) ◇ ◇ ◇ 中国成長率、2016 年 6.7%・17 年 6.5% 見通し据え置き = 世界銀行 [シンガポール] 世界銀行は、東アジア・太平洋地域発展途上国の 2016/17 年の成長率予測を下方修正した上で、中国の成長見通しや金融市場の変動、コモディティ価格下落などのリスクに影響されるとの見方を示した。 世銀は中国を含む東アジア・大洋州地域 (EAP) 途上国の成長率見通しを今年は 6.3% に、17 年は 6.2% に引き下げた。 昨年 10 月時点ではそれぞれ 6.4%、6.3% と予測していた。 主に中国の成長率鈍化が修正要因という。 中国の成長率予測は今年は 6.7%、17 年は 6.5% で据え置いた。 (Reuters = 4-11-16) 中国の鉱工業生産、7 年ぶり低い伸び 1 - 2 月 中国の今年 1 - 2 月の鉱工業生産が、前年の同じ時期と比べて 5.4% 増となり、リーマン・ショック直後の 2009 年 1 - 2 月以来、7 年ぶりの低水準だった。 昨年 12 月の 5.9% 増と比べても 0.5 ポイント鈍化しており、経済のエンジン役だった製造業の状況は厳しさを増している。 中国の国家統計局が 12 日発表した。 輸出が不振で、鉄鋼や石炭などで生産の低迷が続いているという。 1 - 2 月の小売り売上高は 10.2% 増となったが、伸び率は昨年 12 月から 0.9 ポイント減速した。 鈍化が続いてきた固定資産投資は 10.2% 増となり、昨年 1 年間の 10.0% 増からは加速した。 不動産への投資が上向いたことが原因とみられる。 中国では、旧正月の連休が年によって時期が異なるため、統計数字への影響をなくす目的で、1 - 2 月は合計で発表している。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 3-12-16) ◇ ◇ ◇ 中国 GDP 6.9%、25 年ぶり低水準 深まる経済鈍化 中国の国家統計局が 19 日発表した 2015 年の国内総生産 (GDP) の成長率は、物価の変動の影響をのぞいた実質で 6.9% となり、前年より 0.4 ポイント減速した。 天安門事件の影響で経済成長が大きく落ち込んでいた 1990 年の 3.9% 以来、25 年ぶりの低い伸びだった。 このうち、直近の 15 年 10 - 12 月期の成長率は 6.8% で、前期からは 0.1 ポイント鈍化し、09 年 1 - 3 月期以来の低い伸びとなった。 中国政府は 15 年の成長率目標を 3 年ぶりに引き下げて「7.0% 前後」としていたが、当局の見込みよりも早く、経済の鈍化は深まっていると言える。 めやすの水準を割り込むのは、2 年連続となる。 同時に発表された 15 年の主要な経済統計は、ことごとく前年よりも伸びが鈍り、近年にない低い水準だ。 インフラや建物への固定資産投資の前年と比べた伸び率は 10.0% で、前年から 5.7 ポイントも減速し、15 年ぶりの低水準だった。 このうち、不動産開発投資は 1.0% 増。 アジア金融危機の影響でマイナスだった 97 年以来、18 年ぶりの水準に落ち込んだ。 一時は全国に広がった不動産価格の下落は収まりつつあるが、売れていないマンションの在庫が積み上がっている。 工業生産は 6.1% 増で、前年より 2.2 ポイント下がった。 98 年以降で最低の伸びだ。 新たな投資が手控えられ、幅広い関連産業で需要が鈍り、製品が「つくりすぎ」となる状況に拍車がかかっている。 労働者の賃金は高騰しており、コスト競争力は東南アジアなどと比べて劣勢になりつつある。 「世界の工場」を取り巻く状況は急速に厳しさを増している。 世界的な景気の変調で、貿易も落ち込んでいる。 輸出は 2.8% 減で、リーマン・ショック直後の 09 年以来、6 年ぶりに減った。 投資や輸出に変わる成長のエンジン役として期待がかかる消費は、15 年に 10.7% 増だった。 前年からは 1.3 ポイント減速したが、年後半には回復もみせた。 ただ、大きく増えた外国への旅行客が大量の買い物をし、消費が「国外へ逃げている」面もある。 日本の 2 倍をはるかに超える経済規模に膨らんだ中国の経済の減速は、世界経済にとって最大の課題となっている。 原油価格の低迷とあいまって、世界の金融市場では動揺が続いている。 中国政府は今年から 20 年までの「第 13 次 5 カ年計画」で、年平均 6.5% 以上の成長を掲げていて、初年度となる今年はこれより高めの成長率をめざすと見られる。 それだけに、減速がさらに深まるようだと、大規模な景気対策を求める声も高まりそうだ。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 1-19-16) ◇ ◇ ◇ 中国の 12 月新規融資は 5,978 億元、予想大幅に下回る [北京] 中国人民銀行が 15 日発表した 12 月の中国の新規人民元建て融資は 5,978 億元(907 億 6,000 万ドル)となり、前月の 7,089 億元から減少し、予想の 7,000 億元も大幅に下回った。 12 月の中国マネーサプライ M2 伸び率は、前年比 13.3% となり、予想の 13.5% と 11 月の 13.7% をともに下回った。 12 月末時点の人民元建て融資残高は前年比 14.3% 増加。 予想は 14.8% 増、11 月は 14.9% 増だった。 12 月の中国社会融資総量は 1 兆 8,200 億元となり、11 月の 1 兆 0,200 億元から増加した。 中国指導部は先月開催した 2016 年の経済運営の方針を決める「中央経済工作会議」で、金融政策をより柔軟にすると表明。 景気支援と改革推進に向け、財政赤字の拡大を容認するとともに、減税を拡大する方針を示した。 (Reuters = 1-15-16) ◇ ◇ ◇ 中国、経済減速に危機感 … 財政出動拡大打ち出す 【北京 = 鎌田秀男】 中国共産党と政府が 2016 年の経済運営の基本方針を決める「中央経済工作会議」は 21 日、「積極的な財政政策をさらに力強く実行する」と、景気の下支えを目的とした財政出動の拡大と減税を行う姿勢を打ち出し、閉幕した。 財政赤字の緩やかな拡大を容認し、公共投資など財政政策の強化に言及したのは、従来型産業の整理など構造改革を進める一方で、減速に歯止めがかからない中国経済への危機感を反映したものだ。 中国の 15 年の財政赤字は国内総生産 (GDP) 比 2.3% で、財政出動拡大の余地はある。 経済改善に向けた具体策としては、製鉄や造船など重厚長大産業の衰退を招いている過剰な生産能力の削減や、地方都市で深刻な住宅在庫の解消などを挙げた。 構造改革の痛みを和らげるため、減税や行政手続き効率化により企業のコストを削減する方針を示し、政策金利など金融政策についても「柔軟性を持たせる」との表現を盛り込んだ。 第 13 次 5 か年計画が始まる 16 年の GDP 成長率目標については、「中高速の成長を維持する」との言及にとどめた。 (yomiuri = 12-22-15) 中国輸出、2 月は前年比 -25.4% 09 年 5 月以降で最大の落ち込み [北京] 中国税関総署が公表したデータによると、2 月の輸出はドル建てで前年同月比 25.4% 減、輸入は 13.8% 減だった。 輸出は 2009 年 5 月以降で最大の落ち込みとなった。 2 月の貿易収支は 325 億 9,000 万ドルの黒字。 ロイターがまとめた市場予想は、輸出は 12.5% 減、輸入が 10.0% 減だった。 人民元建ての 2 月の輸出は前年同月比 20.6% 減、輸入は 8.0% 減、貿易収支は 2,095 億元(322 億ドル)の黒字だった。 中国政府は近年、貿易目標を達成できないことが多く、今年の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、貿易総額の伸び率目標を示さなかった。 世界経済の先行き不透明感が背景とみられる。 アナリストは、2 月の貿易統計について、春節(旧正月)の大型連休が影響した可能性があると指摘している。 (Reuters = 3-8-16) ◇ ◇ ◇ 中国の輸出と人民元、世界経済からの圧力に直面 = 工業情報省 [北京] 中国工業情報省は 25 日、中国の輸出と人民元は国際経済環境の複雑さから強い圧力を受けている、との見方を示した上で、中国経済への下振れ圧力は増していると表明した。 会見で配布した声明で明らかにした。 2016 年の鉱工業生産については、6% 程度増加するとの見通しを示した。 鉱工業生産が今年安定すると予想する一方で、地域や産業間の格差は広がる可能性がある、としている。 中国鉱工業生産は 2015 年通年では、前年比 6.1% 増加した。 (Reuters = 2-25-16) ◇ ◇ ◇ 中国の 1 月輸出 11.2% 減・輸入 18.8% 減 予想大幅に下回る [北京] 中国税関総署が 15 日公表したデータによると、1 月のドル建輸出は前年同月比 11.2% 減、輸入は 18.8% 減少で、ともにロイターがまとめた予想を大きく下回った。 減少は輸出が 7 カ月連続、輸入は 15 カ月連続。 ロイターがまとめた予想は、輸出が 1.9% 減、輸入は 0.8% 減だった。 貿易黒字は 633 億ドルで予想(588 億 5,000 万ドル)を上回った。 12 月は 600 億 9,000 万ドルだった。 シンガポールのあるエコノミストは「予想を大幅に下回る数字だった。 国営紙は中国が 2016 年の貿易の伸び率目標を設定しないと報じているが、賢明な選択だ。 輸出は回復よりも悪化の公算が大きい。」と述べた。 商務省のある関係者も、政府は今年の貿易目標は設定しないと述べている。 2015 年の中国貿易は前年比 8% 減と、政府目標の 6% 増を大幅に下回り、世界的金融危機以来の低水準だった。 (Reuters = 2-15-16) ◇ ◇ ◇ 中国の貿易総額 6 年ぶりに前年比減 中国の去年 1 年間の貿易総額は 3 兆 9,000 億ドル余りで、日本やヨーロッパ向けの輸出が振るわず、国内の投資の冷え込みなどを背景に輸入も落ち込んだことから、6 年ぶりに前の年より減少し、中国経済の減速が貿易の面からも鮮明になりました。 中国の税関総署が発表した貿易統計によりますと、去年 1 年間の輸出額は 2 兆 2,765 億ドル余りで、日本やヨーロッパ向けを中心に衣料品や靴といった製品が落ち込んだことなどから、前の年より 2.8% 減少しました。 また、輸入額は国内の投資の冷え込みで石炭や銅の輸入量が落ち込んだほか原油や鉄鉱石の価格が下落したことなどから、1 兆 6,820 億ドル余りと、前の年より 14.1% 減少しました。 この結果、貿易総額は 3 兆 9,586 億 4,400 万ドルで前の年より 8% 減少し、リーマンショックの後の 2009 年以来、6 年ぶりに減少に転じました。 中国政府が公表していた 6% 程度の増加という去年の目標も大きく下回り、中国経済の減速が貿易の面からも鮮明になりました。 また、記者会見した中国税関総署の黄頌平報道官はことしの貿易の見通しについて「世界の経済は低成長で外需が振るわない状況は変わらず、貿易の発展は依然多くの困難に直面している。 ことし第 1 四半期は、輸出への圧力が大きい。」と述べ、当面厳しさが続くという見方を示しました。 (NHK = 1-13-16) 中国、4 カ月ぶり追加緩和 預金準備率を引き下げ 中国の中央銀行、中国人民銀行は 29 日、銀行から預金の一部を強制的に預かる「預金準備率」を 3 月 1 日から 0.5% 幅引き下げると発表した。 利下げと同時に実施した昨年 10 月下旬以来、約 4 カ月ぶりの金融緩和策となり、企業や個人がお金を借りやすくして景気の浮揚効果をねらう。 景気の減速が深刻となった 2014 年 11 月から昨年にかけて、人民銀は 6 度の利下げと 4 度の預金準備率引き下げで金融緩和を繰り返してきた。 だが、今でも中小企業を中心にお金が借りにくい状態は改善されていない。 利下げが続いたことで金利は既に歴史的な低水準にあるため、今後の緩和策は準備率引き下げが中心の手段になると見られている。 中国では 1 月以降、通貨・人民元の値下がりが想定以上に進み、人民銀などはその食い止めに躍起になっていた。 金融緩和をするとさらに元安が進みやすくなるため、緩和を手控えてきた経緯がある。 だが、先週後半から株価が大きく下落するなど市場の動揺が激しくなり、追加緩和に踏み切る必要があると判断した模様だ。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 2-29-16) 中国の外貨準備高、大幅減続く ピーク時より 2 割減 中国の中央銀行、中国人民銀行は 7 日、1 月末時点の外貨準備高が前月末より 995 億ドル(約 11.6 兆円)減って 3 兆 2,309 億ドル(約 378 兆円)になったと発表した。 市場で続く元売り圧力に当局が元買い介入で対抗したことで、大幅な減少が続いている。 1 月の減少幅は、過去最大だった昨年 12 月の 1,079 億ドルよりはわずかに縮まったが、依然として異例の高水準だ。 年明けの外国為替市場では元売りが加速し、香港などの本国外(オフショア)市場では一時、1 ドル = 6.7 元台半ばまで元安ドル高が進んだ。 中国当局は投機筋が元売りを仕掛けているとみて、オフショア市場でも大規模な元買いドル売り介入を繰り返し、元安を食い止めている。 この資金に使われたことで、外貨準備高が減っている。 中国の外貨準備高は世界最大だが、ピークだった 2014 年 6 月末から比べると 1 年 7 カ月で約 2 割も減った。 元安を見込んで中国の企業や個人が資産を外貨に置き換える動きが止まらず、政府は為替介入を迫られている。 ただ、介入で外貨準備高が大幅に減っていること自体が、市場の元売りをさらに誘っている面もある。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 2-7-16) ◇ ◇ ◇ 成長鈍化で人民元に試練 特効薬なく構造改革が急務 中国経済の先行きが不透明さを増しています。 1 月 19 日に発表された 2015 年の実質経済成長率は 6.9% と、25 年ぶりの低水準。 労働人口の減少など中国経済の諸条件が変化するなかで、今後も成長率が上向くのは望み薄です。 その流れを受けて人民元には大きな売り圧力がかかっており、中国政府はドル売り元買い介入によって為替レートを支えているとみられます。 その結果、中国の外貨準備高は 15 年 12 月の 1 カ月で 1,079 億ドル減りました。 まだ 3.3 兆ドル以上残るものの、減少ペースが速いことを危ぶむ声もあります。 人民元は 15 年 11 月に国際通貨基金 (IMF) の特別引き出し権 (SDR) の構成通貨へ採用が決まり、国際通貨としてのお墨付きを得ました。 これを機に、資本取引自由化を含め国際化が加速するとの期待があります。 現代版シルクロード構想「一帯一路」を進めるうえでも、国際化は重要です。 しかし、元安圧力の増大はそのシナリオを大きく狂わせることになりそうです。 元安を嫌った資本流出が規制をかいくぐって続いている現状では、自由化には大きなリスクがあります。 スイスのダボス会議で黒田東彦(はるひこ)・日銀総裁は個人的意見として、中国は資本規制を強めるべきだと発言しました。 中国政府は非効率な国有企業の淘汰(とうた)などで生産性を高め、成長率を底上げする構えですが、効果が出るには時間がかかり、人民元の不安定な状況は続きます。 まずは 3 月の全国人民代表大会で構造改革とその遂行の裏付けとなる人事をどう打ち出すかに注目です。 (東洋経済 = 1-30-16) |