実質賃金 1.4% 増 2 カ月連続、賃上げ影響 3 月速報

厚生労働省が 9 日発表した 3 月の毎月勤労統計調査(速報)で、労働者の 1 人あたり平均の現金給与総額は前年同月より 1.4% 増の 27 万 8,501 円だった。 プラスは 2 カ月連続。 消費者物価は前年並みで、物価変動の影響を除いた「実質賃金」も同 1.4% 増と 2 カ月連続のプラスだった。 賃上げの影響で基本給などの「所定内給与」が同 0.4% 増えたほか、年度末のボーナスなど「特別に支払われた給与」が同 19.8% 増だったことが総額を押し上げた。 残業時間が 1.8% 減って時間外などの手当は 0.2% 減ったものの、それ以上に基本給などが増えた。 (asahi = 5-9-16)

◇ ◇ ◇

実質賃金、4 カ月ぶりにプラス  冬の賞与は 2 年ぶり減

厚生労働省が 5 日発表した 2 月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の伸びに賃金が追いついているかを示す実質賃金指数が前年同月比 0.4% 増となり、4 カ月ぶりにプラスに転じた。 パートを含む労働者がもらう 1 人当たり平均の現金給与総額は、同 0.9% 増の 26 万 2,558 円だった。 一方、厚労省が同日発表した昨年 11 月 - 今年 1 月のボーナスの平均は、前年より 0.3% 減の 37 万 367 円だった。 減少は 2 年ぶりだが、同省の担当者は「調査対象の事業所を入れ替えた影響が出た可能性がある」と話している。 (asahi = 4-5-16)


REIT 相場堅調 マイナス金利で上昇に弾み

1 月末に日本銀行が導入を発表したマイナス金利政策は、円安、株価上昇を狙ったものでした。 ところが株式相場が急落し、デフレマインドが強まるなど、かえってマイナスの影響が目立つ状況です。 ただ、こうした中で対照的に好反応を見せているのが REIT (不動産投資信託)です。 東証 REIT 指数はマイナス金利導入をきっかけに上昇に弾みがつきました。

REIT は、多くの投資家から集めた資金と借入金を原資としてオフィスビルや商業施設など複数の不動産に投資する仕組みであり、投資信託の一種です。 賃貸収入や売買益として得られた利益の大半は、分配金として投資家に還元する決まりです。 マイナス金利導入によって、借入金利が低下して利益、分配金が増える期待が高まったこと、REIT の配当利回りと預金の金利差が拡大したことを主な理由として、REIT の人気は高まりました。 (asahi = 5-7-16)


日銀、金融政策は現状維持 2% 上昇目標は先送り

日本銀行は 28 日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めた。 同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、前年比 2% 上昇の物価目標を達成する時期の見通しを「2017 年度前半ごろ」から「17 年度中」に先送りした。 政策委員 9 人(総裁、副総裁 2 人、審議委員 6 人)のうち大規模な金融緩和の維持は賛成 8、反対 1、マイナス金利政策の維持は賛成 7、反対 2 の賛成多数で決めた。 金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年 0.1% で変えず、年 80 兆円のペースで市場に流すお金を増やす大規模な金融緩和も続ける。

物価目標の達成時期の先送りは 1 月に続き 4 度目。 13 年春に大規模な金融緩和を始めてから、目標の達成まで 5 年近くかかる見通しとなった。 物価上昇率の見通しは 16 年度で 0.5% と、1 月時点の 0.8% から下方修正した。 新興国経済の減速を受けて国内企業の輸出が鈍っているうえ、賃上げの勢いも弱いことから、物価見通しを引き下げた。

17 年度の物価見通しは 1.7% と、1 月から 0.1 ポイントの引き下げ。 今回新たに示した 18 年度の物価見通しは物価上昇率が 1.9% とした。 今後、所得と消費が改善し、物価が上がる「好循環」は崩れていないとの見方は維持した。 景気の基調判断については、「基調としては緩やかな回復を続けている」とする 3 月時点の判断を据え置いた。 黒田東彦(はるひこ)総裁は 28 日午後に記者会見し、会合の決定内容を説明する。 (藤田知也、asahi = 4-28-16)


3 月の家計支出、5.3% 減 2 カ月ぶり減少

総務省が 28 日発表した 3 月の家計調査(速報)によると、2 人以上の世帯が使ったお金は 30 万 889 円で、物価変動の影響をのぞいた実質で前年同月より 5.3% 減った。 減少は 2 カ月ぶり。 (asahi = 4-28-16)

◇ ◇ ◇

3 月の消費者物価指数、5 カ月ぶり下落 原油安が影響

総務省が 28 日発表した 3 月の全国の消費者物価指数(2010 年 = 100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く指数が 102.7 となり、前年同月から 0.3% 下落した。 下落は 5 カ月ぶり。 食料などの上昇は続いているが、原油安に伴うガソリン代や電気代などの下落が全体を押し下げた。 (asahi = 4-28-16)

◇ ◇ ◇

2 月の家計支出、1.2% 増 6 カ月ぶり増加

2 月の家計調査(速報)によると、2 人以上の世帯が使ったお金は、うるう年で前年より 1 日多かった日数を調整し、物価変動の影響をのぞいた実質でみて、前年 2 月より 1.5% 減った。 総務省が 29 日発表した。 事実上、6 カ月連続で消費が減っていた。 総務省は消費の基調判断を「弱い動き」で据え置いた。 支出の内訳をみると、暖冬の影響が目立つ。 ガス代や電気代などの光熱・水道は 3.5% 減り、セーターなどが売れず洋服・靴は 8.9% 減少。 エアコンなどが低調で家具・家事用品も 8.9% 減った。 (生田大介、asahi = 3-29-16)

◇ ◇ ◇

1 月の家計支出 28.1 万円、3.1% 減 衣料品などの支出減る

総務省が 1 日発表した 1 月の家計調査(速報)で、2 人以上の世帯が使ったお金は 28万 973 円だった。 物価の影響をのぞいた実質で、前年同月より 3.1% 減った。 減少は 5 カ月連続。 衣料品やガス代などの支出が減った。 (asahi = 3-1-16)

◇ ◇ ◇

家計の消費意欲、4 カ月ぶり低下 基調判断を下方修正

内閣府が 3 日発表した 1 月の消費動向調査によると、家計の消費意欲を示す「消費者態度指数」は前月から 0.2 ポイント低下して 42.5 となり、4 カ月ぶりに前月を下回った。 基調判断は「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」へと下方修正された。 指数を構成する 4 項目のうち、「耐久消費財の買い時判断」は前月から上昇したが、「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」は低下した。

また、1 年後の物価水準の見通しについて、「上昇する」と答えた人の割合は前月より 1.8 ポイント下がって 79.3% となった。 日本銀行が大規模な金融緩和を始めた 2013 年 4 月以降では、初めて 80% を下回った。 調査基準日は先月 15 日で、日銀によるマイナス金利政策導入の影響は含まれない。 (asahi = 2-3-16)

◇ ◇ ◇

実質消費支出、12 月は前年比 4.4% 減 4 カ月連続マイナス

[東京] 総務省が 29 日発表した昨年 12 月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く 2 人以上の世帯)の消費支出は 31 万 8,254 円となり、実質前年比で 4.4% 減少した。 減少は 4 カ月連続。 暖冬の影響もあり、個人消費は低調な動きが続いている。 ロイターが民間調査機関に行った聞き取り調査では、実質前年比 2.4% 減が見込まれていたが、結果はこれを下回った。

減少に影響したのは、自動車等関係費などの「交通・通信」や、灯油代や電気代などの「光熱・水道」、洋服、シャツ・セーター類などの「被服および履物」など。 総務省によると、昨年 4 月の軽自動車税の増税などで自動車購入は弱めの動きが続いていることに加え、暖冬の影響で衣料品や光熱費などが低調だったとという。 このため、総務省は基調判断を「弱い動きがみられる」に据え置いた。 12 月の勤労者世帯の実収入は、1 世帯当たり 90 万 0,229 円となり、実質前年比で 2.9% 減少した。 減少は 4 カ月連続。 名目も同 2.7% 減となった。 (Reuters = 1-29-16)

◇ ◇ ◇

消費者物価、12 月は 2 カ月連続で 0.1% 上昇 都区部はマイナス転落

[東京] 総務省が 29 日公表した 2015 年 12 月の消費者物価指数は、生鮮食品を除くコア CPI が 2 カ月連続で前年比 0.1% 上昇した。 一方、先行指標とされる東京都区部の 16 年 1 月は前年比 0.1% 下落し、3 カ月ぶりにマイナスに転じた。 引き続き原油安によるエネルギー価格の下落が指数を大きく押し下げているなかで、都区部では食料やテレビなど指数を底上げしてきた品目のプラス幅が縮小。 エネルギー以外の物価上昇ペースに鈍化の兆しが見られる。

12 月の全国は 前年比でガス料金のマイナス幅が 11 月より縮小し指数を下支えした。 一方、電気代やガソリンのマイナス幅は拡大した。 エネルギー以外では、テレビのプラス幅が拡大したが、家庭用耐久財や宿泊料、外国パック旅行はプラス幅が縮小した。 この結果コアコア CPI は 0.8% の上昇となり 11 月の 9% から縮小した。

1 月の都区部では、ガソリンの前年比マイナス幅が縮小したものの、電気代やガス代、灯油はマイナス幅が拡大し指数を押し下げた。 生鮮食品を除く食料や、家庭用耐久財、テレビ、外国パック旅行もプラス幅が縮小した。 このためコアコア CPI は 0.4% の上昇にとどまり、プラス幅は 15 年 12 月の 0.6% から縮小した。 (asahi = 1-29-16)


企業向けサービス価格、3 月は +0.2% で上昇率は横ばい

[東京] 日銀が 25 日公表した 3 月の企業向けサービス価格指数は 103.1 となり、前年に比べて 0.2% 上昇した。 前月比では 0.6% 上昇となった。 2015 年度平均では消費税率の引き上げの影響を除いたベースで同 0.4% 上昇となり、3 年連続のプラスとなった。 3 月の上昇率は 2 月から横ばい。

良好な需給環境を背景にソフトウエア開発やテレビ広告、労働者派遣サービスなどが上昇に寄与した。 一方、新聞・雑誌広告や土木建築サービス、宿泊サービス、リース、不動産などは押し下げ要因となった。 調査対象全 147 品目のうち、54 品目が上昇する一方、57 品目が下落し、下落品目が上昇品目を 3 品目上回った。 下落品目数が上昇品目数を上回るのは 2013 年 9 月以来、30 カ月ぶり。

日銀では、需給環境の改善を背景とした値上げの動きは継続しているものの、下落品目数が上昇品目数を上回っており、値上げの広がりには欠けると分析。 4 月の価格改定月に入り、企業の賃上げや下げ止まりつつある国際商品市況の動向が注目されるとしている。 2015 年度平均(消費税率引き上げの影響除く)は同 0.4% 上昇となり、14 年度の同 0.6% からプラス幅が縮小した。 プラスは 3 年連続となる。 (伊藤純夫、Reuters = 4-25-16)


景況感の悪化に円高 中小型株に向かう投資家

日に新年度入りした株式市場は、日経平均株価が前日比 594 円安と大幅下落でのスタートとなりました。 日本銀行が同日発表した四半期ごとに実施する短観(全国企業短期経済観測調査)において、大企業製造業を中心に業況判断が大きく悪化したためです。

観が示す 2016 年度の収益計画は全規模全産業で 2.2% の経常減益でした。 前提となる想定為替レート(大企業製造業)は 1 ドル 117 円 46 銭であり、実勢では大幅な円高が進行しています。 今月下旬からは 3 月期決算が発表されますが、投資家は輸出関連などの主力株については、同時に発表される新年度の業績計画を見極めるまでは物色を手控えざるをえない状況です。

一方で、中小型株や新興市場の一角では積極的な売買が続いています。 牽引役のひとつが「アリと象ほどの規模の差がある(市場関係者)」内外の著名企業と資本業務提携を発表した次世代ハイテク技術関連の企業です。 米国ファイザーと提携したバイオ創薬のそーせいグループ、デンソーと組む画像処理ソフトのモルフォなどが代表です。 (asahi = 4-9-16)

◇ ◇ ◇

海外投資家が日本株離れ … 売り越し 6.4 兆円

海外投資家の日本株離れが目立ってきた。 財務省が 8 日発表した 2015 年度の対外・対内証券売買契約状況によると、外資系金融機関の海外支店などを通じて投資家が日本株を 538.5 兆円買ったのに対し、売った額は 544.9 兆円で、差し引き 6.4 兆円の「売り越し」だった。

海外投資家による売り越しは欧州危機に見舞われた 11 年度以来で、リーマン・ショックが起き、8.1 兆円の売り越しとなった 08 年度以来の規模だった。 東京株式市場では売買の 6 割以上を海外勢が占め、その動向は株価に大きな影響を及ぼす。 14 年度は「アベノミクス」の効果もあって 5.4 兆円の買い越しだったが、15 年度は、15 年 12 月から 16 年 3 月まで売り越しが続いている。 (yomiuri = 4-8-16)

◇ ◇ ◇

アベノミクス「評価せず」 50% 日経新聞世論調査

日本経済新聞社とテレビ東京による 26 - 28 日の世論調査で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を「評価しない」は 50% で「評価する」の 31% を上回った。 昨年 2 月以降の同様の質問で「評価しない」が 5 割に届くのは初めてで「評価する」も最低だった。 内閣支持率は 47% で 1 月の前回調査から横ばい。 不支持率は 5 ポイント上昇し 39% だった。 円高・株安などの影響で、安倍政権の高い支持率の要因といわれた経済運営にも懐疑的な見方が広がっている。

内閣支持層ではアベノミクスを「評価する」が 55% で「評価しない」が 23% だった。 不支持層では「評価する」が 8% にとどまり「評価しない」が 85% に達した。 予算の追加を伴う経済対策が「必要」は 47% で「必要ない」の 35% を上回った。 2017 年 4 月の消費増税に「賛成」は 33% で「反対」が 58%。 日銀のマイナス金利を「評価する」は 23% で「評価しない」が 53%。

内閣を支持する理由を複数回答で尋ねると「安定感がある」が 35% で最多。 支持しない理由は「自民党中心の内閣だから」が 45%、「政策が悪い」が 40% で続いた。 自民党の支持率は 2 ポイント低下の 37%。 民主党は 8% で横ばい。 無党派層は 39% で 1 ポイント低下した。 調査は日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号 (RDD) 方式で電話で実施。 有権者のいる 1,398 世帯から 1,016 件の回答を得た。 回答率は 72.7%。 (nikkei = 2-28-16)


大企業・製造業の景況感、2 四半期ぶり悪化 日銀短観

日本銀行が 1 日発表した 3 月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す代表的な指標である「大企業・製造業」の業況判断指数 (DI) がプラス 6 と、前回 12 月調査から 6 ポイント悪化した。 悪化は 2 四半期ぶり。 新興国の減速などによる先行きの不透明感に加え、円高が進んで輸出企業の収益が圧迫されていることが響いた。

今回は、日銀が 2 月にマイナス金利政策を導入した後で初めての調査。 前向きな企業活動を促す目的で導入された新政策だったが、依然、先行きへの懸念が強いことが示された。 短観は、日銀が 3 カ月ごとに全国の企業約 1 万 1 千社に景況感や自社の業績などを尋ねる。 DI は景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた数値で、前回よりプラス方向に変化すれば景況感の改善を示す。

大企業・製造業の DI の 6 ポイント悪化は、消費増税直後の 2014 年 6 月調査の悪化幅を超えた。 新興国経済の減速や海外市況の低迷で鉄鋼や生産用機械、電気機械などが落ち込み、自動車など輸出産業は円高の影響も受けた。 業況判断の前提となる 2016 年度の想定為替レートは、1 ドル = 117 円 46 銭と、15 年度の 119 円 80 銭から円高方向に振れた。 (藤田知也、asahi = 4-1-16)

◇ ◇ ◇

景気判断、5 カ月ぶり下方修正 個人の消費意欲が低下

内閣府は 23 日公表した 3 月の月例経済報告で、国内の景気判断を 5 カ月ぶりに下方修正した。 世界経済の減速で株安・円高が進み、個人の消費意欲が低下したことが要因だ。

3 月の景気判断は「緩やかな回復基調が続く」という部分は前月から据え置いたが、「このところ一部に弱さもみられる」としていた部分のうち、「一部に」を外した。 個人消費が低調なことに加え、消費者マインドや企業の景況感などにまで「弱さ」が広がってきたためだ。 項目別では、個人消費を前月までの「総じてみれば底堅い動き」から、「消費者マインドに足踏みがみられるなか、おおむね横ばい」へと 7 カ月ぶりに下方修正した。 企業収益と業況判断も下方修正した。 一方、輸出は米国向けの自動車などが上向いてきたため、上方修正した。 (asahi = 3-23-16)


銀座の地価、過去最高 商業地 8 年ぶり上昇 地方は下落

国土交通省が 22 日発表した今年 1 月 1 日時点の公示地価で、商業地の全国平均が 8 年ぶりに上昇に転じた。 業績の良い企業が都心部でオフィスを広げ、海外からの訪日旅行者の消費を取り込もうとホテルの建設も盛んだ。 ただ、人口が減っている地方の多くは値下がりが続いている。 東京・銀座 4 丁目の商業地は 1 平方メートルあたり 4,010 万円(前年比 18.6% 上昇)で、全国で最高額だった。 銀座ではバブル末期の 1991 年(3,850 万円)や、リーマン・ショック直前の 08 年(3,900 万円)を超え、過去最高になった。

大阪府の商業地は前年比 4.2% 上昇し、東京都(同 4.1%)を抑え、都道府県別の伸び率で全国トップになった。 中国などからの旅行者が急増し、ホテルの建設ラッシュが起きている。 訪日旅行者の増加は、京都、愛知、札幌、福岡などの商業地の地価も押し上げている。 商業地の地価は、16 都道府県で値上がりした。 札幌が引っ張る北海道や、北陸新幹線の開通効果が出ている石川などで、前年の下落から上昇に転じた。

住宅地は前年より 0.2% 下がった。 下落幅は前年の 0.4% から縮んだものの、これで 8 年連続のマイナスだ。 大都市部では回復が鮮明になり、マンションの価格も高騰しているが、中小規模の都市では依然として下落が続いている。 (下山祐治、asahi = 3-22-16)


機械受注 1 月は前月比 15.0% 増、予測上回り投資姿勢しっかり

[東京] 内閣府が 14 日に発表した 1 月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比 15.0% 増の 9,347 億円となった。 2 カ月連続の増加。 ロイターの事前予測調査では 3.0% 増と予想されていたが、これを上回った。 前年比では 8.4% 増だった。 内閣府は、機械受注の判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。

製造業は前月比 41.2% 増、非製造業は同 1.0% 増となった。 外需は同 29.4% 減で 3 カ月連続の減少。 設備投資は昨年後半から緩やかな増勢となっているが、今年に入ってからの原油安や内外金融市場の不安定化により、企業の投資マインドへの影響が懸念されていた。

1 月の機械受注は、昨年 11 月の大幅減少からの反動増が続いているとみられ、2 カ月連続の増加となった。 一部で投資の先送りがあっても、全体として更新投資や今後の競争力維持に向けた投資が出てきているもよう。 機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。 設備投資の先行指標として注目されている。 (Reuters = 3-14-16)

◇ ◇ ◇

2 月の工作機械受注額、前年比 22.6% 減 7 カ月連続減

日本工作機械工業会が 9 日発表した 2 月の工作機械受注総額(速報)は前年同月比 22.6% 減の 1,017 億 9,500 万円と、7 カ月連続で前年実績を下回った。 内需は 9.0% 減の 387 億 5,800 万円と 2 カ月ぶりに減少。 外需は 29.1% 減の 630 億 3,700 万円と 9 カ月連続で減少した。 (nikkei = 3-9-16)

◇ ◇ ◇

12 月の機械受注、4.2% 増 2 カ月ぶり増加 非製造業貢献

企業の設備投資の動きをいち早く示す機械受注統計で、変動の大きい船舶・電力を除く民需の昨年 12 月の受注額(季節調整値)は、前月を 4.2% 上回った。 増加は 2 カ月ぶり。 内閣府が 17 日発表した。 「持ち直しの動きがみられる」とする基調判断は据え置いた。

12 月の受注額は 8,066 億円。 内訳は製造業が前月比 3.4% 減と 2 カ月連続で減少。 中国経済の減速などを受け、化学工業や自動車関係などからの受注が減った。 非製造業は同 8.5% 増で、2 カ月ぶりに増加。 マイナンバーの導入などを受けて、金融・保険業でのシステム投資などが増えた。 同時に発表された昨年 10 - 12 月期の受注額は、前期比 4.3% 増と 2 四半期ぶりに増加。 ただ、同 10.0% 減だった 7 - 9 月期からの反発は弱かった。 (asahi = 2-17-16)

◇ ◇ ◇

機械受注、11 月は 14.4% 減 市場予想下回る、3 カ月ぶりマイナス

内閣府が 14 日発表した 2015 年 11 月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月比 14.4% 減の 7,738 億円だった。 マイナスは 3 カ月ぶりで、減少率は 14 年 5 月(16.4% 減)以来の大きさだった。 QUICK が事前にまとめた市場予想(7.8% 減)を下回った。 15 年 9 月(7.5% 増)、10 月(10.7% 増)と伸びていた反動で大きく落ち込んだ。

内閣府は機械受注について「持ち直しの動きがみられる」との基調判断を据え置いたうえで、「11 月の実績は大きく減少した」と単月の落ち込みに言及した。 10 月は上方修正していた。 受注額(船舶・電力除く民需)の原数値は前年同月比 1.2% 増。 同受注に大型案件は製造業で 1 件あった。

主な機械メーカー 280 社の製造業からの受注額は前月比 10.2% 減の 3,383 億円だった。 減少は 2 カ月ぶり。 航空機や鉄道車両、内燃機関や風水力機械などの受注が減った。 中国の景気減速の波及について内閣府は「電気機械や一般機械といった業種からの受注減が続いており、影響が出ている可能性がある」としている。 非製造業は 18.0% 減の 4,379 億円で、マイナスは 3 カ月ぶり。 非製造業の減少率はデータをさかのぼれる 05 年以降で最大だった。 運輸業・郵便業や金融業・保険業、農林漁業からの受注減が目立った。

内閣府は 15 年 10 - 12 月期の受注額(船舶・電力除く民需)について、前期比 2.9% 増になるとの見通しを示している。 12 月実績が前月比で横ばいなら、ちょうどこの見通しを達成できるという。 (nikkei = 1-14-16)


貸出増加支援制度の 3 月分貸付は 2.3 兆円、残高 24.4 兆円に = 日銀

[東京] 日銀は 16 日、金融機関の貸出増加を支援するための資金供給制度(貸出増加支援制度)の 3 月分の貸し付け予定額が 2 兆 3,462 億円になると発表した。 これにより、同制度における貸付残高は 24 兆 4,220 億円となる見通し。 貸し付けは 18 日に実施する。 マイナス金利政策の導入に伴い、今回の貸付分から適用金利は従来のプラス 0.1% からゼロ % に引き下げられた。

貸出増加支援制度は、金融機関に一段の融資先や案件の開拓を促すことで、現在の緩和的な金融環境を実体経済に波及させることが狙い。 貸出残高を増やした金融機関は、貸出純増分の 2 倍まで、固定金利で 4 年間の資金供給が受けられる。 貸付残高の内訳は、大手行が 7 先で 15 兆 3,189 億円、地域金融機関などが 122 先で 9 兆 1,031 億円となっている。 (伊藤純夫、Reuters = 3-16-16)

◇ ◇ ◇

日銀、マイナス金利を導入 日本の金融政策で初

日本銀行は 29 日の金融政策決定会合で、金融機関が日銀に任意で預けるお金に付ける利子をマイナスにする「マイナス金利政策」の導入を決めた。 2 月 16 日から実施する。 金融緩和で金融機関にたまったお金が貸し出しに回るよう促す。 日本の金融政策でマイナス金利政策の導入は初めて。 日銀は、「異次元」として始めた金融緩和手法の大きな転換を迫られた。

政策委員 9 人(総裁、副総裁 2 人、審議委員 6 人)のうち、賛成 5 人、反対 4 人で決めた。 日銀の決定を受け、東京株式市場では日経平均株価が一時、前日終値より 600 円近く上昇。 為替相場は一時、前日午後 5 時時点より 2 円 70 銭以上円安ドル高の 1 ドル = 121 円 50 銭近辺まで円安が進み、約 1 カ月ぶりの円安水準となった。 その後、急速に値を戻し、日経平均は一時、前日終値を 270 円超下回った。

金融機関は、融資量に応じて日銀にある当座預金口座にお金を預ける義務がある。 日銀は、決められた額を超えた預金に対して年 1.1% の利子を付けていたが、預金残高の一部の金利をマイナス 0.1% に下げることにした。 (福田直之、asahi = 1-29-16)


堅調な企業収益、設備投資 8.5% 増 昨年 10 - 12 月

財務省が 1 日発表した 2015 年 10 - 12 月期の法人企業統計によると、企業の国内設備投資額(金融・保険業をのぞく)は前年同期比で 8.5% 増の 10 兆 5,302 億円だった。 堅調な企業収益を背景に、11 四半期連続の増加となった。 (asahi = 3-1-15)

◇ ◇ ◇

1 月の鉱工業生産指数、前月を 3.7% 上回る

経済産業省が 29 日に発表した 1 月の鉱工業生産指数(2010 年 = 100、季節調整済み)の速報値は、前月を 3.7% 上回る 99.8 だった。 生産の基調判断は「一進一退」のまま据え置いた。 (asahi = 2-29-16)

◇ ◇ ◇

企業業績、急ブレーキ 中国減速・原油安響く

中国経済の減速や原油価格の急落を受けて、企業業績の勢いに陰りが見えてきた。 2 日までに発表を終えた 2015 年 10 - 12 月期の決算をみると、経常利益の伸び率は前年の同じ時期と比べて 2.5% だった。 15 年 4 - 9 月期の 20.7% から、大きく減速している。 東証 1 部に上場する 3 月期決算企業 547 社(対象の 42.5%、金融をのぞく)分を、SMBC 日興証券が集計した。 10 - 12 月期の経常利益は、鉄鋼が 62.6% 減、海運業が 62.0% 減、機械が 18.0% 減と落ち込んでいる。

伸び率悪化の主因の一つが、中国や新興国経済のペースダウンだ。 日立製作所は、中国での建設機械の不調が響き、16 年 3 月期の通期の営業利益見通しを 500 億円引き下げ、6,300 億円とした。 3 年ぶりに純損益が赤字となる見込みの商船三井は、鉄鉱石や石炭などを運ぶ船が余って処分するため、最大約 1,800 億円の特別損失が出そうという。

ホンダは二輪車事業がブラジルなどで苦しむ。 ブラジルでは四輪の新工場の稼働のメドも立たず、岩村哲夫副社長は「今後の見当がつかない」と話す。 パナソニックは、中国市場でパソコン向けの蓄電池やエアコンの販売が落ちた。 原油や資源の価格下落も、重しとなっている。 石油元売り大手の JX ホールディングスは、在庫の評価損などがふくらみ、16 年 3 月期の純損益が 3,300 億円の赤字(直近の予想では 450 億円の黒字)になりそうだ。 大田勝幸取締役は「設備投資の圧縮や、権益の一部を手放すことも検討する」と話した。

一方、小売業にとっては円安で外国人客が増え、中国人の「爆買い」といった恩恵があった。 三越伊勢丹ホールディングスでは 15 年 4 - 12 月の免税品売り上げが 2.3 倍に増えた。 ただ、足元では旗艦店で 1 人あたりの買い物額が 1 割落ちているという。

りまく環境は変化しているが、それでも 16 年 3 月期の東証 1 部上場企業全体(金融をのぞく)の経常利益は、集計によれば前年より 9.4% 増の 37 兆 600 億円と、過去最高になる見込みという。 逆風を受けていても、自動車や電機などの輸出企業は円安で採算が改善しており、小売りや空運、陸運なども業績が堅調に推移している。 国際線の乗客の伸びと燃料費の低下が追い風になっている日本航空は、2 月の中国の春節に向け、「1 月から盛り返している(斉藤典和専務)」という。

ただ、最近の市況変化の流れは、企業業績に負の影響を与えかねない。 原油相場は 2 日も急落。 国際指標となる米国産 WTI 原油の終値は、約 2 週間ぶりに 1 バレル = 30 ドルを割りこんだ。 これも受けた 3 日の株価は、東京株式市場では全面安の展開となり、日経平均の終値が前日より 559 円 43 銭 (3.15%) 安い 1 万 7,191 円 25 銭だった。 3 日のニューヨーク外国為替市場では、円相場が一時 1 ドル = 117 円台の円高水準となった。 (asahi = 2-4-16)

◇ ◇ ◇

企業収益が急減速 10 - 12 月、新興国不振響く

上場企業の収益の伸びが減速している。 29 日までに発表になった決算を集計すると 2015 年 10 - 12 月期の経常利益は前年同期に比べ 5% 減になった。 中国をはじめとした新興国経済の不振と資源安が逆風になっている。 円安効果も薄れてきた。 堅調な北米景気などに支えられ、16 年 3 月期通期は増益を確保できる見通しだが、企業業績は踊り場に差し掛かっている。

脱デフレを旗印とするアベノミクスの原動力は企業の業績拡大だ。 日銀の大規模金融緩和で過度な円高が修正され、上場企業は 15 年 3 月期まで 3 期連続で増益となった。 好調な業績を背景に賃上げや国内の設備投資を促してデフレ脱却につなげるシナリオだったが、企業業績が失速すると前提が崩れかねない。 29 日までに発表した 438 社の 4 - 12 月期決算を集計した。 社数で全体の 28%、株式時価総額で 31% に相当する。 10 - 12 月の 3 カ月間の経常利益は前年同期比で 5% 減と 14% 増益だった 7 - 9 月期から大きく低下した。

苦戦の主因は新興国の成長鈍化だ。 コマツは 10 - 12 月期の税引き前利益(米国会計基準)が 2% 減った。 インフラ投資の落ち込みで「新興国の建機市場は当面厳しい(稲垣泰弘常務執行役員)」という。 ファナックは中国の工業生産が振るわず工作機械の数値制御 (NC) 装置の販売が落ち込んだ。 「中国向けの低迷はしばらく続く」と稲葉善治社長は予想する。

資源価格の下落も企業業績の重荷だ。 JFE ホールディングスは経常利益が 8 割減った。 中国などの需要減少で鋼材市況が下がり、岡田伸一副社長は「かつてないスピードで事業環境が悪化している」と話す。 日本郵船など海運大手も荷動きが鈍り収益が落ち込んだ。 輸出企業の収益を押し上げてきた円安効果も薄れている。 ホンダは 10 - 12 月期の税引き前利益が 24% 減になった。 北米などで販売は伸びたが、ドルや新興国通貨を含めた為替変動が約 190 億円の減益要因になった。

ただ、年間では増益を確保できそうだ。 企業の業績計画を集計すると 16 年 3 月期の経常利益は前期比 5% 増になる。 円安効果を享受できた上期に業績が大きく伸びたためだ。 これから決算を発表する企業を含めても通期で増益になる見通しだ。 業績が好調な企業は北米で利益を稼いでいる。 内需企業も訪日外国人によるインバウンド消費が収益を下支えする。

TDK は北米の自動車向けに電子部品の販売が伸びて大幅な増益になった。 北米を収益源とするソニーは 10 - 12 月期の税引き前利益(米国会計基準)が 15% 増になった。 米国でゲーム機「プレイステーション 4」の販売を伸ばしている。 コーセーは 10 - 12 月期に 2 割の経常増益になった。 訪日客に人気の「雪肌精」など化粧品の主力ブランドが好調に推移している。 阪急阪神ホールディングスはホテルの宿泊客が増え、年間の業績計画を引き上げた。 (nikkei = 1-31-16)

円安効果 円安が進んだ際に生じる企業業績の押し上げ効果を指す。 自動車や電機など輸出で利益を稼ぐ企業は、為替相場が円安になると、ドルやユーロなど外貨建ての売り上げを円に換算する際の金額が膨らみ、売り上げが増加する。 外貨建てで持つ資産の価値も円安によって高まり、その分は「為替差益」として利益に計上される。

日銀の金融緩和は円安という形で企業業績の追い風を作り出してきた。 特に 2014 年秋の追加緩和では 1 ドル = 120 円程度まで円安が加速し、15 年秋までの為替レートは前年同期比で大幅な円安・ドル高になった。 円安効果の恩恵が大きい自動車大手 7 社でみると、15 年 4 - 9 月期の円安効果は計 7,000 億円強になった。

かし、円安効果は薄れている。 15 年末の為替レートは 14 年末と同水準で、対ドルの円安効果はほぼゼロになった。 世界経済への不安などから安全資産とされる円が買われやすくなっており、1 月中旬には 1 ドル = 115 円台まで円高になる場面があった。 今後は円安による収益の押し上げは限られそうで、販売数量の増加など企業の実力が試される局面になる。


G20 で注目される積極財政論、日本が抱える格下げリスク

[東京] 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議に向けて、財政政策の注目度が高まってきた。 先進国で実施してきた金融緩和政策の限界点が意識され出す中、景気下振れを防ぐ役割が期待されている。 だが、日本では、財政状態のさらなる悪化や、国債の格下げなどリスクも大きい。 円債市場の「警報機能」が事実上喪失しているとの声もあり、財政規律の緩みという危険も付きまとう。

財政出動の余裕乏しい G20

民間が借りないのなら、政府が借りるしかない。 これが財政政策である。 企業や家計がリスクに対し消極的な場合、政府が借金してでも投資をして、民間に需要をもたらす。 その投資が起点となり、連鎖的に需要が生まれ、景気が改善するのがベストシナリオだ。 今週 26 - 27 日に中国の上海で開かれる G20 に向けて、財政政策論議が活発化している。 未曾有の金融緩和を行っても、足元の世界経済はもたつきが目立つ。 年初からの世界的な株安もあって、G20 が協調して財政出動することを求める声が金融市場でも高まっている。

しかし、各国とも財政に余裕があるわけではない。 リーマン・ショック後に膨らませた財政のツケをいまだに支払っている段階だ。 米国では債務上限問題が解決されたわけではなく、欧州も南欧諸国を中心とした債務問題の根本治療には時間がかかる。 中国は 4 兆元投資の後始末に苦しんでいる。 G7 各国の政府債務残高(一般政府ベース、OECD 調べ)は対 GDP (国内総生産)比で、2000 年に平均 80% だったが、15 年には 125% に上昇している。

しかも多くの国では、国債を中央銀行が買って金利上昇を押えるという決して健全とはいえない状態だ。 多額の財政出動にもかかわらず成長率の伸びは鈍く、生産性も低下している。

難しい日本の舵取り

なかでも日本は先進国で最も債務が積み上がっている国だ。 15 年の日本の債務残高は、GDP 比(同)で 233%。 対外債権と相殺したとしても、借金がなくなるわけではない。 社会保障費は膨張し続けており、S & P による昨年 9 月時点の予測では、債権と相殺したネットの一般政府純債務残高の対 GDP 比は、15 年度の 128% から 18 年度には 135% に上昇する。

また、日本は需給ギャップがほぼ解消した状態にある。 「その状態では 1 - 2 兆円程度の財政出動をしても効果は限定的だ。 経済に大きな刺激を与えるには 10 - 20 兆円といった規模が必要になる。」と、SMBC 日興証券・シニアマーケットエコノミストの嶋津洋樹氏は指摘する。 さらに機動性にも問題が残る。 日本の国会では、2016 年度予算案を審議中だ。 補正予算を編成するなら、その後になる。 また、補正予算はあくまで短期的な措置である。 景気下振れを防ぐ効果はあっても「来年度は予算がつかないと思えば効果も薄れる(外資系証券エコノミスト)」との指摘も出ている。

日本の「財政政策」としては、10% への消費再増税の見送りという選択肢もある。 17 年 4 月に予定している消費増税の実施を延期すれば、景気下押し圧力は軽減されるとの見方も多い。 一方、消費増税を予定通り実施したうえで、補正予算を組むという選択肢もある。 ただ、それではブレーキとアクセルを同時にかけるようなものとの批判も出よう。

失われた「警報機能」

大規模な財政出動や消費再増税見送りには、リスクも伴う。 市場が警戒するのが、日本国債の格下げだ。 現在、日本国債の格付けは S & P が A+ (見通しは安定的)、ムーディーズが A1 (同)。 金融機関が自己資本を計算する上でのリスクウエートが上昇する BBB+・Baa1 まで 3 段階、ジャンク級まで 6 段階あり、1 段階程度の格下げでは、大きな影響は出ないかもしれない。

しかし、市場では「ヘッジファンドなど海外勢の売り材料になる可能性がある(国内銀行ストラテジスト)」との警戒感も強い。 海外勢の日本国債保有シェアは昨年末時点で 10% 弱に上昇。 かつてのような国内勢だけのマーケットではなくなっている。 日本国債の格付けが引き下げられれば、ほぼ自動的に邦銀の格付けも引き下げられる。 足元でドル調達コストが上昇しているなかで、格下げされればコストがさらに上昇しかねない。 ドル調達だけでなく、証券などの発行コストも上昇する可能性がある。

消費増税見送りや財政出動が即座に、格下げと直結するわけではない。 安倍晋三首相は、14 年 11 月に消費再増税の延期を決定したが、S & P が格下げしたのは 15 年 9 月。 格付け判断においては、政策の効果で景気が持続的に回復し、財政再建に結び付くかどうかがポイントになる見通しだ。

さらに日銀の「爆買い」が円債市場の需給を引き締めており、金利の急上昇や悪い円安は起きない可能性もある。 しかし、「金利上昇という財政規律に対する警報機能が事実上失われた(みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏)」なかでは、それこそが日本にとって実は最も危険な状況かもしれない。 (伊賀大記、Reuters = 2-25-16)


1 月首都圏マンション発売戸数、前年比 -11.0% = 不動産経済研究所

[東京] 民間の不動産経済研究所が 16 日発表したマンション市場動向によると、1 月の首都圏マンション発売戸数は前年比 11.0% 減の 1,494 戸となった。 2 カ月連続で減少した。 首都圏のマンション契約率は 58.6% と、好不調の分かれ目とされる 70% を 2 カ月連続で下回った。 1 戸当たりの価格は前年比 25.0% 上昇し、5,570 万円だった。 マンション販売在庫数は前月末比 91 戸減少し、6,340 戸となった。 一方、2 月の発売戸数について同研究所は 2,500 戸と見込んでいる。 (Reuters = 2-16-16)


10 - 12 月期実質 GDP は前期比 -0.4% = 内閣府

[東京] 内閣府が 15 日発表した 2015 年 10 - 12 月期国民所得統計 1 次速報によると、 実質国内総生産 (GDP) は前期比マイナス 0.4%、 年率換算でマイナス 1.4% となった。 ロイターがまとめた民間調査機関の事前予測では 10 - 12 月期 GDP の予測中央値は前期比マイナス 0.3%、年率マイナス 1.2% だった。 (Reuters = 2-15-16)