米、為替報告書を公表 「監視リスト」に日本など指定

米財務省は 29 日、半年に 1 度議会に提出する外国為替報告書を公表し、日本、中国、ドイツ、韓国、台湾の 5 カ国・地域を新たに設けた「監視リスト」に指定した。 円高が進む最近の為替相場は「秩序だっている」として、円高を抑えるための為替介入を示唆する日本側を改めて牽制した。

環太平洋経済連携協定 (TPP) の合意にあわせ、米議会は今年、自国の輸出に有利になるよう通貨を切り下げる国への対抗措置を盛り込んだ法案を可決。 @ 対米貿易黒字が 200 億ドル(約 2.1 兆円)以上、A 経常黒字が国内総生産 (GDP) の 3% 以上、B 為替介入の規模が GDP の 2% 以上 - - の三つを満たした国に対し、対抗措置を取るよう求める内容で、今回の報告書で初めてその基準が導入された。 以前からある「為替操作国」の認定はなかった。

今回はすべての基準を満たした国はなかったものの、日本など 5 カ国・地域が二つを満たすとして、監視リストに入れた。 日本は昨年後半の対米貿易黒字が 339 億ドル(約 3.6 兆円)で、中国、ドイツに次いで 3 番目に大きいという。 ただ日本は最近、為替介入をしていないとして、B は適用されなかった。 また報告書は、最近の円相場について、日本側が「極めて荒い」と言及したことに触れたうえで、相場は「秩序だっている」と改めて反論。 円高ドル安が進むなか、日本は介入に対して新たな「警告」を出された形で、難しい対応を迫られそうだ。

中国については、急速な人民元安を防ぐため、当局が昨年 8 月から今年 3 月に 4,800 億ドル(約 51 兆円)以上の元買い介入をしたと試算。 市場を安定させるため、為替政策の先行きのより明確な説明を求めた。 最近は落ち着きを見せているものの、ここ 2 年ほどの急速なドル高で米国の輸出の低迷が続く。 米大統領選の予備選では不動産王トランプ氏らが日本や中国を「為替操作国」と批判しており、米政府はドル高に神経をとがらせている。 (ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 4-30-16)


「新時代の農業者に支援を」 G7 農相会合で共同宣言

新潟市で開かれた主要 7 カ国 (G7) 農相会合は 24 日、人口増、気候変動など「新時代の課題に直面する農業者を支援するべきだ」などとする共同宣言を採択して閉会した。 主な合意内容は、@ 農家の高齢化に対処するため、女性や若者が農業で活躍しやすい環境をつくる、A 抗生物質などが効かない「耐性菌」や国境を越えて広がる家畜感染病に対処するため、獣医師を所管する当局が連携する枠組みをつくる、B 温暖化など気候変動に備え、協力して研究を進める - - など。 年内に改めて各分野の会合を開く。

議長を務めた森山裕農林水産相は会見で「世界の食料安全保障の強化について充実した議論となり、力強いメッセージを採択できた」と話した。 5 月に三重県で開かれる G7 首脳会議(伊勢志摩サミット)の関連会合の一つ。 主要国の農相が一堂に会したのは 2009 年のイタリア会合以来、7 年ぶり。 (asahi = 4-24-16)


政治危機のブラジル 失業率増加、経済も苦境に

ニューヨーク : ブラジル政府は 24 日までに、失業率は昨年 12 月から今年 2 月までの期間に 10.2% に上昇したとの公式データを発表した。 同国では政府会計の粉飾疑惑に絡むルセフ大統領の弾劾請求などの政治危機に襲われているが、景気も悪化の一途をたどる苦境に直面している。 昨年同期の失業率は 7.4% だった。 現段階の失業者総数は 1,000 万人で、1 年前に比べ 300 万人増加。 賃金は約 4% 目減りし、インフレ率は高水準にとどまっている。

ブラジルの国内総生産 (GDP) は昨年 3.8% 縮小し、同国の中央銀行は今年の成長率はマイナス 3.5% と予測している。 ブラジルの連邦下院議会は既に大統領弾劾を支持する決議を可決。 上院でも弾劾決議の是非を問う採決が 5 月にも予定されている。 上院が可決した場合、大統領の職務が停止される事態につながる。 今年 8 月にリオデジャネイロ五輪を迎えるブラジルだが、大統領の弾劾問題の他、ルラ前大統領の関与が指摘される国営石油会社ペトロブラスなどを舞台にした汚職疑惑でも揺れており、全国で大規模な政府批判デモが起きている。 (CNN = 4-24-16)


伊勢志摩 G7 へ届け、市民サミット 政策提言「反映を」

5 月下旬の主要 7 カ国 (G7) 首脳会議(伊勢志摩サミット)の直前に、国内の市民団体や若者らが独自の「サミット」開催を計画している。 政策提言するなどして、各国首脳の議論に市民の声を反映させるためだ。 国外の NGO の活動も活発で、外務省はサミット期間中、NGO の活動拠点を設けて対応する。 3 月 22 日、京都市内にアフリカやアジアなど約 20 カ国から NGO 関係者約 100 人が集まった。

「公衆衛生危機には発生後の対策よりも予防策を重視すべきだ」、「脱炭素化をめざし、再生可能エネルギーをさらに進める必要がある」。 保健や気候変動、人権など 8 テーマを議論し、16 項目にまとめた政策提言を、伊勢志摩サミットに集う各国首脳の個人代表(シェルパ)に示した。 日本の NGO 関係者は「サミットの首脳宣言の骨格が固まる前に、ざっくばらんに対話ができた」と意義を話す。

首脳間の議論に市民の声を反映させようとする市民団体の動きは、サミットでは恒例だ。 今年は開催直前の 5 月 23、24 両日に、三重県四日市市で、内外の NGO や NPO が集う「市民サミット」が行われる。 環境や子ども、平和、アフリカなど 17 程度の分科会を設けて議論し、政策提言を出す。 昨年 11 月結成の「2016 年 G7 サミット市民社会プラットフォーム」が主導。 環境や人権、貧困など多分野にまたがる NGO や NPO の全国横断組織だ。 東海 3 県の市民団体が今年 2 月に発足させた「東海『市民サミット』ネットワーク」と一緒に準備を進める。 サミット時に NGO と NPO の共催で開く「市民サミット」は初めてだという。

同ネットワークの発足に深く関わった松井真理子・四日市大教授は「NGO と NPO の相乗効果で政策提言力が増す。 市民サミットでは地域の課題とグローバルな問題を結びつけて議論したい」と期待する。 1999 年の独ケルン・サミットでは、途上国の累積債務の免除を求めた政策提言が首脳会議で救済策の合意につながった。 近年は、サミットの前にシェルパと NGO が対話することが定着しており、政策提言の影響力は増している。

NGO 団体によると、伊勢志摩サミットにあわせて開催地に集う内外の NGO 関係者は数百人規模になる見込み。 外務省は、報道機関の取材拠点「国際メディアセンター(IMC、三重県伊勢市)」の隣に NGO の活動拠点を設ける。

政策提言の動きは、学生にも広がる。 「若者が声を上げることが重要だ。」 三重大(津市) 3 年の山内康史さん (20) は、東海 3 県の学生約 20 人と実行委員会をつくり、5 月 21 日に同大で「東海グローバルサミット」を企画。 「難民問題から考える人類の共生」、「子どもの生きる力の育成」など 6 テーマを話し合う。 高校生から 25 歳までの若者を対象に参加を呼びかけており、議論の成果を「行動宣言」として発表する。

山内さんは「若者が議論する場があっても、社会に意見を発信することがほとんどなかった。 サミットで注目が集まる今こそ、声を届ける絶好の機会だ。」 同大では翌 22 日にも別のグループが、30 歳以下の若者で平和や防災などを議論し、提言する「G7 ユースサミット」が予定されている。 (滝沢隆史、井上昇、asahi = 4-15-16)


安倍首相「独に財政出動説得したい」 米教授が発言暴露

安倍晋三首相が 3 月 22 日の国際金融経済分析会合に招いたポール・クルーグマン・米ニューヨーク市立大教授が、非公開の会合の議事録をツイッターで英語で公開した。 「オフレコ」扱いの発言も含まれ、首相がドイツに財政出動を説得するにはどうしたらいいかを尋ねたやりとりなどが記されている。

分析会合は、5 月の主要 7 カ国 (G7) 首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、主要議題となる世界経済への対応について有識者の意見を聞くため、非公開で開かれた。 司会者も「首相の発言は秘密扱いで」と釘を刺していたが、教授は 3 月 26 日にツイッターで会合のほぼすべてとみられる議事録を公開した。

それによると、教授は世界経済を支える方策として「各国で財政出動を協調して行うべきだ」と提案。 これに対し、首相は「オフレコ」としたうえで、「ドイツは財政出動の余地が最も大きい。 ドイツを訪問し、さらなる財政出動を説得したい。 何かいい知恵はないか。」と質問した。 教授は「見事な外交術は私の専門外なので」などと直接答えなかった。 首相は重ねて「例えば、ドイツでは難民のための住宅投資や教育投資が景気刺激にならないか」と問うたが、教授は「難民のお世話には、大きな財政刺激策になるほどの費用はかからない」と否定的だった。

また、来年 4 月に予定する消費税率 10% への引き上げについては「長期的な予算の問題を優先する考えは極めて見当違いだ」と反対。 日本銀行が導入したマイナス金利については「正しいことだが、これ以上進めるのは難しい」と限界を指摘した。 菅義偉官房長官は 31 日の会見で「政府が作成したのではなく、教授自身のメモだと思っている」と説明。 首相の発言が事実かどうかも明言しなかった。 政府は会合の議事要旨は公開する方針だが、詳細な議事録の公開は予定していない。 (鯨岡仁、asahi = 4-1-16)


中国経済の減速がアフリカ新時代の夢をくじく

サハラ砂漠以南のアフリカ諸国は近年、急成長を遂げ、繁栄する新時代への希望を膨らませてきた。 多くの人たちにとって、世界で最も貧しかったアフリカ大陸は、その豊かな資源に対する移り気な国際需要が頼りの経済体質からついに抜け出せると思われた。 ところが、中国経済が減速し、アフリカ産品への貪欲な欲求の熱が冷めだすと、多くのアフリカ諸国の経済は暗転し始めた。

今年に入ってからアフリカ経済の概況は暗さを増しており、特にナイジェリアと南アフリカ(南ア)という 2 大経済大国の情勢がよくない。 最大の貿易相手である中国がアフリカからの輸入を昨年比で 40% 近く削減すると発表したことで、1 月、ナイジェリアと南アの通貨はそれぞれ前例がないほどの下落を記録した。 国際通貨基金 (IMF) はこのほど、アフリカにおける経済展望を厳しく下方修正した。 信用評価機関はアンゴラ、ガーナ、モザンビーク、ザンビアといった資源輸出国の評価を下げた。 そこは、ほんの 1 年ほど前まで、国際投資家たちのお気に入りの国々だった。

エコノミストたちは、アフリカで最も発展し多角化した南ア経済は今年、政府の予測に反して、景気が後退するとみている。 南アは、中国への鉄鉱石供給ではアフリカ最大の輸出国だが、鉱業は振るわず、製造業や農業部門などもスランプに直面している。 農鉱産品の輸出国の通貨がそうであるように、南アの通貨ランドは、最近の国際市場における原材料価格の下落や政府の失政で、大幅な切り下げを余儀なくされた。 農産品を輸出して主食である穀物を輸入している南アは、近年にない規模の干ばつにあえいでおり、通貨の低迷が事態をいっそう深刻にしている。

大統領ジェイコブ・ズマが率いる南ア政府は、国民の間の格差拡大という問題に加えて、食糧価格の高騰問題も抱え込んでいる。 今年実施される地方自治体選挙で、与党「アフリカ民族会議 (ANC)」は厳しい試練に立たされることになろう。 一方、ナイジェリアはアフリカ最大の原油石油生産国だが、原油価格の暴落の直撃を受けている。 そのうえ、大統領のムハンマド・ブハリは、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」によるテロ攻勢に対処しなければならない。 国家歳入の 80% が原油頼りなのだが、政府当局は資源が集中するニジェール・デルタ地帯の政情不安を抑え込む力を欠く。

ナイジェリア中央銀行が外貨準備高の低減を避けるために米ドル売りを制限したことで、この 1 月、通貨ナイラは大幅に下落した。 昨年末はブラックマーケット(闇市場)で 1 米ドルが 240 ナイラだったのが、その後 300 ナイラにまで落ち込んだ。 ナイジェリアをはじめ、多くのアフリカ諸国は、中国からの借款で各種の大型インフラ整備を進めてきたが、通貨の下落はその返済を難しくさせている。 通貨の下落と中国経済の減速は、大小さまざまな民間ビジネスにも影を落としている。

ナイジェリアの最大都市ラゴスのビジネスマン、ハピネス・アウォネグベは中国から紙、車のタイヤなどの商品を輸入している。 彼によると、米ドル制限が中国商品のオーダーの足かせになっている。 また、輸入注文をしても、以前だったら中国から 30 日で商品が届いたのに今では 50 日かかるようになったという。 中国側の製造縮小も、遅れの一因だ。 「さまざまな余波を被っている」とアウォネグベ。 彼は約 50 人の雇用主だが、「中国の出来事はすぐナイジェリアに跳ね返る」と話している。

とはいえ、明るい面を指摘する専門家もいる。 アンゴラやザンビアのような急伸張した資源輸出国は中国経済の後退に最も深刻な影響を被っているが、その他のアフリカ諸国はそれなりに強靱さを発揮するようになってからだ。 「『アフリカの台頭』という物言いは正しいとは言えないが、台頭していないわけでもない」とサイモン・フリーマントルは言う。 南アの銀行「スタンダードバンク」の上級政治エコノミストで、「その中間にあるというのが実態だろう」と指摘する。

フリーマントルによると、ケニアやエチオピアなどのように農鉱産品が十分になかったため経済の多角化を強いられてきた東アフリカの国々は、おそらく今後も経済成長の勢いが続くとみられる。 しかしながら、多くのアフリカ諸国は経済が活況を呈していた時期に、それを生かして長期的な視野に立った経済体質の転換に取り組んでこなかった。 成長の維持に必要な電力源の確保や雇用の創出といった問題にうまく対処できなかったのだ。 南アでは慢性的な電力不足が経済成長の阻害要因になり、失業率も約 25% と高止まりしている。

銅の輸出に依存するザンビアの経済は、銅に対する中国の需要の落ち込みと国際価格の下落の悪影響を受けている。 銅鉱山は閉鎖され、ここ何カ月かの間に数千人が失業した。 批評家たちからは、ザンビアは銅の需要ブームに沸いていた時期に中国企業と交渉して技術移転やインフラ整備での雇用創出など、より好条件を確保すべきだったという声が出ている。 ザンビアは銅の輸出による収入を公務員の給料アップに投入したが、観光業や農業といった成長を促す産業への投資には使ってこなかった。

ザンビアの元財務相エディス・ナワクイは、現在、野党のリーダーでもあるが、彼は大型のインフラ整備プロジェクトが経済成長の機会を阻む結果を招いたと批判している。 彼の主張によると、アフリカ諸国の指導者たちは中国に対し、地域統合やビジネス、貿易をもっと拡充するためのインフラ整備を要請すべきだった。 昨年 12 月、アフリカを歴訪した中国の習近平国家主席は、南アで開かれたアフリカ諸国の首脳たちとの会議の席で、「アフリカの発展と繁栄」を支援するとして計 600 億ドルの開発援助を約束した。

ジンバブエの大統領で地域機構「アフリカ連合 (AU)」の議長の任にあるロバート・ムガベは、中国を西欧の対抗勢力として持ち上げた。 首脳会議に出席したアフリカの指導者たちの多くが、中国は西欧の国々と違って、アフリカ諸国を対等に扱ってくれると言っている。 だが一方では、中国経済の減速と対アフリカ貿易の不均衡が疑念も広げている。 中国の対アフリカ貿易をみると、昨年は中国からの輸出は 1,020 億ドルで、輸入は 670 億ドルと中国側の大幅な黒字だった。

「中国人はもはや、アフリカとの関係にロマンチックな思いなんて抱いていない。 実態は全然違う。」とジンバブエの政治アナリストでビジネスマンのイッボ・マンダザは言い、こう続けた。 「彼らにとっては、経済がすべてなのだ。」 (Norimitsu Onishi、The New York Times = 3-25-16)


米スターウッド買収、マリオットと再び合意 ホテル大手

米ホテルチェーン大手のスターウッド・ホテルズ & リゾーツ・ワールドワイドは 21 日、同業大手の米マリオット・インターナショナルが示した新たな買収提案を受け入れると発表した。 いったんマリオットによる買収で合意したが、中国企業連合がそれを上回る提示額を出したため、白紙に戻っていた。 今回、マリオットはスターウッドに総額 136 億ドル(約 1 兆 5 千億円)の買収提案を改めて提示。 中国金融大手・安邦保険集団が中心の企業連合が先週示していた総額 132 億ドルを超えたことで「マリオットとの合意に達した(スターウッド)」という。 (ニューヨーク = 畑中徹、asahi = 3-22-16)


バングラ中銀盗難被害、マニラで中国系男が 3,000 万ドル受領 = 議員

[マニラ] 先月に発生した米ニューヨーク連邦準備銀行にあるバングラデシュ中央銀行の口座からのハッカーによる現金盗難について、調査を担当しているフィリピンのギンゴナ上院議員は、マニラで 3,000 万ドル以上が現金で中国系の男に渡されたとの見方を示した。 フィリピン上院の反汚職委員会のトップを務める同議員が、15 日に予定されている公聴会を前にロイターに述べた。

同議員によると、外為ブローカーが数日の間に、6 億フィリピンペソ(約 1,287 万ドル)と約 1,800 万ドルに分けて渡した。 紙幣の数は少なくとも計 78 万枚に上るという。 今回の事件では、ニューヨーク連銀が管理するバングラデシュ中銀口座から 8,000 万ドル以上が盗まれた。 ハッカーは約 9 億 5,100 万ドルを引き出そうとしていたが、途中で送金先の名前のスペルミスをきっかけにハッキング被害が明るみになり、送金は中止された。

バングラデシュ中銀は、盗まれた現金が 4 回に分けてフィリピンに送られ、その後カジノに流れたとみている。 中銀当局者らは、現金が香港に渡った可能性もあると述べた。 フィリピンのリサール商業銀行 (RCBC) は先週、支店の一つに預けられた 8,100 万ドルについて調査中だと明らかにした。 ギンゴナ議員は、現金がフィルレム・サービスという外為ブローカーを通じて中国系の男とカジノ 2 カ所に渡ったことが、調査で判明したとした。 男の出身地が中国本土なのか台湾なのかは現時点では明らかになっていない。 フィルレム・サービスはコメントを控えた。

ギンゴナ議員によると、2,900 万ドルがフィリピンの娯楽・カジノ運営会社ブルームベリー・リゾーツが運営するカジノ「ソレア」の口座に入った。ソレアの広報担当は「調査中の事項に関してはコメントしない」とした。 同議員はまた、2,100 万ドルがフィリピン北部の賭博企業イースタン・ハワイ・レジャーの口座に渡ったと述べた。

検察当局は、RCBC の支店長と現金が当初送金された口座の持ち主に対し、資金洗浄防止評議会 (AMLC) が申し立てを行ったと明らかにした。 ギンゴナ氏は、カジノはフィリピンの反マネーロンダリング法の対象となっていないことから、盗まれた現金が回収できるかどうかは明らかでないと述べた。 (Reuters = 3-15-16)

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バングラデシュ中銀、多額の不正送金被害 回収に全力

ニューヨーク : バングラデシュ中央銀行が、ニューヨーク連銀の口座から 1 億 100 万ドル(約 115 億円)を不正送金される被害に遭っていたことを明らかにした。 盗まれた現金は回収できる見通しだとしている。 この事件について同国財務相が 15 日にも発表を予定しているという。 ニューヨーク連銀によると、何者かが 2 月 5 日にバングラデシュ中銀の口座から 5 回の送金取引を成立させた。 送金の指示はバングラデシュのサーバーから出されたように見え、正規の銀行コードを使って取引が承認されていた。 銀行コードがどのような手口で盗まれたのかは不明。

盗まれた 1 億 100 万ドルのうち、8,000 万ドルはフィリピンの口座に振り込まれ、2,100 万ドルはスリランカの口座に振り込まれていた。 バングラデシュ中央銀行は、スリランカの口座に送金された現金については全額を回収し、フィリピンの口座は凍結させることができたと説明。 現金の回収に向け、フィリピンの金融情報機関と緊密に連携しているとした。

犯人グループはさらに 8 億 5,000 万ドルを盗もうとしたが、この取引はニューヨーク連銀が承認しなかった。 ニューヨーク連銀は、同行のシステムに何者かが不正侵入した形跡も、不正侵入を試みた形跡もないと強調している。 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、フィリピンのマネーロンダリング対策機関が容疑者の摘発について 15 日に発表を予定していると伝えた。 (CNN = 3-15-16)


中国バッシングもなんのその - 45 兆円のチャンスは見過ごせない

米企業の最高経営責任者 (CEO) にとって、4,000 億ドル(約 45 兆円)のビジネスチャンスは見過ごせない。 中国は景気減速で世界の市場を揺るがしているほか、米大統領選では共和党指名争いのトップを走るドナルド・トランプ氏をはじめ候補者らが中国批判に忙しい。 だがアップルやスターバックス、ユナイテッド・テクノロジーズ、クアルコムなど米企業の視点は長期的だ。 今は、世界 2 位の経済大国に大きく投資するべき時だとみている。

世界最大のコーヒー店チェーン、スターバックスのハワード・シュルツ CEO は 1 月の電話会議で、中国経済は消費けん引型の成長に向けて起伏があるものの必要な道のりを歩んでいると指摘。 同社の中国事業が「いつの日か米事業よりずっと大きくなる可能性は大いにある」と述べた。

中国経済や人民元相場が最近混乱する中でも、中国の長期的魅力についての米企業 CEO らの姿勢は揺るがない。 大統領選のキャンペーンの中でのトランプ氏の独断発言を含めた中国批判も、同国での事業拡大を目指す米企業の計画を変えさせはしない。 結局のところ米企業にとって中国は、米中ビジネス協議会が試算するように少なくとも 4,000 億ドル規模の市場なのだ。

中国の米商業会議所によれば、調査対象となった会員企業 496 社のうち 77% は、数年前と比べ中国で外資がそれほど歓迎されていないと感じると回答。 規則の解釈が一貫しないことや不明確な法律が最大級の難題だとしている。 それでも 10 社中 6 社が、中国を優先度の高いトップ 3 の投資先に入れている。 2012 年の調査では 10 社中 8 社に上っていた。 (Bloomberg = 3-7-16)


金融市場混乱に「すべての政策手段」 G20 共同声明

中国・上海で開かれていた主要 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議は 27 日、最近の金融市場の混乱に対し、「すべての政策手段を用いる」との文言を盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。 作業部会で検討することになった新興国からの資金流出を規制する仕組みづくりにはなお時間がかかり、G20 での合意が市場の安定につながるかは見通せない。

共同声明は、世界経済の現状について「回復は続いているが、ばらつきがあり、期待する水準に達していない」と指摘。 「最近の市場の変動の規模は、世界経済の現状を反映したものではない」とした。 そのうえで、成長実現のため、「さらなる行動が必要」と強調。 各国の構造改革について進捗(しんちょく)を数値で評価する仕組みづくりを中国が提案し、合意を得た。

特に、米国の利上げや原油安などで、新興国から急激にお金が引き揚げられている問題では、「資金の流れをよりよく監視し、各国の経験を踏まえ、課題に対処するための政策について検証する」とした。 G20 の作業部会で、急激なお金の流出入を管理した過去の事例をどう現在の問題に生かすかを検討し、9 月の G20 首脳会議に向けて具体案をまとめる。

一方、「金融政策のみでは、均衡ある成長につながらない」との認識で一致。 米国が提唱した財政出動による景気下支えについては、「機動的に実施する」としたものの、財政の健全性に配慮することが必要との認識も示した。 外国為替市場が不安定になっている点については、引き続き「通貨の競争的な切り下げを避ける」と確認。 為替政策の変更などを念頭に「緊密な協議をする」とした。 (上海 = 福田直之、asahi = 2-27-16)

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議長国の中国に構造改革求める G20 財務相会議開幕

中国・上海で 26 日、主要 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議が始まった。 世界的な金融市場の混乱の「震源地」とも呼ばれた議長国・中国に構造改革を促す一方、新興国からの資金流出を念頭に、国際金融の安定化策を打ち出す見通しだ。 27 日に共同声明を取りまとめる。 麻生太郎財務相は 26 日、閣議後の記者会見で「世界中の鉄の値段がこれだけ下がっている最大の理由は(過剰な生産能力を持つ)中国の鉄輸出だ」と述べ、成長モデルの転換を促す考えを示した。 米国のルー財務長官も、米紙とのインタビューで「中国は改革の実行の道筋に居続けることが必要だ」と念押しした。

急成長で世界経済を引っ張ってきた中国は昨年、国内総生産 (GDP) の伸び率が 25 年ぶりに 7% を割り込んだ。 成長の鈍化は、想定以上の人民元安や世界的な株安を引き起こした。 各国は中国に対し、過去の急成長の「負の遺産」を整理し、持続的な成長を目指す構造改革を求めている。 中国自身も過剰な生産能力や非効率な企業を減らす取り組みを強化する構えだ。 初めての議長国として、構造改革を G20 全体の中心テーマに据えた。 (上海 = 斎藤徳彦、福田直之、asahi = 2-26-16)


EU、大幅譲歩で改革案合意 英国、残留問う国民投票へ

欧州連合 (EU) は 19 日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、英国が EU 残留の条件として求めた改革案で合意した。 金融規制や移民労働者への対応で英国の要求をのみ、大幅に譲歩した内容だ。 英国のキャメロン首相は、この合意を踏まえ、EU 離脱か残留かを問う国民投票を 6 月下旬にも設定する見通しだ。

首脳会議の声明によると、移民労働者の流入が例外的に増えた場合、緊急措置として、低所得者向けの税控除などの社会保障を入国後最大 4 年間制限できる。 この措置は最長 7 年間続けられる。 共通通貨ユーロを採用する国々の金融関連の政策について、英国など「非ユーロ圏」が 1 カ国でも反対すれば EU の加盟国で協議するとした。

また、EU に対してさらに主権を委譲するなど政治的な統合の深化に、英国はこれ以上加わらない。 これは次の EU 基本条約改正に盛り込まれるという。 フランスやベルギーなどが、ユーロ圏の決定に非ユーロ圏を関与させることは、EU の経済統合のブレーキになると反発。 移民への社会保障の制限には、移民を英国などに送り出してきた東欧諸国から不満が続出したが、最後は、EU の分裂回避を優先させるために大幅に譲歩した模様だ。 (ブリュッセル = 吉田美智子、渡辺志帆、asahi = 2-20-16)


中国より「米国リスク」 雇用・企業・投資の三つ変調

世界経済の減速感が色濃くなってきました。 気掛かりなのは牽引役だった「米国経済の変調」です。 原油価格の低迷を背景に雇用情勢、企業業績、投資環境にほころびが見え始めています。 1 月の非農業部門の雇用者数は前月比 15.1 万人増と、増加幅は前月(26.2 万人)から急減速し、市場予測(19 万人)も下回りました。 一方で失業率は 4.9% と前月 (5.0%) より低下し完全雇用に近い状況ですが、労働参加率が約 40 年ぶりの低水準で推移している中での失業率改善は割り引いて考えたほうがいいようです。

昨年 10 - 12 月期の米企業決算発表にも不安材料が出てきました。 シェブロンの最終赤字転落をはじめとしたエネルギー業界の悪化、リンクトインやアップルが弱気な 2016 年見通しを示すなど、好調が続いていたハイテク業界の先行きにも黄信号が点滅しています。 (東洋経済 = 2-13-16)

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米 GDP、0.7% 増に減速 10 - 12 月期 商務省

米商務省が 29 日発表した 2015 年 10 - 12 月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は年率換算で前期比 0.7% 増となり、同 2% 増だった昨年 7 - 9 月期から減速した。 ほぼ専門家の予想(0.8% 前後の増加)通りで、3 四半期ぶりの低成長となった。 主力の個人消費が減速したほか、輸出や設備投資の落ち込みが響いた。

米国経済の 7 割を占める個人消費が 2.2% 増で、前期(3% 増)から減速した。 ドル高や海外経済の低迷を背景に、輸出は 2.5% 減と前期(0.7% 増)からマイナスに転じた。 企業の設備投資は 1.8% 減と 12 年 7 - 9 月期以来約 3 年ぶりの減少だった。 昨年通年は 2.4% 成長で、14 年と同じだった。 雇用の回復などを背景に、今年は 2% 台半ばの成長が予想されている。 だが、海外経済の減速や株安など、下ぶれリスクもくすぶる。 (ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 1-30-16)


アサヒが欧州ビールブランド買収で基本合意、海外市場強化狙う

[東京] アサヒグループホールディングスは 10 日、英 SAB ミラーが保有するビールブランド「ペローニ」と「グロールシュ」、「ミーンタイム」など欧州 4 事業の買収でアンハイザー・ブッシュ・インベブと基本合意したと発表した。 買収金額は 25 億 5,000 万ユーロ(約 3,297 億円)。 欧州に基盤を持つことで、海外市場での成長を図る。

アサヒは「将来の成長基盤を獲得できるだけでなく、安定した高収益の事業を傘下におさめることになる。 新たな販路を活用することによって、スーパードライブランドのプレゼンス向上、販売シナジーも追求でき、世界市場における成長を加速できるものと見込んでいる。」としている。 現在、スーパードライは世界約 70 カ国で販売しており、15 年は 864 万ケース(前年比 15% 増)と伸長している。 同社としては、さらに拡販を図りたい方針。 アサヒの 2015 年 12 月期の海外売上高比率は 13.5%。 今回の買収で、海外売上高比率は約 18% に拡大する見込み。

今年から始まった中期計画経営方針の中では、グローバルな成長基盤の拡大を重点課題のひとつとして挙げている。 アサヒの海外事業は、オセアニアと東南アジアが中心。 ここに欧州を加えることで、事業の拡大を図る。 今回の買収対象となる会社は、イタリアビール事業であるビラ・ペローニ、オランダビール事業の持ち株会社であるローヤル・グロールシュ、クラフトビールを製造・販売するミーンタイム・ブリューイング、イギリスでビールを輸入、販売するミラー・ブランズ UK。 アサヒによると、買収対象事業を単純合算した売上高は約 900 億円、営業利益は約 140 億円。

同買収は、アンハイザー・ブッシュ・インベブによる SAB ミラー買収が実行されることや、アサヒが対象事業の買主として欧州委員会から承認されることなどが条件となる。 株式売買契約の締結は 2016 年上期、買収実行は 16 年下期を予定している。 アサヒのファイナンシャル・アドバイザー (FA) はロスチャイルド。 アサヒにとっては、過去最大規模の買収となる。 これまでは、2011 年に約 982 億円を投じたインディペンデント・リカー・グループが最大だった。 (清水律子 編集 : 石田仁志、Reuters = 2-11-16)


シリアの石鹸、戦火越え日本へ 中高年男性にも人気

肌に潤いを与え、地肌に優しく洗髪にも向いているとして、女性や中高年男性に根強い人気がある外国製のせっけんがある。 発祥地はシリア北部の都市アレッポ。 反体制派や過激派組織「イスラム国 (IS)」が入り乱れる内戦が続き、現地を心配する愛好者の声がネットなどで広がっている。 懸命に取引を続ける輸入元は「一刻も早い平和を」と願う。

アレッポのせっけんの主原料はオリーブオイルとローレル(月桂樹)オイル。 釜に入れて数日間たいた後、1 - 2 年間熟成させて作る。 無添加・無香料で知られ、千年以上の歴史を持つとされる。 日本にも 20 年ほど前から本格的に輸入され、デパートや化粧品店の店頭のほか、ネットショップや通販サイトでも人気がある。 輸入元は数社あり、商品名も様々だが、小売店など約 50 社に卸している「アレッポの石鹸社(東京都福生市)」が有名だ。

太田昌興社長 (45) が、仕入れ先で創業 350 年の老舗アデル・ファンサ社の工場を最後に商談で訪れたのは 2011 年 2 月。 約 30 人の従業員が働き、街も平穏だった。 だがその後に内戦が波及。 電気や水道などインフラが破壊され、11 年 12 月の釜たき工程を最後に生産はストップ。 連絡手段もメールしかなくなった。 太田さんの会社の在庫は半年分ほどで、小売店などには出荷調整をのんでもらわざるを得ない状況に。 「入手できなくなるのか」、「買いだめした方がいいのか」といった問い合わせも相次いだ。

14 年 1 月、アデル社はアレッポから 100 キロ以上離れた比較的安全な街に工場を新設し、生産を再開した。 だが、現地の物価高騰から、太田さんの会社は希望小売価格を 500 円から 630 円(ノーマルタイプ 200 グラム)に値上げせざるを得なかった。 ネットでは「今まで買っていた店からなくなった。 工場はどうなったのか」、「このままでは手に入らなくなるかも」、「アレッポの人々のために買おう」といった書き込みが目立つ。 太田さんは「取引先のほか、一般の人からも『工場の人は大丈夫ですか』とよくお尋ねがあります。 見知らぬ国を心配する人間の優しさに感動します。」と語る。

太田さんの手元には、自社の創業 15 周年記念に作ったアレッポの写真集がある。 美しいモスクや市場といった世界遺産の街並みと人々の笑顔が並ぶ。 「がれきになった街をテレビで見ました。 生命力があり、圧倒されるほどエネルギッシュな都市だったのに。」 シリアでは様々な勢力が入り乱れて攻防が続く。 メールでアデル社の担当者に「大丈夫か」と気遣うと「大変だが頑張っている」といった非常に短い返事が戻ってくるという。

いつの日か平和が訪れ、アレッポでの生産が再開されると太田さんは信じている。 「歴史上、何度も戦火に巻き込まれながら脈々と生き続けてきた街。 きっといつか、元の活気ある街に戻ると思います。」 (高原敦、asahi = 1-25-16)

アレッポとシリア内戦〉 ユネスコ(国連教育科学文化機関)によると、アレッポは世界最古の都市の一つで、4 千年ほど前から地中海とメソポタミアを結ぶ交易中継地や軍事拠点として栄えた。 1986 年に世界遺産に登録。 内戦は 2011 年、アサド政権が民主化要求運動を武力弾圧したことから始まり、すでに 22 万人以上が死亡した。 アレッポも激戦地になった。 IS の勢力拡大やテロを受けて、欧米諸国やロシアも空爆などの軍事行動を展開している。


米、ビザ免除に制限 パリ同時攻撃受け制度強化

[ワシントン] 米国は 21 日から、ビザ免除プログラム (VWP) でビザ取得が免除されている 38 カ国の国民について、米国渡航に関する規制を強化した。 2015 年 11 月のパリ同時攻撃を受けて可決された新法に基づく措置。

日本を含む VWP 対象国の国民は、ビザなしで 90 日以内の米国滞在を認められているが、2011 年 3 月 1 日以降にイラン、イラク、スーダン、シリアへの渡航歴がある場合はビザ取得が必要となる。 また、これら 4 カ国との二重国籍を有する場合にもビザ取得が必要になる。 ただ、これら 4 カ国で活動を行なう国際機関や人道援助機関の職員、ジャーナリストなどに対しては、国土安全保障省長官がビザ取得要件を免除する権限を有するという。 (Reuters = 1-22-16)


AIIB は好評を博し、「世界経済のリバランスを証明」

シンガポール紙「聯合早報」の 17 日付報道によると、世界 57 カ国の財務相が 16 日に北京釣魚台国賓館で開かれたアジアインフラ投資銀行 (AIIB) の開業式典に出席した。 中国国家主席の習近平氏は「AIIB の設立は世界経済ガバナンスの改善を後押しし、世界経済構造の調整・変化の動向に合致し、世界経済ガバナンス体制のより公正かつ合理的・効率的な方向への発展に役立つ」と明らかにした。

ロイターは 16 日、世界銀行や国際通貨基金 (IMF) とは異なる AIIB の成功は中国外交の一大勝利だと伝えた。 韓国テレビ局 YTN は 17 日、中国主導の AIIB が 16 日に正式に開業し、同国際金融機関の設立は中国経済の台頭を象徴し、中国経済の振興目標が次第に達成する過程中における一里塚と見なされると伝えた。 シンガポール紙「海峡時報」によると、中国は 4 分 1 の以上の決議権を持ち、総裁任命など重要な決定における否決権を持っているが、複数の国のスタッフに管理される AIIB の日常事務に影響を与えることはない。

インド紙「ヒンドゥスタン・タイムズ」によると、AIIB はインフラ投資向け融資の手続きを簡素化するよう希望する。 ニューデリーは一連のインフラ建設プロジェクトを提出し、AIIB は電力、飲用水、道路など各分野のプロジェクトに融資を提供してもらえるよう希望する。 ドイツ紙「Finanzen.net」の報道によると、インドネシア、ロシア、バングラデシュなどの国は第 1 弾の融資を希望し、AIIB は発展途上国の新たな希望になりつつあるという。 (中国・新華夏 = 1-18-16)


財政難のサウジ、国営石油の上場検討 時価総額数兆ドルか

ロンドン : 世界最大の石油企業であるサウジアラビアの国営サウジアラムコは 9 日までに、同社もしくは一部の子会社の株式上場などを含む民間投資の受け入れ策を検討していることを明らかにした。 サウジ政府は過去 10 年で最低水準とされる原油安に襲われて厳しい財政難に直面しており、株式上場で歳入確保を図る狙いとみられる。 同社は世界の原油生産量のうち 12% を占める。 確認済みの埋蔵量でも世界全体の約 15% に当たる約 2,610 億バレルを押さえている。

石油関連収入はサウジの財源の 75% に達する。 しかし、長期化する原油安で歳入は目減りしており、支出削減やガソリン価格を 50% 値上げするなどの対応策を強いられている。 2015 年の国家予算は約 1,000 億ドルの赤字ともなっていた。 原油価格は過去 18 カ月の間、1 バレル 100 ドル超から 33 ドル超に大幅に下落している。 米シンクタンクのブルッキングス研究所ドーハ・センターのエネルギー問題の専門家は、サウジは歳入不足に陥っているものの国防費や補助金の額は統制出来ない状況を呈しており、手持ち資金の確保に躍起となっていると指摘した。

アラムコによる新規株式公開 (IPO) の検討を最初に報じた英誌エコノミストによると、株式上場した場合の時価総額は数兆ドルに達する可能性がある。 全てのサウジ企業の時価総額の全体額を上回り、米アップルもしのぐ水準となる。 株式上場された石油企業の最大手である米エクソンモービルの時価総額は約 3,140 億ドル。 同社が支配する確認済みの埋蔵量はアラムコの約 1 割程度となっている。 ただ、アラムコの巨大な企業規模を考えた場合、サウジの市場で IPO が可能かとの疑問も出ている。

アラムコは 1930 年代に創業し、当初はアラビアン・アメリカン・オイル・カンパニーと呼ばれた。 1970 年代後半に完全に国営化された。 サウジ国内の 100 カ所以上で油田を発見し、従業員は約 6 万人となっている。 (CNN = 1-9-16)