CO2 排出量 1 世帯年 3.5 トン 省エネなら 3 割減 初の全国調査

環境省は 24 日、家庭からの二酸化炭素 (CO2) 排出量について、初めての全国実態調査結果を公表した。 1 世帯当たりの排出量は年平均 3.5 トンで、省エネルギーを徹底している家庭は、ほとんど実施していない家庭に比べ、排出量を最大で約 3 割削減できていることが分かった。 1 万 6,402 世帯を対象に、2014 年 10 月から 1 年間のエネルギー使用量や太陽光発電量、家電の使用状況について調査した。 用途別の排出量は、▽ 照明・家電が 47% で最も多く、▽ 給湯 24%、▽ 暖房 22% - と続いた。 地域別にみると、暖房に灯油を多く使う北陸が 5.32 トンでトップだった。

一方、「冷蔵庫に詰め込みすぎない」、「台所で使うお湯の温度を抑える」など 18 項目の省エネ対策の実施状況を尋ねたところ、8 割を超える項目を実施している一戸建て住宅の排出量は、実施が 2 割以下の世帯に比べ 3 割近く少なかった。 国内の CO2 などの温室効果ガス排出量は 1990 年から大幅に増加しており、国は 30 年までに 13 年比 26% 削減する目標を掲げている。 達成には、家庭部門で約 4 割削減する必要があり、環境省は「調査結果を基に、効果的な省エネ対策を目指したい」としている。 (渡辺諒、mainichi = 3-25-16)


省エネや再利用 PR、島根県の戦隊ヒーロー

省エネルギーやリユース(再利用)を推進する島根県の戦隊ヒーロー「スマートライフマン」が、活動を本格化させる。 これまでも環境イベントなどで省エネを訴えてきたが、消費電力を減らすヒントを盛り込んだ 2016 年度のカレンダー「地球を救え! 進め! スマートライフマン」を 2,000 部作成。 県内の市町村などに配布し、環境保護啓発イベントで省エネを推進する。

スマートライフマンは、レッド、ブルー、イエロー、ピンクの 4 人組。 2014 年、県が省エネ PR 番組を作るにあたって結成された。 今年度は、地球温暖化防止活動推進員の研修会などで寸劇を披露したり、2 月に浜田市で初めて開催された山陰浜田港マリン大橋リレーマラソンで、洗って再利用する「リユース食器」の取り組みを PR したりしてきた。

カレンダーでは、日常生活で家電製品を使う際に一工夫を加えて省エネに取り組む活動「足し算の省エネ」の伝道師として登場。 冷蔵庫に入れる物を分類して籠に収め、籠ごと出し入れすることで扉の開閉時間を短くしたり、電気カーペットの下に断熱シートを敷いたりする「足し算」の発想を紹介し、地球の天然資源が枯渇するまでエネルギーを使い、人間をずぼらに変えようとする悪役「ヒキザーン」に伝えている。

スマートライフマンに「変身」するのは、県環境政策課の職員。 同課は県連合婦人会の協力を得て、今年度から松江、江津両市の婦人会メンバーに家庭で「足し算の省エネ」に取り組んでもらっており、今後、取り組み前後の光熱費を比較して効果を実証する。 17 年度からは、効果的な取り組みを県全体に広げていく方針だ。 スマートライフマンは県庁で記者会見し、ブルーが「何かを諦めるのではなく、楽しみながら工夫する省エネを伝えていきたい」と話した。 (坂根薫、yomiuri = 3-21-16)


中国、エネルギー爆食に異変? 30 年で初の減少と報告

中国のエネルギー消費量が昨年、30 年間で初の減少を記録 - -。 中国の国有石油大手が、自社でまとめた速報値をもとにこんな報告書を出した。 中国が世界中の資源を大量に消費し、「爆食」とも呼ばれた構図が、転換点を迎えていた可能性がある。

国有大手の中国石油天然ガス集団 (CNPC) のシンクタンク部門の報告書によると、2015 年の中国の 1 次エネルギー消費量は標準炭換算で 42.4 億トンとなり、前年を 0.5% 下回った。 中国ではエネルギーの消費量を、石炭に換算した独自の「標準炭」という単位で表す。 同社は「30 年来で初の減少」としている。 石炭使用量は 3.8% 減と減少幅が拡大し、電力使用量は 0.8% の伸びにとどまった。 エネルギーを多く使う製造業が経済減速で不振に見舞われ、省エネの取り組みも進んで消費量が抑えられたとみられる。

翌年の後半に確定する中国政府の統計によると、中国のエネルギー消費量は 1981 年に減少を記録して以降、2014 年まで 33 年連続で右肩上がりが続いてきた。 ただ、14 年の伸び率は 2.2% で、15 年は CNPC の報告書通りなら 34 年ぶりに減少に転じることになり、「増えたとしても伸びは 1% 以下にとどまる」との見方が出ている。 中国のエネルギー消費が減れば、原油などの価格低迷に悩む資源国にとっては、さらなる打撃となる。

中国政府は鉄鋼や石炭といった過剰生産が問題になっている業界で、大きく生産能力を減らす方針を打ち出している。 政策が進めば、今後はさらなる抑制の要因となる。 特に、環境への負担が大きい石炭の使用は大きく減る見通しだ。 中国が地球温暖化対策で「30 年ごろに二酸化炭素排出量を減少に転じさせる」とした国際公約は、大きく前倒しで達成される可能性も出てきた。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 3-12-16)


首相、福島の水素エネ供給地構想を表明 震災 5 年視察で

安倍晋三首相は 5 日、東日本大震災から 11 日で 5 年を迎えるのを前に、福島県で復興の現状を視察した。 政権復帰以降、被災地視察は 28 回目。 首相は同県を水素エネルギーの供給地にする構想と実現に向けた官民会議の設置を表明し、林幹雄経済産業相に具体策の検討を今月中に始めるよう指示するとした。

首相は震災で一時休業した農家が始めた福島市の牧場や、楢葉町の電気自動車の部品工場などを見学。 視察後に「福島を日本中に水素エネルギーを供給する一大生産地にしたい」と述べ、2020 年に同県で燃料電池車 1 万台分の水素を再生可能エネルギーからつくる「福島新エネ社会構想」を明らかにした。

震災 5 年を前に、首相は「福島の復興、東北の復興は最重要課題だ。 困難な生活を強いられている皆さんが元の生活に戻っていただけるよう復興を加速化していく」と強調した。 首相の被災地視察は、12 年 12 月の東京電力福島第一原発の視察を皮切りに、13 年は 11 回、14 年は 8 回、15 年は 6 回。 今年は 2 月に宮城県を訪問した。 県別では福島は 12 回、宮城は 10 回、岩手は 8 回と、被災 3 県の沿岸部を順次視察している。 (田嶋慶彦、asahi = 3-5-16)


国産ディーゼル車の一部、排ガス基準の最大 10 倍 路上試験

独フォルクスワーゲン (VW) の排ガス不正問題を受け、国土交通省が実施したディーゼル車の路上走行試験で、国産の一部車種から現行の台上試験に基づく排ガス基準の 2 - 10 倍の窒素酸化物 (NOx) が測定されたことが 3 日、分かった。 不正ソフトの搭載などはなかった。 国交省は「試験方法が異なるため違反ではない」としている。 ただ国は走行試験に基づく新たな規制を検討しており、今後各メーカーが追加の対策を求められる可能性がある。

調査対象はトヨタ自動車の「ランドクルーザープラド」、「ハイエース」、日産自動車の「エクストレイル」、マツダの「CX-5」、「デミオ」、三菱自動車の「デリカ D:5」の計 6 車種 6 台。 実際に一般道路と高速道路を走行して排ガスを測定したところ、マツダの 2 車種を除く 4 車種が排ガス基準を 2 - 5 倍程度上回った。 走行区間によっては 10 倍程度になる車種もあった。

NOx の排出量は運転方法や気象条件によっても変わるとされる。 実走行と試験時の排ガスや燃費性能に差があることは以前から指摘されていた。 現在は台上に車を固定して測定する台上試験しか行われず、基準もこの試験方式に従って決められている。 (nikkei = 3-4-16)


低周波音苦情相次ぐ … 家庭用省エネ機器原因か

不眠、食欲低下 … 年 200 件超

機械などから出る低周波音への苦情が増えている。 不眠や食欲低下などの健康被害を受けたとして、全国の自治体に寄せられる相談は年 200 件を超え、20 年前の 5 倍以上になった。 この間、省エネ対策で急速に普及した家庭用発電装置や給湯機器が発生源の一つとされ、隣人間のトラブルが裁判に発展するケースも出てきた。 国は、こうした低周波音が不快感を生じさせることがあると認め、健康被害との関連を調べている。

静かな騒音

神戸市内の一戸建てに住んでいた女性 (61) は 2010 年 12 月、夜明け前に「ブーン」という耳慣れない音で目覚めた。 室内の電化製品に異常はなく、窓を開けると、前日に引っ越してきた隣家の家庭用燃料電池「エネファーム」から聞こえる音とわかった。 一定の低い音が 24 時間途切れず、それから 3 日間眠れなかった。 食欲が落ち、胸に痛みなども感じて 11 年 3 月、近くのマンションに転居した。

女性はインターネットなどで原因を調べて低周波音の影響と考え、14 年 2 月、被害防止に取り組む NPO を設立。 相談があった約 160 人の 8 割超が睡眠障害を訴え、5 割近くが胸の圧迫や痛みを感じていた。 ただ、低周波音は人によっては聞こえず、被害が理解されにくいのが実情という。 女性は一戸建ての自宅を残しており、15 年 6 月、隣人やメーカーにエネファームの撤去などを求め、大阪地裁に提訴。 「静かな騒音の存在を知ってほしい」と訴えるが、被告側は訴訟で、「健康被害との因果関係は不明。 撤去義務はない。」と反論、全面的に争っている。

20 年で 5 倍

環境省によると、全国の自治体に寄せられる低周波音への苦情は 1980 - 90 年代に年 20 - 40 件程度だったが、2000 年代に急増。 08 年度には 200 件を超えた。 中でも「家庭生活」を発生源とする苦情が増えており、省エネ用機器もこの中に含まれるという。

この傾向は、家庭への省エネ用機器普及の動きと重なる。 業界団体によると、例えば家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の出荷台数は累計で 04 年に 10 万台、07 年に 100 万台を突破し、現在では約 480 万台に上っている。 環境省は、こうした省エネ用機器が低周波音を発することを確認。 エアコンの室外機なども同様の低周波音を出すが、夜間に長時間稼働する省エネ用機器は、苦情につながりやすいとみられる。

因果関係

環境省は 07 年に作成した市民向けパンフレットで、低周波音について「不快感を抱く人もいる」としたうえで、「寝室を変える」、「窓の揺れを抑える」などの対策を呼びかけたが、健康被害との因果関係については、今も「調査中(担当者)」と慎重な姿勢だ。

一方で、低周波音が健康に影響を与えていることをうかがわせる事例もある。 消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は 14 年 12 月、隣家のエコキュートで不眠や頭痛などを発症したとする群馬県高崎市の夫妻の訴えに対し、「低周波音が関与している可能性がある」との報告書を公表。 15 年 11 月には、同様に苦情が相次ぐエネファームや家庭用ガス発電・給湯暖房システム「エコウィル」に関しても健康被害との関係を調べることを決めた。

エコキュートの普及に取り組む一般社団法人・日本冷凍空調工業会(東京)は設置業者向けのガイドブックで、周辺の住宅に配慮するため、▽ 寝室のそばへの設置を避ける、▽ 稼働音の反響を軽減するため壁から距離をとる、▽ 隣家の窓と向き合わないように設置する - - などの対策を促している。 担当者は「健康被害との関連が不明でも苦情が出ている以上、注意喚起に努める」と話す。 (河下真也、yomiuri = 2-28-16)


種子島の再生エネ、また送電中断 九電が指示

九州電力は 22 日、太陽光や風力など再生可能エネルギー固定価格買い取り制度 (FIT) に基づく電気の買い取りで、鹿児島県の種子島の発電事業者 1 社に、九電への送電の一時中断を指示したと発表した。 再エネの一時的な増加が送電網に悪影響を与える可能性があるため。 同島での指示は昨年 5 月に別の太陽光発電事業者に行ったのに続いて 2 度目。

九電は今回の対象事業者を明らかにしておらず、太陽光発電かどうかはわからない。 20 日に要請し、21 日午前 9 時から午後 4 時まで出力を抑えてもらったという。 種子島は送電網が外部とつながっておらず、出力変動が大きい太陽光などの発電量が増えて需給バランスが崩れると、電力の安定供給に支障が出るおそれがあるという。(長崎潤一郎、asahi = 2-23-16)


風力増強、原発 10 基分に ユーラスなどが大型投資

日本で風力発電の導入が加速する。 国内首位のユーラスエナジーホールディングス (HD) と同 2 位の J パワーがそれぞれ 2020 年までに 600 億円規模を投資する。 国内全体の風力発電能力は現在の約 3 倍、原子力発電設備 10 基分に増える見通しだ。 政府は現在の太陽光偏重の是正に動いており、温暖化ガス削減の国際枠組み「パリ協定」で掲げた目標の達成に向け、風力も再生可能エネルギー活用の新たな柱になりそうだ。

ユーラスは豊田通商と東京電力の共同出資会社。 ユーラスと J パワーの風力発電能力を合計すると国内の約 33% (14 年度、日経推計)になる。 ユーラスは 20 年までに計 20 万キロワット分の風力発電所を新設し、能力を 85 万キロワットに拡大する。 年内に秋田県由利本荘市で 4 万キロワット級の発電所を着工、高知県大豊町でも開発計画がある。 J パワーも能力を 20 万キロワット増強し計 60 万キロワットにする。 北海道せたな町や愛媛県宇和島市に発電所を新設する。

政府は温暖化ガス削減目標実現のため、発電量全体に占める再生エネ(水力除く)の比率を現在の約 3% から 30 年度に 15% 程度にする計画だ。 風力発電の稼働率は太陽光の約 2 倍で効率的に電気を得られる。 海上でも発電できる。 地熱ほど立地の制約がなく、バイオマス発電のように燃料の木材を確保する必要もない。 だが国際エネルギー機関 (IEA) によると日本の風力発電の割合は 0.5% (14 年)と欧米諸国や中国より低い。

大型風力発電所の建設には 12 年に国の環境影響評価(環境アセスメント)が義務付けられ、手続きに 4 - 5 年かかるため新規導入が停滞していた。 同年に再生エネの固定価格買い取り制度が始まったが、同制度で認定された発電設備のうち建設が容易な太陽光が約 8 千万キロワットと 93% を占め、風力は 3% にとどまる。

ーラスや J パワーは環境影響評価が完了した開発計画を順次実施に移す。 日本風力発電協会の推計では 15 年末に 304 万キロワットだった導入量は、アセスの進捗などで 20 年ごろに 1 千万キロワットに膨らむ。 政府も大規模太陽光発電所(メガソーラー)からの買い取り価格を引き下げる一方、大型風力の価格は据え置くなど、導入を後押ししている。

海外勢も動き出す。 米風力発電大手パターンエナジーは日本の合弁会社を通じ、20 年までに国内で計 100 万キロワットの建設を計画する。 青森県つがる市で国内最大の 12 万 6 千キロワットの発電所の着工を準備している。 4 月から電力小売りに参入する新電力の中には、環境負荷が低い再生エネの電気を販売するプランを設ける動きもある。 安定供給ができる発電規模を持つ風力事業者はこうした新たな需要も取り込みやすくなる。 (nikkei = 2-19-16)

パリ協定 昨年 12 月の第 21 回国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP21) で採択された温暖化防止の国際枠組み。 参加国・地域がそれぞれ目標を策定し温暖化ガス排出量を削減する。 日本は 2030 年度までに 13 年度比 26% 減らす。


地球温暖化でロンドン - NY 間のフライトが長くなる

ただでさえ長い、飛行機による大陸間の横断便。 それがさらに長くなるかも … と聞いたら、なんだか絶望感すらありますよね。 日本人には少し縁の遠い話ですが、ヨーロッパからアメリカまでのフライト時間が地球温暖化のせいで長くなるという最新の研究結果が発表されたのです。

レディング大学で大気科学を研究してる Paul Williams 教授によると、大気中の CO2 濃度が 2 倍になると、アメリカ大陸からヨーロッパ大陸に吹くジェット気流が 15% 強くなります。 これにより、ニューヨークにあるジョン・F・ケネディ空港からロンドンのヒースロー空港までのフライトは 4 分短くなるものの、ヒースローからジョン・F・ケネディ空港までは 5 分以上長くなるというのです。 うーん、往復することを考えても、トータルでのフライト時間は長くなりそうですね …。

これによって問題になるのはフライト時間の延長だけではありません。 Williams 教授によると、ジェット気流が強まることによって大西洋横断便ではトータルで年間 2,000 時間の飛行時間、720 万ガロンのジェット燃料、2,200 万ドル(約 25 億円)のコストが余計に必要になり、7,000 万kg の二酸化炭素が余分に排出されることになります。 経済だけでなく、エコ的な視点から見ても悪影響が予想されるんですね!

教授によれば、大気中の CO2 濃度が 2 倍になる時期は「CO2 排出の対策を打たなければ数十年以内」に迫っています。 その結果、ロンドン - ニューヨーク間のフライトが 7 時間以上(総飛行時間は 8 時間以上)かかるケースが 2 倍以上になり、遅延も頻発するだろうとのこと。 普段はなかなかわかりにくい地球温暖化の影響ですが、フライト時間が伸びたり航空券が高くなる可能性がある … と言われたら、個人でもできる温暖化対策がしたくなってきました。 (塚本直樹、GIZMODO = 2-16-16)


石炭火力発電所の新設、一転容認へ 温室ガス管理強化へ

全国で相次ぐ石炭火力発電所の新設計画の環境影響評価(アセス)で異議を唱えていた環境省は、条件付きで容認する方針を固めた。 温室効果ガス削減の目標達成が難しくなるとしてこれまで「是認しがたい」としてきたが、電力業界と経済産業省が管理を強化することで容認へ転じた。 8 日にも丸川珠代環境相と林幹雄経産相が会談して合意する。

政府は昨年、2030 年度の電源構成で石炭火力の割合を現在の 30% から 26% に減らす計画を策定した。 これに基づき温室効果ガス排出量を「30 年度に 13 年度比 26% 減」とする目標を掲げた。 一方、安い燃料コストや 4 月の電力自由化を見据えて、石炭火力発電所の新設計画が相次ぐ。 関西電力や九州電力は、需要の大きい首都圏に参入するねらいから、ガス会社などと組んで千葉県で大規模な発電所を計画する。

電力業界の排出削減に向けた仕組みがないなかで排出量が多い石炭火力は認められないとして、環境省は昨年 6 月から、山口県宇部市の新設計画など計 5 件のアセスで異議を唱えた。 これを受けて大手と新規参入の電力会社は、業界全体の排出目標をつくり、共同で取り組むことを決めた。 排出量が多い会社があれば、業界内で調整するようになりそうだ。 (香取啓介、川田俊男、asahi = 2-7-16)


違法伐採、宇宙から監視 「だいち 2 号」がデータ公開へ

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と国際協力機構 (JICA) は、地球観測衛星「だいち 2 号」を使って赤道地域の違法伐採監視を始める。 8 月から衛星の観測データを無料で公開し、各国での対策に役立ててもらう。 だいち 2 号は、2014 年 5 月に打ち上げられた。 昼夜や天候に関係なく地上を観測する能力があり、主に災害時の浸水や地形変化の観測に使われている。 搭載レーダーで全地球的な森林監視も実施している。

今回は、赤道地域で多発し、地上からの監視が困難な違法伐採を把握できるよう、森林の分布画像を公開することにした。 ホームページを開設し、だれでも見られるようにする。 50 メートル四方の画像を約 1 カ月半ごとに更新していく。 対象は東南アジア、アフリカ、南米の数十カ国になる見込みで、地球全体の半分程度の森林面積にあたるという。 (奥村輝、asahi = 2-3-16)


次に来る省エネは "直流"、ソーラーパネルからの送電ロスを減らす新発想

電力の有効利用を提案するシオン電機は 27 日、東京ビッグサイトで開催中の「新電力 EXPO 2016」で、直流電力合成装置「エコミノール」に関する展示を行った。 シオン電機代表取締役の村野實氏の話によると、同社では以前から交流/直流の変換時に起きる電力損失に注目してきたという。 発電時に発生した直流電力を交流に変換して送電し、それを家電機器などが動力として使えるよう、内部で再び直流に変換。 この際に起きる損失量は、シミュレーションでは 13.4% に及ぶとのことだ。

「直流給電については、今まで三すくみの状況にありました。 ユーザーには直流給電に関する認知がなく、メーカーも市場規模に疑問があり、電気会社も施設の切り替えコストを考えると二の足を踏んでいた。 ただ、電力自由化や直流家電の登場などもあって、今後はこの状況も変わってくるのではないでしょうか。」 15 年 11 月にはシャープが業界初となる DC (直流)ハイブリッドエアコンを発売。 三菱電機でも直流給電への動きがあり、ほかのメーカーでも水面下で研究が進んでいるという。 このような機器と組み合わせ、直流給電における送電部分の核を担うのが「エコミノール」だ。

エコミノールの対象となるのは自家発電やサステナビリティの一環として、ソーラーパネルなどの発電設備を設置している家庭やオフィス。 こうした発電施設から供給された直流電力を合成し、その上で不足分が発生したときのみ、さらに商用電力を合成。 比較実験では交流変換を行う売電システムに比べて、6.4% の効率化が実現できたという。 省エネセンターのデータによると、一般的なオフィスビルでは全電力消費量の 28% を空調が、40% を照明が占めている。 そのため、まずはこの 2 つを直流化すべく、同社では現在、製品化に向けてのマッチングを進めているという。

「電力自由化と組み合わせて、発電所から供給先まで直流の送電設備を作れば、本当は電力の損失量はもっと下がります。 実は津軽海峡ではすでに直流送電が行われ、実際に送電ロスを減らしているんです。」 同社では今年にもエコミノールの発売を行う予定。 直流給電という新たなマーケットにおいて、それを下から支える一つの存在となりそうだ。 (丸田鉄平、HanjoHanjo = 1-28-16)

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さくらインターネット、石狩に太陽光発電所を開設 直流のままデータセンターに送電

さくらインターネット株式会社は10日、同社が北海道石狩市に建設した「さくらインターネット 石狩太陽光発電所」から、同社の石狩データセンターへの送電を開始したと発表した。 石狩データセンターでは、2013年3月よりNTTデータ先端技術が持つ高電圧直流給電システム「HVDC DC 12V方式」を採用したサーバーが稼働している。 太陽光発電所で発電した電気は、直流のまま専用電線を伝ってHVDCサーバーに給電される。交流に変換することなく送電できるため、変換ロスを抑えることができる。

石狩太陽光発電所では、給電状況を自動で判別し、天候などの問題で発電できない場合は交流系統から、停電の場合などはバッテリーから給電する。 また、発電効率を最大化するため、ニプロンの昇圧コンバータ−「PVマキシマイザー」を採用しているという。 なお、今回の取り組みでは、8月6日に発表された超電導システムは利用しておらず、通常の送電線を利用している。 超電導システムは、9月ごろにデータセンターでテスト運用するとしている。 (InternetWatch = 8-10-15)

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シャープが「直流家電」実用化へ、AC/DC 切り替え機能を持つエアコンなどを開発

シャープは「直流家電」の実用化に向けた取り組みを強化する。 新たに AC/DC 切り替え機能を持つエアコンや、これらを制御する HEMS (家庭向けエネルギー管理システム)、専用の蓄電池システムなどを開発。 実用化に向けた取り組みを本格化させる。

現在の電力活用の中で使われる電流には 2 種類のものがある。 常に一方向に流れる直流と、1 秒間に 50 回から 60 回、方向が変わる交流だ。 どちらでもエネルギーを送ることができるものの、送配電では交流が主流となっている。 現在の送配電網では、火力発電所、水力発電所で発電した交流を変電所で高電圧に変え、送電し、別の変電所などで順次低い電圧に変えていき、家庭では 100V の交流を受ける仕組みになっている。 これは交流の場合、電圧が高ければ高いほど損失が減るからだ。

ただ、最終的に機器の内部で使う電力は、直流の場合がほとんどだ。 ノート PC のようにアダプターや、製品内蔵のコンバータを利用し、通常は交流から直流に変換した電力が製品の内部で使われている。

直流で生まれる電力を交流で変換して送配電し、さらに機器の手前で直流に変換して利用するのは実は多くの電力の無駄を発生させている。 特に再生可能エネルギーの場合、太陽光発電などで生まれる電力は直流でそれをパワーコンディショナーなどで交流に変換して家庭内で配電し、機器で直流に変換する仕組みとなっており、無駄が多かった。 そこで、最初から最後まで直流で給電することを目指して「直流給電」が大きな注目を浴びた。

直流給電を生かした「直流家電」実用化へ

ただ、直流給電にはこうしたメリットがある一方で、利用には既存の設備更新が必要であることなどから、実用化が進まない状況が進んでいた。 これらに対し、実用化に大きく踏み出そうとするのがシャープの取り組みだ。 シャープが今回開発したのは、AC/DC のどちらの電流も受けられるハイブリッド型のエアコンと、これらを制御する HEMS、蓄電池システムなどを組み合わせた「直流家電システム」となる。

太陽光発電などで発電した直流の電力を、直流のまま蓄電池システムに蓄電。 それを直流のままでエアコンで利用することができる。 家庭内で生み出す電力を、直流と交流のコンバートによって失うことを抑えられる点が最大の特徴だ。 またエアコンは既存設備における運用も併用できるように、交流の電力も活用できるようにした「AC/DC ハイブリッド機能」を備えており、HEMS により入ってくる電力に合わせて、制御することで運用できるとしている。 これらの「AC/DC ハイブリッドシステム」や「HEMS」などは「シャープの独自技術として開発している(シャープ広報部)」としている。

シャープでは 2011 年に "節電を極める家" として「シャープ・エコハウス」を設置し「直流給電による DC 家電の検証」などを推進。 直流給電および直流家電における取り組みを継続的に推進している。 なお、直流電力を使用した家庭用電力システムは、2015 年 7 月 29 - 31 日に東京ビッグサイトで開催される「PVJapan 2015」で「参考出展」として展示される予定だ。 (三島一孝、スマートジャパン = 7-27-15)


海のプラごみ魚の量超す? 50 年までに、ダボス会議

ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF、本部ジュネーブ)は 21 日までに、世界の海に漂うプラスチックごみの量が今後も増え続け、2050 年までに重量換算で魚の量を超すと予測する報告書を発表した。 海のプラスチック汚染は年々深刻化しており、報告書はリサイクルの徹底を促している。. 報告書によると、世界のプラスチックの生産量は 1964 年の 1,500 万トンから 2014 年の 3 億 1,100 万トンへと 50 年で 20 倍以上に急増。 今後 20 年間でさらに倍増するとみられている。

毎年少なくとも 800 万トン分のプラスチックが海に流出。 このまま対策を取らなければ、50 年までには海のプラスチックの量が魚を上回る計算になるという。 プラスチック容器のリサイクル率はわずか 14% で、紙の 58% や鉄鋼の 70 -90% を大幅に下回っている。 報告書はプラスチックのリサイクルを促進し、海など自然界への流出を防ぐ対策の強化が急務だと指摘した。 報告書は専門家 180 人以上への聞き取り調査と 200 本以上の報告書の分析を基に作成された。 (ダボス、kyodo = 1-22-16)


昨年は「記録上最も暑い年」 世界の平均気温が過去最高

米海洋大気局 (NOAA) と米航空宇宙局 (NASA) は 20 日、2015 年の世界の平均気温が過去最高を記録したと発表した。 20 世紀の平均(13.9 度)よりも 0.90 度高く、これまで最も高かった 14 年の記録を 0.16 度更新した。 地球温暖化やエルニーニョ現象などが影響したとみられるという。

記録が残る 1880 年以降の世界各地の陸上や海上での測定データをもとに分析した。 NOAA によると、昨年 12 月は特に温かく、20 世紀以降の 12 月の月平均を 1.11 度上回った。 月平均の上昇幅が 1 度を超えたのは初めてという。 14 年秋以降、太平洋東部の赤道付近の海面水温が上昇するエルニーニョ現象が発生。 昨春以降に特に深刻化しており、記録的な気温上昇に拍車をかけたという。 (ワシントン = 小林哲、asahi = 1-21-16)


荒川区、運動施設に燃料電池 東京ガスと省エネ実証実験

東京都荒川区は 2 月から、業務用燃料電池の実証試験を始める。 東京ガスと連携して、二酸化炭素 (CO2) 削減効果などを検証し、2017 年度をめどに本格的に導入する方針だ。 家庭向けより大きな出力が必要な業務用燃料電池の実用化を後押しし、20 年の東京五輪に向けて次世代のクリーンエネルギーと期待される水素を活用する先進的な街をアピールする。

東京ガスと協定を結んだ。 試験は同社が中心となって進める。 区は設置場所の提供などで協力し、費用は負担しない。 業務用燃料電池の実証試験を始めるのは自治体では全国で初めてという。 試験装置は南千住駅に近い荒川総合スポーツセンターに設置する。 燃料電池が生み出す電気を照明に、熱をシャワーの温水に使う。 エネルギーが発生する過程が分かるモニターや、熱を体感できる手洗い場も設ける。

燃料電池は都市ガスから抽出した水素を酸素と化学反応させ、電気を生み出す。 CO2 排出量の削減に加え、排熱の有効活用による省エネルギー効果を期待できる。 燃料電池は家庭向けで普及し始めているが、公共施設などで使うには出力が小さいといった課題がある。 荒川区が実証実験で使うのは三浦工業が製造した燃料電池で、出力は家庭向けの約 7 倍の 5 キロワット。 比較的発電効率が高いとされる固体酸化物形燃料電池 (SOFC) を使う。

荒川区は実証実験と並行して、区内企業や区民向けに燃料電池の説明会や見学会のほか、水素エネルギーのシンポジウムも開く予定だ。 同区は 05 年に 23 区で初めて家庭用燃料電池を小学校に設置。 09 年からは補助金を交付して家庭用燃料電池の導入を促すなど、普及に取り組んできた。

水素を使った街づくりは国や都も積極的だ。 経済産業省は 17 年度に SOFC の市場投入を目指しており、新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) が実証事業に取り組んでいる。 都は自動車メーカーやエネルギー企業などを集めた「水素社会の実現に向けた東京推進会議」を設置。 燃料電池車の購入や水素ステーションの整備費の補助制度も設けた。 民間ではソフトバンク系の発電会社、ブルームエナジージャパン(東京・港)が慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスや大阪府中央卸売市場、ソフトバンク本社ビルなどに業務用燃料電池を先行的に設置している。 (nikkei = 1-19-16)


オン/オフだけじゃない、LED 照明の個別制御で電力 70% 削減

NTT ファシリティーズは 1 月 13 - 15 日の 3 日間、東京ビッグサイトで開催されている照明関連の展示会「ライティングジャパン 2016」に出展し、LED 照明などを 1 灯ごと個別に調光制御できるシステム「FIT LC」を出展した。

「FIT LC」は、調光機能付き照明器具をスマートフォンやタブレット端末で一灯ごとに無線で制御することが可能なシステム。 PWM (Pulse Width Modulation) 制御対応調光機能付きであれば、あらゆる照明器具メーカーの製品で利用可能だ。 明るさセンサーや人感センサーを用いることで、昼の明るい時間帯は照明の発光量を抑えたり、不在時には自動消灯するなど利用シーンに合わせた照明の制御が可能。 同社の実証では、最大 70% の照明消費電力の削減を実現したという。

照明制御の他、ブラインドの制御や空調の制御などをスマートフォンやタブレット経由で簡単に行うことも可能だ。 照明制御については、設定も簡単で、タブレット上で表示された照明をタップで囲むだけで、囲んだエリアの照明を一括制御するグループ化なども可能だという。

NTT ファシリティーズ グリーン IT ビルプロジェクト本部プロジェクト推進担当部長の佐藤眞一氏は「ゾーンを設定することでフロア全体を明るくしなくても、必要な明かりを得ることができるようになる。 また人感センサーなどを組み合わせれば、不在時は自動で暗くするような仕組みも作ることができる。 オンとオフ以外に、明るさがそれほどいらない時は光量を抑えることなども可能で、小まめな省エネが可能だ」と FIT LC の価値について語る。

「FIT LC」の照明制御プロトコルには、国際標準規格である「DALI (Digital Addressable Lighting Interface)」が採用されている。 DALIは、オープンな照明制御通信プロトコル規格で、IEC62386 によりデジタル調光照明インタフェースとして規格化されている。 無線システムには 920MHz 帯を利用しており通信の安定性を確保しているという。 オープンな規格を採用することで、さまざまな照明器具メーカーの製品制御が可能となり、メーカー選択の幅を広げている。 (三島一孝、スマートジャパン = 1-14-16)


日本最古の「ため池」のまち、水素と再生可能エネルギーで化石燃料ゼロへ

1,400 年の歴史を持つ日本最古のダム式ため池が残る大阪府大阪狭山市。 同市ではこうした「水」に関連した地域文化と「水素」をキーワードに、再生可能エネルギーなどを組み合わせて "化石燃料使用ゼロ" を目指す新たなまちづくりプロジェクトを開始した。 大阪府の南部に位置する大阪狭山市は、再生可能エネルギーと水素を活用する新たなまちづくりプロジェクトを開始した。 産学連携組織である「グリーン水素シティ事業推進研究会」が主体となり、再生可能エネルギーで製造した CO2 フリーな水素の供給インフラを整備するなど、化石燃料を使用しない「グリーン水素シティ」の実現を目指す。

具体的には「水素発電と電力貯蔵事業」、「再生可能エネルギー事業」、「市内全域を対象としたエネルギーマネージメントシステムの構築および Wi-Fi 事業」、「水素自動車・水素バス事業」、「公共公益施設の省エネルギー改修事業」などのモデル事業を中心に展開していく。 これらの事業を推進するグリーン水素シティ事業推進研究会は大阪狭山市の他、メルシー for SAYAMA、ASC、コンコード インターナショナル インベストメンツ グループ、シナネン、清水建設、豊田 TRIKE、光通信などの企業で構成している。

大阪狭山市内には約 140 カ所、市面積全体の約 1 割を占めるほど多くのため池がある。 中でも最大の「狭山池」は現存する日本最古のダム式ため池で、2016 年で築造から 1,400 周年を迎える。 同市ではこの狭山池 1,400 周年を機に、水素を活用した発電と電力供給事業を手掛けるメルシー for SAYAMA を同市の 100% 出資で設立した。 同研究会の構成企業の 1 社だ。

同社はこれまで大阪狭山市が恩恵を受けてきた「水」をキーワードに、「水素」と「ため池」を結び付け、「活用(地産地消)」、「利益(財源)」、「自立」を目的にグリーン水素シティの実現を目指すという。 ため池を利用した水上太陽光発電事業などにも取り組んでいく。 大阪狭山市ではこのメルシー for SAYAMA の発展とともに、脱炭素社会のモデルケースとして同市を「次世代に引き継ぐことのできる新しいまち」へ発展させていく考えだ。 (陰山遼将、スマートジャパン = 1-6-15)


風力の発電能力、初めて原発抜く コスト減、普及後押し

世界の風力発電施設の発電能力は今年、4 億キロワットを超え、原発を初めて上回ることがわかった。 発電コストが大幅に下がり、普及を後押ししている。 今月の国連気候変動会議 (COP21) で採択された「パリ協定」に基づき各国は温暖化対策として再生可能エネルギーを増やす方針を示しており、風力発電もさらに拡大しそうだ。 風が吹く時にだけ発電する風力は稼働率が 30% 程度で、80% 近い原発に比べ実際の発電量は約 3 分の 1 程度とみられる。

ただ、世界風力エネルギー協会 (WWEA) は、風力の発電能力が 2030 年には 20 億キロワットに達すると見込む。 いまの傾向が続けば、発電量でも風力が原発を超える可能性がある。 WWEA の 6 月末時点の集計で風力の発電能力は 3 億 9,293 万キロワット。 風力発電の専門誌「ウィンドパワーマンスリー」が 27 日に発表した今年末時点の見通しでは、4 億 1,496 万キロワットに達するという。 一方、世界原子力協会によると、原発は 12 月 1 日時点で 3 億 8,225 万キロワットとなっている。 (石井徹、asahi = 12-29-15)


ポスト「京」は省エネ重視 文科省、スパコン「最速」固執せず

文部科学省は次世代スーパーコンピューターの開発目標を「世界最速」から「省エネ世界一」に転換する。 理化学研究所などが開発したスパコン「京」は世界 4 位の計算速度を持つが、消費電力の大きさが課題になっている。 2020 年ごろの稼働を予定する後継機は、消費電力当たりの計算速度を最大にすることを目指す。 スパコンは大型化に伴って消費電力が膨らむ傾向がある。 計算速度だけを追求すると、原子力発電所 1 基分に相当する電力が必要な巨大施設になりかねない。

次世代機は最大消費電力に、京の約 3 倍との上限を設けたうえで、100 倍の計算能力の実現を目指す。 京で年間約 15 億円かかっている電気代は、次世代機では約 50 億円にする。 稼働時は世界最速を達成することにはこだわらず、省エネ性能を最も重視する。 16 年 1 月にもまとめる基本設計案に盛り込む予定だ。 総開発費は約 1,300 億円。

スパコンは創薬研究や地震の解析、より優れた内燃機関の設計などに役立つと期待されている。 次世代機は省エネに優れた CPU (中央演算処理装置)の開発などを通じて、スマートフォン(スマホ)など身近な家電にも成果を還元できるとみている。 今年 11 月に実施した国の予算の使途を点検する行政事業レビューでは、スパコンに関して巨額の投資が生む成果の明示を求められた。 (nikkei = 12-24-15)


積水ハウス、戸建てに高断熱ガラス 新築を省エネ

積水ハウスは 2016 年 2 月から新築の戸建て住宅で一般の複層ガラスの 2.5 倍の性能を持つ高断熱のガラスを採用する。 室内の熱を外に逃がさないようにしてエアコンなど冷暖房機器の負荷を減らす。 高断熱ガラスの採用で新築戸建ての省エネルギーを進める。

ガラスは壁に比べ熱を伝えやすいため、複層ガラスの間に真空層を挟んだ「複層真空ガラス」を採用する。 住宅のリビングなどは大きな窓を採用することが多く、冷暖房に必要なエネルギーを減らせるとみている。 住宅の省エネで温暖化対策強化にもつなげる。 積水ハウスは自社が販売した住宅から出る二酸化炭素 (CO2) の排出量を 30 年に 13 年比で 4 割減らす方針。 高断熱ガラスなどで住宅の省エネを徹底し、CO2 排出量の抑制を目指す。 (nikkei = 12-19-15)